JPH06132098A - リング,リングの四極電磁石およびその制御装置 - Google Patents

リング,リングの四極電磁石およびその制御装置

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JPH06132098A
JPH06132098A JP4303295A JP30329592A JPH06132098A JP H06132098 A JPH06132098 A JP H06132098A JP 4303295 A JP4303295 A JP 4303295A JP 30329592 A JP30329592 A JP 30329592A JP H06132098 A JPH06132098 A JP H06132098A
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quadrupole electromagnet
electromagnet
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ring
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Tetsuya Nakanishi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 四極電磁石により、ビームを集束させるだけ
でなく、ビーム軌道およびクロマティシティの補正を行
えるようにする。 【構成】 二極磁場を発生して、ビーム軌道を補正さ
せ、六極磁場でクロマティシティを補正させるシムコイ
ル1を四極電磁石に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば荷電粒子を高
エネルギーに加速するシンクロトロン或は荷電粒子を蓄
積する蓄積リングなどのリング、このリングの四極電磁
石およびこの四極電磁石の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図16は例えば1984年,OHO8
4,「高エネルギー加速器入門」に示された従来の四極
電磁石を示す概略図であり、図17は1982年に分子
科学研究所出版,「UVSORストレージリングの設
計」に示されたクロマティシティ補正方法を用いたスト
レージリングを示す概略図である。
【0003】図16において、2は四極磁場を発生させ
る主コイル、3は磁極、4はリターンヨーク、17は四
極磁場発生用補助コイルである四極シムコイルである。
また図17において、18は図16に示した四極電磁
石、19はクロマティシティ補正用の六極電磁石、20
は偏向電磁石で、x方向ビーム軌道補正用のトリムコイ
ルが付いている。21はy方向ビーム軌道補正用のステ
アリング電磁石である。
【0004】次に動作について説明する。加速リング或
は蓄積リングなどのリングの基本構成は、ビームを曲げ
て周回運動さすための偏向電磁石20と、ビームを集束
さすための四極電磁石18である。四極電磁石18は、
図18に示すように中心からの距離xに比例して強くな
る磁場を発生させる。ここで、Rは主コイル磁場であ
り、Sはシムコイル磁場である。この磁場により、例え
ば水平方向xにビームが集束される場合は垂直方向yに
は発散となる。そのために、極性を変えた2種類の四極
電磁石が使われ、水平,垂直両方向にビームを集束でき
るようにする。
【0005】四極電磁石18は周期的に配置され、その
磁場強度は粒子の運動が周期解となるように決められ
る。その時、粒子の運動は次のように表わされる。
【0006】
【数1】
【0007】
【数2】
【0008】ここで、βはリング一周にわたって変化す
るβ関数、νは一周当りの振動数(チューン)、φは回
転角である。上式からビームサイズは√βに比例する。
従って、実際のリングでβ値を測定することは重要な実
験である。βは次式で与えられる。
【0009】 β=4πΔν/k ・・・・・・(3)
【0010】ここで、kは四極電磁石18の磁場勾配の
変化量である。従って、ある四極電磁石18の磁場強度
を変えて、νの変化を測定すればその四極電磁石18の
位置でのβが分かる。しかし、四極電磁石18の通電方
法は、一般には各々のグループの四極電磁石18を直列
に接続してグループ当り1台の電源で通電する。
【0011】そのため、その電源出力を変えてβを測定
したのでは、複数の四極電磁石18の位置での平均しか
分からない。そこで、各四極電磁石18に補助コイルで
あるシムコイル17を独立に取り付け、そのシムコイル
17に電流を流して、各位置でのβ値を測定する。この
シムコイル17はあくまでも四極磁場を発生させるもの
である。
【0012】一方、周回粒子はある運動量範囲の中で様
々な運動量を持つ。従って、四極電磁石18の磁場強度
は、運動量の大きい粒子に対しては相対的に弱い集束力
となり、運動量の小さい粒子に対しては強い集束力とな
る。これはνが各々の粒子で異なることを意味し、不安
定性の原因となる。そのため、六極電磁石19をリング
の周囲に配置して補正する。
【0013】ここで、運動量に対するチューンの変化
(Δν/(ΔP/P0 ))をクロマティシティ(ξ)と
いう。六極電磁石19は磁場強度が中心から2次関数的
に強くなる電磁石である。クロマティシティはx,y両
方向に存在するため、両方向の補正を行なうためには六
極電磁石19は2組必要である。
【0014】次に、ビーム軌道の補正に付いて説明す
る。四極電磁石18の設置誤差等により、ビーム軌道
(正確には平衡軌道)は設計軌道に対して歪んだ軌道と
なる。この歪みによりビームは真空ダクトに近づくこと
になり、十分なビーム電流が得られなくなる。そのた
め、一般にこの軌道の歪みは補正される。
【0015】補正は二極磁場で行ない、通常はステアリ
ング電磁石21をリング周囲に配置する。図17に示す
例では、水平x方向の補正は偏向電磁石20のトリムコ
イルで行なう。これは構造的には四極電磁石18のシム
コイル17と同じである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来のリングおよび四
極電磁石は以上のように構成されているので、ビームを
集束する作用しか持たず、ビーム軌道の補正或いはクロ
マティシティの補正には使えないなどの問題点があっ
た。更に、ビームの設計軌道が四極電磁石の中心軸とず
れていた場合、ビーム軌道を大きく歪ませるなどの問題
点があった。
【0017】請求項1の発明は二極磁場によりビーム軌
道の歪を補正できる四極電磁石を得ることを目的とす
る。
【0018】請求項2の発明はクロマティシティを補正
できる四極電磁石を得ることを目的とする。
【0019】請求項3の発明はクロマティシティの補正
によるビーム軌道の歪を補正できる四極電磁石を得るこ
とを目的とする。
【0020】請求項4の発明はビーム入射中でもクロマ
ティシティを任意に設定できる四極電磁石の制御装置。
【0021】請求項5の発明は四極電磁石の移動および
シムコイル電源の出力を自動的に制御できる四極電磁石
の制御装置を得ることを目的とする。
【0022】請求項6の発明は主コイル電源の出力変化
に対応して、ビーム軌道の歪みを補正できる四極電磁石
の制御装置を得ることを目的とする。
【0023】請求項7の発明は主コイル電流の変化に応
じて、ビーム軌道の補正とともにクロマティシティの任
意設定を実施できる四極電磁石の制御装置を得ることを
目的とする。
【0024】請求項8の発明は超電導偏向電磁石などの
洩れを磁場が大きい電磁石を用いた場合にも、シムコイ
ルでビームの軌道ずれを補正できるX線リソグラフィ用
電子蓄積リングなどのリングを得ることを目的とする。
【0025】請求項9の発明はビームの軌道ずれととも
にクロマティシティの補正を実施できるリングを得るこ
とを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るリ
ングの四極電磁石は、六極成分を含む二極磁場を発生し
て、ビーム軌道を補正するようにしたものである。
【0027】請求項2の発明に係るリングの四極電磁石
は、弱い六極磁場でクロマティシティを補正するシムコ
イルを設けたものである。
【0028】請求項3の発明に係るリングの四極電磁石
は、弱い六極磁場でクロマティシティを補正するシムコ
イルを有し、かつ六極磁場発生時の二極磁場強度にもと
づいて位置をずらせて設けたものである。
【0029】請求項4の発明に係るリングの四極電磁石
の制御装置は、シンクロトロン或は蓄積リングでビーム
を集束させる四極電磁石と、該四極電磁石に設けられ
て、弱い六極磁場でクロマティシティを補正するシムコ
イルとを備え、駆動機構により上記四極電磁石をビーム
の周回中でも位置を変えて上記クロマティシティを設定
するようにしたものである。
【0030】請求項5の発明に係るリングの四極電磁石
の制御装置は、計算機にクロマティシティの設定入力に
従って、シムコイル電源の出力電流、及び二極成分を補
正するように上記四極電磁石の移動量をそれぞれ制御さ
せるようにしたものである。
【0031】請求項6の発明に係るリングの四極電磁石
の制御装置は、計算機に、四極電磁石の主コイルに流れ
る主コイル電流の変化に対応して、シムコイルに流れる
シムコイル電流を制御して、四極電磁石の設置誤差等に
よる設計軌道上の磁場を補正させるようにしたものであ
る。
【0032】請求項7の発明に係るリングの四極電磁石
の制御装置は、計算機に、四極電磁石の主コイルに流れ
る主コイル電流の変化に対応して、上記シムコイルに流
れるシムコイル電流を制御するとともに、上記駆動機構
により上記四極電磁石の位置を制御させるようにしたも
のである。
【0033】請求項8の発明に係るリングは、超電導偏
向電磁石などから構成され、また、磁場測定前に決めた
設計平衡軌道上に設けられた四極電磁石と、磁場測定後
に得られる平衡軌道の設計平衡軌道からのずれにより生
じる主コイル磁場の二極成分を補正するシムコイルとを
備えたものである。
【0034】請求項9の発明に係るリングは、四極電磁
石をシムコイル補正がクロマティシティ補正にもなるよ
うな位置に設置し、主コイルの二極成分の補正およびク
ロマティシティの補正を実施させるものである。
【0035】
【作用】請求項1の発明におけるリングの四極電磁石
は、これに設けたシムコイルによる二極磁場によってビ
ーム軌道の補正を行わせ、この補正に必要な磁場強度は
ビーム軌道の測定値にもとづき計算によって得る。
【0036】請求項2の発明におけるリングの四極電磁
石は、シムコイルによる六極成分の弱い磁場を利用して
クロマティシティを補正する。
【0037】請求項3の発明におけるリングの四極電磁
石は、ビーム軌道を補正するに必要なシムコイルによる
六極磁場強度を計算し、さらに、この六極磁場を発生さ
せたときの二極磁場強度を求めて、これにもとづき位置
をずらすようにして、上記ビーム軌道を補正する。
【0038】請求項4の発明におけるリングの四極電磁
石の制御装置は、基準台に載せた四極電磁石を駆動機構
によって、ビーム入射中にも移動して、シムコイルの磁
場を変えられるようにする。
【0039】請求項5の発明におけるリングの四極電磁
石の制御装置は、任意のクロマティシティを設定するた
めに、四極電磁石を載せた駆動機構およびシムコイル電
源を計算機により制御する。
【0040】請求項6の発明におけるリングの四極電磁
石の制御装置は、四極電磁石の磁場強度を変えることに
より四極電磁石の設置誤差が原因で変わるビーム軌道の
歪みを、自動的にシムコイル電源の出力電流を計算機を
用いて変える。
【0041】請求項7の発明におけるリングの四極電磁
石の制御装置は、四極電磁石の磁場強度に関係なくリン
グのクロマティシティを一定値にするため、その磁場強
度に対するクロマティシティを計算により求めて、これ
によりシムコイル電源の出力を変えるようにし、また、
これにより生じた二極成分の変化によるビーム軌道の補
正を、四極電磁石のX方向移動により実施する。
【0042】請求項8の発明におけるリングは、非常に
強い磁場を発生する電磁石を用いた場合におけるビーム
軌道の歪を、磁場分布にもとづくビーム軌道の計算位置
に四極電磁石を設置し、この四極電磁石付近の二極磁場
の発生により補正する。
【0043】請求項9の発明におけるリングは、主コイ
ルの二極成分の補正およびクロマティシティの補正を実
施する。
【0044】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1はシムコイル付の四極電磁石の構成およびシ
ムコイルにより発生する二極磁場分布を示す断面図であ
り、図2は二極磁場の向きを90度回転させるシムコイ
ル付の四極電磁石の断面図である。図1,図2共に磁力
線はシムコイルにより発生するものだけを描いている。
主コイルによる磁力線は従来例と同じである。図1およ
び図2において、1は二極磁場を発生するシムコイル、
2は四極磁場を発生する主コイル、3は磁極、4はリタ
ーンヨークである。
【0045】次に動作について説明する。四極磁場を発
生する主コイル2は、通常の四極電磁石18のように各
々の磁極3に取り付けられる。シムコイル1は主コイル
2とは電気回路的に独立に、各々の磁極3に取り付けら
れている。4つのシムコイル1は図1又は図2の矢印で
示すような磁力線が発生するように直列に接続され、1
台の電源に接続される。シムコイル1は主コイル2を囲
むように取り付けられているが、主コイル2の中にシム
コイル1が含まれていても同様の効果がある。また、一
台の四極電磁石で、図1と図2に示す両方の磁場を発生
できるように、二組のシムコイルを取付け、各々に電源
を設けても効果は同じである。
【0046】また、磁極3の形状は、一般には双曲線が
選ばれるが、形状はここでは問題ではない。次に発生す
る磁場分布について検討する。一般的に、磁場分布は次
の式のように展開できる。
【0047】 By =B0y+B1yx+B2y2 +B3y3 +B4y4 …… ・・・・(4)
【0048】例えば、理想的な四極磁場であればB1y
外の係数は全てゼロである。また、磁極形状は四回対称
であるが、理想的な磁極形状でない場合は奇数項の係数
が有限となり、特にB3yが大きくなる。更に、四回対称
性もなくなれば全ての係数が有限となる。
【0049】ここで本シムコイル1による磁場を考える
と、理想的には上下対称である。従って、B0yの他偶数
項が有限となるが、通常の四極電磁石を考えると、高次
の項はB2yが支配的になる。つまり、シムコイル1で発
生する磁場成分は二極と六極ということになる。
【0050】六極成分を無視すると、二極成分でビーム
軌道の補正をすることができる。ビーム軌道(正確には
平衡軌道)は偏向電磁石20と四極電磁石の設置誤差に
より歪む。それらが理想的に設置されているならば、偏
向電磁石20では所定の角度だけビーム中心は曲げら
れ、四極電磁石ではその中心を通過するため磁場の影響
は受けない。
【0051】ビーム中心の回りの粒子は偏向電磁石20
と四極電磁石で磁場の影響を受けるが、それは予め集束
力として計算されている必要な力であり、ビーム中心が
通過する軌道(ここではビーム軌道と称している)の回
りを振動する。
【0052】しかし、偏向電磁石20が傾いて設置され
た場合、ビームは水平方向だけでなく垂直方向にも曲げ
られる。また、四極電磁石がずれて設置された場合、ビ
ーム中心も磁場の影響を受け曲げられる。このため、ビ
ーム軌道は設計値と異なり水平x、垂直y方向に歪んだ
軌道となる。この軌道は閉じており、ビーム中心はその
軌道上を常に周回し、ビーム中心の回りの粒子はその軌
道の回りを振動しながら周回する。
【0053】この軌道の歪みが大きいと、ビームは真空
チェンバーに当たるなどして周回できない。そのため、
一般にステアリング電磁石と称する二極磁場を発生させ
る電磁石をリング周囲に配設することで、軌道の歪みを
補正する。当然、水平、垂直両方向の軌道を補正するた
め2種類のステアリング電磁石を配設する。
【0054】この発明のシムコイル1を使ったビーム軌
道の補正は、シムコイル1がビーム軌道を歪める主原因
である四極電磁石に付いているため、より効果的な補正
ができる。x方向の補正は、シムコイル1で図1に示す
ような向きに磁場を発生させて行い、y方向の補正は、
図2に示すように磁場を発生させて行なう。補正に必要
な磁場強度は、ビーム位置モニタでビーム軌道を測定す
ることにより計算でもとまる。なお、図3および図4は
図1および図2にそれぞれ対応する磁場分布特性図であ
る。
【0055】実施例2.シムコイル1による磁場は、二
極成分以外に六極成分が含まれることを上記実施例で示
したが、この六極成分を使ってクロマティシティを補正
することができる。リングの補正のない場合のクロマテ
ィシティをξx0,ξy0とし、リング周囲に六極磁場が存
在すると仮定すると、リングのクロマティシティξx
ξy は次の式で表わされる。
【0056】 ξx =ξx0+(1/4 π)∫2λη(s)βx (s)ds ・・・(5)
【0057】 ξy =ξy0−(1/4 π)∫2λη(s)βy (s)ds ・・・(6)
【0058】 λ=(1/2 Bρ)・(∂2 y /∂x2 ) ・・・(7)
【0059】ここで、積分はリング一周にわたった積分
であり、ηはβx と同じ様な関数、βρはビームの運動
量に比例した量であり、λは六極磁場の磁場勾配係数で
ある。これらの式から分かるように、1種類の六極磁場
だけではx,y両方向のクロマティシティを補正でき
ず、極性の異なる2種類の六極磁場が必要であることが
分かる。一般にはξx0,ξy0は共にマイナスの値を持
ち、ξx ,ξy 共に多少プラスとなるように補正され
る。
【0060】βx はx方向集束用四極電磁石(QF、y
方向には発散)の位置で最大となり、βy はy方向集束
用四極電磁石(QD、x方向には発散)の位置で最大と
なる。また、それらはQD,QFの近くで最小となる。
従って、シムコイル1による補正は、弱い六極磁場でク
ロマティシティの補正ができることになり、より効果的
である。六極磁場の極性は、通電する電流の向きを変え
ることで任意に選べる。
【0061】ここで注意すべき事は、クロマティシティ
補正のためにシムコイル1に通電すると二極磁場も発生
し、ビーム軌道を歪めることである。このため、クロマ
ティシティは予め明らかになっているため、それを補正
するに必要なシムコイル1による六極磁場強度を計算
し、その六極磁場を発生させたときに生じる二極磁場強
度を計算し、それを補正するように四極電磁石をずらし
て設置する。図1のような磁場を発生させる場合はx方
向にずらす。ずらす方法は、一般に四極電磁石はボルト
等による位置の微調整機構を備えているため、それで行
なう。
【0062】実施例3.なお、上記実施例では、シムコ
イル1を全ての磁極3に取り付ける構造としたが、図5
および図6に示すように4つの磁極3のうちの2つを使
っても同様の効果が得られる。例えば、図5では上側の
磁極3のみにシムコイル1を取り付けたが、下側の磁極
3に取り付けても同様の効果が得られる。図6について
も同様である。
【0063】実施例4.なお、上記実施例では、xとy
両方向のクロマティシティ補正を行なうために、2種類
のシムコイル1としたが、どちらか一方のクロマティシ
ティを補正するように1種類のシムコイル1としてもよ
い。
【0064】実施例5.なお、上記実施例では、シムコ
イル1を取り付ける四極電磁石の個数には触れていない
が、全ての四極電磁石でも1部の四極電磁石でもよい。
リングの構造に応じて選定される。
【0065】実施例6.図7および図8は遠隔操作でき
る位置の微調整機構を備えたシムコイル付四極電磁石を
示す正面図および側面図であり、図において、5は四極
電磁石に固定された基準台、6はモータ等で基準台5を
移動さす駆動機構、7は基準台の位置を検出する位置検
出器、8は架台である。
【0066】次に動作について説明する。シムコイル付
四極電磁石の基本動作については上記実施例における説
明と全く同じである。実施例2では、予めあるクロマテ
ィシティになるようにシムコイル1による発生磁場を決
め、それによる二極成分を補正するように四極電磁石を
x方向にずらしていたため、ビーム入射中のように放射
線が発生している状態でのクロマティシティの変更はで
きない。なぜなら、シムコイル1の磁場を変えると、ク
ロマティシティは変わるが二極磁場も変わるためビーム
軌道の歪みが生じ、それを補正するため四極電磁石をず
らさなければならないが、近づくことができない。
【0067】そこで、図7に示すように、遠隔操作でき
る駆動機構6を備え付けていれば、ビーム入射中のよう
に放射線が発生している状態でも、容易に四極電磁石の
位置を変えられるため、シムコイル1の磁場を変えるこ
とができる。また、位置検出器7を取り付けることによ
り、常に正確な位置が分かるため、二極磁場補正が容易
にできる。
【0068】駆動機構6は基準台5を押し金具で押す構
造となっており、例えば、右側にずらす場合は右側の押
し金具を引き、左側の駆動機構6を使って押し金具でず
らす。また、駆動機構の種類は限定しないが、モータを
使った場合はモータコントローラが一般には離れた位置
にあり、それを人が制御する。
【0069】図7に示す駆動機構6と位置検出器7は、
片面2組、計4組付けられており、x方向の平行移動を
正確に行なうことができる。例えば、四極電磁石がビー
ム軸方向の中心を軸に左右に振れた場合、ビームが感じ
る磁場は最初の半分と後の半分で極性が異なるため、結
果としてビームに影響は与えない。従って、所定の距離
だけずらしたつもりが、このようにずれていれば補正し
たことにはならない。しかし、本方式により、そのよう
なミスを防止できる。
【0070】実施例7.なお、図7および図8に示す実
施例では四極電磁石の移動方法を左右両側から押す方式
としたが、駆動機構が押すだけでなく引くこともできれ
ば、片側だけにつける方式でも同様の効果が得られる。
また、駆動機構をビーム軸方向に2個取り付けたが、台
数は限定しない。
【0071】実施例8.次に、図9に示す実施例につい
て説明する。ここでは、任意のクロマティシティに設定
するために、四極電磁石を移動させる駆動機構及び位置
検出器、それにシムコイル電源を計算機で制御できるよ
うにしている。
【0072】図において、9はシムコイル電源、10は
駆動機構6のコントローラ及び切り替え器を内蔵した駆
動機構インターフェース、11は位置検出器7の読み取
り装置及び切り替え器内蔵した位置検出器インターフェ
ース、12はシムコイル電源を制御するための電源イン
ターフェース、13がそれらを制御する計算機である。
【0073】次に動作について説明する。駆動機構6は
どのような方式のものでもよいが、ここではパルスモー
タによる駆動機構を例にとり説明する。パルスモータは
コントローラが必要で、コントローラは駆動機構6の数
だけ用いてもよいし、一つ或は数個として切り換えて使
用してもよい。そのコントローラ及び切り替え器を内蔵
したものが駆動機構インターフェース10であり、計算
機13により駆動機構6の選択及び移動量が制御され
る。
【0074】また、位置検出器7からの信号は、位置検
出器インターフェース11を通してアナログであればA
/Dコンバータによりデジタルに変換して計算機13で
読みとる。これも駆動機構6と同様、信号を切り換えて
計算機13で読みとることも可能である。駆動機構6に
よる四極電磁石の移動は、所定の位置に移動したかどう
かを位置検出器7で測定し、所定の位置になっていない
場合は自動的に駆動機構6を駆動させ、正確に所定の位
置に移動できるようにプログラムを作ることもできる。
シムコイル電源9はシムコイル1のグループ(或は種
類)の数だけあり、各々のグループではシムコイル1は
電気的に直列に接続されている。
【0075】これらの機構を用いると、任意のクロマテ
ィシティに設定するためにシムコイル磁場を変えた場
合、それにより変わる二極成分を補正するように四極電
磁石を自動的に移動させることができる。クロマティシ
ティの設定は、計算機13にクロマティシティの値を入
力することにより、自動的にシムコイル電源9の出力電
流を変えるようにする方式でもよいし、シムコイル電源
9の電流を計算機13により直接変える方式でもよい。
【0076】シムコイル1による磁場の二極成分と六極
成分の各々の強度とシムコイル電流の関係は、予め測定
しておき計算機13に記憶しておく。四極電磁石の主コ
イル2による磁場勾配Gは分かっているため、二極成分
の強度がBとなった場合、B=−Gxとなるxの位置に
四極電磁石を移動すればよい。
【0077】実施例9.なお、上記実施例では位置検出
器7からの信号も計算機13で読みとることができるよ
うにしたが、その機構は本質的なものではなく計算機で
読み取らなくても同様の効果が得られる。
【0078】実施例10.次に、図10に示す実施例に
ついて説明する。これはビーム軌道調整をするためにシ
ムコイル電源と主コイル電源を計算機で制御するように
したものであり、図において、14は主コイル電源、1
5は主コイル電源14を計算機13で制御するための主
電源インターフェースである。
【0079】次に動作について説明する。シムコイル電
源9はシムコイル1の数だけあり、電源インターフェー
ス12を通して計算機13で制御される。また、四極電
磁石は例えばQF,QDのようにグループ分けされ、各
々のグループの四極電磁石は電気的には直列に接続さ
れ、各々1台の電源で通電される。従って、主コイル電
源14は四極電磁石のグループ数だけあり、主電源イン
ターフェース15を通して計算機13で制御される。
【0080】四極電磁石が理想的に設置されていた場合
は、四極電磁石の磁場強度を変えてもビーム軌道は変化
しない。しかし、一般に四極電磁石は設置誤差があるた
め、磁場強度を変えるとビーム軌道も変化する。四極電
磁石の磁場強度は、より良い運転条件を捜すために大き
く変える場合もある。
【0081】四極電磁石の設置誤差分もシムコイル磁場
により補正する方法は実施例1で述べた通りである。主
コイル電源14出力を変えた場合のシムコイル電源9の
変え方は次のように行なう。例えば、主コイル電流を2
0%増やした場合、各々のシムコイル電流も設定値から
20%増やす。各々のシムコイル補正が、そのシムコイ
ル1の付いている四極電磁石の設置誤差だけであれば、
この調整だけで完全にビーム軌道を元の状態に戻せる。
【0082】しかし、実際に偏向電磁石等によるビーム
軌道の歪みも含めてシムコイル1で補正しているため、
この調整だけでは完全にビーム軌道の補正はできない。
しかし、この調整によりビーム軌道の歪みは小さくでき
る。そこで、ビーム位置モニタでビーム軌道の歪みを測
定し、それを補正するためのシムコイル1の励磁電流を
計算し、計算値を設定することによりビーム軌道の歪み
は補正できる。
【0083】この発明は、主コイル電源14出力を変え
る場合に、それに連動してこれらの動作が自動的にでき
るようにしたものである。ビーム位置モニタによる測定
は多少時間がかかるため、主コイル電源14の出力が連
続的に変化している場合は、その割合と同じように各々
のシムコイル電源9の出力を変え、主コイル電源14の
出力が一時的に停止した場合のみ、ビーム位置モニタで
測定し、ビーム軌道を補正する方式でもよい。
【0084】実施例11.次に図11に示す実施例につ
いて説明する。これは主コイル電流に連動させてビーム
軌道を補正するだけでなくクロマティシティも自動的に
任意の値に設定することができるシステムのブロック図
である。
【0085】次に動作について説明する。各々の動作原
理に付いてはこれまで述べてきた通りである。リングの
元々のクロマティシティは、四極電磁石により生じるも
のが支配的である。従って、四極電磁石を変化させる
と、クロマティシティも変わる。つまり、ある四極電磁
石の磁場強度でクロマティシティ補正ができていても、
磁場強度を変えることによりクロマティシティが補正で
きていない状態になる。四極電磁石の各々のグループ
は、運転条件の最適化のために各々磁場強度が変えられ
る。この四極電磁石によるクロマティシティは次式で与
えられる。
【0086】 ξx =−(1/4 π)∫Kβx (s)ds ・・・(8)
【0087】 ξy =−(1/4 π)∫Kβy (s)ds ・・・(9)
【0088】ここで、Kは磁場勾配に比例した量であ
り、QFではx方向はプラス、y方向はマイナス、QD
ではx方向はマイナス、y方向はプラスと定義する。ま
た、積分はリング一周にわたるものである。例えば、x
方向のクロマティシティξx を考えると、QFはマイナ
スのクロマティシティを与え、QDはプラスのクロマテ
ィシティを与えるが、βx はQFで大きくQDで小さい
ためQF,QDの一組によるクロマティシティはマイナ
スとなる。
【0089】これらの式で与えられるクロマティシティ
は、実施例2に示したリングの実際のクロマティシティ
を与える(5),(6)式のξx0,ξy0の一部である。
従って、四極電磁石の磁場強度に関係なくリングのクロ
マティシティを一定値にするためには、四極電磁石の磁
場強度に対するクロマティシティを上式から計算し、実
施例2で示した式がある一定値になるようにシムコイル
電源9の出力を変えればよい。これらを計算機13を使
って主コイル電源14出力に連動させ、自動的に行な
う。
【0090】一方、シムコイル磁場を変化させると、そ
の二極成分が変化するためビーム軌道を歪める。そのた
め、実施例9で示した方法で四極電磁石をx方向に移動
し、二極成分の変化を補正する。これも、計算機13を
使って主コイル電源14出力に連動させて自動的に行な
う。また、実施例10に示したように、四極電磁石の磁
場強度の変化に対するビーム軌道の歪みも同時に補正す
る。
【0091】実施例12.なお、上記実施例では四極電
磁石の磁場強度に対してクロマティシティをある一定値
に保つとしたが、四極電磁石の磁場強度に対して任意の
値に設定するようにしてもよい。
【0092】実施例13.次に図12および図13に示
す実施例について説明する。図12は超電導偏向電磁石
の磁場分布を示し、図13はその超電導偏向電磁石16
を使った蓄積リングの概略平面を示す。図において、1
8Aは四極電磁石、16は超電導偏向電磁石である。
【0093】次に動作について説明する。超電導偏向電
磁石16は非常に強い磁場を発生できるため、装置を小
型にできる利点がある。そのため、X線リソグラフィ用
電子蓄積リングは殆ど超電導偏向電磁石16を使用す
る。
【0094】通常の偏向電磁石は鉄心を使用するため、
そのビーム軸に沿った磁場分布はほぼ矩形となる。その
ような偏向電磁石を使ったリングでは、偏向電磁石中の
ビーム軌道は完全な円弧を描き直線部のビーム軌道とつ
ながる。但し、実際には磁場分布が完全な矩形でないこ
とから、完全な円弧とはならず、直線部の軌道は多少リ
ングの外側にずれる。
【0095】これに対して、超電導偏向電磁石16で
は、磁場が非常に強いため鉄心が飽和し、洩れ磁場が非
常に大きくなる。図12および図13に示した磁場分布
はそれを極端に表わしたものである。図は超電導偏向電
磁石16の半分のビーム軸に沿った磁場分布を示してい
る。一点鎖線G1は理想的な矩形分布を表わし、破線G
2が3次元磁場解析プログラムで計算した磁場分布、実
線G3が実際に得られる磁場分布である。計算は、鉄心
の影響や磁石近くの磁性体の影響が厳密に考慮できない
ため、精度はあまり良くない。
【0096】このような磁場分布の違いはビーム軌道の
違いとなる。図13には超電導偏向電磁石16を使った
電子蓄積リングの一例を示すが、リングは2台の超電導
偏向電磁石16と2台の四極電磁石18A(QF)から
なる。磁場分布が理想的な矩形分布であればビーム軌道
は完全なレーストラックとなる。しかし、洩れ磁場が大
きくなることにより、直線部での軌道はリング外側にず
れて行く。また、超電導偏向電磁石16内でもビーム軌
道は変化するが、ここでは関係ない。
【0097】ビーム軌道と四極電磁石の中心が一致して
いないと、ビーム軌道が歪められることは既に述べた。
そのため、上記のような場合、通常次の様な方式を取
る:(イ)超電導偏向電磁石16が完成して磁場測定を
した後に、測定した磁場分布を使ってビーム軌道を計算
し、その軌道上に四極電磁石18Aを設置する。(ロ)
四極電磁石18Aは理想的軌道上或は計算した磁場分布
を使って求めた軌道上に設置し、四極電磁石18Aの近
辺に二極磁場を発生させるステアリング電磁石を配置し
て、最終的な軌道のずれを補正する。
【0098】本実施例では、上記(ロ)のステアリング
電磁石の替わりに四極電磁石のシムコイルを使用する。
これにより、ステアリング電磁石が不要となりリングが
よりコンパクトになる。また、本実施例は同時に四極電
磁石の設置誤差も補正するものである。
【0099】実施例14.なお、上記実施例では電子蓄
積リングをレーストラック型としたものを示したが、形
状は限定されるものではない。また、それに伴い超電導
偏向電磁石16の偏向角も上記実施例の180度偏向に
限定されない。
【0100】実施例15.また、上記の実施例14では
超電導偏向電磁石16を対象にしたが、常電導偏向電磁
石でも洩れ磁場が問題になるような場合には、同様にし
て対応できる。
【0101】実施例16.次に図14に示す実施例につ
いて説明する。これは実施例14にクロマティシティ補
正も加えるための原理図で、四極磁場中で電子が受ける
力、四極磁場に対して軌道がずれた場合のシムコイル1
による補正磁場の向きを説明したものである。
【0102】次に動作について説明する。図14におけ
る四極磁場において、電子は紙面を突き抜ける方向に運
動しているとする。その時、電子はローレンツ力により
x方向には集束、y方向には発散力を受ける。粒子が正
の電荷を持つ陽子等に対してはこの逆である。このよう
なx方向に集束作用を与える磁石をQFと称し、この逆
をQDと呼ぶ。実施例14における四極電磁石18Aは
QFである。
【0103】一方、クロマティシティはx,y両方向に
存在するため、両方を補正するためには極性の異なる2
種類の六極電磁石が必要であることは既に述べた。しか
し、クロマティシティがビームに影響を与えることによ
る不安定性は、小型のリングでは一般にx方向が強い。
従って、x方向だけのクロマティシティ補正でも効果が
ある。
【0104】クロマティシティは、運動量の異なる粒子
に対して集束力が異なることにより生じることは既に述
べた。一般のリングでは、運動量の大きい粒子はリング
の外側を周回し、運動量の少ない粒子は内側を周回す
る。そのため、四極電磁石の磁場が外側ほどより強く、
内側ほどより弱くなれば、四極電磁石によるクロマティ
シティはゼロにできる。一般には六極電磁石がその役割
を果たす。
【0105】四極電磁石で軌道がずれる場合、矢印に示
すように、リングの内側にずれるか外側にずれるかによ
り補正するシムコイル1による磁場の向きが異なる。当
然、六極成分の極性も異なり、クロマティシティをより
大きくする場合もある。図15に示すように、磁石QF
では軌道がリング内側にずれた場合は、その点での四極
磁場強度はマイナスとなるため、それを打ち消すように
プラスのシムコイル磁場M1を発生させる。
【0106】この場合、シムコイル磁場の六極成分は、
四極磁場M3を外側でより強く、内側でより弱くするた
めクロマティシティを補正する極性となる。これとは逆
に軌道が外側にずれた場合は、マイナスのシムコイル磁
場M2を発生させ、クロマティシティをより大きくする
方向に働く。
【0107】従って、四極電磁石を予想される軌道より
も外側に設置すれば、クロマティシティ補正もできるこ
とになる。また、磁場測定により軌道が決まった後で、
四極電磁石中心が軌道の外側になるようにしても同様の
効果が得られる。
【0108】実施例17.なお、上記実施例では磁石Q
Fだけとしたが、磁石QF,QDがある場合は上記実施
例とは逆向きの磁場が発生するようにQDのシムコイル
1を使えば、x,y両方向のクロマティシティの補正が
可能となる。
【0109】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば
六極成分を含む二極磁場を発生して、ビーム軌道を補正
するように構成したので、ステアリング電磁石なしでビ
ームの真空チェンバへの衝突を防止できるものが得られ
る効果がある。
【0110】請求項2の発明によれば弱い六極磁場でク
ロマティシティを補正するシムコイルを設けるように構
成したので、このクロマティシティの補正を簡単な構成
にて容易に実施できるものが得られる効果がある。
【0111】請求項3の発明によれば弱い六極磁場でク
ロマティシティを補正するシムコイルを有し、かつ六極
磁場発生時の二極磁場強度にもとづいて位置をずらせて
設けるように構成したので、クロマティシティの補正に
よるビーム軌道の歪を補正できるものが得られる効果が
ある。
【0112】請求項4の発明によればシンクロトロン或
は蓄積リングでビームを集束させる四極電磁石と、該四
極電磁石に設けられて、弱い六極磁場でクロマティシテ
ィを補正するシムコイルとを備え、駆動機構により上記
四極電磁石をビームの周回中でも位置を変えて上記クロ
マティシティを設定するように構成したので、ビーム入
射中における上記クロマティシティの設定を容易かつ任
意に実施できるものが得られる効果がある。
【0113】請求項5の発明によれば計算機に、クロマ
ティシティの設定入力に従って、シムコイル電源の出力
電流、および二極成分を補正するように上記四極電磁石
の移動量をそれぞれ制御させるように構成したので、四
極電磁石の移動およびシムコイル電源の出力を自動的に
制御できるものが得られる効果がある。
【0114】請求項6の発明によれば計算機に、四極電
磁石の主コイルに流れる主コイル電流の変化に対応し
て、シムコイルに流れるシムコイル電流を制御して、2
極成分を補正させるように構成したので、上記主コイル
電源の出力変化に対応して、ビーム軌道の歪を補正でき
るものが得られる効果がある。
【0115】請求項7の発明によれば計算機に四極電磁
石の主コイルに流れる主コイル電流の変化に対応して、
上記シムコイルに流れるシムコイル電流を制御するとと
もに、上記駆動機構により上記四極電磁石の位置を制御
させるように構成したので、主コイル電流の変化に応じ
て、ビーム軌道の補正並びにクロマティシティの任意設
定を実現できるものが得られる効果がある。
【0116】請求項8の発明によれば、磁場測定前に決
めた設計平衡軌道上に設けられた四極電磁石とを備え、
シムコイルに磁場測定後に得られる平衡軌道の設計平衡
軌道からのずれにより生じる主コイル磁場の二極成分を
補正させるように構成したので、超電導偏向電磁石など
洩れ磁場が大きい電磁石を用いた場合にも、シムコイル
でビームの軌道ずれを補正できるものが得られる効果が
ある。
【0117】請求項9の発明によれば四極電磁石をシム
コイル補正がクロマティシティ補正にもなるような位置
に設置し、主コイルの二極成分の補正およびクロマティ
シティの補正を実施するように構成したので、ビームの
軌道ずれとともにクロマティシティを補正できるものが
得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜3の発明の一実施例による四極電磁
石を示す断面図である。
【図2】請求項1〜3の発明の一実施例による四極電磁
石のシムコイルをy方向の軌道補正に使用する場合の四
極電磁石を示す断面図である。
【図3】図1における磁極間の磁場分布を示す磁場分布
特性図である。
【図4】図3における磁極間の磁場分布を示す磁場分布
特性図である。
【図5】図1におけるシムコイルの取付け例を示す四極
電磁石の断面図である。
【図6】図1におけるシムコイルの他の取付け例を示す
四極電磁石の断面図である。
【図7】請求項4の発明の一実施例による四極電磁石の
制御装置を示す正面図である。
【図8】図7における四極電磁石の制御装置を示す側面
図である。
【図9】請求項5の発明の一実施例による四極電磁石の
制御装置を示すブロック図である。
【図10】請求項6の発明の一実施例による四極電磁石
の制御装置を示すブロック図である。
【図11】請求項7の発明の一実施例による四極電磁石
の制御装置を示すブロック図である。
【図12】請求項8の発明における磁場強度を示す磁場
分布図である。
【図13】請求項8の一実施例による蓄積リングを示す
概略平面図である。
【図14】請求項9の一実施例による蓄積リングにおけ
る電子の集束および発散を示す説明図である。
【図15】請求項9の発明におけるシムコイル磁場を示
す磁場強度特性図である。
【図16】従来の四極電磁石を示す概略図である。
【図17】従来のクロマティシティ補正、ビーム軌道補
正のための電磁石配置を示す電子蓄積リングの断面図で
ある。
【図18】図16における磁極間の磁場分布を示す磁場
分布特性図である。
【符号の説明】
1 シムコイル 2 主コイル 6 駆動機構 9 シムコイル電源 13 計算機 16 超電導偏向電磁石(電磁石)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンクロトロン或は蓄積リングでビーム
    を集束させる主コイルを持った四極電磁石において、上
    記主コイル上に設けられて、六極成分を含む二極磁場を
    発生して、ビーム軌道を補正するシムコイルを備えたこ
    とを特徴とするリングの四極電磁石。
  2. 【請求項2】 シンクロトロン或は蓄積リングでビーム
    を集束させる主コイルを持った四極電磁石において、上
    記主コイル上に設けられて、弱い六極磁場でクロマティ
    シティを補正するシムコイルを備えたことを特徴とする
    リングの四極電磁石。
  3. 【請求項3】 シンクロトロン或は蓄積リングでビーム
    を集束させる主コイルを持った四極電磁石において、上
    記主コイル上に設けられて、弱い六極磁場でクロマティ
    シティを補正するように、上記六極磁場発生時の二極磁
    場強度にもとづいて位置をずらして設置されるシムコイ
    ルを備えたことを特徴とするリングの四極電磁石。
  4. 【請求項4】 シンクロトロン或は蓄積リングでビーム
    を集束させる主コイルを持った四極電磁石と、上記主コ
    イル上に設けられて、弱い六極磁場でクロマティシティ
    を補正するシムコイルと、上記四極電磁石をビームの周
    回中でも位置を変えて任意のクロマティシティを設定可
    能にする駆動機構とを備えたリングの四極電磁石の制御
    装置。
  5. 【請求項5】 シンクロトロン或は蓄積リングでビーム
    を集束させる主コイルを持った四極電磁石と、上記主コ
    イル上に設けられて、弱い六極磁場でクロマティシティ
    を補正するシムコイルと、上記四極電磁石をビームの周
    回中でも位置を変えて任意のクロマティシティを設定可
    能にする駆動機構と、この任意クロマティシティの設定
    入力に従って、シムコイル電源の出力電流、および二極
    成分を補正するように上記四極電磁石の移動量をそれぞ
    れ制御する計算機とを備えたリングの四極電磁石の制御
    装置。
  6. 【請求項6】 シンクロトロン或は蓄積リングでビーム
    を集束させる主コイルを持った四極電磁石と、上記主コ
    イル上に設けられて、弱い六極磁場でクロマティシティ
    を補正するシムコイルと、上記四極電磁石の主コイルに
    流れる主コイル電流の変化に対応して、上記シムコイル
    に流れるシムコイル電流を制御して、四極電磁石の設置
    誤差等による設計軌道上の磁場を補正させる計算機とを
    備えたリングの四極電磁石の制御装置。
  7. 【請求項7】 シンクロトロン或は蓄積リングでビーム
    を集束させる主コイルを持った四極電磁石と、上記主コ
    イル上に設けられて、弱い六極磁場でクロマティシティ
    を補正するシムコイルと、上記四極電磁石をビームの周
    回中でも位置を変えて任意のクロマティシティを設定可
    能にする駆動機構と、上記四極電磁石の主コイルに流れ
    る主コイル電流の変化に対応して、上記任意のシムコイ
    ルに流れるシムコイル電流を制御するとともに、上記駆
    動機構により上記四極電磁石の位置を制御する計算機と
    を備えたリングの四極電磁石の制御装置。
  8. 【請求項8】 超電導偏向電磁石のように洩れ磁場分布
    が予め精度良く計算できない電磁石を持つリングにおい
    て、磁場測定前に決めた設計平衡軌道上に設けられた主
    コイルを持つ四極電磁石と、磁場測定後に得られる平衡
    軌道の設計平衡軌道からのずれにより生じる主コイル磁
    場の二極成分を補正するシムコイルとを設けたことを特
    徴とするリング。
  9. 【請求項9】 シムコイル補正がクロマティシティ補正
    にもなるような位置に設置されて、主コイルの二極成分
    の補正およびクロマティシティの補正を実施する四極電
    磁石を備えたリング。
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