添付の図面に関連して以下に記載される説明は、開示される発明の主題の様々な実施形態の説明として意図され、必ずしも唯一の実施形態(複数可)を表すことを意図するものではない。ある場合には、説明は、開示された実施形態(複数可)の理解を提供する目的で具体的な詳細を含む。しかしながら、開示された実施形態(複数可)は、それらの具体的な詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかなはずである。場合によっては、開示された発明の主題の概念を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造および構成要素をブロック図形式で示す場合もある。
図1は、本開示の一実施形態による電気式アクチュエータ10のブロック図である。電気式アクチュエータ10は、第1の駆動源100と、差動装置200と、第2の駆動源400と、出力部300と、第1のブレーキ500と、第2のブレーキ600と、を備えることができる。第1の駆動源100は、差動装置200および出力ギヤトレーン(図1には示さず)を介して出力部300を駆動する電動モータとすることができる。電動モータは、差動装置200およびばねギヤトレーン(図1には示さず)を介して、ばねなどの第2の駆動源400を駆動することができる。ばねは、第2の駆動源400として働き、モータへの電力が失われたときに出力部300を駆動することができる。異なる駆動源および出力部300の間の切り換えは、必要に応じて第1のブレーキ500および第2のブレーキ600を作動および作動停止することによって可能できる。
第1の駆動源100は、システムを駆動し、二次的な駆動源にエネルギーを供給できる任意の装置とすることができる。第1の駆動源は、電力、機械的動力、磁場、油圧動力などによって動作させることができる。例えば、第1の駆動源100は、電気駆動直流(DC)モータとすることができる。モータは、磁性体固定子内で回転する電機子を含む永久磁石DCモータを含む、様々なタイプのモータとすることができることを理解されたい。DCモータは、定速モータであっても可変速度モータであってもよい。モータ速度制御は、磁束制御、電機子制御、および電圧制御などの様々な方法で制御することができる。
例示的な実施形態では、差動装置200は、ハウジング内に取り付けられた複数のベベルギヤを備える。例えば、差動装置200は、2つのベベルギヤが垂直軸を中心に回転し、残りの2つが水平軸を中心に回転するように配置された4つのベベルギヤを備えることができる。ベベルギヤのうちの1つはモータによって回転させることができ、この回転は、他のベベルギヤまたはハウジングにさらに伝達させることができる。さらに、ベベルギヤのうちの1つを固定して、ハウジングにおいて回転速度、回転方向、およびトルクの異なる組み合わせを得ることができる。ハウジングには、ハウジングの回転をさらに伝達するための外ギヤを取り付けることができる。例えば、外ギヤは、出力ギヤトレーンを介して出力部300に接続されて、出力部300を駆動することができる。ハウジングの外ギヤはまた、ばねギヤトレーンを介してばね400に接続されて、ばね400を圧縮するように回転させることもできる。
第2の駆動源400は、システムを駆動するために、エネルギーを蓄積し、必要に応じて、または電力が失われた場合にエネルギーを供給できる、任意の装置とすることができる。例えば、第2の駆動源400は、ばね、電池、圧縮空気などであってもよい。一実施形態では、第2の駆動源400は、モータ(第1の駆動源100)からのエネルギーを蓄積し、第1の駆動源100への電力が失われたときにトランスミッション系統を駆動するためのエネルギーを供給するばねである。圧縮ばね、ラジアルばねなどの多くの種類のばねがあることを理解されたい。ばねは、圧縮状態にあるときに、ポテンシャルエネルギーの形でエネルギーを蓄積する。あるいは、圧縮空気、フライホイール、電池などの異なる第2の駆動源400を使用することもできる。
ばねおよび出力部300の回転は、それぞれ、第1のブレーキ500および第2のブレーキ600などのブレーキを使用して停止することができる。ブレーキは、必要に応じて同時に、または順番に動作させることができる。一実施形態では、ブレーキは、コントローラによって制御することができる、ソレノイドなどの電磁装置とすることができる。電磁ブレーキは、電力がオンまたはオフのときに負荷を停止または保持することができる。あるいは、ブレーキをばねで動作させてもよいし、手動で動作させてもよい。さらに、ブレーキは必要に応じて自動的にまたは手動で作動させることができる。
電気式アクチュエータ10は、第1の駆動源100と第2の駆動源400と出力部300との間に形成される経路に応じて異なる動作モードを有することができる。例えば、第1の動作モード(通常動作モードとも呼ばれる)では、モータ(第1の駆動源100)は出力部300を駆動することができ、ばね(第2の駆動源400)は第2のブレーキ600によって適所に保持することができる。第2の動作モード(エネルギー蓄積モードとも呼ばれる)では、モータはばねを駆動することができ、出力部は第1のブレーキ500によって適所に保持することができる。第3の動作モード(フェールセーフモードとも呼ばれる)では、電気式アクチュエータ10は電力喪失を経験し、ばねは出力部300を駆動できる。
異なる動作モードは、切替コントローラ700によって制御することができる。切替コントローラ700は、必要に応じて、第1のブレーキ500および第2のブレーキ600を作動または作動停止させることができる。さらに、切替コントローラ700は、第1の駆動源100への電力供給を制御することができる。場合により、切替コントローラ700は、第2の駆動源400に蓄積されたエネルギーの量を計算および制御することができる。
図2は、本開示の一実施形態による例示的な電気式アクチュエータの斜視図である。電気式アクチュエータ10は、電動モータ101の速度を所望のレベルに調整するための第1のトランスミッションを備えたモータギヤボックス120が取り付けられた電動モータ101を備える。モータギヤボックス120は、ばね401または出力部300に動きをさらに伝達するための差動装置200の原動軸201(図3に示す)に接続され得る。特定の実施形態では、電動モータ101を差動装置200に直接接続することができる。
差動装置200は、外部キャリヤギヤ210を備えたキャリヤ205を備える。キャリヤギヤ210は、ばねギヤトレーン450を回転させて、ばね軸410にばね401を圧縮させることができる。ばね401が圧縮されると、ばね401は、電気式アクチュエータ10への電力喪失の際に出力部300を駆動するために使用され得るポテンシャルエネルギーを蓄積する。
ばね401は、第2のブレーキ600を係合させることによって圧縮状態に維持することができる。第2のブレーキ600は、ばねギヤトレーン450に接続することができる。第2のブレーキ600は、ばねギヤトレーン450の動きを停止させ、これにより、ばね401を圧縮状態にロックすることができる。第2のブレーキ600が係脱された場合、ばね401は、ばねギヤトレーン450に動きを差動装置200へさらに伝達させることができる。
本開示では、ばね401は、時計回り方向に回転させると圧縮され、反時計回り方向に回転させると復元して、出力部300が電力喪失時に所定のフェールセーフ状態になるように構成することができる。フェールセーフ状態は、閉弁位置とすることもできるし開弁位置とすることもできる。異なる実施形態では、ばね401は、反時計回りの方向に回転させると圧縮され、時計回りに回転させると復元するように構成することができる。
ばね401は、ばねの一端にねじり力が加えられたときにねじれる、ねじりばねとすることができる。例えば、ばね軸410を回転させることによってねじり力が作用する。別の実施形態では、異なるタイプのばねおよび対応する圧縮機構を適用して、ポテンシャルエネルギーを蓄積することができる。例えば、コイルばねの上にボールねじまたはプレートを配置し、ボールねじを回す、またはコードでプレートを引っ張ってコイルばねに圧縮を引き起こすことにより、コイルばねを圧縮することができる。別の実施形態では、シリンダ内のピストンに接続されたばねなどのガススプリング装置を開発して、ばねを圧縮することができる。
差動装置200は、出力部300を駆動するためのデフピニオン250を備えることができる。デフピニオン250は、電動モータ101またはばね401によって駆動させることができる。デフピニオン250は、出力ギヤトレーン350を介して出力部300を駆動することができる。出力ギヤトレーン350は、第1のブレーキ500に接続されて、要望通りに、出力部300の回転を停止することができる。
図3は、本開示の一実施形態による差動装置の分解図である。差動装置200は、複数のベベルギヤB1〜B4と、キャリヤ205と、キャリヤギヤ210と、を備える。複数のベベルギヤB1〜B4は、ベベルギヤB1およびB4が垂直軸を中心に回転でき、ベベルギヤB2およびB3が水平軸を中心に回転できるように構成することができる。さらに、ベベルギヤB1は、差動装置200への入力部として作用する原動軸201に固定することができる。ベベルギヤB4は、差動装置200の出力部として作用する従動軸207に固定することができる。複数のベベルギヤB1〜B4は、キャリヤ205内で互いに噛み合っている。ベベルギヤB1〜B4のうちの1つ以上の回転は、キャリヤ205の回転を引き起こすように停止させることができる。例えば、ベベルギヤB4が固定され、原動軸201が反時計回り方向に回転すると仮定すると、ベベルギヤB1の回転は噛み合うベベルギヤB2およびB3に力をかける。この力の接線成分は、ベベルギヤB2およびB3の反対方向(すなわち、時計回り方向)への回転を引き起こす。ベベルギヤB4は固定されているため、ベベルギヤB2およびB3に作用する力の接線成分は、キャリヤ205を時計方向に回転させる。ベベルギヤB2およびB3が停止すると、差動装置200のすべてのギヤがロックされる。
キャリヤ205は、形状が明確に円筒形であり、内部に複数のベベルギヤB1〜B4を組み付けることができる中空部分を備える。キャリヤ205には、ベベルギヤB1を支持すると共にキャリヤ205の上側の開口部を覆う上板225が取り付けられている。キャリヤ205は、ベベルギヤB2およびB3を支持するために円周に沿って穴を備えることができる。ベベルギヤB1〜B4には、ベベルギヤB1〜B4を支持し、自由回転を可能にするべく、ベアリング231〜234をそれぞれ取り付けることができる。ベベルギヤB1〜B4は、キャリヤ205の中空部分内で自由に回転できる。キャリヤ205は、ダウエル(dowel)ピン215および217、ならびにねじ219および221などの締結具を使用して、キャリヤギヤ210と一体化する、またはキャリヤギヤ210に固定させることができる。キャリヤギヤ210は、キャリヤ205の底側の開口部を囲む。
図4は、本開示の一実施形態による電気式アクチュエータ10の例示的な第1のブレーキ500の分解図である。第1のブレーキ500は、軸、ギヤなどの回転構成要素の動きを制限または阻止する任意の装置とすることができる。例えば、本開示の第1のブレーキ500は、出力ギヤ301が回転するのを阻止するために係合させることができる。第1のブレーキ500は、例えば、ソレノイド、空気圧、油圧、リンケージベースおよび/または電磁方式のブレーキを含むことができる。図4では、第1のブレーキ500は、ソレノイド軸503と、レバー505と、出力ブレーキ520と、ブレーキハウジング530と、ブラケット535と、ブレーキばね537と、を有する第1のソレノイド501を備える。第1のソレノイド501は、ブラケット535に取り付けることができる。第1のソレノイド501のソレノイド軸503は、一端でレバー505に接続され、出力ブレーキ520がレバー505の他端に接続され得る。レバー505は、ピボットねじ531によってブレーキハウジング530にヒンジ止めすることができる。このように、レバー505は、ピボットねじ531を中心に旋回することができる。さらに、ねじ、スタッド、リベットなどの締結具を使用して、異なる構成要素を接続することができる。
レバー505は、一方の脚が他方の脚よりも短い、明確なL字形にすることができる。レバー505の長い脚部の第1の端部には、ソレノイドスロット507を設けて、ソレノイド軸503をロールピン510で固定することができる。レバー505の短い脚部の第2の端部には、ロールピン525を用いて出力ブレーキ520を固定するためのブレーキスロット511を設けることができる。レバー505の角には、ピボットねじ531に接続するためのピボット孔509を設けることができる。
レバー505のL字型は機械的利点を提供する。ソレノイドスロット507に力が加えられると、レバー505は、ピボットねじ531を中心として旋回し、力をブレーキスロット511に伝達する。力がレバー500の長い脚部の第1の端部(ソレノイドスロット507)に加えられるとき、レバー505の短い脚の第2の端部(ブレーキスロット511)に伝達される力は加えられた力よりも大きい。
出力ブレーキ520は、一方の端部にレバースロット521を有し、他方の端部に歯522を有する中実の矩形のブロックであり得る。レバースロット521の幅は、レバー505の短い脚部の厚さよりも大きいか、または有意に等しい。レバー505は、レバースロット501を通って案内され、出力ブレーキ520の穴523およびレバー505のブレーキスロット511を貫通するロールピン525を使用して出力ブレーキ520に接続される。
ブレーキハウジング530は、出力ブレーキ520およびレバー505のそれぞれの取り付けを可能にする2つのスロット、すなわち、ブロックスロット520sおよびLスロット505sを備える。レバー505は、ブレーキハウジング530のLスロット505sに案内され、ブレーキハウジング530およびレバー505のピボット孔509を通ってピボットねじ531を摺動させることによってヒンジ結合することができる。出力ブレーキ520は、レバー505の短い脚部に接続されており、ブロックスロット520sの内外を自由に摺動することができる。
図5Aは、本開示の一実施形態による非通電状態の第1のブレーキ500を示す。第1のブレーキ500は、切替コントローラ700(図5Aには示さず)によって通電および非通電され得る。非通電状態では、出力ブレーキ520は、出力ギヤ301に結合され得るピニオンギヤセット550から係脱できて、出力ギヤ301が自由に回転することを可能にし得る。ピニオンギヤセット550は、スプライン555と、第1のピニオン軸565に固定された第1のピニオン560と、を備える。スプライン555は出力ブレーキ520に結合することができ、第1のピニオン560は出力ギヤ301に結合することができる。
第1のソレノイド501が非通電にされると、ソレノイド軸503が伸び、レバー505を押して出力ブレーキ520をブレーキハウジング530内に摺動させ、これにより、出力ブレーキ520をスプライン555から係脱させる。ソレノイド軸503の伸長は、レバー505の上方に収まる圧縮状態にあり得るブレーキばね537によって助けることができる。
図5Bは、本開示の一実施形態による通電状態の第1のブレーキ500を示す。通電状態では、出力ブレーキ520は、ピニオンギヤセット550のスプライン555に係合し、出力ギヤ301の回転を制限することができる。第1のソレノイド501が通電されると、ソレノイド軸503がレバー505を上方に引っ張りながら後退して、出力ブレーキ520がブレーキハウジング530の外側に摺動し、これにより、出力ブレーキ520がスプライン555に係合する。また、レバー505を引っ張ることにより、ブレーキばね537が圧縮される。
図6は、本開示の一実施形態による、ばねギヤトレーン450に結合された例示的な第2のブレーキ600を示す。第2のブレーキ600は、軸、ギヤなどの回転構成要素の動きを制限または阻止する任意の装置とすることができる。本開示における第2のブレーキ600は、ばね軸410の回転を阻止する。第2のブレーキ600は、例えば、第2のピニオン軸603に結合された電機子602およびハブ601を備えることができる。第2のピニオン軸603は、ばねギヤトレーン450に結合された第2のピニオン605に取り付けることができる。第2のブレーキ600は、電力が供給されている場合に負荷を保持し、電力が失われたときに負荷を解放するパワーオンブレーキなどの電磁ブレーキであってもよい。
コイル604が通電されると、第2のピニオン軸603は、電機子601およびハブ601のアセンブリ内でロックされて、第2のピニオン605に、ばねギヤトレーン450およびばね軸410の回転を制限させる。他方、コイル604が非通電になると、第2のピニオン軸603は、電機子602およびハブ601のアセンブリからロック解除されて、第2のピニオン605を自由に回転させる。換言すると、第2のブレーキ600に電力が供給されていないとき、または第2のブレーキ600の電力が喪失したとき、第2のピニオン605は自由に回転することができる。従って、第2のブレーキ600の非通電状態では、ばねギヤトレーン450およびばね軸410は自由に回転することができる。
図7は、最大ポテンシャルエネルギーモードで示される、本開示の一実施形態による電気式アクチュエータのエネルギー蓄積モードを示す。エネルギー蓄積モードでは、モータ101は、トランスミッションの第3の経路を介してばね401にエネルギーを供給することができる。第3の経路では、モータ101は、モータギヤボックス120を介して差動装置200を駆動して、キャリヤギヤ210にばねギヤトレーン450を駆動させて、ばね401に接続されたばね軸410を回転させる。ばね軸410が回転すると、ばね401が圧縮して、ポテンシャルエネルギーを蓄積する。蓄積されるエネルギーの量は、出力ギヤトレーン350を駆動して、出力部300が電力喪失時にフェールセーフ状態になるのに十分であるべきである。
モータ101がばね401を駆動している間、第1のブレーキ500を係合させて、出力部300に結合された出力ギヤトレーン350の回転を阻止し、差動装置200のデフピニオン250の回転を阻止することができる。加えて、第2のブレーキ600は、係脱されて、ばねギヤトレーン450の回転を可能にすることができる。
ばね軸410の回転数は、ばね401に蓄積されたエネルギーの量に関係し得る。例えば、ばね401に蓄積されるエネルギーの量は、ねじりばねでは、以下のエネルギー方程式1を用いて計算することができる。
ここで、Uは、ジュール単位の蓄積エネルギーであり、kは、ニュートン・メートル/ラジアン単位のばね定数であり、θは、ラジアン単位の回転数である。
別の実施形態では、ばね401に蓄積される必要があるエネルギーの量は、実験により予め決定することができる。実験は、ばねの種類、ばねの剛性、ばね軸の回転数などの異なるパラメータを変えるように設計することができる。実験に基づいて、最適なパラメータの組み合わせを使用して、適切なばねおよび回転数を選択することができる。
図8は、本開示の一実施形態による電気式アクチュエータの通常動作モードを示す。通常動作モードでは、モータ101は、トランスミッションの第1の経路を介して出力部300にエネルギーを供給することができる。第1の経路において、モータ101は、モータギヤボックス120を介して差動装置200を駆動して、デフピニオン250に出力ギヤトレーン350を駆動させて出力部300を回転させる。さらに、モータ101が出力部300を駆動している間に、第1のブレーキ500が係脱されて出力部300に結合された出力ギヤトレーン350の回転を可能にし、第2のブレーキ600が係合されて、ばね401に結合されたばねギヤトレーン450の回転を阻止する。
図9は、本開示の一実施形態による電気式アクチュエータのフェールセーフモードを示す。フェールセーフモードは、電力喪失時に始動させることができる。フェールセーフモードでは、ばね401は、トランスミッションの第2の経路を介して出力部300にエネルギーを供給することができる。第2の経路では、ばね401が差動装置200のキャリヤギヤ210を駆動し、キャリヤギヤ210が、出力部300に結合された出力ギヤトレーン350を駆動して、出力部300を所定のフェールセーフ位置に位置決めさせる。所定のフェールセーフ位置は、開いていても閉じていてもよい。さらに、ばね401が出力部300を駆動している間に、第1のブレーキ500が係脱されて出力ギヤトレーン350の回転を可能にし、第2のブレーキ600が係脱されて、ばねギヤトレーン450の回転を可能にする。ばねギヤトレーン450は差動装置200を駆動するが、モータ101の内部ブレーキ能力に起因して、回転はモータ101に伝達されない。別の実施形態では、外部ブレーキをモータ101に結合して、第2の経路におけるモータ101の回転を阻止することができる。
図10は、本開示の一実施形態による電気式アクチュエータ10の例示的な切替プロセス1000の流れ図である。プロセス1000は、電気式アクチュエータ10における異なる経路間の切替を自動化するために、切替コントローラ700に実装することができる。プロセス1000は、出力部300がバタフライ弁などの要素に接続され、電力供給がスイッチオンされたときに開始する。ステップS10では、第1の駆動源100に電力を供給できる。例えば、電気式アクチュエータ10のモータ101に電力を供給することにより、モータ101およびモータギヤボックス120を回転させることができる。ステップS12において、第1のブレーキ500を係合させることができ、第2のブレーキ600を係脱させることができる。第1のブレーキ500は、図4および図5Bに関連して説明したように、第1のソレノイド501を作動させることによって係合させることができる。第2のブレーキ600は、コイル604への電力供給を遮断することにより、係脱させることができる。第2のブレーキ600の係脱により、ばね401が巻かれて、モータ101に供給されたエネルギーをばね401(第2の駆動源400)にポテンシャルエネルギーの形で蓄えることができる。
ステップS14において、第2の駆動源400に蓄えられたエネルギー量を計算することができる。例えば、エネルギー量は、式1を使用して決定することもできるし、図7に関して説明したように、予め実験によって決定することもできる。あるいは、ばね軸410にセンサ475を取り付けて、ばね軸410上の回転数またはねじり荷重などの負荷を計数することができる。センサ475は、切替コントローラ700に信号を送信することができる。回転数または負荷は、予め実験によって決定され、ばね401に蓄えられたエネルギーの量に相互に関連付けることができる。あるいは、回転数または負荷は、出力部300をフェールセーフ位置に配置するのに必要な回転数または負荷に相互に関連付けることができる。例えば、弁を開位置から閉じるためには、出力部300を10回回転させる必要があり得る。10回の出力部300の回転を可能にするために、ばね軸410は少なくとも25回回転しなければならない場合がある。その場合、ばね軸が少なくとも25回回転すると、コントローラは次のステップS16を実行することができる。
ステップS16において、エネルギー閾値に達したか否かの判定を行うことができる。エネルギー閾値は、出力部300をフェールセーフ位置に駆動するために必要なエネルギー量に少なくとも対応する。エネルギー閾値に達していない場合、モータ101は、ばね401を巻き続け、エネルギー閾値に達するまでステップS14の処理を行うことができる。
エネルギー閾値に達すると、第1の駆動源100への電力供給をオフにすることができ、第1のブレーキ500および第2のブレーキ600を係合させることができる。第1の駆動源100への電力供給が再開されると、ステップS18において、第1のブレーキ500を係脱させ、第2のブレーキ600を係合させることができる。第1のブレーキ500は、第1のソレノイド501への電力供給をオフにすることによって係脱させることができ、これにより、図4および図5Aに関連して説明したように、出力ブレーキ520を、出力ギヤトレーン350に結合されたピニオンギヤセット550から係脱させることができる。
ステップS20において、電気式アクチュエータ10が電力を失ったか否かを判定することができる。電力を失っていない場合、コントローラは電力喪失を監視し続けることができる。あるいは、コントローラは、ステップ18の処理を実行し続けることができる。他方、電力が失われた場合、ステップS22において、第1のブレーキ500を係脱させ、第2のブレーキ600を係脱させることができる。上述したように、第1のソレノイド501を係脱させることができる。第2のブレーキ600は、コイル604への電力喪失により、係脱させることができる。第1のブレーキ500および第2のブレーキ600を係脱することにより、ばね401(第2の駆動源400)が出力部300をフェールセーフ位置に駆動することが可能になる。
図11は、本開示の一実施形態による機械式停止装置20が取り付けられた例示的な電気式アクチュエータ10である。図11において、電気式アクチュエータ10は、カバー12の内部に設置されている。電気式アクチュエータ10は、電気式アクチュエータ10の内部または外部に1つ以上のアタッチメントを備えることができる。例えば、機械式停止装置20またはリミットスイッチを電気式アクチュエータ10の内部または外部に取り付けることができる。
機械式停止装置20は、リミットスイッチ(図示せず)の故障の場合に、電気式アクチュエータ10が過度に移動する(over−travel)ことを防止し、場合によっては電気式アクチュエータ10または電気式アクチュエータ10に接続された弁(図示せず)に損傷を与えることを防止するように設計された任意の装置とすることができる。弁の過度の移動は、電力喪失時にばね401の巻きが緩んだことによって引き起こされる可能性がある。機械式停止装置20は、弁の回転(または一般的な移動)の限界を設定することができる。例えば、弁の回転(または移動)を約0°〜90°(±10°)に制限することができる。機械式停止装置20は、電気式アクチュエータ10と弁ブラケット(図示せず)との間に装着することができる。異なる実施形態では、電気式アクチュエータ10の内部に、例えばばね軸410に接続させて、機械式停止装置20を設置することができる。
上記の説明において、流れ図におけるいかなる処理、記述またはブロックもプロセスにおける具体的な論理機能またはステップを実装するための1つ以上の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメントまたは部分を表すものとして理解されるべきであり、当業者に理解されるように、関連する機能性に応じて、機能が、図示または説明された順序とは、実質的に同時または逆順を含め、異なる順序で実行され得る別の実装が、本発明の例示的な実施形態の範囲内に含まれる。
特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は単なる一例として提示したものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規の方法、装置およびシステムは、様々な他の形態で実施することができ、さらに、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載された方法および装置の形態の様々な省略、置換および変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本開示の範囲および趣旨に含まれるようなそのような形態または修正を包含するように意図されている。例えば、本技術は、ネットワークを介して複数の装置間で1つの機能を共用して協働で処理するクラウドコンピューティング用に構成することができる。