JPH0611761B2 - セルロ−スエ−テル - Google Patents

セルロ−スエ−テル

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JPH0611761B2
JPH0611761B2 JP15277083A JP15277083A JPH0611761B2 JP H0611761 B2 JPH0611761 B2 JP H0611761B2 JP 15277083 A JP15277083 A JP 15277083A JP 15277083 A JP15277083 A JP 15277083A JP H0611761 B2 JPH0611761 B2 JP H0611761B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)技術分野 本発明は、低コストでしかも無公害なプロセスによって
良好な機械的性質を有する繊維やフィルムを製造するた
めの原料として有用な溶解性の優れた低置換度のセルロ
ースエーテルに関する。
(ロ)従来技術 従来、セルロースを原料として繊維やフィルムを製造す
る方法としては、大別して、2つの方法がある。第1の
方法は、ピスコース法、銅アンモニア法、有機溶媒法に
代表されるように、セルロースを直接溶剤に溶解して濃
厚溶液を作製し、これをノズルやダイから押し出して、
凝固再生を行なって、繊維やフィルムを得る方法であ
る。第2の方法は、アセチル基、エチル基、メチル基、
カルボキシル基、シアノエチル基、ニトロ基等の置換基
を化学反応によって、あらかじめセルロースに導入して
種々の溶剤に良好な溶解性を示すセルロース誘導体を作
り、繊維やフィルムを得る方法である。
ビスコース法、銅アンモニア法、有機溶媒法によって代
表される第1の方法の欠点は、使用する溶剤の毒性や爆
発性や回収コストの高さ、重金属の排出による公害問題
である。他方、セルロース誘導体を調製し、これを原料
にして繊維化やフィルム化を行なう第2の方法の欠点
は、適当な溶解性を得るために置換基の導入の割合を高
くする必要があり、このためコストが高いこと、また、
導入される置換基の種類によって、セルロースにない特
性が付与される反面、セルロースの有用な特性である耐
薬品性、親水性、強度、弾性率等が低下することであ
る。
これらの欠点を補なうために、置換基の導入の割合を低
くして、セルロースに近い状態で溶解性の優れたセルロ
ース誘導体を作製して、繊維やフィルムに成形する方法
が考えられる。従来、置換基の導入の割合(置換度)を
低下させると、置換基の種類にあまり関係なく、置換度
が0.5〜2.0の範囲で水可溶性、0.15〜0.5の範囲でア
ルカリ可溶性のセルロース誘導体が得られることが知ら
れている。
しかしながら、置換度が0.15未満のセルロース誘導体
になるとその溶解性が著しく悪くなること、また、セル
ロースに置換基を導入する反応が液相−固相あるいは気
相−固相の不均一反応であるため、低置換度になればな
る程均一なセルロース誘導体を得ることが難しいこと等
から、工業的には全く実用化されていない。
(ハ)発明の目的 本発明者らは、上述の様な現状に鑑み、鋭意検討工夫を
重ねた結果、上記従来技術にみられる事実とは全く対照
的に、分子内水素結合性等の構造を制御すれば、低置換
基でもすぐれた溶解性を有するセルロースエーテルがで
きることを発見し、本発明の実現を可能ならしめたもの
である。すなわち、本発明の目的は、低置換度ですぐれ
た溶解性を示し、ひいては、良好な機械的性質を有する
繊維やフィルムとすることができるセルロースエーテル
を提供するにある。
(ニ)発明の構成 本発明に係るセルロースエーテルは、置換基として、具
体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、カルボキ
シエチル基、カルバモイルエチル基およびシアノエチル
基からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むセルロ
ースエーテルであって、重水素化赤外法で算出される分
子内水素結合性を示すパラメーター(Hb)が下記(1)式の
条件を満たし、置換度が0.10以下と極めて低い誘導体
でありながら、低温でアルカリ可溶性を示すセルロース
エーテルである。特に、この低置換度セルロースエーテ
ルは6〜18重量%濃度のアルカリ溶液に優れた溶解性
を示す。
本発明では後述の条件で2時間重水素化させた時、重水
置換されない非アクセシブルな水酸基領域の分子内水素
結合性を表す尺度として3430cm-1と3360cm-1の赤外
強度比(Hb)を用いる。
(1)式に於いて、OD3430およびOD3360は各々添字に対応
する波数での光学密度であり、3430cm-1は分子内水
素結合に由来するOH伸縮振動、 3360cm-1は平行、垂直のいずれの偏光にも影響を受
けないOH伸縮振動である。ここで(1)式で与えられる
パラメーター(Hb)を「分子内水素結合度」と定義し、以
下、本明細書では分子内水素結合度あるいは(Hb)と略称
して用いる。
(ホ)実施態様 一般にセルロースは、その分子構造から強固な水素結合
が存在することによって、溶剤に対する抵抗性が高いこ
と、優れた機械的性質を示すことが知られている。従っ
て、当然水素結合の形成の有無がセルロースの溶解性に
関係することが予想され、この意味で分子内水素結合度
は、得られるセルロースエーテルの構造と溶解性との関
係を表わすのに非常に有力な指標となる。
本発明のセルロースエーテルの置換度は、基本的に0.1
0以下であり、0.10〜0.03が好ましく、さらに好適
には0.10〜0.05の範囲である。この範囲以上に置換
度が高くなると、実質的に製造コストが高くなるととも
に、繊維やフィルム等に成型した場合に、セルロースの
特性である耐薬品性や強度・弾性率等の優れた力学的性
質が消滅する。また、置換基の種類によって異なるが一
般に0.03以下の置換度では、溶解性が低下したり、溶
解できたとしても、溶液の安定性が悪く、実際の繊維や
フィルムの製造原液として使用するのに好ましくない。
本発明のカテゴリーに入るセルロースエーテルの最低置
換度を統一的に規定することは難しいので、本発明者ら
は(Hb)の規定以外に6〜18重量%の冷アルカリに溶解
後、5℃に保管し48時間以上溶液として安定に存在す
るか否かを判定基準として用いた。例えば、10重量%
の苛性ソーダ水溶液を用い、ポリマー濃度5重量%で溶
解させたとき、カルボキシエチルセルロースの場合、そ
の最低置換度は0.037であり、シアノエチルセルロー
スの場合のそれは0.054であった。使用するアルカリ
濃度やポリマー、およびその濃度によっても変化するの
でこの溶解性からも最低置換度を一義的に決めることは
できない。
本発明のセルロースエーテルを特性付ける最大の特徴
は、分子内水素結合度にあり、その(Hb)が1.2以下であ
ることは本発明の基本的構成要件となる。特に注意すべ
き点は置換度が0.10以下にあっても(Hb)が1.2を超え
るセルロースエーテルがあれば本発明から外れる。もち
ろん、置換度と(Hb)が逆の関係であっても同様のことが
いえる。
本発明のセルロースエーテルの分子内水素結合度は1.2
以下であり、さらに溶解性を考慮すれば、(Hb)が1.0以
下の方が望ましい。置換度が0.1より高くなるにつれ
て、一般的には(Hb)も1.2以下に変化し、溶解性は向上
するが、繊維やフィルムに成型した時に良好な水素結合
を形成することが困難で耐薬品性や機械的性質が著しく
劣る。一方、(Hb)が1.2を超えるセルロースエーテル
は,強固な水素結合のため均一溶解は極めて難しく、実
用性のあるドープを得ることができない。
更に、本発明のセルロースエーテルの特徴は、後述する
重水素化赤外法によって得られるスペクトルが、特異な
吸収を示すことによって明らかにすることができる。第
1図(a)は銅アンモニア法から得た再生セルロースフィ
ルムの重水素化後の赤外吸収スペクトルである。第1図
(b)は本発明のセルロースフィルムの重水素化後の赤外
吸収スペクトルである。第1図(a)には3480cm-1および3
430cm-1に分子内水素結合を形成したOH伸縮振動に基
づく吸収ピークが存在するが、第1図(b)の本発明のセ
ルロースエーテルには存在しない。この分子内水素結合
に基づくピークの存在が溶解性に極めて重要であり、
(1)式はこれらを定量的に一般化したものである。これ
らのピークが存在するものはセルロースと同様の耐薬品
性を示し、溶剤に溶解し難いが、存在しないものは優れ
た溶解性を示し、現象論的には重水素化後の赤外吸収ス
ペクトルを観るだけで溶解性の良し悪しを判定すること
ができる。
本発明のセルロースエーテルは、原料の段階やアルカリ
に溶解して、アルコール等の有機溶媒に凝固あるいは沈
澱させた場合には、赤外吸収スペクトルの3480cm-1およ
び3430cm-1の吸収ピークが存在しないにもかかわらず、
水や酸や無機塩類を凝固剤として、繊維やフィルムに成
形すると第1図(c)に示すように、3480cm-1および 3430cm-1の吸収ピークが出現して優れた耐薬品性や物性
をもつ繊維やフィルムを得ることができる利点を持つ。
本発明のセルロースエーテルに含まれる置換基は、具体
的には、メチル基、エチル基、プロピル基、カルボキシ
エチル基、カルバモイルエチル基およびシアノエチル基
からなる群より一種またはそれ以上選択される。特に、
アクリロニトリルやアクリルアミドをエーテル剤として
用いた時、誘導されるシアノエチルセルロース、シアノ
エチルカルバモイルエチルセルロース、シアノエチルカ
ルボキシエチルセルロース、シアノエチルカルバモイル
エチルカルボキシエチルセルロース、カルバモイルエチ
ルカルボキシエチルセルロース、カルバモイルエチルト
セルロース、カルボキシエチルセルロースが好んで用い
られる。これは、これらの置換基が比較的大きく、溶解
性が優れること、製造コストが低いこと、均一な反応が
行なえること、得られた繊維やフィルムを容易に再生可
能であること、優れた機械特性が得られること、成形に
適したドープが得られること等の理由による。通常、セ
ルロースエーテル中に含まれる置換の種類は1種である
が、セルロースエーテルに多機能を付与する場合には2
種以上の置換基を導入する場合もある。
本発明のセルロース誘導体を得る一つの代表的な製法に
おいては、まず−10〜5℃に冷却した5〜35%NaOH
水溶液に置換基を導入するための反応剤を添加して、反
応剤を十分に分散させる。次に、この温度を保持した状
態で、原料セルロース(数平均重合度200〜2,00
0)を投入して、数分〜数時間放置する。次に、反応が
開始する温度に昇温させて反応を実施して置換基を導入
する。反応が終了した後、反応物をアルコールで洗浄、
回収、乾燥する。水で洗浄、回収してもとくに差支えな
いが、若干溶解性が低下する場合がある。
分子内水素結合度(Hb)は、以下の方法で評価することが
できる。基本的には試料を重水素化させた後、赤外吸収
スペクトルを記録すればよい。
装置の概略図を第2図に示す。
得られた低置換度セルロース誘導体を−5℃〜0℃に冷
却された10%NaOHに冷却溶解する。次に、冷却溶解し
た溶液をスライドグラス上に塗布し、メタノール中に浸
漬し、凝固させる。充分メタノール洗浄した後乾燥し
て、厚さ10〜30μのフィルムを得る。このフィルム
を重水素化セル(6)にセットする。セル(6)は水分の除
去、並びに重水の吸収を防止するために100℃にセッ
トする。10分間放置して余分な水分を除去した後、プ
ランクの赤外吸収スペクトルを測定する。次に、ボンベ
(1)から乾燥用シリカゲル(2)を通して得た25℃の乾燥
N2ガスを流量1000ml/minの割合で送り((3)は流量
計である)。25℃にセットされた重水(20cc)をD2
Oバブリング容器(4)にてバブリングしたうえ、試料台
(5)上のサンプルを重水素化用セル(6)にて重水素化す
る。この条件で120分重水素化を行なった後、赤外線
吸収スペクトル装置(7)にて測定する。
先ず、3600cm-1と3000cm-1のスペクトルに接するベース
ラインを引き、3430cm-1と3360cm-1に対応する垂線とベ
ースラインとの交点の透過率を各々の波数の入射光の強
度I0として採用した。また、3430cm-1と3360cm-1の透過
光の強度Iとして、各波数の垂線とスペクトルとの交点
の透過率を用いた。得られたI0およびIより各波数の光
学密度を算出し、その比をとれば前述した(Hb)が求ま
る。
前記の方法では、アルカリ可溶性を示すセルロースエー
テルが一旦アルカリに溶解しても元の構造履歴を残こす
前提でフィルム法で評価しているが、試料が粉末や繊維
状であっても評価できる。もちろん、同一試料をそのま
ま後述のKBr法で評価してもフィルム法で評価してもほ
とんど(Hb)の値に違いが生じない。KBr法は、大量の五
酸化リンで水分を除去した密閉容器中で200メッシュ
以下にパウダー化した試料をD2O溶液に3〜4時間浸漬
し、ガラスフィルターでロ過後、該試料を五酸化リンで
水分制御した真空乾燥機中で60℃、8時間乾燥し、先
に記述した密閉容器中でKBr錠剤としてIRを測定すれ
ばスペクトルが得られ、(Hb)値を決定することができ
る。勿論、IR測定中も五酸化リンで水分コントロール
したユニットを用いる。
本発明のセルロースエーテルは10℃以下の低温で6〜
18重量%のアルカリ水溶液(通常苛性ソーダ)に少な
くとも3重量%以上の濃度に溶解される。得られる溶液
は曵糸性に優れ、繊維やフィルムの成型に利用できる。
該セルロースの溶解には、勿論苛性ソーダ以外のアルカ
リも使用できる。
(ヘ)実施例 以下、本発明を実施例にて示すが、特にこれに限定され
るべきものではない。
実施例1 本実施例は、エーテル化剤としてアクリロニトリルを用
いたとき得られるセルロースエーテルについて示す。
重合度530のセルロース162gを20重量%のNaOH
水溶液1500gに室温(25℃)で30分間浸漬後、
圧搾機で約400gに圧搾した。しかる後、40℃にセ
ットしたジャケット式ニーダーに該圧搾物を投入し、攪
拌を続けながらアクリロニトリル13.5gをガス状で添
加し40分間反応させた。次いで、水1200gを加え
3時間熟成させた。引き続き、該熟成物をメタノール1
0に攪拌しながら投入し、洗滌した。洗滌後、60℃
で熱風乾燥させた。得られた生成物の置換度は、化学分
析(滴定法)と元素分析(C.H.N分析)とからカルボキ
シエチル基が0.068、カルバモイルエチル基が0.02
7であることが判かった。このセルロースエーテルをコ
ーヒーミルで粉砕し、200メッシュのふるいにかけて
得られたパウダーをKBr法にて赤外吸収スペクトルを測
定し(Hb)を算出した結果、(Hb)は0.93であった。
該生成物80gを4℃に冷却した12重量%の苛性ソー
ダ920gに冷却しながら溶解し均一溶液を得た。この
溶液を流延成膜して5重量%H2SO4水溶液中で約15μ
のフィルムを得た。このフィルムの重水素化後の(Hb)は
1.27であり、分子内水素結合度が高くなっていること
が判かった。このように本発明ドープから得られる成型
品の水素結合性は元のセルロースエーテルのそれに較べ
高くなり機械的性質の向上が期待される。
実施例2 本実施例は、エーテル化剤としてジメチル硫酸を用いた
ときに得られるセルロースエーテルについて例示する。
酸加水分解して得たセルロース162gと0℃に冷却し
た8重量%NaOH水溶液3500gとをジャケット式
ニーダー中で混合攪拌させ、そこにジメチル硫酸31.5
gを添加した。30分間0℃で混練を続けた後、40℃
に上げ5時間反応させた。ついでエタノール10リット
ルに攪拌下でかかる反応物を投入し洗浄した。水とメタ
ノールが1対1の混合溶媒5リットルを用いて3回洗浄
を繰り返した後、5リットルのアセトンに置換させ、6
0℃で風乾させた。得られた生成物の置換度は、先ず、
9重量%NaOH重水溶液に5℃で溶解させセルロース
濃度を4.5重量%になるように調製し、内部基準剤とし
てDSS(2,2−ジメチル−2−シラペンタン、5−ス
ルホネートのナトリウム塩)を僅かに添加してNMR測
定用サンプルとした。その結果メチル基は0.068で有
った。このセルロースエーテルをコヒーミルで粉砕し、
200メッシュのふるいにかけて得られたパウダーはK
Br法にて赤外吸収スペクトルを測定し(Hb)を算出した
結果、(Hb)は0.98であった。
該生成物16gを4℃に冷却した8.5重量%NaOH水
溶液184gに溶解させたところ、透明でかつ均一な溶
液を得た。
実施例3 本実施例は、分子内水素結合性(Hb)の回収方法依存性と
得られる生成物の特性について例示する。
重合度360のセルロース162gを0℃に冷却した1
0重量%のNaOH水溶液3600gに投入混合後、1
4.4gのアクリルアミドを添加し、0℃にコントロール
したジャッケト式ニーダー中で攪拌を続けながら24時
間反応させた。次いで、該反応物を5等分し、それぞれ
をメタノール3リットル、メタノール1.5リットルと水
1.5リットルの混合物、水3リットル、熱水3リット
ル、3.6%の酢酸水溶液3リットルに攪拌させながら投
入し1回洗浄した。引続き水とメタノールが1対1の混
合溶媒5リットルを用いて3回洗浄を繰り返した後、5
リットルのアセトンに置換させ、60℃で風乾させた。
得られた生成物の置換度は、化学分析(滴定法)と元素
分析(C,H,N分析)とからカルボモイル基が0.023±
0.003、カルボキシエチル基が0.044±2であり、
特に、回収方法による大きな差は認められなかった。こ
のセルロースエーテルをコヒーミルで粉砕し、200メ
ッシュのふるいにかけて得られたパウダーを重水素化後
KBr法にて赤外吸収スペクトルを測定し(Hb)を算出し
た結果、(Hb)はそれぞれ0.88,0.98,1.11,1.2
1,1.26であった。このように分子内水素結合性は置
換度がほぼ同一でも回収方法によって変化することが判
る。これらの生成物それぞれ16gを4℃に冷却した9
重量%NaOH水溶液184gに冷却しながら溶解さ
せ、その溶解状態を調べた。その結果、メタノール、メ
タノール/水、水回収物はこの順に透明度は低下するも
のの完全に溶解したが、熱水、酢酸水溶液回収物は不透
明で完全には溶解しなかった。
実施例4 本実施例は、置換度と(Hb)と成型後の物性の関係につい
て例示する。
重合度360のセルロース54gを0℃に冷却した8重
量%のNaOH水溶液1200gに投入混合したものを
3つ用意し、それぞれに1.8g、5g、9.6gのアクリ
ルアミドを添加し、0℃にコントロールしたジャッケト
式ニーダー中で攪拌を続けながら48時間反応させた。
次いで該反応物をメタノール5リットルに攪拌させなが
ら投入し1回洗浄した。引続き水とメタノールが1対1
の混合溶媒8リットルを用いて3回洗浄を繰り返した
後、6リットルのアセトンに置換させ、60℃で風乾さ
せた。得られた生成物の置換度を化学分析((滴定法)
と元素分析(C,H,N分析)から算出した結果、表−1の
ようになった。また、このセルロースエーテルをコヒー
ミルで粉砕し、200メッシュのふるいにかけて得られ
たパウダーを重水素化後KBr法にて赤外吸収スペクト
ルを測定し、(Hb)を算出した結果も表−1に示す。一
方、これらの生成物それぞれ16gを4℃に冷却した9
重量%NaOH水溶液184gに冷却しながら溶解さ
せ、その溶解状態を調べた。その結果、アクリルアミド
を1.8g使用した生成物は一旦溶解したが、2時間後に
ゲル化しこ。それ以外の2つは透明度も高く均一な溶液
となった。この2つの溶液から流延成膜法により、10
%硫酸水溶液を凝固剤として用い、透明なフィルムを得
た。このものの湿/乾強度をオリエンテック製の引っ張
り試験機を用いて評価した結果を表−1に併せて載せて
いる。
この様に、反応剤が少ない1.8gの場合、アルカリに対
する溶解性が低くセルロース誘導体としての有用性は低
い。一方、反応剤が9.6gの場合、置換度が0.1以上に
なり、分子内水素結合も切断される方向にある。従っ
て、アルカリに対する溶解性も高くなる。しかしなが
ら、溶解した溶液より成型物を製造した場合、置換度が
高い分、親水性が増し湿潤時の強度低下が激しくなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、第2図に示した装置で重水素化させた時のセ
ルロースまたはセルロース誘導体の赤外吸収スペクトル
を示す。(a),(b),(c)はそれぞれ銅アンモニア法から
通常の方法で再生させたセルロース、本発明セルロース
エーテル(置換度が0.08のカルボキシエチルセルロー
ス)、および(b)を10重量%NaOH水溶液に溶解させた
後6.5重量%の硫酸水溶液に凝固して得た試料である。 第2図は重水素化赤外装置の概略図を示す。 (1)はN2ガスボンベ、(2)は乾燥用シリカゲル、(3)は流
量計、(4)はD2Oバブリング容器、(5)は試料台、(6は重
水素化用セル、(7)は赤外線吸収スペクトル測定装置本
体である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低温でアルカリ可溶性を示すセルロースエ
    ーテルであって、 (a)その置換基として、メチル基、エチル基、プロピル
    基、カルボキシエチル基、カルバモイルエチル基および
    シアノエチル基からなる群より選ばれた少なくとも1種
    を含み、 (b)前記置換基の置換度が0.1以下であり、そして (c)重水素化赤外法で算出される分子内水素結合性を表
    すパラメーター(Hb)が下記式 (上式中、OD3430およびOD3360は、それぞれ添字に
    対応する波数における重水素置換後の光学密度である)
    の条件を満たす、セルロースエーテル。
  2. 【請求項2】前記置換基が、アクリロニトリルまたはア
    クリルアミドをエーテル化剤として用いたとき誘導され
    る置換基である特許請求の範囲第1項記載のセルロース
    エーテル。
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小竹無二雄監修「大有機化学第19巻天然高分子化合物I」朝倉書店(昭和40年10月30日)91頁

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