JPH0611699Y2 - シャーリングマシン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はシャーリングマシンに係り、さらに詳細には、
上刃を備えて上下動自在なラムの上限位置を調整自在な
シャーリングマシンに関する。

（従来の技術） シャーリングマシンは、板状のワークを支持するテーブ
ルに左右方向に延伸した下刃が水平に取付けてあり、こ
の下刃と協働して上記ワークの剪断を行う上刃は、上下
動自在なラムの下部に傾斜して取付けてある。

上記上刃の傾斜角はシャー角あるいはレーキ角と呼称さ
れており、このレーキ角はワークの板厚に対応して変更
することが望ましいものである。

（考案が解決しようとする課題） 既に明らかなように、シャーリングマシンにおける上刃
は傾斜してあるから、ワークの剪断幅（左右方向の幅）
が上下の刃の左右方向の長さにほぼ等しい場合には、上
刃の傾斜下端部側からワークの剪断を開始して、上刃の
傾斜上端部側がテーブルの上面より下降する必要があ
る。

すなわちラムの上下ストローク長は、上刃の傾斜下端部
と傾斜上端部との高低差よりも僅かに大きい全ストロー
クの上下動が必要である。

次に、ワークの剪断幅が上下の刃の長さの約半分である
場合には、上刃の傾斜下端部側から上記ワークの剪断を
開始すると、上下の刃のほぼ中央部が交差するようにラ
ムが下降した位置で上記ワークの全幅が剪断されること
となる。したがって、この場合には、ラムの上下ストロ
ークは、前記全ストロークの約１／２で良いこととな
る。

シャーリングマシンによってワークの剪断を行うとき、
ワーク剪断幅が比較的小さい場合には、ラムの上下動を
全ストローク行うことは無駄が多いので、ワークの剪断
幅に応じてラムの下降を停止する制御が行われている
（実開昭５７−９１５１７号参照）。

上述のごとくワークの剪断幅に応じてラムの下降停止位
置を制御する構成においては、上刃の傾斜下端部側でも
って常時剪断を行い、傾斜上端部側の使用頻度が少ない
ので、上下の刃の摩耗が一方に片寄る傾向にあり、寿命
を短くするという問題がある。

（課題を解決するための手段） 上述のごとき従来の問題に鑑みて、本考案は、ワークを
支持するテーブルに取付けた下刃と、この下刃と協働し
て上記ワークの剪断を行う上刃を備えた上下動自在のラ
ムとを備えてなるシャーリングマシンにして、前記ラム
の上限位置を調整するために前記ラムの複数箇所の上限
位置を検出する上限位置検出装置を設け、上記複数箇所
の上限位置のうち選択された上限位置を上記上限位置検
出装置が検出したときに前記ラムの上昇を停止する構成
としてなるものである。

（作用） 上記構成において、上限位置検出装置が選択されたラム
の上限位置へラムが上昇したことを検出すると、ラムの
上昇が停止され、上記上限位置から次の下降を開始する
こととなる。

すなわちラムの下降開始の高さ位置が調整されることと
なるので、例えば、傾斜した上刃の傾斜下端部側が下刃
と予め交差した状態の高さ位置に調整することができ
る。この場合には、上刃の傾斜上端部側においてワーク
の剪断が行われることとなる。

よって、ワークの剪断位置を、上下の刃の長手方向の所
望の位置に調整可能となり、上下の刃の摩耗を全長に亘
ってほぼ均等に維持することができることとなる。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

先ず理解を容易にするために、シャーリングマシン１の
全体的構成について概略的に説明する。

第４図を参照するに、シャーリングマシン１における下
部フレーム３の前側（第４図において左側）にはワーク
Ｗを載置するテーブル５が設けられており、このテーブ
ル５には、左右方向（第４図においては紙面に垂直な方
向）に延伸した下刃７が水平に設けられている。

前記下部フレーム３の上側の上部フレーム９と下部フレ
ーム３との間にはギャップ部１１が形成されている。上
記上部フレーム９には流体圧シリンダ１３が設けられて
おり、この流体圧シリンダ１３の下部には流体圧シリン
ダ１３の作動によって上下動されるラム１５が取付けら
れている。

この上下動自在なラム１５の下部には、前記下刃７と協
働してワークＷの剪断加工を行なう上刃１７が傾斜して
取付けられている。

前記上部フレーム９の前側には前フレーム１９が設けら
れており、この前フレーム１９の下部には板押え２１が
備えられている。前記ラム１５における下部の後側には
バックゲージ装置２３が設けられている。

上記構成により、ワークＷをテーブル５上に載置し、ワ
ークＷの後端部をバックゲージ装置２３に突当て位置決
めし、流体圧シリンダ１３を作動せしめることによっ
て、ラム１５が上下動する。ラム１５の上下動により、
下刃７に対して上刃１７が上下動すると共に、板押え２
１がワークＷをテーブル５に押圧固定し、下刃７と上刃
１７の協働によりワークＷに剪断加工が行なわれること
になる。

前記ラム１５における前側上部と前フレーム１９におけ
る後側上部との間には、第１図に示すごとく、ラム１５
の上限位置を調整するために、例えば第１，第２，第３
の上限位置検出装置２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃがラム１５
の幅方向における適宜位置に設けられている。

この第１，第２，第３上限位置検出装置２５Ａ，２５
Ｂ，２５Ｃのドグ２７Ａ，２７Ｂ，２７Ｃは第２図およ
び第３図に示されているように、ラム１５の前側上部に
適宜間隔で取付けられている。このドグ２７Ａ，２７
Ｂ，２７Ｃに対応したリミットスイッチ２９Ａ，２９
Ｂ，２９Ｃが前記前フレーム１９の後部に支持部材３１
Ａ，３１Ｂ，３１Ｃを介して取付けられている。

前記リミットスイッチ２９Ａ，２９Ｂ，２９Ｃにおける
下部の高さ位置は、第２図に示されているように、ラム
１５が最上昇位置にあるとき、各ドグ２７Ａ，２７Ｂ，
２７Ｃの上端から、それぞれＨ₁，Ｈ₂，Ｈ₃の間隔をも
って取付けられている。

したがって、第１上限位置検出装置２５Ａのドグ２７Ａ
とリミットスイッチ２９Ａを作動させてラム１５の上限
位置を決める場合には、ラム１５は一度下限位置まで下
降するとき、ドグ２７Ａがリミットスイッチ２９Ａを通
過する。次に、ラム１５が下限位置から上昇し、リミッ
トスイッチ２９Ａがドグ２７Ａの上端を検出したとき
に、ラム１５の上昇を停止するようにすると、その位置
がラム１５の第１の上限位置に設定される。

また、第２，第３上限位置検出装置２５Ｂ，２５Ｃのド
グ２７Ｂ，２７Ｃとリミットスイッチ２９Ｂ，２９Ｃを
作動させてラム１５の第２，第３の上限位置を決める場
合には、ラム１５は一度下限まで下降するときにドグ２
７Ｂ，２７Ｃがリミットスイッチ２９Ｂ，２９Ｃを通過
する。次に、ラム１５が下限位置から上昇し、リミット
スイッチ２９Ｂ，２９Ｃがドグ２７Ｂ，２７Ｃの上端を
検出したときに、ラム１５の上昇を停止するようにする
と、その位置がラム１５の第２，第３の上限位置に設定
される。

第１上限位置検出装置２５Ａで設定したラム１５の第１
の上限位置に対し、第２，第３上限位置検出装置で設定
したラム１５の第２，第３の上限位置は、それぞれ高さ
が（Ｈ₂−Ｈ₁），（Ｈ₃−Ｈ₁）だけ低く設定されること
になる。

リミットスイッチ２９Ａ，２９Ｂ，２９Ｃのうち、リミ
ットスイッチ２９ＣがＯＮになったときのラム１５の上
限停止位置（第３の上限位置）が、本実施例においては
一番低くなり、下刃７、上刃１７の噛み合い位置が第１
図において最も右側に寄って、刃の全幅の中で右側に寄
った部分での剪断加工が可能になる。

また、リミットスイッチ２９ＡがＯＮになったときのラ
ム１５の上昇停止位置は最も高い上限停止位置（第１の
上限位置）となり、下刃７，上刃１７の噛合い位置が第
１図において最も左側に寄って、刃の全幅の中で左側に
寄った部分での剪断加工が可能になる。

さらに、リミットスイッチ２９Ａ，２９Ｂ，２９Ｃのう
ち、リミットスイッチ２９ＢがＯＮのときのラム１５の
上限停止位置（第２の上限位置）は最も高い位置（第１
の上限位置）と最も低い位置（第３の上限位置）の中間
となり、下刃７、上刃１７の噛み合い位置が第１図にお
いて中央部分付近となり、刃の全幅の中央付近からの剪
断加工のみ可能となる。

上記リミットスイッチ２９Ａ，２９Ｂ，２９Ｃの３者の
うち、適宜のスイッチがＯＮになったときにラム１５の
上昇を停止すべく予め選択又は設定することにより、ラ
ム１５を所望の上限位置に停止せしめることができ、そ
れぞれの上限位置を選択的に使用することにより、剪断
幅の小さいワークであっても、左側付近，中央部付近，
右側付近のそれぞれにおいて選択的に剪断加工を行うこ
とができ、上下刃１７，７の摩耗を全長に亘って均等化
することができる。

このように、ラム１５の前側と前フレーム１９の後側と
の間に、複数例えば第１，第２，第３の上限位置検出装
置２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃを配置し、適宜に選択してラ
ム１５の上限位置を選択的に設定することにより、ラム
１５の上限停止位置を任意の位置例えば上，中，下の３
位置に適宜に選択し、かつワークＷの切初めの位置を変
えて、剪断加工が行なえるようにすることによって、下
刃７，上刃１７の刃の摩耗の偏りを少なくすることがで
きる。したがって、結果的には刃の寿命を伸ばすことが
できる、また、リミットスイッチを複数個配置すること
は、レーキ角が変化してもラム１５の上限位置が変わる
ことがないので使い勝手が良くなる。

なお、この考案は前述した実施例に限定されることな
く、適宜の変更を行なうことにより、その他の態様で実
施し得るものである。

〔考案の効果〕

以上のごとき実施例の説明より理解されるように、要す
るに本考案は、ワークＷを支持するテーブル５に取付け
た下刃７と、この下刃７と協働して上記ワークＷの剪断
を行う上刃１７を備えた上下動自在のラム１５とを備え
てなるシャーリングマシンにして、前記ラム１５の上限
位置を調整するために前記ラム１５の複数箇所の上限位
置を検出する上限位置検出装置を設け、上記複数箇所の
上限位置のうち選択された上限位置を上記上限位置検出
装置が検出したときに前記ラム１５の上昇を停止する構
成としてなるものである。

したがって、本考案によれば、ラム１５の上限位置を任
意に調整することができ、剪断幅が比較的小さなワーク
の剪断を繰り返し行うようなとき、例えば上下刃１７，
７の使用範囲を左側付近，中央部付近，右側付近等に選
択的に制限して使用することができるものである。換言
すれば、上下刃１７，７による剪断箇所を長手方向に変
更して使用でき、上記上下刃１７，７の全長に亘る摩耗
がほぼ均一になるように剪断箇所の変更が容易であり、
上下刃１７，７の長寿命化を図ることができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を実施した主要部を示した図で、第４
図におけるＩ矢視部の正面拡大図、第２図は第１図に示
された上限位置検出部分を取出した拡大図、第３図は第
２図におけるIII矢視図、第４図はこの考案を実施した
一実施例のシャーリングマシンの側面概略図である。 １……シャーリングマシン １５……ラム、１９……前フレーム ２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃ……第１，第２，第３上限位置
検出装置 ２７Ａ，２７Ｂ，２７Ｃ……ドグ ２９Ａ，２９Ｂ，２９Ｃ……リミットスイッチ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ワーク（Ｗ）を支持するテーブル（５）に
   取付けた下刃（７）と、この下刃（７）と協働して上記
   ワーク（Ｗ）の剪断を行う上刃（１７）を備えた上下動
   自在のラム（１５）とを備えてなるシャーリングマシン
   にして、前記ラム（１５）の上限位置を調整するために
   前記ラム（１５）の複数箇所の上限位置を検出する上限
   位置検出装置を設け、上記複数箇所の上限位置のうち選
   択された上限位置を上記上限位置検出装置が検出したと
   きに前記ラム（１５）の上昇を停止する構成としてなる
   ことを特徴とするシャーリングマシン。