JPH06135846A - 抗潰瘍剤 - Google Patents

抗潰瘍剤

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JPH06135846A
JPH06135846A JP4308067A JP30806792A JPH06135846A JP H06135846 A JPH06135846 A JP H06135846A JP 4308067 A JP4308067 A JP 4308067A JP 30806792 A JP30806792 A JP 30806792A JP H06135846 A JPH06135846 A JP H06135846A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗潰瘍効果に優れ、安全で安価であり、しか
も、予防薬、再発防止薬として常用しても、全く安全な
穀類、豆類からの天然抗潰瘍剤を提供する。 【構成】 米を除く穀類、豆類からの搾汁液あるいは米
を除く穀類、豆類からの水抽出物または有機溶媒抽出物
をそのまま、あるいはこれを含有してなる抗潰瘍剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、米を除く穀類、豆類か
らの搾汁液あるいは米を除く穀類、豆類からの水抽出物
または有機溶媒抽出物をそのまま、あるいはこれを含有
したものを用いることにより、経口投与においても、皮
下投与においても潰瘍を予防および治癒する効果をもつ
抗潰瘍剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在は日常生活においてストレス時代と
いわれ、生活環境の目まぐるしい変化、対人関係の複雑
化により、ストレスを受けることが多くなってきてい
る。また、従来、自然に存在しなかったものを数多く摂
取する機会も多くなってきた。
【0003】そこで、これらの要因により、胃潰瘍、十
二指腸潰瘍などに悩まされている人が多くなり、現在で
はさまざまな抗潰瘍剤が開発利用されている。現在使用
されている抗潰瘍剤をみると、大別して胃液の消化力抑
制剤、胃液分泌抑制剤、粘膜保護組織修復剤などがあ
り、経口投与または皮下投与されている。しかし、これ
らのいずれの製剤も、単離された薬剤または合成された
薬剤であり、それぞれに副作用があり、使用対象および
使用量についての制限が厳しくなっており、有効で、し
かも、安全な抗潰瘍剤は開発利用されていない。
【0004】このため、これらの抗潰瘍剤は、安全性の
点から常用できないので、予防とか、再発防止には利用
できていない。一方、潰瘍の予防薬としては、整腸剤と
か、胃酸の分泌抑制効果を持つ薬剤を用いているだけで
あり、これらも予防薬とはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在、薬剤の人体に対
する副作用が問題となっており、天然物で全く副作用が
なく、しかも、予防薬、再発防止薬として常用しても十
分に安全である抗潰瘍効果を持つ薬剤が要求されてい
る。本発明は、抗潰瘍効果に優れ、安全で安価であり、
しかも、予防薬、再発防止薬として常用しても、全く安
全な穀類、豆類からの天然抗潰瘍剤を提供することを目
的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、米の総合
利用研究を行ってきた過程で、米の抽出物を用いる抗潰
瘍剤(特願平2−409692号)を開発した。しか
し、米を原料として使用すると、どうしても原価的に高
くなってしまう。そこで、米より安価に得られ、世界各
地で主食として用いられ安全性も高いことが実証されて
いる大麦、小麦、とうもろこし、小豆、大豆等で代表さ
れる穀類、豆類を取り上げ、穀類、豆類の総合利用研究
を行ってきた。
【0007】その内の1つのテーマとして穀類、豆類か
らの抗潰瘍剤について鋭意研究を行い、穀類、豆類から
搾汁あるいは抽出物をそのまま、あるいはこれを含有す
るものの抗潰瘍効果を測定したところ、非常に顕著な抗
潰瘍効果があることが判明し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、米を除く穀物、豆類
からの搾汁液あるいは米を除く穀物、豆類からの水抽出
物または有機溶媒抽出物をそのまま、あるいはこれを含
有してなることを特徴とする活性酸素消去剤であって、
穀類、豆類の搾汁あるいは穀類、豆類の水抽出(酸、ア
ルカリ抽出も含む)またはアルコールなどの有機溶媒抽
出により、簡単、安価に、しかも全く安全に上記の効果
を顕す非常に優れた抗潰瘍剤が得られるのである。ここ
でいう穀類とは、米を除く小麦、大麦、とうもろこし、
ひえ、あわ、そば、ライ麦等であり、豆類とは、大豆、
えんどう豆、いんげん豆、小豆、そら豆等であり、どん
な種類の豆でもよい。また、豆の状態は、未熟生豆、完
熟生豆、さらに、乾燥処理した完熟豆等どんなものでも
よい。
【0009】穀物、豆類を水抽出物または有機溶媒抽出
する場合、まず、穀物、豆類を粉砕または粉体化すると
表面積が大きくなるため、極めて抽出効率が良好にな
る。この方法は、粉砕機等を用い、一般的な方法によれ
ばよい。粉砕しなくてもよいが、この場合には、穀物組
織、豆組織の分解および抽出に長時間を要する。
【0010】水抽出に当たっては、穀物、豆をそのま
ま、好ましくは粉砕または粉体化したものに加水する。
穀物は玄穀でも精白穀でもよい。加水量については、穀
物、豆に対して2〜5倍量で効率よく抽出されるが、収
率、作業性、最終使用目的等に応じて適宜選定すればよ
い。この後加温してゆき、沸騰状態になった時点で抽出
を完了する。抽出を完了した後、使用目的により圧搾、
濾過を行えば、清澄な抽出エキスが得られる。なお、最
初から熱水を加えて抽出を行ってもよい。
【0011】抽出液中の有効成分は解明されていない
が、この未知の有効成分が熱に安定であることは確認で
きたので、水抽出の際の抽出温度は、高温が効率的であ
る。低温でも長時間置けば、充分に抽出を行うことがで
きる。ただし、40℃以下の低温の場合は、pHを酸性
あるいはアルカリ性にするか、防腐剤を加えることが必
要である。抽出時間は、沸騰抽出の場合には数分でよい
が、それ以下の中温の場合には、数時間から一昼夜が必
要である。低温の場合は、穀物、豆の粉砕状態にもよる
が、数日〜1ケ月必要である。ただし、この場合にも、
なるべく最後には加熱するのがより効果的である。
【0012】水抽出の場合に最も問題になるのは、糊化
現象である。糊状になれば抽出効率が悪くなるのみでな
く、実作業においては困難を極める。これを防ぐために
は、アミラーゼを加えて反応させるか、塩酸などで酸性
にして澱粉を分解すればよく、この方法を用いることに
より、充分に解決でき、実用上も全く問題がない。
【0013】抽出液中の有効成分は、酸、アルカリに安
定であるためか、酸抽出あるいはアルカリ抽出物を行う
のも有効である。また、水抽出の場合、穀物、豆の組織
に働く酵素(例えば、セルラーゼ)を反応させて前処理
を行い、抽出する方法が効率的である。これは、前処理
により、有効成分がより抽出されやすくなるためである
と思われる。
【0014】さらに、有機溶媒抽出でも、本効果をもっ
たエキスが抽出されることが判明した。このことは、有
効成分の解明を進める上で、また、有効成分を濃厚に抽
出したり、水に溶けないものとの配合という利用用途の
上で極めて有効である。この場合、なるべく微粉砕また
は粉体化することが好ましい。また、ここで用いる有機
溶媒はアルコールのような人体に投与しても安全なもの
を使用することが望ましい。
【0015】また、とうもろこしのような生鮮穀類(加
熱滅菌したものを含む)、生豆(加熱処理したものを含
む)の場合、試料を布か圧搾機で搾った搾汁にも、本効
果をもったエキスが得られることが判明した。しかし、
この搾汁液よりも、水抽出または有機溶媒抽出する方が
より有効的であった。また、圧搾をした後の残渣を水抽
出または有機溶媒抽出することにより、効果としては弱
いが抗潰瘍作用があることも判明した。
【0016】さらに、アルコール発酵、乳酸発酵等の発
酵を組み合わせても同等の効果であった。なお、本発明
品の穀物、豆からの抽出には、以上のように有機溶媒抽
出または水抽出し、その抽出物中の有効成分をさらに溶
媒抽出すると、より有効である。しかし、これは、濃縮
状態が得られるためと思われ、濃縮することにより同等
の効果が得られる。
【0017】また、用途によっては搾汁や水抽出物に糖
やデキストリンが含まれてベタつくとか、その効果にお
いて邪魔になる場合がある。その場合には、デキストリ
ンはアミラーゼで糖化した後、糖を酵母に食べさせると
か、有効成分を吸着剤で分画するとか、有機溶媒で抽出
することにより糖を除いてやればよい。いずれにして
も、抽出さえ行えば効果が出てくるわけで、用途によっ
ては不要の成分は種々の方法により取り除けばよい。
【0018】穀類、豆類は主食として毎日食べており、
あまりにも身近すぎて、このように抗潰瘍剤として使用
する概念すらなく、思いもよらないことであった。ま
た、主食以外には、ビール、焼酎、菓子、豆腐、湯葉、
油揚、納豆、味噌、醤油などに用いられてきたが、穀
物、豆類からの抽出という考え方も方法も取られていな
い。これは、加熱抽出しようとすると穀物の特性として
糊状になり、従来の考え方では非常に困難であったこと
にもよるものと思われる。そのため、本発明において
は、有機溶媒抽出、酸、アルカリ抽出を用い、また、水
抽出の場合、アミラーゼなどを作用させ、抽出を容易に
することにより、目的を達成することができるようにし
たのである。このようにして充分抽出操作を行って初め
て、非常に優れた抗潰瘍剤としての有効成分を抽出する
ことができるのである。
【0019】この本発明品の抗潰瘍剤としての効果をみ
るために、まず、拘束水浸ストレス潰瘍に対する本発明
品の経口投与においての効果を調べた。その方法は、渡
辺らの方法に準じて行った。すなわち、8週齢のddY
系雄性マウスを24時間絶食後、実施例1により得た本
発明品を0.3ml/マウス経口投与し、30分後にスト
レスゲージに入れ、15℃の水中に剣状突起まで浸し、
拘束水浸ストレスを負荷した。5時間後に頸椎脱臼して
屠殺し、胃を摘出した。その後、1%ホルマリン溶液
1.5mlを胃内に注入し、さらに、同液中に浸すことに
より胃組織を軽く固定し、24時間そのまま放置した。
その後、大弯に添って切開し、腺胃部に発生した損傷の
長さ(mm)を測定し、一匹当たりのその総和を潰瘍係数
として表した。また、コントロールとしては、ストレス
ゲージに入れる30分前に同量の生理食塩水を経口投与
したものを用いた。マウスは各々15匹ずつで行った。
その結果を示すと表1のとおりである。
【0020】
【表1】
【0021】表1のように、コントロールとして生理食
塩水を投与したマウスにおける潰瘍係数の平均が65.
8であるのに対して、本発明品を投与したマウスにおけ
る潰瘍係数の平均は、大麦33.0、小麦19.2、大
豆22.2、小豆34.9となり、明らかに本発明品
は、経口投与することにより拘束水浸ストレス潰瘍に対
する抗潰瘍剤として有効であることが判明した。この結
果、本発明品は、胃腸粘膜から直接に作用して抗潰瘍剤
として有効な効果を示すことが判明した。
【0022】次に、拘束水浸ストレス潰瘍に対する本発
明品の皮下投与においての効果を調べた。その方法は、
経口投与の場合と同様に、渡辺らの方法に準じて行っ
た。実施例1により得た本発明品を0.3ml/マウス皮
下投与したもの、および生理食塩水を0.3ml/マウス
皮下投与したもの各々15匹について、30分放置後、
ストレスゲージに入れ、拘束水浸ストレスを負荷し、本
発明品を皮下投与することによる拘束水浸ストレス潰瘍
に対する有効性を調べた。その結果を示すと表2のとお
りである。
【0023】
【表2】
【0024】表2のように、生理食塩水を0.3ml/マ
ウス皮下投与したものにおける15匹の潰瘍係数の平均
は43.2、本発明品を0.3ml/マウス皮下投与した
ものにおけるマウス15匹の潰瘍係数の平均は、大麦2
9.8、小麦19.7、大豆22.1、小豆27.8で
あり、本発明品を皮下投与することにより抗潰瘍剤とし
て有効であることが明らかになった。
【0025】このように皮下投与することにより、本発
明品が抗潰瘍剤として有効な抗潰瘍性を示したことは、
本発明品が胃粘膜に直接的に効果を有するだけではな
く、血液を通して根本的に防ぐという効果をも合わせ持
っているということがいえる。以上の結果より、本発明
品は、ストレス性の潰瘍に対して、経口投与において
も、皮下投与においても有効であるということが判明し
た。
【0026】次に、胃粘膜に直接作用しておこる潰瘍の
一つであるエタノール性の潰瘍に対する本発明品の抗潰
瘍剤としての有効性を経口投与において調べた。ストレ
ス潰瘍に対して、本発明品が経口投与においても、皮下
投与においても有効であることが判明しているので、こ
こでは経口投与の場合のみ行った。エタノール潰瘍はRo
bertらの方法に準じて行った。すなわち、8週齢の Wis
tar/ST系雄性ラットを24時間絶食、16時間絶水
後、実施例2によって得られた本発明品5gを生理食塩
水10mlに溶かしたものを1.0ml/ラット経口投与
し、その30分後、100%エタノールを1.0ml/ラ
ット経口投与し、その30分後、頸椎脱臼して屠殺し、
胃を摘出した。その後、1%ホルマリン溶液10mlを胃
内に注入し、さらに、同液中に浸し、胃組織を軽く固定
し、マウスの場合と同様に腺胃部に発生した潰瘍の総和
を潰瘍係数として測定した。また、この場合も、コント
ロールとして生理食塩水を経口投与したものを用いた。
ここでラットは各々15匹で行った。その結果を示すと
表3のとおりである。
【0027】
【表3】
【0028】表3のように、コントロールとして生理食
塩水を1.0ml/ラット経口投与したラットにおける潰
瘍係数の平均は48.6であるのに対して、本発明品
1.0ml/ラットを経口投与したラットにおける潰瘍係
数の平均は、大麦24.5、小麦18.2、大豆19.
3、小豆23.1であり、本発明品は、胃粘膜に直接作
用しておこるエタノール潰瘍に対しても有効な抗潰瘍剤
であることが判明した。
【0029】これらの結果より、本発明品は、有効では
あるが、胃腸に障害を与えるような医薬品と併用するこ
とにより、それらの薬剤からの胃腸保護剤としても有効
である。以上のとおり、本発明品が経口投与および皮下
投与において、間接的潰瘍の代表としての拘束水浸スト
レス潰瘍に対して有効であること、および直接的潰瘍の
代表としてのエタノール潰瘍に対して有効であるという
結果より、本発明品が潰瘍全般に有効であり、治療薬と
しても、予防薬としても有効であり、経口および皮下投
与においても巾広く利用できることが判明した。
【0030】
【発明の効果】本発明品は、間接的な潰瘍(ストレス潰
瘍)および胃に直接作用する潰瘍(エタノール潰瘍)い
ずれにも顕著な効果を示す。しかも、経口投与において
も、皮下投与においても多大の効果があることは、実用
上内服用にも注射用にもどちらにも利用できるものであ
り、巾広い用途が見込まれる。このように顕著な抗潰瘍
作用を持つものが、安全性が実証されている穀類、豆類
から簡単安価に得られたことは画期的なことである。
【0031】これにより、治癒効果だけでなく、常用し
ても一切問題がないことから、潰瘍の予防効果を合わせ
もち、予防医学の面でも非常に優れた事績になるととも
に、潰瘍をわずらった人の再発防止という観点からも、
これらの人々にとって大きい福音となるものである。
【0032】
【実施例】
実施例1 小麦10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30リッ
トルと液化酵素50gを加え、よく攪拌した。その後、
徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30
℃まで冷却した。その後、しぼり機でしぼり、本発明品
25リットルと残査13kgを得た。
【0033】実施例2 完熟乾燥大豆1kgをよく粉砕し、90%アルコール2リ
ットルを加え、よく攪拌して24時間放置した後、しぼ
り機でしぼり、圧搾液1.5リットルと残査1.3kgを
得た。この圧搾液に2.0リットル加水し、減圧下で濃
縮してエタノールを除去し、本発明品1.4リットルを
得た。
【0034】実施例3 とうもろこし5kgをジューサーでしぼり、搾汁液1.2
リットルと残査3.7kgを得た。この搾汁液をゼライト
濾過して、本発明品1.1リットルを得た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 米を除く穀類、豆類からの搾汁液あるい
    は米を除く穀類、豆類からの水抽出物または有機溶媒抽
    出物をそのまま、あるいはこれを含有してなることを特
    徴とする抗潰瘍剤。
JP30806792A 1992-10-22 1992-10-22 抗潰瘍剤 Expired - Lifetime JP3678430B2 (ja)

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