JPH06116022A - 低温焼成用誘電体磁器組成物及びそれを用いて得られた誘電体共振器若しくは誘電体フィルター並びにそれらの製造方法 - Google Patents
低温焼成用誘電体磁器組成物及びそれを用いて得られた誘電体共振器若しくは誘電体フィルター並びにそれらの製造方法Info
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- JPH06116022A JPH06116022A JP4286811A JP28681192A JPH06116022A JP H06116022 A JPH06116022 A JP H06116022A JP 4286811 A JP4286811 A JP 4286811A JP 28681192 A JP28681192 A JP 28681192A JP H06116022 A JPH06116022 A JP H06116022A
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Abstract
数の温度係数が小さな誘電体磁器を与える低温焼成用誘
電体磁器組成物を提供する。 【構成】 一般式:x〔(1−a−b)BaO・aSr
O・bCaO〕・yTiO2 ・z〔(1−c)RE2 O
3 ・cBi2 O3 〕(RE:希土類金属)で表わされ、
且つ0.10≦x≦0.20,0.60≦y≦0.7
5,0.10≦z≦0.25,x+y+z=1,0≦a
≦0.40,0≦b≦0.20,0≦c≦0.30を満
足するように構成された組成物を主成分とし、該主成分
組成物の100重量部に対して、所定組成のZnO−B
2 O3 −Bi2 O3 系ガラスを、副成分として、0.1
重量部以上、(18−62.5c)重量部以下(但し、
c≦0.20のとき)または5.5重量部以下(但し、
0.2<c≦0.3のとき)の割合で含有せしめた。
Description
係り、特にトリプレート構造のストリップライン型フィ
ルター等の、内層導体を有する誘電体共振器の製造に好
適に用いられる、低温焼成の可能な高周波用誘電体磁器
組成物に関するものである。また、本発明は、そのよう
な誘電体磁器組成物を用いて得られる該誘電体共振器若
しくは該共振器の複数から構成される誘電体フィルタ
ー、更にはそれら誘電体共振器若しくは誘電体フィルタ
ーの有利な製造手法に関するものである。
誘電率磁器組成物を使用した同軸型誘電体フィルタが広
く用いられているが、かかる同軸型誘電体フィルタは、
筒形状の誘電体ブロックの内周面と外周面に、それぞ
れ、内部導体と外部導体とが設けられてなる同軸型の共
振器を複数個結合して、構成されてなるものであるとこ
ろから、その小型化には限度があり、そのために誘電体
内に導体を内層してなるトリプレート構造のストリップ
ライン型のものが検討されている。このストリップライ
ン型フィルタにあっては、板状の誘電体内に導体が所定
パターンで配列されて、一体的に設けられ、複数の共振
器を構成せしめた構造であるところから、フィルタの高
さ(厚さ)を低くすることが出来、以てその小型化が可
能となるのである。
タの如き内層導体を有する誘電体フィルタを作製するに
際しては、内層導体と誘電体磁器組成物の同時焼成が必
要となるが、従来からの誘電体磁器組成物は、その焼成
温度が著しく高いものであるところから、内層導体とし
て使用可能な導体材料に制約を受け、導通抵抗の低いA
g系材料を用いることは困難であった。例えば、内層導
体としてAg−Pd系合金またはAg−Pt系合金を使
用するには、誘電体磁器組成物の焼成温度は1000℃
以下とする必要があり、特に導通抵抗の低いAgを単体
にて使用するには、誘電体磁器組成物の焼成温度は90
0℃前後とする必要がある。このため、そのような低い
焼成温度で焼結可能であり、高周波特性に優れた誘電体
磁器組成物が必要とされているのである。
ては、種々なる組成のものが提案されており、中でも、
Ba−Ti−RE−Bi系酸化物(RE:希土類金属)
にて構成される誘電体磁器組成物は、比誘電率が高く、
且つ無負荷Qが大きく、更に共振周波数の温度係数が小
さい材料として知られており、また特開昭62−216
107号公報や特開平1−275466号公報等におい
ては、そのような組成系に、更にSrOを導入すること
により、比誘電率の向上、共振周波数の温度係数の増大
を図っているが、それら誘電体磁器組成物においては、
何れも、その焼成温度が1300℃〜1400℃と高い
ところに問題があり、そのために、Pb酸化物等を添加
することにより、その焼成温度の低下を図る試みが為さ
れてきている。
書においては、酸化バリウム、酸化チタン、及び酸化レ
アアースの仮焼混合物に、CdO−PbO−Bi2 O3
系ガラスを、8〜30重量%の割合で配合してなる組成
物が明らかにされており、そのような組成物は、982
℃〜1150℃程度の温度で焼成が行なわれている。ま
た、特開昭59−214105号公報においては、Ba
O−TiO2 −Nd2O3 系組成物に対して、PbO,
Bi2 O3 ,SiO2 及びZnOの各粉末を混合して、
1050℃〜1150℃の温度で焼成することが明らか
にされている。更に、特開昭60−124306号公報
には、BaTiO3 −Nd2 O3 −TiO2 −Bi2 O
3 系組成物に対して、Pb3 O4 ,B2 O3 ,SiO
2 ,ZnOのそれぞれを所定量配合してなる誘電体磁器
組成物が明らかにされ、それは、1000〜1050℃
の焼成温度で焼成し得ることが明らかにされている。更
にまた、特開平2−44609号公報には、BaTiO
3 ,Nd2 O3 ,TiO2 ,Bi2 O3 ,及びPb3 O
4 からなる組成物に対して、2CaO・3B2 O3 ,S
iO2 ,及びZnOを添加した誘電体磁器組成物が示さ
れ、それは、1000〜1050℃の焼成温度で焼結す
ることが明らかにされている。
れている従来の誘電体磁器組成物にあっても、その焼成
温度は未だ1000℃前後或いはそれ以上と高く、導通
抵抗の低いAg単体やAgを主体とする合金材料を内部
導体として用いることが出来ないのである。そのため
に、導通抵抗の大きなPdの含有量を高めた、Ag−P
d系合金しか用いられ得ないのが、実情である。しか
も、それら従来の低温焼成用誘電体磁器組成物において
は、Pb酸化物を多量に添加せしめたものであるところ
から、Pb酸化物の毒性に鑑み、その取り扱い上におい
ても、問題のあるものであった。このように、誘電体磁
器組成物の焼成温度を1000℃前後まで低下させる先
行技術は幾つか知られているが、Agの融点:962℃
以下、望ましくは950℃以下、更に望ましくは900
℃前後で焼成可能とする技術については、未だ、知られ
てはいないのである。
景にして為されたものであって、その課題とするところ
は、高い比誘電率を有し、また無負荷Qが大きく、共振
周波数の温度係数が小さな誘電体磁器を与える、962
℃(Agの融点)以下の焼成温度で、好ましくは900
℃前後の焼成温度で焼結が可能であり、また多量のPb
酸化物を含有せしめる必要のない低温焼成用誘電体磁器
組成物を提供することにある。また、本発明の他の課題
とするところは、そのような誘電体磁器を用いて得られ
た誘電体共振器若しくは該共振器の複数から構成される
誘電体フィルター、更にはそれら誘電体共振器若しくは
誘電体フィルターの有利な製造手法提供することにあ
る。
発明者等が種々検討を重ねた結果、BaO−SrO−C
aO−TiO2 −RE2 O3 −Bi2 O3 系の誘電体磁
器組成物に対して、所定のZnO−B2 O3 −Bi2 O
3 系ガラスの少量を含有せしめることにより、その優れ
た特性を確保しつつ、その焼成温度を有利に低下せしめ
得る事実を見い出したのである。
て完成されたものであって、その特徴とするところは、
一般式:x〔(1−a−b)BaO・aSrO・bCa
O〕・yTiO2 ・z〔(1−c)RE2 O3 ・cBi
2 O3 〕(但し、REは希土類金属を示す)で表わさ
れ、且つ該一般式中のx,y,z並びにa,b,cが、
それぞれ、次式:0.10≦x≦0.20,0.60≦
y≦0.75,0.10≦z≦0.25,x+y+z=
1,0≦a≦0.40,0≦b≦0.20,及び0≦c
≦0.30を満足するように構成された、酸化バリウ
ム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、酸化チタ
ン、酸化レアアース、及び酸化ビスマスからなる組成物
を主成分とし、該主成分組成物の100重量部に対し
て、一般式:k(重量%)ZnO・m(重量%)B2 O
3 ・n(重量%)Bi2 O3 (但し、1≦k≦45,5
≦m≦50,15≦n≦94,k+m+n=100)に
て表わされる組成のZnO−B2 O3 −Bi2 O3 系ガ
ラスを、副成分として、0.1重量部以上、(18−6
2.5c)重量部以下(但し、c≦0.20のとき)ま
たは5.5重量部以下(但し、0.2<c≦0.3のと
き)の割合において含有せしめてなる低温焼成用誘電体
磁器組成物にある。
焼成用誘電体磁器組成物を製造するに際して、前記主成
分組成物を与える原料組成物を1050℃以上の温度で
仮焼せしめ、次いでその得られた仮焼物を平均粒径が
0.8μm以下となるように微粉砕した後、前記副成分
たるZnO−B2 O3 −Bi2 O3 系ガラスを配合する
ことにより、かかる低温焼成用誘電体磁器組成物を製造
する手法が、有利に採用されるものであり、このような
製造工程を採用することによって、かかる誘電体磁器組
成物の焼成温度の低下が著しく促進され、しかも比誘電
率の向上や無負荷Qの増大も有利に達成され得ることと
なる。
磁器と同時焼成することにより該誘電体磁器内に形成さ
れた導体パターンを有する誘電体共振器若しくは該共振
器よりなる誘電体フィルターにおいて、該誘電体磁器
を、上述の如き誘電体磁器組成物、即ち前記請求項1に
記載の誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁器
にて構成する一方、前記導体パターンを、Ag単体若し
くはAgを主成分とする合金材料にて形成したことを特
徴とする誘電体共振器若しくは該共振器よりなる誘電体
フィルターをも、その要旨とするものである。
体磁器内に設けられた導体パターンとを有する誘電体共
振器若しくは該共振器よりなる誘電体フィルターを製造
するに際して、前記誘電体磁器を与える、前記請求項1
に記載の誘電体磁器組成物よりなる成形体若しくはその
仮焼物に、前記導体パターンを与える、Ag単体若しく
はAgを主成分とする合金材料にて形成される導体層を
設け、それを同時焼成せしめることを特徴とする誘電体
共振器若しくは該共振器よりなる誘電体フィルターの製
造方法をも、その要旨とするものである。
いて、x〔(1−a−b)BaO・aSrO・bCa
O〕は、主成分の一つたるBaOの一部がSrO及び/
又はCaOにて置換されることを示しており、それらB
aO,SrO,CaOの合計の含有量が10モル%より
も少なくなると(x<0.10)、得られる誘電体磁器
の比誘電率が低くなってしまう問題があり、一方、20
モル%を越えるようになると(x>0.20)、共振周
波数の温度係数が大きくなり過ぎてしまうという問題を
惹起する。
びCaOの少なくとも一方にて実施され、例えばBaO
の一部をSrOにて置換すると、その置換に伴い、高い
誘電率を維持したまま、無負荷Qを向上し、共振周波数
の温度係数を小さくすることが出来る。しかし、その置
換割合が0.40より多くなると(a>0.40)、誘
電率や無負荷Qが共に劣化してしまう問題を生じる。ま
た、BaOの一部をCaOにて置換した場合には、高い
誘電率及び無負荷Qを維持したまま、共振周波数の温度
係数を大きくすることが出来るが、その置換割合が0.
20より多くなると(b>0.20)、無負荷Qが急速
に劣化してしまう問題を惹起する。従って、これらSr
O,CaOの添加により、共振周波数の温度係数の制御
が有利に実現されるのである。
60モル%未満となると(y<0.60)、焼結が困難
となって、緻密な焼結体が得られなくなるのである。一
方、75モル%を越えるようになると(y>0.7
5)、共振周波数の温度係数が正の方向に大きくなり過
ぎてしまうという問題を惹起する。
に関して、換言すれば〔(1−c)RE2 O3 ・cBi
2 O3 〕の値については、その合計の含有量が10モル
%よりも少なくなると(z<0.10)、共振周波数の
温度係数が正に大きくなり過ぎてしまい、一方、25モ
ル%を越えるようになると(z>0.25)、焼結性が
悪く、比誘電率が小さくなってしまう問題を惹起する。
るRE(希土類金属)としては、Nd,Sm,La,C
e,Pr等であり、中でも、有利にはNdまたはNdと
共にSm及び/又はLaが組み合わせて用いられる。N
dと共にSm及び/又はLaを組み合わせて用いる場合
にあっては、高い誘電率、無負荷Qを保ったまま、温度
係数を制御することが出来る。しかしながら、そのよう
なSm及び/またはLaを組み合わせる場合にあって
は、RE全体に占めるSm又はLaの割合を20モル%
以下にすることが望ましく、それを越えると、共振周波
数の温度係数が負または正に大きく変化する問題を生じ
る。なお、REとして、CeやPrを用いる場合にあっ
ては、三価の原子に換算して、導入されることとなる。
ると、比誘電率が増加せしめられ、共振周波数の温度係
数を小さくすることが出来る。特に、このBi2 O3 に
よる充分な置換効果を得るには、5モル%以上(c≧
0.05)の置換が望ましい。しかしながら、Bi2 O
3 の置換量が15〜20モル%以上に至ると、温度係数
が増加し始めるのであり、またBi2 O3 の置換量が増
えるにつれ、無負荷Qが減少していくことから、Bi2
O3 の置換量は、実用的には30モル%以下(c≦0.
30)が適切である。
バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、酸化
チタン、酸化レアアース及び酸化ビスマスにて構成され
る磁器組成物を主成分とするものであって、このような
主成分組成物に対して、後述の如く、所定の副成分を配
合含有せしめるようにしたものであるが、また、そのよ
うな主成分磁器組成物に対して、無負荷Qの向上や共振
周波数の温度係数を補正する等の目的で、酸化アルミニ
ウム、酸化鉄、酸化マンガン、酸化クロム、酸化亜鉛、
酸化錫、酸化ジルコニウム等の金属酸化物を添加したり
することも、何等差支えない。
物に対して、副成分として含有せしめられるZnO−B
2 O3 −Bi2 O3 系ガラスは、1〜45重量%の酸化
亜鉛(ZnO)と、5〜50重量%の酸化ホウ素(B2
O3 )と、15〜94重量%の酸化ビスマス(Bi2 O
3 )とから構成される必要がある。即ち、酸化亜鉛、酸
化ホウ素及び酸化ビスマスのそれぞれの含有量をk重量
%、m重量%及びn重量%とすると、次のような式:1
≦k≦45,5≦m≦50,15≦n≦94,k+m+
n=100を満足させる必要があるのである。
未満の場合にあっては、ガラス化が困難となるのであ
り、一方45重量%を越えるようになると、ガラス化が
困難となる他、目的とする誘電体磁器組成物の焼成温度
が高くなる問題を惹起するからである。また、B2 O3
の含有量(m)が5重量%未満の場合には、ガラス化が
困難となると共に、誘電体磁器組成物の焼成温度が高く
なる問題があり、一方50重量%を越えるようになる
と、無負荷Qが小さくなる問題を惹起するからである。
更に、Bi2 O3 の含有量(n)が94重量%を越える
ようになると、ガラス化が困難となることに加えて、目
的とする誘電体磁器組成物の焼成温度が高くなる問題を
惹起するからである。
3 系ガラスの好ましい組成範囲としては、ZnOの含有
量(k)が2〜40重量%、B2 O3 の含有量(m)が
10〜45重量%、Bi2 O3 の含有量(n)が15〜
75重量%である。また、かかる副成分としてのガラス
には、各種金属酸化物の如き不純物の含有が許容され得
るが、そのような不純物の含有量は、一般に、ガラスに
対して10重量%までの割合とされるべきである。更
に、この本発明にて用いられるZnO−B2 O3−Bi
2 O3 系ガラスとしては、全体が均一にガラス化したも
のばかりでなく、実質的にガラス状態となっておれば、
相分離したものであっても、また原料が部分的に残って
いたり或いは部分的に結晶化していたりするものであっ
ても、同様に使用可能である。
3 −Bi2 O3 系ガラスは、副成分として、前記した主
成分磁器組成物の100重量部当たり、0.1重量部以
上、(18−62.5c)重量部以下(但し、c≦0.
20のとき)または5.5重量部以下(但し、0.20
<c≦0.30のとき)の割合において含有せしめら
れ、以て目的とする誘電体磁器組成物の焼成温度が96
2℃以下、好ましくは900℃前後まで低下せしめられ
得るのである。これに対して、かかる副成分としてのガ
ラスの含有量が、0.1重量部に満たない場合にあって
は、そのような副成分の添加による焼成温度の低下の充
分な効果が得られず、またc≦0.20のときに(18
−62.5c)重量部を越えて、或いは0.20<c≦
0.30のときに5.5重量部を越えて添加した場合に
あっては、得られる誘電体磁器の無負荷Qが小さくなり
過ぎ、実用的でなくなってしまう問題がある。なお、か
かるZnO−B2 O3 −Bi2 O3 系ガラスの好ましい
含有量としては、1〜5重量部程度である。
は、前記した主成分磁器組成物に対して、上記の如きZ
nO−B2 O3 −Bi2 O3 系ガラスを副成分として配
合せしめて製造されるものであるが、かかる副成分たる
ZnO−B2 O3 −Bi2 O3 系ガラスの配合に先立っ
て、前記した主成分磁器組成物は、その組成を与える原
料組成物を仮焼せしめ、そして粉砕することによって準
備されることとなる。そして、その仮焼に際して、90
0℃以上の仮焼温度を採用すると、仮焼温度の高温化に
伴なう誘電体磁器組成物の焼成温度の低下、比誘電率及
び無負荷Qの増加が認められるのである。特に、105
0℃以上の仮焼温度で、その効果が顕著であるところか
ら、本発明にあっては、好適には、1050℃以上の温
度で仮焼が行なわれる。しかしながら、仮焼温度が13
50℃を越えるようになると、仮焼後に仮焼物の硬化が
著しく、取り扱い上において問題を生じるので、好まし
くは1100℃〜1300℃の仮焼温度が有利に採用さ
れることとなる。
焼物を粉砕するに際しては、その粉砕物の平均粒子径が
細かくなるほど、誘電体磁器組成物の焼成温度の低下が
促進され、比誘電率及び無負荷Qを増加することが可能
となる。従って、本発明にあっては、有利には、0.8
μm以下の平均粒子径となるように仮焼物が粉砕される
こととなる。しかしながら、仮焼粉砕物の平均粒子径が
0.1μmよりも小さくなると、得られる誘電体磁器組
成物の成形性が低下し、例えば、通常のドクターブレー
ド法等によるテープ成形が困難となるところから、仮焼
粉砕物の平均粒子径は0.1〜0.8μm程度に制御す
ることが望ましい。なお、このような微細な粉砕物の粒
子径は、一般に、レーザー回折散乱法を用いて測定され
ることとなる。
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって何等の制約をも受
けるものでないことは言うまでもないところである。ま
た、本発明には、以下に示される実施例の他にも、本発
明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基
づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであ
ることが理解されるべきである。
シウム、酸化チタン、酸化ネオジム、酸化サマリウム、
酸化ランタン及び酸化ビスマスを用い、それら成分を、
下記表1において示される各種のx,y,z,RE,
a,b,c値を与えるようにそれぞれ秤量して、ポリエ
チレン製ポットの中に、ジルコニア玉石と共に投入し
て、純水を加え、湿式混合せしめた。そして、その得ら
れた混合物を、ポットから取り出して乾燥した後、アル
ミナ製坩堝に入れ、1250℃の温度で、4時間、空気
雰囲気下に仮焼を行なった。次いで、その仮焼物を解砕
し、再び、ポリエチレン製ポットの中にジルコニア玉石
と共に投入して、レーザー回折散乱法を利用して測定さ
れる平均粒子径が0.8μm以下になるまで、粉砕を行
ない、各種の仮焼粉砕物を得た。
化ビスマスを用い、それらを下記表2において示される
各種組成のガラスを与えるように秤量し、そしてそれぞ
れの組成のものをポリエチレン製ポットの中にアルミナ
玉石と共に投入して、乾式混合せしめた。その後、その
得られた混合物を、シャモット坩堝の中で融解させ、水
中に急冷して、ガラス化した。得られたガラスを、アル
ミナ製ポットの中にアルミナ玉石と共に投入し、エタノ
ール中で平均粒子径が4μm程度になるまで粉砕した。
物100重量部と、各種組成のガラスの所定量(表1に
示される量)とを、アルミナ玉石と共にポリエチレン製
ポットの中に投入し、純水を加えて、湿式混合せしめ
た。その際、バインダーとして、PVAを1重量%加え
た。得られた混合物を乾燥した後、目開き:355μm
の篩を通して、造粒した。
ス成形機を用いて、面圧:1ton/cm2 にて成形し
て、それぞれ20mmφ×15mmt の大きさの円板状
の試験片を得た。そして、この得られた試験片を、空気
中において、900℃の温度で2時間、焼成することに
より、各種の誘電体磁器サンプルを作製した。更に、こ
の焼成して得られたサンプルを16mmφ×8mmt の
大きさの円板状に研磨し、それぞれ、その誘電体特性を
測定した。なお、比誘電率(εr)と無負荷Qは、平行
導体板型誘電体共振器法によって測定し、また共振周波
数の温度係数(τf)は、−25℃〜+75℃の範囲で
測定した。測定周波数は、2〜4GHzであった。得ら
れた結果を、表3に示した。
用い、それと、実施例1におけるガラス種類:DのZn
O−B2 O3 −Bi2 O3 系ガラス粉末(外配2.3重
量部)、ポリビニルブチラール(外配8重量部)、可塑
剤及び解膠剤を、ジルコニア玉石と共に、アルミナ製ポ
ットの中に投入し、更にトルエンとイソプロピルアルコ
ールの混合溶液を加えて、湿式混合せしめた。
クターブレード法により厚さ:250μmのグリーンテ
ープに成形した。そして、この得られたグリーンテープ
に、印刷用Agペーストを用いて、900MHz帯2段
バンドパスフィルタの導体パターンを印刷した。次い
で、この導体パターンを印刷したグリーンテープを挟み
込むように、20枚のグリーンテープを、温度:100
℃、圧力:100 kgf/cm2 の条件で積層した。そし
て、その積層物を切断した後、空気中において900℃
の温度で2時間焼成することにより、図1に示される如
き構造のストリップライン型フィルタを作製した。な
お、この図1に示されるストリップライン型フィルタに
おいて、誘電体基板16は3層構造を有し、導体との同
時焼成によって一体化せしめられるものである。そし
て、この誘電体基板16の一つの層に複数の共振用電極
12,12が内蔵され、また、それとは異なる層に一対
の結合用電極20,20が内蔵されている。一方、該誘
電体基板16の表面には、略全面にアース電極14が設
けられると共に、対向する一対の側面において、該アー
ス電極14と非接続な状態で、一対の入出力端子18,
18が設けられている。そして、前記結合用電極20,
20が延長されて、その延長部分20aの端部が誘電体
基板16の外表面にまで引き出されていることにより、
外表面の入出力端子18と内部の結合用電極20とが接
続せしめられているのである。
ルタについて、ネットワークアナライザーを用い、その
フィルタ特性を測定した結果、中心周波数:915MH
z、挿入損失:1.6dBであった。
に従う誘電体磁器組成物は、酸化バリウム(BaO)、
酸化ストロンチウム(SrO)、酸化カルシウム(Ca
O)、酸化チタン(TiO2 )、酸化レアアース(RE
2 O3 )、及び酸化ビスマス(Bi2 O3 )を主成分と
し、それら各成分が、それぞれ、特定量において含有せ
しめられていると共に、副成分として、特定組成のZn
O−B2 O3 −Bi2 O3 系ガラスの所定量が含有せし
められていることにより、962℃(Agの融点)以下
の焼成温度で、好ましくは900℃前後の焼成温度で焼
結することが可能であり、これによって、導通抵抗の低
いAg単体やAgを主成分とする合金材料を、内層導体
として有するストリップライン型フィルタ等の誘電体フ
ィルタを有利に製造し得ることとなったのであり、しか
も得られる誘電体磁器は、高い比誘電率を有し、また無
負荷Qが大きく、更に共振周波数の温度係数が小さい特
徴を備えているのである。
層構造の形態を示す説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 一般式:x〔(1−a−b)BaO・a
SrO・bCaO〕・yTiO2 ・z〔(1−c)RE
2 O3 ・cBi2 O3 〕(但し、REは希土類金属を示
す)で表わされ、且つ該一般式中のx,y,z並びに
a,b,cが、それぞれ、次式:0.10≦x≦0.2
0,0.60≦y≦0.75,0.10≦z≦0.2
5,x+y+z=1,0≦a≦0.40,0≦b≦0.
20,及び0≦c≦0.30を満足するように構成され
た、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウ
ム、酸化チタン、酸化レアアース、及び酸化ビスマスか
らなる組成物を主成分とし、該主成分組成物の100重
量部に対して、一般式:k(6量%)ZnO・m(重量
%)B2 O3 ・n(重量%)Bi2 O3 (但し、1≦k
≦45,5≦m≦50,15≦n≦94,k+m+n=
100)にて表わされる組成のZnO−B2 O3 −Bi
2 O3 系ガラスを、副成分として、0.1重量部以上、
(18−62.5c)重量部以下(但し、c≦0.20
のとき)または5.5重量部以下(但し、0.2<c≦
0.3のとき)の割合において含有せしめてなることを
特徴とする低温焼成用誘電体磁器組成物。 - 【請求項2】 誘電体磁器と、該誘電体磁器と同時焼成
することにより該誘電体磁器内に形成された導体パター
ンを有する誘電体共振器若しくは該共振器よりなる誘電
体フィルターにおいて、該誘電体磁器を、前記請求項1
に記載の誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁
器にて構成する一方、前記導体パターンを、Ag単体若
しくはAgを主成分とする合金材料にて形成したことを
特徴とする誘電体共振器若しくは該共振器よりなる誘電
体フィルター。 - 【請求項3】 誘電体磁器と、該誘電体磁器内に設けら
れた導体パターンとを有する誘電体共振器若しくは該共
振器よりなる誘電体フィルターを製造するに際して、前
記誘電体磁器を与える、前記請求項1に記載の誘電体磁
器組成物よりなる成形体若しくはその仮焼物に、前記導
体パターンを与える、Ag単体若しくはAgを主成分と
する合金材料にて形成される導体層を設け、それを同時
焼成せしめることを特徴とする誘電体共振器若しくは該
共振器よりなる誘電体フィルターの製造方法。
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- 1992-09-30 JP JP4286811A patent/JP2781503B2/ja not_active Expired - Lifetime
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