JPH06119813A - マイクロ波用誘電体磁器組成物 - Google Patents

マイクロ波用誘電体磁器組成物

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JPH06119813A
JPH06119813A JP5014747A JP1474793A JPH06119813A JP H06119813 A JPH06119813 A JP H06119813A JP 5014747 A JP5014747 A JP 5014747A JP 1474793 A JP1474793 A JP 1474793A JP H06119813 A JPH06119813 A JP H06119813A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、誘電率ε及びQ値が大きく、且つ
温度係数τfがゼロに近いマイクロ波用誘電体磁器組成
物を得ることにある。 【構成】 酸化リチウムと酸化サマリウムと酸化チタニ
ウムとに、更に相互の混合比を調整した酸化カルシウム
と、酸化ストロンチウムまたは酸化ナトリウム或いは酸
化鉛とを加えることにある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は数GHz帯のマイクロ波
領域で用いる共振器材料に使用される誘電体磁器組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の情報の高密度化は、使用する信号
周波数を益々高周波化させるに至っている。とりわけ、
数100MHz〜数GHz帯のマイクロ波は、衛星通
信、移動体通信、放送、更には移動体識別装置等の種々
の情報伝達媒体で使用されている。
【0003】斯る媒体で必要不可欠なものとして、送信
・受信器用の共振器とフィルタとがある。これらは、そ
の高周波帯域における機能を十分担う誘電体磁器材料を
使用して製造される。
【0004】従来、この種の誘電体磁器材料としては、
高周波特性が比較的良好であるという理由で、BaO−Ti
2系、Ba{Zn1/3(Nb・Ta)2/3}O3系、あるいは(Zr
・Sn)TiO4系などが使用されている。
【0005】ところが、この誘電体磁器材料から成る共
振器等にあっては、この誘電体の誘電率をεとしたなら
ば誘電体中で伝搬する電磁波の波長は1/√εと短くな
ることから、誘電率εが大きな材料を使用するほど、そ
の共振器等の寸法を小さくすることができることとな
る。
【0006】しかしながら、前記誘電体磁器材料では、
その誘電率は通常20〜40と小さく、1〜3GHz領
域でのマイクロ波帯ではいきおい共振器の寸法が大きな
ものとなってしまう。
【0007】一方、この誘電率の大きな材料としては、
例えばSrTiO3(ε;約300),CaTiO3(ε;約18
0)等が挙げられるものの、その半面これら材料の共振
周波数の温度係数τfは夫々+1700ppm/℃,+
800ppm/℃と非常に大きく、安定した使用を期待
できない。
【0008】通常この様な誘電体組成物の温度係数τf
をゼロに近づける方策には、誘電率が大きく、且つ温度
係数τfがマイナスの値を示す材料とを組み合わせる方
法が用いられる。
【0009】この方法によれば、適当な材料を選択する
ことにより、誘電率が大きく、且つその温度係数τfの
小さな磁器組成物が得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、一般に、誘
電率εが大きなものほどその温度係数τfはプラスの側
に大きくなることから、誘電率が大きく、且つ温度係数
τfがマイナスの値を示す適当な材料を見出せていな
い。
【0011】加えて、マイクロ波用誘電体磁器材料とし
ては、Q値の大きいことが必要となる。
【0012】本発明は、上述した点に鑑み、誘電率及び
Q値が大きく、且つ共振周波数の温度係数τfがゼロに
近い誘電体磁器組成物を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明マイクロ波用誘電
体磁器組成物の特徴とするところは、組成式が、 w・Li2O−x・{(1−u)・CaO−u・SrO}−y・Sm23−z・TiO2 但し、 0モル%<w<100モル% 0モル%<x<100モル% 0モル%<y<100モル% 0モル%<z<100モル% w+x+y+z=100モル% で表され、更にこのマイクロ波用誘電体磁器組成物に於
て、上記各w,x,y,zが、 0.0モル%<w≦25.0モル% 0.0モル%≦x≦50.0モル% 0.0モル%<y≦20.0モル% 0.0モル%<z≦80.0モル% であり、 またuが、 0.0≦u<1.0 の範囲としたことにあり、また本発明の特徴とするとこ
ろは、組成式が、 w・Li2O−x・{(1−u)・CaO−u・Na2O}−y・Sm23−z・TiO2 但し、 0モル%<w<100モル% 0モル%<x<100モル% 0モル%<y<100モル% 0モル%<z<100モル% w+x+y+z=100モル% で表され、とりわけこのマイクロ波用誘電体磁器組成物
に於て、上記各w,x,y,z,uが、 0.0モル%<w≦25.0モル% 0.0モル%≦x≦50.0モル% 0.0モル%<y≦20.0モル% 0.0モル%<z≦80.0モル% であり、 またuが、 0.0≦u<0.7 の範囲としたことにある。
【0014】更に、本発明の特徴とするところは、組成
式が、 w・Li2O−x・{(1−u)・CaO−u・PbO}−y・A23−z・TiO2 但し、 AはSmまたはNdであり、 0モル%<w<100モル% 0モル%<x<100モル% 0モル%<y<100モル% 0モル%<z<100モル% w+x+y+z=100モル% で表され、とりわけこのマイクロ波用誘電体磁器組成物
に於て、上記各w,x,y,z,uが、 0.0モル%<w≦25.0モル% 0.0モル%≦x≦50.0モル% 0.0モル%<y≦30.0モル% 0.0モル%<z≦80.0モル% であり、 またuが、 0.0<u<1.0 の範囲としたことにある。
【0015】
【作用】本発明マイクロ波用誘電体磁器組成物では、酸
化リチウム(Li2O)と酸化サマリウム(Sm23)と酸
化チタニウム(TiO2)とに、更に相互の混合比を調整
した酸化カルシウム(CaO)と酸化ストロンチウム(Sr
O)とを加えることにより、比誘電率εr及びQ値が大
きく、且つ温度係数τfの小さなものが得られる。
【0016】とりわけ、酸化ストロンチウムの混合比を
増加させると、比誘電率εrを大きくし得ることができ
るものの、Q値が小さくなることから、斯る混合比の調
整を必要とする。
【0017】また、同様に酸化リチウム(Li2O)と酸
化サマリウム(Sm23)と酸化チタニウム(TiO2)と
に、相互の混合比を調整した酸化カルシウム(CaO)と
酸化ナトリウム(Na2O)とを加えることで、比誘電率
εr及びQ値が大きく、且つ温度係数τfの小さなもの
が得られる。
【0018】更に、酸化リチウム(Li2O)と酸化サマ
リウム(Sm23)又は酸化ネオジム(Nd23)と酸化チ
タニウム(TiO2)とに、相互の混合比を調整した酸化
カルシウム(CaO)と酸化鉛(PbO)とを加えることに
よっても、同様の効果を呈する。
【0019】
【実施例】本発明マイクロ波用誘電体磁器組成物を製造
するにあたっては、まず原材料となるLi2CO3,CaCO
3,SrCO3,Sm23,TiO2を用意する。そして、これ
らを所定の組成となるように秤量し、配合する。
【0020】一例としては、CaOとSrOとの比、即ちu
を0.06とし、Li2O,CaOとSrOの和、Sm23、そ
してTiO2の夫々の組成比を9mol%,16mol
%,12mol%そして63mol%となるように秤量
し、配合する。
【0021】次にこれら粉末を配合し、ボールミル等に
より5〜20時間、アルコールを用いて湿式混合を行っ
た後、700〜1000℃で1〜5時間仮焼する。引き
続いて、この仮焼したものを再びボールミル等により2
〜50時間粉砕する。
【0022】次いで、これにポリビニルアルコールなど
の有機結合剤を加えて造粒、分級し、2000〜300
0kg/cm2の圧力を加えて成形する。続いて、この
成形品を1200〜1400℃の温度で1〜5時間焼成
した後、その焼成品の厚みが直径の約2分の1になるよ
うに両面研摩して測定試料を完成させる。
【0023】このようにして完成した試料を、ハッキ・
コールマン法を用い測定周波数3GHz付近で誘電率
(ε)、Q値、及び共振周波数の温度係数(τf)を測
定した。その測定結果を表1に示す。なお、実施例で説
明に使用した試料としては、表1の試料番号7が相当し
ている。
【0024】
【表1】
【0025】同表が示すように、酸化ストロンチウムの
含有量が増加するにつれて即ちu値の増加につれて、比
誘電率εrが漸次増加することが判る。一方、温度係数
にいたっては、その絶対値は精々約30ppm/℃と小
さく良好な磁器組成物が得られることを示している。ま
た、Q値にあっては、酸化ストロンチウムの含有量が増
加するにつれて漸次減少する傾向を示している。
【0026】また、同表には、CaOを含有させないで
SrOのみとした場合、即ちu=1.00としたもの
(試料番号5,10,15)についても示しているが、それ
ら試料の誘電特性は比誘電率は大きくなるものの、Q値
が小さくなり過ぎることから実用的なものではない。
【0027】従って、本発明マイクロ波用誘電体磁器組
成物を例えば共振器に使用する場合にあっては、この酸
化ストロンチウムの含有量を変化させた場合の上述した
傾向を考慮して、適宜選択して使用すればよいこととな
る。
【0028】とりわけ、本発明マイクロ波用誘電体磁器
組成物を化1で表した場合にあっては、数1で示される
範囲の組成物とするのが好適である。
【0029】
【化1】
【0030】
【数1】
【0031】次に、組成式がw・Li2O−x・{(1−
u)・CaO−u・Na2O}−y・Sm23−z・TiO2の本
発明マイクロ波用誘電体磁器組成物について説明する。
まず、斯る組成物を製造するにあたっては、原材料とな
るLi2CO3,CaCO3,Na2CO3,Sm23,TiO2を用意
する。そして、これらを所定の組成となるように秤量
し、配合する。
【0032】一例としては、CaOとNa2Oとの比、即ち
uを0.1とし、Li2O,CaOとNa2Oの和、Sm23、そ
してTiO2の夫々の組成比を8mol%,16mol
%,13mol%そして63mol%となるように秤量
し、配合する。
【0033】次にこれら粉末を配合し、ボールミル等に
より5〜20時間、アルコールを用いて湿式混合を行っ
た後、700〜1000℃で1〜5時間仮焼する。引き
続いて、この仮焼したものを再びボールミル等により2
〜50時間粉砕する。
【0034】次いで、これにポリビニルアルコールなど
の有機結合剤を加えて造粒、分級し、2000〜300
0kg/cm2の圧力を加えて成形する。続いて、この
成形品を1200〜1400℃の温度で1〜5時間焼成
した後、その焼成品の厚みが直径の約2分の1になるよ
うに両面研摩して測定試料を完成させる。
【0035】このようにして作製した試料をハッキ・コ
ールマン法を用いて測定周波数3GHz付近にて、誘電
率(ε)、Q値、及び共振周波数の温度係数(τf)を
測定した。この測定結果が表2で、表中の試料番号9が
実施例として製造した試料に相当している。
【0036】
【表2】
【0037】同表で分かるように、酸化ナトリウムの含
有量が増加するにつれて、即ちu値が増加するにつれ
て、比誘電率εrの増加することが分かる。また、温度
係数の絶対値及び、Q値にあっては、酸化ナトリウムの
含有量が増加するにつれて、夫々増加、減少といった顕
著な傾向を示すことが分かる。
【0038】以上のことから、本発明マイクロ波用誘電
体磁器組成物では、例えば共振器に使用する場合にあっ
ては、この酸化ナトリウムの含有量を適宜選択すること
によって、誘電率、Q値そして温度係数といったそれぞ
れのパラメータとして適したものを選択使用することが
可能となる。
【0039】特に、本発明マイクロ波用誘電体磁器組成
物を化2で表した場合にあっては、数2で示される範囲
の組成物とするのが好適である。
【0040】
【化2】
【0041】
【数2】
【0042】ここで、uを0≦u<0.7としたのは、
表2で明らかなように、uが0.7以上となると比誘電
率εrが低下してしまう現象を生じるからである。
【0043】以下では、引き続き本願発明のマイクロ波
用誘電体磁器組成物w・Li2O−x・{(1−u)・Ca
O−u・PbO}−y・A23−z・TiO2(但し、AはS
mまたはNd)について説明する。まず、斯る組成物を製
造するにあたっては、原材料となるLi2CO3,CaC
3,Pb34,Sm23,TiO2を用意する。そしてこれら
を所定の組成となるように秤量し、配合する。
【0044】例えば、CaOとPb34との比、即ちuを
0.09とし、Li2O,CaOとPb34の和、Sm23、そ
してTiO2の夫々の組成比を9mol%,16mol
%,12mol%そして63mol%となるように秤量
し、配合する。
【0045】以後の仮焼、粉砕及び有機結合剤を加えて
造粒等を行う工程は、前述した実施例と全く同様であ
る。このようにして完成した試料の測定周波数3GHz
付近における誘電率(ε)、Q値、及び共振周波数の温
度係数(τf)を示したのが、表3であり、本例の説明
に使用した試料としては、同表の試料番号2のものに相
当している。なお、同表には、Smを使用した場合の他
に、Ndを使用した場合も示しており、具体的な形成方法
としては実施例で使用したSm23に替えてNd23を使用
して同様に形成した。
【0046】
【表3】
【0047】同表から明らかなように、酸化鉛の含有量
が増加するにつれて、比誘電率εrが漸次増加すること
が判る。一方、温度係数に関しては、その絶対値は精々
約50ppm/℃と小さく良好な磁器組成物が得られて
いる。またQ値にあっては、酸化鉛の含有量が増加する
につれて漸次減少する傾向を示していることが判る。
【0048】従って、本実施例マイクロ波用誘電体磁器
組成物を共振器等に使用する場合にあっては、この酸化
鉛の含有量を変化させた場合の上述した傾向を考慮し
て、適宜選択して使用すればよいこととなる。
【0049】特に、本実施例の磁器組成物を化3で表し
た場合にあっては、数3で示される範囲の組成物とする
のが好適である。
【0050】
【化3】
【0051】
【数3】
【0052】本願発明マイクロ波用誘電体磁器組成物
は、いずれもマイクロ波用として利用する際、特にQ値
や上記温度係数が設計上の重要なパラメータである場合
にあっては、たとえ誘電率の値が小さくとも実用にたえ
るものである。
【0053】本発明では、酸化カルシウムと酸化ストロ
ンチウムとの混合比や、酸化カルシウムと酸化ナトリウ
ムとの混合比、或いは酸化カルシウムと酸化鉛との混合
比をを調整することによって、マイクロ波帯に適した誘
電体を得ることができたが、酸化カルシウムとの混合比
を斯様に調整することにより、温度係数を小さく抑えた
状態で誘電率が大きく維持でき、更にはQ値をも大きな
ものとすることができる、その他の物としては、酸化ス
トロンチウム等の他に、酸化カリウム、酸化バリウム、
などがあり、これらについても本願発明の酸化ストロン
チウム等と同様の効果を期待することができる。
【0054】
【発明の効果】本発明マイクロ波用誘電体磁器組成物に
よれば、マイクロ波領域において誘電率及びQ値が大き
く、且つ共振周波数の温度係数τfがゼロに近いものを
得ることができる従って、この組成物による共振器等に
あっては、その寸法を小型化し得ると共に、比較的温度
変化の大きな使用状況にあっても、高い信頼性の下で使
用することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 賢一 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三洋 電機株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式が、 w・Li2O−x・{(1−u)・CaO−u・SrO}−y・Sm23−z・TiO2 但し、 0モル%<w<100モル% 0モル%<x<100モル% 0モル%<y<100モル% 0モル%<z<100モル% w+x+y+z=100モル% で表されるマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 前記請求項1記載のマイクロ波用誘電体
    磁器組成物に於て、 上記各w,x,y,z,uが、 0.0モル%<w≦25.0モル% 0.0モル%≦x≦50.0モル% 0.0モル%<y≦20.0モル% 0.0モル%<z≦80.0モル% 0.0≦u<1.0 の範囲であることを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器
    組成物。
  3. 【請求項3】 組成式が、 w・Li2O−x・{(1−u)・CaO−u・Na2O}−y・Sm23−z・TiO2 但し、 0モル%<w<100モル% 0モル%<x<100モル% 0モル%<y<100モル% 0モル%<z<100モル% w+x+y+z=100モル% で表されるマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 前記請求項3記載のマイクロ波用誘電体
    磁器組成物に於て、 上記各w,x,y,z,uが、 0.0モル%<w≦25.0モル% 0.0モル%≦x≦50.0モル% 0.0モル%<y≦20.0モル% 0.0モル%<z≦80.0モル% 0.0≦u<0.7 の範囲であることを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器
    組成物。
  5. 【請求項5】 組成式が、 w・Li2O−x・{(1−u)・CaO−u・PbO}−y・A23−z・TiO2 但し、 AはSmまたはNdであり、 また、 0モル%<w<100モル% 0モル%<x<100モル% 0モル%<y<100モル% 0モル%<z<100モル% w+x+y+z=100モル% で表されるマイクロ波用誘電体磁器組成物。
  6. 【請求項6】 前記請求項5記載のマイクロ波用誘電体
    磁器組成物に於て、 上記各w,x,y,z,uが、 0.0モル%<w≦25.0モル% 0.0モル%≦x≦50.0モル% 0.0モル%<y≦30.0モル% 0.0モル%<z≦80.0モル% 0.0<u<1.0 の範囲であることを特徴とするマイクロ波用誘電体磁器
    組成物。
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