JPH06129638A - 燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼装置の燃焼音を能動制御により排気口外
部で消音する、低騒音の燃焼装置を実現する。 【構成】 燃焼音と相関のあるバーナ部１３の流速変動
検出器１６の信号を基に、流速変動成分の逆位相信号を
計算し、排気口１５外部に備えた消音スピーカ２０から
逆位相音波を発生させ燃焼音の消音を行なう。また排気
口外部の圧力検出器１８の信号を基に消音量を常に最大
とする能動消音により低騒音の燃焼装置を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガス等を燃焼する燃焼
装置の燃焼騒音をもとに、これと逆位相の信号を計算
し、能動的に消音する機能を備えた燃焼装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来の燃焼装置を図５に示すガス給湯機
を用いて説明する。図５に示すように、燃焼用空気を供
給する送風機１と、燃料を制御する燃料制御装置２と、
燃料と空気を混合し混合気とするバーナ部３と、混合気
が燃焼する燃焼室４と、燃焼により発生した排気ガスを
機器外部へ排出する排気口５と、排気口５に吸音材６を
備えて構成されている。ここで７は、熱交換器である。

【０００３】上記構成において、燃焼によって発生した
燃焼音は主に排気口５から放出されるが、排気口５の吸
音材６による消音効果により燃焼音低減に対応してい
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、発生した燃焼音は低周波数を主成分として
いるため、排気口に備えた吸音材では燃焼音を低減する
効果が殆どなかった。すなわち、低周波数騒音を低減す
るためには、排気口を非常に大きくし、かつ多量の吸音
材を使用せねばならない課題があった。

【０００５】本発明は上記課題を解決するもので、燃焼
装置を運転する際に発生する燃焼音を、能動消音により
大幅に低減することである。すなわち、燃焼音と相関の
あるバーナ部の流速変動信号を基に逆位相の信号を計算
し、スピーカ等から逆位相音波を出力することで燃焼音
を能動消音すると共に、燃焼音の変化に対しても適応制
御により追従することで消音効果を維持し燃焼騒音を抑
制することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の燃焼装置は、空気を供給する送風装置と、空
気と燃料を混合するバーナ部と、バーナ部で混合された
混合気体を燃焼する燃焼室と、燃焼室からの排気ガスを
排出する排気口と、バーナ部内の流速変動を検出する流
速変動検出器と、排気口外部の圧力を検出する圧力検出
器と、流速変動検出器の信号の逆位相信号を計算すると
ともにと圧力検出器の信号が最小となるように逆位相信
号の位相と振幅を常に変化させる演算回路と、排気口外
部に逆位相信号の音波を発生させる手段を備えたもので
ある。

【０００７】

【作用】本発明は上記構成によって、まず燃焼により発
生する圧力変動が燃焼室の上流であるバーナ部内へも流
速変動を引き起こす。バーナ部内の流速変動は、流速変
動検出器により検出され演算回路に取り込まれる。演算
回路は、この流速変動検出器の信号を基に逆位相の信号
を計算し、排気口外部に設けた音波発生手段から音波と
して出力する。排気口から出る燃焼音と音波発生手段か
ら出る逆位相音とが位相干渉をおこし、燃焼音を低減す
る。また、排気口外部に設けた圧力検出器により、排気
口外部の燃焼音が検出され、演算回路に取り込まれる。
演算回路は燃焼音の消音効果を判断し、消音量が少ない
ときは逆位相信号の位相と振幅を調整し、消音量が最大
となるようにする。すなわち演算回路における信号処理
は、燃焼音が変化したときにも追従するように適応制御
アルゴリズムが組み込まれており、燃焼音の逆特性をリ
アルタイムに計算し、常に最適な燃焼音低減効果が得ら
れるものである。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１から図３に示
すガス給湯機を用いて説明する。

【０００９】図１から図３に示すように、燃焼用空気を
供給する送風装置であるシロッコファン８と、燃料であ
る可燃ガス量を制御する比例弁９と、二次空気を供給す
る二次空気流路１０と可燃ガスと空気を混合する混合気
流路１１を備え混合気と二次空気を燃焼室１２に供給す
るバーナ部１３と、燃焼による熱を水に伝える熱交換器
１４と、燃焼ガスを機器外部に排出する排気口１５とか
らなる。そして、燃焼により発生する流速変動をバーナ
部１３の内部の二次空気流路１０で検出する流速変動検
出器である熱線流速センサ１６と熱線流速センサ１６の
信号の変動成分を抽出する演算装置１７と、排気口１５
外部に設け、音圧を検出する圧力検出器であるマイクロ
フォン１８と、演算装置１７の信号の逆位相信号を計算
すると共にマイクロフォン１８の信号が最小となるよう
に逆位相信号の位相と振幅を常に変化させる演算回路１
９と、逆位相信号の音波を発生させる手段としての消音
スピーカ２０を排気口１５上部に備えて構成される。

【００１０】さらに図２に示す演算回路１９は、演算装
置１７の信号を増幅する第一の増幅器２１と、アナログ
信号をデジタル信号に変換する第一のＡ／Ｄ変換器２２
と、第一のＡ／Ｄ変換器２２からの信号を基に流速変動
の逆特性を計算するデジタルフィルタ装置２３と、マイ
クロフォン１８の信号を増幅する第二の増幅器２４と、
第二のＡ／Ｄ変換器２５と、第二のＡ／Ｄ変換器２５か
らの信号を基に燃焼音の消音量を評価する適応フィルタ
装置２６と、計算されたデジタル逆位相信号をアナログ
信号に変換するＤ／Ａ変換器２７と、この信号を増幅す
る第三の増幅器２８で構成される。ここで、熱線流速セ
ンサ１６の上流側の二次空気流路１０内に金網もしくは
パンチング板の仕切板２９を設けた構成となっている。

【００１１】上記構成によれば、まず燃焼室１２で発生
する流速変動はバーナ部１３へも伝わり、バーナ部１３
の二次空気流路１０に設けた熱線流速センサ１６で検出
される。熱線流速センサ１６で検出された信号は演算装
置１７に取り込まれ、流体温度による流速の補償を行な
うと共に、流速の直流成分を除き変動成分が計算され
る。ここで燃焼作用により発生した流速変動成分は、燃
焼音の周波数特性と相関が強いものである。この流速変
動信号は、演算回路１９に取り込まれ、第一の増幅器２
１で増幅され、第一のＡ／Ｄ変換器２２でデジタル信号
に変換された後、デジタルフィルタ装置２３に取り込ま
れ、逆特性の信号に変換される。計算された逆位相信号
は、適応フィルタ装置２６を通り、Ｄ／Ａ変換器２７で
アナログ信号に変換され、第三の増幅器２８で増幅され
た後、排気口１５外部に設けた消音用スピーカ２０から
出力され、排気口１５から放射する燃焼音を位相干渉に
より消音する。また排気口１５外部に設けたマイクロフ
ォン１８により、燃焼音の消音量の評価を行なってい
る。すなわち、マイクロフォン１８で検出された信号
は、第二の増幅器２４により増幅され、第二のＡ／Ｄ変
換器２５によりデジタル信号に変換された後デジタルフ
ィルタ装置２３を通り適応フィルタ装置２６に取り込ま
れる。適応フィルタ装置２６では燃焼音が最小になるよ
うに出力信号の位相と振幅を調整し、変化する燃焼音を
常に最小とする適応制御が実行される。

【００１２】従来の燃焼音の低減手法である吸音材６
は、燃焼音の主帯域である低周波数騒音（１００から３
００Ｈｚ）を低減するのが困難であったのに対し、本発
明によれば、上記作用により燃焼音を低減できるもので
ある。ここで、消音スピーカ２０から発生した音は流速
変動成分の信号には影響を及ぼさないため、音響フィー
ドバックによるハウリングが発生しない効果がある。ま
た、熱線流速センサ１６を燃焼室１２の上流側であるバ
ーナ部１３に設けているため、常に常温に近い温度の空
気の雰囲気下に存在し、さらにマイクロフォン１８及び
消音スピーカ２０を排気口１５外部に設けているため、
外気の雰囲気温度に近い状態に存在することになり、熱
線流速センサ１６とマイクロフォン１８と、消音スピー
カ２０の熱による劣化がおこらない。さらに熱線流速セ
ンサ１６の上流側に仕切板２９を設けているため、気流
の乱れによる燃焼音増幅を抑制すると共に、ゴミ等の異
物混入を防ぎ熱線流速センサ１６を保護する効果があ
る。ここで流速変動検出器を熱線流速センサと演算装置
としたが、熱膜流速計もしくはレーザ流速計としても同
様の効果を発揮するものである。

【００１３】また図４は本発明の他実施例を示すもの
で、熱線流速センサ１６を混合気流路１１に設け、熱線
流速センサ１６の上流側に仕切板３０を設け、混合気の
流速変動を検出する構成としても上記実施例と同様の効
果を発揮するものである。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように本発明の燃焼装置
は、燃焼音と相関の強いバーナ部内の流速変動を流速変
動検出器で検出し、この検出信号にもとづいて演算した
逆位相の音波を音波発生手段から排気口外部に出力する
ことにより、排気口外部から出る燃焼音を位相干渉によ
り低減できる。すなわち、従来の吸音材による消音作用
では低減困難であった低周波数の燃焼騒音を、大幅に低
減できる。

【００１５】また、音波発生手段の逆位相音は、流速変
動にフィードバックされないためハウリングは発生しな
い。

【００１６】さらに、流速変動検出器を燃焼室上流側の
バーナ部に設け、圧力検出器ならびに音波発生手段を排
気口外部に設けているため、各部品の熱による劣化はお
こらない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明燃焼装置の一実施例を採用したガス給湯
機の側部構成図

【図２】同装置の演算回路内部の構成図

【図３】同装置のバーナ部の側部断面図

【図４】本発明の他実施例のバーナ部側部断面図

【図５】従来のガス給湯機の側部構成図

【符号の説明】

８ 送風装置 １２ 燃焼室 １３ バーナ部 １５ 排気口 １６ 流速変動検出器 １８ 圧力検出器 １９ 演算回路 ２０ 音波発生手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気を供給する送風装置と、空気と燃料
   を混合するバーナ部と、前記バーナ部で混合された混合
   気体を燃焼する燃焼室と、前記燃焼室からの排気ガスを
   排出する排気口と、前記バーナ部内の流速変動を検出す
   る流速変動検出器と、前記排気口外部の圧力を検出する
   圧力検出器と、前記流速変動検出器の信号の逆位相信号
   を計算するとともにと前記圧力検出器の信号が最小とな
   るように前記逆位相信号の位相と振幅を常に変化させる
   演算回路と、前記排気口外部に設け、前記逆位相信号の
   音波を発生させる音波発生手段を備えた燃焼装置。