JPH0612876U - 円すい形の弁座を有する仕切弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 仕切弁の気密部を形成する弁箱、弁座、及び
弁体の構造を単純化し、製造が容易で高精度の気密が得
られるようにするとともに、従来困難であった、弁を取
付けたままでの弁座の補修が容易にできるようにする。 【構成】 弁箱内面を円すい形とし、この表面に左右の
ポートのそれぞれを囲むようにして、円すい体の表面の
一部であるようにした弁座を形成し、これに嵌合するも
ので、かつ弁箱内面における弁体の方向を決める案内溝
を不要とする円すい体の弁体を上下させ、弁座に密着さ
せ、または弁座から離すことによって流路の開閉を行
う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、製造及び補修の容易な仕切弁に関するものであり、詳しくは弁体内 にあって左右のポートのそれぞれを囲む弁座を、鋳出しまたは硬化金属肉盛溶接 によって帯状に形成し、この弁座の表面が頂点を下向きとした円すい体の表面に あるように加工仕上げし、この弁座表面に合わせた円すい体の弁体を上下させる ことによって弁を開閉する装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来は、図５に示すように気密部が平面であるくさび形弁体（７）を使用して いたため、これに合わせた弁座を弁箱内において正確で滑らかな平面に仕上げる のは困難であり、特に小口径の仕切弁にあっては弁箱内の空間が小さいため殆ど 不可能であった。このためにシートリング（８）を別途製作し、弁箱内面への開 口表面を、または開口面に肉盛溶接した硬化金属の表面を、弁体に合わせて斜め 方向の平面に加工して平面弁座（９）を形成し、これを弁箱内部からポートの穴 に差込み、くさび形弁体（７）を嵌めて位置を決めた後、かしめるか、または弁 箱に溶接して固定していた。さらに、かしめや溶接により歪みが生じるため、固 定後に磨り合わせなどによる再仕上げを必要とする場合が多くあった。またステ ム（４）とＴヘッド（１０）で係合されているくさび形弁体（７）が正しい方向 を保ちながら２個のシートリング（８）の間に入ってゆくようにするため、弁箱 内部に方向決め案内溝（１１）を必要としていた。

【０００３】 また平面弁座（９）の表面が磨耗したり傷が付いたりした場合、装置に弁が取 付けられている状態で弁座を補修して正確な平面とするのは困難であり、特に小 口径の仕切弁にあっては殆ど不可能であった。このためこのような弁は取外して 廃棄し、新しい弁を取付けるのが通常であった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 従来の技術で述べた方法では、平面弁座であることによって弁箱内部で弁座の 表面加工が出来ないため、シートリング（８）を別途製作して、これを弁箱内部 の正確な位置と角度に取付けた後、かしめや溶接によって固定しており、固定時 に歪みが出た場合は磨り合わせによって修正しなければならず、余分な材料と面 倒な作業を必要とした。またくさび形弁体（７）のシート面が正しい方向を保ち ながら２個のシートリング（８）の間に入ってゆくようにするため、弁箱内部に 方向決め案内溝（１１）を必要とした。

【０００５】 また、実際に弁を使用している間に、弁座の磨耗や傷などによって規定を超え る洩れが発生した場合、弁を使用位置に取付けておいたまま弁座を補修するのは 困難で、特に小口径の仕切弁にあっては補修が殆ど不可能であるため、新品の弁 と交換しなければならず、そのために運転を長時間停止しなければならないこと は、大きい問題であった。

【０００６】 本考案は、従来の技術の有するこのような問題点を解消するためになされたも のであり、その目的とするところは、弁箱、弁座、及び弁体を単純で加工の容易 な形状のものに変えることによって、安価で気密性の良い、かつ使用現場におい て、弁が取付けられたままの状態で弁座の補修を行うことができる弁を提供しよ うとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案における円すい形の弁座を有する仕切弁 は、弁箱（１）の内面を、下部が小径、上部が大径となるような縦方向のおおよ その円すい形に形成し、この円すい面に開口する左右のポート（６）のそれぞれ を囲むように、鋳出しまたは硬化金属肉盛溶接によって円すい面から盛上がった 帯状の円すい弁座（２）を形成し、この弁座表面を正確な寸法でかつ滑らかな円 すい面となるように仕上げ、この弁座に嵌合する弁体は、円すい弁座（２）と密 着するような正確な寸法の、かつ滑らかに表面を仕上げた円すい形弁体（３）と し、この弁体上部とステム（４）の下部とは遊び隙間のあるボタンヘッド（５） によって係合させ、円すい形弁体（３）が、最下部の閉位置において自動的にそ の軸心を弁座の円すい軸心に合わせて弁座と密着するようにし、気密を保つこと によって左右のポートのそれぞれを密閉して流体の流れを遮断し、円すい形弁体 （３）を上方に引き上げれば弁座と弁体が離れて流体の通路が形成され、この通 路を通って流体が流れるようにしたものである。

【０００８】 またこの構造とすることによって、円すい形弁体（３）は円すい弁座（２）に 対していかなる方向をとってもよく、このため、弁体の方向決めのための案内溝 は不要となって弁の形状を小さくかつ単純にすることができる。

【０００９】 さらに、弁を使用している状態で、弁座の磨耗や傷などによって規定を超える 洩れが発生した場合やその他の不都合が生じた場合には、弁が使用位置に取付け られたままの状態でボンネットを取外し、弁箱（１）の上部開口から円すい工具 （１２）を差込んで弁箱内面の円すい弁座（２）の表面を切削または研磨するこ とによって、容易に弁座の補修をすることができる。

【００１０】

【作用】

弁上部のハンドルを回してステム（４）を下げ、ボタンヘッド（５）を介して 円すい形弁体（３）を円すい弁座（２）に圧入すれば、弁体はその円すい面の方 向に関係なく自動的にその軸心を弁座の紬心に合わせて密着し、気密部を構成し て左右のポートを閉鎖して流路を遮断する。ハンドルを逆に回してステム（４） を上げれば円すい形弁体（３）は円すい弁座（２）と離れて隙間が出来、この隙 間を通って流体が流れる。

【００１１】 弁を使用位置に取付けたまま弁座の補修をする場合は、ボンネットを取り外し て弁箱（１）の上部開口から円すい工具（１２）を差込み、弁箱内面の円すい弁 座（２）の表面を必要な寸法と精度に切削または研磨する。また必要に応じて弁 体と弁座の磨り合わせを行う。

【００１２】

【実施例】

実施例について図面を参照して説明する。 図１において、円すい弁座（２）は、ポート上部とポート下部における二つの 円周弁座とこの二つの円周を円すい面に沿って縦方向に繋ぐ２本の直線弁座を、 鋳出しまたは硬化金属肉盛溶接によって形成し、左右のそれぞれのポートを囲む ようにしたもので、これを正確な寸法と精度の、円すい状の滑らかな表面に仕上 げる。この円すい弁座は、図２に示すように、円すい表面の一部であってそれぞ れのポートを囲む分離した二つの円形のものとしてもよい。

【００１３】 この円すい弁座（２）の中に、ボタンヘッド（５）を介してステム（４）と係 合する円すい形弁体（３）を入れる。ボタンヘッドとこれの入る弁体上部の溝と の間には隙間を設けて弁体の首振りができるようにし、これによって弁体の軸心 は自動的に弁座の軸心に合わせて嵌入し、弁座に密着して気密部を形成し、両方 のポート（６）を閉鎖して流れを遮断する。図３は一般的な仕切弁に円すい弁座 と円すい形弁体を使用した例で、閉鎖した状態を示す。

【００１４】 図６は、配管に溶接されたままで、弁のボンネットを取外し、弁箱上部の開口 から円すい工具を入れて弁座の補修を行っている状態を示す。

【００１５】

【考案の効果】

本考案に係わる円すい形の弁座を有する仕切弁は、従来必要とされたシートリ ングや弁体の方向決めのための案内溝が不要となり、かつ弁箱、弁座、及び弁体 がすべて円を基本とした形状であるため、構造が単純で工作が容易であり、また これによって気密部を高い精度に仕上げることができる。

【００１６】 さらに、弁を使用位置に取付けたまま弁座の補修をすることができるため、補 修の費用と時間を減少することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の基本構造の断面を示す斜視図である。

【図２】弁座を、ポートのそれぞれを囲む円形とした場
合の断面を示す斜視図である。

【図３】本考案を適用した仕切弁の全体構造を示す断面
図である。

【図４】従来の仕切弁の弁箱、弁体、弁座の関係を示す
断面図である。

【図５】従来の仕切弁に使用されているくさび形弁体の
斜視図である。

【図６】本考案を適用した仕切弁の弁座の補修を行って
いる斜視図である。

【符号の説明】

１ 弁箱 ２ 円すい弁座 ３ 円すい形弁体 ４ ステム ５ ボタンヘッド ６ ポート ７ くさび形弁体 ８ シートリング ９ 平面弁座 １０ Ｔヘッド １１ 方向決め案内溝 １２ 円すい工具

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 仕切弁の弁箱（１）の内面を、下部が小
   径、上部が大径となるような縦方向のおおよその円すい
   形とし、この円すい面に開口する左右のポート（６）の
   それぞれを囲むようにして、鋳出しまたは硬化金属肉盛
   溶接によって帯状の円すい弁座（２）を形成し、この弁
   座表面が円すい面となるように滑らかに仕上げ、上部を
   ステム（４）の下部のボタンヘッド（５）に係合させ、
   側面を弁座表面の円すい面に合わせて仕上げた円すい形
   弁体（３）を押し下げて円すい弁座（２）に圧着し気密
   を保つことによって、左右のポートのそれぞれを密閉し
   て流体の流れを遮断し、円すい形弁体（３）を上方に引
   き上げれば弁座と弁体が離れて流体の通路が形成され、
   この通路を通って流体が流れるようにした、円すい形の
   弁座を有する仕切弁。