JPH0610866U

JPH0610866U - 尿検査紙

Info

Publication number: JPH0610866U
Application number: JP4768092U
Authority: JP
Inventors: 清隆表; 喜一郎広瀬; 好弘日野; 直一鶴川; 潤一新井
Original assignee: Toppan Inc
Current assignee: Toppan Inc
Priority date: 1992-07-08
Filing date: 1992-07-08
Publication date: 1994-02-10

Abstract

(57)【要約】【目的】従来の判断が難しい、検査部の発色の濃淡を基
準色調表を比較し判定するものでなく、濃淡の判断を文
字や図形の識別に置き替えた、判断の容易な視認性の良
い尿検査紙を提供するものである。【構成】基体上に検査試薬層と判定基準用の色調層を有
し、色調の変化を基準色調と比較判定する尿試験紙にお
いて、前記検査試薬層の表面上に、該検査試薬層の未反
応時の色調と同じ色調の判定基準用の色調層を施した尿
検査紙である。また、別の構成としては、透明ベースを
用いて、裏面からも判定可能としたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、尿中に含まれる物質、例えば、蛋白，糖，潜血，食塩等の変動を検査する尿検査紙に関する。

【０００２】

【従来の技術】

尿検査紙は、尿中成分に含まれる物質の変動を出来る限り早く検査し、病気予防に役立てるものである。検査項目は、蛋白，糖，ｐＨ，潜血，食塩および各種イオン他、多数の項目がある。その検査は、病院等の医療機関が実施する場合と、家庭で実施される場合と、２つの場合があるが、近年個人個人の健康増進の高まりから、家庭内での使用が伸びつつある。

【０００３】また一方、これら上記検査紙は、その多くが尿中成分と反応し、その成分量に応じて強く発色させ、発色程度を添付した又は検査部近傍に予め印刷等の手段で付与させた色調表と比較し、判断するものであった。すなわち、多くの場合は、判定の容易な、発色の有無を調べるのではなく、判定の難しい、検査部の発色の濃淡を基準色調と比較し、判断するものであった。また、更に検査に用いる試薬が比較的高価のため、検査面積（発色面積）が比較的小さくなり、判断を難しくしている側面があった。

【０００４】尿中成分量から身体の状態を判断しようとする試みは古くから実施されている。その方法は、尿中成分と反応する物質を予め、濾紙等の吸収性素材に担持させたタイプ（含浸タイプ）と、吸尿性の塗工液として、非吸尿性素材に塗工したタイプ（印刷タイプ）の２つに大別され、近年生産工程の簡略化が可能なことから、後者の印刷タイプの方法が活発に、研究開発されている。

【０００５】しかし、上記の方法は、いずれも基準色調表と比較し、濃淡の度合いから判定するものには変わりはない。上記方法の中で、濃淡比較の容易化の試みが、いくつか開示されている。実開昭５７−７９７６６号公報には、検査試薬の近傍に印刷インキによって印刷された判定基準用の色調層を有し、対比物を近接させることにより、判定の容易化が開示されている。

【０００６】実開昭６０−１８３８６０号公報には、支持体上に複数の検査部を有しており、前記検査試薬部は、疎水性パターンにより互いに遮断されている試験片が開示されており、検査部に不必要な尿滴が付着し、判定がしずらくならない様にする工夫もある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記したような、従来の判断が難しい、検査部の発色の濃淡を基準色調表を比較し判定するものでなく、濃淡の判断を文字や図形の識別に置き替えた、判断の容易な視認性の良い尿検査紙を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記の課題を解決するために、基体上に検査試薬層と判定基準用の色調層を有し、色調の変化を基準色調と比較判定する尿試験紙において、前記検査試薬層の表面上に、該検査試薬層の未反応時の色調と同じ色調の判定基準用の色調層を施した尿検査紙である。

【０００９】また、別の考案として、基体上に検査試薬層と判定基準用の色調層を有し、色調の変化を基準色調と比較判定する尿試験紙において、前記基体が透明であり、表側の前記検査試薬層と一致する裏側に、該検査試薬層の未反応時の色調と同じ色調の判定基準用の色調層を施した尿検査紙、及び基体上に検査試薬層と判定基準用の色調層を有し、色調の変化を基準色調と比較判定する尿試験紙において、前記基体が透明であり、該基体上に前記判定基準用の色調層を設け、該判定基準用の色調層の上に前記検査試薬層を施した尿検査紙である。

【００１０】

【詳細な説明】

本考案は、検査試薬層の色調変化を濃度変化として捉えるものではなく、文字又は図形の視認性の変化として判断するものである。尿検査紙の検査試薬層は、尿との接触により、検査試薬層内へ尿が拡散し、検査試薬層が予め持つ物質と尿中成分が反応し、反応量を色調変化して判断させるものが一般的である。かつ、検査試薬層の反応前（使用前）の色調は、白色又は淡黄色が一般的である。

【００１１】本考案は図１に示すように、基材１上に設けられた反応前の検査試薬層２の表面の一部に、反応前の色調と同等色で、かつ、尿中成分と反応しない判定基準用の色調層３を予め施しておき、反応後（呈色後）検査試薬層２の変化に対して、前記判定基準用の色調層３が発現し、視認されるか否かを判断するものである。

【００１２】判定基準用の色調層３のパターンは、文字又は図形等の視認容易なものであれば限定されない。検査試薬層２の塗工面積は、検査試薬層２の吸水性を妨げない程度が好ましく、通例５〜３３％程度が適当である。更に、判定基準用の色調層３は、検査試薬層２と反応せず不活性であるものの中から選ばれることは言うまでもない。

【００１３】検査試薬層２の形状は、表面が平滑であること以外には、大きな限定を受けることはなく、従来より知られている吸水性素材に、反応物を担持させた含浸タイプ又は印刷タイプの何れも可能である。

【００１４】また、この考え方を発展させた方法として、図２に示すように透明な基材４の片面に、検査試薬層２を有し、該検査試薬層２の裏面に、位置を合わせて判定基準用の色調層３を施すことも可能である。この場合は、尿と検査片を接触させた後、片面からは検査試薬層２の濃淡にて判断すると同時に、更に裏面より検査試薬層２の変色によって、判定基準用の色調層３の文字又は図形パターンを表示させるものである。

【００１５】更なる別な方法として、図３に示すように透明な基材４の表面に判定基準用の色調層３を予め塗工しておき、更にその表面に検査試薬層２を設ける方法も可能である。作用効果は上記の方法と同様である。以上述べた本考案の検査紙における基体材質の限定は、透明か否かの点を除いては特になく、ポリエステル、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン等の汎用樹脂シートが用いられる。

【００１６】本考案の検査紙の対象となる検査項目は、濃淡差を判定の目安に使用している検査項目全てが対象になるが、特に蛋白，糖，潜血等が有用である。

【００１７】

【作用】

本考案の試験紙は、色調の変化を基準色調と比較判定する尿試験紙において、前記検査試薬層の表面上に、該検査試薬層の未反応時の色調と同じ色調の判定基準用の色調層（文字又は図形）を設けたので、判断が容易で視認性の良い尿検査紙を得ることを可能にする。また、透明基材の裏面に判定基準用の色調層を設けることや、透明基材を用いて検査試薬層の下に判定基準用の色調層を設けることにより、従来の検査試薬層の濃淡の判断と透明基材の裏面から見る文字図形による視認性の良い判断の両方を可能にする。

【００１８】

【実施例】

蛋白の検査の場合について、以下実施例に基とずき詳述する。＜実施例１＞（表１）の組成をプレミックス後、３本ロール方式練機にて３０分練合し、線数１００線／インチ、感光層とスクリーン厚の合計厚が１２０μｍのポリエステルスクリーン版にて、７０μｍ厚の乳白ポリエステルシートに塗工し乾燥した。その時の色調は、ほぼ白色であった。更にその表面に、線数２５０線／インチ、感光層とスクリーン厚の合計が２０ μｍのポリエステルスクリーン版にて、ポリウレタン２液反応型で、色調を上記蛋白検査試薬層と同等に調整したインキを塗工乾燥し、判定基準用の色調層とした。尚、その時のパターンは×印であった。また、判定基準用の色調層のない状態を比較例１とする。

【００１９】

【表１】

【００２０】＜実施例２＞透明ポリエステルシートに、実施例１と同様に、判定基準用の色調層を予め塗工後、ポリエステルシートの反対裏面に実施例１と同様の検査試薬層を位置を合わせて印刷塗工した。

【００２１】＜実施例３＞透明ポリエステルシート上に、実施例１と同様に判定基準用の色調層を予め塗工後、その表面に実施例１と同様に検査試薬層を重ね刷りした。

【００２２】これらを（表２）の組成の人工尿に人由来血清アルブミンを加えた、蛋白含有人工尿に１〜２秒含浸し、その後、判定基準用の色調層の×印の発現状態を評価した。その結果、アルブミン濃度３０ｍｇ／ｄｌ以上の場合は、極めて容易に× 印を認識することが出来た。（表３）に結果を示す。

【００２３】

【表２】

【００２４】

【表３】

【００２５】

【考案の効果】

以上の結果のように、本考案の検査紙は、検査試薬層の濃淡差を判定基準用の色調層と比較するのではなく、×印のように文字又は図形として視認できるようにしたので、判断が容易になり誤判断が生じない。また、透明基材を用いて、従来の濃淡差と上記の図形としての判断の両方を可能としたので、判定の精度が向上した。

【００２６】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例例を示す平面図ａと断面説明
図ｂである。

【図２】本考案の別の一実施例例を示す平面図ａと断面
説明図ｂである。

【図３】本考案のさらに別の一実施例例を示す平面図ａ
と断面説明図ｂである。

【符号の説明】

１…基材２…検査試薬層３…判定基準用の色調層
４…透明基材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者鶴川直一東京都台東区台東一丁目５番１号凸版印刷株式会社内 (72)考案者新井潤一東京都台東区台東一丁目５番１号凸版印刷株式会社内

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】基体上に検査試薬層と判定基準用の色調層
を有し、色調の変化を基準色調と比較判定する尿試験紙
において、前記検査試薬層の表面上に、該検査試薬層の
未反応時の色調と同じ色調の判定基準用の色調層を施し
たことを特徴とする尿検査紙。
【請求項２】基体上に検査試薬層と判定基準用の色調層
を有し、色調の変化を基準色調と比較判定する尿試験紙
において、前記基体が透明であり、表側の前記検査試薬
層と一致する裏側に、該検査試薬層の未反応時の色調と
同じ色調の判定基準用の色調層を施したことを特徴とす
る尿検査紙。
【請求項３】基体上に検査試薬層と判定基準用の色調層
を有し、色調の変化を基準色調と比較判定する尿試験紙
において、前記基体が透明であり、該基体上に前記判定
基準用の色調層を設け、該判定基準用の色調層の上に前
記検査試薬層を施したことを特徴とする尿検査紙。