JPH06113844A - 魚類肝臓由来新規トランスグルタミナーゼ含有組成物、並びにそれを用いる蛋白質ゲル化物の製造法 - Google Patents

魚類肝臓由来新規トランスグルタミナーゼ含有組成物、並びにそれを用いる蛋白質ゲル化物の製造法

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JPH06113844A
JPH06113844A JP4334224A JP33422492A JPH06113844A JP H06113844 A JPH06113844 A JP H06113844A JP 4334224 A JP4334224 A JP 4334224A JP 33422492 A JP33422492 A JP 33422492A JP H06113844 A JPH06113844 A JP H06113844A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ペプチド鎖内のグルタミン残基のγ-カルボキ
シアミド基と、各種1級アミンとの間のアシル転移反応
を触媒する魚類肝臓由来の新規なトランスグルタミナー
ゼ及び、その含有組成物と当該酵素の作用により、濃度
0.1重量%以上の蛋白質溶液またはスラリーをゲル化さ
せることを特徴とする蛋白質ゲル化物の製造法。 【効果】従来廃棄されていた魚類の肝臓を用いることに
より、安価で大量供給可能なトランスグルタミナーゼを
見いだすことができた。また、本酵素あるいは、その含
有組成物を用いて蛋白質ゲル化物の製造が可能であるこ
とを見いだした。これらのトランスグルタミナーゼ含有
組成物は、食品加工に有効に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なトランスグルタ
ミナーゼと、それを用いた蛋白質ゲル化物の製造法に関
する。
【0002】トランスグルタミナーゼは、蛋白質中のグ
ルタミン残基のγ-カルボキシアミド基と、各種1級ア
ミンとの間のアシル転移反応を触媒する酵素である。
【0003】蛋白質中のリジン残基のε-アミノ基がア
シル受容体となる場合には、蛋白質分子内及び分子間中
にε-(γ-Glu)Lys結合を形成し、これにより蛋白質の
架橋高分子化が起こる。また、水がアシル受容体となる
場合にはグルタミン残基が脱アミド化され、グルタミン
酸残基となる。
【0004】このトランスグルタミナーゼは、蒲鉾、ゼ
リー、ヨーグルトなどのゲル状食品や蛋白質薄膜の製造
に用いられる。
【0005】本発明に係るゲル化物は、未加熱で製造で
き、熱に安定なゲルであるため、マイクロカプセルの素
材、固定化酵素等の担体等としても広範囲に用いること
ができるものである。
【0006】
【従来の技術】トランスグルタミナーゼはこれまで動物
由来、植物由来、微生物由来のものが報告されている。
動物由来のものでは、モルモット肝臓由来のもの[Conn
ellan,et al.,Journal of Biological Chemistry,246
(4),1093 〜1098(1971)]、哺乳動物の臓器、血液に広
く分布しているもの[Folk et al.,Advances in Enzymo
logy,38,109〜191(1973)及びFolk et al.,Advances in
Protein Chemistry,31,1〜133(1977)]を挙げることが
できる。
【0007】また、植物由来のものでは、えんどう豆由
来のもの[Isaac Icekson et al.,Plant Physiology,8
4,972〜974(1987)]を挙げることができる。
【0008】また、微生物由来のものでは、放線菌スト
レプトベルチシリウム属由来のもの[Ando et al.,Agri
cultural and Biological Chemistry,53(10),2613〜261
7 (1989)]が挙げられ、本酵素を用いた蛋白質のゲル化
物の製造法についても報告されている[特開平1-27471
号公報]。
【0009】一方、魚類においても、その筋肉や臓器に
おいてトランスグルタミナーゼ活性が検出されており、
酵素の存在を示唆する報告がある[岸ら,Nippon Suisan
Gakkaishi,57(6),1203〜1210(1991)及び中島ら,平成4
年度日本水産学会春季大会講演要旨集274頁]。しかし
ながら、いまだ単離、精製はされてはおらず精製酵素の
諸性質に関しても全く明らかにはなっていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように動物由
来、植物由来、そして微生物由来のトランスグルタミナ
ーゼの存在は報告されてはいる。しかし、ほ乳動物や植
物由来のトランスグルタミナーゼを、産業的に利用して
いくことは、その酵素の供給源量の問題や酵素標品の調
製過程が大変複雑になるという面で、極めて困難である
と言わざるを得ないのが現状である。
【0011】一方、微生物由来のトランスグルタミナー
ゼの発見により、該酵素の大量供給は可能となったが、
利用する酵素をトランスグルタミナーゼ生産菌の培養液
中より抽出、分離精製しなければならず、また、酵素の
安定供給のためにはポリペプトンやラスターゲンのよう
な高価な培地成分を用いる必要がある。
【0012】従って、本発明の課題は、安価に大量調製
でき、しかも歴史的に永年、人類が食してきた食物に由
来する新規トランスグルタミナーゼの探索と、それを用
いた蛋白質ゲル化物の製造法の開発である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する為に鋭意検討した結果、スケトウダラ及びマ
ダイの肝臓にペプチド鎖内のグルタミン残基のγ-カル
ボキシアミド基と、各種1級アミンとの間のアシル転移
反応を触媒する新規なトランスグルタミナーゼを発見
し、この酵素あるいは、本酵素を含有する肝臓粗抽出液
を用いることにより蛋白質濃度0.1重量%以上の蛋白質
含有液またはスラリーをゲル化させて蛋白質ゲル化物の
製造に成功し本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、魚類肝臓由来の高い
活性を有する新規トランスグルタミナーゼと、その酵素
あるいは、本酵素を含有する肝臓粗抽出液により蛋白質
濃度0.1重量%以上の蛋白質含有液またはスラリーをゲ
ル化させることを特徴とする蛋白質ゲル化物の製造法で
ある。
【0015】スケトウダラは、太平洋北部、日本海、オ
ホーツク海に分布する寒帯産の低棲魚であり、日本の伝
統的食品である蒲鉾など水産ねり製品の主原料魚として
年間およそ100万トンが水揚げされている。
【0016】一方、マダイは北海道北部を除く日本近海
に広く分布する暖海産の魚であり、天然、養殖あわせて
年間およそ7万tが水揚げされている。
【0017】しかしながら、スケトウダラ、マダイとも
その内臓はほとんどすべて廃棄されている現状であり、
本発明に用いる肝臓は、そのような廃棄物を利用するた
め原料は安価であり、可食であるため高度に精製する必
要もない。
【0018】魚類肝臓由来トランスグルタミナーゼは、
肝臓をホモジナイズし、遠心分離によって得られる上清
(粗抽出液)に存在する。粗抽出液からのトランスグル
タミナーゼの精製は、通常用いられるあらゆる手段を適
応できる。また、精製法を適当に組み合わせることで、
収率、精製度を向上させることができる。得られたトラ
ンスグルタミナーゼの粗抽出液あるいは精製物は、室
温、好ましくは冷蔵で長期に安定であり、減圧乾燥、凍
結乾燥によって粉体としても得ることができる。
【0019】トランスグルタミナーゼの活性は、ジメチ
ル化カゼインとモノダンシルカダベリンを基質として反
応を行い、取り込まれたモノダンシルカダベリンの量を
蛍光強度を測定することにより求めた。反応組成液を以
下に記載した。 〈反応組成液〉 1.0mg/ml ジメチル化カゼイン 0.015mM モノダンシルカダベリン 3.0mM ジチオスレイトール 50mM トリス塩酸緩衝液(pH7.5) 10mM 塩化カルシウム
【0020】上記反応組成液2.4mlにトランスグルタミ
ナーゼ溶液20から150μl加え、37℃、30分の反応を行っ
た後、500mM EDTAを100μl加えて反応を停止させ、蛍光
強度を測定した(励起波長350nm、蛍光波長480nm)。活
性の単位は、1分間に1nmolのモノダンシルカダベリンが
取り込まれる酵素活性を1ユニットとした。
【0021】次にトランスグルタミナーゼを用いた蛋白
質ゲル化物の製造法について述べる。蛋白質は、反応に
必要なリジン残基及びグルタミン残基を有しており、酵
素の触媒を受けるものであれば、その起源性状に制約さ
れるものではなく、植物性蛋白質、動物性蛋白質などい
かなるものでも使用できる。具体的には大豆蛋白質、乳
蛋白質、畜肉蛋白質、魚肉蛋白質を例示することができ
る。
【0022】これら蛋白質の0.1重量%、好ましくは5.0
重量%以上の液体またはスラリーであれば、トランスグ
ルタミナーゼの添加により高粘性物あるいは、ゲル化物
が得られる。
【0023】添加するトランスグルタミナーゼは、粗抽
出液及び適宜精製したもののいずれでもよく、蛋白質1m
gに対して0.001〜2,000ユニット添加、好ましくは0.01
〜20ユニット添加し、反応溶液のpHは6〜10、好ましく
は8〜9に調製し、10〜60℃、好ましくは20〜40℃で1分
〜24時間、好ましくは30分〜6時間インキュベートする
と高粘性物あるいは、ゲル化物を得ることができる。
【0024】
【実施例】本発明を実施例にてさらに詳細に説明する。
【0025】実施例1 スケトウダラ肝臓からのトラン
スグルタミナーゼの精製 スケトウダラ肝臓15gに10mM NaCl, 5mM EDTA, 2mM ジチ
オスレイトールを含む20mM トリス塩酸緩衝液(pH8.3)
30mlを加え、ホモジナイザーにより破砕した。この破砕
液を4℃において3,000rpm、10分の遠心分離(日立製 Hi
mac CR 20B2、ローター RPR20-2)を行った。次いで上
清をさらに4℃において37,000rpm、1時間遠心分離(日
立製 70P-72、ローター RP-70T)を行い、上清を0.45μ
mのフィルター(GL サイエンス製 GLクロマトディス
ク)にかけ粗抽出液24mlを得た。
【0026】本溶液の蛋白質濃度を、BioRad社製のプロ
テイアッセイキットにて測定したところ、約8.6mg/mlで
あった。また、本粗抽出液の5μlを用いてトランスグル
タミナーゼ活性を調べたところ、全活性849ユニットで
あり、従って、比活性は4.10ユニト/mg蛋白質であっ
た。
【0027】尚、上記操作と同様な方法によりスケトウ
ダラ筋肉から得た粗抽出液の比活性は、0.012ユニット/
mg蛋白質であり、肝臓に比較して非常に低い活性であっ
た。
【0028】次に粗抽出液を同緩衝液で平衡化したQ-セ
ファロース充填カラム(ファルマシア製 φ1.6cm x 10c
m)に通液したところ、トランスグルタミナーゼは吸着
された。NaCl濃度勾配によりトランスグルタミナーゼの
溶出を試みたところ、NaCl濃度約100mMで溶出された
(図1)。得られたトランスグルタミナーゼ活性画分
(10ml)を同緩衝液に一晩透析し、再度Q-セファロース
充填カラムに通液し、同一条件で溶出させトランスグル
タミナーゼ活性画分(9.5ml)を得た(図2)。
【0029】本活性画分の蛋白質濃度は約0.73mg/mlで
あった。またトランスグルタミナーゼの全活性は249ユ
ニットであり、比活性は36.1ユニット/mg蛋白質であっ
た。
【0030】次に得られた活性画分を50mM NaCl, 2mM E
DTA, 0.5mM ジチオスレイトールを含む酢酸ナトリウム
(pH6.45)に一晩透析し、同緩衝液で平衡化したS-セフ
ァロース充填カラム(ファルマシア製 φ1.6cm x 10c
m)に通液したところ、トランスグルタミナーゼは吸着
された。NaCl濃度勾配によりトランスグルタミナーゼ
は、NaCl濃度約200mMで溶出(6.0ml)した(図3)。
【0031】本活性画分の蛋白質濃度は約56μg/mlであ
った。また、トランスグルタミナーゼ全活性は201ユニ
ットであり、比活性は591.2ユニット/mg蛋白質であっ
た。
【0032】この画分中には、下に記したように電気泳
動上に分子量約77,000の単一バンドを示す蛋白質のみが
存在し、ここにスケトウダラ肝臓由来のトランスグルタ
ミナーゼを精製し、取得した。得られた精製溶液の比活
性は、粗抽出液の143倍であり、回収率は23.7%であっ
た。表1に精製の結果を示した。次に得られた精製トラ
ンスグルタミナーゼの特性を検討した。
【0033】
【表1】
【0034】a)電気泳動分析 精製トランスグルタミナーゼを30μlとり、同量の10%
メルカプトエタノール,4%SDS,20%グリセリン,0.002%
ブロムフェノールブルーを含む0.125Mトリス塩酸緩衝液
(pH6.8)を加え、沸騰浴中で1分加熱し、泳動試料とし
た。泳動試料40μlをアトー(株)製5-20%ポリアクリ
ルアミド既成ゲルに供し、0.1%SDSを含む0.025Mトリス
グリシン緩衝液で40mA、約2時間泳動を行った。泳動終
了後50%メタノール,7%酢酸を含む0.12%コマジーブリ
リアントブルー溶液で一晩染色し、50%メタノールを含
む7%酢酸溶液にて脱色を行った。その結果、分子量約7
7,000の位置に単一バンドを得た。
【0035】b)反応至適温度 基質としてジメチル化カゼインとモノダンシルカダベリ
ンを用いた場合、pH7.5、20分の反応条件で反応の至適
温度は、50℃付近であった(図4)。
【0036】c)反応至適pH 基質としてジメチル化カゼインとモノダンシルカダベリ
ンを用いた場合、37℃、30分の反応条件で反応の至適pH
は、9付近であった(図5)。
【0037】d)温度安定性 精製トランスグルタミナーゼをpH6.45で、10から60℃の
各温度で10分処理を行った後に、基質としてジメチル化
カゼインとモノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の
反応を行った。その結果、10から30℃の範囲でトランス
グルタミナーゼは安定であった(図6)。
【0038】e)pH安定性 精製トランスグルタミナーゼを25℃で、pH4から10の各p
Hで30分処理を行った後に、基質としてジメチル化カゼ
インとモノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の反応
を行った。その結果、pH6.5から8.0の範囲でトランスグ
ルタミナーゼは安定であった(図7)。
【0039】f)阻害剤及び金属イオンの活性に及ぼす
影響 精製トランスグルタミナーゼに各酵素阻害剤、各金属イ
オンを終濃度で1mMとなるように添加し、25℃、10分の
処理を行った後に、基質としてジメチル化カゼインとモ
ノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の反応を行っ
た。その結果を表2に示した。フェニルメチルサルフォ
ンフルオライドでは、そのトランスグルタミナーゼ活性
に及ぼす阻害効果は小さいものの、モノヨード酢酸、N-
メチルマレイミド、パラクロロマーキュリー安息香酸で
は、阻害効果は大きかった。また、金属イオンでは、Mg
2+では活性阻害は認められないものの、Cu2+、Zn2+
は、30数%まで活性は阻害された。
【0040】
【表2】
【0041】g)スケトウダラ肝臓由来トランスグルタ
ミナーゼの部分アミノ酸配列 精製したトランスグルタミナーゼ約80μgを含むS-セフ
ァロース画分約4mlを透析チューブに入れ、0.001mM EDT
Aを含む5mM トリス塩酸緩衝液(pH8.3)に対して、6時
間透析をした後、再度同溶液に12時間透析し、トランス
グルタミナーゼ酵素標品中のアルカリ金属イオンを除去
した。これを遠心濃縮により乾固させ、蒸留水0.8mlを
加え、37℃、30分攪拌し、再溶解させた。これにトリプ
シン(シグマ製 11,700ユニット/mg)を16μg添加し、3
7℃で12時間反応させ、ペプチド断片へと分解した。反
応はギ酸を1滴滴下し終了した。
【0042】次に、本反応液を逆相HPLC(Inertsil Pre
p-ODS φ6.0mm x 250mm GLサイエンス製)に供し、溶媒
は0.05% TFA(トリフルオロ酢酸)として、アセトニト
リルの濃度勾配による溶出条件下にて、各ペプチド断片
を分離し、取得した。
【0043】取得したペプチド断片をプロテインシーク
エンサー(MilliGen Biosearch製 6400/6600)に供し、
それらのアミノ酸配列を分析したところ、次の6つの配
列が得られた。すなわち、Xaa-Ala-Gly-Gly-Ser-Gly-As
p、Trp-Trp-Leu-His-Gln-Gln-Ser、Met-Tyr-Leu-Leu-Ph
e-Asn-Pro、Trp-Gln-Glu-Pro-Tyr-Thr-Gly-Gly、Phe-As
p-Val-Pro-Phe-Val-Phe-Ala-Glu-Val-Asn-Ala-Asp、Ser
-Xaa-Tyr-Ser-Asn-Gluであった。但し、Xaaは未同定ア
ミノ酸残基を表す。
【0044】実施例2 蛋白質のゲル化 (1)分離状大豆蛋白質「アジプロンSU」(商品名、味の
素(株)製)を12重量%の溶液となるように10mM 塩化
カルシウムを含む20mM トリス塩酸緩衝液(pH8.5)を加
え、完全に溶解した後、精製したトランスグルタミナー
ゼを蛋白質1mgあたり0.03ユニット加え良く攪はんし、2
5℃、24時間反応させた。
【0045】ゲル化の判定は、試験管倒置により判定し
たが、その結果、トランスグルタミナーゼを添加しなか
ったものでは、溶液状態のままであったが、トランスグ
ルタミナーゼを添加したものでは、ゲル化が認められ
た。
【0046】(2)スケトウダラ冷凍すり身から、高士ら
の方法[高士ら,Nippon Suisan Gakkaishi,36(2),169〜
172(1970)]に従いアクトミオシンを調製した。すなわ
ち、スケトウダラ冷凍すり身25gに3倍量の0.45M KClを
含むリン酸緩衝液(pH7.5)を加え、2℃で3時間抽出を
行い、希釈沈澱後、0.3M NaClを含む20mMトリス塩酸緩
衝液(pH7.5)溶液に透析し、20,000g、1時間の遠心分
離を行った上清をアクトミオシンとした。蛋白質濃度
は、0.4重量%であった。このアクトミオシン溶液に5mM
となるように塩化カルシウムを加え、トランスグルタミ
ナーゼの粗抽出液(蛋白質1mg当たり4.1ユニットを示
す)を蛋白質1mgあたり0.85ユニット加え良く攪はん
し、25℃、2時間反応させた。
【0047】その結果、トランスグルタミナーゼを添加
しなかったものでは、溶液状態のままであったが、トラ
ンスグルタミナーゼを添加したものでは、ゲル化が認め
られた。また、塩化カルシウムを添加せずにトランスグ
ルタミナーゼを添加してもゲル化は認められなかった。
【0048】実施例3 マダイ肝臓からのトランスグル
タミナーゼの精製 マダイ肝臓20g に 10mM NaCl, 5mM EDTA, 2mM ジチオス
レイトールを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3) 46ml
を加え、ホモジナイザーにより破砕した。この破砕液を
遠心チューブに入れ、4℃にて50,000rpm、45分の遠
心分離(日立製70P-72 ローター RP-65T)を行い、この
上清液部分を0.45μmのフィルター(アドバンテック DI
SMIC-25 ディスポーザブルシリンジフィルターユニッ
ト)に通し、不溶性高分子を除去した。その結果、赤く
着色した抽出液30mlを得た。次に、本抽出液に氷冷した
5mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)をほぼ等量(30ml)加え、溶
液のイオン強度を下げ、これをマダイ肝臓の粗抽出液
(60ml)とした。
【0049】本溶液の蛋白質濃度を、BioRad社製のプロ
テインアッセイキットにて測定したところ、約8.4mg/ml
であった。また、本粗抽出液の5μlを用いてトランスグ
ルタミナーゼ活性を調べたところ、総活性2,088ユニッ
トであり、従って、比活性は4.14ユニット/mg蛋白質で
あった。
【0050】続いて、本粗抽出液を 5mM NaCl, 2.5mM E
DTA 0.5mM ジチオスレイトールを含む10mMトリス塩酸緩
衝液(pH8.3)で平衡化したDEAE-セファセル充填カラム
(ファルマシア製 φ2.6cm X 11cm)に通液したところ、
トランスグルタミナーゼは本イオン交換体に吸着される
ことがわかった。そこで、NaClの塩濃度勾配による本カ
ラムからの溶出を試みたところ、NaCl濃度約100mMで、
トランスグルタミナーゼ活性を有する画分が溶出でき、
これをDEAE画分とした(約59ml)。
【0051】本活性画分の蛋白質濃度は約145μg/mlで
あった。またトランスグルタミナーゼの全活性は1,045
ユニットであり、比活性は122ユニット/mgであった。
【0052】DEAE-セファセル樹脂により分画されたト
ランスグルタミナーゼ活性画分を、次に透析チューブに
入れ、2mM EDTA, 0.5mM ジチオスレイトールを含む20mM
酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.25)に一晩透析した。その
後、本標品を、同緩衝液にて平衡化したCM-セファロー
ス充填カラム(ファルマシア製 φ1.6cm X 10cm)に通
液したところ、トランスグルタミナーゼは本カラムに吸
着した。そこで、NaClの塩濃度勾配により本カラムから
酵素の溶出を試みたところ、NaCl濃度約200mMで、トラ
ンスグルタミナーゼ活性画分が溶出され、それを取得し
(約35ml)、これをCM画分とした。
【0053】本活性画分の蛋白質濃度は約20μg/mlであ
った。また、トランスグルタミナーゼ全活性は約530.6
ユニットであり、比活性は758ユニット/mg蛋白質であ
った。
【0054】CMーセファロース樹脂により分画されたト
ランスグルタミナーゼ活性画分を、再び、透析チューブ
に入れ、50mM NaCl, 2mM EDTA, 0.5mM ジチオスレイト
ールを含む20mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.45)に対し
て、一晩透析し、トランスグルタミナーゼ溶液の塩濃度
を下げた。これを同緩衝液にて平衡化したヘパリンーセ
ファロース充填カラム(ファルマシア製 Hi-Trapアフィ
ニティーカラム 容量1ml)に通液したところ、トランス
グルタミナーゼは同樹脂に吸着された。NaClの塩濃度勾
配をかけることにより、トランスグルタミナーゼはヘパ
リンカラムより、NaCl濃度約200mMで溶出し、これを取
得した(約12.5ml)。これをヘパリン画分とした。
【0055】本活性画分の蛋白質濃度は約32μg/mlであ
った。また、トランスグルタミナーゼ全活性は約290.5
ユニットであり、比活性は807ユニット/mg蛋白質であ
った。
【0056】本ヘパリン画分を、SDS-ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動にかけ、電気泳動後、ゲルをクマシーブ
リリアントブルーにて染色を行ったところ、分子量約7
7,000の位置にのみ染色される単一バンドを確認でき
た。ここに、マダイ肝臓由来のトランスグルタミナーゼ
を精製し、取得することができた。得られたマダイトラ
ンスグルタミナーゼの精製溶液の比活性は、粗抽出液の
約195倍であり、回収率は約14%であった。なお、表3
に精製の結果を示した。
【0057】
【表3】
【0058】次に、得られたトランスグルタミナーゼの
酵素特性について検討した。
【0059】a)反応至適温度 基質としてジメチル化カゼインとモノダンシルカダベリ
ンを用い、反応溶液pH7.5の酵素反応条件下で、20分間
の酵素反応における酵素反応至適温度は、約50℃であっ
た(図8)。
【0060】b)反応至適pH 基質として、ジメチル化カゼインとモノダンシルカダベ
リンを用い、反応温度37℃の酵素反応条件下で、30分間
の酵素反応における反応至適pHは9から9.5であった(図
9)。
【0061】c)温度安定性 精製トランスグルタミナーゼをpH6.45で、10から50℃の
各温度で10分処理を行った後に、基質としてジメチル化
カゼインとモノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の
反応を行った。その結果、10から30℃の範囲でトランス
グルタミナーゼは安定であった。また、50℃で処理を行
った後でも約30%活性が残存していた(図10)。
【0062】d)pH安定性 精製トランスグルタミナーゼを25℃で、pH4.5から10の
各pHで30分処理を行った後に、基質としてジメチル化カ
ゼインとモノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の反
応を行った。その結果pH6.0から9.0の範囲でトランスグ
ルタミナーゼは安定であった(図11)。
【0063】e)種々の酵素活性阻害剤及び金属イオンの
酵素活性に及ぼす影響 精製トランスグルタミナーゼ溶液に、各酵素阻害剤ある
いは各金属イオンを1mMとなるように添加し、25℃にて1
0分間処理を施した後、反応基質としてジメチル化カゼ
インを用いて37℃、30分間の酵素反応を行った。その結
果を表-4に示したが、フェニルメチルサルフォンフルオ
ライドのトランスグルタミナーゼ活性に及ぼす阻害効果
は比較的小さいものの、モノヨード酢酸やN-メチルマレ
イミド、パラクロロマーキュリー安息香酸では阻害効果
が大きかった。一方、金属イオンではマグネシウムイオ
ンには阻害活性は認められないものの、銅イオンや亜鉛
イオンでは、処理後の残存酵素活性は約17%、30%とな
り、阻害効果が認められた。
【0064】
【表4】
【0065】f)マダイ肝臓由来トランスグルタミナーゼ
の部分アミノ酸配列 精製したトランスグルタミナーゼ約100μgを含むヘパリ
ン画分約4mlを透析チューブに入れ、0.1mM EDTA, 0.01m
M ジチオスレイトールを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH
8.3)に対して、13時間透析をした後、続いて、0.001mM
EDTA を含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)に再度、透析
し、トランスグルタミナーゼ酵素標品中のアルカリ金属
イオンを除去した。これに尿素480mgを添加し37℃で30
分間処理した後、リシルエンドペプチダーゼ(和光純薬
工業)7.5μg(0.02ユニット(アミダーゼ活性))を添
加し、更に37℃で12時間酵素処理を施して、トランスグ
ルタミナーゼをペプチド断片化した。処理後、反応溶液
に10%濃度のTFA(トリフルオロ酢酸)溶液を40μl添加
し(終濃度0.1%)、撹拌した。
【0066】次に、本反応液を、逆相HPLC(Vydac製C4
カラム、φ4.6mm X 250mm)に供し、溶媒は0.1%TFAと
して、アセトニトリルの濃度勾配による溶出条件下に
て、各ペプチド断片を分離し、取得した。
【0067】取得したペプチド断片を、プロテインシー
ケンサー(アプライドバイオシステムズ製 470A)に供
し、それらのアミノ酸配列をシークエンス分析機(アプ
ライドバイオシステム製 120A)にて分析したところ、
次の配列が得られた。即ち、His-His-Leu-Glu-Leu-Val-
Leu-Xaa-Leu-Gly, Xaa-Xaa-Phe-Asn-Gln-Gln-Gly-Ala-G
ln-Asp-Glu-Ile-Leu-Leu-Thr-Leu-His, Ile-Ser-Phe-Hi
s-Met-Leu-Phe-Asn-Pro, Leu-Gln-Glu-Tyr-Val-Met-Asn
-Glu-Asp-Gly-Val-Ile-Tyr-Met-Gly-Thr, Asn-Ser-Glu-
Met-Asp-Ile-Glu-His-Arg-Ser-Asp-Pro-Val-Tyr-Val-Gl
y-Arg-Thr, Tyr-Asp-Ala-Pro-Phe-Val-Phe-Ala-Glu-Val
-Asn-Ala-Asp-Thr-Ile-Tyr, Ser-Val-Tyr-Gly-Asn-His-
Arg-Glu-Asp-Val-Thr-Leu-His-Tyr, Ala-Gly-Arg-Arg-V
al-Thr-Glu-Pro-Ser-Asn-Glu-Ile-Ala-Glu-Gln-Gly-Arg
-Leu, Xaa-Ala-Gln-Pro-Val-Phe-Gly-Thr-Asp-Phe-Asp-
Val-Ile-Val-Glu, Asn-Glu-Gly-Gly-Arg-Asp-Ala-His-A
la-Gln-Leu-Thr-Xaa-Leu-Ala-Xaa-Ala, Thr-Ile-Ser-Va
l-Thr-Val-Pro-Ala-His, Ala-Val-Val-Xaa-Glu-Pro-Leu
-Thr-Ala, Gly-Gly-Val-Phe-Thr-Leu-Glu-gly-Ala-Gly-
Leu-Leu-Ser-Ala-Thr-Gln-Ile-His, Leu-Ser-Phe-Ser-P
ro-Met-Arg-Thr-Gly-Val-Arg, Leu-Leu-Val-Asp-Phe-As
p-Ser-Asp-Arg-Leu, Gly-Val-Thr-Thr-Val-Val-Val-Hi
s, Tyr-Arg-Ser-Leu-Ile-Thr-Gly-Leu-His-Thr-Asp で
あった。但し、Xaaは未同定アミノ酸残基を表す。
【0068】実施例4 蛋白質のゲル化 (1)分離状大豆蛋白質「アジプロンSU」(商品名、味の
素(株)製)を試験管にとり、12重量%の溶液となるよ
うに、10mM塩化カルシウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.5)を加え、充分に溶解させた後、実施例3で調製
した精製トランスグルタミナーゼを大豆蛋白質1mgあた
り、0.03ユニット加え、よく撹拌し、これを25℃にて24
時間反応させた。
【0069】蛋白質がゲル化したかどうかの判定は、反
応物入りの試験管を倒置し、内容物が滑り落ちてくるか
否かにて判定した。その結果、トランスグルタミナーゼ
を添加しなかったものでは、当然ながら内容物は流れ落
ちたが、本トランスグルタミナーゼの添加反応物ではゲ
ル化が認められた。
【0070】(2)スケトウダラ冷凍すり身から、高士ら
の方法 [高士ら、日本水産学会誌、36(2)、169〜172、1
970年] に従いアクトミオシンを調製した。即ち、スケ
トウダラ冷凍すり身 25g に3倍容量の 0.45M塩化カリウ
ムを含むリン酸緩衝液(pH7.5)を加え、2℃で3時間の塩
溶蛋白質の抽出を行った。その後、その溶液を10,000rp
mで30分間遠心分離し、不溶性蛋白質等を除去した。次
にこの上清部分を冷水に加え、希釈沈澱させた後、続い
て0.3M塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.5)溶液に対して透析した。再びこの透析液を20,000
g、1時間の遠心分離操作にかけ、その上清をアクトミオ
シン溶液とした。なお、この溶液の蛋白質濃度は0.4重
量%であった。
【0071】本アクトミオシン溶液に対して、塩化カル
シウムを終濃度5mMとなるように加え、そこへトランス
グルタミナーゼの粗抽出液(蛋白質1mgあたり4.1ユニッ
トを示す)を基質蛋白質1mg当り0.85ユニット加え、よ
く撹拌した後、25℃で2時間反応させた。
【0072】その結果、トランスグルタミナーゼを添加
しなかったアクトミオシン溶液は、溶液のままであった
が、トランスグルタミナーゼ粗抽出液を添加したもので
は、ゲル化が認められた。また、塩化カルシウムを添加
せずに、トランスグルタミナーゼを加えてもゲル化は認
められなかった。これらのことは、従来、無駄に廃棄さ
れていた魚類の臓器をすりつぶし、その粗抽出液を適当
な濃度のカルシウムイオンの存在下に、種々の蛋白質溶
液に作用させる事で、蛋白質のゲル化を可能にすること
をを示している。
【0073】
【発明の効果】従来は食用である筋肉の採取後、無駄に
廃棄されていた魚類の臓器、特に肝臓中に新規なトラン
スグルタミナーゼを見いだし、取得することができた。
本酵素の供給源となる材料は、上記のごとく安価であ
り、また大量調製可能であるばかりか人類の食生活史の
なかで馴親しんでいるものであり、食品利用への受け入
れ易さという観点からも他の酵素類に対して優位に立つ
ものである。また、本発明にて、本酵素の含有組成物と
しての肝臓粗抽出液を用いることで、蛋白質ゲル化物の
製造が可能であることも見いだし、そのゲル化物の取得
に成功した。以上のトランスグルタミナーゼ含有組成物
は、主に産業上、食品加工産業に有効に利用できるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 1回目Q-セファロースカラムでのスケソウダ
ラTGaseの精製 ○-○, TGase活性 ●-●, 280nmの吸光値 点線, NaCl濃度
【図2】 2回目Q-セファロースカラムでのスケソウダ
ラTGaseの精製 ○-○, TGase活性 ●-●, 280nmの吸光値 点線, NaCl濃度
【図3】 S-セファロースカラムでのスケソウダラTGas
eの精製 ○-○, TGase活性 ●-●, 280nmの吸光値 点線, NaCl濃度
【図4】 スケソウダラTGaseの反応至適温度
【図5】 スケソウダラTGaseの反応至適pH
【図6】 スケソウダラTGaseの温度安定性
【図7】 スケソウダラTGaseのpH安定性
【図8】 マダイTGaseの反応至適温度
【図9】 マダイTGaseの反応至適pH
【図10】マダイTGaseの温度安定性
【図11】マダイTGaseのpH安定性
【配列表】
配列番号: 1 配列の長さ: 7 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓 配列番号: 2 配列の長さ: 7 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓 配列番号: 3 配列の長さ: 7 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓 配列番号: 4 配列の長さ: 8 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓 配列番号: 5 配列の長さ: 13 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓 配列 Phe Asp Val Pro Phe Val Phe Ala Glu Val Asn Ala Asp 1 5 10 配列番号: 6 配列の長さ: 6 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓 配列番号: 7 配列の長さ: 10 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列番号: 8 配列の長さ: 17 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Xaa Xaa Phe Asn Gln Gln Gly Ala Gln Asp Glu Ile Leu Leu Thr Leu 1 5 10 15 His 配列番号: 9 配列の長さ: 9 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列番号: 10 配列の長さ: 16 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Leu Gln Glu Tyr Val Met Asn Glu Asp Gly Val Ile Tyr Met Gly Thr 1 5 10 15 配列番号: 11 配列の長さ: 18 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Asn Ser Glu Met Asp Ile Glu His Arg Ser Asp Pro Val Tyr Val Gly 1 5 10 15 Arg Thr 配列番号: 12 配列の長さ: 16 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Tyr Asp Ala Pro Phe Val Phe Ala Glu Val Asn Ala Asp Thr Ile Tyr 1 5 10 15 配列番号: 13 配列の長さ: 14 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Ser Val Tyr Gly Asn His Arg Glu Asp Val Thr Leu His Tyr 1 5 10 配列番号: 14 配列の長さ: 18 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Ala Gly Arg Arg Val Thr Glu Pro Ser Asn Glu Ile Ala Glu Gln Gly 1 5 10 15 Arg Leu 配列番号:15 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメントの型:中間部フラグメント 起源 生物名:Pagrus major 組織の種類:肝臓 配列 Xaa Ala Gln Pro Val Phe Gly Thr Asp Phe Asp Val Ile Val Glu 1 5 10 15 配列番号: 16 配列の長さ: 17 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Asn Glu Gly Gly Arg Asp Ala His Ala Gln Leu Thr Xaa Leu Ala Xaa 1 5 10 15 Ala 配列番号: 17 配列の長さ: 9 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列番号: 18 配列の長さ: 9 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列番号: 19 配列の長さ: 18 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Gly Gly Val Phe Thr Leu Glu gly Ala Gly Leu Leu Ser Ala Thr Gln 1 5 10 15 Ile His 配列番号: 20 配列の長さ: 11 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列番号: 21 配列の長さ: 10 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列番号: 22 配列の長さ: 8 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列番号: 23 配列の長さ: 11 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なトランスグルタ
ミナーゼと、それを用いた蛋白質ゲル化物の製造法に関
する。
【0002】トランスグルタミナーゼは、蛋白質中のグ
ルタミン残基のγ-カルボキシアミド基と、各種1級ア
ミンとの間のアシル転移反応を触媒する酵素である。
【0003】蛋白質中のリジン残基のε-アミノ基がア
シル受容体となる場合には、蛋白質分子内及び分子間中
にε-(γ-Glu)Lys結合を形成し、これにより蛋白質の
架橋高分子化が起こる。また、水がアシル受容体となる
場合にはグルタミン残基が脱アミド化され、グルタミン
酸残基となる。
【0004】このトランスグルタミナーゼは、蒲鉾、ゼ
リー、ヨーグルトなどのゲル状食品や蛋白質薄膜の製造
に用いられる。
【0005】本発明に係るゲル化物は、未加熱で製造で
き、熱に安定なゲルであるため、マイクロカプセルの素
材、固定化酵素等の担体等としても広範囲に用いること
ができるものである。
【0006】
【従来の技術】トランスグルタミナーゼはこれまで動物
由来、植物由来、微生物由来のものが報告されている。
動物由来のものでは、モルモット肝臓由来のもの[Conn
ellan,et al.,Journal of Biological Chemistry,246
(4),1093 〜1098(1971)]、哺乳動物の臓器、血液に広
く分布しているもの[Folk et al.,Advances in Enzymo
logy,38,109〜191(1973)及びFolk et al.,Advances in
Protein Chemistry,31,1〜133(1977)]を挙げることが
できる。
【0007】また、植物由来のものでは、えんどう豆由
来のもの[Isaac Icekson et al.,Plant Physiology,8
4,972〜974(1987)]を挙げることができる。
【0008】また、微生物由来のものでは、放線菌スト
レプトベルチシリウム属由来のもの[Ando et al.,Agri
cultural and Biological Chemistry,53(10),2613〜261
7 (1989)]が挙げられ、本酵素を用いた蛋白質のゲル化
物の製造法についても報告されている[特開平1-27471
号公報]。
【0009】一方、魚類においても、その筋肉や臓器に
おいてトランスグルタミナーゼ活性が検出されており、
酵素の存在を示唆する報告がある[岸ら,Nippon Suisan
Gakkaishi,57(6),1203〜1210(1991)及び中島ら,平成4
年度日本水産学会春季大会講演要旨集274頁]。しかし
ながら、いまだ単離、精製はされてはおらず精製酵素の
諸性質に関しても全く明らかにはなっていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように動物由
来、植物由来、そして微生物由来のトランスグルタミナ
ーゼの存在は報告されてはいる。しかし、ほ乳動物や植
物由来のトランスグルタミナーゼを、産業的に利用して
いくことは、その酵素の供給源量の問題や酵素標品の調
製過程が大変複雑になるという面で、極めて困難である
と言わざるを得ないのが現状である。
【0011】一方、微生物由来のトランスグルタミナー
ゼの発見により、該酵素の大量供給は可能となったが、
利用する酵素をトランスグルタミナーゼ生産菌の培養液
中より抽出、分離精製しなければならず、また、酵素の
安定供給のためにはポリペプトンやラスターゲンのよう
な高価な培地成分を用いる必要がある。
【0012】従って、本発明の課題は、安価に大量調製
でき、しかも歴史的に永年、人類が食してきた食物に由
来する新規トランスグルタミナーゼの探索と、それを用
いた蛋白質ゲル化物の製造法の開発である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する為に鋭意検討した結果、スケトウダラ及びマ
ダイの肝臓にペプチド鎖内のグルタミン残基のγ-カル
ボキシアミド基と、各種1級アミンとの間のアシル転移
反応を触媒する新規なトランスグルタミナーゼを発見
し、この酵素あるいは、本酵素を含有する肝臓粗抽出液
を用いることにより蛋白質濃度0.1重量%以上の蛋白質
含有液またはスラリーをゲル化させて蛋白質ゲル化物の
製造に成功し本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、魚類肝臓由来の高い
活性を有する新規トランスグルタミナーゼと、その酵素
あるいは、本酵素を含有する肝臓粗抽出液により蛋白質
濃度0.1重量%以上の蛋白質含有液またはスラリーをゲ
ル化させることを特徴とする蛋白質ゲル化物の製造法で
ある。
【0015】スケトウダラは、太平洋北部、日本海、オ
ホーツク海に分布する寒帯産の低棲魚であり、日本の伝
統的食品である蒲鉾など水産ねり製品の主原料魚として
年間およそ100万トンが水揚げされている。
【0016】一方、マダイは北海道北部を除く日本近海
に広く分布する暖海産の魚であり、天然、養殖あわせて
年間およそ7万tが水揚げされている。
【0017】しかしながら、スケトウダラ、マダイとも
その内臓はほとんどすべて廃棄されている現状であり、
本発明に用いる肝臓は、そのような廃棄物を利用するた
め原料は安価であり、可食であるため高度に精製する必
要もない。
【0018】魚類肝臓由来トランスグルタミナーゼは、
肝臓をホモジナイズし、遠心分離によって得られる上清
(粗抽出液)に存在する。粗抽出液からのトランスグル
タミナーゼの精製は、通常用いられるあらゆる手段を適
応できる。また、精製法を適当に組み合わせることで、
収率、精製度を向上させることができる。得られたトラ
ンスグルタミナーゼの粗抽出液あるいは精製物は、室
温、好ましくは冷蔵で長期に安定であり、減圧乾燥、凍
結乾燥によって粉体としても得ることができる。
【0019】トランスグルタミナーゼの活性は、ジメチ
ル化カゼインとモノダンシルカダベリンを基質として反
応を行い、取り込まれたモノダンシルカダベリンの量を
蛍光強度を測定することにより求めた。反応組成液を以
下に記載した。 〈反応組成液〉 1.0mg/ml ジメチル化カゼイン 0.015mM モノダンシルカダベリン 3.0mM ジチオスレイトール 50mM トリス塩酸緩衝液(pH7.5) 10mM 塩化カルシウム
【0020】上記反応組成液2.4mlにトランスグルタミ
ナーゼ溶液20から150μl加え、37℃、30分の反応を行っ
た後、500mM EDTAを100μl加えて反応を停止させ、蛍光
強度を測定した(励起波長350nm、蛍光波長480nm)。活
性の単位は、1分間に1nmolのモノダンシルカダベリンが
取り込まれる酵素活性を1ユニットとした。
【0021】次にトランスグルタミナーゼを用いた蛋白
質ゲル化物の製造法について述べる。蛋白質は、反応に
必要なリジン残基及びグルタミン残基を有しており、酵
素の触媒を受けるものであれば、その起源性状に制約さ
れるものではなく、植物性蛋白質、動物性蛋白質などい
かなるものでも使用できる。具体的には大豆蛋白質、乳
蛋白質、畜肉蛋白質、魚肉蛋白質を例示することができ
る。
【0022】これら蛋白質の0.1重量%、好ましくは5.0
重量%以上の液体またはスラリーであれば、トランスグ
ルタミナーゼの添加により高粘性物あるいは、ゲル化物
が得られる。
【0023】添加するトランスグルタミナーゼは、粗抽
出液及び適宜精製したもののいずれでもよく、蛋白質1m
gに対して0.001〜2,000ユニット添加、好ましくは0.01
〜20ユニット添加し、反応溶液のpHは6〜10、好ましく
は8〜9に調製し、10〜60℃、好ましくは20〜40℃で1分
〜24時間、好ましくは30分〜6時間インキュベートする
と高粘性物あるいは、ゲル化物を得ることができる。
【0024】
【実施例】本発明を実施例にてさらに詳細に説明する。
【0025】実施例1 スケトウダラ肝臓からのトラン
スグルタミナーゼの精製 スケトウダラ肝臓15gに10mM NaCl, 5mM EDTA, 2mM ジチ
オスレイトールを含む20mM トリス塩酸緩衝液(pH8.3)
30mlを加え、ホモジナイザーにより破砕した。この破砕
液を4℃において3,000rpm、10分の遠心分離(日立製 Hi
mac CR 20B2、ローター RPR20-2)を行った。次いで上
清をさらに4℃において37,000rpm、1時間遠心分離(日
立製 70P-72、ローター RP-70T)を行い、上清を0.45μ
mのフィルター(GL サイエンス製 GLクロマトディス
ク)にかけ粗抽出液24mlを得た。
【0026】本溶液の蛋白質濃度を、BioRad社製のプロ
テイアッセイキットにて測定したところ、約8.6mg/mlで
あった。また、本粗抽出液の5μlを用いてトランスグル
タミナーゼ活性を調べたところ、全活性849ユニットで
あり、従って、比活性は4.10ユニト/mg蛋白質であっ
た。
【0027】尚、上記操作と同様な方法によりスケトウ
ダラ筋肉から得た粗抽出液の比活性は、0.012ユニット/
mg蛋白質であり、肝臓に比較して非常に低い活性であっ
た。
【0028】次に粗抽出液を同緩衝液で平衡化したQ-セ
ファロース充填カラム(ファルマシア製 φ1.6cm x 10c
m)に通液したところ、トランスグルタミナーゼは吸着
された。NaCl濃度勾配によりトランスグルタミナーゼの
溶出を試みたところ、NaCl濃度約100mMで溶出された
(図1)。得られたトランスグルタミナーゼ活性画分
(10ml)を同緩衝液に一晩透析し、再度Q-セファロース
充填カラムに通液し、同一条件で溶出させトランスグル
タミナーゼ活性画分(9.5ml)を得た(図2)。
【0029】本活性画分の蛋白質濃度は約0.73mg/mlで
あった。またトランスグルタミナーゼの全活性は249ユ
ニットであり、比活性は36.1ユニット/mg蛋白質であっ
た。
【0030】次に得られた活性画分を50mM NaCl, 2mM E
DTA, 0.5mM ジチオスレイトールを含む酢酸ナトリウム
(pH6.45)に一晩透析し、同緩衝液で平衡化したS-セフ
ァロース充填カラム(ファルマシア製 φ1.6cm x 10c
m)に通液したところ、トランスグルタミナーゼは吸着
された。NaCl濃度勾配によりトランスグルタミナーゼ
は、NaCl濃度約200mMで溶出(6.0ml)した(図3)。
【0031】本活性画分の蛋白質濃度は約56μg/mlであ
った。また、トランスグルタミナーゼ全活性は201ユニ
ットであり、比活性は591.2ユニット/mg蛋白質であっ
た。
【0032】この画分中には、下に記したように電気泳
動上に分子量約77,000の単一バンドを示す蛋白質のみが
存在し、ここにスケトウダラ肝臓由来のトランスグルタ
ミナーゼを精製し、取得した。得られた精製溶液の比活
性は、粗抽出液の143倍であり、回収率は23.7%であっ
た。表1に精製の結果を示した。次に得られた精製トラ
ンスグルタミナーゼの特性を検討した。
【0033】
【表1】
【0034】a)電気泳動分析 精製トランスグルタミナーゼを30μlとり、同量の10%
メルカプトエタノール,4%SDS,20%グリセリン,0.002%
ブロムフェノールブルーを含む0.125Mトリス塩酸緩衝液
(pH6.8)を加え、沸騰浴中で1分加熱し、泳動試料とし
た。泳動試料40μlをアトー(株)製5-20%ポリアクリ
ルアミド既成ゲルに供し、0.1%SDSを含む0.025Mトリス
グリシン緩衝液で40mA、約2時間泳動を行った。泳動終
了後50%メタノール,7%酢酸を含む0.12%コマジーブリ
リアントブルー溶液で一晩染色し、50%メタノールを含
む7%酢酸溶液にて脱色を行った。その結果、分子量約7
7,000の位置に単一バンドを得た。
【0035】b)反応至適温度 基質としてジメチル化カゼインとモノダンシルカダベリ
ンを用いた場合、pH7.5、20分の反応条件で反応の至適
温度は、50℃付近であった(図4)。
【0036】c)反応至適pH 基質としてジメチル化カゼインとモノダンシルカダベリ
ンを用いた場合、37℃、30分の反応条件で反応の至適pH
は、9付近であった(図5)。
【0037】d)温度安定性 精製トランスグルタミナーゼをpH6.45で、10から60℃の
各温度で10分処理を行った後に、基質としてジメチル化
カゼインとモノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の
反応を行った。その結果、10から30℃の範囲でトランス
グルタミナーゼは安定であった(図6)。
【0038】e)pH安定性 精製トランスグルタミナーゼを25℃で、pH4から10の各p
Hで30分処理を行った後に、基質としてジメチル化カゼ
インとモノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の反応
を行った。その結果、pH6.5から8.0の範囲でトランスグ
ルタミナーゼは安定であった(図7)。
【0039】f)阻害剤及び金属イオンの活性に及ぼす
影響 精製トランスグルタミナーゼに各酵素阻害剤、各金属イ
オンを終濃度で1mMとなるように添加し、25℃、10分の
処理を行った後に、基質としてジメチル化カゼインとモ
ノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の反応を行っ
た。その結果を表2に示した。フェニルメチルサルフォ
ンフルオライドでは、そのトランスグルタミナーゼ活性
に及ぼす阻害効果は小さいものの、モノヨード酢酸、N-
メチルマレイミド、パラクロロマーキュリー安息香酸で
は、阻害効果は大きかった。また、金属イオンでは、Mg
2+では活性阻害は認められないものの、Cu2+、Zn2+
は、30数%まで活性は阻害された。
【0040】
【表2】
【0041】g)スケトウダラ肝臓由来トランスグルタ
ミナーゼの部分アミノ酸配列 精製したトランスグルタミナーゼ約80μgを含むS-セフ
ァロース画分約4mlを透析チューブに入れ、0.001mM EDT
Aを含む5mM トリス塩酸緩衝液(pH8.3)に対して、6時
間透析をした後、再度同溶液に12時間透析し、トランス
グルタミナーゼ酵素標品中のアルカリ金属イオンを除去
した。これを遠心濃縮により乾固させ、蒸留水0.8mlを
加え、37℃、30分攪拌し、再溶解させた。これにトリプ
シン(シグマ製 11,700ユニット/mg)を16μg添加し、3
7℃で12時間反応させ、ペプチド断片へと分解した。反
応はギ酸を1滴滴下し終了した。
【0042】次に、本反応液を逆相HPLC(Inertsil Pre
p-ODS φ6.0mm x 250mm GLサイエンス製)に供し、溶媒
は0.05% TFA(トリフルオロ酢酸)として、アセトニト
リルの濃度勾配による溶出条件下にて、各ペプチド断片
を分離し、取得した。
【0043】取得したペプチド断片をプロテインシーク
エンサー(MilliGen Biosearch製 6400/6600)に供し、
それらのアミノ酸配列を分析したところ、次の6つの配
列が得られた。すなわち、Xaa-Ala-Gly-Gly-Ser-Gly-As
p、Trp-Trp-Leu-His-Gln-Gln-Ser、Met-Tyr-Leu-Leu-Ph
e-Asn-Pro、Trp-Gln-Glu-Pro-Tyr-Thr-Gly-Gly、Phe-As
p-Val-Pro-Phe-Val-Phe-Ala-Glu-Val-Asn-Ala-Asp、Ser
-Xaa-Tyr-Ser-Asn-Gluであった。但し、Xaaは未同定ア
ミノ酸残基を表す。
【0044】実施例2 蛋白質のゲル化 (1)分離状大豆蛋白質「アジプロンSU」(商品名、味の
素(株)製)を12重量%の溶液となるように10mM 塩化
カルシウムを含む20mM トリス塩酸緩衝液(pH8.5)を加
え、完全に溶解した後、精製したトランスグルタミナー
ゼを蛋白質1mgあたり0.03ユニット加え良く攪はんし、2
5℃、24時間反応させた。
【0045】ゲル化の判定は、試験管倒置により判定し
たが、その結果、トランスグルタミナーゼを添加しなか
ったものでは、溶液状態のままであったが、トランスグ
ルタミナーゼを添加したものでは、ゲル化が認められ
た。
【0046】(2)スケトウダラ冷凍すり身から、高士ら
の方法[高士ら,Nippon Suisan Gakkaishi,36(2),169〜
172(1970)]に従いアクトミオシンを調製した。すなわ
ち、スケトウダラ冷凍すり身25gに3倍量の0.45M KClを
含むリン酸緩衝液(pH7.5)を加え、2℃で3時間抽出を
行い、希釈沈澱後、0.3M NaClを含む20mMトリス塩酸緩
衝液(pH7.5)溶液に透析し、20,000g、1時間の遠心分
離を行った上清をアクトミオシンとした。蛋白質濃度
は、0.4重量%であった。このアクトミオシン溶液に5mM
となるように塩化カルシウムを加え、トランスグルタミ
ナーゼの粗抽出液(蛋白質1mg当たり4.1ユニットを示
す)を蛋白質1mgあたり0.85ユニット加え良く攪はん
し、25℃、2時間反応させた。
【0047】その結果、トランスグルタミナーゼを添加
しなかったものでは、溶液状態のままであったが、トラ
ンスグルタミナーゼを添加したものでは、ゲル化が認め
られた。また、塩化カルシウムを添加せずにトランスグ
ルタミナーゼを添加してもゲル化は認められなかった。
【0048】実施例3 マダイ肝臓からのトランスグル
タミナーゼの精製 マダイ肝臓20g に 10mM NaCl, 5mM EDTA, 2mM ジチオス
レイトールを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3) 46ml
を加え、ホモジナイザーにより破砕した。この破砕液を
遠心チューブに入れ、4℃にて50,000rpm、45分の遠
心分離(日立製70P-72 ローター RP-65T)を行い、この
上清液部分を0.45μmのフィルター(アドバンテック DI
SMIC-25 ディスポーザブルシリンジフィルターユニッ
ト)に通し、不溶性高分子を除去した。その結果、赤く
着色した抽出液30mlを得た。次に、本抽出液に氷冷した
5mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)をほぼ等量(30ml)加え、溶
液のイオン強度を下げ、これをマダイ肝臓の粗抽出液
(60ml)とした。
【0049】本溶液の蛋白質濃度を、BioRad社製のプロ
テインアッセイキットにて測定したところ、約8.4mg/ml
であった。また、本粗抽出液の5μlを用いてトランスグ
ルタミナーゼ活性を調べたところ、総活性2,088ユニッ
トであり、従って、比活性は4.14ユニット/mg蛋白質で
あった。
【0050】続いて、本粗抽出液を 5mM NaCl, 2.5mM E
DTA 0.5mM ジチオスレイトールを含む10mMトリス塩酸緩
衝液(pH8.3)で平衡化したDEAE-セファセル充填カラム
(ファルマシア製 φ2.6cm X 11cm)に通液したところ、
トランスグルタミナーゼは本イオン交換体に吸着される
ことがわかった。そこで、NaClの塩濃度勾配による本カ
ラムからの溶出を試みたところ、NaCl濃度約100mMで、
トランスグルタミナーゼ活性を有する画分が溶出でき、
これをDEAE画分とした(約59ml)。
【0051】本活性画分の蛋白質濃度は約145μg/mlで
あった。またトランスグルタミナーゼの全活性は1,045
ユニットであり、比活性は122ユニット/mgであった。
【0052】DEAE-セファセル樹脂により分画されたト
ランスグルタミナーゼ活性画分を、次に透析チューブに
入れ、2mM EDTA, 0.5mM ジチオスレイトールを含む20mM
酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.25)に一晩透析した。その
後、本標品を、同緩衝液にて平衡化したCM-セファロー
ス充填カラム(ファルマシア製 φ1.6cm X 10cm)に通
液したところ、トランスグルタミナーゼは本カラムに吸
着した。そこで、NaClの塩濃度勾配により本カラムから
酵素の溶出を試みたところ、NaCl濃度約200mMで、トラ
ンスグルタミナーゼ活性画分が溶出され、それを取得し
(約35ml)、これをCM画分とした。
【0053】本活性画分の蛋白質濃度は約20μg/mlであ
った。また、トランスグルタミナーゼ全活性は約530.6
ユニットであり、比活性は758ユニット/mg蛋白質であ
った。
【0054】CMーセファロース樹脂により分画されたト
ランスグルタミナーゼ活性画分を、再び、透析チューブ
に入れ、50mM NaCl, 2mM EDTA, 0.5mM ジチオスレイト
ールを含む20mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.45)に対し
て、一晩透析し、トランスグルタミナーゼ溶液の塩濃度
を下げた。これを同緩衝液にて平衡化したヘパリンーセ
ファロース充填カラム(ファルマシア製 Hi-Trapアフィ
ニティーカラム 容量1ml)に通液したところ、トランス
グルタミナーゼは同樹脂に吸着された。NaClの塩濃度勾
配をかけることにより、トランスグルタミナーゼはヘパ
リンカラムより、NaCl濃度約200mMで溶出し、これを取
得した(約12.5ml)。これをヘパリン画分とした。
【0055】本活性画分の蛋白質濃度は約32μg/mlであ
った。また、トランスグルタミナーゼ全活性は約290.5
ユニットであり、比活性は807ユニット/mg蛋白質であ
った。
【0056】本ヘパリン画分を、SDS-ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動にかけ、電気泳動後、ゲルをクマシーブ
リリアントブルーにて染色を行ったところ、分子量約7
7,000の位置にのみ染色される単一バンドを確認でき
た。ここに、マダイ肝臓由来のトランスグルタミナーゼ
を精製し、取得することができた。得られたマダイトラ
ンスグルタミナーゼの精製溶液の比活性は、粗抽出液の
約195倍であり、回収率は約14%であった。なお、表3
に精製の結果を示した。
【0057】
【表3】
【0058】次に、得られたトランスグルタミナーゼの
酵素特性について検討した。
【0059】a)反応至適温度 基質としてジメチル化カゼインとモノダンシルカダベリ
ンを用い、反応溶液pH7.5の酵素反応条件下で、20分間
の酵素反応における酵素反応至適温度は、約50℃であっ
た(図8)。
【0060】b)反応至適pH 基質として、ジメチル化カゼインとモノダンシルカダベ
リンを用い、反応温度37℃の酵素反応条件下で、30分間
の酵素反応における反応至適pHは9から9.5であった(図
9)。
【0061】c)温度安定性 精製トランスグルタミナーゼをpH6.45で、10から50℃の
各温度で10分処理を行った後に、基質としてジメチル化
カゼインとモノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の
反応を行った。その結果、10から30℃の範囲でトランス
グルタミナーゼは安定であった。また、50℃で処理を行
った後でも約30%活性が残存していた(図10)。
【0062】d)pH安定性 精製トランスグルタミナーゼを25℃で、pH4.5から10の
各pHで30分処理を行った後に、基質としてジメチル化カ
ゼインとモノダンシルカダベリンを用い37℃、30分の反
応を行った。その結果pH6.0から9.0の範囲でトランスグ
ルタミナーゼは安定であった(図11)。
【0063】e)種々の酵素活性阻害剤及び金属イオンの
酵素活性に及ぼす影響 精製トランスグルタミナーゼ溶液に、各酵素阻害剤ある
いは各金属イオンを1mMとなるように添加し、25℃にて1
0分間処理を施した後、反応基質としてジメチル化カゼ
インを用いて37℃、30分間の酵素反応を行った。その結
果を表-4に示したが、フェニルメチルサルフォンフルオ
ライドのトランスグルタミナーゼ活性に及ぼす阻害効果
は比較的小さいものの、モノヨード酢酸やN-メチルマレ
イミド、パラクロロマーキュリー安息香酸では阻害効果
が大きかった。一方、金属イオンではマグネシウムイオ
ンには阻害活性は認められないものの、銅イオンや亜鉛
イオンでは、処理後の残存酵素活性は約17%、30%とな
り、阻害効果が認められた。
【0064】
【表4】
【0065】f)マダイ肝臓由来トランスグルタミナーゼ
の部分アミノ酸配列 精製したトランスグルタミナーゼ約100μgを含むヘパリ
ン画分約4mlを透析チューブに入れ、0.1mM EDTA, 0.01m
M ジチオスレイトールを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH
8.3)に対して、13時間透析をした後、続いて、0.001mM
EDTA を含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)に再度、透析
し、トランスグルタミナーゼ酵素標品中のアルカリ金属
イオンを除去した。これに尿素480mgを添加し37℃で30
分間処理した後、リシルエンドペプチダーゼ(和光純薬
工業)7.5μg(0.02ユニット(アミダーゼ活性))を添
加し、更に37℃で12時間酵素処理を施して、トランスグ
ルタミナーゼをペプチド断片化した。処理後、反応溶液
に10%濃度のTFA(トリフルオロ酢酸)溶液を40μl添加
し(終濃度0.1%)、撹拌した。
【0066】次に、本反応液を、逆相HPLC(Vydac製C4
カラム、φ4.6mm X 250mm)に供し、溶媒は0.1%TFAと
して、アセトニトリルの濃度勾配による溶出条件下に
て、各ペプチド断片を分離し、取得した。
【0067】取得したペプチド断片を、プロテインシー
ケンサー(アプライドバイオシステムズ製 470A)に供
し、それらのアミノ酸配列をシークエンス分析機(アプ
ライドバイオシステム製 120A)にて分析したところ、
次の配列が得られた。即ち、His-His-Leu-Glu-Leu-Val-
Leu-Xaa-Leu-Gly, Xaa-Xaa-Phe-Asn-Gln-Gln-Gly-Ala-G
ln-Asp-Glu-Ile-Leu-Leu-Thr-Leu-His, Ile-Ser-Phe-Hi
s-Met-Leu-Phe-Asn-Pro, Leu-Gln-Glu-Tyr-Val-Met-Asn
-Glu-Asp-Gly-Val-Ile-Tyr-Met-Gly-Thr, Asn-Ser-Glu-
Met-Asp-Ile-Glu-His-Arg-Ser-Asp-Pro-Val-Tyr-Val-Gl
y-Arg-Thr, Tyr-Asp-Ala-Pro-Phe-Val-Phe-Ala-Glu-Val
-Asn-Ala-Asp-Thr-Ile-Tyr, Ser-Val-Tyr-Gly-Asn-His-
Arg-Glu-Asp-Val-Thr-Leu-His-Tyr, Ala-Gly-Arg-Arg-V
al-Thr-Glu-Pro-Ser-Asn-Glu-Ile-Ala-Glu-Gln-Gly-Arg
-Leu, Xaa-Ala-Gln-Pro-Val-Phe-Gly-Thr-Asp-Phe-Asp-
Val-Ile-Val-Glu, Asn-Glu-Gly-Gly-Arg-Asp-Ala-His-A
la-Gln-Leu-Thr-Xaa-Leu-Ala-Xaa-Ala, Thr-Ile-Ser-Va
l-Thr-Val-Pro-Ala-His, Ala-Val-Val-Xaa-Glu-Pro-Leu
-Thr-Ala, Gly-Gly-Val-Phe-Thr-Leu-Glu-gly-Ala-Gly-
Leu-Leu-Ser-Ala-Thr-Gln-Ile-His, Leu-Ser-Phe-Ser-P
ro-Met-Arg-Thr-Gly-Val-Arg, Leu-Leu-Val-Asp-Phe-As
p-Ser-Asp-Arg-Leu, Gly-Val-Thr-Thr-Val-Val-Val-Hi
s, Tyr-Arg-Ser-Leu-Ile-Thr-Gly-Leu-His-Thr-Asp で
あった。但し、Xaaは未同定アミノ酸残基を表す。
【0068】実施例4 蛋白質のゲル化 (1)分離状大豆蛋白質「アジプロンSU」(商品名、味の
素(株)製)を試験管にとり、12重量%の溶液となるよ
うに、10mM塩化カルシウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.5)を加え、充分に溶解させた後、実施例3で調製
した精製トランスグルタミナーゼを大豆蛋白質1mgあた
り、0.03ユニット加え、よく撹拌し、これを25℃にて24
時間反応させた。
【0069】蛋白質がゲル化したかどうかの判定は、反
応物入りの試験管を倒置し、内容物が滑り落ちてくるか
否かにて判定した。その結果、トランスグルタミナーゼ
を添加しなかったものでは、当然ながら内容物は流れ落
ちたが、本トランスグルタミナーゼの添加反応物ではゲ
ル化が認められた。
【0070】(2)スケトウダラ冷凍すり身から、高士ら
の方法 [高士ら、日本水産学会誌、36(2)、169〜172、1
970年] に従いアクトミオシンを調製した。即ち、スケ
トウダラ冷凍すり身 25g に3倍容量の 0.45M塩化カリウ
ムを含むリン酸緩衝液(pH7.5)を加え、2℃で3時間の塩
溶蛋白質の抽出を行った。その後、その溶液を10,000rp
mで30分間遠心分離し、不溶性蛋白質等を除去した。次
にこの上清部分を冷水に加え、希釈沈澱させた後、続い
て0.3M塩化ナトリウムを含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.5)溶液に対して透析した。再びこの透析液を20,000
g、1時間の遠心分離操作にかけ、その上清をアクトミオ
シン溶液とした。なお、この溶液の蛋白質濃度は0.4重
量%であった。
【0071】本アクトミオシン溶液に対して、塩化カル
シウムを終濃度5mMとなるように加え、そこへトランス
グルタミナーゼの粗抽出液(蛋白質1mgあたり4.1ユニッ
トを示す)を基質蛋白質1mg当り0.85ユニット加え、よ
く撹拌した後、25℃で2時間反応させた。
【0072】その結果、トランスグルタミナーゼを添加
しなかったアクトミオシン溶液は、溶液のままであった
が、トランスグルタミナーゼ粗抽出液を添加したもので
は、ゲル化が認められた。また、塩化カルシウムを添加
せずに、トランスグルタミナーゼを加えてもゲル化は認
められなかった。これらのことは、従来、無駄に廃棄さ
れていた魚類の臓器をすりつぶし、その粗抽出液を適当
な濃度のカルシウムイオンの存在下に、種々の蛋白質溶
液に作用させる事で、蛋白質のゲル化を可能にすること
をを示している。
【0073】
【発明の効果】従来は食用である筋肉の採取後、無駄に
廃棄されていた魚類の臓器、特に肝臓中に新規なトラン
スグルタミナーゼを見いだし、取得することができた。
本酵素の供給源となる材料は、上記のごとく安価であ
り、また大量調製可能であるばかりか人類の食生活史の
なかで馴親しんでいるものであり、食品利用への受け入
れ易さという観点からも他の酵素類に対して優位に立つ
ものである。また、本発明にて、本酵素の含有組成物と
しての肝臓粗抽出液を用いることで、蛋白質ゲル化物の
製造が可能であることも見いだし、そのゲル化物の取得
に成功した。以上のトランスグルタミナーゼ含有組成物
は、主に産業上、食品加工産業に有効に利用できるもの
である。
【0074】
【配列表】 配列番号: 1 配列の長さ: 7 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓
【0075】配列番号: 2 配列の長さ: 7 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓
【0076】配列番号: 3 配列の長さ: 7 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓
【0077】配列番号: 4 配列の長さ: 8 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓
【0078】配列番号: 5 配列の長さ: 13 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓 配列 Phe Asp Val Pro Phe Val Phe Ala Glu Val Asn Ala Asp 1 5 10
【0079】配列番号: 6 配列の長さ: 6 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメント型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Teragra chalcogramma 組織の種類: 肝臓
【0080】配列番号: 7 配列の長さ: 10 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
【0081】配列番号: 8 配列の長さ: 17 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Xaa Xaa Phe Asn Gln Gln Gly Ala Gln Asp Glu Ile Leu Leu Thr Leu 1 5 10 15 His
【0082】配列番号: 9 配列の長さ: 9 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
【0083】配列番号: 10 配列の長さ: 16 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Leu Gln Glu Tyr Val Met Asn Glu Asp Gly Val Ile Tyr Met Gly Thr 1 5 10 15
【0084】配列番号: 11 配列の長さ: 18 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Asn Ser Glu Met Asp Ile Glu His Arg Ser Asp Pro Val Tyr Val Gly 1 5 10 15 Arg Thr
【0085】配列番号: 12 配列の長さ: 16 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Tyr Asp Ala Pro Phe Val Phe Ala Glu Val Asn Ala Asp Thr Ile Tyr 1 5 10 15
【0086】配列番号: 13 配列の長さ: 14 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Ser Val Tyr Gly Asn His Arg Glu Asp Val Thr Leu His Tyr 1 5 10
【0087】配列番号: 14 配列の長さ: 18 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Ala Gly Arg Arg Val Thr Glu Pro Ser Asn Glu Ile Ala Glu Gln Gly 1 5 10 15 Arg Leu
【0088】配列番号:15 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメントの型:中間部フラグメント 起源 生物名:Pagrus major 組織の種類:肝臓 配列 Xaa Ala Gln Pro Val Phe Gly Thr Asp Phe Asp Val Ile Val Glu 1 5 10 15
【0089】配列番号: 16 配列の長さ: 17 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Asn Glu Gly Gly Arg Asp Ala His Ala Gln Leu Thr Xaa Leu Ala Xaa 1 5 10 15 Ala
【0090】配列番号: 17 配列の長さ: 9 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
【0091】配列番号: 18 配列の長さ: 9 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
【0092】配列番号: 19 配列の長さ: 18 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓 配列 Gly Gly Val Phe Thr Leu Glu gly Ala Gly Leu Leu Ser Ala Thr Gln 1 5 10 15 Ile His
【0093】配列番号: 20 配列の長さ: 11 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
【0094】配列番号: 21 配列の長さ: 10 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
【0095】配列番号: 22 配列の長さ: 8 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
【0096】配列番号: 23 配列の長さ: 11 配列の型: アミノ酸 トポロジー: 直鎖状 配列の種類: ペプチド フラグメントの型: 中間部フラグメント 起源 生物名: Pagrus major 組織の種類: 肝臓
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 1回目Q-セファロースカラムでのスケソウダ
ラTGaseの精製 ○-○, TGase活性 ●-●, 280nmの吸光値 点線, NaCl濃度
【図2】 2回目Q-セファロースカラムでのスケソウダ
ラTGaseの精製 ○-○, TGase活性 ●-●, 280nmの吸光値 点線, NaCl濃度
【図3】 S-セファロースカラムでのスケソウダラTGas
eの精製 ○-○, TGase活性 ●-●, 280nmの吸光値 点線, NaCl濃度
【図4】 スケソウダラTGaseの反応至適温度
【図5】 スケソウダラTGaseの反応至適pH
【図6】 スケソウダラTGaseの温度安定性
【図7】 スケソウダラTGaseのpH安定性
【図8】 マダイTGaseの反応至適温度
【図9】 マダイTGaseの反応至適pH
【図10】マダイTGaseの温度安定性
【図11】マダイTGaseのpH安定性
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A23J 3/16 A23L 1/0562

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペプチド鎖内のグルタミン残基のγ-カ
    ルボキシアミド基と、各種1級アミンとの間のアシル転
    移反応を触媒する魚類肝臓由来の新規なトランスグルタ
    ミナーゼを蛋白質1mg当たり、0.5ユニット以上含有する
    組成物。
  2. 【請求項2】 新規なトランスグルタミナーゼがスケソ
    ウダラ(学名、Theragra chalcogramma)肝臓由来であ
    る請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 新規なトランスグルタミナーゼがマダイ
    (学名、Pagrus major)肝臓由来である請求項1記載の
    組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の新規なトランスグルタミ
    ナーゼを用いて、濃度0.1重量%以上の蛋白質溶液をゲ
    ル化させることを特徴とする蛋白質ゲル化物の製造法。
JP04334224A 1992-08-19 1992-12-15 魚類肝臓由来新規トランスグルタミナーゼ含有組成物、並びにそれを用いる蛋白質ゲル化物の製造法 Expired - Fee Related JP3122993B2 (ja)

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US6039901A (en) * 1997-01-31 2000-03-21 Givaudan Roure Flavors Corporation Enzymatically protein encapsulating oil particles by complex coacervation
US6325951B1 (en) 1997-01-31 2001-12-04 Givaudan Roure Flavors Corporation Enzymatically protein-encapsulating oil particles by complex coacervation
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