JPH0612997B2 - セフアロスポリン系抗生物質の製造法 - Google Patents

セフアロスポリン系抗生物質の製造法

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JPH0612997B2
JPH0612997B2 JP8032786A JP8032786A JPH0612997B2 JP H0612997 B2 JPH0612997 B2 JP H0612997B2 JP 8032786 A JP8032786 A JP 8032786A JP 8032786 A JP8032786 A JP 8032786A JP H0612997 B2 JPH0612997 B2 JP H0612997B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は発酵法によるセファロスポリン系抗生物質の製
造法に関する。
従来の技術 セファロスポリン系抗生物質特にセファロチン(Cephal
othin),セファロリジン(Chphaloridine),セファレ
キシン(Cephalexin)などが、グラム陽性および陰性細
菌感染症特に各種抗生物質耐性細菌感染症に著効を示す
数少ない抗生物質として、またセフォチム(Cefotia
m),セフメノキシム(Cefmenoxime),セフスロジン
(Cefsulodin)などは第二,第三世代のセファロスポリ
ンとして、臨床的に高く評価されていることは周知の通
りである。これらの半合成セファロスポリン抗生物質の
出発原料としては、微生物の生産するセファロスポリン
系抗生物質が用いられている。
これらのセファロスポリン系抗生物質を発酵液中に多量
蓄積させるための方法を見出すべく、今迄に数多くの研
究がなされてきている。たとえば、使用菌株の改良法
[例えば、アンティミクロビアル・エージエンツ・アン
ド・ケモセラピー(Anti-microbial Agents and Chemot
herapy)13,7〜13(1978)など]に関するものや培地
成分の改良による方法[特開昭55−144896,特
公昭52−48196]である。
培地成分の改良に関しては、チオ硫酸塩,硫酸塩,亜二
チオン酸塩(亜硫酸塩やジチオナイトとも称される),
メタ亜硫酸塩,S−スルホシスティンなどが培地に添加
され硫黄源とされているが、発酵収量の向上に伴い、こ
れら含硫化合物に加えメチオニンの添加が必須とされて
いた。
発明が解決しようとする問題点 微生物の生産するセファロスポリン系抗生物質は半合成
セファロスポリン系抗生物質の出発原料として工業上重
要な物質であり、これを安価にかつ大量に製造すること
は極めて意義深いことである。ところが、前記したメチ
オニンを発酵原料に用いた場合、メチオニンが高価であ
ったり、発酵時に悪臭が発生したり、あるいは発酵時間
が長期間に及ぶなどの欠点を有し、工業的に安価にセフ
ァロスポリン系抗生物質を製造する方法としては必ずし
も満足できるものではない。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、セファロスポリン系抗生物質製造におい
て、発酵原料にメチオニンを用いることなく、収率の高
いセファロスポリン系抗生物質の製造法を確立すべく種
々研究を重ねた結果、本発明を完成した。
すなわち本発明は、セファロスポリウム属に属し、セフ
ァロスポリン系抗生物質生産能を有する微生物を培地に
培養してセファロスポリン系抗生物質を製造する方法に
おいて、培地にチオ硫酸塩に加え、アラニン,セリン,
ピルビン酸,α−ケトグルタル酸,2−ケト酪酸および
クエン酸から選ばれる1種以上の化合物を添加すること
を特徴とする製造法を提供するものである。
セファロスポリン系抗生物質としては、セファロスポリ
ン系,セファマイシン系のいずれの抗生物質でもよい
が、例えば、セファロスポリンC(以下の式で、RがO
COCHの化合物。以下「CPC」と略称する),デ
アセチルセファロスポリンC(以下の式で、RがOHの
化合物。以下「DCPC」と略称する)が挙げられる。
チオ硫酸塩の具体例としては、チオ硫酸の無機塩が好ま
しく、たとえば、チオ硫酸アンモニウム,チオ硫酸ナト
リウム,チオ硫酸カリウムなどがあげられる。
上記アラニン,セリン,ピルビン酸,α−ケトグルタル
酸,2−ケト酪酸およびクエン酸に関し、これらの化合
物が光学活性体として存在しうる場合は、光学活性体で
もよく、またラセミ体でも有利に使用しうる。またこれ
らの化合物が塩を形成しうる場合は、塩として用いるこ
ともできる。
これらの化合物は、単独で使用してもよく、また一種以
上、例えば二種,三種を併用してもよい。さらに、所望
により上記化合物に加え、グルタミン酸またはグリシン
をさらに添加することもできる。
本発明の方法で用いられる微生物は、セファロスポリウ
ム属に属し、セファロスポリン系抗生物質の一種または
それ以上を生産する能力を有するものであればすべて本
発明方法に使用しうる。セファロスポリウム属に属する
微生物とは、その微生物が、たとえばマイコロジア(My
cologia)第55巻563頁(1963年),第58巻351頁(1966
年),ラーベンホルスト著、クリプトガメンフロラ(Ra
ben-horst,Kryptogamenflora der MarkbrandenburgVII
I,1907)などによって分類されるセファロスポリウム属
に属するものをいう。
本発明の方法で用いられる微生物の具体例としては、た
とえば、CPCの生産において、セファロスポリウム・
ポリアレリウム(Cephalospori-um polyalerium)199
(FERM−PNo.1159;IFO 9394;AT
CC−20359),セファロスポリウム・ポリアレリ
ウムY505(FERM−PNo.1160;IFO 9
535;ATCC−20360),セファロスポリウム
・アクレモニウム(Cephalosporiumu acremonium)2M
−16(FERM−PNo.2283;IFO 999
9;ATCC−20425),セファロスポリウム・ア
クレモニウムLA−101(FERM−PNo.228
4;IFO 3001;ATCC−20426),セフ
ァロスポリウム・アクレモニウムK−121(FERM
−PNo.2285;IFO 9998;ATCC−20
427),セファロスポリウム・アクレモニウムN−7
5(FERM−PNo.2286;IFO 9997;A
TCC−20428)などがそれぞれあげられる。
またDCPOの生産においては、セファロスポリウム・
アクレモニウムC−28(FERM−PNo.1430;
IFO 9537;ATCC−20370,なお本株は
セファロスポリウムsp.C−28とも称される)などが
あげられる。
上記において、FERM−Pで表わされる番号は、工業
技術院微生物工業技術研究所の微生物受託番号を、IF
Oで表わされる番号は財団法人発酵研究所の微生物受託
番号を、ATCCで表わされる番号はジ・アメリカン・
タイプ・カルチャー・コレクション(The American Typ
e Culture Collection)(米国)(以下、「ATCC」
と略称する)の微生物寄託番号を、それぞれ表わす。
上記の菌において、ATCCの寄託番号を付されている
ものは、いずれもATCCの1978年13版カタログ
・オブ・ストレインズに収載されており、ATCCから
入手可能な菌である。また、セファロスポリウム・ポリ
アレリウムIFO 9394株は、財団法人発酵研究所
の1978年版リスト・オブ・カルチャーズ(Institut
e for Fermentation Osaka List of Cultures 1978 Six
th Edition)に収載されており、財団法人発酵研究所か
ら入手可能な菌である。
本発明で用いられる菌の培養に際しては、菌が同化しう
る炭素源,資化しうる窒素源その他を含有する培地が用
いられる。炭素源としては同化しうるものであれば何で
もよくたとえば、グルコース,シュークロース,澱粉,
可溶性澱粉,グリセリン,n−パラフィン,酢酸,フマ
ール酸,安息香酸などの有機酸類,エタノール,ブタノ
ールなどのアルコール類,油脂類(ラード油)などが、
単独または混合して用いられる。また窒素源としては例
えばペプトン,大豆粉,肉エキス,綿実粉,乾燥酵母,
酵母エキ,コーン・スチープ・リカー,プロフロ(トレ
イダース・プロティン・ディビジョン社製),コーン・
グルテン・ミール,尿素,アンモニウム塩類(例、塩化
アンモニウム),硝酸塩類(例、硝酸カリウム),その
他有機または無機の窒素含有物(例、NZアミン(A),
硫安)が単独でまたは混合して用いられる。その他培地
成分の無機塩としては、各種リン酸塩(例、リン酸カリ
ウム),硫酸塩(例、硫酸ナトリウム),塩酸塩(例、
塩化マグネシウム)などが用いられる。鉄,マグネシウ
ム,カルシウム,マンガン,コバルトなどの各イオンの
添加は菌の生育およびセファロスポリン系抗生物質の生
産、安定性などに関係が深い。
これら使用する培地原料は使用する菌株、培養に利用す
る条件などに応じて適宜に組み合わせもしくは選択され
うる。
チオ硫酸塩の培地への添加量は、菌株の生育を阻害しな
ければいくらでもよく、また生育用の基本培地およびフ
ィード培地のいずれにも添加することができ、例えば約
0.3〜5%(W/V),好ましくは約0.5〜2%(W/V)添加
する。とりわけ、チオ硫酸塩を基本培地に1.5の割合に
対し、フィード培地に約1.0の割合で加えるのが好まし
い。
上記アラニン,セリン,ピルビン酸,α−ケトグルタル
酸,2−ケト酪酸およびクエン酸の添加量については、
例えば培地約0.2〜3.0%(W/V)、好ましくは0.3〜1.5
%(W/V)を添加する。二種以上添加する場合も、それ
ぞれの化合物の全量を約0.2〜3.0%(W/V)とするのが
好ましい。
これらの化合物は、フィード培地に加えることが好まし
く、さらにグルタミン酸,グリシン等を加える場合も、
上記の量で同様に加えることができる。
実際の培養にあたってこの培養温度、培養期間、培地の
pH,通気撹拌などの培養条件は使用する菌株、培地組成
などによって一定しないが、目的とするセファロスポリ
ン系抗生物質の蓄積量が最大となるよう選択調節されれ
ばよい。多くの場合、培養温度は20〜37℃,培養期
間は96〜336時間,培地のpH5.0〜9.0であり、好気
的に培養を行なうことが好ましい。
作用および実施例 以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、これ
により本発明の内容が制限されるものではない。
なお、実施例で開示する菌株セファロスポリウム・アク
レモニウムK−121および同C−28については、F
RIにそれぞれFERM−PNo.2285およびFERM−
PNo.1430として寄託されている。
実施例1 本発明の添加物を培地に添加した場合のCPC、DCP
Cの生成量を示す。
なお、微生物はCPC生産菌についてはセファロスポリ
ウム・アクレモニウムK−121を、DCPC生産菌に
ついてはセファロスポリウム・アクレモニウムC−28
を使い、基本培地およびフィード培地は下記の表3に示
したものを用い、チオ硫酸塩としてチオ硫酸アンモニウ
ムと各化合物を表1に示す量を加えた。培養は、28℃
で60時間,その後25℃で240時間振盪培養で行っ
た。
培地中におけるCPCおよびDCPCの生産量を表1に
示す。
このように、本発明の添加物を培地に添加し培養するこ
とにより、メチオニン添加培養と同等のCPC,DCP
C生産量を得ることが出来る。
実施例2 セファロスポリウム・アクレモニウムK−121をブイ
ヨンスラント上にて28℃,120時間生育させたのち
表2に示す栄養素を含む液体培地(pH7.6)300mlに
1白金耳接種し、28℃で168時間振盪培養した。次
に4ジャーファメンタ中の表3に示す基本培地1.6
にこの培養液を接種した。
さらに表に示すフィード培地2を一定速度で連続的に
添加し、24〜32℃,pH6.0〜7.6,10〜13日間通
気撹拌したのち、培養ろ液についてCPC含量を測定し
た。その結果を表4に示した。また基本培地、フィード
培地への添加物は表4に示した。
実施例3 セファロスポリウム・アクレモニウムC−28をブイヨ
ンスラント上にて28℃,120時間生育させたのち、
表2に示す栄養素を含む液体培地(pH7.6)300mlに
1白金耳接種し、28℃で168時間振盪培養した。
次に4ジャーファメンタ中の表3に示す基本培地1.6
にこの培養液を接種した。さらに表3に示すフィード
培地2を一定速度で連続的に添加し、24〜32℃,
pH6.0〜7.6,10〜13日間通貨撹拌したのち、培養ろ
液についてDCPC含量を測定した。その結果を表5に
示した。また基本培地,フィード培地への添加物は表5
に示した。
発明の効果 本発明の製造法により、培地にメチオニンを添加するこ
となくセファロスポリン系抗生物質を高収率で製造する
ことができ、また培養時間も短縮することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セファロスポリウム属に属し、セファロス
    ポリン系抗生物質生産能を有する微生物を培地に培養し
    てセファロスポリン系抗生物質を製造する方法におい
    て、培地にチオ硫酸塩に加え、アラニン,セリン,ピル
    ビン酸,α−ケトグルタル酸,2−ケト酪酸およびクエ
    ン酸から選ばれる1種以上の化合物を添加することを特
    徴とする製造法。
JP8032786A 1986-04-08 1986-04-08 セフアロスポリン系抗生物質の製造法 Expired - Lifetime JPH0612997B2 (ja)

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