JPH06126191A - 排気ガス浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ハニカム体の変形や移動を防止するとともに良
好なシール性を維持しながら、外筒を用いずハニカム体
を直接容器内に保持する。 【構成】金属箔からなるハニカム体と、軸方向長さがハ
ニカム体の軸方向長さより短くハニカム体表面に接合さ
れたリングと、ハニカム体の外周を取り巻く容器と、リ
ングと容器の間に介在された膨張性シール材と、からな
ることを特徴とする。膨張性シール材の膨張の圧力はリ
ングで受け止められ、ハニカム体に作用するのが防止さ
れている。またリングはハニカム体の一部に設けられて
いるので、リングに逃げるハニカム体の熱量は僅かであ
り、しかもリングの外側には膨張性シール材が介在して
いるため、リングから外部に逃げる熱量も少ない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車などの排気系に
装着されて排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置に関
し、詳しくは金属箔製ハニカム体をもつ排気ガス浄化装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車の排気ガス浄化装置に用いられる
触媒担体として、メタル担体が知られている。このメタ
ル担体は、Ａｌ含有フェライト系合金などから板厚５０
μｍ程度の平板及び波板を形成し、それを重ねてロール
状に巻回して形成されたハニカム体と、ハニカム体を収
納する板厚１．５ｍｍ程度の外筒と、から構成され、平
板と波板及びハニカム体と外筒はそれぞれロウ付けなど
で一体的に接合されている。

【０００３】ところで、ハニカム体は高温の排気ガスと
直接接触するとともに触媒反応熱による発熱が加わり、
極めて高温となる。一方、外筒は熱容量が大きく外部か
らの冷却も生じ、その結果ハニカム体との温度差が大き
くなる。したがって、ハニカム体と外筒を直接接合する
と、使用時に発生する熱応力により接合部にせん断応力
が発生し、強度的に弱いハニカム体に亀裂や座屈が生じ
てハニカム体が外筒から移動する現象が生じていた。

【０００４】またハニカム体と外筒を直接接合すると、
ハニカム体の熱が外筒に伝わりハニカム体が冷えること
となる。そのため、始動時など低温時にハニカム体が触
媒活性温度に達するまでの時間が長く、その間の触媒浄
化性能が低下していた。さらに、排気脈動によりハニカ
ム体に発生する放射音が直接外筒に伝わって放射される
ために、騒音が大きくなるという問題もある。

【０００５】そこで外筒とハニカム体を接合せず、ハニ
カム体のみの両端をリテーナで固定する方法や、セラミ
ックウールなどでハニカム体を保持する方法が提案され
ている。例えば実開昭６３−１４０１１８号には、ケー
シングとハニカム体の間に断熱材を介在させた構成の触
媒コンバータが開示されている。なお、この公報ではハ
ニカム体の表面に外筒が存在しているので、上記問題が
解決されているとはいえない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記リテー
ナで固定する方法では、リテーナがハニカム体の軸方向
の熱膨張・収縮の動きに追従することが困難なため、過
酷な試験条件下ではハニカム体が破損してしまう。また
セラミックウールなどで保持する場合は、保持力が不十
分となりハニカム体の移動が生じたり、排気ガスのシー
ル性に不具合が生じる場合がある。

【０００７】さらに、膨張性シール材の膨張の圧力によ
りハニカム体を保持することも考えられるが、膨張圧力
にハニカム体が耐えきれず座屈する恐れがある。本発明
はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ハニカ
ム体の変形や移動を防止するとともに良好なシール性を
維持しながら、外筒を用いずハニカム体を直接容器内に
保持することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の排気ガス浄化装置は、金属箔からなる平板及び波板
から形成されたハニカム体と、軸方向長さがハニカム体
の軸方向長さより短くハニカム体表面に接合されたリン
グと、ハニカム体の外周を取り巻く容器と、リングと容
器の間に介在された膨張性シール材と、からなることを
特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明の排気ガス浄化装置では、膨張性シール
材の膨張の圧力はリングで受け止められ、ハニカム体に
作用するのが防止されている。またリングはハニカム体
の一部に設けられているので、リングに逃げるハニカム
体の熱量は僅かであり、しかもリングの外側には膨張性
シール材が介在しているため、リングから外部に逃げる
熱量も少ない。

【００１０】そして、リングの存在しないハニカム体の
表出表面と容器との間には空間が存在し、空気の断熱作
用によりハニカム体の熱が逃げるのが防止されている。

【００１１】

【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 （実施例１）図１に本発明の一実施例の排気ガス浄化装
置を示す。この触媒コンバータは、ハニカム体１と、ハ
ニカム体１の両端部に接合された一対のリング２と、ハ
ニカム体１を収納するケース３と、リング２とケース３
の間に介在する膨張性シール材４と、ハニカム体１とケ
ース３の間に介在する断熱材５と、から構成されてい
る。

【００１２】ハニカム体１は、Ａｌ含有フェライト系合
金からなる板厚５０μｍの箔を用いて平板と波板に加工
し、それを重ねてロール状に巻回して形成されたもので
あり、直径１００ｍｍ、長さ１００ｍｍの円筒形状をな
している。また平板と波板は、両端部でのみ一体的にロ
ウ付け接合され、中央部は膨張・収縮の動きが自在とな
っている。

【００１３】リング２はフェライト系合金から無端のリ
ング状に形成され、断面コの字状となっている。そして
ハニカム体１の両端部に一体的にロウ付け接合されてい
る。なお、リング２の幅は、図２に示すようにハニカム
体１の平板と波板の接合部１０の長さより短くされ、リ
ング２の角部は平板と波板の接合部１０の上に位置する
ように構成されている。これにより、ハニカム体１が熱
膨張したときにリング２の角部と干渉するのが防止さ
れ、ハニカム体１の損傷が防止されている。

【００１４】この場合、接合部１０は図２のように外周
部から内周部まで一様に形成してもよいが、図３及び図
４に示すように外周部のみ軸方向に長く接合部１０を形
成することも好ましい。このようにすれば内周部での平
板及び波板の動きの自由度が向上し、発生する熱応力が
一層低減される。また、リング２の断面形状を図５のよ
うに段付形状とすれば、シール面積を確保しつつハニカ
ム体１との接合面積を小さくすることができる。

【００１５】このリング２をもつハニカム体１には、従
来と同様にアルミナコート層が形成され、コート層には
Ｐｔ及びＲｈがハニカム体１リットル当たりそれぞれ
１．０ｇ及び０．２ｇ担持されて触媒化されている。リ
ング２には、セラミックウールからなる膨張性シール材
４が帯状に一周して配置され、クラムシェルタイプのケ
ース３にセットして加圧下で溶接することにより、膨張
性シール材４が膨張してケース３とリング２との間をシ
ールするとともに、リング２を介してハニカム体１をケ
ース３内に保持している。

【００１６】また、一対のリング２の間に表出するハニ
カム体１表面とケース３との間には、非膨張性の断熱材
５が配置され、ハニカム体１からの放熱が防止されてい
る。上記した本実施例の触媒コンバータは、直列６気筒
・３０００ｃｍ³ の実機エンジンの排気系に装着され、
耐久試験に供された。耐久試験条件は、３０００ｒｐｍ
×−３６０ｍｍＨｇ・Ａ／Ｆ＝１４．５・入ガス温度８
５０℃の条件で１０分間運転し、次いで７００ｒｐｍ×
−３６０ｍｍＨｇ・Ａ／Ｆ＝１４．５・入ガス温度４５
０℃で１０分間運転するのを１サイクルとして、６００
サイクル行った。そして耐久試験中は、１００サイクル
毎に触媒コンバータを取り外し、ハニカム体１の異常の
有無を点検した。結果を表１に示す。 （実施例２）リング２を２分割の半割り構造としたこと
以外は、実施例１と同様の構造である。このようにリン
グ２を分割構造とすることにより、ハニカム体１の膨張
・収縮の動きの自由度が一層向上する。

【００１７】この触媒コンバータも実施例１と同様に試
験され、結果を表１に示す。 （実施例３）実施例１と同様のリング２を、図６に示す
ようにハニカム体１の中央部のみに設け、両端は自由端
としたこと以外は実施例１と同様の構造である。この触
媒コンバータも実施例１と同様に試験され、結果を表１
に示す。 （実施例４）実施例１と同様のリング２を、図７に示す
ようにハニカム体１の中央部にも設け、中央部のリング
２’には非膨張性の断熱材５を配置し、リング２，２’
どうしの間に表出するハニカム体１の表面には何も配置
しなかったこと以外は実施例１と同様の構造である。も
し中央部のリング２’にも膨張性シール材４を設ける
と、ハニカム体１の軸方向の応力が増大するからであ
る。

【００１８】この触媒コンバータも実施例１と同様に試
験され、結果を表１に示す。 （実施例５）リング２を断面コの字状とせずに断面平板
状としたこと以外は実施例１と同様の構造である。この
触媒コンバータも実施例１と同様に試験され、結果を表
１に示す。 （実施例６）ハニカム体１の平板と波板の接合部の軸方
向長さをリング２の幅と同一としたこと以外は実施例１
と同様の構造である。この触媒コンバータも実施例１と
同様に試験され、結果を表１に示す。 （実施例７）図８に示すように、リング２上に断熱材５
を介して膨張性シール材４を配置したこと以外は実施例
１と同様の構造である。この触媒コンバータも実施例１
と同様に試験され、結果を表１に示す。 （実施例８）図９に示すように、リング２上に膨張性シ
ール材４を内包した断熱材５を配置したこと以外は実施
例１と同様の構造である。この触媒コンバータも実施例
１と同様に試験され、結果を表１に示す。 （実施例９）図１０に示すように、ケース３を外周表面
から部分的に縮径させて内周表面に突条３０を形成し、
この突条３０がリング２の内部に係合していること以外
は実施例１と同様の構造である。この触媒コンバータに
よれば、リング２の両端部は突条３０に係止されている
ので、ハニカム体１の軸方向の移動を確実に規制でき
る。この触媒コンバータも実施例１と同様に試験され、
結果を表１に示す。 （比較例１）実施例１と同様のハニカム体１をステンレ
ス製の厚肉の外筒に挿入してロウ付けし、さらに外筒表
面全面に膨張性シール材を装着してケース３内に配置し
たこと以外は実施例１と同様の構造である。この触媒コ
ンバータも実施例１と同様に試験され、結果を表１に示
す。 （比較例２）実施例１と同様のハニカム体１の表面全面
に膨張性シール材を装着してケース３内に配置したこと
以外は実施例１と同様の構造である。この触媒コンバー
タも実施例１と同様に試験され、結果を表１に示す。 （評価）

【００１９】

【表１】 実施例１〜５と実施例６との比較より、リング２の角部
を平板と波板の接合部内に位置させることにより、亀裂
や座屈が防止されていることがわかる。また実施例２の
ようにリング２を分割タイプとすることにより、リング
部のハニカム体の座屈が防止されている。さらに、リン
グ２を１個しかもたない実施例３では、ハニカム体１の
両端が振動でケース３に衝突し、端部に亀裂が生じてい
る。

【００２０】また、膨張性シール材４とハニカム体１と
の接触が回避された実施例７〜８では、熱による膨張性
シール材４の劣化が軽減され、またハニカム体１の座屈
も防止されている。これは断熱材５の断熱作用と緩衝作
用に起因している。しかし比較例１では、外筒の存在に
より熱応力が発生し、ハニカム体１の座屈や亀裂がひど
くハニカム体１の後退も見られた。また比較例２では、
膨張性シール材の膨張圧力によりハニカム体１が座屈
し、膨張性シール材４とハニカム体の間に隙間が発生し
て膨張性シール材４が飛散し、早期にハニカム体１が後
退していた。

【００２１】

【発明の効果】すなわち本発明の排気ガス浄化装置によ
れば、ハニカム体の径方向及び軸方向の応力緩和が可能
となり、構造耐久性が向上する。そしてハニカム体とケ
ースとの金属間接触が基本的に存在しないため、ハニカ
ム体の熱がケースを介して逃げるのが防止でき、暖機性
が向上するとともに放熱が防止され、触媒性能が向上す
る。さらに、ハニカム体で発生する放射音が緩和される
ため、騒音を低減することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の排気ガス浄化装置の断面図
である。

【図２】本発明の一実施例においてハニカム体の平板と
波板の接合部とリングの接合位置との関係を示す要部断
面図である。

【図３】ハニカム体の平板と波板の接合部とリングの接
合位置との関係の他の態様を示す要部断面図である。

【図４】ハニカム体の平板と波板の接合部とリングの接
合位置との関係の他の態様を示す要部断面図である。

【図５】リングの断面形状の他の態様を示す断面図であ
る。

【図６】第３の実施例の排気ガス浄化装置の要部断面図
である。

【図７】第４の実施例の排気ガス浄化装置の要部断面図
である。

【図８】第７の実施例の排気ガス浄化装置の要部断面図
である。

【図９】第８の実施例の排気ガス浄化装置の要部断面図
である。

【図１０】第９の実施例の排気ガス浄化装置の要部断面
図である。

【符号の説明】

１：ハニカム体 ２，２’：リング ３：
ケース ４：膨張性シール材 ５：断熱材 １０：
接合部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属箔からなる平板及び波板から形成さ
   れたハニカム体と、軸方向長さが該ハニカム体の軸方向
   長さより短く該ハニカム体表面に接合されたリングと、
   該ハニカム体の外周を取り巻く容器と、該リングと該容
   器の間に介在された膨張性シール材と、からなることを
   特徴とする排気ガス浄化装置。