JPH06115296A - 転写フィルムの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルミニウム箔を張り合わせた支持フィルム
供給し、アルミニウム箔の上に、転写フィルムに出現さ
せるエンボスの形状に応じてエッチングレジスト層を設
け、アルミニウム箔をエッチングしてエッチングレジス
ト層で覆われなかった部分を除去し、支持フィルムの面
に剥離層を設け、剥離層上に絵柄を印刷し、印刷された
絵柄と剥離層とを覆うように接着剤を被覆することによ
り転写フィルムを製造する。 【効果】 この方法では、エンボス出現用部分がアルミ
ニウムから形成されているので、エンボスと絵柄とを非
常に簡単に同調させることができる。また、転写フィル
ムにおけるエンボス部分の平滑性や段差落ち込みのシャ
ープさも優れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、転写フィルムの製造方
法に関し、更に詳しくは、型内転写により、樹脂成型品
に、転写による絵柄付けとエンボス加工とを同時に行う
ことができる転写フィルムの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】転写フィルムを用いることにより、樹脂
の射出成型と同時に転写による絵柄付けを行う、いわゆ
る型内転写は知られており、この目的の為に種々の転写
フィルムが開発されている。従来の転写フィルムは、単
に絵柄を樹脂成型品に転写する為にのみ用いられていた
のであるが、近年、樹脂成型品表面にエンボス加工をも
同時に行える転写フィルムが開発されている。

【０００３】特開平２−４８９３５号公報には、転写フ
ィルムの支持フィルムのいずれか一方の面にシルクスク
リーンなどの印刷方法で凹凸エンボスを形成しておく方
法が開示されている。しかし、この方法で製造された転
写フィルムには幾つかの欠点がある。例えば、エンボス
の肩際のシャープさにかける。エンボス形成部分が印刷
材料で形成されているため、平滑性がない。高低差のあ
るエンボスを形成するには、印刷膜厚を厚くする必要が
あるが、そうすると製造された転写フィルムを巻き取っ
た際にブロッキングを来たし、量産性が悪くなる。

【０００４】また、エンボス形成部分を、支持フィルム
に透明紫外線硬化インキを被覆し、エンボスロールで押
圧してエンボス形状を形成し、インキを紫外線で硬化さ
せることにより形成する方法もある。しかし、エンボス
形成用の印刷が透明である為、絵柄の印刷時にエンボス
とエンボスとを見当会わせするのが非常に困難である。
また、エンボス彫刻ロールが高価であるので、デザイン
の展開に限界がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の転写フィルム製造方法の欠点を解消した転写
フィルムの製造方法を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的は、アルミニウ
ム箔を張り合わせた支持フィルム供給し、該アルミニウ
ム箔の上に、転写フィルムに出現させるエンボスの形状
に応じてエッチングレジスト層を設け、アルミニウム箔
を、例えばアルカリ水溶液または酸溶液によりエッチン
グしてエッチングレジスト層で覆われなかった部分を除
去し、支持フィルムの面に剥離層を設け、剥離層上に絵
柄を印刷し、印刷された絵柄と剥離層とを覆うように接
着剤を被覆することを特徴とする、転写フィルムの製造
方法により達成される。

【０００７】転写フィルムは、剥離層と絵柄との間に保
護層を有していてもよく、この場合、転写フィルムの製
造方法は、剥離層の上に保護層を形成する工程をさらに
含むことになる。

【０００８】支持フィルムとしては、従来の転写フィル
ムの支持フィルムとして使用されているものなら、いず
れも使用できる。ポリエステルフィルム、ポリオレフィ
ンフィルム (たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプ
ロピレンフィルムなど) 、ポリエチレンテレフタレート
フィルム、ナイロンフィルム、アセテート樹脂フィルム
などの合成樹脂フィルム、さらにはセロファンなどが使
用できるが、中でもポリエステルフィルムが好ましい。

【０００９】剥離層の材料も、従来の転写フィルムに使
用されているものでよく、たとえばアクリル系樹脂、炭
化水素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ワックス類などが挙
げられる。剥離層は、これら剥離材を常套の方法、たと
えばグラビアコートにより支持フィルム表面に塗布して
形成する。剥離層は、支持フィルム自体の表面を変成し
て形成してもよい。

【００１０】保護層としても、従来既知の保護用材料を
用いることができるが、特に、アクリル樹脂層とアクリ
ルポリオール二液型樹脂層を含んで成る保護層が好まし
い。アクリル樹脂層は、アクリル樹脂またはその硬化剤
から成る。また、成型品表面の硬度を高める為、紫外線
硬化型樹脂層を用いることもできる。紫外線硬化型樹脂
は、通常の紫外線硬化型樹脂から成る。アクリル樹脂層
は、アクリル樹脂と硬化剤との混合物を適当な溶媒によ
り希釈して粘度を調節し、スクーン印刷等の適当な塗布
方法により、塗布し、乾燥、硬化させ形成する。紫外線
硬化型樹脂層は、紫外線硬化型樹脂を適当な溶媒に溶解
して粘度を調節し、リバースコーター、グラビアロール
などの適当な手段により塗布し、乾燥して溶媒を除去
し、次いで高圧水銀灯などの紫外線源を用いて紫外線照
射して硬化させ、形成する。

【００１１】文字や図形などの絵柄は、剥離層または保
護層の上に印刷する。印刷インキは、いずれの材料の上
に印刷するかに応じて、適当なものを選択すればよい。
印刷機としては、グラビア印刷機、シルクスクリーン印
刷機などが使用できる。エンボス出現用印刷層および絵
柄印刷層のいずれも、これら印刷機を単独であるいは併
用して形成できる。また、絵柄を多様化する為、蒸着に
より金属層を加えてもよい。

【００１２】最後に、印刷層の上に接着剤層を形成す
る。接着剤は、従来の転写フィルムに用いられているも
のでよく、転写を行う相手基材の材質に応じて選択すれ
ばよい。

【００１３】エンボス出現用のアルミニウム箔層は、支
持フィルム上にアルミニウム箔を接着して形成する。エ
ッチングレジストを形成する化合物は、アルミニウムの
エッチング技術において通常使用されるレジスト化合物
であってよい。レジスト化合物は、シルクスクリーンな
どの通常の印刷方法により印刷することができる。

【００１４】アルミニウムのエッチングも従来技術に従
って、耐酸レジスト印刷の場合は酸溶液により、耐アル
カリレジスト印刷の場合はアルカリ水溶液により行えば
よい。

【００１５】本発明の転写フィルムの典型的な態様の断
面図を図１に示す。この転写フィルムは、支持フィルム
１の表面に剥離層２が設けられ、その表面に保護層３が
形成されている。さらに、保護層３の表面には、印刷層
４が印刷され、保護層と印刷層の全体が、接着剤層５に
より被覆されている。

【００１６】一方、これらの層２〜５が形成された面と
は反対の面にエンボス出現用層６がアルミニウム箔のエ
ッチングにより形成されている。エンボス出現用層６
は、図１では印刷層４が設けられた部分に対応して設け
られているが、印刷層がない部分に対応して設けてもよ
い。

【００１７】型内転写に際しては、図２に示すように、
接着剤層５側を樹脂供給用ゲートを有する雄金型７に向
け、エンボス出現用層６を他方の雌金型８に向けて転写
フィルムを配置し、ゲート９から溶融樹脂１０を供給し
て、樹脂製品を成型する。成型後、転写フィルムを表面
に乗せた成型品を取り出し、剥離層２を利用して支持フ
ィルム層１を剥離する。そうすると、基材表面には、保
護層３により被覆された印刷層４が転写されて、転写印
刷が完成すると共に、エンボス出現用層６に対応する成
型品の部分にエンボスが形成される。

【００１８】転写フィルムにおける印刷層４が裏印刷さ
れている場合、絵柄は、図３の矢印Ａで示すように、絵
柄印刷の側から見ることになるので、成型品の表面にエ
ンボスが形成されていることになる。また、この場合、
絵柄を際立たせる為、絵柄と接着剤層との間に白押え印
刷を施しておくのが好ましい。

【００１９】一方、印刷層４の印刷が表印刷でなされて
いる場合、絵柄は、図３の矢印Ｂで示すように樹脂１０
を通して見ることになるので、エンボスは成型品の裏面
に形成されていることになる。この場合、白押え印刷を
行うのなら、剥離層（または保護層）と印刷層との間に
行う。しかし、白押え印刷とエンボスとが重なると、矢
印Ｂから見た場合、白押え印刷によりエンボスが隠蔽さ
れるので、エンボスと白押え印刷とが重ならないように
する。

【００２０】

【発明の効果】本発明の方法では、エッチング印刷の際
に墨インキを用いて追い刷り印刷見当用のカラーコント
ロール用マークも印刷できるので、追い刷り印刷の時
に、エンボス形成部分と絵柄印刷部分とを非常に簡単に
精度よく同調させることができる。また、エンボス部分
の平滑性が優れ、エンボス部分の成型品段差がシャープ
である。アルミニウム箔の厚さを変化させることによ
り、種々の段差形状のエンボスを形成することができ、
金型エンボス加工に比べて安価に転写フィルムを製造で
きる。

【００２１】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説
明する。実施例１ ポリエステルフィルム（厚さ３８ミクロン）の片面に、
アルミニウム箔（純度９９．３％、厚さ３０ミクロン）
を貼り合わせて、複合フィルムを準備する。複合フィル
ムのアルミニウム箔面に、耐酸性レジストインキ（アサ
ヒ化学研究所製カーボンブラックペーストＦＴＵ−２５
０Ｍ）を用いてスクリーン印刷を行い、乾燥し、フィル
ムを巻き取る。

【００２２】レジストが印刷されたフィルムを、酸エッ
チング（塩化第二鉄）処理し、不要部分のアルミニウム
箔を除去する。これにより、フィルム面は、ポリエステ
ルフィルムが露出した部分と、カーボンブラックにより
印刷された部分とに分けられる。エッチングレジストが
残された部分は、型内成型において成型品が凹状になる
部分に相当する。

【００２３】次に、フィルム全面に、グラビア印刷によ
り、アクリル樹脂（大日本インキ株式会社製ＴＲ−１
５）で剥離層を形成し、さらに保護層としてアクリルポ
リオール（大日本インキ株式会社製ＭＣＡ４０５０）を
重ね印刷する。さらに、プラスチック成型品表面のデサ
イン表現のための絵柄印刷層を、帝国インキ株式会社製
ＶＧインキを用いてスクリーンにより、先に印刷された
カーボンブラックのレジストインキのカラーコントロー
ルマークを検知しながら、連続多色印刷を行う。最後
に、成型樹脂に転写密着させる為の接着剤であるアクリ
ル樹脂感熱接着剤（大日本インキ株式会社製ＴＳ−１１
５）を、グラビア印刷で全面に塗布し、乾燥し、巻き取
って、エンボス形成用型内転写フィルムを製造した。

【００２４】実施例２ 実施例１で製造した転写フィルムを、射出成型金型内に
セットし、成型樹脂として汎用アクリル樹脂を用いて、
樹脂温度２２０〜２３０℃、金型温度５０〜６０℃で射
出成型を行った。成型サイクル完了後、転写フィルムを
剥離し、絵付けされた成型品を金型から取り出した。絵
付け成型品は、アルミニウム箔の厚さによって十分なエ
ンボスが形成されており、その面の段差落ち込みのシャ
ープさは、従来の製法では到底得られないものであっ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の方法で製造される転写フィルムの好
ましい一態様の断面図。

【図２】 本発明の方法で製造された転写フィルムを用
いた樹脂成型品の金型成型の模式図。

【図３】 本発明の方法で製造された転写フィルムを用
いて成型した樹脂成型品の断面図。

【符号の説明】

１…支持フィルム、２…剥離層、３…保護層、４…印刷
層、５…接着剤層、６…エンボス出現用層、７…雄金
型、８…雌金型、９…ゲート、１０…樹脂。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミニウム箔を張り合わせた支持フィ
   ルム供給し、 該アルミニウム箔の上に、転写フィルムに出現させるエ
   ンボスの形状に応じてエッチングレジスト層を設け、 アルミニウム箔をエッチングしてエッチングレジスト層
   で覆われなかった部分を除去し、 支持フィルムの面に剥離層を設け、剥離層上に絵柄を印
   刷し、 印刷された絵柄と剥離層とを覆うように接着剤を被覆す
   ることを特徴とする、転写フィルムの製造方法。