JPH06137400A - 制動エネルギー回生装置 - Google Patents

制動エネルギー回生装置

Info

Publication number
JPH06137400A
JPH06137400A JP31125192A JP31125192A JPH06137400A JP H06137400 A JPH06137400 A JP H06137400A JP 31125192 A JP31125192 A JP 31125192A JP 31125192 A JP31125192 A JP 31125192A JP H06137400 A JPH06137400 A JP H06137400A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flywheel
load
continuously variable
variable transmission
shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31125192A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Takaai
和夫 高相
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NipponDenso Co Ltd filed Critical NipponDenso Co Ltd
Priority to JP31125192A priority Critical patent/JPH06137400A/ja
Publication of JPH06137400A publication Critical patent/JPH06137400A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 負荷の回転数の減・増に対応してフライホイ
ールの回転数の増・減するような簡易な変速機構から成
る制動エネルギー回生装置を提供すること。 【構成】 エンジン10の回転軸81と駆動輪30の回
転軸82との間に無段変速機20が配設されている。一
方の回転軸81は正転機構40を介し、他方の回転軸8
2は逆転機構50を介して差動歯車機構60の独立な入
出力軸である回転軸83,84に接続されている。そし
て、差動歯車機構60の残りの回転軸85にはフライホ
イール70が接続されている。制御装置90によりエン
ジン10の発生トルク及び無段変速機20の変速比が調
節され、負荷の減速時にフライホイールの回転数が増加
又は負荷の加速時にフライホイールの回転数が減少され
る。これにより、減速時に負荷の制動エネルギーをフラ
イホイールに回生し加速時に再利用することが可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、減速時に消費される負
荷(車輪)の制動エネルギー(運動エネルギー)の回生
装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来、自動車等の走行車両の減速制動に
は、殆ど摩擦によるブレーキ装置が用いられ、その減速
及び停止は、制動エネルギーを熱エネルギーに変換する
ことにより行われている。ここで、都市部などの混雑し
た市街地を走行する場合には、加速や減速を頻繁に繰り
返すという現象がある。このような状況下では、減速及
び停止の度に制動エネルギーを熱エネルギーとして消費
するため、著しく燃費が悪化するという問題があった。
【0003】上記問題点を解決する手段として、特開昭
56−85577号公報「減速エネルギー回収装置」に
て開示されたものが知られている。このものでは、減速
の際の制動エネルギーを、断続するクラッチを介してフ
ライホイールの運動エネルギーに回生することにより、
加減速時の燃費を向上させようとしている。更に、別の
手段として、特開昭61−192961号公報「車両の
減速エネルギー回収装置」にて開示されたものが知られ
ている。このものでは、原動機の駆動軸とフライホイー
ルとの間に無段変速機を設けることにより、制動エネル
ギーを回生する構成が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法では、クラッチを介して必要に応じて負荷(車輪)
側の運動エネルギーをフライホイール側に蓄積するよう
にしている。上記クラッチの断続により負荷とフライホ
イールとの間に回転数の違いが生じる。このため、上記
クラッチの接続時には、負荷とフライホイールとの間の
回転数をほぼ一致させる必要がある。これが、エネルギ
ーの回生を行うための制約となり、回生効率の向上が望
めなかった。又、後者の方法では、上述のようなクラッ
チを用いず、原動機の駆動軸とフライホイールとの間に
無段変速機を用いることにより回生効率を向上してい
る。ところが、この方法では、原動機と負荷(車輪)と
を接続する変速機とは別の上記無段変速機が必要となり
搭載のためのスペースが増えると共にコスト高となるた
め実用化が困難であった。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的とするところは、原動機の
回転数がある範囲内の一定速度であるという点に注目
し、負荷の回転数が減少する際に、フライホイールの回
転数が増加するような簡易な変速機構を実現した制動エ
ネルギー回生装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の構成は、一次側と二次側との変速比を連続的に
変化可能な無段変速機と、独立した3つの回転軸を有
し、該回転軸間が相互に関連して回転される差動歯車機
構を含む遊星歯車機構と、前記無段変速機の一次側及び
二次側のそれぞれの回転軸と前記遊星歯車機構の独立し
た3つの回転軸のうちの2つの回転軸とをそれぞれ接続
し、前記回転軸間の回転方向を同方向に伝達する正転機
構又は前記回転軸間の回転方向を逆方向に伝達する逆転
機構から成る軸接続機構と、前記無段変速機の前記一次
側及び二次側の2つの回転軸と前記遊星歯車機構の独立
した3つの回転軸のうちの残りの1つの回転軸とから成
る3つの回転軸にそれぞれ接続される原動機、負荷(車
輪)及びフライホイールと、前記原動機の発生トルク及
び前記無段変速機の変速比を制御する制御手段とを備
え、前記制御手段により前記負荷の減速時には前記フラ
イホイールの回転数を増加させ前記負荷の運動エネルギ
ーを前記フライホイールに蓄積し、又、前記負荷の加速
時には前記フライホイールの回転数を減少させ前記フラ
イホイールの運動エネルギーを前記負荷に供給すること
を特徴とする。
【0007】
【作用】上記の手段によれば、無段変速機の一次側及び
二次側の回転軸と遊星歯車機構の独立した3つの回転軸
のうちの2つの回転軸とが正転機構又は逆転機構を介し
てそれぞれ接続される。そして、無段変速機の一次側と
二次側の回転軸及び遊星歯車機構の独立した3つの回転
軸のうちの残りの1つの回転軸に原動機、負荷(車輪)
及びフライホイールが接続される。上記遊星歯車機構、
正転機構又は逆転機構の変速比を予め適当に設定し、制
御手段により原動機の発生トルク及び無段変速機の変速
比が制御される。これにより、負荷の減速時にはフライ
ホイールの回転数が増加され、負荷の加速時にはフライ
ホイールの回転数が減少されて負荷とフライホイールと
の間で運動エネルギーの蓄積又は供給が行われる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。図1は本発明に係る制動エネルギー回生装置の
基本構成を示したブロックダイヤグラムである。燃料噴
射量制御式のエンジン(原動機)10の回転軸81と駆
動輪(負荷)30の回転軸82との間に連続的に変速比
を変化することができる動力伝達機構として無段変速機
20が配設されている。そして、各回転軸81,82が
無段変速機20の一次側及び二次側である2つの入出力
軸にそれぞれ接続されている。尚、この無段変速機20
の入出力軸は同方向に回転するように構成されているも
のとする。又、上記駆動輪30とは、それ自身の慣性モ
ーメントだけでなく、車両全体の重量も含めた等価的な
慣性モーメントを有したものをいう。
【0009】一方の回転軸81は軸接続機構である正転
機構40を介して差動歯車機構(自動車等の車軸で一般
的に用いられている遊星歯車機構の一種)60の独立な
3つの入出力軸のうちの1つの回転軸83に接続されて
いる。又、他方の上記回転軸82は軸接続機構である逆
転機構50を介して差動歯車機構60の独立な他の2つ
の入出力軸のうちの1つの回転軸84に接続されてい
る。そして、差動歯車機構60の独立な残りの入出力軸
である回転軸85にはフライホイール70が接続されて
いる。更に、エンジン10の発生トルク及び無段変速機
20の変速比を調節する制御装置90が配設されてい
る。尚、上記無段変速機20における入出力軸が互いに
逆方向に回転するような機構の場合には、上記軸接続機
構として無段変速機20の入出力軸である回転軸81,
82の両方共に同じ正転機構40又は逆転機構50を用
いた構成とする。又、正転機構40及び逆転機構50が
無段変速機20又は差動歯車機構60の内部に含まれて
いるような構成であっても良い。
【0010】図2は図1の基本構成に基づく自動車の制
動エネルギー回生装置をより具体的に示した構成図であ
る。エンジン10の回転軸であるシャフト811,81
2と駆動輪30の回転軸であるシャフト821との間に
は無段変速機20が配設されている。但し、シャフト8
11,812の間には、エンジン10の始動時などに駆
動輪30側を切り離すためのクラッチプレート813,
814が取り付けてある。
【0011】シャフト812には平歯車41が軸支さ
れ、このシャフト812の回転は平歯車41,42を介
して平歯車43を軸支するシャフト831に伝達されて
いる。尚、平歯車41,42,43は正転機構40を構
成している。又、シャフト821にも平歯車51が軸支
され、このシャフト821の回転は平歯車51を介して
平歯車52を軸支するシャフト841に伝達されてい
る。尚、平歯車51,52は逆転機構50を構成してい
る。
【0012】シャフト831,841は同一軸線上に軸
承され、各々の先端には互いに向かい合うように傘歯車
61,62が軸支されている。差動歯車機構60を構成
するハウジング63にはシャフト831,841の軸受
部が形成され、傘歯車61,62を包み込んでいる。
又、ハウジング63には、シャフト831,841の軸
線と垂直にシャフト64が軸承されている。このシャフ
ト64には傘歯車65,66が傘歯車61,62とそれ
ぞれ噛み合うように軸支されている。これら傘歯車6
1,62,65,66はシャフト831,841の回転
を合成し、シャフト64を介してハウジング63の回転
に変換している。このハウジング63の外周には歯切部
67が形成されており、ハウジング63の回転は歯切部
67と噛み合う歯車68を軸支するシャフト851に伝
達されている。このシャフト851にはフライホイール
70が軸支されている。
【0013】シャフト811,812,821,83
1,841,851及び平歯車42の回転軸は、それぞ
れケース861に配設された軸受部により軸承されてい
る。制御装置90は、運転者のスロットル及びブレーキ
操作に応じて、エンジン10の燃料噴射量及び無段変速
機20の変速比を制御する。
【0014】ここで、上記駆動輪30はそれ自身の慣性
モーメントだけでなく、車両全体の重量も含めた等価的
な慣性モーメントを有したものとする。更に、傘歯車6
1,62,65,66、ハウジング63、シャフト6
4、歯切部67、歯車68は全体で差動歯車機構60を
構成している。又、シャフト811,812及びクラッ
チプレート813,814は回転軸81、シャフト82
1,831,841,851はそれぞれ回転軸82,8
3,84,85に対応している。そして、ケース861
は各シャフトを回転自在に軸承するもので、本発明に係
る制動エネルギー回動装置を搭載する車両そのものであ
ると考えることができる。又、制御装置90はエンジン
10の燃料噴射量制御装置も含めたものとする。
【0015】次に、図3を参照して、各回転軸の回転数
の変化から制動エネルギー回生の作用について説明す
る。図3は、本発明の基本構成である図1において、無
段変速機20、正転機構40、逆転機構50、差動歯車
機構60の変速比をそれぞれk,a,−b,cとし、各
回転軸の接続関係を示したブロックダイヤグラムであ
る。ここで、結線815,825,835,845,8
55で表される回転軸の回転数をそれぞれωe,ωw,ωa,
ωb,ωf[rad/sec]とする。すると、以下の関係式が成立
する。
【数1】 ωw=kωe ………(1) ωa=aωe ………(2) ωb=−bωw ………(3) ωf=(ωa+ωb)/c ………(4) 上式(1) 〜(4) について説明すると、先ず、通常、エン
ジン10の回転数は、その性能や効率の点からある範囲
内の一定速度をとる。従って、エンジン10の回転を無
段変速機20に伝達する回転軸815の回転数ωe はあ
る範囲の一定値となる。そして、式(1) に示したよう
に、駆動輪30を駆動する回転軸825の回転数ω
w は、無段変速機20の変速比kの変化により零からあ
る正の一定値まで変化する。
【0016】更に、本実施例では、先ず、エンジン10
の回転軸815が正転機構40を介し差動歯車機構60
の入出力軸の一端835と接続されている。このため、
式(2) に示したように、差動歯車機構60の入出力軸8
35の回転数ωa は回転軸815の回転数ωe に比例し
たある範囲の一定値である。次に、駆動輪30の回転軸
825が逆転機構50を介して差動歯車機構60の入出
力軸の他端845と接続されている。このため、式(3)
に示したように、差動歯車機構60の入出力軸845の
回転数ωb は回転軸825の回転数ωw に比例して、無
段変速機20の変速比kの変化により零からある負の一
定値まで変化する。
【0017】最後に、フライホイール70の回転軸85
5は差動歯車機構60を介してその入出力軸835,8
45と接続している。従って、式(4) に示したように、
フライホイール70の回転軸855の回転数ωf は入出
力軸835,845の回転数ωa,ωb を合成したものと
なる。さて、今ここで式(2),(3) を式(4) に代入する
と、次式が成立する。
【数2】 ωf=(aωe−bωw)/c ………(5) 式(5) より、差動歯車機構60の入出力軸845の回転
数は駆動輪30の回転軸825の回転数ωw を逆転機構
50を介して導入しているため、エンジン10の回転軸
815の回転数ωe を正転機構40を介して導入した入
出力軸835の回転数を打ち消すように作用する。
【0018】このため、回転軸815の回転数ωe があ
る範囲内の一定値であれば、入出力軸835,845が
合成されたフライホイール70の回転軸855の回転数
ωfは回転軸825の回転数ωw が増加するにつれて減
少することになる。従って、制御装置90によりエンジ
ン10の発生トルクを調節し回転数ωe をある範囲内の
一定値に保ちつつ、無段変速機20の変速比kを変化さ
せ駆動輪30の回転数ωw を増加させるにつれてフライ
ホイール70の回転数ωf が減少する作用が生じる。
又、この逆の作用として、同様な操作を行って駆動輪3
0の回転数ωw を減少させるにつれてフライホイール7
0の回転数ωf が増加することも明らかである。
【0019】以上、図3のブロックダイヤグラムにおい
て、駆動輪30とフライホイール70との回転数の増減
について説明したが、この回転数の増減はそれぞれが持
つ運動エネルギーの増減と考えることができる。従っ
て、図1に示した本発明の基本構成に対して、制御手段
を達成する制御装置90により原動機10の発生トルク
e 及び無段変速機20の変速比kを制御し、 駆動輪30の減速時に、フライホイール70の回転数を
増加 ………(A) 駆動輪30の加速時に、フライホイール70の回転数を
減少 ………(B) という操作を行うことにより、駆動輪の減速時に制動エ
ネルギーをフライホイールに回生し、加速時に再利用す
ることが可能となる。
【0020】本実施例の作動について、実際に制動エネ
ルギー回生を行った場合の、各部の状態の変化の一例
を、時間tを横軸にとって示した図4及び図5を参照し
て説明する。先ず、図4(a) は、駆動輪30の回転数ω
w の変化を表している。ここでは、制動エネルギー回生
の理想的なパターンの一例として、一定速度ωw0から速
度0まで減速し、そこから再び一定速度ωw0まで加速す
る場合を示している。次に、図4(b) は、車体の運動エ
ネルギーも含めた駆動輪30の運動エネルギー〔(1/
2)Iwωw 2 〕の変化を表している。駆動輪30の運動
エネルギーが回転数ωw の変化に応じて、2次関数的に
変化しているのが分かる。
【0021】今ここで、駆動輪30の運動エネルギー
〔(1/2)Iwωw 2 〕とフライホイール70の運動エネ
ルギー〔(1/2)Ifωf 2 〕の和が一定となるように制
御装置90により制御する。すると、駆動輪30の運動
エネルギー〔(1/2)Iwωw 2 〕の変化により、フライ
ホイール70の運動エネルギー〔(1/2)Ifωf 2 〕は
図4(c) に示したように変化する。
【0022】そして、この運動エネルギー〔(1/2)I
fωf 2 〕の変化により、フライホイール70の回転数ω
f は図4(d) に示したように変化する。図4(a),(d) の
ように回転数ωw,ωf を変化させるには、上式(5) より
エンジン10の回転数ωe を図5(e) に示したように変
化させる必要がある。
【0023】更に、このエンジン10の回転数ωe に対
して、駆動輪30の回転数ωw を図4(a) のように運転
者が意図するように変化させるためには、上式(1) より
無段変速機20の変速比kを制御装置90により図5
(f) に示したように制御する必要がある。
【0024】最後に、必要なトルクを発生し、駆動輪3
0とフライホイール70の運動エネルギーの和を一定に
保ちつつ、エンジン10の回転数ωe を図5(e) に示し
たように変化するには、制御装置90によりエンジン1
0の発生トルクTe を例えば、図5(g) に示したように
制御することが必要となる。尚、ここで必要なトルクと
は、無段変速機や各歯車機構の伝達効率による本システ
ム全体の制動エネルギー回生効率の損失分の補給や、制
動エネルギー回生に寄与しない車両の空気抵抗、路面の
勾配による位置エネルギーの変化を補償するために必要
となるトルクのことである。
【0025】以上説明したように、前述の(A),(B) に示
した操作を行うことにより図4及び図5に示したように
減速時に駆動輪30の制動エネルギーをフライホイール
70に回収し加速時に再利用することが可能となる。
尚、図2からも明らかなように、本実施例の制動エネル
ギー回生装置は、基本的に汎用部品のみで構成できるた
め非常に安価なものとなる。
【0026】ここで、本実施例装置を搭載する車両の重
量が1000[kg]であり、50[km/h]まで加速するのに必要な
運動エネルギーを回転数3000[rpm] 程度でフライホイー
ルに蓄積する場合を考える。
【数3】(1/2)mv2=(1/2)Ifωf 2 但し、m:車両の重量、v:車速、If :フライホイー
ルの慣性モーメント、ωf :フライホイールの回転数で
ある。上式より、必要なフライホイールの慣性モーメン
トIf は約2[kg・m2]となる。即ち、If=2[kg・m2]
=50[kg]×(0.2[m])2となり、フライホイール70がエ
ンジンルーム内の空きスペースに充分収まる範囲内の大
きさで構成でき、本制動エネルギー回生装置は極めて実
用的なシステムである。
【0027】次に、本実施例装置のエネルギー回生作用
をより明確にするため、図6を参照して各回転軸の伝達
トルクについて具体例を挙げて説明する。図6は、本発
明の基本構成である図1において、無段変速機20、正
転機構40、逆転機構50、差動歯車機構60の変速比
をそれぞれk,a,−b,cとし、各回転軸の伝達トル
クの関係を示したブロックダイヤグラムである。
【0028】ここで、図1との対応について説明する
と、結線816,817,818がエンジン10の回転
軸81、結線826,827,828が駆動輪30の回
転軸82、結線836,846,856がそれぞれ差動
歯車機構60の回転軸83,84、フライホイール70
の回転軸85に対応している。但し、結線816,81
7,818及び結線826,827,828に関して
は、伝達トルクが分岐するため、回転軸81,82を分
けて考えることとする。更に、制御装置90は図3と同
様に、エンジン10の発生トルクTe 及び無段変速機2
0の変速比kを調節する。尚、図6では、各結線の矢印
の方向がそれそれの回転軸の正のトルクの伝達方向を表
すものとする。
【0029】ここで、図6に示したように、結線81
6,817,818で表される回転軸の伝達トルクをT
e,i,ea[Nm]、結線826,827,828で表され
る回転軸の伝達トルクをTo,w,wb[Nm]、結線83
6,846,856で表される回転軸の伝達トルクをそ
れぞれTfa,fb,f [Nm]とする。すると、各結線の正
のトルクの伝達方向と無段変速機20、正転機構40、
逆転機構50、差動歯車機構60の変速比k,a,−
b,cにより、以下の関係式が成立する。
【数4】 Ti=Te+Tea ………(6) To=Ti/k ………(7) Tw+Twb=To ………(8) Tfb=−Twb/b ………(9) Tfa=−Tfb ………(10) Tea=aTfa ………(11) Tf=c(Tfa−Tfb) ………(12)
【0030】次に、具体例として、無段変速機20の変
速比k=0.5 、正転機構40の変速比a=1、逆転機構
50の変速比−b=−1、差動歯車機構60の変速比c
=0.1 の場合について考察する。今ここで、式(6) にお
いて、エンジン10の発生トルクを伝達する回転軸81
6のトルクTe と、フライホイール70からのトルクを
伝達する回転軸818のトルクTeaにより、無段変速機
20の入力となる回転軸817のトルクTi の値が1[N
m]であるとする。すると、式(7) より、変速比k=0.5
であるから無段変速機20の出力である回転軸826の
トルクTo の値は2[Nm]となる。更に、駆動軸30の加
速の度合いから、駆動軸30を駆動する回転軸827に
必要なトルクTw が1[Nm]であったとする。すると、式
(8) より、フライホイール70に導かれる回転軸828
のトルクTwbの値は1[Nm]となる。
【0031】これにより、式(9) より、逆転機構50の
変速比−b=−1であるから、差動歯車機構60の入出
力軸の一端846のトルクTfbの値は−1[Nm]となる。
更に、このトルクTfbは差動歯車機構60の入出力軸の
他端836に伝達され、式(10)より他端836のトルク
faの値は1[Nm]となる。最後に、式(11)より、正転機
構40の変速比a=1であるから、回転軸818のトル
クTeaの値は1[Nm]となる。
【0032】従って、再び式(6) に戻って考えてみる
と、回転軸817,818のトルクTi,eaが共に1[N
m]であるから、回転軸816のトルクTe の値は0[Nm]
となる。即ち、エンジン10の発生トルクTe が零であ
るにも関わらず、駆動輪30に駆動トルクTw が生じ、
駆動輪30の回転数を増加することが可能となる。更
に、この駆動輪30の駆動トルクTw は、フライホイー
ル70から供給されていることになる。そして、その結
果として式(12)より、差動歯車機構60の変速比c=0.
1 であるから、回転軸856のトルクTf の値は-0.2[N
m]となり、フライホイール70の回転数を減少すること
になる。
【0033】又、この逆の作用として、上記説明の伝達
トルクの向きを全て逆に考えてみる。すると、エンジン
10の吸収トルク(例えば、エンジンブレーキなど)−
eが零であっても、駆動輪30に制動トルク−Tw
生じ、駆動輪30の回転数が減少される。そして、この
駆動輪30の制動トルク−Tw は、フライホイール70
の加速トルクTf として吸収され、その回転数を増加す
ることになる。
【0034】以上、図6のブロックダイヤグラムにおい
て、駆動輪30とフライホイール70との間のトルクの
伝達について具体例を挙げて説明した。そして、これに
より図1に示した基本構成にて、前述の(A),(B) の操作
を行うことにより、減速時に駆動輪の制動エネルギーを
フライホイールに回生し加速時に再利用することが可能
であることが明らかとなった。尚、図3及び図6の説明
から、駆動輪30とフライホイール70との運動エネル
ギーの増減の度合いは、制御装置90によりエンジン1
0の発生トルクと無段変速機20の変速比を調節し、各
回転軸の回転数を制御することによって決定できること
が分かる。そして、基本的には駆動輪30とフライホイ
ール70の回転数に対して、前述の(A),(B) の操作を行
うことにより制動エネルギーの回生が実現できる。又、
図7に示したように、正転機構40と逆転機構50との
位置が入れ替わったとしても、フライホイール70の回
転軸85の回転方向が逆方向となるだけで、上記制動エ
ネルギーの回生作用及び上記トルクの伝達作用は基本的
に同じである。
【0035】又、図8に示したように、図1の基本構成
における駆動輪30とフライホイール70とを入れ換え
た場合にも、無段変速機20の構成は前述と同様で入出
力側の回転方向が同じならば両者の回転数の増減の関係
は変わらず、前述の(A),(B)の操作が可能となり、その
作用は同様となるためその説明を省略する。更に、図9
に示したように、図8において正転機構40と逆転機構
50とを置き換えた変形例の場合も、その作用は同様と
なるためその説明を省略する。
【0036】次に、図10に示したように、図1の基本
構成におけるエンジン10とフライホイール70との接
続位置を変更し、無段変速機20と差動歯車機構60と
を2つの正転機構40,40′(又は、2つの逆転機
構)にて接続した変形例を示したブロックダイヤグラム
である。尚、無段変速機20の構成は前述と同様で入出
力側の回転方向が同じであるとする。
【0037】図11を参照して、図10における各回転
軸の回転数の変化から制動エネルギー回生の作用につい
て説明する。無段変速機20、正転機構40、正転機構
40′、差動歯車機構60の変速比をそれぞれk,a,
b,cとし、各回転軸の接続関係を示したブロックダイ
ヤグラムである。ここで、結線815,825,83
5,845,855で表される回転軸の回転数をそれぞ
れωe,ωw,ωa,ωb,ωf[rad/sec]とする。すると、以下
の関係式が成立する。
【数5】 ωe=(ωa+ωb)/c ………(13) ωf=aωa ………(14) ωw=bωb ………(15) ωw=kωf ………(16) 上式(13)〜(16)について説明すると、先ず、通常、エン
ジン10の回転数は、その性能や効率の点からある範囲
内の一定速度をとる。エンジン10の回転は差動歯車機
構60により式(13)に示したように、入出力軸835,
845の回転数ωa,ωb を合成したものとなる。差動歯
車機構60の入出力軸の一端835が正転機構40を介
してフライホイール70の回転軸855と接続してい
る。このため、式(14)に示したように、フライホイール
70を駆動する回転軸855の回転数ωf は回転軸83
5の回転数ωa に比例したある範囲の一定値である。
又、差動歯車機構60の入出力軸の一端845が正転機
構40′を介して駆動輪30の回転軸825と接続して
いる。このため、式(15)に示したように、駆動輪30を
駆動する回転数ωw は回転軸845の回転数ωb に比例
したある範囲の一定値である。そして、式(16)に示した
ように、駆動輪30を駆動する回転軸825の回転数ω
w は、フライホイール70の回転数ωf に比例し、無段
変速機20の変速比kの変化により零からある正の一定
値まで変化する。
【0038】さて、今ここで式(13),(15) を式(14)に代
入すると、次式が成立する。
【数6】 ωf=a{cωe−(ωw/b)} ………(17) 式(17)より、回転軸815の回転数ωe がある範囲内の
一定値であれば、フライホイール70の回転軸855の
回転数ωf は駆動輪30の回転軸825の回転数ωw
増加するにつれて減少することになる。従って、制御装
置90によりエンジン10の発生トルクを調節し回転数
ωe をある範囲内の一定値に保ちつつ、無段変速機20
の変速比kを変化させ駆動輪30の回転数ωw を増加さ
せるにつれてフライホイール70の回転数ωf が減少す
る作用が生じる。又、この逆の作用として、同様な操作
を行って駆動輪30の回転数ωw を減少させるにつれて
フライホイール70の回転数ωf が増加することも明ら
かである。
【0039】以上説明したように、図1、図7、図8、
図9及び図10に示した基本構成にて前述の(A),(B) の
操作を行うことにより、本発明は、減速時に負荷の制動
エネルギーをフライホイールに回生し加速時に再利用す
ることが可能となる。
【0040】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成さ
れ、負荷の減速時にフライホイールの回転数を増加又は
負荷の加速時にフライホイールの回転数を減少させると
いう操作を行うことにより、減速時に負荷の制動エネル
ギーをフライホイールに回生し加速時に再利用すること
が可能となる。更に、本発明の制動エネルギー回生装置
は基本的に原動機と負荷とフライホイールとの間のトル
ク伝達が無段変速機と遊星歯車機構と軸接続機構のみに
て構成されるため、クラッチ等の摩擦損失がなく非常に
効率の高いエネルギー回生が実現できる。又、本発明の
制動エネルギー回生装置は、負荷とフライホイールとの
間のエネルギー回生制御を行う際、多大なエネルギーを
必要とするアクチュエータ等の特殊な制御機構を必要と
しない。従って、制御装置により原動機の発生トルクと
無段変速機の変速比を調節するのみでエネルギー回生制
御が実現でき極めて実用的なシステムが構築可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例に係る制動エネルギ
ー回生装置の基本構成を示したブロックダイヤグラムで
ある。
【図2】同実施例装置を具体的に示した構成図である。
【図3】同実施例装置における回転数変化を説明するブ
ロックダイヤグラムである。
【図4】同実施例装置における作動例を示した説明図で
ある。
【図5】同実施例装置における作動例を示した図4に続
く説明図である。
【図6】同実施例装置におけるトルク変化を説明するブ
ロックダイヤグラムである。
【図7】図1の制動エネルギー回生装置の基本構成にお
ける正転機構と逆転機構とを置き換えた変形例を示した
ブロックダイヤグラムである。
【図8】図1の制動エネルギー回生装置の基本構成にお
ける駆動輪とフライホイールとの接続位置を変更した変
形例を示したブロックダイヤグラムである。
【図9】図8における正転機構と逆転機構とを置き換え
た変形例を示したブロックダイヤグラムである。
【図10】図1の制動エネルギー回生装置の基本構成に
おけるエンジンとフライホイールとの接続位置を変更
し、無段変速機と差動歯車機構とを2つの正転機構にて
接続した変形例を示したブロックダイヤグラムである。
【図11】図10における回転数変化を説明するブロッ
クダイヤグラムである。
【符号の説明】
10…エンジン(原動機) 20…無段変速機 30…駆動輪(負荷) 40…正転機構(軸接続機構) 50…逆転機構(軸接続機構) 60…差動歯車機構(遊星歯車機構) 70…フライホイール 90…制御装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次側と二次側との変速比を連続的に変
    化可能な無段変速機と、 独立した3つの回転軸を有し、該回転軸間が相互に関連
    して回転される差動歯車機構を含む遊星歯車機構と、 前記無段変速機の一次側及び二次側のそれぞれの回転軸
    と前記遊星歯車機構の独立した3つの回転軸のうちの2
    つの回転軸とをそれぞれ接続し、前記回転軸間の回転方
    向を同方向に伝達する正転機構又は前記回転軸間の回転
    方向を逆方向に伝達する逆転機構から成る軸接続機構
    と、 前記無段変速機の前記一次側及び二次側の2つの回転軸
    と前記遊星歯車機構の独立した3つの回転軸のうちの残
    りの1つの回転軸とから成る3つの回転軸にそれぞれ接
    続される原動機、負荷(車輪)及びフライホイールと、 前記原動機の発生トルク及び前記無段変速機の変速比を
    制御する制御手段とを備え、 前記制御手段により前記負荷の減速時には前記フライホ
    イールの回転数を増加させ前記負荷の運動エネルギーを
    前記フライホイールに蓄積し、又、前記負荷の加速時に
    は前記フライホイールの回転数を減少させ前記フライホ
    イールの運動エネルギーを前記負荷に供給することを特
    徴とする制動エネルギー回生装置。
JP31125192A 1992-10-26 1992-10-26 制動エネルギー回生装置 Pending JPH06137400A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31125192A JPH06137400A (ja) 1992-10-26 1992-10-26 制動エネルギー回生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31125192A JPH06137400A (ja) 1992-10-26 1992-10-26 制動エネルギー回生装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06137400A true JPH06137400A (ja) 1994-05-17

Family

ID=18014908

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31125192A Pending JPH06137400A (ja) 1992-10-26 1992-10-26 制動エネルギー回生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06137400A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7029410B2 (en) * 2002-08-26 2006-04-18 Jatco Ltd System for preventing belt slip of belt-type continuously variable transmission
CN108368926A (zh) * 2015-11-03 2018-08-03 美卓流体控制美国股份有限公司 具有故障安全操作模式的电动致动器

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7029410B2 (en) * 2002-08-26 2006-04-18 Jatco Ltd System for preventing belt slip of belt-type continuously variable transmission
CN108368926A (zh) * 2015-11-03 2018-08-03 美卓流体控制美国股份有限公司 具有故障安全操作模式的电动致动器
JP2019504266A (ja) * 2015-11-03 2019-02-14 メッツォ、フロー、コントロール、ユーエスエイ、インコーポレイテッドMetso Flow Control Usa Inc. フェールセーフ動作モードを有する電気式アクチュエータ
KR20230041094A (ko) * 2015-11-03 2023-03-23 발멧 플로우 컨트롤 인코포레이티드 페일 세이프 동작 모드를 갖는 전기 액추에이터

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3141262B2 (ja) ハイブリッド型車両
JP3291916B2 (ja) ハイブリッド型車両
JP4460145B2 (ja) 電気自動車におけるインホイール変速機の制御装置
US6053833A (en) Transmission, and vehicle and bicycle using the same
US20060276288A1 (en) Hybrid drive unit
JPH11180173A (ja) ハイブリッド電気自動車用駆動装置
US20060108166A1 (en) Hybrid four-wheel-drive
JP2006341647A (ja) ハイブリッド駆動装置
US20080176707A1 (en) Vehicle Drive Device
JP2004042894A (ja) 混成駆動装置を持つ全輪駆動車両
US20070213162A1 (en) Drive force distribution apparatus
JP2019120356A (ja) 車両の駆動装置
JPH11198668A (ja) ハイブリッド車
JPH0767208A (ja) ハイブリッド車両における駆動機構
JPH08308021A (ja) ハイブリッド車両
JP3958881B2 (ja) 自動車用駆動装置
US4276951A (en) Vehicular energy storing means and system
JP3803493B2 (ja) ハイブリッド車両
CN110966360A (zh) 变速装置及其控制方法、汽车
JP2000016101A (ja) ハイブリッド車両
JP3775015B2 (ja) 左右輪駆動力分配機構
JPH06137400A (ja) 制動エネルギー回生装置
JP2007050790A (ja) ハイブリッド車の制御装置
JP2000289476A (ja) ハイブリッド車
JPH06219168A (ja) 車両用駆動装置