JPH06135772A - 窒化珪素焼結体の製造方法 - Google Patents

窒化珪素焼結体の製造方法

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JPH06135772A
JPH06135772A JP4309635A JP30963592A JPH06135772A JP H06135772 A JPH06135772 A JP H06135772A JP 4309635 A JP4309635 A JP 4309635A JP 30963592 A JP30963592 A JP 30963592A JP H06135772 A JPH06135772 A JP H06135772A
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景久 濱崎
Kazumi Miyake
一實 三宅
Yasunobu Kawakami
泰伸 川上
Yoshikatsu Higuchi
義勝 樋口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 肉厚の成形体であってもその中心部まで確実
に緻密に焼結することができ、優れた機械的強度及び高
靭性を有する窒化珪素焼結体とすることができる方法を
提供する。 【構成】 窒化珪素粉末と焼結助剤とからなる成形体
を、200kg/cm2 以下の窒素含有雰囲気圧P1 下で昇
温し、1600〜1800℃の第一の保持温度T1に到
達後10〜100分経過した時点(t2 )で窒素含有雰
囲気圧を300kg/cm2 以上の保持圧力P2 に到達する
ように急激に昇圧するとともに、第一の保持温度T1
30〜180分保持したのち、1900℃以上の第二の
保持温度T2まで昇温し、第二の保持温度T2 に30〜
240分保持することを特徴とする窒化珪素焼結体の製
造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化珪素焼結体の製造方
法に関し、特に、肉厚の成形体であってもその中心部ま
で確実に緻密に焼結することができ、優れた機械的強度
及び高靭性を有する窒化珪素焼結体とすることができる
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素を主体とする焼結体は、高強
度、高耐熱性、高耐熱衝撃性、高耐摩耗性、耐酸性等の
優れた性質を有するので、各種の構造用セラミックスと
しての利用が期待されている。
【0003】ところで、窒化珪素はそれ自体は難焼結性
であるために、その焼結に際しては、原料となる窒化珪
素粉末に各種焼結助剤を添加して成形体を作製し、この
成形体を不活性ガス雰囲気下で焼成する方法が一般に採
用されている。特に最近では、焼結反応を促進し、かつ
高密度で機械的強度に優れた焼結体とするために、ま
た、高温での窒化珪素の熱分解を阻止するために、窒素
ガス等の不活性ガス圧を高くした条件で焼成することが
行われている。
【0004】上記のような不活性ガス雰囲気の圧力を高
くした条件でセラミック成形体を焼成する方法では、図
5に模式的に示すように、不活性ガスの圧力と焼成温度
とを同時に上昇させ、焼結の保持温度Tに達する時に、
不活性ガス圧力も実質的に保持圧力Pとなるような焼成
パターンが最も一般的に用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
図5に示すような従来の焼成パターンで肉厚の窒化珪素
焼結体を製造すると、焼結体の中心部が低密度となるこ
とが多かった。これは以下の理由によるものと思われ
る。
【0006】すなわち、窒化珪素粉末と焼結助剤粉末と
からなる成形体が加熱されて焼結を始めると、まず、図
6(a) に示すように、成形体2の表面部20から緻密化
が進行する。このような焼成の初期の段階では、成形体
2の内部21はまだ焼結されておらず、緻密化された表
面部20により、内部21には成形体2の外部圧(不活
性ガス圧)と同等の圧力のガスが閉じ込められることに
なる。成形体の焼結がさらに進行すると、この緻密化さ
れた層が表面部からしだいに内部にむけて成長し(図6
の(b) )、緻密化された層20aは徐々に厚くなる。そ
のために、成形体2の内部21に閉じ込められたガスは
さらに成形体2の外部に逃げにくくなり、またそのガス
圧も大きくなる。したがって、成形体内部の中心部に近
いほど残存ガスにより緻密化が遅れ、得られた焼結体2
a(図6の(c) )の内部22付近の密度が低下する。特
に、実際に焼結反応が開始する時点(上述した図6(a)
の状態)での外部圧(不活性ガス圧)を大きくすると、
成形体内部に残存するガス圧は大きくなる(残存するガ
スの量が多くなる)ので、内部の緻密化はいっそう難し
くなる。
【0007】以上の理由から、従来の方法では、特に肉
厚の焼結体を製造する場合、その内部は低密度となりや
すく、機械的強度に劣るようになる。
【0008】このような不都合を回避するため、種々の
焼結方法が提案されている。たとえば特開昭60−186474
号は、窒化珪素粉末と酸化物助剤との混合粉末からなる
成形体を焼成する際に、(イ)液相生成温度である1200〜
1600℃の温度領域のうち、液相が完全に生成する温度近
傍と、(ロ)ガス発生温度である1400〜1850℃の温度領域
のうち特にガス発生が顕著な温度近傍とにおいて、それ
ぞれ0.5 〜3時間保持して成形体を焼成する方法を開示
している。
【0009】上記の方法によれば、焼成におけるガスの
発生によるいわゆる「フクレ」等の欠陥を低減すること
はできるが、得られる焼結体の機械的強度はまだ十分で
はなく、さらに靭性も大きくない。窒化珪素焼結体等の
セラミックスを構造用セラミックスや各種機械部品等に
用いる場合には、機械的強度ばかりでなく、靭性が大き
いことも重要である。靭性が低ければ、信頼性のあるセ
ラミックス部材とは言いがたい。
【0010】したがって、本発明の目的は、比較的肉厚
の成形体を焼結しても内部の緻密化を達成でき、もって
機械的強度に優れ、かつ高い靭性をも有する窒化珪素焼
結体を製造することができる方法を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、窒化珪素粉末と焼結助剤とからな
る成形体を窒素含有雰囲気下で焼成する際に、まず、比
較的低い窒素含有雰囲気圧下で成形体を昇温し、180
0℃近傍の第一の保持温度に到達してしばらく経過した
時点で、窒素含有雰囲気圧をある水準以上の大きさに急
激に上げ、かつ第一の保持温度に到達後30〜180分
経過した時点でさらに1900℃以上の第二の保持温度
まで昇温し、この第二の保持温度で30〜240分保持
する焼成プログラムとすれば、成形体内部まで緻密に焼
結することができるとともに、焼結体中に針状の結晶組
織を発達させることができ、大きな強度及び高い靭性を
有する焼結体とすることができることを発見し、本発明
に想到した。
【0012】すなわち、窒化珪素粉末と焼結助剤とから
なる成形体を窒素含有雰囲気中で焼成して窒化珪素焼結
体を製造する本発明の方法は、200kg/cm2 以下の窒
素含有雰囲気圧下で昇温し、1600〜1800℃の第
一の保持温度に到達後10〜100分経過した時点で前
記窒素含有雰囲気圧を300kg/cm2 以上の保持圧力に
到達するように急激に昇圧するとともに、前記第一の保
持温度に30〜180分保持したのち1900℃以上の
第二の保持温度まで昇温し、前記第二の保持温度に30
〜240分保持することを特徴とする。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。まず、成
形体の製造に用いる原料について説明する。
【0014】(a) 窒化珪素粉末 窒化珪素粉末は、焼結体の高温強度を向上する目的では
含有酸素量が少ないのが好ましいが、余り酸素量が少な
すぎると焼結性が低くなる。本発明の方法では、含有酸
素量が0.5〜2.0重量%程度の窒化珪素粉末を用い
るのが好ましい。含有酸素量が0.5重量%未満である
と焼結性が低下し、また2.0重量%を超すと高温強度
が低下する。また、窒化珪素粉末の平均粒径は0.3 〜1.
0 μm程度であるのが好ましい。
【0015】なお、窒化珪素粉末の比表面積は8〜12
2 /g程度であることが望ましい。さらに、金属不純
物量は200ppm 以下であることが望ましい。上記した
範囲の比表面積及び金属不純物量とすると、焼結体組織
中に異常粒が成長するのを抑制して微細な組織とするこ
とができ、もって焼結体の機械的強度を向上させること
ができる。
【0016】(b) 焼結助剤 焼結助剤としては、Al化合物とIIIa族元素化合物との混
合物またはIII a 族元素化合物を用いることができる。
ここでIIIa族元素とは、スカンジウム、イットリウム、
及びランタン系列の元素を言う。Al及びIIIa族元素の化
合物としては、酸化物、有機酸塩等が挙げられる。これ
らは主として粉末の状態で窒化珪素粉末に添加する。な
お、成形体の強度(グリーン強度)を向上する目的で、
上述の成分からなるウィスカー状の焼結助剤を用いるこ
ともできる。
【0017】Al化合物としては、Al2 3 、Al2 TiO5
等が好適である。またIIIa族元素化合物としては、Y2
3 、シュウ酸イットリウム、Nd2 3 、Yb2 3 等が
挙げられる。また、3Y2 3 ・5Al2 3 のような固
溶体を用いることもできる。焼結助剤として、より好ま
しくはAl2 3 とY2 3 とを用いる。
【0018】なお、粉末状のAl2 3 とY2 3 とを焼
結助剤として用いる場合、Al2 3粉末の平均粒径は0.4
〜0.5 μm程度、Y2 3 粉末の平均粒径は0.4 〜2
μm程度であるのが好ましい。
【0019】上述した窒化珪素粉末と焼結助剤との配合
比は、用いる焼結助剤により多少異なるが、Al2 3
2 3 とを焼結助剤として用いる場合、Al2 3
0.5〜2重量%、Y2 3 が2.5〜5重量%、残部
実質的に窒化珪素とするのが好ましい。Al2 3 量が2
重量%を上回ると耐酸化性及び高温での強度が低下し、
また0.5重量%を下回ると焼結体の緻密化が進行せ
ず、耐酸化性及び高強度が得られない。一方、Y2 3
量が5重量%を上回ると高温での耐酸化性が低下し、
2.5重量%を下回ると、焼結体の緻密化が進行せず、
耐酸化性及び高強度が得られない。
【0020】次に、本発明の方法について説明する。ま
ず、上記の窒化珪素粉末及び焼結助剤を用い、以下の方
法により成形体を製造する。
【0021】窒化珪素粉末と、Al2 3 粉末、Y2 3
粉末等の焼結助剤とを混合する。この混合は、公知の方
法、例えばボールミル、分散機等により行うことができ
る。なおボールミルによる混合では、混合粉末にエタノ
ール等を加えて行うのが好ましい。また、混合に用いる
ボールとしては、窒化珪素からなるものを用いるのが好
ましい。これによって、混合時に不純物が混入するのを
極力避けることができるようになる。
【0022】得られた混合粉は、金型プレスまたは冷間
静水圧プレス(CIP)等を用いた公知の方法により所
望の形状の成形体とする。なお、成形に際して、必要に
応じてポリビニルアルコール溶液等の成形助剤を添加す
ることができる。
【0023】次に、上記で得た成形体を焼成するが、本
発明では、焼成温度の変化に合わせて窒素含有雰囲気の
圧力を以下に示すようにコントロールする。
【0024】成形体の焼成は、典型的には図1に模式的
に示す焼成パターンにより行う。ここで、図1の上部に
は焼成温度パターンが示されており、下部には窒素含有
雰囲気の圧力変化パターンが示されている。以下、図1
に従って成形体の焼成方法を説明する。
【0025】第一段階(I) 焼成の第一段階(I) では、成形体を第一の保持温度T1
に向けて昇温するが、窒素含有雰囲気の圧力は比較的低
く維持する。まず、昇温速度は6〜10℃/分程度とす
るのが好ましい。一方、窒素含有雰囲気圧は、図1に示
すように徐々に増加させていってもよいし、また、ある
一定の比較的低い圧力に保持していてもよい。ただし、
窒化珪素が分解しない程度の圧力をかけておく必要があ
り、第一段階(I) での窒素含有雰囲気圧は5〜200kg
/cm2 とするのが好ましい。より好ましくは、10〜5
0kg/cm2 とする。
【0026】第二段階(II) 温度が上昇して第一の保持温度T1 に達すると第二段階
(II)に入るが、第二段階(II)でも、窒素含有雰囲気圧を
上述した第一段階(I) における雰囲気圧の程度に低く維
持する。図1に示す例では、第二段階(II)における窒素
含有雰囲気圧を一定圧P1 に設定しているが、必ずしも
第二段階(II)の間を一定圧力とする必要はなく、第一段
階(I) における窒素含有雰囲気圧の範囲内であれば多少
変化してもよい。より好ましくは圧力P1 を10〜50
kg/cm2 とする。
【0027】第一の保持温度T1 は1600〜1800
℃とする。T1 が1600℃未満では焼結反応を良好に
進行させることが難しく、また1800℃を超える温度
とすると、窒化珪素が熱分解するおそれがある。好まし
い第一の保持温度T1 は1750〜1800℃である。
【0028】なお、本発明では、第一の保持温度T1
図1に示すように一定の温度とする必要はなく、T1
温度域に入れば多少変化してもよく、一時的であればT
1 ±30℃程度に変化してもよい。
【0029】この第二段階(II)において、成形体の表面
部には緻密化された層が形成され始めるが、この段階で
はまだ窒素含有雰囲気圧P1 が低いので、緻密化された
表面層により成形体内部に閉じ込められるガス圧は低い
(ガス量は少ない)。また、緻密化された表面層はまだ
完全には硬化しておらず、焼成中の成形体内部に生じる
ガスも比較的容易に外部に放出される。
【0030】第二段階(II)の所要時間Δt(=t2 −t
1 )は、10〜100分とする。時間Δtを10分未満
とすると、成形体の表面部に比較的柔らかい緻密化され
た層が形成されず、そのため後述する第三段階(III) に
おいて従来の方法で得られるのと同様の緻密化し硬化し
た表面層ができることになる。そうすると、ガスが焼結
中の成形体内部に閉じ込められてしまい、焼結体内部の
緻密化が達成できない。一方、100分を超すΔtとす
ると、緻密化された層の焼結が過度に進行して異状粒成
長を起こし、強度低下の原因となる。好ましくは、時間
Δtを30〜60分とする。
【0031】第三段階(III) 第一の保持温度T1 に達した時点t1 から所定の時間Δ
tが経過した時点t2で、こんどは窒素含有雰囲気圧を
急激に上げる。この時、昇圧後の雰囲気圧(保持圧力)
2 を300kg/cm2 以上とする。保持圧力P2 が30
0kg/cm2 未満であると、焼結体の内部のほぼ全体がた
とえ高密度となっても、ごく僅かに焼結体内に残る微小
な空孔部をより小さくすることができず、そのためその
空孔部が欠陥となり機械的強度が低下する。本発明者の
研究によれば、保持圧力を300kg/cm2 以上とすると
空孔部の最大径を非常に小さく抑えることができ、機械
的強度を向上することができる。好ましくは保持圧力P
2 を500〜2000kg/cm2 とする。
【0032】なお、本発明では、保持圧力P2 を昇圧前
の圧力P1 の2倍以上とするのが好ましい。保持圧力P
2 が圧力P1 の2倍未満であると焼結体の内部の緻密化
(高密度化)が難しくなる。
【0033】第三段階(III) の所要時間(t3 −t2
は60〜120分とするのが好ましいが、これは上述の
第二段階(II)の所要時間(t2 −t1 )の長さを考慮し
て設定する。具体的には、第二段階(II)と第三段階(II
I) の合計の時間(t3 −t1)が30〜180分となる
ように設定する。
【0034】第四段階(IV) 第二段階(II)の初期から30〜180分(t3 −t1
間)経過した時点で(時刻t3 で)、窒素含有雰囲気圧
を保持圧力P2 に保ったまま第二の保持温度T2 まで昇
温する。このときの昇温速度は6〜10℃/分とするの
が好ましい。第二の保持温度T2 に達したら、その温度
に30〜240分保持する。すなわち、図1においてt
5 −t4 を30〜240分とする。
【0035】第二の保持温度T2 は1900℃以上、好
ましくは1900〜1950℃とする。第二の保持温度
2 が1900℃未満では、窒化珪素焼結体中に針状結
晶組織が形成されず、靭性に富んだ焼結体とすることが
できない。なお、第二の保持温度T2 は必ずしも一定に
固定する必要はなく、上記した温度範囲内であれば多少
変化してもよい。
【0036】第五段階(IV) 上記の第四段階(IV)での高温高圧の焼成が終了したら冷
却する。この第五段階(IV)の冷却は炉冷(放冷)として
よい。また、高い窒素含有雰囲気圧もすぐに解除してよ
い。
【0037】以上の方法によれば、成形体がたとえば1
00mm程度の肉厚物であっても、その中心部付近を緻密
に焼結することができ、機械的強度を低下させるような
空孔部等の欠陥を残すこともない。さらに、焼結体中に
針状の結晶組織を発達させることができる。
【0038】上記した本発明の方法により製造された窒
化珪素焼結体における針状結晶組織中の針状粒子の大き
さは、長径の平均で50〜70μmとなる。またアスペ
クト比は10〜15となる。さらに、中心部における密
度は3.2g/cm3 以上となる。
【0039】
【作用】本発明の方法によれば、焼結の初期段階の窒素
含有雰囲気圧がまだ低圧である時に(上述した第二段階
までに)比較的柔らかな表面緻密層が形成され、そのた
め焼成中の成形体内部に存在するガスが容易に成形体外
部に抜けることができる。また、成形体の内部に閉じ込
められるガスの圧力も低くなり(閉じ込められるガスの
量が少なくなり)、ガス成分は容易に成形体内部に拡散
できる。次に、第三段階として窒素含有雰囲気圧を急激
に上げるので、内部に空孔を形成することなく確実に緻
密化される。
【0040】本発明では、さらに1900℃以上の高い
第二の保持温度に特定時間保持するので、焼結体中に緻
密な針状結晶組織が形成され、高い靭性を有する焼結体
となる。
【0041】
【実施例】以下の具体的実施例により、本発明をさらに
詳細に説明する。実施例1 窒化珪素粉末(SN−E10、宇部興産(株)製)9
6.5重量%と、Al2 3 粉末(AKP30、住友化学
(株)製)2.5重量%と、Y2 3 (微粉末、日本イ
ットリウム株式会社製)1.0重量%とからなる粉末混
合物500gに、エタノール500gを加え、400g
の窒化珪素製ボールを用いて16時間のボールミル混合を
行った。
【0042】得られた混合物をロータリーエバポレータ
により乾燥し、CIP(3000kg/cm2 の圧力) によりφ
40mm×高さ50mmの大きさに成形した。
【0043】上記の成形体を窒素ガス雰囲気下で、図1
に示す焼成パターンで焼成した。ここで第一段階(I)に
おける昇温速度を10℃/分とし、第一の保持温度T1
を1800℃、第二の保持温度T2 を1950℃とし
た。なお、第四段階の初期における第二の保持温度T2
までの昇温速度は6℃/分とした。
【0044】また、圧力については、第二段階における
窒素ガス雰囲気圧P1 を30kg/cm2 、保持圧力P2
1000kg/cm2 とした。さらに各段階の時間について
は、第二段階の所要時間(Δt)を1時間、第二段階と
第三段階の合計の時間(t3−t1 )を60分とした。
また第四段階において第二の保持温度T2 に保持する時
間(t5 −t4 )を120分とした。なお、第五段階の
冷却は炉冷とした。
【0045】得られた焼結体の強度をJIS R1601 に準拠
して測定したところ、20本の焼結体の平均で95kg/mm
2 であった。また、破壊靭性をJIS R 1607に準拠して測
定したところ7.0 MPa(m)1/2 であった。さらに、そ
のワイブル係数も求めた。破壊靭性値とワイブル係数の
値を図2に示す。さらにまた、焼結体の中心部の密度を
測定したところ3.2g/cm3 であった。
【0046】また、焼結体の中心部の組織を走査型電子
顕微鏡により観察したところ、緻密な針状結晶組織がみ
られた。電子顕微鏡写真を図3に示す。
【0047】比較例1 図1に示す焼成プログラムにおいて、第四段階での第二
の保持温度(T2 =1950℃)への昇温を行わず、第
二段階〜第四段階を通して第一の保持温度1800℃に
保持した以外は、実施例1と同様にして焼結体を製造し
た。
【0048】得られた焼結体について、実施例1と同様
にして強度を測定した。平均の強度は93kg/mm2 であ
った。また、同様に破壊靭性及びワイブル係数を求め
た。破壊靭性及びワイブル係数の値を図2に示す。さら
に、実施例1と同様に焼結体の中心部の密度を測定した
ところ3.2g/cm3 であった。
【0049】また、焼結体の中心部の組織を走査型電子
顕微鏡により観察したところ、十分な針状結晶組織はみ
られなかった。電子顕微鏡写真を図4に示す。
【0050】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明の方法に
よれば、100 mm程度の比較的肉厚の焼結体でもその中心
部を確実に緻密化することができ、機械的強度に良好な
焼結体を製造することができる。また、本発明の方法に
よれば、緻密な針状結晶組織を有する窒化珪素焼結体と
することができるので、機械的強度のみならず、高い靭
性を有する焼結体とすることができる。
【0051】本発明の方法は、肉厚の焼結体の内部を緻
密化する目的ばかりではなく、焼結助剤を少なくした
系、また焼結助剤が高融点である系(例えばY2 3
Yb2 3 との混合物を焼結助剤とする系)等の焼結しに
くい系の焼結にも適用することができる。
【0052】本発明の方法による窒化珪素焼結体は、上
述の通り高密度で大きな機械的強度を有し、且つ高い靭
性を有しているので、自動車部品を始めとする各種機械
部品、構造用材等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法における焼成温度と不活性ガス圧
力の変化パターンの典型的な例を示すグラフである。
【図2】実施例1及び比較例1の焼結体における破壊靭
性値とワイブル係数とを示すグラフである。
【図3】実施例1の焼結体中の粒子構造を示す電子顕微
鏡写真である。
【図4】比較例1の焼結体中の粒子構造を示す電子顕微
鏡写真である。
【図5】従来のセラミック成形体の焼成パターンの典型
的な例を模式的に示すグラフである。
【図6】セラミック成形体の焼成時における焼結挙動を
示す模式断面図である。
【符号の説明】
2 成形体 2a 焼結体 20 緻密化された表面層 21 成形体内部 20a 緻密化された層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樋口 義勝 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素粉末と焼結助剤とからなる成形
    体を窒素含有雰囲気中で焼成して窒化珪素焼結体を製造
    する方法において、200kg/cm2 以下の窒素含有雰囲
    気圧下で昇温し、1600〜1800℃の第一の保持温
    度に到達後10〜100分経過した時点で前記窒素含有
    雰囲気圧を300kg/cm2 以上の保持圧力に到達するよ
    うに急激に昇圧するとともに、前記第一の保持温度に3
    0〜120分保持したのち1900℃以上の第二の保持
    温度まで昇温し、前記第二の保持温度に30〜240分
    保持することを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、前記第
    二の保持温度を1900〜2000℃とすることを特徴
    とする窒化珪素焼結体の製造方法。
JP4309635A 1992-10-23 1992-10-23 窒化珪素焼結体の製造方法 Expired - Lifetime JP2747635B2 (ja)

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JPS62113769A (ja) * 1985-11-14 1987-05-25 日本特殊陶業株式会社 窒化ケイ素焼結体の製造方法

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JPS62113769A (ja) * 1985-11-14 1987-05-25 日本特殊陶業株式会社 窒化ケイ素焼結体の製造方法

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