JPH06128729A - 薄膜形成装置及び薄膜形成方法及び窒化鉄薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成装置及び薄膜形成方法及び窒化鉄薄膜形成方法

Info

Publication number
JPH06128729A
JPH06128729A JP27878892A JP27878892A JPH06128729A JP H06128729 A JPH06128729 A JP H06128729A JP 27878892 A JP27878892 A JP 27878892A JP 27878892 A JP27878892 A JP 27878892A JP H06128729 A JPH06128729 A JP H06128729A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
substrate
ion beam
inert gas
ions
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27878892A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Kinoshita
幹夫 木下
Wasaburo Ota
和三郎 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP27878892A priority Critical patent/JPH06128729A/ja
Publication of JPH06128729A publication Critical patent/JPH06128729A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】薄膜の構造、結晶性、配向性を良好に制御でき
る化合物薄膜形成用の薄膜形成装置とこれを利用した薄
膜形成方法を提供する。 【構成】本発明の薄膜形成装置は、基板100をイオン
ビームの向きに対して所定の方位になるように保持した
基板保持部材40と該基板100の加熱部材50とを配
置した真空槽10と、該真空槽内部を所定の圧力の真空
状態とするための排気部材3と、単数あるいは複数個の
不活性ガスイオンビーム照射部材20と、活性イオン照
射部材80とを有する。薄膜形成方法としては、上記装
置を使用し、基板を所定の温度に維持し、該基板上に形
成された薄膜に活性イオンをチャネリング現象が生じな
い方向から照射し、かつ単数もしくは複数の不活性ガス
イオンビームをチャネリング現象が生ずるような方位関
係で前記薄膜に照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶性の制御が容易に
可能な薄膜形成装置、及びこれを利用した薄膜形成方
法、及び窒化鉄薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜の結晶性の制御は、下地基板
の結晶性を利用したり、あるいは多結晶薄膜やアモルフ
ァス化したシリコン薄膜などの非晶質薄膜をレーザービ
ーム等を用い、再結晶する方法などにより行なわれてい
るが、これらの方法では結晶成長の制御が困難である
等、種々の問題があった。また、高飽和磁束密度窒化鉄
磁性薄膜形成において、α''Fe162 を、非晶質基板
に効率良く形成することは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のよう
に下地基板の結晶性を利用することなく、結晶性を容易
に制御することができ、反応性成膜に利用可能な薄膜形
成装置及びこれを利用した薄膜形成方法、窒化鉄薄膜形
成方法を提供することを目的とする。さらに、α''Fe
162 の場合のように、目的とする化合物薄膜の耐熱性
が十分ではなく、アニールによる再結晶が期待できない
場合においても成膜を可能とする薄膜形成方法を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の薄膜形成装置は、基板をイオンビームの
向きに対して所定の方位になるように保持した基板保持
部材と該基板の加熱部材とを配置した真空槽と、該真空
槽内部を所定の圧力の真空状態とするための排気部材
と、単数あるいは複数個の不活性ガスイオンビーム照射
部材と、活性イオン照射部材とを有することを特徴とす
る。また、請求項2の薄膜形成装置は、上記薄膜形成装
置において、真空槽内に、蒸発源支持部材と、蒸発源加
熱部材とを有する。また、請求項3の薄膜形成装置は、
上記薄膜形成装置において、基板保持部材が単数あるい
は複数個の軸の回転機構を有する。さらに、請求項4の
薄膜形成装置は、上記薄膜形成装置において、薄膜また
は基板からの反跳イオンビームのエネルギー分布を測定
する検出器を有する。
【0005】請求項5の薄膜形成方法は、上記薄膜形成
装置を利用し、基板を所定の温度に維持し、該基板上に
形成された薄膜に活性イオンをチャネリング現象が生じ
ない方向から照射し、かつ単数もしくは複数の不活性ガ
スイオンビームをチャネリング現象が生ずるような方位
関係で前記薄膜に照射することを特徴とする。また、請
求項6の薄膜形成方法は、上記薄膜形成装置を利用し、
蒸発材料を支持部材に保持させ、真空状態で該蒸発材料
を加熱蒸発させ、薄膜が形成される基板を所定の温度に
維持し、基板上に一定の膜厚の薄膜を形成させながら、
活性イオンをチャネリング現象が生じない方向から該薄
膜に照射し、かつ単数もしくは複数の不活性ガスイオン
ビームをチャネリング現象が生ずるような方位関係で前
記薄膜に照射することを特徴とする。また、請求項7の
薄膜形成方法は、上記薄膜形成装置を利用し、蒸発材料
を支持部材に保持させ、真空状態で該蒸発材料を加熱蒸
発させ、薄膜が形成される基板を所定の温度に維持し、
基板上に一定の膜厚の薄膜を形成させながら単数もしく
は複数の不活性ガスイオンビームをチャネリング現象が
生ずるような方位関係で前記薄膜に照射させた後、チャ
ネリング現象が生じない方向から前記薄膜に活性イオン
を照射することを特徴とする。さらに、請求項8の薄膜
形成方法は、請求項5,6,7の薄膜形成方法におい
て、活性イオンの照射エネルギーを多段階に変化させる
ことを特徴とする。
【0006】請求項9の窒化鉄薄膜形成方法は、上記薄
膜形成装置を利用し、所定の温度に加熱された基板上に
不活性ガスイオンを所定の方位関係で照射しつつ鉄(F
e)を基板に供給し、αFe(001)配向膜を形成し
た後、基板を150℃以下の温度に維持しつつ、N+ ま
たはN2+イオンビームを基板に供給することを特徴とす
る。
【0007】
【作用】以下、本発明の構成、動作及び作用について詳
細に説明する。本発明は、所望の構造と配向性を有する
化合物薄膜を形成するため、不活性ガスイオンビーム
を、所望の薄膜の構造と配向性に適合する角度、すなわ
ち、不活性ガスイオンビームを所望の薄膜とチャネリン
グ現象を生ずる角度で薄膜に照射することにより、薄膜
の成長過程を制御し、活性イオンを照射することによ
り、良好な反応性を有することを特徴とする。
【0008】従来、鉄鋼表面において窒素イオンを注入
し表面の耐蝕性を改質する、あるいは半導体薄膜におい
て微量不純物のドーピング、あるいは結晶性薄膜のアモ
ルファス化など、高エネルギーイオンビームが表面改質
の分野で用いられてきた。しかしながら、結晶成長過程
を制御するため、及び、反応を促進するために、直接イ
オンビームを用い、反応性成膜を行なうことは無かっ
た。結晶質の薄膜を基板上に形成する場合、良好な薄膜
特性を得るために重要なことの一つに結晶性の制御があ
る。例えば、窒化鉄薄膜形成において、六方晶窒化鉄薄
膜の配向性を制御することは、良好な垂直磁気記録膜を
得る上で、また、酸化亜鉛などの圧電性薄膜において、
良好なc軸配向を有し、欠陥の少ない化学量論組成の薄
膜を得ることは、それぞれ重要である。
【0009】本発明は、このような薄膜の結晶性、配向
性を好ましいものに制御するための、新規な反応性の薄
膜形成装置及び該装置を使用した薄膜形成方法に関す
る。本発明の薄膜形成装置は、薄膜が形成される基板を
所定の方位関係に保持する基板保持部材と基板を加熱す
るための部材を配置した真空槽、該真空槽内部を所定の
圧力の真空状態とするための排気部材、及び薄膜に不活
性ガス高エネルギーイオンビームを照射するための不活
性ガスイオンビーム照射部材と、薄膜に活性イオンを照
射するための活性ガスイオン照射部材とにより構成され
る。さらに真空槽内に、蒸発源支持部材と蒸発源加熱部
材とを付加した構成としても良い。
【0010】以下、本発明の薄膜形成装置を構成する各
部材及びその動作、作用について説明する。排気部材と
しては、真空槽内部における粒子の平均自由行程が、真
空槽のディメンションに対し、十分大きくなる圧力まで
排気できうるものを選択して使用する。例えば、油回転
ポンプと油拡散ポンプとの組合せ、あるいはイオンポン
プとソープションポンプとの組合せ等である。さらに、
結晶の純度が要求される材料を形成する場合には、さら
に到達真空度が高く、クリーンな排気系、例えばクライ
オポンプやターボ分子ポンプが使用される。
【0011】不活性ガスイオンビーム照射部材として
は、バンデグラフ型加速器を具備したイオン源がある。
イオン種としては、特にその種類は限定されないが、イ
オン半径の小さな不活性ガスイオンであるヘリウムイオ
ンに対応可能な構造が特に好ましい。この不活性ガスイ
オンビームのエネルギー源は、膜厚とイオンビーム入射
角度に応じ、イオンが薄膜を通過できる程度以上の高電
圧を印加する。尚、必要に応じて、イオンビームのイオ
ン種を揃えるための分析電磁石や、イオンビームの進行
方向を揃えるためのスリットやモノクロメータ等が付加
されても良い。
【0012】活性イオンビームのエネルギーは、活性イ
オンが、薄膜中に留まるエネルギー範囲が選択される。
数10eV〜数kVの低エネルギーのものとしては、例
えば、カウフマン型イオン源、冷陰極イオンソース等が
ある。また、バンデグラフ型加速器を具備したイオン源
でもよい。このイオンと、薄膜中の原子は反応し、化合
物薄膜となる。蒸発源を付加し、同時に蒸発粒子と活性
イオンが供給される場合には、活性イオンが薄膜中に浸
入する必要は必ずしもなく、活性イオンのエネルギーは
低いものであっても良い。化合物薄膜の基板との結晶方
位関係は、以下に述べる不活性ガスイオンの作用により
決定される。
【0013】不活性ガスイオンビームは、基板上の薄膜
の結晶性に応じた基板との所定の方位関係に従い、該薄
膜に高エネルギーで入射し、薄膜中を基板側へ進行す
る。薄膜を通過するイオンは、薄膜中の原子と相互作用
を行ない、弾性散乱、非弾性散乱が起きる。その結果、
薄膜中の原子配列は不規則なものと成りやすい。一方、
イオンビームの向かう方向が、薄膜中の結晶面、あるい
は結晶軸と一致する場合、いわゆるチャネリング現象が
生じ、上述した相互作用は弱くなる。チャネリング現象
を起こす方向は数多くあるが、その中でどの方向が強く
チャネリング現象を起こすかは、結晶の対称性及び結晶
を構成する原子により定まる。
【0014】従って、多結晶薄膜を構成する様々な方位
関係にある結晶の中で、上述した特定の方位関係にある
ものは、イオンによる散乱の影響を受けにくいため、そ
の結晶性を保持しやすく、その他の方位関係にあるも
の、あるいはアモルファス状態の部分は、イオンと原子
との相互作用が大きいため、結晶を構成する原子の位置
が変化しやすく、アモルファス、あるいはその他の方位
関係にある結晶へ変化しやすい。すなわち、上述したイ
オンとチャネリング現象を生じる方位関係にある結晶の
寿命はその他の方位関係にある結晶に対し、比較的長い
といえる。換言すれば、イオンビームの存在下では、イ
オンビームとの相互作用がより低い方向を向いた結晶
粒、すなわちイオンビームに対し、チャネリング現象を
より強く生じる方向を向いた結晶粒がより安定であると
いえる。
【0015】一方、薄膜の温度は、加熱手段により加熱
されるため、上述した原子配列の乱れはその温度に応じ
た速さをもって緩和される。アモルファス状態が仮に生
じたとしても、最終的には結晶化する。すなわち、イオ
ンビームの入射方向に対し、特定の方位関係にある結晶
が、イオンビーム中アニールにおいて安定であり、最終
的にはこの方向の結晶が成長する。従って、薄膜を特定
の方向に配向させることが可能となる。イオンビームの
入射方向は、結晶の対称性に基づき定められる。1方向
のみからイオンビームを入射させる場合には、入射方向
に平行な面内の配向性を、イオンビームのみから制御す
ることはできない。
【0016】例えば、後述する実施例2に示すように、
εFe3-2N c軸配向膜を形成する場合、面内方向の結
晶軸は、基板に対し定まらない。さらに配向性を制御す
るためにはイオンビームを複数の方向から入射させる必
要がある。従って、本発明による薄膜形成装置は、複数
の不活性ガスイオンビーム照射部材を用い、相異なる所
定の方向から同時にイオンビームを照射するものであっ
ても良い。複数のイオンビームの進行方向の相対的な角
度関係は、もちろん、薄膜の結晶の対称性に基づき決定
される。また、単数のイオンビームを電磁石などを使用
して分岐し、相異なる方位を有する複数本としても良
く、さらには、基板回転機構により、基板を、単一のイ
オンビームに対し、回転させても良い。また、イオンビ
ームが転移や粒界面を通過する場合、上述したチャネリ
ングの効果が損なわれるため、転移や粒界は消失する方
向に薄膜が改質され、場合により単結晶薄膜が形成され
る。尚、薄膜中に微量注入された不活性ガスイオンは、
アニールにより脱離させることができる。そして、基板
からの反跳イオンのエネルギー分布を測定、解析すれ
ば、薄膜の組成のその場観察が可能で、反応性の制御に
寄与することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。 [実施例1]図1は本発明の一実施例を示す薄膜形成装
置の概略的構成図である。図1において、符号1はベー
スプレート、2はベルジャーであり、ベースプレート1
とベルジャー2とはパッキング15を介して一体化され
真空槽10を形成している。この真空槽10は排気系3
に接続され、10~3Pa以下の高真空に排気される。真
空槽10に隣接して不活性ガスイオンイオンビーム照射
部材20が設置され、真空槽内部に不活性ガスイオンビ
ームを供給する。この実施例においては、不活性ガスイ
オンイオンビーム照射部材20として、不活性ガスイオ
ン源30、バンデグラフ型の加速器31、偏向コイル3
2が使用され、イオンビームが真空槽内に導入される。
バンデグラフ型加速器31は、モータ34と、放電電極
35と、ベルト36と、加速管37と、集電電極38を
具備した構成となっている。また、真空槽には活性ガス
イオン照射部材80が具備され、真空槽内部に活性ガス
イオンを供給する。この実施例においては、活性ガスイ
オン照射部材80は、不活性ガスイオン源と同様の構造
を有しているが、これ以外に、加速電圧10〜数10k
Vに対応する構造のもの、例えば、カウフマン型イオン
源を配備しても良い。
【0018】真空槽内には、活性ガスイオンと反応する
薄膜が付着した基板100が基板保持機構40により設
置され、上記不活性ガスイオンビームが、基板上の薄膜
を一定の方位へ通過するようにその位置関係が定められ
ている。さらに、抵抗加熱式加熱手段50が真空槽内部
に設置され、図示されない電源により通電され、基板1
00を所定の温度に加熱するようになっている。尚、別
の実施例として、図中、符号70で示すように、真空槽
内に、蒸発源支持部材と蒸発源加熱部材とを付加した構
成とすることもできる。
【0019】[実施例2]次に、薄膜形成方法の実施例
として、c軸配向窒化鉄薄膜の製造例を示す。鉄−窒素
化合物には、種々の構造のものが知られている。すなわ
ち、αFe,α’Fe−N,α''Fe8N,γ’Fe
4N,εFe3-2N,ζFe2Nである。これらの窒化鉄
薄膜の磁気特性は、その薄膜の結晶構造と、結晶方位に
強く依存するため、結晶構造、結晶方位の制御が重要と
なる。尚、良好なc軸配向窒化鉄薄膜は、垂直磁気記録
媒体になる。
【0020】薄膜形成方法としては、上記薄膜形成装置
を使用し、基板温度を、例えば、250℃に維持し、蒸
発源に金属Feを充填し、これを加熱蒸発させる。同時
に、不活性ガスイオンイオンビーム照射部材20により
基板面に垂直な方向からHeイオンビームを基板に入射
させ、活性ガスイオン照射部材80により基板面の方線
から傾いた状態でN2+イオンビームを基板に入射させた
場合、c軸配向のεFe3-2N が成長する。この場合、
蒸発源からのFeの入射量と、N2+イオンの照射量とを
調整し、Fe3-2N の範囲の組成となるようにすること
が必要である。組成は、必要に応じ、微量に反跳される
Heイオンのエネルギースペクトルを解析することによ
り、その場観察が可能である。
【0021】この方法によれば、もし仮に、基板面に対
しc軸が傾いた結晶粒が成長したとしても、この結晶粒
は、Heイオンビームによるダメージを強く受け、その
ままの方位関係を保ったまま成長を続けることはできな
い。このため、結果的にc軸とHeイオンビームとの方
向が平行な多結晶薄膜となる。尚、Heイオンビーム照
射により生じる薄膜の欠陥は、基板が加熱されているた
め、緩和される。Heイオンビーム、N2+イオンのエネ
ルギーは、窒化鉄薄膜の膜厚に応じて定められる。He
イオンビームでは、概ね0.2〜数MV、N2+イオン
は、これが窒化鉄薄膜中に留まるエネルギー範囲、すな
わち、概ね、数100keV以下が選択される。Heイ
オンビーム、N2+イオンの強度は、数mA/cm2 以下
の適度の値が望ましい。これが過大である場合には、イ
オンビーム衝撃によるダメージが強すぎ、良好な結晶は
得られない。
【0022】[実施例3]次に、薄膜形成方法の別の実
施例として、α’Fe−N,α''Fe8N 薄膜の製造例
を示す。α’Fe−N,α''Fe8N は、現在知られて
いる磁性体の中で最大の飽和磁束密度を有し、磁気ヘッ
ドなどへの応用が期待されているが、準安定な窒化物で
あり、200℃以上の温度で分解する。このため、高温
基板温度での薄膜の結晶性の改善は望めない。しかし、
良好なαFeを形成後、200℃以下の基板温度を保持
したまま、該αFe薄膜にN2+イオンを照射することに
より、α’Fe−N,α''Fe8N 構造を導出すること
が可能である。
【0023】すなわち、前記薄膜形成装置を使用し、蒸
発源から基板にFeを供給しつつ、Heイオンのみを上
記薄膜にαFeの対称性に基づき照射する。例えば、基
板面に垂直な軸を[001]、基板面内の2軸を[10
0],[010]とすると、[111],[(−1)1
1],[1(−1)1],[11(−1)]の4方向、
または、[001],[111],[(−1)11],
[1(−1)1],[11(−1)]からHeイオンビ
ームを同時または交互に照射することにより、αFe
(001)配向膜が形成される。その後、このαFe
(001)配向膜に、N2+イオンを、基板温度200℃
以下に保持したまま、αFe(001)配向膜とチャネ
リング関係にない方位から照射すれば、α’Fe−N,
α''Fe8N 薄膜が得られる。さらに、200℃以下の
アニールにより、α''Fe8N の比率が増加する。組成
の膜厚方向の分布を改善するため、活性イオンの照射エ
ネルギーを多段階に変化させることも可能である。尚、
2+イオン照射時に、Heイオンを付加的に照射しても
良い。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薄膜形成
装置及びこれを利用した薄膜形成方法によれば、従来の
ように下地基板の結晶性を利用することなく、結晶性を
容易に制御することができ、反応性成膜を行なうことが
できるため、薄膜の構造、結晶性、配向性ともに良好な
化合物薄膜を形成できる。従って、磁性膜、圧電膜など
の薄膜形成に利用することができる。さらに本発明によ
れば、α’Fe−N,α''Fe8N ,α''Fe162
場合のように、目的とする化合物薄膜の耐熱性が十分で
はなく、アニールによる再結晶が期待できない場合にお
いても成膜を可能とする薄膜形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す薄膜形成装置の概略的
構成図である。
【符号の説明】
1・・・ベースプレート 2・・・ベルジャー 3・・・排気系 10・・・真空槽 15・・・パッキング 20・・・不活性ガスイオンビーム照射部材 30・・・不活性ガスイオン源 31・・・イオン加速器 32・・・偏向コイル 34・・・モータ 35・・・放電電極 36・・・ベルト 37・・・加速管 38・・・集電電極 40・・・基板保持機構 50・・・抵抗加熱式加熱手段 80・・・活性イオン照射部材 100・・・基板

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板をイオンビームの向きに対して所定の
    方位になるように保持した基板保持部材と該基板の加熱
    部材とを配置した真空槽と、該真空槽内部を所定の圧力
    の真空状態とするための排気部材と、単数あるいは複数
    個の不活性ガスイオンビーム照射部材と、活性イオン照
    射部材とを有することを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の薄膜形成装置において、真
    空槽内に、蒸発源支持部材と、蒸発源加熱部材とを有す
    ることを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】請求項1,2記載の薄膜形成装置におい
    て、基板保持部材が単数あるいは複数個の軸の回転機構
    を有することを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 【請求項4】請求項1,2,3記載の薄膜形成装置にお
    いて、薄膜または基板からの反跳イオンビームのエネル
    ギー分布を測定する検出器を有することを特徴とする薄
    膜形成装置。
  5. 【請求項5】基板を所定の温度に維持し、該基板上に形
    成された薄膜に活性イオンをチャネリング現象が生じな
    い方向から照射し、かつ単数もしくは複数の不活性ガス
    イオンビームをチャネリング現象が生ずるような方位関
    係で前記薄膜に照射することを特徴とする薄膜形成方
    法。
  6. 【請求項6】蒸発材料を支持部材に保持させ、真空状態
    で該蒸発材料を加熱蒸発させ、薄膜が形成される基板を
    所定の温度に維持し、基板上に一定の膜厚の薄膜を形成
    させながら、活性イオンをチャネリング現象が生じない
    方向から該薄膜に照射し、かつ単数もしくは複数の不活
    性ガスイオンビームをチャネリング現象が生ずるような
    方位関係で前記薄膜に照射することを特徴とする薄膜形
    成方法。
  7. 【請求項7】蒸発材料を支持部材に保持させ、真空状態
    で該蒸発材料を加熱蒸発させ、薄膜が形成される基板を
    所定の温度に維持し、基板上に一定の膜厚の薄膜を形成
    させながら単数もしくは複数の不活性ガスイオンビーム
    をチャネリング現象が生ずるような方位関係で前記薄膜
    に照射させた後、チャネリング現象が生じない方向から
    前記薄膜に活性イオンを照射することを特徴とする薄膜
    形成方法。
  8. 【請求項8】請求項5,6,7記載の薄膜形成方法にお
    いて、活性イオンの照射エネルギーを多段階に変化させ
    ることを特徴とする薄膜形成方法。
  9. 【請求項9】所定の温度に加熱された基板上に不活性ガ
    スイオンを所定の方位関係で照射しつつ鉄(Fe)を基
    板に供給し、αFe(001)配向膜を形成した後、基
    板を150℃以下の温度に維持しつつ、N+ またはN2+
    イオンビームを基板に供給することを特徴とする窒化鉄
    薄膜形成方法。
JP27878892A 1992-10-16 1992-10-16 薄膜形成装置及び薄膜形成方法及び窒化鉄薄膜形成方法 Pending JPH06128729A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27878892A JPH06128729A (ja) 1992-10-16 1992-10-16 薄膜形成装置及び薄膜形成方法及び窒化鉄薄膜形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27878892A JPH06128729A (ja) 1992-10-16 1992-10-16 薄膜形成装置及び薄膜形成方法及び窒化鉄薄膜形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06128729A true JPH06128729A (ja) 1994-05-10

Family

ID=17602193

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27878892A Pending JPH06128729A (ja) 1992-10-16 1992-10-16 薄膜形成装置及び薄膜形成方法及び窒化鉄薄膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06128729A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005135973A (ja) * 2003-10-28 2005-05-26 Seiko Epson Corp 圧電体デバイス及び強誘電体デバイスの製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び電子機器
US10358716B2 (en) * 2014-08-08 2019-07-23 Regents Of The University Of Minnesota Forming iron nitride hard magnetic materials using chemical vapor deposition or liquid phase epitaxy

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005135973A (ja) * 2003-10-28 2005-05-26 Seiko Epson Corp 圧電体デバイス及び強誘電体デバイスの製造方法、並びに液滴吐出ヘッド及び電子機器
JP4590854B2 (ja) * 2003-10-28 2010-12-01 セイコーエプソン株式会社 圧電体デバイスの製造方法
US10358716B2 (en) * 2014-08-08 2019-07-23 Regents Of The University Of Minnesota Forming iron nitride hard magnetic materials using chemical vapor deposition or liquid phase epitaxy

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4656052A (en) Process for production of high-hardness boron nitride film
US4800100A (en) Combined ion and molecular beam apparatus and method for depositing materials
US4140546A (en) Method of producing a monocrystalline layer on a substrate
Ploog et al. In situ characterization of MBE grown GaAs and Al x Ga 1− x As films using RHEED, SIMS, and AES techniques
JP7042320B2 (ja) 単結晶金属酸化物半導体エピ成長装置
JPH06128729A (ja) 薄膜形成装置及び薄膜形成方法及び窒化鉄薄膜形成方法
JPH0259862B2 (ja)
JPH0525618A (ja) 薄膜形成装置およびそれを使用した薄膜形成方法
JPH1171200A (ja) SiCエピタキシャル成長装置およびSiCエピタキシャル薄膜作成方法
EP0280198B1 (en) Method of forming diamond film
JPS59139930A (ja) 蒸着装置
Kasper et al. Molecular beam epitaxy of silicon, silicon alloys, and metals
JPH03135013A (ja) ドーピング用化合物製造方法及びドーピング方法
JP2611521B2 (ja) 窒化ホウ素薄膜の形成方法
JPH06136508A (ja) 高飽和磁化窒化鉄薄膜形成方法および高飽和磁化窒化鉄薄膜を有する構造体
JP3227795B2 (ja) アルミニウム膜の結晶配向制御方法
JPS6293366A (ja) 窒化ホウ素膜の作製方法
JPS63282192A (ja) 分子線エピタキシー装置
Pupp The presence of Nb5Ge3and NbO in highly superconducting Nb3Ge films
JPS6272113A (ja) 分子線結晶成長装置
Ensinger et al. Phase composition of chromium films deposited under nitrogen ion bombardment and their corrosion protection potential
Kunibe et al. Development of ion mixing equipment for R&D use and preparation of tin films by N2 gas assisted ion beam mixing
CN116043325A (zh) 一种薄膜沉积装置及薄膜沉积方法
Cortenraad et al. Cleaning procedure for single-crystal tungsten substrates
JPS60181262A (ja) 高硬度窒化ホウ素膜の製造方法