JPH0610879Y2 - 回転椅子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、脚台に対して座部を回転可能としてなる回転
椅子の改良に係わり、更に詳しくは座部をどの回転角度
からも自動的に始状態に復元し得る回転椅子に関する。

〔従来の技術〕

従来の回転椅子は、脚台に立設した軸筒に支軸を回転可
能に垂設し、該支軸の上端に座部を固定したもの、又は
軸筒に支軸を回転不能に垂設し、該支軸の上端に座部を
回転可能に連設したもので、着座者が座部から離れる場
合、該座部を回転させて着座者の足を机等の足入れ空間
から側方に出した状態で立ち上がるが、座部は側方へ向
いた状態をそのまま保つので、特に多数の椅子が整然と
配列されている会議室等では椅子の背凭れが机等に対し
て乱雑な方向へ向き、外観性を悪くする原因となってい
た。それ対して、脚台の内部又は該脚台に立設した軸筒
内にスプリングを配し、前記支軸を常に始状態に戻る方
向回転させるように弾性付勢した構造の復元装置を内蔵
した回転椅子が提供されているが、何れも構造が複雑で
組立て工程が多くなって製造コストの上昇につながるも
のであり、また複雑な機構を有するので経年変化により
故障が発生したり、また摺動部の摩耗等により座部がス
ムースに回動しなくなるばかりでなく、完全に始状態に
復元しなくなる恐れがあった。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案が前述の状況に鑑み、解決しようとするところ
は、座部をどの回転角度の状態で放置した場合でも予め
設定した方向に自動的にスムースに復元することができ
るにもかかわらず、着座して座部を回転する場合に復元
力を殆ど感ずることがなく、一般の椅子に近い作動形態
を有する回転椅子を提供する点にある。

〔課題を解決する為の手段〕

本考案は、前述の課題解決の為に、床又は脚台に垂設し
た軸筒に、上端に座部を連設する支軸を回転可能且つ上
下移動可能に取付けるとともに、該支軸の下端に偏心下
設した突起を、前記軸筒内の中心部に該軸筒の中心線に
対して回転軸心を傾斜させて設けた回転ステージの偏心
上面に上置して回転椅子を構成した。

また、前記回転ステージを軸筒内に固定した下部軸受に
回転可能に取付けた。

更に、前記回転ステージを軸筒内に上下移動可能に内装
し且つ弾性体にて上方へ弾性付勢されたスライド体に固
定した下部軸受に、取付けた。

〔作用〕

以上の如き内容からなる本考案の回転椅子は、支軸と座
部の自重により支軸の下端に設けた突起が回転ステージ
の偏心上面を下方に押すことで、軸筒の中心線に対して
回転軸心を傾斜させて設けた該回転ステージが回転し、
前記突起が最も下方に位置する状態、即ち位置エネルギ
ーが最小の状態で安定に静止し、この始状態から座部及
び支軸を回転させることにより、前記突起の回転に伴い
回転ステージが回転し、支軸が上昇してより位置エネル
ギーの高い不安定な状態になり、その状態で放置すれば
前記始状態に自動的に回転復元するものである。

また、前記回転ステージを軸筒内に固定した下部軸受に
回転可能に取付けることにより、構造が簡単になるとと
もに、着座者を含む全重量を確実に支持することができ
る。

更に、前記回転ステージを上下移動可能で弾性体にて上
方へ弾性付勢した固定した下部軸受に取付けることによ
り、着座時の衝撃を吸収することができる。

〔実施例〕

次に添付図面に示した実施例に基づき更に本考案の詳細
を説明する。

第１図は本考案の回転椅子を示し、第２図は代表的実施
例の要部を示し、図中１は脚台、２は軸筒、３は座部、
４は支軸をそれぞれ示している。本考案の回転椅子は、
脚台１に垂設した軸筒２に、座部３を連設する支軸４を
回転可能且つ上下移動可能に装着し、該支軸４の下端に
偏心下設した突起５を、前記軸筒２内の中心部に該軸筒
の中心線に対して回転軸心を傾斜させて設けた回転ステ
ージ６の偏心上面に上置したものである。

更に詳しくは、前記軸筒２の上端部に支軸４を内挿する
上部軸受７を嵌合固定し、該上部軸受７の内部に前記支
軸４を回転可能且つ上下移動可能に支持するストローク
ベアリング８を内装し、該上部軸受７から下方に突出し
た支軸４の下端部に抜け止め用のリング９を取付けてい
る。また、前記回転ステージ６は、前記軸筒２内に固定
した下部軸受10に、スラストベアリング11を介し、上面
を前記突起５を上置する平面となした回転体12を傾斜さ
せて回転可能に取付けて構成した。尚、前記支軸４の上
端部には座部３の下面に固定した取付体13を固定連結し
ている。

しかして、第２図に示した支軸４が最も下方位置にある
状態を始状態に設定し、それから座部３を回転させるこ
とにより、支軸４の下端に設けた突起５の回転に伴って
前記回転ステージ６の回転体12が傾斜回転し、該突起５
がより上方位置に移動すると同時に、重力に逆らって支
軸４及び座部３が上昇して第３図に示した状態になる。
その状態で前記座部３にかかっている回転力を除去して
放置すれば、座部３及び支軸４の自重により前記突起５
が前記回転体12の上面のと偏心した位置を下方へ押圧す
ることにより、該回転体12が回転して前記突起５が最も
下方に位置するまで前記支軸４が回転し、もって始状態
に自動的に復元するのである。

また、他の実施例として第４図に示したものは、前記下
部軸受10の周囲を上方へ連設して案内筒14を形成すると
ともに、該下部軸受10に前記回転ステージ６を収容する
凹陥部15を形成したスライド体16を、該案内筒14を前記
上部軸受７の下部外周に設けた段部と軸筒２内面とで形
成された下方開放した凹所17に遊挿して、軸筒２内で上
下移動可能に装着し、該凹陥部15に前記回転ステージ６
を装着するとともに、該スライド体16と軸筒２内に固定
した底板18間に圧縮コイルばね19を装着して、当該スラ
イド体16を上方に弾性付勢し、着座した際の衝撃を緩和
し且つ着座者の重量を弾性支持するようになしたもので
ある。尚、前記支軸４は前記コイルばね19の上方への弾
性付勢がなくても、回転ステージ６が傾斜していること
により自動的に始状態に復元するのであるが、本実施例
のようにコイルばね19により弾性付勢することで、より
速やかに始状態に復元する。

また、第５図に示した他の実施例は、第４図のものと略
同様であるが、前記スライド体16を構成する下部軸受10
に斜孔20を形成し、該斜孔20にスラストベアリング11の
下部支持体21を嵌合したものである。

尚、前記二つの他の実施例において、前記軸筒２を二つ
に分割し、下部軸筒２′を前記脚台１に立設し、前記支
軸４及び回転ステージ６等を装着した上部軸筒２″を該
下部軸筒２′に着脱自在に連結している。

更に、第６図に示したものは、前記各実施例で示した球
状の突起５の代わりに、支軸４の下端を斜めに切断して
突起５を該支軸４の下端の偏心位置に形成したもので、
前記同様の復元作用をするものである。

〔考案の効果〕

以上にしてなる本考案の回転椅子によれば、回転可能且
つ上下移動可能な支軸の下端の偏心位置に突起を設ける
とともに、該突起を上面の偏心位置に上置支持する回転
ステージを軸筒内に斜設したことにより、支軸と座部の
自重により支軸の下端に設けた突起が回転ステージの偏
心上面を下方に押すことで、回転軸心が斜設した該回転
ステージが回転し、前記突起が最も下方に位置する状態
まで支軸が回転して安定に静止し、この始状態から座部
及び支軸を回転させて、前記突起の回転に伴い回転ステ
ージが回転し、支軸が上昇した不安定な状態で放置すれ
ば前記始状態に自動的に回転復元することができ、椅子
から着座者が離れる場合にその都度座部を回転させて元
の状態に戻す必要がなく、特に椅子を多数配列した場合
には常に整然となすことができる。そして、座部をどの
回転角度の状態で放置した場合でも予め設定した方向に
自動的にスムースに復元することができるにもかかわら
ず、着座して座部を回転する場合に復元力を殆ど感ずる
ことがなく、一般の椅子に近い作動形態で使用できる。

また、前記回転ステージを軸筒内に固定した下部軸受に
回転可能に取付けることにより、構造が簡単になって安
価に製造することができるとともに、着座者を含む全重
量を確実に支持して着座状態で座部が不意に沈むことが
なく安定に使用できる。

更に、前記回転ステージを上下移動可能で弾性体にて上
方へ弾性付勢した固定した下部軸受に取付けることによ
り、着座時の衝撃を吸収することができるとともに、支
軸下端の偏心した突起と傾斜した回転ステージによる自
重の回転復元力に加えて、弾性体の弾性力による復元力
も加わり、復元がより速やかに行える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の回転椅子の全体斜視図、第２図は代表
的実施例を示す要部の縦断面図、第３図は同じく支軸を
始状態から回転した状態を示す要部の縦断面図、第４図
は第２実施例を示す要部の縦断面図、第５図は第３実施
例を示す要部の縦断面図、第６図は突起の他の実施例を
示す要部の縦断面図である。 １：脚台、２：軸筒、３：座部、４：支軸、５：突起、
６：回転ステージ、７：上部軸受、８：ストロークベア
リング、９：リング、10：下部軸受、11：スラストベア
リング、12：回転体、13：取付体、14：案内筒、15：凹
陥部、16：スライド体、17：凹所、18：底板、19：コイ
ルばね、20：斜孔、21：下部支持体。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】床又は脚台に垂設した軸筒に、上端に座部
   を連設する支軸を回転可能且つ上下移動可能に取付ける
   とともに、該支軸の下端に偏心下設した突起を、前記軸
   筒内の中心部に該軸筒の中心線に対して回転軸心を傾斜
   させて設けた回転ステージの偏心上面に上置してなるこ
   とを特徴とする回転椅子。
2. 【請求項２】前記回転ステージを軸筒内に固定した下部
   軸受に回転可能に取付けてなる実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の回転椅子。
3. 【請求項３】前記回転ステージを、軸筒内に上下移動可
   能に内装し且つ弾性体にて上方へ弾性付勢されたスライ
   ド体に固定した下部軸受に、取付けてなる実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の回転椅子。