JPH0122135Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は新規な構造のシート状またはフイルム
状多層一体型分析材料に関し、特に水不透過性光
透過性（透明）支持体の片側に、親水性で水透過
性の試薬層と必要により光遮蔽層とが設けられ
た、水性液体試料を分析するための、シート状ま
たはフイルム状多層一体型分析材料において、液
体試料を分析材料上に供給するに当り、試料をあ
る一定面積に正確に限定して均一供給できるよう
に、最外層に支持体、試薬層、必要により設けら
れる光遮蔽層のうちで最小のものの大きさを越え
ない一定面積のポーラス層を多層分析材料の最外
層に密着して設けたことを特徴とする構造の多層
一体型分析材料に係るものである。

水性液体試料、特に血液、血清、尿などの生体
液の分析に、シート状またはフイルム状の多層一
体型分析材料を用いることは、特開昭49−53888
号、特開昭51−40191号、特開昭52−3488号、特
開昭53−89796号、特開昭53−131089号などによ
つて公知である。これらは展開層、反応試薬や媒
染剤などを含む試薬層、バリヤ層、光遮蔽層、拡
散防止層などの種々の機能層を組合わせた多層一
体型のシート状分析材料であり、特に単位面積当
りほぼ一定容量の水性液体試料を試薬層に供給で
きるような構造の展開層、すなわち非繊維質等方
多孔性展開層を用いる必要がある。

本考案は、光透過性水不透過性支持体の上に親
水性ポリマーバインダーを含む少なくとも一つの
試薬層、および該支持体から最も遠い層としてそ
の隣接層に密接する液体試料点着供給用ポーラス
層が積層一体化された構成を有し、該ポーラス層
に隣接する層は親水性ポリマーバインダーを含む
層であり、該ポーラス層が該支持体、および該試
薬層のいずれよりも小さい一定面積であり、かつ
該試薬層の縁辺で規定される形の範囲内にあるこ
とを特徴とする多層一体型分析材料である。

本考案のシート状またはフイルム状多層一体型
分析材料の構造を模型的に示した鳥かん図が第１
図であり、その断面模型図が第２図である。第１
図及び第２図において、水不透過性光透過性（透
明）支持体１の片側に試薬層２、光遮蔽層３が積
層一体型されており、更に最外層に、支持体、試
薬層、光遮蔽層のいずれかの大きさよりも小さい
一定面積の液体試料点着供給用ポーラス層４が貼
付され積層一体型された構造が示されている。こ
こにおいて親水性ポリマーバインダーを含む試薬
層や光遮蔽層に加えて適宜、更にバリヤ層などを
必要により適当な所に追加することができる。液
体試料の点着とは液体試料の液滴を約10mm以内の
近距離からポーラス層に滴下させるかまたは液体
試料をポーラス層に直接付着させることをいう。

試薬層は、液体試料中に存在する分析されるべ
き成分と反応して発色、変色、退色する試薬、ま
たは発色色素や分析されるべき有色成分の媒染剤
などが、親水性バインダーの中に存在する、分析
されるべき成分、分析されるべき有色成分のいず
れかおよび水を透過しうる親水性の層で、その厚
さが約1μmから約50μmの具体的な薄膜状の層で
ある。親水性バインダーとしては、ポリアクリル
アミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドン、マレイン酸−ビニルモノマーコポリマ
ー、ポリビニルベンゼンスルホン酸の如き合成ポ
リマーやゼラチン、寒天の如き天然ポリマーなど
を用いることができる。支持体としては、ポリエ
ステル（例、ポリエチレンテレフタレート
（PET）、ビスフエノールＡのポリカーボネー
ト）、セルロース誘導体（例、セルロースジアセ
テート、セルローストリアセテート、セルロース
アセテートプロピオネート）などにポリマーの板
またはシートやガラス板などを用いることができ
る。

光遮蔽層は、酸化チタン、硫酸バリウム、アル
ミニウム粉末、カーボンブラツクなどの微粉末を
前記親水性バインダーを用いて形成した層で、分
析されるべき成分、分析されるべき有色成分のい
ずれかおよび水を透過しうるもので、その厚さは
約1μmから約50μmの範囲である。液体試料が実
質的に無色であるか、試薬層における発色、変色
又は退色の測光を妨害しない色である場合には、
光遮蔽層を省略することができる。

一定面積の液体試料点着供給用ポーラス層は、
布、紙等の繊維質シート状ポーラス体、メンブラ
ンフイルター、球形または不定形の微粉末を含有
する多孔性構造体などの非繊維質多孔体を用いる
ことができるが、水に対する濡れがよく、水を点
着したとき、水の滲透展開した跡がなるべく円形
に近いものが好ましい。ポーラス層の形状は円形
や多角形など特に制限はないが点着された液体試
料がなるべく均一に展開されるという観点から円
形のものが好ましい。

このポーラス層に供給される液体試料の量はポ
ーラス層が保持しうる水分量の１倍以上が必要で
約1.5倍から約４倍の範囲の量が適当である。そ
こでポーラス層の面積を決定するには、まずこの
分析材料は常に何μの液体試料を用いるかを決
めた後、ポーラス層の面積は何cm²がよいかを実験
的に決定することができる。ポーラス層の大きさ
は試薬層の大きさを越えることはなく、ポーラス
層の形も試薬層で規定される形の範囲内におさま
る形である。試薬層の他の層の大きさおよび形が
試薬層の大きさおよび形を越えない場合には、ポ
ーラス層はそれらのうちで最小の大きさおよび形
の層を越えない大きさおよび形である。

本考案の多層一体型分析材料を、第３図に示し
た如く、特開昭49−53888号明細書に開示された
従来の分析材料と比較して特徴を述べる。第３図
において第１図及び第２図に示したと同じくそれ
ぞれ１は透明支持体、２は試薬層、３は光遮蔽層
を示し、５は点着された液体試料を展延する、ポ
ーラスな構造の展開層である。

本考案の分析材料と従来品との相違は、第２図
と第３図を較べれば明白なように、液体試料を点
着供給するポーラス層が、その下側にある試薬層
または光遮蔽層の全面をカバーする形式になつて
いるのが従来型であり、光遮蔽層上の或る局限さ
れた面積だけをカバーする形式になつている、す
なわち、ポーラス層が支持体、試薬層および光遮
蔽層のうちの最も小さいものの大きさよりも小さ
いのが本考案の型式である。

第１図および第２図に示されるように本考案の
好ましい１実施態様では、ポーラス層は試薬層ま
たは光遮蔽層より小さい円形でかつ試薬層または
光遮蔽層のいずれの縁辺にも接していない、すな
わち試薬層または光遮蔽層の縁辺で規定される形
の内側にある。

従来型の多層一体型分析材料の場合、展開層に
点着される試料の容量と、点着された試料が展開
層上で展延する面積との間にはほぼ比較関係があ
り、たとえば10μの試料液を点着すると展開面
積が0.5cm²となり、20μの場合は１cm²、30μの
場合は1.5cm²となり、結局試薬層に供給される試
料の濃度は一定となりこれを加減することは不可
能である。本考案の分析材料は、そのポーラス層
に試料を点着すると、試料はポーラス層が接して
いる面積の範囲だけに限定して、試料が試薬層に
供給されるので、20μの試料を点着したときは
10μを点着したときの２倍の量の試料が供給さ
れるので、結果として２倍の濃度の試料が供給さ
れたのと同じ結果となる。この事は液体試料中に
存在する量の少いものの定量に著しく有利であ
る。たとえば血清中のビリルビンの如く0.5〜１
mg／ｄしか存在しない量のものを定量しようと
するとき、従来型の多層一体型分析材料に較べ本
考案の多層一体型分析材料は、正常値範囲の物質
濃度の試料で、その発色濃度が約２倍に向上し、
定量が著るしく容易になつた。即ち本考案の分析
材料は、従来のものが不可能であつた試料液の濃
縮操作を、液体試料点着供給用ポーラス層の面積
を局限することによつて、結果的に可能にした点
が大きな特徴である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の多層一体型分析材料の鳥かん
模型図、第２図はその断面模型図であり、第３図
は従来型の多層一体型分析材料の断面模型図であ
る。 １……水不透過性光透過性支持体、２……試薬
層、３……光遮蔽層、４……液体試料点着供給用
ポーラス層、５……展開層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 光透過性水不透過性支持体の上に親水性ポリ
   マーバインダーを含む少なくとも一つの試薬
   層、および該支持体から最も遠い層としてその
   隣接層に密接する液体試料点着供給用ポーラス
   層が積層一体化された構成を有し、該ポーラス
   層に隣接する層は親水性ポリマーバインダーを
   含む層であり、該ポーラス層が該支持体、およ
   び該試薬層のいずれよりも小さい一定面積であ
   り、かつ該試薬層の縁辺で規定される形の範囲
   内にあることを特徴とする多層一体型分析材
   料。 (2) 該ポーラス層と該試薬層との間に親水性ポリ
   マーバインダーを含む光遮蔽層が設けられてい
   る実用新案登録請求の範囲１に記載の分析材
   料。 (3) 該ポーラス層が該試薬層または該光遮蔽層よ
   り小さい円形でかつ該試薬層または該光遮蔽層
   の縁辺に接していない実用新案登録請求の範囲
   １または２に記載の分析材料。