JPH06116216A - N−保護−アミノアルデヒドの製造方法 - Google Patents

N−保護−アミノアルデヒドの製造方法

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JPH06116216A
JPH06116216A JP27198392A JP27198392A JPH06116216A JP H06116216 A JPH06116216 A JP H06116216A JP 27198392 A JP27198392 A JP 27198392A JP 27198392 A JP27198392 A JP 27198392A JP H06116216 A JPH06116216 A JP H06116216A
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Noboru Kuzuha
葉 昇 葛
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I BAITSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ジメチルスルホオキシドと水溶性カルボジイ
ミド誘導体とからなる酸化剤の存在下に、N-保護-アミ
ノアルコールを、有機溶媒中にて、酸化し、N-保護-ア
ミノアルデヒドを製造する。 【効果】 常温領域で合成反応が行え、ラセミ化反
応が少ないために生成物の光学活性および反応収率に優
れ、使用する試薬および反応副生成物が無毒あるいは
低毒性のため、良好な作業環境を維持でき、かつ最終
生成物の分離が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、N-保護-アミノアルデヒ
ドの製造方法に関する。N-保護-アミノアルデヒドは、
レニン等の酸性プロテアーゼに対する活性阻害剤の重要
構成成分であるスタチン誘導体合成あるいは還元型ペプ
チド(−CH2−NH−)合成の鍵中間体として有用で
ある。
【0002】
【発明の技術的背景】レニン等の酸性プロテアーゼ類の
阻害剤は、その立体構造が活性の強さに重要な影響を及
ぼし、特に、その重要構成成分である(3S,4S)-4-アミノ
-3- ヒドロキシ-6- メチルヘプタン酸(以下、スタチン
と呼称)または(3S,4S)-4-アミノ-5-シクロヘキシル-3-
ヒドロキシペンタン酸(以下、シクロスタチンと呼
称)の類縁化合物においては、(3S,4S)の立体を有する
ものが阻害活性が強く、医薬品、特に血圧降下剤として
好ましいことが知られている。
【0003】このようなスタチン誘導体合成の際の鍵中
間体として、N-保護-α-アミノアルデヒドが特に有用で
ある。光学活性なN-保護-α-アミノアルデヒドは非常に
ラセミ化を起こしやすい、不安定な化合物である。N-保
護-α-アミノアルデヒドを合成する方法は現在まで多数
報告されており、その代表的な合成方法は次のようであ
る。 1.還元的合成方法 N-保護-α-アミノ酸のエステルまたは活性アミドをDI
BAL(ジイソブチルアルミニウムハイドライド)ある
いはLAH(リチウムアルミニウムハイドライド)等で
還元反応することにより合成する方法。
【0004】この還元的合成方法は、0〜−78℃の低
温での反応を必要とする。この合成方法では、収率にば
らつきがあったり、過剰還元が起こってしまったり、あ
るいはラセミ体が生じやすいという欠点がある。 2.酸化的合成方法 N-保護-β-アミノアルコールを酸化剤で酸化してN-保護
-α-アミノアルデヒドを合成する方法。
【0005】以下、この酸化的合成方法に用いられる酸
化剤の具体例とその問題点について説明する。 (i)ピリジニウムジクロメート(CrO3 /Py) 酸化剤として、ピリジニウムジクロメートを用いた場合
には、−10℃程度の反応温度が必要となり、また収率
も低い。さらに重金属を使用する系であるため、医薬品
中間体合成に際しては、極力使用を避けたい酸化剤であ
る。 (ii)ジメチルスルホオキシド/ピリジン・SO3 錯体
(DMSO/Py・SO 3 ) この酸化剤では、室温付近での温和な反応条件下で、高
収率でN-保護-α-アミノアルデヒドが得られ、またラセ
ミ体も少ない。しかしながら、Py・SO3 はやや不安
定であり、長期間保存できないという問題がある。 (iii)ジメチルスルホキシド/オキザリルクロライド
[DMSO/(COCl)2 ] この酸化剤では、高収率でN-保護-α-アミノアルデヒド
が得られ、またラセミ体も少ない。しかしながら、この
場合には、−50℃〜−60℃程度の反応温度が必要と
なり、また反応副生成物として一酸化炭素CO、二酸化
炭素CO2 が発生してしまう。特に、大量合成時には作
業環境維持のためにも、一酸化炭素には厳重な配慮を払
う必要がある。 (iv)ジメチルスルホキシド/ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド(DMSO/DCC) この酸化剤では、室温付近での温和な条件下で反応が進
行する。しかしながら、反応副生成物であるDCC由来
の尿素誘導体と、目的物であるN-保護-アミノアルデヒ
ドとの分離が困難で、純品の目的物を得るにはカラムク
ロマトグラフィー等の手法を使用しなければならない。
【0006】さらにDCCは人体の皮膚に対して「かぶ
れ」を生じさせるため、労働衛生上非常に問題があり、
特に工業的規模で使用する場合には、安全性に対して厳
重な配慮が要求される。
【0007】以上、説明したように、従来のN-保護-α-
アミノアルデヒドの製造において、特に工業的規模での
大量合成を行う場合には、低温領域の反応条件が必要
であったり、生成物の光学活性、反応収率に問題があ
ったり、作業環境維持のために厳重な配慮が要求され
たり、あるいは目的物の分離が困難になるなどの問題
があった。
【0008】
【発明の目的】本発明は上記のような従来技術に鑑みて
成されたものであって、N-保護-α-アミノアルデヒドに
代表されるようなN-保護-アミノアルデヒドの工業的規
模での大量合成を行う場合であっても、常温領域で合
成が行え、生成物の光学活性、反応収率に優れ、良
好な作業環境を維持でき、かつ目的物の分離が容易な
N-保護-アミノアルデヒドの製造方法を提供することを
目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係るN-保護-アミノアルデヒド
の製造方法は、ジメチルスルホオキシドと水溶性カルボ
ジイミド誘導体とからなる酸化剤の存在下に、N-保護-
アミノアルコールを、有機溶媒中にて、酸化し、N-保護
-アミノアルデヒドを製造することを特徴としている。
【0010】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るN-保護-アミ
ノアルデヒドの製造方法について具体的に説明する。
【0011】本発明においては、N-保護-アミノアルコ
ールを所定の有機溶媒中において、ジメチルスルホオキ
シドと、水溶性カルボジイミド誘導体と、必要に応じ
て、反応促進剤を加え、室温付近にてN-保護-アミノア
ルデヒドを合成する。
【0012】N-保護-アミノアルコールとは、アミノア
ルコールのアミノ基が保護されてなる化合物であって、
具体的には、アミノ基の窒素原子に結合する2つの水素
原子のうちの1つが保護基で置換されてなる化合物であ
る。
【0013】本発明で出発物質として用いられるN-保護
-アミノアルコールは、一般的なアミノアルコールに保
護基を導入してなるN-保護-アミノアルコールであって
もよく、あるいはL-体、D-体またはラセミ体の広義アミ
ノ酸から誘導されたN-保護-アミノアルコールであって
もよい。またスタチン類の合成を最終目的とする場合に
は、L-アミノ酸より誘導されたN-保護-(S)-β-アミノア
ルコールを用いることが好ましい。
【0014】保護基としては、通常アミノ基の保護とし
て使用するものであれば、特に制限されることなく用い
られ、一般的にはウレタン型保護基、アシル型保護基、
アルキル型保護基等が使用される。これらの中でも、好
ましくはウレタン型保護基が用いられ、特に好ましくは
tert- ブチルオキシカルボニル基(BOC基)、tert-
アミルオキシカルボニル基(AOC基)、ベンジルオキ
シカルボニル基(Cbz基)あるいは9-フルオレニルメ
チル-オキシカルボニル基(Fmoc基)が使用され
る。
【0015】本発明により得られるN-保護-アミノアル
デヒドは、通常は医薬品等の中間体であり、最終生成物
においては、脱保護を行う必要がある。したがって、上
記の保護基を選定する際には、目的とする最終生成物の
物理化学的な性状を考慮して好適な保護基を選択する。
たとえばスタチン類の合成を最終目的とする場合には、
保護基としてtert- ブチルオキシカルボニル基を選択す
ることが特に好ましい。このtert-ブチルオキシカルボ
ニル基は、ジ-tert-ブチルジカーボネート[以下、(B
OC)2 Oと略すことがある]により導入することがで
きる。この場合には、アミノ基がBOC基により保護さ
れてなるL-ロイシノール(BOC−Leu−ol)ある
いはアミノ基がBOC基により保護されてなるL-シクロ
ヘキシルアラニノールまたはアミノ基がBOC基により
保護されてなるL-フェニルアラニノールから誘導される
L-シクロヘキシルアラニノール等がN-保護-アミノアル
コールとして用いられる。
【0016】BOC−Leu−olはL-ロイシン(H−
Leu−OH)を出発物質として、種々のルートで調製
することができる。以下にその一例を示す。
【0017】
【化8】
【0018】本発明においては、上記のようなN-保護-
アミノアルコールを、有機溶媒中にて、ジメチルスルホ
オキシド(DMSO)と水溶性カルボジイミド誘導体と
の存在下に酸化して、N-保護-アミノアルデヒドを製造
している。
【0019】有機溶媒としては、反応進行に悪影響を及
ぼさない範囲で種々の溶媒が用いられ、具体的には下記
の1群あるいは2群にあげる有機溶媒が好ましく用いら
れる。 1.出発物質であるN-保護-アミノアルコールを充分に
溶解し、かつ水と相溶性を有しない溶媒。
【0020】その具体例としては、ベンゼン、トルエン
等の芳香族炭化水素、ジクロルメタン、クロロホルム、
四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素あるいはジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類が挙げ
られる。 2.出発物質であるN-保護-アミノアルコールを充分に
溶解し、水と相溶するが、反応進行に何らの悪影響を及
ぼさない非プロトン性極性溶媒。
【0021】その具体例としては、ジメチルスルホオキ
シド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリルある
いはテトラヒドロフラン等が挙げられる。上記のような
有機溶媒は、一種単独で、または二種以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0022】なお、上記2群に属する溶媒は、通常、反
応終了後一度濃縮し、水に対し相溶しない溶媒に置換す
ることが望ましいが、この操作は必ずしも必要ではな
い。有機溶媒はN-保護-アミノアルコール1モルに対
し、0.1〜30リットル、好ましくは0.2〜5リッ
トルの量で使用される。
【0023】本発明において使用される水溶性カルボジ
イミド誘導体とは水溶性もしくは親水性であって、反応
溶媒に可溶もしくは易容であり、かつカルボジイミド由
来の副生成物である尿素体が水溶性もしくは親水性であ
ることが必須である。
【0024】水溶性カルボジイミド誘導体としては、た
とえば R1 −N=C=N−R2 …[式−I] または [R1 −N=C=N−R2 ]・[A] …[式−II] で表わされる化合物が用いられる。
【0025】ただし、R1 はメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基またはシクロヘキシル基
であり、
【0026】
【化9】
【0027】または
【0028】
【化10】
【0029】ここで、nは1〜4の整数であり、R3
よびR4 は同種または異種の低級アルキル基である。低
級アルキル基としては具体的には上記と同様のメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基また
はシクロヘキシル基が挙げられる。
【0030】Aは、HCl、HBr、HI、HCl
4 、HIO4
【0031】
【化11】
【0032】上記のような水溶性カルボジイミド誘導体
の中でも、特に好ましい化合物としては、1-エチル-3-
(3-N,N-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドまた
はその塩酸塩もしくは過塩素酸塩、あるいは1-シクロヘ
キシル-3-(2-モルホリノエチル)-カルボジイミドまたは
そのp-トルエンスルホン酸メチルエステル塩が挙げられ
る。
【0033】また水溶性カルボジイミド誘導体として
は、 Y−X−N=C=N−X−Y …[式−III] または [Y−X−N=C=N]・n[Z] …[式−IV] で表わされる化合物を用いることもできる。
【0034】ただし、上式中、Xは無いかまたは炭素数
1〜10の炭化水素である。Yは下記〜のいずれか
1つである。
【0035】
【化12】
【0036】(ただし、R1 、R2 はそれぞれ同種また
は異種の低級アルキル基を示す。)
【0037】
【化13】
【0038】(ただし、Xと結合しているN原子を含み
5〜7員のいずれかの複素環を形成する。R3 は炭化水
素または酸素原子、硫黄原子、窒素原子の群より選ばれ
た1種の付加ヘテロ原子を含む炭化水素であり、R3
のN原子はイミンまたは低級アルキル化窒素原子であ
る。)
【0039】
【化14】
【0040】(ただし、Xと結合している炭素原子を含
み5〜7員のいずれかの複素環を形成し、R4 中に低級
アルキル化窒素原子を1個含む炭化水素である。)
【0041】
【化15】
【0042】(ただし、Xと結合している炭素原子を含
み5〜7員のいずれかの複素環を形成し、R5 中にイミ
ンを1〜3個を包含してなる炭化水素である。nは2個
のY部分における3級アミンとイミンの合計の当量値で
ある。Zは下記(a)〜(c)のいずれか1つである。 (a)ハロゲン化水素、過塩素酸または過ヨウ素酸。 (b)R6 −SO2 −OR7 で表わされるスルホン酸エ
ステル(R6 は炭素数1〜18の芳香族、脂肪族、脂環
族の炭化水素残基、R7 は低級アルキル基を示す。) (c)R8 −CH2 −X1 で表わされるハロゲン化炭化
水素(R8 は水素原子または炭素数1〜18の炭化水素
残基、X1 はハロゲン原子を示す。) 上記のような水溶性カルボジイミド誘導体の中でも、特
に好ましい化合物としては、1,3-ビス-(3-N,N-ジメチル
アミノプロピル) カルボジイミドまたは1,3-ビス-(3-N,
N-ジメチルアミノエチル) カルボジイミドあるいはその
塩酸塩、過塩素酸塩またはp-トルエンスルホン酸メチル
エステル塩もしくは1,3-ビス-(3-N-モルホリノプロピ
ル) カルボジイミドあるいはその塩酸塩、過塩素酸塩ま
たはp-トルエンスルホン酸メチルエステル塩が挙げられ
る。
【0043】さらに水溶性カルボジイミド誘導体として
は、 R1 −N=C=N−(CH2 n −OCH3 …(式V) で表わされる化合物も用いることができる。
【0044】ただし、上式中、R1 は前述したのと同様
の低級アルキル基であり、nは2または3である。上記
のような水溶性カルボジイミド誘導体は、N-保護-アミ
ノアルコール1モルに対し、1.0〜10モル、好まし
くは1.5〜6モルの量で用いられる。
【0045】またジメチルスルホオキシド(DMSO)
は、水溶性カルボジイミド誘導体に対し、1当量〜10
0当量、好ましくは1当量〜20当量の量で用いられ
る。さらに本発明においては、必要に応じて、反応促進
剤として、プロトン(H+)供与性化合物を反応系に添
加してもよい。プロトン供与性化合物としては、たとえ
ば、(トリフルオロ酢酸/ピリジン)、無水酢酸、酢酸
等が用いられ、その使用量は特に制限はされないが、N-
保護-アミノアルコール1モルに対し、0.1〜10モ
ルが好適である。
【0046】反応温度は、15〜30℃の室温程度であ
り、反応時間は反応温度にもよるが、1時間〜48時間
程度が好適である。未反応の水溶性カルボジイミド誘導
体および反応副生成物である水溶性カルボジイミド誘導
体由来の尿素体(ウレア)は、水溶性または親水性であ
るため、反応終了後、水洗浄または希塩酸洗浄によって
容易に除去できる。また溶媒の留去のみで、高純度、高
濃度のシラップ状N-保護-アミノアルデヒドが得られる
ので、単離精製することなく、次工程に使用することが
できる。なお、当然のことではあるが、単離精製を行な
ってもよい。
【0047】以上のような反応系および処理工程を採用
することにより、N-保護-アミノアルコールからN-保護-
アミノアルデヒドを効率よく製造することができる。こ
のようなN-保護-アミノアルデヒドは、生体関連物質製
造の際の鍵中間体として有用である。たとえば、BOC
−Leu−olからアミノ基がBOC基により保護され
てなるL-ロイシナール(BOC−Leu−al)を製造
し、これからアルドール反応および適切な脱保護基反応
によりスタチンを合成する反応は、以下のように表わさ
れる。
【0048】
【化16】
【0049】
【発明の効果】以上説明してきたような、本発明によれ
ば、N-保護-α-アミノアルデヒドに代表されるようなN-
保護-アミノアルデヒドの工業的規模での大量合成を行
う場合であっても、常温領域で合成反応が行え、ラ
セミ化反応が少ないために生成物の光学活性および反応
収率に優れ、使用する試薬および反応副生成物が無毒
あるいは低毒性のため、良好な作業環境を維持でき、か
つ最終生成物の分離を容易に行うことができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0051】
【実施例1】 〔N-BOC-L-ロイシナールの合成〕N-BOC-L-ロイシンメチ
ルエステル塩酸塩を水素化ホウ素ナトリウム/塩化リチ
ウムの系にて還元反応し、得られたN-BOC-L-ロイシノー
ル217g(1.0モル)を乾燥したジクロルメタン
1.5リットルに溶解し、攪拌下乾燥したジメチルスル
ホオキシド250mlを加えた。均一になった溶液へ無水
ピリジン900ml、蒸留直後のトリフルオロ酢酸40ml
(0.5モル)および1-エチル-3-(3-N,N-ジメチルアミ
ノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩576g(3.0モ
ル)を加え、室温にて24時間反応させた。反応終了
後、ジクロルメタン500mlを加え、水1リットルで3
回抽出し、DMSO、水溶性カルボジイミドおよび反応
副生成物である尿素誘導体を除去した。全水層を500
mlジクロルメタンにて1回抽出し、全ジクロルメタン層
を飽和重ソー水500ml、水500ml、飽和食塩水50
0mlの順で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後減
圧下にて濃縮し、シラップ状物質のN-BOC-L-ロイシナー
ルを得た。このシラップ状物質は、単離精製することな
しに、たとえば次工程のアルドール反応に使用可能であ
る。
【0052】粗体収量は210g(粗体収率98%)で
あった。 〔物性確認〕得られたシラップ状物質の一部をシリカゲ
ルフラッシュクロマトグラフィーにより酢酸エチル:n-
ヘキサン=1/5〜1/2と変化させ、目的物を分画し
た。減圧濃縮することにより目的物質を取り出した。
【0053】シラップ状物質1gより純粋なN-BOC-L-ロ
イシナール0.9gを得た。最終生成物の比旋光度
[α]D 20は−44.0°(C=1、MeOH)であ
り、融点は63〜66℃であった。
【0054】KBr法による赤外吸光分析(IR)の結
果、3350、2940、2725、1740、172
0、1510、1395cm-1に吸収が見られた。また1
H−NMR(CDCl3 )により構造確認を行った。
【0055】薄層クロマトグラフィーの結果、Rf値は
0.45(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/2)であっ
た。
【0056】
【実施例2】 〔N-BOC-L-フェニルアラニナールの合成〕N-BOC-L-フェ
ニルアラニノール251g(1モル)を実施例1と同様
な方法にて反応し、N-BOC-L-フェニルアラニナールを得
た。粗体収量は235g(粗体収率94%)であった。
実施例1と同様にシリカゲルフラッシュクロマトグラフ
ィーにより目的物を分取した。(酢酸エチル/n-Hex =
1/10〜1/2)シラップ状物質1gより0.87g
のN-BOC-L-フェニルアラニナールが得られた。
【0057】〔物性確認〕最終生成物の比旋光度[α]
D 20は+35.5°(C=1、CH2 Cl2 )であっ
た。
【0058】KBr法によるIRの結果、3435、2
940、2760、2730、1740、1725、1
500、1395、1240cm-1に吸収が見られた。ま
1H−NMR(CDCl3 )により構造確認を行っ
た。
【0059】薄層クロマトグラフィーの結果、Rf値は
0.52(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1)であっ
た。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジメチルスルホオキシドと水溶性カルボ
    ジイミド誘導体とからなる酸化剤の存在下に、 N-保護-アミノアルコールを、有機溶媒中にて、酸化
    し、 N-保護-アミノアルデヒドを製造することを特徴とするN
    -保護-アミノアルデヒドの製造方法。
  2. 【請求項2】 N-保護-アミノアルコールが、N-保護-β
    -アミノアルコールであることを特徴とする請求項1 に
    記載のN-保護-アミノアルデヒドの製造方法。
  3. 【請求項3】 N-保護-アミノアルコールが、L-、D-ま
    たはL,D-アミノ酸から誘導されたN-保護-アミノアルコ
    ールであることを特徴とする請求項1 に記載のN-保護-
    アミノアルデヒドの製造方法。
  4. 【請求項4】 N-保護-アミノアルコールが、L-アミノ
    酸より誘導されたN-保護-(S)-β-アミノアルコールであ
    ることを特徴とする請求項1に記載のN-保護-アミノア
    ルデヒドの製造方法。
  5. 【請求項5】 N-保護-アミノアルコールの保護基が、 tert- ブチルオキシカルボニル基、 tert- アミルオキシカルボニル基、 ベンジルオキシカルボニル基、または9-フルオレニルメ
    チルオキシカルボニル基であることを特徴とする請求項
    1 に記載のN-保護-アミノアルデヒドの製造方法。
  6. 【請求項6】 N-保護-アミノアルコールの保護基が、
    ジ-tert-ブチルジカーボネートから誘導されたtert- ブ
    チルオキシカルボニル基であることを特徴とする請求項
    1に記載のN-保護-アミノアルデヒドの製造方法。
  7. 【請求項7】 水溶性カルボジイミド誘導体が、 R1 −N=C=N−R2 …[式−I] または [R1 −N=C=N−R2 ]・[A] …[式−II] [ただし、R1 はメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
    チル基、ヘキシル基またはシクロヘキシル基であり、 【化1】 ただし、n=1〜4であり、R3 、R4 は同種または異
    種の低級アルキル基)または 【化2】 Aは、HCl、HBr、HI、HClO4 、HIO4 【化3】 で表わされる水溶性カルボジイミド誘導体であることを
    特徴とする請求項1に記載のN-保護-アミノアルデヒド
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 水溶性カルボジイミド誘導体が、 Y−X−N=C=N−X−Y …[式−III] または [Y−X−N=C=N]・n[Z] …[式−IV] (ただし、上式中、Xは無いかまたは炭素数1〜10の
    炭化水素である。Yは下記〜のいずれか1つであ
    る。 【化4】 (ただし、R1 、R2 はそれぞれ同種または異種の低級
    アルキル基を示す。) 【化5】 (ただし、Xと結合しているN原子を含み5〜7員のい
    ずれかの複素環を形成する。R3 は炭化水素または酸素
    原子、硫黄原子、窒素原子の群より選ばれた1種の付加
    ヘテロ原子を含む炭化水素であり、R3 中のN原子はイ
    ミンまたは低級アルキル化窒素原子である。) 【化6】 (ただし、Xと結合している炭素原子を含み5〜7員の
    いずれかの複素環を形成し、R4 中に低級アルキル化窒
    素原子を1個含む炭化水素である。) 【化7】 (ただし、Xと結合している炭素原子を含み5〜7員の
    いずれかの複素環を形成し、R5 中にイミンを1〜3個
    を包含してなる炭化水素である。nは2個のY部分にお
    ける3級アミンとイミンの合計の当量値である。Zは下
    記(a)〜(c)のいずれか1つである。 (a)ハロゲン化水素、過塩素酸または過ヨウ素酸。 (b)R6 −SO2 −OR7 で表わされるスルホン酸エ
    ステル(R6 は炭素数1〜18の芳香族、脂肪族、脂環
    族の炭化水素残基、R7 は低級アルキル基を示す。) (c)R8 −CH2 −X1 で表わされるハロゲン化炭化
    水素(R8 は水素原子または炭素数1〜18の炭化水素
    残基、X1 はハロゲン原子を示す。))で表わされる水
    溶性カルボジイミド誘導体であることを特徴とする請求
    項1に記載のN-保護-アミノアルデヒドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記水溶性カルボジイミド誘導体が、 R1 −N=C=N−(CH2 n −OCH3 …(式V) (ただし、上式中、R1 は低級アルキル基であり、nは
    2または3である。)で表わされる水溶性カルボジイミ
    ド誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のN-保
    護-アミノアルデヒドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記有機溶媒が、N-保護-アミノアル
    コールを溶解し、かつ水と相溶性を有しない有機溶媒で
    あることを特徴とする請求項1に記載のN-保護-アミノ
    アルデヒドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記有機溶媒が、常温で液状の芳香族
    炭化水素、ハロゲン化炭化水素またはエーテル類である
    ことを特徴とする請求項10に記載のN-保護-アミノア
    ルデヒドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記有機溶媒が、非プロトン性極性溶
    媒であることを特徴とする請求項1に記載のN-保護-ア
    ミノアルデヒドの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記非プロトン性極性溶媒が、ジメチ
    ルスルホオキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセト
    ニトリルまたはテトラヒドロフランであることを特徴と
    する請求項12に記載のN-保護-アミノアルデヒドの製
    造方法。
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JP2011236177A (ja) * 2010-05-13 2011-11-24 Shin-Etsu Chemical Co Ltd アルデヒド及びケトンの製造方法
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