JPH06122762A - 変性ポリフェニレンエーテルとその製造方法および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

変性ポリフェニレンエーテルとその製造方法および熱可塑性樹脂組成物

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JPH06122762A
JPH06122762A JP18379393A JP18379393A JPH06122762A JP H06122762 A JPH06122762 A JP H06122762A JP 18379393 A JP18379393 A JP 18379393A JP 18379393 A JP18379393 A JP 18379393A JP H06122762 A JPH06122762 A JP H06122762A
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polyphenylene ether
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Abstract

(57)【要約】 【目的】反応性に富む1級アミンを高分子側鎖に含むた
め、各種の組成物、あるいはポリマーアロイの成分とし
て広範囲に好ましく使用することができ、安価な変性ポ
リフェニレンエーテルを提供する。耐熱性、機械的性
質、外観および光沢の優れた熱可塑性樹脂組成物を提供
する。 【構成】(I)下記の構造単位(1) 【化1】 (式中R1 およびR2 は、それぞれ独立に水素および炭
素数1〜20の炭化水素基から選ばれる。)からなり、
数平均重合度が20〜1200であるポリフェニレンエ
ーテルにおいて、数平均重合度をXとしたとき、フェニ
レン基の2位および/または6位のメチル基の0.02
/X〜1/Xがアミノメチル基で置換されていることを
特徴とする変性ポリフェニレンエーテルおよびその製造
方法、並びに(A)前記の変性ポリフェニレンエーテル
および(B)液晶ポリエステルからなり、成分(A)が
1〜75重量%、成分(B)が99〜25重量%である
熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリフェニレンエーテ
ルのフェニレン基の2位および/または6位のメチル基
がアミノメチル基に置換された構造単位を有する、新規
な変性ポリフェニレンエーテルとその製造方法に関する
ものである。本発明は、射出成形や押出成形により、成
形品などに利用できる新規な熱可塑性樹脂組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリフェニレンエーテルは耐熱
性、耐熱水性、寸法安定性および機械的、電気的性質な
どの優れた性質を有する樹脂であるが、一方、その溶融
粘度が高いために成形性が悪い、また耐薬品性が悪い、
耐衝撃性が低い等の欠点を有している。ポリフェニレン
エーテルのこのような欠点を改良するためポリフェニレ
ンエーテルと他の樹脂とのアロイ化、あるいはポリフェ
ニレンエーテルの変性が従来から行なわれてきた。
【0003】例えば特開昭52−897号公報には脂肪
族第2級アミンを重合触媒の一成分として用いてポリフ
ェニレンエーテルの改質を行なう方法が記載してある。
また特開平4−68024号公報には、ポリフェニレン
エーテルに多官能イソシアネートを反応させて末端2級
アミノ化ポリフェニレンエーテルを製造する方法、特公
平1−313523号公報に、第2級または第3級アミ
ノ基を含む官能性末端基を有するポリフェニレンエーテ
ルを製造する方法が記載してある。特開平1−2974
28号公報には2位のメチレン基にアルキル基置換の第
3級アミンを有するポリフェニレンエーテル共重合体が
記載されている。特開平1−234421号公報には2
位の側鎖メチレン基に一部アリール基置換の第3級アミ
ンを有するポリフェニレンエーテル共重合体に関して記
載されている。特開昭63−503464号公報には、
ポリアルキレンジカルボキシレートを有するポリフェニ
レンエーテルに関して記載されている。特公平2−37
365号公報には側鎖のプロピレン基に第1級アミノ基
を有するポリフェニレンエーテルに関して例示されてい
る。
【0004】液晶ポリエステルは、ポリエチレンテレフ
タレートやポリブチレンテレフタレートのような結晶性
ポリエステルと異なり、分子が剛直なため溶融状態でも
絡み合いを起こさず、結晶状態を有するポリドメインを
形成し、低剪断により分子鎖が流れ方向に著しく配向す
る挙動を示し、一般に溶融型液晶(サーモトロピック液
晶)ポリマーと呼ばれている。この特異的な挙動のた
め、溶融流動性が極めて優れ、0.2〜0.5mm程度
の薄肉成形品を容易に得ることができ、しかもこの成形
品は高強度、高剛性を示すという長所を有するが、異方
性が極めて大きく、ウェルド強度が著しく低いという欠
点がある。
【0005】また、液晶ポリエステルは一般に高価であ
ることも問題であった。液晶ポリエステルの優れた耐熱
性、力学的性質を保持し、成形品のウェルド強度が改良
され、かつ安価な液晶ポリエステル樹脂組成物は強く市
場から要望されていた。液晶ポリエステルに非晶性の高
分子を配合することにより液晶ポリエステルの成形加工
性、強度を改良することを目的とした試みとして、特開
昭56−115357号公報に液晶ポリエステルにポリ
フェニレンエーテルなどの重合体を配合し液晶ポリエス
テルの溶融加工性を改良した記載がみられる。また特開
平2−97555号公報にハンダ耐熱性を向上させる目
的で液晶ポリエステルに各種のポリアリレンオキサイド
を配合した記載がみられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の製造方
法で得られた変性ポリフェニレンエーテルは加工時に容
易に分解を生じ悪臭を生じたり物性低下を起こさせるも
の、分子鎖中に導入した官能基の反応性が不充分なも
の、あるいは高価なものであった。ポリフェニレンエー
テルのメチル基が、反応性に富むアミノメチル基で置換
された構造単位を有する安価な変性ポリフェニレンエー
テルは従来得られておらず、市場の強く要望するところ
であった。
【0007】また、一般に成形温度の高い液晶ポリエス
テルに、それより成形温度の低いポリフェニレンエーテ
ルなどの非晶性高分子を配合してなる組成物は、組成物
の溶融加工性は向上しても、成形加工の際に配合樹脂の
熱分解のために成形品の外観不良が生じるという問題が
あった。また、該組成物の機械的物性、耐熱性などが不
十分という問題点があった。また、ポリフェニレンエー
テルの分子中に官能基を導入した変性ポリフェニレンエ
ーテルを液晶ポリエステルに配合することにより両者の
相溶性を向上させることは有効な方法であるが、そのた
めにコストアップになるだけではなく、場合によっては
官能基を含む単量体やオリゴマーなどが組成物中に残存
し、そのため組成物の物性低下を引き起こすこともある
ので問題があった。
【0008】分子中に一級アミンのような反応性に富む
官能基を含有し、しかも安価な変性ポリフェニレンエー
テルと液晶ポリエステルから構成される、優れた物性を
示す熱可塑性樹脂組成物は市場から強く要求されるとこ
ろであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を改良するように鋭意検討を行なった結果、本発
明に到達した。すなわち本発明は、次に記す発明であ
る。 (I)下記の構造単位(1)
【0010】
【化5】 (式中R1 およびR2 は、それぞれ独立に水素および炭
素数1〜20の炭化水素基から選ばれる。)からなり、
数平均重合度が20〜1200であるポリフェニレンエ
ーテルにおいて、数平均重合度をXとしたとき、フェニ
レン基の2位および/または6位のメチル基の0.02
/X〜1/Xがアミノメチル基で置換されていることを
特徴とする変性ポリフェニレンエーテル。
【0011】(II)下記の一般式(2)
【化6】 (式中、R3 、R4 、R5 は、それぞれ独立に水素およ
び炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる。)で示さ
れる核置換フェノール類を、酸化カップリング触媒を用
いて重合する方法において、一般式(3)
【化7】 (式中、Q1 およびQ2 は、それぞれ独立に水素、炭素
数1〜24のアルキル基および炭素数7〜24のアラル
キル基から選ばれる。ただし、Q1 とQ2 が共に水素で
あるものは含まず、またQ1 とQ2 がアルキレン基であ
って環を形成して結ばれているものも含む。)で示され
るアミン類を、核置換フェノール1モルに対して0.0
01〜0.2モル存在させて重合を行い、得られた該ポ
リフェニレンエーテルを溶融混練することを特徴とする
変性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
【0012】(III)(A)下記の構造単位(1)
【化8】 (式中R1 およびR2 は、それぞれ独立に水素および炭
素数1〜20の炭化水素基から選ばれる。)からなり、
数平均重合度が20〜1200であるポリフェニレンエ
ーテルにおいて、数平均重合度をXとしたとき、フェニ
レン基の2位および/または6位のメチル基の0.02
/X〜1/Xの割合がアミノメチル基で置換された変性
ポリフェニレンエーテル、および(B)液晶ポリエステ
ルからなり、成分(A)が1〜75重量%、成分(B)
が99〜25重量%である液晶ポリエステル樹脂組成
物。
【0013】初めに、本発明の変性ポリフェニレンエー
テルについて説明する。本発明は、ポリフェニレンエー
テルにおけるフェニレン基の2位および/または6位の
メチル基がアミノメチル基(−CH2 NH2 )に置換さ
れた構造単位を有する新規な変性ポリフェニレンエーテ
ルに関するものである。該アミノメチル基に置換された
構造単位は、ポリフェニレンエーテルの末端の構造単位
であってもよく、末端でなく主鎖の中間であってもよ
い。特に、該アミノメチル基に置換された構造単位が、
ポリフェニレンエーテルの末端の構造単位であるものを
得ることが容易であるので好ましい。
【0014】本発明の変性ポリフェニレンエーテルは、
数平均重合度をXとしたとき、フェニレン基の2位およ
び/または6位のメチル基の0.02/X〜1/X、好
ましくは0.05/X〜1/Xがアミノメチル基で置換
されていることを特徴とするものである。アミノメチル
基がフェニレン基の2位および6位のメチル基の0.0
2/X未満では、ポリマーアロイの成分として用いたと
きに、耐熱性や機械的物性の向上が充分ではないので好
ましくない。
【0015】本発明の変性ポリフェニレンエーテルとし
て、一般式(1)で示される構造単位が数平均で20〜
1200、さらに好ましくは30〜1000であるもの
が用いられる。一般式(1)で示される構造単位の数が
この範囲外であると、樹脂の加工性が悪くなったり、あ
るいは機械的物性が不充分となったりして好ましくな
い。ポリマーアロイ成分として、一般式(1)で示され
る構造単位のみからなるポリフェニレンエーテルは他の
樹脂との反応性が不十分であるが、ポリフェニレンエー
テルにおけるフェニレン基の2位および/または6位の
メチル基がアミノメチル基に置換された構造単位を有す
る変性ポリフェニレンエーテルは、反応性に富み、ポリ
マーアロイ成分として好ましい。
【0016】次に、本発明の変性ポリフェニレンエーテ
ルの製造方法について説明する。本発明の変性ポリフェ
ニレンエーテルの製造方法としては、下記の一般式
(2)
【0017】
【化9】 (式中、R3 、R4 、R5 は、それぞれ独立に水素およ
び炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる。)で示さ
れる核置換フェノール類を、酸化カップリング触媒を用
いて重合する方法において、一般式(3)
【化10】 (式中、Q1 およびQ2 は、それぞれ独立に水素、炭素
数1〜24のアルキル基および炭素数7〜24のアラル
キル基から選ばれる。ただし、Q1 とQ2 が共に水素で
あるものは含まず、またQ1 とQ2 がアルキレン基であ
って環を形成して結ばれているものも含む。)で示され
るアミン類を、核置換フェノール1モルに対して0.0
01〜0.2モル存在させて重合を行い、得られた該ポ
リフェニレンエーテルを溶融混練することを特徴とする
変性ポリフェニレンエーテルの製造方法が挙げられる。
【0018】さらに詳しく説明すると、一般式(2)で
示される核置換フェノール類を、酸化カップリング触媒
を用いて重合する方法において、一般式(3)で示され
るアミン類を、存在させて重合する。該アミン類は、使
用する核置換フェノール類1モルに対して0.001〜
0.2モル、好ましくは0.005〜0.05モル存在
させる。使用割合が核置換フェノール類1モルに対して
0.001モルより少ない場合は品質の優れたポリフェ
ニレンエーテルが得られないので好ましくなく、また
0.2モルより多い場合は実用的な分子量のポリフェニ
レンエーテルが得られないので好ましくない。このよう
にして該アミン類を側鎖に有するポリフェニレンエーテ
ルを得ることができる。次に、ここでいう核置換フェノ
ール類とは一般式(2)で示されるものであり、核置換
フェノール類は単独で、もしくは2種以上を併用して用
いることができる。好ましい核置換フェノール類として
は2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチ
ルフェノール等を挙げることができる。特に2,6−ジ
メチルフェノールが好ましい。
【0019】次に、一般式(3)で示されるアミン類と
しては、具体的にはn−プロピルアミン、iso−プロ
ピルアミン、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミ
ン、sec−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−
オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘ
キシルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン等の1
級アミン、およびジエチルアミン、ジ−n−プロピルア
ミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−iso−ブチルアミ
ン、ジ−n−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコ
リン等の2級アミンが挙げられる。なお、一般式(3)
を繰り返し単位として含むと見なされるような多価アミ
ンも一般式(3)で表されるアミンと等価であり、この
ような多価アミンの例としてはエチレンジアミン、ピペ
ラジン、1,3−ジピペリジルプロパン等が挙げられ
る。
【0020】具体的には、一般式(3)で示されるアミ
ン類と、公知の銅化合物、マンガン化合物あるいはコバ
ルト化合物と塩基類から選ばれた配位子を組合わせた触
媒系を用いることが好ましい。たとえば、特開昭53−
79993号公報に記載のように、マンガン塩、塩基性
反応媒体および2級アミンからなる触媒の存在下、フェ
ノール系単量体と酸素を酸化カップリングする方法、あ
るいは特開昭63−54424号公報に記載のように、
核置換フェノール類を触媒の存在下有機溶媒中で酸素含
有ガスにより酸化重合させる方法で、触媒として、二価
のマンガン塩類の1種または2種以上を含むマンガン化
合物、周期律表IA族金属の水酸化物、アルコキシド類
またはフェノキシド類、IIA族金属の水酸化物、酸化
物から選ばれた少なくとも一種の塩基性化合物、アルカ
ノールアミン類、およびアミン類を含む触媒系を使用す
る方法が挙げられる。
【0021】このようにして、下記の一般式(4)
【化11】 (式中Q1 およびQ2 は、それぞれ独立に水素、炭素数
1〜24のアルキル基および炭素数7〜24のアラルキ
ル基から選ばれる。ただし、Q1 とQ2 が共に水素であ
るものは含まず、またQ1 とQ2 がアルキレン基であっ
て環を形成して結ばれているものも含む。)で示される
基にフェニレン基の2位および/または6位のメチル基
が変換された構造単位を有するポリフェニレンエーテル
を得ることができる。
【0022】上記第2級または第3級アミンが結合した
構造単位は、ポリフェニレンエーテルの末端の構造単位
であってもよく、末端でなく主鎖の中間であってもよ
い。特に、該構造単位が、ポリフェニレンエーテルの末
端の構造単位であるものを得ることが容易であるので好
ましい。
【0023】次に、このようにして得られたフェニレン
基の2位および/または6位のメチル基に第2級または
第3級アミンが結合したポリフェニレンエーテルを溶融
混練することにより、本発明の変性ポリフェニレンエー
テルを得ることができる。原料のポリフェニレンエーテ
ルなどは窒素雰囲気下で混練装置に投入することが好ま
しい。該溶融混練は、シリンダー設定温度を200〜3
00℃、好ましくは230〜280℃で行うことがよ
い。シリンダー設定温度が200℃未満では原料ポリフ
ェニレンエーテルの成形加工性が悪く、またシリンダー
設定温度が300℃を越えるとポリフェニレンエーテル
の分解、ゲル化などが生じることがあるので好ましくな
い。脱揮を行ないながら溶融混練を行なうことが好まし
い。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸
の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることが
好ましい。
【0024】溶融混練を行うときにラジカル開始剤を配
合して溶融混練することもできる。また、あらかじめ該
ポリフェニレンエーテルに、ラジカル開始剤を配合して
溶融混練することもできる。好ましく用いられるラジカ
ル開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、ジメチル−2,5−
ビス(ハイドロパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス
(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−
ブチルパーオキサイド、2,6−ジ−t−ブチル−4メ
チルフェノール等が挙げられる。
【0025】次に本発明の熱可塑性樹脂組成物について
説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物の(A)成分
は、前記の変性ポリフェニレンエーテルである。本発明
の熱可塑性樹脂組成物における成分(A)の変性ポリフ
ェニレンエーテルに、必要に応じて未変性のポリフェニ
レンエーテル、スチレングラフトポリフェニレンエーテ
ル、ポリスチレン等を配合することもできる。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成分(A)
の変性ポリフェニレンエーテル、およびその原料ポリフ
ェニレンエーテルの還元粘度ηSP/c(0.5g/dl
のクロロホルム溶液について25℃で測定した値)は、
0.30〜0.65dl/gの範囲が好ましい。ηSP
cが0.30dl/g未満では組成物の耐熱性が著しく
低下し、またηSP/cが0.65dl/gを越えると組
成物の成形性が悪くなり好ましくない。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成分(B)
の液晶ポリエステルはサーモトロピック液晶ポリマーと
呼ばれるポリエステルである。具体的には、 (1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸との組み合わせからなるもの (2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの (3)芳香族ジカルボン酸と核置換芳香族ジオールとの
組み合わせからなるもの (4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
に芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたものなどが
挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成す
るものである。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳
香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わ
りに、それらのエステル形成性誘導体が使用されること
もある。該液晶ポリエステルの繰返し構造単位としては
下記のものを例示することができるが、これらに限定さ
れるものではない。 芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】 芳香族ジオールに由来する繰返し構造単位:
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】 芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し構造単
位:
【0032】
【化16】 耐熱性、機械的特性、加工性のバランスから特に好まし
い液晶ポリエステルは
【0033】
【化17】 なる繰り返し構造単位を含むものであり、具体的には繰
り返し構造単位の組み合わせが下記(I)〜(IV)の
ものである。
【0034】
【化18】
【0035】
【化19】
【0036】
【化20】
【0037】
【化21】
【0038】
【化22】 該液晶ポリエステル(I)、(II)、(III)、
(IV)については、それぞれ、例えば特公昭47−4
7870号公報、特公昭63−3888号公報、特公昭
63−3891号公報、特公昭56−18016号公報
などに記載されている。
【0039】本発明においては、成分(A)、成分
(B)の組成比が特定の範囲内の値をとることによっ
て、目的とする熱可塑性樹脂組成物を得ることができ
る。本発明における成分(A)と成分(B)の比率は成
分(A)が1〜75重量%、成分(B)が99〜25重
量%が好ましい。成分(A)が1重量%未満であると、
コスト的に利点が少なく、また75重量%を越えると組
成物の耐熱性、強度などが不十分になり好ましくない。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
成分(A)が分散相、成分(B)が連続相であることが
より好ましい。この場合には、該組成物の耐薬品性、耐
熱性、機械的物性などが優れるので、好ましい。
【0041】本発明における熱可塑性樹脂組成物が優れ
た物性を示す理由は必ずしも明らかではないが、変性ポ
リフェニレンエーテル中に含まれる第1級アミンが液晶
ポリエステルに化学的作用を及ぼしている効果が大きい
ものと考えられる。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
所望により無機充填剤が用いられる。このような無機充
填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリ
カ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ア
ルミナ、石膏、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、
ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊維等
が例示される。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物に、必要に応
じて、さらに酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃
剤、滑剤、帯電防止剤、無機または有機系着色剤、防錆
剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改
良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの各種の添加剤
を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加す
ることができる。
【0044】本発明における熱可塑性樹脂組成物を製造
する方法としては、例えば、混練機を用いてポリフェニ
レンエーテルを溶融混練して成分(A)の変性ポリフェ
ニレンエーテルをあらかじめ製造し、これに成分(B)
の液晶ポリエステルを配合して両者を混練して該組成物
を製造する方法、あるいは上記の様にして得られた成分
(A)の変性ポリフェニレンエーテルと成分(B)の液
晶ポリエステルをそれぞれ溶剤で溶解して溶液状態で両
者を混合し、溶剤を蒸発させる、もしくは樹脂成分が溶
解しない溶剤中に投入して樹脂組成物を沈澱させる方法
等が挙げられる。
【0045】さらには、混練押出機の第一フィード口か
らポリフェニレンエーテルを投入し、第一フィード口か
ら第二フィード口の間の混練押出機内でポリフェニレン
エーテルを溶融混練して、本発明における成分(A)の
変性ポリフェニレンエーテルを製造したのち、該押出混
練機の第二フィード口から成分(B)の液晶ポリエステ
ルなどを投入し、該変性ポリフェニレンエーテルと該液
晶ポリエステルなどを該混練押出機内で溶融混練して樹
脂組成物を製造する方法も挙げられる。
【0046】いずれの場合でも、得られた樹脂組成物を
構成する成分(A)が第1級アミンを含有する変性ポリ
フェニレンエーテルであることは、該組成物から溶媒を
用いて変性ポリフェニレンエーテルあるいはポリフェニ
レンエーテルを抽出、再沈し、電位差滴定法などにより
その抽出成分中のアミン種の定量を行うことによっても
確かめることがてきる。
【0047】本発明における熱可塑性樹脂組成物が優れ
た物性を示す理由は必ずしも明らかではないが、以下の
ように考えることができる。
【0048】即ち、構造単位(1)のみからなるポリフ
ェニレンエーテルは反応性の官能基を含有しないため液
晶ポリエステルとの反応性が不十分であり、そのため該
ポリフェニレンエーテルと液晶ポリエステルからなる組
成物は優れた物性を示さない。一方、アミノメチル基で
置換された変性ポリフェニレンエーテルは反応性に富む
第1級アミンを含有するため、変性ポリフェニレンエー
テルと液晶ポリエステルの間で反応が起こり、その結
果、組成物が優れた物性を示すと考えられる。
【0049】
【実施例】以下実施例により本発明を説明するが、これ
らは単なる例示であり本発明はこれらに限定されること
はない。なお数平均分子量、アミンの定量、NMR測定
についてはそれぞれ次の方法で測定した。 (数平均分子量)ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー法(以下GPC法ということがある)により常法に
従って求めた。
【0050】(原料ポリフェニレンエーテル、変性ポリ
フェニレンエーテル中のアミンの定量) ・全アミン中の窒素含量:試料約1gを秤量して、クロ
ロホルム50cc中に溶解し、酢酸5ccを加えた後、
京都電子(株)製電位差滴定装置AT−310(ガラス
−カロメル電極、滴定液0.1モル過塩素酸、(酢酸溶
液))を用いて電位差滴定を行い、次式にしたがって全
アミン中の窒素含量を求めた。 NT =0.0014×A×C1 ×100/S NT :全アミンの窒素含量(%) A:滴定量(cc) S:試料量(g) C1 :過塩素酸溶液の濃度(モル/リットル)
【0051】・第3級アミン中の窒素含量:試料約1g
を秤量して、クロロホルム50cc中に溶解し無水酢酸
5ccを加え、放置したのち酢酸5ccを加えたのち全
アミン中の窒素含量滴定の場合と同様に電位差滴定を行
い、次式にしたがって3級アミン中の窒素含量を求め
た。 N3 =0.0014×B×C2 ×100/S N3 :第3級アミン中の窒素含量(%) B:滴定量(cc) S:試料量(g) C2 :過塩素酸溶液の濃度(モル/リットル)
【0052】・第2級アミン中の窒素含量:試料約1g
を秤量して、クロロホルム50cc中に溶解し、サリチ
ルアルデヒド0.5ccを加え、放置したのち滴定試薬
を0.1モル/リットル塩酸の2−プロパノール溶液と
した以外は全アミン量滴定の場合と同様にして電位差滴
定を行い、次式にしたがってまず試料中の(第2級アミ
ン+第3級アミン)の窒素含量N2 3 (%)を求め
た。 N2 3 =0.014×C×D×100/S C:滴定塩酸の濃度(モル/リットル) D:滴定量(cc) S:試料量(g) 次に次式にしたがって試料中第2級アミンの窒素含有量
2 (%)を求めた。 N2 =N2 3 −N3
【0053】・第1級アミン中の窒素含量:次式にした
がって試料中の第1級アミンの窒素含量N1 (%)を求
めた。 N1 =NT −N2 −N3
【0054】(NMR測定)ブルカー社製AMX600
型スペクトロメータを用い、 1Hの共鳴周波数が60
0.14MHz、13Cの共鳴周波数が150.92MH
zで測定を行なった。試料はCDCl3 に溶解し、測定
温度は40℃であった。化学シフトは、 1H−NMRの
場合CHCl3 のピークを7.24ppmとし、13C−
NMRの場合13CDCl3 のピークを77.1ppmと
して算出した。なお、R−1のピークの帰属は主にマク
ロモレキュルズ(Macromolecules)、2
3巻1318〜1329頁(1990年)の論文に基づ
いて行った。
【0055】(成形品の物性測定方法)物性測定は池貝
鉄工(株)製PCM−30型二軸押出機を用いてシリン
ダー設定温度300〜340℃で組成物を混練した後、
日精樹脂工業(株)製PS40E5ASE型射出成形機
を用いて、成形温度300℃〜340℃、金型温度11
0〜130℃で射出成形した成形品について行った。
【0056】(引張強度、荷重たわみ温度(TDU
L))ASTM4号引張ダンベル、TDUL測定用試験
片(127mm長×12.7mm幅×6.4mm厚)を
成形し、それぞれASTM D638、ASTM D6
48に準じて引張強度、TDUL(荷重18.6kg)
を測定した。
【0057】(曲げ強度)試験片(6.4mm厚)につ
いてASTM D790に準じて、測定した。
【0058】(ウェルド部強度、非ウェルド部強度)本
発明の組成物から図1に示す試験片を成形した。この試
験片は厚み3mm、外寸64mm、内寸38mmであっ
た。これから図1に示すウェルドラインを含む斜線部
(64×13mm)を切り出し、スパン間距離40m
m、曲げ強度2mm/分で曲げ強度を測定した。また、
同一形状の試験片から非ウェルド部(64×13mm)
を切り出し、同様にして曲げ強度を測定した。
【0059】(射出成形品の外観)射出成形品の外観は
以下の基準で評価した。 ○:外観は美しく、色調変化などは認められない。 ×:成形品表面に色調変化などが認められる。
【0060】(成形品の形態観察)射出成形品をミクロ
トームで切削して、四塩化炭素でエッチングする。それ
を走査型電子顕微鏡を用いて観察して、次のように分類
した。 A:ポリフェニレンエーテル部分(変性PPEおよび未
変性PPE)が分散相、液晶ポリエステル部分が連続
相。 B:ポリフェニレンエーテル部分が連続相、液晶ポリエ
ステル部分が分散相。
【0061】参考例1 撹拌機、温度計、コンデンサーおよびオートクレーブの
底部まで届いた空気導入管を備えた容量10リットルの
ジャケット付きオートクレーブにキシレン3420g、
メタノール1366g、2,6−ジメチルフェノール1
222g(10.02モル)および水酸化ナトリウム2
4gを仕込み均一な溶液とした後、該溶液をジエタノー
ルアミン33.8g、ジ−n−ブチルアミン27.7g
(0.233モル、2,6−ジメチルフェノール1モル
に対して0.0233モル)および塩化マンガン四水和
物0.99gをメタノール100gに溶解した溶液に加
えた。
【0062】ついで、内容物を激しく攪拌しながら、こ
れに空気を5リットル/分の流量で吹き込んだ。反応温
度および圧力をそれぞれ35℃および9kg/cm2
維持した。空気の吹き込み開始から7時間経過した時点
で空気の供給を停止し、反応混合物を酢酸66gとメタ
ノール4,900gの混合物中へ投じた。得られたスラ
リーを減圧ろ過し、湿潤状態のポリフェニレンエーテル
を単離した。単離したポリフェニレンエーテルをメタノ
ール7,200gで洗浄した後、150℃で一夜減圧乾
燥し、乾燥状態のポリフェニレンエーテル1160gを
得た。このポリフェニレンエーテルの数平均分子量は6
000、数平均重合度は50であった。以下本ポリフェ
ニレンエーテルをR−1と略記することがある。表1に
R−1の各種アミンの窒素含量を示す。これから、ポリ
フェニレンエーテルの2位および6位の置換メチル基の
0.43%が第3級ジブチルアミノ基に置換されている
ことがわかる。
【0063】実施例1 ポリフェニレンエーテルR−1を100重量部、ラジカ
ル開始剤サンペロックスT0(商品名、三建化工(株)
製)0.2重量部、酸化防止剤イルガノックス1330
(商品名)0.3重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4
メチルフェノール0.2重合部をヘンシェルミキサーで
混合後、池貝鉄工(株)製二軸押出機PCM−30を使
用し、ホッパーを窒素雰囲気下としたところへ投入し
て、シリンダー温度273℃、スクリュー回転数80r
pmで、脱揮を行ないながら混練を行った。得られたペ
レットをクロロホルムに溶解したのちメタノール中で再
沈、乾燥した。この変性ポリフェニレンエーテルの数平
均分子量は6800、数平均重合度は56.7であっ
た。以下本変性ポリフェニレンエーテルをA−1と略記
することがある。表1にA−1の各種アミンの窒素含量
を示す。原料ポリフェニレンエーテルと比較すると、第
3級アミンが大幅に減少し、第1級アミンが著しく増加
した変性ポリフェニレンエーテルが得られたことがわか
る。
【0064】
【表1】
【0065】これから、ポリフェニレンエーテルの2位
および6位の置換メチル基の0.30%がアミノメチレ
ン基に置換されていることがわかる。R−1およびA−
1の熱安定性を比較するために、熱重量分析を行なっ
た。なお、熱重量分析は、島津製作所製 TGA−50
を用い、昇温速度10℃/minで行なった。なお、R
−1とA−1の表面積の違いを解消するため、A−1に
ついては重量−温度曲線に試料の粒径依存性が認められ
なくなるまで細かく砕いたもの(42mesh)を測定
に用いた。図2に窒素雰囲気中で、測定した熱重量分析
の結果を示す。図2の(1)はR−1について、図2の
(2)はA−1についての測定結果を示す。なお、図中
の主分解温度はベースラインと、ベースラインシフトの
最傾斜点での接線との交点で求め、分解開始温度は重量
が2%減少した温度とした。なお、図2にそれぞれの分
解開始温度、主分解温度を記載する。図2からわかるよ
うにR−1の重量減少は350℃位から起こり始め、分
解開始温度も405℃と低かったのに対し、A−1では
400℃までほとんど重量減少を見せず、分解開始温度
も438℃と、R−1に比べ30℃以上も高かった。ま
た、主分解温度を見ても、R−1が435℃であったの
に対してA−1では450℃と高く、本発明の変性ポリ
フェニレンエーテルでは熱安定性が向上していることが
わかる。
【0066】R−1およびA−1の2次元HMQC N
MRスペクトルを、それぞれ図3、図4に示す。図3に
おいて、縦の軸が13Cの化学シフト、横の軸が 1Hの化
学シフトを示す。このスペクトルにおいては、観測時に
13Cのデカップリングを行なっていないため、1つのシ
グナルは 1H軸方向に分裂した2つのピークとして観測
される。シグナルの13C−NMR化学シフトは、ピーク
位置で与えられる。 1H−NMR化学シフトは、分裂し
た2つのピーク位置の中点で与えられる。図中、矢印で
示す。図4において、縦の軸が13Cの化学シフト、横の
軸が 1Hの化学シフトを示す。このスペクトルにおいて
は、観測時に13Cのデカップリングを行なっていないた
め、1つのシグナルは 1H軸方向に分裂した2つのピー
クとして観測される。シグナルの13C−NMR化学シフ
トは、ピーク位置で与えられる。 1H−NMR化学シフ
トは、分裂した2つのピーク位置の中点で与えられる。
図中矢印で示す。
【0067】主なピークの帰属は以下のとおりである。
R−1の2次元HMQC NMRスペクトル中、13C:
58.1ppm、 1H:3.62ppmの化学シフトを
もつシグナルは、文献 Macromolecule
s、23、1318(1990)によりジブチルアミン
の結合したポリフェニレンエーテルのフェニレン基の2
位あるいは6位のメチレン基の炭素および水素にそれぞ
れ帰属される。このシグナルの強度はA−1では大幅に
減少し、新たに13C:36.3ppm、 1H:3.89
ppmの化学シフトをもつシグナルが認められる。文献
Phytochem.、18、1547(1979)
により第一級アミンの結合したベンジル基のメチレン基
の炭素の化学シフトが39.4ppmを示すこと、また
文献 Aldrich Library of NMR
Spectra、II、1066(1983)によ
り、第一級アミンの結合したベンジル基のメチレン基の
水素の化学シフトが3.9ppmを示すことが知られて
いる。従って、A−1で認められた13C:36.3pp
m、 1H:3.89ppmの化学シフトをもつシグナル
は、第一級アミンの結合したポリフェニレンエーテルの
フェニレン基の2位あるいは6位のメチレン基の炭素お
よび水素に帰属される。この結果は、先の滴定によるア
ミノ基の分析結果と一致する。
【0068】参考例2 p−アセトキシ安息香酸10.8kg(60モル)、テ
レフタル酸2.49kg(15モル)、イソフタル酸
0.83kg(5モル)および4,4’−ジアセトキシ
ジフェニル5.45kg(20.2モル)を櫛型撹拌翼
をもつ重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しなが
ら昇温し330℃で1時間重合させた。この間に副生す
る酢酸を除去しながら、強力な撹拌下で重合させた。そ
の後、系を除々に冷却し、200℃で反応混合物を系外
へ取出した。この反応混合物を細川ミクロン(株)製の
ハンマーミルで粉砕し、2.5mm以下の粒子とした。
これを更にロータリーキルン中で窒素ガス雰囲気下に2
80℃で3時間処理することによって、流動温度が32
4℃の粒子状の下記の繰り返し構造単位からなる全芳香
族ポリエステルを得た。以下該液晶ポリエステルをB−
1と略記する。このポリマーは加圧下で340℃以上で
光学異方性を示した。液晶ポリエステルB−1の繰り返
し構造単位は、次の通りである。
【0069】
【化23】
【0070】実施例2、3、比較例1、2 表2に示す組成で各成分を安定剤と共に配合、混練し諸
物性を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0071】実施例4、5、比較例3、4 表3に示す組成で各成分を安定剤と共に配合、混練し諸
物性を測定した。得られた結果を表3に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】 実施例2の組成物をクロロホルム中で72時間還流し、
クロロホルム溶解分である変性PPE(以下該変性PP
EをA−2と略称することがある)中のアミン種の定量
を行った。また比較例1の組成物についても全く同様の
処理を行ない、そのPPE(以下該PPEをR−2と略
称することがある)中のアミン種の定量を行った。これ
らのアミン種定量の結果を表4に示す。
【0074】
【表4】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、機械的性質な
どの諸物性、溶融加工性が優れ、成形外観も良好であ
り、しかも安価な樹脂組成物であることがわかる。
【0075】
【発明の効果】本発明の変性ポリフェニレンエーテル
は、反応性に富む1級アミンを高分子側鎖に含むため、
各種の組成物、またはポリマーアロイの成分として広範
囲に好ましく使用することができ、安価である。本発明
の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、機械的性質、外観お
よび光沢の優れた樹脂組成物であり、このような特性を
生かして射出成形や押出成形により成形品、シート、チ
ューブ、フィルム、繊維、積層物、コーティング材等に
用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェルド強度測定用の試験片の平面図。
【図2】窒素雰囲気中におけるポリフェニレンエーテル
の加熱重量変化を示す図。
【図3】ポリフェニレンエーテル(R−1)の2次元H
MQC NMRスペクトル図。
【図4】変性ポリフェニレンエーテル(A−1)の2次
元HMQC NMRスペクトル図。
【符号の説明】
1.ウェルドライン 2.ウェルドラインを含む切り出し部(斜線部) 3.ゲート

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の構造単位(1) 【化1】 (式中R1 およびR2 は、それぞれ独立に水素および炭
    素数1〜20の炭化水素基から選ばれる。)からなり、
    数平均重合度が20〜1200であるポリフェニレンエ
    ーテルにおいて、数平均重合度をXとしたとき、フェニ
    レン基の2位および/または6位のメチル基の0.02
    /X〜1/Xがアミノメチル基で置換されていることを
    特徴とする変性ポリフェニレンエーテル。
  2. 【請求項2】下記の一般式(2) 【化2】 (式中、R3 、R4 、R5 は、それぞれ独立に水素およ
    び炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる。)で示さ
    れる核置換フェノール類を、酸化カップリング触媒を用
    いて重合する方法において、一般式(3) 【化3】 (式中、Q1 およびQ2 は、それぞれ独立に水素、炭素
    数1〜24のアルキル基および炭素数7〜24のアラル
    キル基から選ばれる。ただし、Q1 とQ2 が共に水素で
    あるものは含まず、またQ1 とQ2 がアルキレン基であ
    って環を形成して結ばれているものも含む。)で示され
    るアミン類を、核置換フェノール1モルに対して0.0
    01〜0.2モル存在させて重合を行い、得られたポリ
    フェニレンエーテルを溶融混練することを特徴とする請
    求項1記載の変性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  3. 【請求項3】(A)下記の構造単位(1) 【化4】 (式中R1 およびR2 は、それぞれ独立に水素および炭
    素数1〜20の炭化水素基から選ばれる。)からなり、
    数平均重合度が20〜1200であるポリフェニレンエ
    ーテルにおいて、数平均重合度をXとしたとき、フェニ
    レン基の2位および/または6位のメチル基の0.02
    /X〜1/Xの割合がアミノメチル基で置換された変性
    ポリフェニレンエーテル、および(B)液晶ポリエステ
    ルからなり、成分(A)が1〜75重量%、成分(B)
    が99〜25重量%である熱可塑性樹脂組成物。
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