JPH06134322A - イオン交換樹脂 - Google Patents

イオン交換樹脂

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JPH06134322A
JPH06134322A JP4286204A JP28620492A JPH06134322A JP H06134322 A JPH06134322 A JP H06134322A JP 4286204 A JP4286204 A JP 4286204A JP 28620492 A JP28620492 A JP 28620492A JP H06134322 A JPH06134322 A JP H06134322A
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JP
Japan
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ion exchange
phase
exchange resin
resin
bicontinuance
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JP4286204A
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Shinichi Shimizu
愼一 清水
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ICI Japan Ltd
Original Assignee
ICI Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 固体である樹脂相と液体相または気体相によ
るバイコンティニュアス構造を有することを特徴とする
イオン交換樹脂、並びに少なくとも(1)両親媒性物
質、(2)重合性モノマー類混合物から成るオイル相、
(3)オイル相に相溶性のない液相、の3種類の材料の
組成物を用いて調製したバイコンティニュアスマイクロ
エマルジョンを重合させることによって生成されたバイ
コンティニュアス構造を持つ固体基体を利用して成るこ
とを特徴とするイオン交換樹脂。 【効果】 上記イオン交換樹脂は、従来のイオン交換樹
脂に比べて、寸法安定性がより良く、イオン交換容量が
より大きくかつイオン交換速度がより速いという特徴を
有する。さらに、上記イオン交換樹脂は、バイコンティ
ニュアス構造を有する基体に後処理することによって陰
イオン交換樹脂にも陽イオン交換樹脂にも変換すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末状、ビーズ状ある
いは膜状等の形態で種々の産業で利用されているイオン
交換樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の産業において種々の物質の
分離回収においてイオン交換樹脂は広く用いられてい
る。例えば、水や食品などの精製プロセス、廃水処理、
ウラン等に代表される鉱物資源の回収、種々の化学反応
の触媒、イオン交換クロマトグラフィーによる分析分
離、膜状のイオン交換樹脂による電気透析などに利用さ
れている。
【0003】イオン交換樹脂には、粉末状、ビーズ状、
膜状など種々の形態が存在するが、ミクロな構造に注目
すると次の3つのタイプに分類される. ゲル型イオン交換樹脂 : スチレンとジビニルベンゼン
を無溶媒で重合させたものを基体とするイオン交換樹脂
で不均一に架橋したゲル状の構造を持つ。最も古典的な
イオン交換樹脂である。
【0004】多孔性型イオン交換樹脂: 重合の際に溶
媒を使用することによって孔径20nmから100nm
程度のマクロポアを作ることができ、この方法で作られ
た樹脂を基体とするイオン交換樹脂でMR型と呼ばれて
いるものも含まれる。このタイプのイオン交換樹脂で
は、極性の低い溶媒でも樹脂内部に入り込むことができ
るために非水溶液系でも使用することができる。この方
法で作られたマクロポアは連続しておらず均一度にも欠
けるため、ゲル型樹脂に比べてイオン交換容量は低い。
しかし物理的強度は高く浸透圧や機械的圧力に対する耐
性は高い。
【0005】担体担持型イオン交換樹脂: 担体の表面
をイオン交換樹脂薄膜で覆ったものである。イオン交換
樹脂層が非常に薄いため交換容量は非常に少ないが、イ
オン交換速度が速い利点がある。また機械的強度も使用
する担体によって高くすることができ、このため寸法安
定性に非常に優れている。
【0006】一方、バイコンティニュアス構造とは2相
の分散系の中で各相が連続相であるものを言う。すなわ
ち空気相と樹脂相の2相を考えた場合のスポンジの様な
状態を指す。バイコンティニュアス構造は、特にコロイ
ドの分野で取り上げられることが多く、両親媒性物質を
多量に含有する、濃厚なコロイドにおいてよく生じる状
態であり、水相(W相)とオイル相(O相)の系におい
てはO/W分散系とW/O分散系の間に生じる相でミド
ル相とも呼ばれる。この現象は、例えばホルムアミド相
(F相)とヘキサン相(H相)の様に互いに自由に溶け
合わない有機相同志においても生じ得る。この分散系全
体のある瞬間の、任意の平面による断面の任意の方向の
O相W相またはF相H相の繰返し周期を用いることによ
って、通常のバイコンティニュアスでない分散系と同様
に粒径を議論することができる。事実バイコンティニュ
アスマイクロエマルジョンにおいて小角中性子線散乱、
小角X線散乱または動的光散乱等の測定により繰返し周
期(粒径)が計測されている。
【0007】また、マイクロエマルジョンとは液液分散
系でミセルコロイドとエマルジョンの中間に位置し、エ
マルジョンは熱力学的には安定なものではないが、ミセ
ルコロイドとマイクロエマルジョンは熱力学的に安定な
状態である。その平均粒径は1nm以上1μm以下のも
のが多い。粒径が1nm未満の液滴は分散系とも完全混
和/溶解系とも考えられる為に液滴相を定義することが
できず、粒径が1μmを超える液滴の場合には熱力学的
に安定なものは少なく特にバイコンティニュアスマイク
ロエマルジョンの場合には相分離を起こす為に安定な分
散液は得られない。
【0008】既に1nm以上1μm以下の平均繰返し周
期を持つバイコンティニュアス構造を生成させる技術
は、ヨーロッパ特許出願公開EP−449450−A1
に記載されているようにバイコンティニュアスマイクロ
エマルジョンのミクロ構造を重合により固定することに
より確立されている。さらに、1μm−10μmの平均
繰返し周期を持つバイコンティニュアス構造を製造する
技術の関しては、Journal of Polyme
r Science: Part C: Polyme
r Letters,1988,Vol 26,429
−432頁に記載されているようにバイコンティニュア
スマイクロエマルジョンの相成長変化を利用する方法が
確立されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】寸法安定性に優れてか
つイオン交換容量が大きなイオン交換樹脂が必要である
場合などに適した従来のイオン交換樹脂は、選択の余地
が少なく、さらに粉末状、ビーズ状、膜状あるいはその
他の特別な形状に成形しても、充分なイオン交換容量お
よびイオン交換速度を持つイオン交換樹脂が要求される
場合など、これらの要求性能を同時に満たす適切なイオ
ン交換樹脂が見いだされぬ場合も多かった。本発明は、
これら従来のイオン交換樹脂の持つ問題点を解消し、優
れた寸法安定性、高イオン交換容量およびイオン交換速
度を有するイオン交換樹脂である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これら従来
のイオン交換樹脂が有する問題点を解消し、充分なイオ
ン交換容量をもち、優れた寸法安定性、高いイオン交換
速度および優秀な成形性を兼ね備えたイオン交換樹脂を
得ることを目的として、種々研究検討した結果、バイコ
ンティニュアス構造を持つ樹脂基体を利用して全く新し
いミクロ構造を持つイオン交換樹脂が、その目的を達成
し得ることを見出した。
【0011】本発明は、固体である樹脂相と液体相また
は気体相によるバイコンティニュアス構造を有すること
を特徴とするイオン交換樹脂である。このバイコンティ
ニュアス構造とは溶け合わない2相が互いに連続相を形
成する構造を言い、たとえば、両親媒性物質、重合性モ
ノマー類および塩類水溶液を用いて調製したバイコンテ
ィニュアスマイクロエマルジョンを熱、光または放射線
を用い重合させることによってバイコンティニュアス構
造をそのまままたは相成長を起こさせた後に固定化させ
ることにより調製される。このバイコンティニュアスマ
イクロエマルジョンとは、マイクロエマルジョンと呼ば
れる熱力学的に安定なコロイド状態の1種であり、マイ
クロエマルジョンのうちで両相が連続相であるために分
散媒と分散相の区別がないものを言う。
【0012】また、バイコンティニュアス構造を有すれ
ば本発明のイオン交換樹脂であるが、バイコンティニュ
アス構造の平均繰返し周期(すなわちマイクロエマルジ
ョンでの平均粒径に当たる長さ)に関しては、それが1
nm未満であると上記のように完全混和/溶解系の均一
系とも考えられ、イオン交換の際の交換イオンの拡散流
路が狭くなりすぎ、本発明のイオン交換樹脂の特徴であ
る速いイオン交換速度および高いイオン交換容量の実現
が困難になる。一方、平均繰返し周期が10μmを超え
る場合は平均繰返し周期を増大させてもイオン交換速度
およびイオン交換容量が改善されずに、寸法安定性も悪
くなり、更に相分離の発生により重合前および重合中の
バイコンティニュアスマイクロエマルジョンが不安定と
成る。従って、本発明のイオン交換樹脂のバイコンティ
ニュアス構造の平均繰返し周期は1nm以上10μm以
下が優れたイオン交換容量およびイオン交換速度を同時
に示し、好ましい。
【0013】イオン交換基は、種々の方法で導入するこ
とができる。例えば、バイコンティニュアス構造の基体
を調製するときにイオン交換基を持つモノマーを重合さ
せることによっても導入できるし、両親媒性物質中のイ
オン性基またはバイコンティニュアス構造の基体を化学
変化または物理変化させることによって導入されたイオ
ン性基をイオン交換基として利用することもできる。
【0014】ここで言う化学変化とは、通常のイオン交
換樹脂またはイオン交換膜を生成する際に用いるスルホ
ニル基、カルボキシル基、トリメチルベンジルアンモニ
ウム基、ジメチルヒドロキシエチルベンジルアンモニウ
ム基、カルボキシルジフルオロメチレン基またはスルホ
ニルジフルオロメチレン基等の導入反応、加水分解、化
学吸着および縮合等の化学的な変化を指す。
【0015】物理変化とは、コーティング、物理吸着、
含浸およびスパッター等の方法での物理的な変化を指
す。
【0016】両親媒性物質としては、例えば臭化セチル
トリメチルアンモニウムまたは臭化セチルピリジニウム
の様な陽イオン性界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナト
リウムの様な陰イオン性界面活性剤、例えばソルビタン
トリステアレートまたはグリセリルモノオレエートの様
な非イオン性界面活性剤およびその混合物が使用できる
が、これらの界面活性剤混合物にさらに補助界面活性剤
としてn−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサ
ノールまたは2−エチルヘキサノール等の短炭素鎖アル
コール、サリチル酸またはサリチル酸ナトリウム等の酸
またはそのアルカリ塩を加えることが好ましく、更に好
ましくは、臭化ジメチルジドデシルアンモニウム、塩化
ジメチルジオクタデシルアンモニウム、またはスルホコ
ハク酸ナトリウムのジアルキルエステルのごときアルキ
ル鎖を2本持つ界面活性剤を用いることができる。また
更に好ましくは、ヨーロッパ特許出願公開EP−449
450−A1に記載されているような、重合性がありア
ルキル鎖を2本持つ界面活性剤を使用するとバイコンテ
ィニュアス構造の平均繰返し周期すなわち穴の大きさを
1μm以下に広く変化させることができる。
【0017】オイル相とは必ずしも常圧室温において液
体である必要はなく、加熱、加圧またはその両方等の方
法によって均一の組成に混和する状態であれば良い。オ
イル相の重合性モノマーとしては、通常付加重合性、縮
重合性、開環重合性またはその他の機構の重合性のある
モノマーであれば使用することができるが、好ましく
は、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、スチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオ
ロプロピレン、トリフルオロスチレンの様なラジカル付
加重合を成し得るモノマーが好都合に使用できる。また
更に好ましくは、これらのモノマーに、例えば、ジビニ
ルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリメチロー
ルプロパントリメタクリレートおよびジペンタエリスリ
トールヘキサメタクリレート等多官能のモノマーを混合
し3次元架橋させることによって、本発明のイオン交換
樹脂の耐久性および寸法安定性をさらに向上させること
もできる。さらにオイル相には重合反応性のない溶媒等
の化合物を含有させることもできる。
【0018】オイル相と相溶性のない液相とは複数の物
質の混合物で良く、かつ必ずしも常圧室温において液体
である必要はなく、加熱、加圧またはその両方等の方法
によって均一の組成に混和する状態であれば良い。この
液相としては、オイル相と相溶性のないものであれば使
用することができる。一般には、種々の無機塩、有機塩
またはその混合物の水溶液または純水が用いられるが、
例えば、ホルムアミドまたはエチレングリコールの様な
極性の高い有機溶媒も用いることができる。
【0019】使用する両親媒物質、オイル相およびオイ
ル相に相溶性のない液相の組み合せによって、種々の重
合法、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン
重合、縮重合および開環重合等の重合方法を採用するこ
とができるが、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイ
ルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドまたは過硫
酸アンモニウム等のラジカル開始剤を用いる熱ラジカル
重合法、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェ
ノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、フルオレノン
およびアントラキノンのごとき種々の紫外光開始剤また
はカンファーキノンとN,N−ジメチルアミノエチルメ
タクリレートの組み合せのごとき可視光開始剤を用いる
光ラジカル重合法、電子線のごとき放射エネルギー線を
もちいる放射線重合法等も好都合に用いることができ
る。
【0020】重合の形態は一般には塊状重合が用いられ
るが、オイル相に溶媒を添加し更にオイル相と相溶性の
ない液相の添加量を加減することによって溶液重合も採
用することができる。さらにオイル相にもオイル相に相
溶性のない液相にも共に相溶しない例えばスリーエム社
製フロリナートFC−70等のフッ素化溶媒等を用いる
ことによって、懸濁重合または乳化重合を採用すること
ができ、ビーズ状または粉末状の重合体を生成すること
ができる。
【0021】本発明のイオン交換樹脂の形状は、前述の
ようにビーズ状、粉末状に限らず、色々な成形方法を採
用することによってさまざまな形状をとることができ
る。例えば射出成形等を採用することによって、非常に
複雑な形状のイオン交換樹脂であっても簡単に生成でき
る。
【0022】本発明のイオン交換樹脂は、通常のイオン
交換樹脂またはゼオライトなどを利用している用途の多
くに適用できるが、特に寸法安定性を必要とする大規模
なプラントにおけるイオン交換、水の精製、廃水の処理
に都合良く用いられる。更に寸法安定性が要求される膜
形態で用いる用途、種々の形態に成形する必要のある電
池などのイオン分離材料としての用途、およびイオン交
換クロマトグラフィー等の分析分野での用途にも好都合
に利用できる。さらに本発明のイオン交換樹脂の用途は
水系に限定されることはなく、非水系のイオン交換また
はイオン分離であっても良い。
【0023】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明は、これらに
よって限定されるものではない。実施例または比較例中
に%と示している場合は、すべて重量%である。
【0024】
【実施例1】フラスコ中で東京化成工業株式会社製11
−ブロモウンデカノール251gと東京化成工業株式会
社製N−n−ブチル−N,N−ジメチルアミン102g
をエタノール1kg中に溶解させた後に、冷却器を取り
付けオイルバス中で加熱し約20時間エタノールを還流
させた。この反応液を減圧下で濃縮して4級アンモニウ
ム塩の粗結晶を得た。これをアセトンに加熱溶解させた
後冷却して、再結晶による精製を行なった。収率約75
%で得られた精製結晶を充分に乾燥させた後、トルエン
中トリエチルアミン存在下で東京化成工業株式会社製メ
タクリル酸塩化物と反応させ、重合性両親媒性物質であ
る臭化N−n−ブチル−N,N−ジメチル−N−(11
−メタクリロイルオキシウンデシル)アンモニウムを収
率約55%で合成した。
【0025】合成した重合性両親媒性物質とメタクリル
酸メチルの1対1混合物に1%のアゾビスイソブチロニ
トリルを添加したオイル相に純水を等量加えて、重合性
バイコンティニュアスマイクロエマルジョンを調製し
た。この溶液は、完全に透明で濁りはなかった。調製し
た重合性マイクロエマルジョンに窒素ガスをバブリング
させ、溶存酸素を追い出した後、容量が2mlのガラス
製サンプルビンに分注し、それぞれを60℃の恒温槽中
で24時間放置し、1粒が約2mlの重合体塊を得た。
【0026】得られた重合体塊は、サンプルビンを破砕
して取り出した。重合体塊は脱イオン水に2日間浸漬し
未反応の重合性両親媒物質を取り除いた後、さらに1m
ol/l程度の水酸化ナトリウム水溶液中に1日浸漬し
た後、脱イオン水に浸漬して脱イオン水を交換する方法
で2日間洗浄しOH型の樹脂を陰イオン交換の実験に使
用した。
【0027】
【実施例2】実施例1で用いたメタクリル酸メチルの代
わりにメタクリル酸メチルとエチレンジメタクリレート
の9対1混合物を用いて実施例1と同様に重合体塊を調
製した。これを陰イオン交換の実験に使用した。
【0028】
【実施例3】実施例1で用いたメタクリル酸メチルの代
わりにスチレンとジビニルベンゼンの9対1混合物を用
いて実施例1と同様に重合体塊を調製した。これを陰イ
オン交換の実験に使用した。
【0029】
【実施例4】実施例3で調製した重合性マイクロエマル
ジョンを厚さ0。5mmのPTFE(ポリテトラフルオ
ロエチレン)製のガスケットを挟んだPTFE製の板に
充填した後に、実施例1と同様の重合、脱イオン水によ
る抽出および対イオンの変換を行いフィルム状の重合体
を得た。これを陰イオン交換の実験に使用した。
【0030】
【実施例5】実施例3で調製した重合体塊をソックスレ
イ抽出器を用いて約20時間アセトン抽出を行ない、水
相とアセトン相を交換した。更にこの重合体塊を1,2
−ジクロロエタン中に浸漬した後、この1,2−ジクロ
ロエタンを蒸留し、アセトンを除くとともに共沸によっ
て水を取り除いた。このようにして水相と1,2−ジク
ロロエタン相を交換した重合体塊を1,2−ジクロロエ
タン中で塩化亜鉛を触媒としてクロロメチルメチルエー
テルと60℃で20時間反応させ、クロロメチル化重合
体塊を調製した。更にこの重合体塊を1,4−ジオキサ
ン中でジメチルアミノエタノールと反応させ4級アンモ
ニウム塩で修飾した重合体塊を得た。これを陰イオン交
換の実験に使用した。
【0031】
【実施例6】実施例3で調製した重合体塊をソックスレ
イ抽出器を用いて約20時間アセトン抽出を行ない、水
相とアセトン相を交換した。更にこの重合体塊を1,2
−ジクロロエタン中に浸漬した後、この1,2−ジクロ
ロエタンを蒸留し、アセトンを除くとともに共沸によっ
て水を取り除いた。このようにして、水相と1,2−ジ
クロロエタン相を交換した重合体塊を1,2−ジクロロ
エタン中でクロロスルホン酸と80℃で7時間反応させ
クロロスルホン化させ、さらに脱イオン水で加水分解さ
せてスルホン酸基をもった重合体塊を得た。これを陽イ
オン交換の実験に用いた。
【0032】
【実施例7】花王株式会社製の反応性活性剤ラテムルS
−180(アルケニルスルホコハク酸ナトリウム塩)に
溶媒として含まれるイソプロパノールを減圧下で、でき
るだけ温度を上昇させないで留去したものを重合性両親
媒性物質として用い、実施例2と同様にスチレン/ジビ
ニルベンゼン系の重合体塊を調製した。これを陽イオン
交換の実験に用いた。
【0033】
【比較例1】通常の陰イオン交換樹脂であるオルガノ株
式会社製アンバーライトIRA−400を陰イオン交換
実験に用いた。
【0034】
【比較例2】MR型の陰イオン交換樹脂であるオルガノ
株式会社製アンバーライトIRA−900を陰イオン交
換実験に用いた。
【0035】
【比較例3】通常の陽イオン交換樹脂であるオルガノ株
式会社製アンバーライトIR−120Bを陽イオン交換
実験に用いた。
【0036】
【試験例】各実施例および比較例で得られた重合体に関
して、イオン交換容量、イオン交換速度およびイオン交
換時の体積変化に関し、以下に示す評価方法によって評
価した。実施例3と実施例5に関しては走査型電子顕微
鏡による観察で、約25nmの繰返し周期を持つバイコ
ンティニュアス構造を確認した。
【0037】イオン交換容量 陰イオン交換樹脂に関しては、約1mol/lの塩酸水
溶液中に1日浸漬した後、脱イオン水で洗浄したものを
用いた。このCl型の樹脂を20mmol/lの水酸化
ナトリウム水溶液中に入れ、経時的にサンプリングし、
滴定法で分析して、時間に対する単位重量当たりのイオ
ン交換当量、すなわちイオン交換曲線を測定した。滴定
には、2mmol/lの塩酸水溶液と指示薬フェノール
フタレインエタノール溶液を用いる逆滴定法を採用し
た。この曲線でほぼ飽和を示す24時間経過後の値を、
イオン交換容量とした。
【0038】陽イオン交換樹脂に関しては、約1mol
/lの水酸化ナトリウム水溶液中に1日浸漬した後、脱
イオン水で洗浄したものを用いた。このNa型の樹脂に
ついて、20mmol/lの塩酸水溶液を用いて、陰イ
オン交換樹脂の場合と同様にイオン交換曲線を逆滴定法
で測定した。滴定には、2mmol/lの水酸化ナトリ
ウム水溶液と指示薬フェノールフタレインエタノール溶
液を用いた。この曲線でほぼ飽和を示す24時間経過後
の値を、イオン交換容量とした。
【0039】イオン交換実験に使用する直前の試料を脱
イオン水より取り出し、素速くガーゼで水分を拭いとっ
た後直ちに秤量した。このイオン交換前の試料重量を基
準にしてイオン交換容量を算出した。更に72時間以上
にわたるイオン交換実験の終了した後、試料を脱イオン
水に2日以上浸漬し、これについても同様に重量を測定
しイオン交換後の試料重量とした。
【0040】測定試料としては、実施例4を除く実施例
に関してはすべて体積約2ml(直径約9mm高さ約3
0mmの円筒状試料)の重合体塊1粒をそのまま用い
た。実施例4では20mm×50mmのフィルムを4枚
用いて実験を行ない、比較例に関しては50〜100メ
ッシュの球状試料を約2g用いた。なお、これらの条件
より、実施例4を除く各実施例の試料の表面積を10c
、実施例4の合計表面積を83cm、比較例の合
計表面積を600cmと見積った。
【0041】イオン交換速度 前項のイオン交換曲線において、イオン交換容量に対す
る経過時間1時間のイオン交換率を単位表面積当たりに
換算したものをイオン交換速度とした。
【0042】イオン交換時の体積変化 イオン交換後の試料重量よりイオン交換前の試料重量を
減じ、さらに交換した対イオンによる重量変化を補正し
た値を、イオン交換前の試料重量で除しパーセント表示
したものを、脱イオン水による膨潤の程度の変化とし、
イオン交換時の体積変化率とした。比較例については、
小粒の試料で同様の測定が困難であったのでそれぞれの
カタログ値を用いて比較した。
【0043】各実施例および比較例において得られた試
料のイオン交換特性は、表1および表2に示す通りであ
った。本発明のイオン交換樹脂はいずれもイオン交換速
度において比較例よりも優れており、イオン交換時の体
積変化率に関しても、樹脂が3次元架橋されていない実
施例1が比較例と同程度であったが、3次元架橋された
実施例2乃至7で示されるように(実施例2は実施例1
に約10%の2官能モノマーを加えたものに相当す
る。)、2官能モノマーを架橋剤として加えることによ
って飛躍的に改良された。この特性は特に成形したイオ
ン交換樹脂を利用する場合に最も重要な性質であり、こ
の特性によってイオン交換樹脂の新たな用途が生じ得
る。またイオン交換容量もバイコンティニュアス構造を
有するイオン交換樹脂基体を調製した後に適当なイオン
交換基付与処理を行なうことによって、飛躍的に増大さ
せることができた。
【0044】
【表1】
【表2】
【0045】
【発明の効果】種々の産業がより区別化差別化されてい
く中で、イオン交換樹脂への要求もより厳しいものにな
っている現状で、本発明はイオン交換樹脂のミクロな構
造に関して、全く新規のカテゴリーを創造し、両親媒性
物質のセルフアセンブリ挙動を利用することによって制
御可能なより高次の立体構造をイオン交換樹脂に与え
た。
【0046】本発明によれば、より寸法安定性の良いイ
オン交換樹脂を生成することができ、よりイオン交換容
量が大きくかつよりイオン交換速度の速いイオン交換樹
脂を生成することもでき、さらにバイコンティニュアス
構造を有する基体に後処理することによって陰イオン交
換樹脂にも陽イオン交換樹脂にも変換することができ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体である樹脂相と液体相または気体相
    によるバイコンティニュアス構造を有することを特徴と
    するイオン交換樹脂。
  2. 【請求項2】 少なくとも次に挙げる3種類の材料の組
    成物を用いて調製したバイコンティニュアスマイクロエ
    マルジョンを重合させることによって生成されたバイコ
    ンティニュアス構造を持つ固体基体を利用して成ること
    を特徴とするイオン交換樹脂。 (1)両親媒性物質 (2)重合性モノマー類混合物から成るオイル相 (3)オイル相に相溶性のない液相
  3. 【請求項3】 両親媒性物質中のイオン性基またはバイ
    コンティニュアス構造の基体を化学変化または物理変化
    させることによって導入されたイオン性基をイオン交換
    基に利用して成ることを特徴とする請求項1または請求
    項2記載のイオン交換樹脂。
JP4286204A 1992-10-23 1992-10-23 イオン交換樹脂 Pending JPH06134322A (ja)

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