JPH06136453A - スチールコード用ワイヤの製造方法 - Google Patents

スチールコード用ワイヤの製造方法

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JPH06136453A
JPH06136453A JP4291722A JP29172292A JPH06136453A JP H06136453 A JPH06136453 A JP H06136453A JP 4291722 A JP4291722 A JP 4291722A JP 29172292 A JP29172292 A JP 29172292A JP H06136453 A JPH06136453 A JP H06136453A
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temperature
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Masaki Katayama
政材 片山
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Tokyo Seiko Co Ltd
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Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
Tokyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワイヤ内部の微細割れを防止し、かつ靭性を
向上して超高強力のスチールコード用ワイヤを製造でき
る方法を提供する。 【構成】 高炭素鋼ロッドに、伸線加工、中間熱処理、
伸線加工、最終熱処理、めっき、湿式伸線加工を順次施
してスチールコード用ワイヤを製造するにあたり、高炭
素鋼として質量%で、C:0.90〜1.10%、S
i:1.0%以下、Mn:0.50%以下、Cr:1.
0%以下、残部Feからなる過共析鋼を用い、中間熱処
理および最終熱処理での加熱炉における熱処理条件を加
熱温度:920〜960℃、保持時間T:0.60≧T
/D≧0.35(ここで、Tは保持時間(分)、Dは線
径(mm))とし、最終熱処理での流動床または鉛浴に
おける熱処理条件をCCT曲線またはTTT曲線のノー
ズ先端温度よりも10〜60℃高い温度とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はタイヤ補強材として用い
られるスチールコード用ワイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤの補強材として用いられるスチー
ルコードは、5.5φの高炭素鋼ロッドを、伸線加工−
熱処理(パテンチング)−伸線加工−熱処理−ブラスめ
っき−湿式伸線加工という工程により、0.15φ〜
0.38φのスチールコード用ワイヤに仕上げ、このワ
イヤを2〜28本程度撚り合せて製造されている。
【0003】従来、原料の高炭素鋼ロッドとしては、炭
素濃度が0.72%Cおよび0.82%Cの亜共析鋼お
よび共析鋼が用いられてきた。これらを用いて製造され
たワイヤで撚線加工が可能な靭性を有するものは、強度
が十分とはいえなかった。例えば、0.20φワイヤの
強度は、0.72%C鋼で290kgf/mm2 、0.
82%C鋼で350kgf/mm2 が上限であった。
【0004】近年、タイヤの軽量化の要求に応じて、よ
り高強力なスチールコードが要望されている。この要望
に対して、炭素濃度が0.90〜0.99%Cの過共析
鋼を使用することが提案されている。この過共析鋼を用
いて超高強力ワイヤを製造する際には、従来の0.72
%Cおよび0.82%C鋼の場合と同様な製造条件が用
いられていた。しかし、従来の方法では、伸線時の断
線、撚り線時の断線などのトラブルが多発するという問
題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法で過共析鋼
を用いて超高強力ワイヤを製造する際に発生する問題の
原因としては以下のような点が判明した。
【0006】まず、それぞれの伸線加工後にワイヤ内部
の状態について研究した結果、過共析鋼ではワイヤ内部
でワイヤ軸方向に沿った微細割れが発生しやすいことが
わかった。このような微細割れは従来の亜共析鋼および
共析鋼では発生しにくい。この微細割れは、加工工程の
進行とともに拡大成長し、最終撚線工程での断線の原因
になると考えられる。また、最終的に伸線加工されたワ
イヤは、靭性が不十分であることが判明した。本発明
は、ワイヤ内部の微細割れを防止し、かつ靭性を向上し
て超高強力のスチールコード用ワイヤを製造できる方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のスチールコード
用ワイヤの製造方法は、高炭素鋼ロッドに、伸線加工、
中間熱処理、伸線加工、最終熱処理、めっき、湿式伸線
加工を順次施してスチールコード用ワイヤを製造するに
あたり、高炭素鋼として質量%で、C:0.90〜1.
10%、Si:1.0%以下、Mn:0.50%以下、
Cr:1.0%以下、残部Feからなる過共析鋼を用
い、中間熱処理および最終熱処理での加熱炉における熱
処理条件を加熱温度:920〜960℃、保持時間T:
0.60≧T/D≧0.35(ここで、Tは保持時間
(分)、Dは線径(mm))とし、最終熱処理での流動
床または鉛浴における熱処理条件をCCT曲線(con
tinuous cooling transform
ation curve、連続冷却変態曲線)またはT
TT曲線(time tnmperature tra
nsformation curve、等温変態曲線)
のノーズ先端温度よりも10〜60℃高い温度とするこ
とを特徴とするものである。
【0008】
【作用】本発明者の研究によれば、微細割れを起こす要
因として、中間熱処理および最終熱処理での加熱炉での
熱処理時に発生する初析セメンタイトまたは初析のフェ
ライトの形態が関与していることが判明した。一般的に
過共析鋼をパテンチングすると初析セメンタイトが析出
するものと思われているが、適当なパテンチング条件を
選択すればセメンタイトは析出しない。一方、一般的に
過共析鋼をパテンチングしてもフェライトは析出しない
と思われているが、実際にはフェライトが析出する。さ
らに、この粒界フェライトの形態は、加熱炉での加熱条
件によって左右され、フェライト中に炭化物(一般的に
はセメンタイト)がある程度分散されるか、または炭化
物がまったく析出しないかのいずれかの形態となる。そ
して、初析セメンタイトの発生を抑制したとしても、フ
ェライト中に炭化物が析出していない形態のものは、伸
線加工中にワイヤ内部においてその粒界フェライト部を
起点とする微細割れが発生する。これは以下のような理
由によるものと考えられる。
【0009】過共析鋼は、亜共析鋼および共析鋼よりも
炭素濃度が高いため、硬度が高い。その組織中に析出す
るフェライトは比較的硬度が低いため、フェライトとそ
の周囲のパーライトとの硬度差が大きくなる。したがっ
て、この状態で伸線加工を施すと軟らかいフェライトが
優先的に加工され、周囲のパーライトとの境界に割れが
発生する。一方、フェライト中に炭化物が分散されてい
るとそれほど硬度が低くならないため、周囲のパーライ
トとの硬度差が緩和される。このため、伸線加工を施し
ても割れが抑制される。
【0010】本発明において、中間熱処理および最終熱
処理での加熱炉における熱処理条件を、加熱温度:92
0〜960℃、保持時間T:0.60≧T/D≧0.3
5(ここで、Tは保持時間(分)、Dは線径(mm))
を満たす範囲としたのは、以下のような理由による。す
なわち、加熱温度が960℃を超えるか、T/Dが0.
35未満の短い保持時間では、フェライト中に炭化物が
析出せず、伸線加工後にワイヤ内部に微細割れが発生す
る。また、加熱温度が920〜960℃の範囲であって
もT/Dが0.60を超え保持時間が長くなると、結晶
粒が粗大化してワイヤの特性が劣化する。
【0011】また、本発明者の研究によれば、最終熱処
理における流動床温度または鉛浴温度が伸線加工後のワ
イヤの靭性に影響を及ぼすことが判明した。従来の亜共
析鋼および過共析鋼を最終熱処理時に流動床または鉛浴
により熱処理する際には、伸線加工後にワイヤの引張り
強さが最も高くなる条件を採用している。この温度は、
CCT曲線またはTTT曲線におけるノーズ先端近傍の
温度である。ところが、過共析鋼を用いた場合にも従来
と同様な条件で熱処理を施すと、セメンタイトの成長が
不十分な微細パーライト組織となり、部分的には上部ベ
イナイト組織も発生する。一方、流動床温度または鉛浴
温度をすなわちCCT曲線またはTTT曲線におけるノ
ーズ先端温度よりも10℃以上かつ初析セメンタイトが
発生しない上限温度範囲内とすると、良好に成長したセ
メンタイトからなるパーライト組織となる。そして、C
CT曲線またはTTT曲線におけるノーズ先端近傍の温
度で熱処理したワイヤとその温度よりも高温側で熱処理
したワイヤとを、それぞれ伸線加工したものを比較する
と、引張り強さに大差はない。しかし、ワイヤの靭性、
デラミネーション特性、伸線加工限界、伸線時の加工硬
化量ともに高温側で処理したもののほうが良好となる。
【0012】本発明において、最終熱処理での流動床ま
たは鉛浴における熱処理条件をCCT曲線またはTTT
曲線のノーズ先端温度よりも10〜60℃高い温度とし
たのは、以下のような理由による。すなわち、前記の下
限温度より低い温度で熱処理したワイヤを伸線加工する
と、ワイヤの靭性、デラミネーション特性、伸線加工限
界、伸線時の加工硬化量が劣化する。一方、前記の上限
温度より高い温度で熱処理すると、ワイヤ中に初析セメ
ンタイトが発生してワイヤの特性が劣化する。本発明に
おいては、最終熱処理での流動床または鉛浴における熱
処理条件をCCT曲線またはTTT曲線のノーズ先端温
度よりも30〜40℃高い温度とすることがより好まし
い。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1
【0014】3.0φの0.96%C−0.2Si−
0.3Mn−0.2Cr材を、加熱温度920℃〜99
0℃、保持時間0.9分〜2.1分(Tを保持時間
(分)、Dを線径(mm)として、0.70≧T/D≧
0.30)の各条件でエアパテンチングした。この熱処
理後、電子顕微鏡を用いて粒界フェライトの形状を観察
した。この線材を、線速600m/分の条件で、3.0
φ→2.58φ→2.27φ→1.97φ→1.70φ
というスケジュールで伸線加工した。伸線加工後、電子
顕微鏡を用いて微細割れの発生状況を観察した。これら
の結果を、表1および表2に示す。
【0015】表1から明らかなように、加熱温度920
℃〜960℃、かつ保持時間0.60≧T/D≧0.3
5の条件でエアパテンチングした場合には、フェライト
中に炭化物が析出した。T/D=0.70の場合には結
晶粒が粗大化した。また、表2から明らかなように、粒
界フェライト中に炭化物が析出しているものでは、伸線
加工後の微細割れは発生しなかった。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】 実施例2
【0018】1.26φの0.96%C−0.2Si−
0.3Mn−0.2Cr材を、加熱炉での加熱温度:9
50℃、流動床温度:510℃〜580℃の条件で流動
床パテンチングした。熱処理後の各ワイヤの引張り強さ
を測定した。その後、各ワイヤにブラスめっきを施し、
伸線加工により0.20φに仕上げた。得られた各ワイ
ヤの引張り強さ、捻回値、デラミネーション、および加
工硬化量を調べた。また、伸線加工限界も調べた。これ
らの結果を表3に示す。
【0019】表3から明らかなように、520℃(CC
T曲線のノーズ先端温度)で熱処理されたワイヤは、熱
処理後の引張り強さが最も高くなっている。しかし、流
動床温度530℃以上で処理されたワイヤはいずれも、
伸線加工後の引張り強さ、捻回値、デラミネーション、
伸線加工限界のすべてにおいて、520℃で熱処理され
たワイヤよりも優れている。520℃で熱処理されたワ
イヤの伸線加工後の引張り強さが低くなるのは、伸線加
工硬化量が低いためである。
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の方法によ
れば、過共析鋼を用い、中間熱処理条件を最適化して粒
界フェライト形態を制御することにより伸線加工中での
微細割れを抑制でき、また最終熱処理条件を最適化して
加工硬化量を増大させることにより伸線加工後のワイヤ
靭性を向上させることができ、超高強力ワイヤを製造す
ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炭素鋼ロッドに、伸線加工、中間熱処
    理、伸線加工、最終熱処理、めっき、湿式伸線加工を順
    次施してスチールコード用ワイヤを製造するにあたり、
    高炭素鋼として質量%で、C:0.90〜1.10%、
    Si:1.0%以下、Mn:0.50%以下、Cr:
    1.0%以下、残部Feからなる過共析鋼を用い、中間
    熱処理および最終熱処理での加熱炉における熱処理条件
    を加熱温度:920〜960℃、保持時間T:0.60
    ≧T/D≧0.35(ここで、Tは保持時間(分)、D
    は線径(mm))とし、最終熱処理での流動床または鉛
    浴における熱処理条件をCCT曲線またはTTT曲線の
    ノーズ先端温度よりも10〜60℃高い温度とすること
    により350〜450kgf/mm2 の強度を有するこ
    とを特徴とするスチールコード用ワイヤの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010101154A1 (ja) 2009-03-02 2010-09-10 株式会社ブリヂストン 鋼線の製造方法

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