JPH06116951A - アースアンカー工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易な方法で以てアンカーテンドンをアンカ
ー孔の中心に位置決めすること。 【構成】 アンカーテンドン２の定着長部の範囲に亘っ
て、吸水により膨張する素材で構成された複数のスペー
サ１を取り付け、アンカー孔４内に注入したグラウト材
６中の水分を吸収して各スペーサ１を膨張させてアンカ
ーテンドン２のセンタリングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はアースアンカー工法に関
し、より詳細には緊張材やグラウトホース等の結束体で
構成されるアンカーテンドンをアンカー孔の中心に位置
決めして定着できるアースアンカー工法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にアンカー耐力の確保や防錆の観点
から、アンカーテンドンをアンカー孔の中心に位置させ
ることが望ましい。この観点からアンカーテンドンの定
着長部の範囲に亘ってスペーサと呼ばれる位置決め部材
を一定間隔おきに装着している。この種のスペーサは放
射状に複数の突起体を有する略歯車形を呈する樹脂製の
部材で、その素材の大半は樹脂の一体成型ものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする問題点】前述した従来のアン
カーテンドンの位置決め手段にあっては、穿孔用のケー
シングの内空を利用してアンカーテンドンを内挿した
後、ケーシングを抜き取ってアンカーテンドンをアンカ
ー孔内に挿入している。スペーサはケーシングの存在下
にあってはアンカーテンドンを孔中心に位置決めして本
来の機能を発揮するが、ケーシングを抜き取った後はケ
ーシングの肉厚ぶんだけアンカーテンドンの位置決め中
心がずれてしまう。そのため、この状態でグラウト材を
充填すると、アンカーテンドンがアンカー孔の中心に対
して偏心した状態で固結されてしまい、アンカー耐力の
低下や緊張材の腐食を誘発する危険がある。

【０００４】

【本発明の目的】本発明は以上の点に鑑み成されたもの
で、その目的とするところは、簡易な方法で以てアンカ
ーテンドンをアンカー孔の中心に位置決めできて、アン
カー耐力の低下や緊張材の腐食の問題を回避できる、ア
ースアンカー工法を提供することにある。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】すなわち本発明は複数
のスペーサを具備するアンカーテンドンをアンカー孔内
で定着するアンカー工法において、前記スペーサが吸水
により膨脹する素材で構成され、前記スペーサをアンカ
ーテンドンの定着長部に亘る範囲の外周面に部分的に取
り付け、アンカー孔内に注入したグラウト材中の水分を
吸収してスペーサを膨脹させることを特徴とする、アー
スアンカー工法である。

【０００６】

【実施例１】以下図面を参照しながら本発明の実施例に
ついて説明する。

【０００７】＜イ＞スペーサ 図１にスペーサ１の一例を示す。スペーサ１はアンカー
孔内で膨脹してアンカーテンドン２をアンカー孔の中心
に保持する目的の部材で、アンカーテンドン２の定着長
部の範囲に亘り部分的に外装する。本実施例ではスペー
サ１をアンカーテンドン２の軸方向と平行に向け、これ
を円周方向に沿って一定間隔を隔てて複数配置する場合
について説明するが、スペーサ１の設置方向はこれに限
定されるものではなく、スペーサ１の他の設置例として
は例えば図２に示すように螺旋状に外装したり、或いは
図３のように環状に外装する場合もある。このスペーサ
１は吸水により膨脹してアンカーテンドン２をアンカー
孔の中心に保持する目的の膨脹する性質の素材で構成さ
れる。スペーサ１の素材例としては例えば膨脹性ゴムに
硬質発泡ウレタン等を封入したり、或いは半透膜カプセ
ルに吸水性ポリマー等を封入したものを使用できる。ま
たスペーサ１の膨脹率はアンカー孔とアンカーテンドン
２の径差を考慮して選定するが、スペーサ１の膨脹率は
３倍以上が望ましい。またスペーサ１はアンカーテンド
ン２の定着長部の範囲に亘り一定間隔を隔てて取り付
け、またスペーサ１の表面積はアンカーテンドン２の重
量に抗して持ち上げ可能な面積に設定する。尚、アンカ
ーテンドン２は単数或いは複数の緊張材やグラウトホー
ス等の結束体を意味するものである。

【０００８】＜ロ＞スペーサの取り付け手段 スペーサ１をアンカーテンドン２の外周に固定する手段
としては、図１に示すように番線等の結束材３でスペー
サ１を取り付ける方法や、スペーサ１の片面に予め公知
の接着剤を塗布しておき、このスペーサ１の接着面をア
ンカーテンドン２の外周に圧着して接着する方法等を採
用できる。

【０００９】

【作用】つぎにアンカーの定着方法について説明する。 ＜イ＞穿孔（図４） 先端にビットを具備する二重管で構成される穿孔装置を
使用してアンカー孔４を穿孔する。アンカー孔４を穿孔
したら、穿孔装置を構成するインナーロッドを撤去し、
穿孔装置を構成するケーシング５を孔内に残置する。

【００１０】＜ロ＞アンカーテンドンのセット（図４） つぎに孔外で定着長部の範囲に亘り未膨脹状態のスペー
サ１を取り付けておいたアンカーテンドン２を、ケーシ
ング５内に挿入する。

【００１１】 ＜ハ＞グラウト注入・ケーシングの抜き取り（図４） そしてケーシング５内にグラウト材６を充填すると共
に、ケーシング５のみを抜き取りアンカー孔４内にアン
カーテンドン２のみを残置する。

【００１２】＜ハ＞スペーサの膨脹（図５） アンカーテンドン２の外周に取り付けたスペーサ１は、
グラウト材６中の水分を吸水して膨脹を開始する。スペ
ーサ１の膨脹時間はグラウト材６の硬化開始時間に対し
て、極めて短いものであるから、グラウト材６の存在が
スペーサ１の膨脹を阻害する心配はない。これにより、
膨脹したスペーサ１はアンカーテンドン２をアンカー孔
４の中心に一致するまで持ち上げ、両者２，４の中心が
一致した状態を保持する。

【００１３】

【実施例２】前記実施例はケーシング５の内空を利用し
てアンカーテンドン２を挿入する場合について説明した
が、予めグラウト材６を注入しておいたアンカー孔内に
アンカーテンドン２を挿入するアンカー工法に適用する
ことも可能である。

【００１４】

【発明の効果】本発明はつぎの特有の効果を得ることが
できる。

【００１５】＜イ＞ これまではケーシングに内挿可能
なスペーサ付きのアンカーテンドンではケーシング撤去
後においてアンカー孔の中心に対して偏心し易いが、本
発明では膨脹性のスペーサを使用することで、アンカー
テンドンをアンカー孔の中心に一致させて設置できる。
そのため、十分なアンカー耐力を確保できると共に、十
分な防錆効果を期待できる。

【００１６】＜ロ＞ グラウト材が硬化を開始する以前
にスペーサの膨脹が完了するため、アンカー体に空洞や
亀裂を生じない。

【００１７】＜ハ＞ アンカーテンドンの仕様により重
量が増減変化しても、スペーサの総表面積を調節するこ
とで容易に対応できる。

【００１８】＜ニ＞ スペーサはアンカーテンドンの外
周面に取り付けるだけであるから、スペーサの取り付け
操作が簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 アンカーテンドンの外周にスペーサを取り付
けた状態の説明図

【図２】 スペーサの他の設置例の説明図

【図３】 スペーサの他の設置例の説明図

【図４】 スペーサの膨脹前におけるアンカー孔の横断
面図

【図５】 スペーサの膨脹後におけるアンカー孔の横断
面図

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【手続補正書】

【提出日】平成５年４月９日

【手続補正２】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のスペーサを具備するアンカーテ
   ンドンをアンカー孔内で定着するアンカー工法におい
   て、 前記スペーサが吸水により膨脹する素材で構成され、 前記スペーサをアンカーテンドンの定着長部に亘る範囲
   の外周面に部分的に取り付け、 アンカー孔内に注入したグラウト材中の水分を吸収して
   スペーサを膨脹させることを特徴とする、 アースアンカー工法。