JPH06112544A - 圧電素子駆動回路 - Google Patents

圧電素子駆動回路

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JPH06112544A
JPH06112544A JP4261720A JP26172092A JPH06112544A JP H06112544 A JPH06112544 A JP H06112544A JP 4261720 A JP4261720 A JP 4261720A JP 26172092 A JP26172092 A JP 26172092A JP H06112544 A JPH06112544 A JP H06112544A
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pzt
charging
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は圧電素子とインダクタとで構成され
る直列LC回路の過渡特性を利用して圧電素子を充放電
させる圧電素子駆動回路に関し、充放電の周期が急変し
ても一定なエネルギで圧電素子を充電することを目的と
する。 【構成】 PZT50とインダクタ56とで充電用直列
LC回路を構成し、その過渡特性を利用してPZT50
を高圧に充電する。インダクタ64はPZT50と放電
用直流LC回路を構成し、その過渡特性を利用して両端
電圧が負電圧になるように放電する。クランプ回路66
は、PZT50の放電時電圧を一定の範囲にクランプし
て、電圧変動分をカットする。このためPZT50に一
定のエネルギを供給するために要求される電圧が常に一
定になり、電源42の出力電圧を制御する必要がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電素子の駆動回路に係
り、特に圧電素子と、圧電素子と直列に設けたインダク
タとで構成する直列LC回路の過渡特性を利用し、圧電
素子の両端電圧が電源電圧より広い範囲で昇降圧するよ
うに充放電させる圧電素子駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子は、素子の両端に電圧が印加さ
れると、発生した磁界の方向に沿って構成分子が誘電分
極を起こし印加された電圧に応じた伸縮を示すと共に、
外部から伸縮させようとする力が加えられると、その力
の大きさに応じた電圧を発生する素子である。すなわ
ち、圧電素子は、キャパシタと同様に蓄電性を有し、そ
の充放電状態に応じて伸縮し、圧縮引っ張り応力に応じ
た電圧を出力する素子である。
【0003】このため、従来より圧電素子は種々のアク
チュエータに応用されており、例えば内燃機関の燃料噴
射弁もその一つである。この場合、圧電素子は、燃料噴
射口を開閉するニードルバルブの駆動に用いられてお
り、圧電素子の伸縮に関するデューティ比を制御するこ
とににより、燃料噴射量の制御が可能となる。
【0004】ところで、上記の例のように圧電素子が燃
料噴射弁に用いられた場合、圧電素子の伸縮量にバラツ
キがあると、燃料噴射口の開口度が均一でなくなり、同
一期間内における燃料噴射量の精度が悪化することにな
る。このため、このような場合は、圧電素子を一定の伸
縮量で安定して駆動することができる駆動回路が必要に
なる。
【0005】そこで、従来、このような要求を満たす駆
動回路として、圧電素子に流れ込む電流IC を積分して
充電電荷Qを求め、圧電素子に供給されるエネルギ(充
電電圧VDC*充電電荷Q)を一定にするフィードバック
制御を行う回路が提案されている(特開平1−2645
75号公報)。
【0006】上記公報に記載された駆動回路は、圧電素
子が、充電された電荷Qに応じた伸縮を示すことを利用
したもので、圧電素子を充電する際の充電電圧VDCと前
回の充電時における充電電荷Qとを乗算した値が一定に
なるように、VDCをフィードバック制御するものであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したよ
うに圧電素子を燃料噴射弁の駆動に用いるような場合、
圧電素子の体格はできるだけ小さい方が望ましい。その
反面、噴射口を開閉するためには、ある程度伸縮のスト
ロークを確保することが必要になる。このため、圧電素
子を燃料噴射装置に使用する場合、一般に、充電電圧は
高圧(500V程度)に、放電電圧は低圧(−100V
程度)に設定される。
【0008】そこで、上記公報記載の駆動回路を含め
て、このような圧電素子の駆動に用いられる従来の圧電
素子駆動回路においては、図7に示すように、電源2,
サイリスタ4及びインダクタ6を圧電素子8と直列に設
けて充電系10とする構成が用いられている。この場
合、インダクタ6は圧電素子8と直列LC回路を構成
し、サイリスタ4はスイッチング素子として充電系10
を流れる電流の制御を行っている。つまり、この回路
は、サイリスタ4がオフからオンに切り替わった際の、
直列LC回路の過渡特性を利用して必要な高電圧を得よ
うとするものである。
【0009】また、同様にこの回路の放電系12には、
圧電素子8と直列にサイリスタ14及びインダクタ16
が設けられており、直列LC回路の過渡特性を利用して
放電時における必要な低電圧が確保される。尚、サイリ
スタ4,14は、交互にオンオフされて、両者が同時に
オンとなることはない。
【0010】図8は、この駆動回路で燃料噴射弁の駆動
に用いられている圧電素子の駆動を行った際の、圧電素
子両端電圧VC 及び充放電電流IC を示す。図8
(A),(B)に示すように、圧電素子8の両端電圧が
昇圧された状態、つまり、圧電素子8が充電された状態
でサイリスタ14がオンとなると、充放電電流は負の方
向、すなわち放電方向にのみ流れる。
【0011】このとき、圧電素子8とインダクタ16と
は直列LC回路を構成しているため、その過渡特性によ
りIC が一端過剰に流れ圧電素子8に負の電荷が蓄えら
れる。しかし、この放電系12にはサイリスタ14が存
在し、過剰に流れた電流が逆流できず、結果的に圧電素
子両端電圧が負の電圧となる。
【0012】ところで、燃料噴射弁に使用される圧電素
子8が電荷を放電した場合、圧電素子は燃料噴射弁内で
収縮する。この収縮の際、圧電素子8には相対的に引っ
張り応力が加わることになる。このため圧電素子8の両
端電圧は、電荷の充放電量により決まる電圧と、引っ張
り応力により生じた電圧とが重畳された値となる。
【0013】この引っ張り力は、圧電素子8が収縮する
際に生ずる力であるから、当然に収縮直後が最も大き
く、その後徐々に小さくなる。従って、圧電素子8の両
端電圧VC は、図8(A)に示すように、放電開始直後
に最小値をとり、時間の経過と共に徐々に上昇すること
になる。
【0014】つまり、上記従来の構成の回路を圧電素子
8の駆動回路として使用した場合、充放電が行われる周
期が変化すると、それに伴って充電直前におけるVC
値(図8(A)中、V3 )が変化することになる。
【0015】この場合、充電時に圧電素子8に供給され
るエネルギは、充電直前の両端電圧VC と、電源電圧V
DCとの差(VDC−VC )で決まり、VDCを固定値とする
と充電時に供給されるエネルギが、充放電の周期の変動
と共に変動することになる。
【0016】上記従来の駆動回路は、充電時に圧電素子
8に供給されるエネルギが一定になるように、フィード
バック制御を行っており、VDCが適当な値になるように
制御しているが、フィードバックによる制御遅れのた
め、VDCの急激な変化には追従することができない。
【0017】つまり、圧電素子8の充放電周期が急激に
早まった場合は、要求される充電電圧が急激に下がって
いるにもかかわらず、高いままの充電電圧を印加して圧
電素子に過剰エネルギを供給し、逆にその周期が遅くな
った場合は、過少エネルギを供給することになる。
【0018】特に、圧電素子8が燃料噴射弁の駆動部と
して用いられる場合、その充放電周期は燃料噴射量の変
動とともに頻繁に、かつ大幅に変更される。従って、上
記従来の回路を駆動回路として用いた場合、燃料の噴射
不良や、燃料噴射弁の破損等を引き起こす可能生があ
る。
【0019】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、充放電の行われる周期が急激に変化した場合で
も、常に一定なエネルギで圧電素子を充電することがで
きる圧電素子駆動回路を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の原理図を図1に示す。
【0021】図1(A)は請求項1記載の発明の原理構
成図で、電源22及びインダクタ24を圧電素子26に
直列に接続してなる充電系20と、インダクタ28を圧
電素子26に直列に接続してなる放電系28と、圧電素
子の両端に接続したクランプ回路30とで構成される圧
電素子駆動回路を示す。
【0022】圧電素子26は、インダクタ24と共に充
電用直列LC回路を構成する。電源22はこの直列LC
回路に所定の電圧を印加する。充電系20は直列LC回
路の過渡特性を利用して、圧電素子26の両端電圧が電
源22の正極電圧より高くなるように、圧電素子26を
充電する。
【0023】インダクタ28は圧電素子26と共に放電
用直流LC回路を構成する。放電系30は、この直列L
C回路の過渡特性を利用して、圧電素子26の両端電圧
が電源22の負極電圧より低くなるように、圧電素子2
6を放電させる。
【0024】クランプ回路32は、圧電素子を充放電状
態で保持した際に、両端電圧が変動する範囲をカットす
るように、圧電素子の充放電時における両端電圧を、所
定の電圧範囲にクランプする。
【0025】図1(B)は請求項2記載の発明の原理構
成図を示す。同図中、図1(A)と同一構成部分には同
一符号を付し、その説明を省略する。
【0026】図1(B)に示す圧電素子駆動回路は、電
源電圧補正手段34を有する点に特徴がある。電源電圧
補正手段34は、充電系20及び放電系30により、圧
電素子26が充放電される際の周期を検知して、その周
期の基づいて可変電源36に電源電圧の補正を指令す
る。電源電圧の補正指令は、圧電素子の充放電周期が遅
くなるに従って、電源電圧を高く設定するように行われ
る。
【0027】
【作用】上記図1(A)に示す本発明回路において、前
記充電系20は、前記圧電素子26の両端に、前記電源
22の正極電圧より高い充電電圧を供給する。前記圧電
素子26は充電されると共に伸長し、その際に相対的な
圧縮力を受ける。このため、前記圧電素子26の両端電
圧は、充電開始直後に最大電圧までオーバーシュートし
て、その後徐々に低下する。
【0028】前記放電系30は、前記インダクタ28と
前記圧電素子26とで構成される放電用直列LC回路の
過渡特性を利用して、前記圧電素子を放電させる。前記
圧電素子26は電荷を放電すると共に収縮し、上記充電
の場合と同様な理由で引っ張り力を受ける。このため前
記圧電素子26の両端電圧は、放電開始直後に最小電圧
までオーバーシュートして、その後徐々に高くなる。
【0029】すなわち、前記圧電素子26の両端電圧
は、充電開始直後及び放電開始直後にオーバーシュート
して、前記圧電素子26をこの状態で放置した場合、時
間の経過と共にその両端電圧が変動する。
【0030】ところで、前記クランプ回路32は、前記
圧電素子26を充放電状態で保持した際に、両端電圧が
変動する領域をカットするように作用する。このため、
充放電時に前記圧電素子26の両端に印加されるオーバ
ーシュート分は、前記クランプ回路32でカットされ、
前記圧電素子26の両端電圧は、充放電状態で放置され
ても変動することがない。
【0031】図1(B)に示す本発明回路の構成におい
て、前記充電系20及び前記放電系30は、上記図1
(A)に示す回路の場合と同様に、前記圧電素子26の
両端に直列LC回路の過渡特性を利用した電圧を供給す
る。また、充放電時における前記圧電素子26の両端電
圧は、上記図1(A)に示す回路の場合と同様に充放電
直後においてオーバーシュートを示す。
【0032】このため、前記圧電素子26の両端電圧
は、充放電開始直後にそれぞれ最大値、最小値を示した
後、徐々に絶対値が小さくなる方向に変動する。従っ
て、図1(B)に示す回路においては、前記圧電素子2
6を充放電させる周期が変動すると、前記圧電素子26
に一定の伸縮量を生じさせるために必要な充電電圧が変
動し、その周期が長くなるに従って高い充電電圧が要求
される。
【0033】前記電源電圧補正手段34は、前記圧電素
子26の充放電周期を検知して、その周期が長くなるに
従って、前記圧電素子26の充電電圧が高くなるよう
に、前記可変電源36の電圧を補正する。従って、前記
圧電素子26には、充放電周期が変動しても常に一定の
エネルギが供給され、前記圧電素子26の安定した伸縮
量が確保される。
【0034】
【実施例】図2は本発明に係る圧電素子駆動回路の一実
施例の回路図を示す。同図中、符号42は可変直流電源
を示し、外部から設定電圧を指令することによりその出
力電圧が変更される。電源42両極端子には、抵抗44
及び46が直列に接続され、抵抗44,46からなるル
ープには電源42の出力電圧に応じた電流が流れてい
る。
【0035】符号48は、電源42の出力電圧VDCに対
するフィードバック制御を行う電圧指令回路を示す。こ
の電圧指令回路48には、電源42の出力電圧VDCが抵
抗44と46とで分圧されて供給されている。また、本
実施例における圧電素子であるチタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)50の充電系52からは、PZT50を充電
する際に流れ込む電流IPZT に比例した電流iPZT が供
給されている。
【0036】電圧指令回路48は、PZT50が充電さ
れる際のiPZT を積分して、PZT50に蓄えられた電
荷Qを演算し、この値に基づいて圧電素子50に供給さ
れたエネルギE(VDC*Q)を求めている。そして、そ
のエネルギが一定になるように電源42の出力電圧VDC
を制御している。
【0037】PZT50の充電系52は、電源42と、
これと直列に接続したサイリスタ54及びインダクタ5
6からなる閉ループで構成される。サイリスタ54はP
ZT50を充電する方向にのみ電流を流すスイッチング
素子として使用され、電子制御装置(ECU)58によ
り制御される。
【0038】PZT50の両極端子には、上記の充電系
52の他に2つの閉ループが接続されている。1つは放
電系60のループで、充電系52の場合と同様にECU
58に制御されるサイリスタ62と、インダクタ64と
をPZT50に直列に接続することにより構成してい
る。
【0039】他方は、本実施例回路の要部であるクラン
プ回路66からなるループである。クランプ回路66
は、充電方向の電流を遮断するダイオード68,抵抗7
0,74,キャパシタ72及びツェナーダイオード76
で構成されている。ツェナーダイオード76は抵抗74
及びダイオード68と直列に接続され、PZT50放電
時における両端電圧を所定値にクランプする。抵抗70
及びキャパシタ72は、直列に接続されたツェナーダイ
オード76と抵抗74に対して並列に接続され、波形の
平滑化を行っている。
【0040】尚、PZT50は例えば図3に示す燃料噴
射弁70の駆動アクチュエータとして使用される。
【0041】図3中、符号72は燃料噴射弁70のハウ
ジングを示し、その一端には燃料噴射口74が設けられ
ている。また、ハウジング72内には、噴射口74を開
閉することができるニードルバルブ76が配置されてい
る。
【0042】噴射口74には燃料通路78が連通可能に
設けられている。この燃料通路78は外部の燃料供給源
(図示せず)に連結されており、燃料噴射弁70には常
に一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニード
ルバルブ76が噴射口74を開放すると、燃料通路78
に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の燃焼室
内に噴射されることになる。
【0043】また、ハウジング72にはシリンダ80が
形成される。ニードルバルブ76の上端部は直径が大き
くなっていてシリンダ80と摺動可能なピストン82に
なっている。
【0044】PZT50は薄板状の圧電素子を多数個軸
方向に積層して1個のピストンとして形成したものであ
り、上下のキャップ84,86の間で支持されている。
上方のキャップ84はハウジング72の上部壁に当接
し、下方のキャップ86はシリンダ80と摺動可能であ
る。
【0045】すなわち、PZT50は電圧の供給に応じ
て伸縮する際、下方のキャップ86を移動させることが
できる。尚、PZT50には、駆動電圧を印加するため
のリード線88,90が設けられている。シリンダ80
内では、ピストン82とキャップ86との間に油圧室9
2が形成され、また、ピストン82の下側には復帰用の
皿バネ94が配置される。
【0046】従って、PZT50が充電電圧を受けて伸
長すると、キャップ86及び油圧室92内の作動油を介
してピストン82が押圧され、ニードルバルブ76が噴
射口74を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、P
ZT50が、電荷を放電して収縮すると、皿バネ94が
ピストン82を押し返し、噴射口74が燃料通路78と
連通するため再び燃料の噴射が行われる。
【0047】上記図2に示す駆動回路は、内燃機関を運
転状態を検知する各種センサ(図示せず)からの信号を
受けて、ECU58が演算した燃料噴射量を忠実に燃焼
室内に供給するためにPZT50を充放電させる回路で
ある。この際、ECU58は所望の燃料噴射量を得るた
めに噴射口74を開弁させておく時間、すなわち燃料噴
射期間TAUを演算し、そのTAUに基づいて駆動回路
のサイリスタ54,62に対して交互にオン信号を送信
する。
【0048】図4は、上記図2に示す本実施例の圧電素
子駆動回路の動作を説明するためのタイムチャートを示
す。以下、図4に沿って本実施例回路の動作について説
明する。
【0049】図4(C)に示すように、時刻時刻t1
放電側のサイリスタ62がオンとなると、PZT50に
充電されていた電荷Qがインダクタ64方向に流れる。
この際、インダクタ64には電流を流さない向きに逆起
電力が働く。この逆起電力に抗って、PZT50は電荷
Qを全て放電する。
【0050】電荷Qが放電されるにつれ、インダクタ6
4を流れる電流が減少しだすと、今度は、インダクタ6
4に電流を流し続けようとする向きの起電力が生ずる。
このため、PZT50に蓄えられていた電荷Qが全て放
電された後においても放電電流が引き続き流れ、PZT
50には負の電荷−qが蓄えられる。サイリスタ62に
より電流が逆流できないため、この電荷−qはそのまま
PZT50に蓄えられ、その結果、放電後のPZT50
の両端電圧は負の電圧となる。
【0051】ところで、図3に示す燃料噴射弁70の駆
動に用いられているPZT50が電荷を放電する際に
は、上記従来の駆動回路を用いた場合と同様に、PZT
50はその収縮に伴い相対的な引っ張り応力を受ける。
【0052】このため、圧電素子50の両端電圧は、本
来図4(A)中に破線で示すように、大きく負側にオー
バーシュートした後、徐々に上昇するという変動を示す
はずである。図5(B)中の破線はこの変動の様子を拡
大して示したものである。
【0053】ところが、本実施例回路は、PZT50の
両端電圧を所定のツェナー電圧VZ以上にクランプする
クランプ回路66を有している。このため、圧電素子5
0の両端電圧VPZT がVz より低くなることがなく、V
PZT の変動軌跡は図4(A)中に実線で示す波形にな
る。
【0054】つまり、サイリスタ54がオンとなり、P
ZT50から電荷Qが放電され始め、両端電圧が負の領
域に達すると、先ず、PZT50と共にキャパシタ72
に負の電荷が蓄えられる。更に放電が続き、圧電素子5
0の両端電圧がVz に達すると、ツェナーダイオード7
6と抵抗74のループを通って電流がPZT50の正極
側に流れ込む。
【0055】このため、PZT50に直接流れ込む電流
C の波形は、図4(B)中に実線でに示すように、本
来流れるべき電流(図4(B)中に破線で示す波形)が
途中で途切れたような波形となる。また、本実施例の回
路においては、ツェナー電圧VZ を、負電圧のオーバー
シュート分を全てカットする電圧に設定しているため、
放電時における圧電素子8の両端電圧VPZT は、図5
(B)中に実線で示すようにほぼ一定の値となる。
【0056】従って、充電側のDサイリスタ54がオン
(図4(D)中、時刻t2 )となるまでの間、すなわち
燃料噴射弁70が燃料を噴射している間(図4(D)
中、時刻t1 〜t2 )の圧電素子8の両端電圧VPZT
常にVZ となる。
【0057】そして、時刻t2 においてサイリスタ54
がオンとなると、今度は電源42の電圧VDCがインダク
タ56及びPZT50に印加される。このインダクタ5
6とPZT50は、上記放電系におけるインダクタ64
及びPZT50と同様な直列LC回路を構成している。
従って、充電の場合もPZT50の両端電圧VPZT は、
直列LC回路の過渡特性を利用して昇圧される。
【0058】また、PZT50は充電されると伸長する
特性を有している。このため、本実施例においては、充
電されると共に燃料噴射弁70の内部で伸長する。この
際、上記収縮時の引っ張り応力と同様に、PZT50に
は相対的な圧縮応力がかかることになる。
【0059】また、本実施例の駆動回路には、PZT5
0の両端電圧VPZT を高圧側でクランプする回路を設け
ていない。このため、図4(A)に示すように、充電時
におけるPZT50の両端電圧VPZT は、充電開始直後
にオーバーシュートして最大となり、その後徐々に低下
するという変動を示す。
【0060】ところで、図5(A)は、充電時にPZT
50に所定の伸長を与えるために要求される電源電圧V
DCと、燃料噴射弁70における燃料噴射期間との関係を
示している。PZT50の伸長は、充電電荷Qにより決
まる値であり、電荷QはPZT50の両端に印加される
電圧により決まる値である。
【0061】本実施例回路において、PZT50の両端
に印加される正味の電圧は、“電源電圧VDC”−“充電
開始直前の両端電圧VPZT ”である。このため、クラン
プ回路66がなく、放電時のVPZT が図5(B)中の破
線に示すように時間の経過と共に変動する場合は、図5
(A)に示すように、充電時に要求される電圧VDCも、
燃料噴射期間の変化と共に変動することになる。
【0062】しかし、本実施例回路では、放電時におけ
るVPZT がツェナー電圧VZ にクランプされて、常にほ
ぼ一定の値をとる。このため、充電時においてPZT5
0の両端に印加される正味の電圧を一定にするために要
求される電圧VDCも、図5(A)中に実線で示すように
ほぼ一定となる。従って、燃料噴射期間の変動に対し
て、電源42の出力電圧VDCを制御する必要がなく、P
ZT50の伸縮が燃料噴射期間の変動にたいして追従で
きなくなることがない。
【0063】尚、電源42は従来の回路と同様に、電圧
指令回路48による電源42のフィードバック制御が行
われており、経時変化等で、所望の伸縮量を得るために
圧電素子8に供給すべき電圧が変化した際には、その出
力電圧VDCを変えて出力することができる。
【0064】このように、本実施例の回路によれば、燃
料噴射期間が変動しても圧電素子8の充電時に要求され
る電圧がほぼ一定に保持され、電源42の出力電圧VDC
を頻繁に変更する必要がない。従って、従来の駆動回路
が、燃料噴射期間が急激に変化したような場合にはその
変化に追従できずに燃料噴射異常等を引き起こしていた
のに対して、本実施例の回路はこのような異常を引き起
こす恐れがない。
【0065】また、従来の回路と同様に、電源42の出
力電圧をフィードバック制御する機能を合わせ持ってい
るため、経時変化等の比較的ゆっくりとした変化に対し
ても良好な安定性を確保することができる。
【0066】尚、本実施例回路にけるクランプ回路66
は、放電時の電圧だけをクランプする構成としている
が、これに限るものではなく、より一層PZT50の伸
縮精度を向上させたい場合には、充電時の電圧を合わせ
てクランプしてもよい。
【0067】図6は本発明に係る圧電素子駆動回路の他
の実施例の回路図を示す。尚、同図において図2と同一
の構成部分については同一の符号を付して、その説明を
省略する。
【0068】同図中、符号92は電源電圧補正手段に該
当する電源電圧補正回路を示す。この電源電圧補正回路
92は、上記図5(A)中に破線で示す、燃料噴射期間
TAUと充電要求電圧VDCとの関係をマップとして有し
ている。そして、ECU58が演算したTAUに基づい
て充電要求電圧をマップから読出し、電源42の出力電
圧VDCを要求電圧に補正する。
【0069】従って、本実施例の駆動回路においては、
燃料噴射期間が変動すると、それと共に電源42の出力
電圧VDCが変動し、PZT50の両端には常に所望の充
電電圧が印加される。このため、従来の駆動回路がフィ
ードバックによる制御の遅延のため種々の異常を引き起
こす可能性があったのに対して、本実施例の駆動回路で
は、このような制御の遅延がなく、常に所望のPZT5
0の伸縮量を確保することができる。
【0070】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、圧電素子の伸縮に伴う相対的な応力の変化による、
圧電素子の両端電圧の変動分が、クランプ回路によりカ
ットされる。このため、圧電素子の両端電圧を常にほぼ
一定電圧範囲内に保持することができ、充放電が行われ
る周期が頻繁に変動する場合でも、圧電素子の両端電圧
が変動するのを防止することができる。
【0071】また、請求項2記載の発明によれば、圧電
素子の充放電が行われる周期の変動と共に電源電圧が補
正されるため、充放電時において圧電素子に印加される
電圧が常に所望の値となる。このため、充放電の行われ
る周期によらず、常に所望の圧電素子の伸縮量を確保す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電素子駆動回路の原理図であ
る。
【図2】本発明に係る圧電素子駆動回路の一実施例の回
路図である。
【図3】本実施例の駆動回路で駆動される圧電素子を使
用する燃料噴射弁の構成図である。
【図4】本実施例の駆動回路の動作を説明するための図
である。
【図5】本実施例の駆動回路における電源の充電時要求
電圧と、圧電素子の放電時電圧を示す図である。
【図6】本発明に係る圧電素子駆動回路の他の実施例の
回路図である。
【図7】従来の圧電素子駆動回路の回路図である。
【図8】従来の圧電素子駆動回路の動作を説明するため
の図である。
【符号の説明】
20,52 充電系 30,64 放電系 22 電源 24,28,56,64 インダクタ 26,圧電素子 32,66 クランプ回路 34 電源電圧補正手段 36,42 可変電源 54,64 サイリスタ 58 電子制御装置 66c ツェナーダイオード 92 電源電圧補正回路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電素子の充電系及び放電系に、該圧電
    素子と直列LC回路を構成するインダクタを設け、該L
    C回路の過渡特性を利用して、前記圧電素子の両端電圧
    が電源電圧より広い範囲で昇降圧するように、該圧電素
    子を充放電させる圧電素子駆動回路において、 前記圧電素子を充放電状態で保持した際に、該圧電素子
    の両端電圧が変動する範囲をカットするように、前記圧
    電素子の充放電時における両端電圧を、所定の電圧範囲
    にクランプするクランプ回路を備えることを特徴とする
    圧電素子駆動回路。
  2. 【請求項2】 圧電素子と直列にインダクタを設けて直
    列LC回路を構成し、該LC回路の過渡特性を利用し
    て、前記圧電素子の両端電圧が電源電圧より広い範囲で
    昇降圧するように、該圧電素子を充放電させる圧電素子
    駆動回路において、 前記圧電素子を充放電させる周期を検知して、その周期
    が遅くなるに従って前記電源電圧を高く設定する電源電
    圧補正手段を備えることを特徴とする圧電素子駆動回
    路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003088145A (ja) * 2001-09-12 2003-03-20 Denso Corp 容量負荷変動体の充電装置

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