JPH06112748A - 高周波増幅回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 閉ループ制御を行う高周波増幅回路におい
て、信号入力が無い状態から突然信号が入力されたとき
に、出力レベルが過渡応答により過大となることを防止
する。 【構成】 高周波増幅器１、検波器４、演算器５、可変
減衰器２を含む閉ループ制御の高周波増幅回路に、高周
波増幅器の入力信号の有無を検出する検出手段７，８
と、高周波増幅器１の利得と密接な関係のある信号を発
生する手段（ケース温度検出器）１０と、高周波増幅器
の入力信号が無いときに演算器５への入力を検波器４か
ら信号発生手段１０に切り替える手段（スイッチ）９と
を備え、入力信号が無いときの高周波増幅器１の利得を
閉ループ制御時と近い値に制御し、突然信号が入力され
たときの過大出力レベルを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高周波増幅回路に関し、
特にマイクロ通信における周波数多重伝送方式に用いて
好適な高周波増幅回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の高周波増幅回路は、その
出力レベルを一定とするために閉ループ制御を行ってい
る。例えば、図２に示すように、信号入力端１１から入
力される信号を可変減衰器２を通した上で高周波増幅器
１で増幅し、方向性結合器３を通して信号出力端１２か
ら出力させる。そして、この方向性結合器３で増幅され
た出力信号の一部を取り出し、これを検波器４で検波し
て出力レベルに応じた電圧とする。この検出電圧を直流
演算増幅器５において可変抵抗器６によって予め設定さ
れた電圧と比較し、比較結果が可変減衰器２の制御信号
として出力し、信号の減衰量が制御される。結果的とし
て、高周波増幅器１の出力レベルは可変抵抗器６によっ
て設定された電圧に相当するレベルに設定され、一定と
なる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この従来の閉ループに
よる利得制御の高周波増幅器は、信号が定常的に入力さ
れている場合は出力レベルは一定に保たれ、その温度安
定性は検波器４の温度変動を抑えておけば、非常に良好
な特性が得られる特徴がある。しかしながら、入力信号
が無い状態から急激に信号が入ってきた状態を考える
と、過渡的に過大な出力レベルとなるといった問題があ
る。即ち、先ず、信号入力がない状態を考えると、演算
増幅器５は高周波増幅器１の出力レベルを上げようとし
て減衰器２の減衰量を最小にする。この状態で前記した
ように突然の信号入力があった場合には、一時的に過大
な出力レベルになることが判る。その後、演算増幅器５
は可変減衰器２の減衰量を増加させ高周波増幅器１の出
力を一定に保とうとする。

【０００４】以上の過渡応答を図３に示す。符号１３は
図２の回路における出力レベルの過渡応答を示す。これ
から判るように、信号が入力されると瞬間的に過大な出
力レベルＰ２となり、その後一定のレベルＰ０に収束す
るのが判る。したがって、この種の高周波増幅器をマイ
クロ波通信の周波数多重伝送方式に用いると、過渡的に
発生する過大な出力レベルによって隣接した周波数の回
線に妨害を与える結果となる。特に、デジタル通信にお
いては、瞬間といえども隣接回線にエラーを発生させる
ために重大な障害となる。本発明の目的は、出力レベル
が過渡的に過大となることを防止し、周波数多重伝送方
式のマイクロ波通信への妨害発生を未然に防止する高周
波増幅回路を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、高周波増幅
器、検波器、演算器、可変減衰器を含む閉ループ制御の
高周波増幅回路に、高周波増幅器の入力信号の有無を検
出する検出手段と、高周波増幅器の利得と密接な関係の
ある信号を発生する手段と、高周波増幅器の入力信号が
無いときに演算器への入力を検波器から信号発生手段に
切り替える手段とを備え、入力信号が無いときの高周波
増幅器の利得を閉ループ制御時と近い値に制御する。

【０００６】

【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。図１は本発明の一実施例の図である。信号入力端１
１に入力される信号は高周波増幅器１で増幅されて信号
出力端１２から出力されるが、この高周波増幅器１の前
段には方向性結合器７と可変減衰器２が配置され、後段
には方向性結合器３が配置される。前記可変減衰器２は
信号を可変的に減衰し、後段の方向性結合器３は出力信
号の一部を検出し、検波器４で検波することで出力レベ
ルを検出する。

【０００７】この検波器４はスイッチ９の一方の選択接
点に接続される。このスイッチ９の共通接点は直流演算
増幅器５に接続され、他方の選択接点はケース温度検出
器１０に接続される。この直流演算増幅器５の他方の入
力端には可変抵抗器６が接続される。また、ケース温度
検出器１０は高周波増幅器が収納されるケース温度を検
出して検出信号を出力するものである。

【０００８】また、前記した前段の方向性結合器７には
検波器８が接続され、入力信号の一部を方向性結合器７
で検出し、これを検波器８で検波することで入力信号の
有無を判断する。この判断結果は前記スイッチ９に入力
され、スイッチ９を切り替える。即ち、信号入力時はス
イッチ９は検波器４側を選択するようになっており、信
号未入力時はケース温度検出器１０を選択するようにし
てある。

【０００９】この構成によれば、信号入力時は図２の回
路と同じであり、前記したように高周波増幅器１の出力
レベルは閉ループ制御により一定に保たれる。一方、信
号が未入力の状態では、スイッチ９はケース温度検出器
１０を選択しているため、高周波増幅器１の出力レベル
はこのケース温度検出器１０の出力により制御される開
ループ制御になる。一般に、高周波増幅器１の利得はそ
のケース温度により変化し、高温になる程利得が低下す
る傾向がある。

【００１０】したがって、ケース温度検出器１０の出力
電圧特性を高温になる程電圧が低下するように設定すれ
ば、信号未入力時には、このケース温度検出器１０の出
力電圧により直流演算増幅器５が可変減衰器２の減衰量
を制御することで、高周波増幅器１の出力レベルは信号
入力時の閉ループ制御の場合と略同じ一定に保たれる。
これにより、その後に急激に信号が入力され、スイッチ
９が切り替えられて検波器４からの出力による制御が開
始される状態になっても、高周波増幅器１の出力が瞬間
的に過大なレベルとなることはない。

【００１１】図３の符号１４に本発明による出力レベル
制御の様子を示す。ｔ０が信号入力時点、ｔ１がスイッ
チ９による開ループから閉ループへの制御切り替えを行
った時点を示す。開ループ制御の間はケース温度検出器
１０と高周波増幅器１の利得の温度特性のずれから、多
少のレベル誤差Ｐ１−Ｐ０があることが判るが、従来の
閉ループだけの制御特性１３に比較して過大出力レベル
を抑制する点で大きく改善されていることが判る。な
お、前記実施例では高周波増幅器の利得と密接な関係の
ある出力としてケース温度検出器から出力される温度検
出出力を用いているが、他の検出出力を利用して開ルー
プ制御を行うことも可能である。

【００１２】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、閉ループ
制御を行う高周波増幅回路において、入力信号が無いと
きの高周波増幅器の利得を閉ループ制御時と近い値に制
御するように構成しているので、信号が未入力のときに
高周波増幅器の利得が最大に制御されることはなく、信
号の突然の入力に対しても過大出力を防止して一定のレ
ベルに保った状態で出力することができ、特にマイクロ
波通信での周波数多重伝送方式における隣接周波数回線
への妨害を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の高周波増幅回路の一実施例の回路図で
ある。

【図２】従来の高周波増幅回路の一例の回路図である。

【図３】高周波増幅回路の出力レベルの過渡応答を示す
図である。

【符号の説明】

１ 高周波増幅器 ２ 可変減衰器 ３，７ 方向性結合器 ４，８ 検波器 ５ 直流演算増幅器 ６ 可変抵抗器 ９ スイッチ １０ ケース温度検出器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高周波増幅器と、この高周波増幅器の出
   力レベルを検出する検波器と、この検波器の出力を所定
   値と比較する演算器と、この演算器の出力に基づいて前
   記高周波増幅器の実質的な利得を制御する可変減衰器と
   を含む閉ループ制御の高周波増幅回路において、高周波
   増幅器の入力信号の有無を検出する検出手段と、高周波
   増幅器の利得と密接な関係のある信号を発生する手段
   と、高周波増幅器の入力信号が無いときに前記演算器へ
   の入力を前記検波器から前記信号発生手段に切り替える
   手段とを備え、入力信号が無いときの高周波増幅器の利
   得を前記を閉ループ制御時と近い値に制御することを特
   徴とする高周波増幅回路。