JPH06136603A - 抗菌防臭機能を有する手袋の製造方法 - Google Patents

抗菌防臭機能を有する手袋の製造方法

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JPH06136603A
JPH06136603A JP32718492A JP32718492A JPH06136603A JP H06136603 A JPH06136603 A JP H06136603A JP 32718492 A JP32718492 A JP 32718492A JP 32718492 A JP32718492 A JP 32718492A JP H06136603 A JPH06136603 A JP H06136603A
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JP
Japan
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antibacterial
glove
gloves
powder
resin
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JP32718492A
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Keitaro Yamanaka
啓太郎 山中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 手袋の繊維織り構造内部を効果的に抗菌防臭
加工することにより、悪臭の発生を完全に抑えることが
できる抗菌防臭機能を有する手袋の製造方法を示す。特
に表面を樹脂加工した通気性の悪い作業用手袋を始めと
し、生魚処理用の様なものにおいてさえも手袋内部の悪
臭発生を抑えることができる手袋の製造方法を示す。 【構成】 水あるいは溶媒に硫化銅、ヨウ化銅、銀銅複
合ゼオライトなどの抗菌性金属化合物粉末と低融点熱可
塑性合成樹脂粉末を懸濁させ、手袋の繊維織り構造内部
にこの懸濁物を吸蔵させ、低融点熱可塑性合成樹脂の軟
化点以上の温度で加熱乾燥して抗菌性金属化合物粉末を
固着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌防臭機能を有する手
袋の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、抗
菌性金属化合物粉末と低融点熱可塑性合成樹脂粉末を混
合し、これを手袋の繊維織り構造(以下マトリックスと
いう)内部に吸蔵させ、最後に低融点熱可塑性合成樹脂
の軟化点以上の温度で加熱乾燥する抗菌防臭機能を有す
る手袋の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抗菌防臭機能を有する手袋の多くは有機
シリコン四級アンモニウム塩やフェニルエーテル化合物
等の有機抗菌剤で抗菌防臭加工されたものである。しか
しこれらの有機薬剤処理したものは耐洗濯性が悪く、ま
た直接皮膚に接触した時には皮膚障害を併発することも
ある。特に強力な抗菌防臭機能性が望まれる作業用手袋
においては実用に耐えるに十分なものはない。
【0003】作業用手袋はそれぞれの作業の目的により
通常の防寒用の手袋にはない機能、例えば防水機能、耐
薬品機能、滑り防止機能、耐切裂機能、耐熱機能等が求
められる。荷物の運搬作業をする際に使用される表面が
塩化ビニール樹脂で加工された滑り防止および防水機能
付き手袋もそのような機能性手袋の一つである。しか
し、これは手袋の表面が樹脂加工されたため、通気性が
悪い。これを使用するとその通気性の悪さのために手に
汗をかく。通常の状態では手のひらや足の裏では500
g/m・日 程度の発汗量があり、これが重労働作業
時には約十倍の発汗量になる。従って通気性の悪い手袋
を着用し作業をすると、手袋内部は気化しない汗で満た
される。再使用する時はこの汗に起因してカビや細菌が
増殖し、その結果悪臭が発生する。このような手袋は非
常に非衛生的である。
【0004】これは手袋内部に付着した汗中にふくまれ
るタンパク質や無機塩類を栄養分としてカビや細菌が発
生することによるものである。栄養分と適度な水分と温
度があれば、カビや細菌類は一気に増殖する。その結果
代謝生産物として酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草
酸、トリメチルアミン等を始めとする各種有機悪臭成分
が生産される。また魚肉などの食品を扱う場合、通気性
の良い手袋であっても外側から栄養分に富む汁を吸収す
るため、同様に悪臭が発生する。
【0005】この悪臭防止対策として、繊維製品を構成
している繊維自身の表面を有機シリコン四級アンモニウ
ム塩などの有機抗菌剤で処理したものもある。これは使
用初期においては抗菌効果を発揮するが、耐洗濯性に乏
しいため、耐久性に問題がある。
【0006】また樹脂中に抗菌剤を混合して悪臭の発生
を防止する方法もすでに知られている。しかし、この方
法では抗菌剤が樹脂中に埋まるため、手袋繊維のマトリ
ックス内部に付着した汗に増殖する細菌を死滅させるほ
どの実用的な抗菌効果を発揮することができない。結局
現状では作業用手袋においては効果的な且つ実用的な抗
菌防臭機能を有する手袋はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、塩化
ビニール、シリコンゴム、合成ゴム、天然ゴム、ウレタ
ンエラストマー等の高分子樹脂で表面加工を施した通気
性の悪い手袋は悪臭の発生を抑えるため使用後にはこま
めに洗濯するしか方法がなかった。しかし実際の作業現
場などではなかなかこの様にはできない。この発明が解
決しようとする課題は、通気性の悪い手袋であっても、
また手袋の内部あるいは外部から栄養分を含む液を吸収
しても、放置後に悪臭の発生しない強力な抗菌防臭機能
を有する手袋の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は通気性の悪い手
袋および内部あるいは外部から栄養分を含む液を吸収す
る手袋の抗菌防臭加工の方法に関するものであるが、手
袋だけに限られるものではない。本発明は上述した様な
厳しい条件下で使用される手袋、靴下を始めとする各種
繊維製品への応用も可能にするものである。
【0009】抗菌防臭機能を有する手袋製造の観点か
ら、抗菌剤は耐洗濯性を有しかつ広い抗菌スペクトルを
有するものが望ましい。この目的に沿うものとして硫化
銅、ヨウ化銅、銀あるいは銅を担持させた無機系抗菌剤
が適している。好ましくは硫化銅、銀ゼオライト、銀銅
複合ゼオライトが望ましい。耐洗濯性、抗カビ性の観点
からは硫化銅が好ましく、また耐洗濯性、抗菌性の観点
からは銀銅複合ゼオライトが好ましい。以上の中でも特
に硫化銅と銀銅複合ゼオライトの混合物が特に好まし
い。
【0010】ここで使用する無機抗菌剤の粒子径は一般
に平均粒子径が1〜20μmと非常に微細なため、水中
に分散させただけでも無機抗菌剤は繊維マトリックスの
間隙中に容易に入り、脱落しにくい。しかし、さらに耐
洗濯性能を向上させるためには繊維と抗菌剤とを接着す
る樹脂バインダー成分を添加すればよい。高分子樹脂で
あればなんでもよいが、一般的にはポリビニールアルコ
ール樹脂、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂
等の接着剤に抗菌剤を分散させ手袋に固着することもで
きる。しかしこれらのバインダー樹脂で手袋に抗菌剤粉
末を固着させることは容易にできるが、抗菌効果が十分
に発揮されないし、通気性が低下し、風合いが硬化す
る。
【0011】本発明は水あるいは溶媒に難溶性の銀およ
びまたは銅化合物からなる抗菌性金属化合物粉末とポリ
エステル系あるいはポリエチレン系の低融点熱可塑性合
成樹脂粉末を抗菌性金属化合物の5重量パーセント以
上、望ましくは10〜20重量パーセント添加し、懸濁
させる。これに糸で編み上げただけの状態の手袋あるい
は布で縫製しただけの状態の手袋(以下これらを総称し
て原手という)を浸漬して繊維マトリックス内部にこの
懸濁物を十分に吸蔵させる。この低融点熱可塑性合成樹
脂の形状は顆粒状、フレーク状よりも微粒子状、短繊維
状のほうが繊維マトリックス中に入り易く脱落しにく
い。最終製品の通気性、風合いの点からも好ましい。次
にこれを脱水して余分の懸濁液を除く。水系の場合、綿
製品では大体30重量パーセント程度の含水率を示し、
ナイロン等の化学合成繊維製品では大体10〜15重量
パーセント程度の含水率を示す。最後に低融点熱可塑性
合成樹脂の軟化点以上の温度で加熱乾燥して抗菌剤を繊
維組織に固着させる。なおこの時低融点熱可塑性合成樹
脂粉末を抗菌剤に対して30重量パーセント以上添加す
ると、当然のことながら耐洗濯性は向上するが繊維製品
の風合いは硬くなり、好ましくない。
【0012】綿糸(30番手単糸)で構成されたメリヤ
ス生地原手の場合、家庭用洗濯機で3分間遠心脱水処理
をすると含水率が約30〜33重量パーセントになる。
通常の1ミリメートル厚のメリヤス生地原手であれば抗
菌剤濃度が0.33重量パーセントの懸濁液に含浸させ
れば熱処理後は抗菌剤の濃度が0.3g/mのものを
得ることができる。一般に強力な抗菌力が要求される作
業用手袋の場合では、その抗菌剤の固着量は硫化銅では
1.0g/m以上、銀銅複合ゼオライトでは0.3g
/m以上で望ましい抗菌防臭効果が発揮される。
【0013】含浸法以外の加工方法としてはけ塗り加工
法、スプレー加工法、ローラー加工法などがある。これ
らの加工方法は前述の懸濁液を原手上に塗布するという
ことではおなじであるが、ローラー加工法が原手生地に
圧力がかかり、抗菌性金属化合物の懸濁液が繊維マトリ
ックスの中に効果的に行き渡るので好ましい加工方法で
ある。
【0014】
【作用】本発明により製造された抗菌防臭性手袋は汗を
吸収しても、手袋繊維マトリックス中に効果的に固着さ
れた抗菌剤の作用により効果的にカビや細菌を死滅させ
ることができる。その結果、手袋内部の悪臭の発生を抑
えることができる。
【0015】以下本発明を実施例により説明する。
【0016】
【実施例1】 塩化ビニール樹脂加工の抗菌防臭性手袋
の製造 硫化銅粉末(試薬特級品)、銀ゼオライト(シナネンニ
ューセラミック製ゼオミックAG10N;銀2.5重量
%担持A型ゼオライト)、銀銅複合ゼオライト(シナネ
ンニューセラミック製ゼオミックAC10N;銀3重量
%、銅5重量%担持A型ゼオライト)をそれぞれ単独あ
るいは併用して抗菌剤として使用し、塩化ビニール樹脂
加工の抗菌防臭性手袋の製造に用いた。
【0017】低融点熱可塑性樹脂として低融点熱可塑性
ポリエステル繊維(ユニチカ製メルティ;軟化融着温度
は110℃)を1mmに切断したものを各抗菌剤重量に
対してそれぞれ3%、5%、10%、20%、30%混
合した。続いて家庭用電気洗濯機に水14リッターを入
れ、次にこの混合物をそれぞれ所定の量投入し5分間混
合した。続いて綿糸(30番手単糸)で構成されたメリ
ヤス生地原手20双(40g/双)を投入し、更に15
分間攪はんした。その後繊維マトリックスの内部にこの
混合液を吸蔵した原手を3分間遠心脱水し、陰干した。
【0018】この後、従来の製造工程に従って金属アル
ミニウム製の手型にこの原手をかぶせ、塩化ビニール樹
脂溶液(塩化ビニール20%、ジオクチルフタレート8
0%)に浸漬して、その原手表面を樹脂コーティングし
た。乾燥工程は200℃、2分間処理した。この様にし
て塩化ビニール樹脂加工の抗菌防臭性手袋を作った。
【0019】この手袋の甲部から2.5cm角の試料を
切りとり、磁性ルツボに入れて電気炉中で灰化し、さら
に残さを希硝酸溶液に溶解させ、試料液中の銀濃度およ
び銅濃度を原子吸光光度法により求めた。この分析値か
ら計算により単位面積あたりの抗菌剤濃度を求めた。以
上の結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【実施例2】 抗菌防臭性手袋の製造(比較例) 実施例1で使用した溶融塩化ビニール樹脂溶液500g
に実施例1で使用した硫化銅と銀銅複合ゼオライトをそ
れぞれ所定の量投入して均一混合し、抗菌剤を混合した
抗菌性塩化ビニール樹脂液を作った。次に従来の製造工
程に従って綿糸(30番単糸)で構成されたメリヤス生
地原手に樹脂加工を施して、抗菌性塩化ビニール樹脂加
工された抗菌防臭性手袋を作った。また塩化ビニール樹
脂加工しただけの従来の手袋も比較用サンプルとして作
った。この結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【実施例3】 水産物加工用途の抗菌防臭性手袋の製造 ヨウ化銅粉末(試薬特級品)、銀ゼオライト、銀銅複合
ゼオライトをそれぞれ単独あるいは併用し、水産物加時
に使用される抗菌防臭性手袋の製造に用いた。低融点熱
可塑性樹脂粉末として低融点熱可塑性ポリエステル繊維
(ユニチカ製メルティ;軟化融着温度は110℃)1m
mに切断したものを使用した。それぞれの抗菌剤とこの
低融点熱可塑性樹脂粉末を混合し、エタノール1リッタ
ーに投入分散させた。続いて綿糸(20番手双糸)構成
の編み原手を内面が表になるように裏返し、この面にハ
ケで抗菌剤混合液を塗布した。乾燥工程は120℃、3
0分間の処理条件にて行った。この様にして水産物加工
用途の抗菌防臭性手袋を作った。以上の結果を表3に示
す。
【0024】
【表3】
【0025】
【実施例4】 手袋の抗菌性能の評価 実施例1〜3の手袋の甲の中央部を2.5cm角に切り
とり抗菌試験用試料とした。この試料片の手袋内側面を
上にして滅菌シャーレ中央に置いた。肉エキスブイヨン
培地にて24時間静置培養した黄色ブドウ球菌(Sta
phylococcus aureus IFO 30
60)菌液をリン酸緩衝溶液にて1000倍に希釈し、
それから1mlを採取し、この試料片の繊維面上に万遍
なく小滴を滴下した。その後シャーレの蓋をしてインキ
ュベーター中で38℃で24時間培養した。24時間後
にリン酸緩衝液30mlを加え振とうした後1mlを採
取し、SCDLP寒天培地を用い混釈平板培養法により
生残菌数を測定した。この分析結果を表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
【実施例5】 手袋の官能試験による抗菌性能の評価
(1) 実施例1と実施例2で試作した抗菌防臭性手袋の実用上
の抗菌防臭効果を評価するために、それぞれの手袋を各
5双ずつ複数の建築作業現場でできるだけ同一条件下に
なるように毎日使用し、一週間後に手袋の内部の空気を
におって官能試験を実施した。この試験結果を表5に示
す。
【0028】
【表5】
【0029】さらに実施例5で使用した手袋を温度25
℃、湿度85〜90%のインキュベーター中に静置して
おき、2週間後に内面の繊維表面に生えたカビの有無を
比較した。この結果を表6に示す。
【0030】
【表6】
【0031】
【実施例6】 手袋の官能試験による抗菌性能の評価
(2) 実施例3で試作した抗菌防臭性手袋の実用上の抗菌防臭
効果を評価するために、それぞれの手袋を各5双ずつ魚
市場の魚解体作業現場でできるだけ同一条件下になるよ
うに12時間使用し、一夜放置した後に手袋の内部の空
気をにおって官能試験を実施した。その試験結果を表7
に示す。
【0032】
【表7】
【0033】
【発明の効果】本発明により製造された抗菌防臭性手袋
は、内部に汗をかきやすい樹脂加工された通気性の悪い
手袋であっても、あるいは外部から栄養液が染み込む様
な場所で使用する手袋であっても、手袋繊維マトリック
ス中に効果的に固着された抗菌剤の作用によりカビや細
菌を死滅させることができる。その結果手袋内部の悪臭
の発生を抑えることができる。本発明は手袋を始めとす
る各種繊維製品の抗菌防臭加工にも利用できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/42 23/08 7199−3B D06M 21/00 C 7199−3B B 7199−3B 11/12 7199−3B 21/00 C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水あるいは溶媒に抗菌性金属化合物粉末
    と低融点熱可塑性合成樹脂粉末を懸濁させ、次にこの懸
    濁液に手袋を浸漬し、あるいはこの懸濁液を手袋に塗布
    して手袋の繊維織り構造内部にこの懸濁物を吸蔵させ、
    最後に低融点熱可塑性合成樹脂の軟化点以上の温度で加
    熱乾燥する抗菌防臭機能を有する手袋の製造方法
  2. 【請求項2】 抗菌性金属化合物の一部あるいは全部が
    少なくとも難溶性の銀化合物およびまたは難溶性の銅化
    合物である請求項1記載の抗菌防臭機能を有する手袋の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 抗菌性金属化合物粉末が少なくとも手袋
    の繊維織り構造面積あたり0.3g/m以上存在する
    請求項1記載の抗菌防臭機能を有する手袋の製造方法。
JP32718492A 1992-10-22 1992-10-22 抗菌防臭機能を有する手袋の製造方法 Pending JPH06136603A (ja)

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