JPH06107474A - 無機多孔体 - Google Patents

無機多孔体

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JPH06107474A
JPH06107474A JP4256980A JP25698092A JPH06107474A JP H06107474 A JPH06107474 A JP H06107474A JP 4256980 A JP4256980 A JP 4256980A JP 25698092 A JP25698092 A JP 25698092A JP H06107474 A JPH06107474 A JP H06107474A
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JP
Japan
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inorganic
pillar material
metal catalyst
compound
oxide
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Application number
JP4256980A
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English (en)
Inventor
Toshiji Sako
利治 佐古
Masaru Yokoyama
勝 横山
Koichi Takahama
孝一 高濱
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 触媒等としての機能が向上した有用性の高い
無機層状多孔体を提供する。 【構成】 金属触媒3を担持した無機ピラー材2を無機
層状化合物1の層間1aに存在させるとともに、無機ピ
ラー材2として、価数の異なる金属を含む複合酸化物を
用いるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、触媒を担持させた無
機多孔体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無機多孔体としては、たとえば、
層間に無機ピラー材が挿入(インタカレーション)され
ている無機層状化合物からなる無機多孔体がある(以
下、これを適宜「無機層状多孔体」と言う)。この無機
層状多孔体は、層間に無機ピラー材が支柱として挿入さ
れていることにより層間隔が大きく保たれているため、
比表面積や細孔容積がアルミナやゼオライトよりも増え
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近、このような無機
層状多孔体の機能を向上させて有用性を高めることが強
く望まれている。そこで、この発明は、機能が向上した
有用性の高い無機層状多孔体を提供することを課題とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、発明者らは、種々検討した結果、前述の無機層状多
孔体の層間に白金等の触媒機能を有する金属を保持させ
るようにすれば、触媒機能を発揮する多孔体になり、そ
の有用性が増すことに着想し、最近になって、金属触媒
を酸化物からなる無機ピラー材に担持させた形で層間に
存在させた無機層状多孔体を開発した。この無機層状多
孔体は、たとえば、酸化性に富んだ触媒として用いるこ
とができる。
【0005】ところが、追試した結果、金属触媒を酸化
物からなる無機ピラー材に担持させた形で層間に存在さ
せた上記無機層状多孔体は、場合によっては触媒機能が
充分でないことがあるという問題が新たに生じた。発明
者らは、この新たな問題を解消するため、さらに検討を
重ね、前述の無機層状多孔体において金属触媒を担持さ
せる無機ピラー材として用いられている酸化物は、酸化
チタン等の金属の単独酸化物(単純な酸化物)であり、
これが原因であると考えた。そこで、金属触媒を担持さ
せる無機ピラー材として、金属の単独酸化物の代わり
に、価数の異なる金属を含む複合酸化物を用いるように
したところ、多孔体の触媒機能がさらに向上することを
実験で確認して、この発明を完成した。
【0006】したがって、この発明にかかる無機多孔体
は、金属触媒を担持した無機ピラー材が層間に挿入され
ている無機層状化合物からなる無機多孔体であって、前
記無機ピラー材が、価数の異なる金属を含む複合酸化物
であることを特徴とする。以下、この発明を具体的に説
明する。この発明で用いられる無機層状化合物として
は、特に限定はされないが、膨潤性を有し、層間への無
機ピラー材の挿入が容易なものが好ましく、たとえば、
Na−モンモリロナイト、Ca−モンモリロナイト、合
成スメクタイト、酸性白土、合成雲母、Na−テニオラ
イト、Li−テニオライト、Na−ヘクトライト、Li
−ヘクトライトなどのフィロケイ酸塩化合物などが挙げ
られる。無機層状化合物は、1種のみまたは2種以上併
せて使用される。
【0007】この発明で用いられる無機ピラー材は、価
数の異なる金属を含む複合酸化物である。この複合酸化
物は、特に限定されるわけではないが、光半導体性を示
すものであることが好ましい。無機ピラー材として光半
導体性を示す複合酸化物を用いた場合、後で述べる光デ
ポジション法により金属触媒を無機ピラー材に担持させ
ることが可能になるとともに、多孔体の触媒性能がさら
に向上するからである。なお、「光半導体性を示すも
の」とは、光照射(例えば、紫外線照射)により励起さ
れ多数のキャリア(ホールまたは電子)が充満帯から伝
導帯に移行するものを意味するものである。
【0008】無機ピラー材として使用される複合酸化物
の具体例としては、特に限定はされないが、たとえば、
下記A群の中から選ばれた少なくとも2種の酸化物の複
合物、または、下記A群の中から選ばれた少なくとも1
種の酸化物と、下記B群の中から選ばれた少なくとも1
種の酸化物との複合物等が挙げられる。ここで、A群は
CuO、ZnO、CdO、TiO2 、SnO2 、V2
5 、Fe2 3 、Fe 3 4 およびWO3 であり、B群
は、ZrO2 、SiO2 およびAl2 3 である。ただ
し、上記A群およびB群のそれぞれの群においては、価
数の等しい金属の酸化物が入っているが(たとえば、A
群におけるCuOとZnO等、B群におけるZrO2
SiO2 等)、複合酸化物中に価数の異なる金属が含ま
れるようにして選ばれる。より具体的には、たとえば、
TiO2 (チタンの価数=IV)とV2 5 (バナジウム
の価数=V)との複合物、TiO2 (チタンの価数=I
V)とAl2 3 (アルミニウムの価数=III)との複合
物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】無機ピラー材は、1種のみを用いてもよい
し、2種以上を併用してもよい。無機ピラー材に担持さ
せる金属触媒の金属としては、特に限定はされないが、
たとえば、白金、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロ
ジウム、銅、ニッケル、マンガン、コバルト等が挙げら
れる。金属触媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以
上を併用してもよい。
【0010】この発明の無機層状多孔体における膨潤性
層状化合物、無機ピラー材および金属触媒の割合は、特
に限定されるわけではないが、普通、膨潤性層状化合物
100重量部に対し、無機ピラー材10〜150重量
部、金属触媒0.1〜5.0重量部の範囲とされる。こ
の発明の無機多孔体は、特に限定されるわけではない
が、たとえば、以下に説明する方法により製造すること
ができる。
【0011】まず、無機層状化合物を後述の溶媒と混合
し、層間に溶媒を含ませた状態(膨潤状態)にして層間
間隔を広げることにより、無機ピラー材を挿入しやすく
する。膨潤時の無機層状化合物の層間間隔は、例えば、
粘土系化合物の場合(粘土系化合物の0.8重量%分散
液)で150Å以上である。なお、Ca−モンモリロナ
イト、酸性白土等の難膨潤性のものを用いる場合、膨潤
させる時に混練などにより強い剪断力を加えるのがよ
い。
【0012】無機層状化合物の膨潤に用いる溶媒として
は、特に限定はされず、例えば、水、エタノール、メタ
ノール、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO
(ジメチルスルホキシド)、アセトン等の極性溶媒等が
挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは2種類以
上併せて用いられる。一般には水を使うことが多い。次
に、上記のようにして膨潤させた無機層状化合物の層間
に無機ピラー材を挿入する。
【0013】その際に用いられる無機ピラー材の原料と
しては、特に限定はされないが、たとえば、以下に具体
例を述べる、金属アルコキシド(金属アルコラートとも
言う)、陽イオン性無機化合物、コロイド状無機化合物
等の中から、前述の複合酸化物を生成するように組み合
わせて用いられる。これらの組み合わせの原料は、無機
層状化合物の層間に同時に挿入するようにしてもよい
し、一部を挿入した後で残りを挿入するようにしてもよ
い。
【0014】金属アルコキシドとしては、特に限定はさ
れないが、たとえば、Cu(OR)、Zn(OR)2、C
d(OR)2、Ti(OR)4、Sn(OR)4、V(O
R)5、Fe(OR)3、W(OR)6、Zr(OR)6、Si
(OR)4、Al(OR)3等が挙げられる(ただし、Rは
1価の炭化水素基を表す)。陽イオン性無機化合物とし
ては、特に限定はされないが、たとえば、チタン系化合
物、ジルコニウム系化合物、アルミニウム系化合物、鉄
系化合物、銅系化合物、亜鉛系化合物等が挙げられる。
【0015】コロイド状無機化合物としては、特に限定
はされないが、たとえば、チタニアゾル、酸化鉄ゾル、
ジルコニアゾル等が挙げられる。無機ピラー材として金
属アルコキシドを用いる場合、金属アルコキシドを水、
アルコール等で希釈し、酸性または塩基性の触媒を添加
して、金属アルコキシドの加水分解と解膠を行う。この
時に用いられる酸性触媒としては、特に限定はされない
が、たとえば、塩酸、硝酸等が挙げられる。塩基性触媒
も、特に限定はされず、たとえば、アンモニア水、ピペ
リジン、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。これ
らの触媒を添加し、充分に加水分解と解膠を行った溶液
を、上記で膨潤させた無機層状化合物に添加して、挿入
(インタカレーション)反応させる。
【0016】無機ピラー材として陽イオン性無機化合物
を用いる場合、陽イオン性無機化合物を水、または、水
と親水性有機溶媒との混合溶媒等に添加して溶解させ、
得られた溶液を前記で膨潤させた無機層状化合物に添加
して、挿入反応させる。無機ピラー材としてコロイド状
無機化合物を用いる場合、表面がプラスに帯電している
ものはそのまま、マイナスに帯電しているものは陽イオ
ン性無機化合物を添加して表面をプラスに帯電させた
後、前記で膨潤させた無機層状化合物に添加して、挿入
反応させる。
【0017】なお、無機ピラー材として、金属アルコキ
シド、陽イオン性無機化合物およびコロイド状無機化合
物のうちの2つ以上を用いる場合には、これらを混合し
た後で、無機層状化合物に添加することが好ましい。無
機層状化合物の層間に無機ピラー材を挿入する際の反応
温度、時間は、特に限定はされないが、好ましくはそれ
ぞれ60℃、1.5時間程度である。
【0018】そうすると、金属触媒無担持の無機ピラー
材が、膨潤した無機層状化合物の層間に挿入される。そ
の後、金属触媒を層間の無機ピラー材に担持させる。そ
の結果、図1に示すように、金属触媒3を担持させた無
機ピラー材2が、膨潤した無機層状化合物1の層間1a
に挿入された状態となる。なお、図1は、便宜上、乾燥
後の無機層状化合物で示してある。
【0019】この他、図2にみるように、無機ピラー材
に金属触媒を担持させてから、この金属触媒担持済の無
機ピラー材の分散液を、予め膨潤させておいた無機層状
化合物に添加し、図1に示すように、金属触媒を担持さ
せた無機ピラー材2が、膨潤した無機層状化合物1の層
間1aに挿入された状態とするようにしてもよい。この
ように、無機ピラー材に金属触媒を担持させる時機につ
いては限定はされず、無機層状化合物の層間に無機ピラ
ー材を挿入する前でもよいし、挿入した後でもよいので
ある。また、挿入の前後の両方にまたがって行うように
してもよい。
【0020】無機ピラー材に金属触媒を担持させる方法
としては、特に限定はされず、たとえば、含浸法、沈澱
法、光デポジション法(光電着法)等が挙げられる。無
機ピラー材への金属触媒の担持を容易にするためには、
光デポジション法が好ましい。光デポジション法を行う
場合は、前述したように、無機ピラー材として光半導体
性を有するものを用いる。
【0021】光デポジション法により金属触媒を無機ピ
ラー材に担持させる方法は、たとえば、次のようにして
行う。無機層状化合物の層間に無機ピラー材を挿入した
後で光デポジション法により金属触媒の担持を行う場
合、光半導体性無機ピラー材を無機層状化合物の層間に
挿入させた後、金属触媒の原料となるもの(金属触媒生
成用物質)を含む溶液を添加し、紫外線を照射する。紫
外線を照射することにより、光半導体性の無機ピラー材
が励起され、電荷分離する。電荷分離により生じたホー
ルと電子のうちの電子による還元析出作用で金属触媒が
粒子状に析出して無機ピラー材に担持される。
【0022】なお、この場合、無機ピラー材の挿入反応
後、必要に応じて溶媒置換を行うことがある。無機ピラ
ー材と金属触媒生成用物質とを同じ溶媒中に存在させ光
デポジション法により金属触媒粒子の析出担持を行う場
合、溶媒として、光デポジションの際の光照射で前記無
機ピラー材の表面に生成するキャリアとの反応性が低い
溶媒、例えば、アセトン、トルエン、ベンゼン等にする
とよい。光デポジションの際の光照射で前記無機ピラー
材の表面に生成するキャリア(例えば、ホール)との反
応性が低い溶媒の場合、金属触媒粒子の析出反応の進行
が妨げられることなく、速やかに反応が進む。ホールと
の反応性の高い溶媒の場合、金属触媒粒子の析出が溶媒
中で起こり、肝心の光半導体性化合物への金属触媒粒子
の析出担持が阻害される。
【0023】無機層状化合物の層間に無機ピラー材を挿
入する前に光デポジション法により金属触媒の担持を行
う場合、光デポジション法で無機ピラー材に金属触媒粒
子を析出担持させてから、金属触媒粒子担持済の無機ピ
ラー材の分散液を、予め膨潤させておいた無機層状化合
物に添加することにより、金属触媒粒子を析出担持させ
た無機ピラー材が無機層状化合物の層間に挿入された状
態とするようにする。金属触媒粒子を析出担持させた無
機ピラー材は、光半導体性の無機ピラー材と金属触媒粒
子の生成物質である金属イオン含む混合溶液に紫外線照
射することで、つまり光デポジション法を用いて容易に
作れる。この場合も、混合溶液の溶媒がアセトン、トル
エン、ベンゼン等の光デポジションの際の光照射で無機
ピラー材の表面に生成するキャリアとの反応性が低い溶
媒が好ましいことは上と同じである。
【0024】前述したように、無機ピラー材への金属触
媒の担持は、無機層状化合物の層間への無機ピラー材の
挿入の前でも後でもよいのであるが、光デポジション法
を用いる場合は、無機ピラー材への金属触媒の担持は、
無機層状化合物の層間に無機ピラー材を挿入する前に行
うよりも、無機層状化合物の層間に無機ピラー材を挿入
した後で行う方が容易である。光デポジション法の場
合、金属触媒の原料を含む溶液のpHを中性に近い値に設
定するので、先に挿入をしてしまった方が溶液を光デポ
ジション法に適した中性付近へ設定しやすいからであ
る。
【0025】なお、紫外線照射の際、添加剤として、エ
タノール、メタノール、酢酸、シュウ酸の少なくとも1
つを溶液に加えることが望ましい。これは金属粒子を効
率よく析出させられるからであり、無添加だと析出時間
が長くなる。続いて、上記のようにして得られた混合液
を遠心分離等により固液分離してゲル状化したのち、ヘ
ラ等を用い板状に配向させたり、成形したりする。つい
で、この板状体(または、成形体)を後述の方法により
乾燥することにより、金属触媒が担持された無機ピラー
材が無機層状化合物の層間に挿入されてなる無機層状多
孔体が得られる。その際、勿論、混合液の状態から成
形、配向などを行わずに乾燥を行うようにしてもよい。
また、必要に応じては、もっと前の工程においても後述
の方法により乾燥を行ってよい。たとえば、金属触媒無
担持の無機ピラー材を無機層状化合物の層間に挿入反応
させた後、これを一旦乾燥させ、その後で、無機ピラー
材への金属触媒の担持を行うようにしてもよいのであ
る。
【0026】乾燥の方法としては、特に限定はされず、
たとえば、通常の加熱乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、超臨
界乾燥(超臨界状態でなされる乾燥)、液体二酸化炭素
抽出乾燥等が挙げられるが、得られる多孔体の多孔性を
より高くするためには、上記乾燥方法の中でも、超臨界
乾燥または液体二酸化炭素抽出乾燥が好ましい。乾燥
は、1種のみの乾燥方法により行ってもよいし、2種以
上の乾燥方法を併用してもよい。
【0027】超臨界乾燥を行う場合、例えば次のように
する。なお、この明細書では、超臨界状態とは、臨界点
を越えた場合のみでなく、ちょうど臨界点にある場合も
含む。超臨界状態で乾燥する具体的方法としては、例え
ば、層間に含有されている水など、無機層状化合物が保
持含有する溶媒を直接、加熱、加圧し、その溶媒の臨界
点以上の状態に到達させて、溶媒を除去し乾燥させると
いう方法がある。
【0028】ただし、この場合には、水等のように極め
て高い臨界点(水の臨界温度374.2℃、水の臨界圧
217.6気圧)を持つ溶媒を用いると、特殊なオート
クレーブ等を用いなければならなくなる。これを避ける
ためには、無機層状化合物が含有する溶媒をそれよりも
臨界点の低い溶媒に置換した後、超臨界乾燥する。たと
えば、無機層状化合物が水を含有している場合、水をエ
タノールで置換して、エタノールの臨界点以上の温度、
圧力に加熱加圧して、超臨界乾燥してもよいし、あるい
は、水をエタノールで置換した後、さらに、二酸化炭素
を加えていき、徐々にエタノールを二酸化炭素に置換し
ながら、二酸化炭素とエタノールの2成分系の臨界点以
上の温度、圧力に加熱加圧して、超臨界乾燥してもよ
い。エタノールが抽出除去された後、常温、常圧に戻せ
ば、乾燥工程は終了する。エタノールを二酸化炭素で置
換する場合、臨界点以上の二酸化炭素を系に送りこんで
置換させるようにすることもできる。また、エタノール
をすべて二酸化炭素に置換した後、二酸化炭素の単独系
の臨界点以上の温度、圧力に加熱加圧して、超臨界乾燥
してもよい。
【0029】なお、溶媒として利用可能な流体は、上記
のものに限らない。実用的な範囲で超臨界状態化するこ
とが可能なものとしては、種々あるが、たとえば、エタ
ノール、メタノール、二酸化炭素、ジクロロジフルオロ
メタン、エチレンなどが挙げられる。参考のため、主要
な流体についての臨界条件を以下に示す。 流体の種類 臨界温度(℃) 臨界圧力(atm) 水 374.2 217.6 メタノール 240.0 78.7 エタノール 243.1 63.1 二酸化炭素 31.1 72.8 ジクロロジフルオロメタン 111.9 40.7 液体二酸化炭素抽出により乾燥を行う場合も、工程的に
は、前記の超臨界乾燥と同様の方法で行う。ただし、こ
の場合は、温度圧力とも、臨界点より低い状態で乾燥を
行うことができる。
【0030】参考のために、図3に、二酸化炭素の圧力
−温度−密度の関係を示す状態図を示した。この図中、
領域Qはガス域であり、領域Rは液体域であり、領域S
は超臨界ガス域である。点CPは臨界点である。二酸化
炭素を媒体とする超臨界乾燥は領域S内の温度圧力下で
行い、液体二酸化炭素抽出による乾燥は領域R内の温度
圧力下で行う。
【0031】無機層状化合物の乾燥を超臨界乾燥または
液体二酸化炭素抽出乾燥により行うことで無機層状化合
中での無機ピラー材の凝縮、無機層状化合物同士の凝集
などが阻止され、乾燥前の構造をうまく保持しつつ、花
弁状ないしセミの羽状のものがカードハウス状ないしス
ポンジ状に寄せ集まった集合体の無機層状多孔体が得ら
れる。このため、超臨界乾燥または液体二酸化炭素抽出
乾燥を用いた場合には、通常の加熱乾燥、熱風乾燥、凍
結乾燥を用いた場合に比べ、より細孔容積の大きな多孔
体が得られる。
【0032】つまり、図1にみるように、各無機層状化
合物1の層間1aには、金属触媒3を担持させた無機ピ
ラー材2が挿入され、十分な間隙が生じているのみなら
ず、各無機層状化合物1同士の間にも十分な間隙が生じ
ていて、細孔容積が非常に大きくなるのである。それ
に、超臨界乾燥または液体二酸化炭素抽出乾燥の場合、
通常の加熱乾燥や熱風乾燥に比べ、無機ピラー材に担持
させた金属触媒も、粒径が小さく、活性表面積が大きく
なる傾向がみられる。その結果、図1にみるように、層
間に存在する金属触媒がより効果的に触媒機能等を発揮
するようになる。
【0033】
【作用】金属触媒が担持された無機ピラー材を無機層状
化合物の層間に挿入して無機層状多孔体を構成するよう
にすると、無機層状化合物の層間に無機ピラー材が挿入
されることにより、層間隔が広がり、比表面積および細
孔容積が大きくなるため、高多孔性の無機層状多孔体に
なる。金属触媒は、凝縮することなく、無機ピラー材へ
の担持という形で多孔体中に十分に分散された状態であ
るため、活性表面積が大きくなり、触媒機能が向上する
とともに、金属触媒は、無機ピラー材に担持された形で
無機層状多孔体の層間に存在し、外部の触媒毒から保護
されるため、経時劣化が少なくなる。
【0034】さらに、この発明では、無機ピラー材とし
て、価数の異なる金属を含む複合酸化物を用いるように
している。すると、無機ピラー材として金属の単独酸化
物を用いた場合に比べて、上記複合酸化物が酸素欠陥
(ホール)を有するため、酸化性の触媒機能がさらに向
上する。
【0035】
【実施例】次に、この発明の実施例を説明するガ、この
発明は、下記実施例に限定されない。 −実施例1− 金属アルコキシドであるTi(OC3 7 4 にエタノ
ールと2N塩酸を加え、加水分解を行い、さらにV(O
CH3 5 を予め2N塩酸で解膠したものを加えて、無
機ピラー材を作った。これを、水で膨潤状態にあるNa
−モンモリロナイトの0.8重量%水溶液に添加して、
インタカレーション反応させた。その際、反応温度は6
0℃、反応時間は1.5時間であった。
【0036】反応後、エタノールで数回洗浄した後、二
酸化炭素を添加しながら40℃、80気圧で8時間かけ
て超臨界乾燥させた。その後、500℃で4時間焼成し
て、多孔体を得た。次いで、この多孔体を粉砕し、これ
に、塩化白金酸(H2 PtCl6 ・6H2O)の水溶液
を滴下しながら攪拌して、金属触媒を担持させた。この
後、80℃で8時間、通常の加熱乾燥を行った後、水素
気流下、450℃で4時間焼成することにより、触媒担
持無機多孔体を得た。
【0037】この無機多孔体中の各成分の重量比は、N
a−モンモリロナイト:TiO2 :V2 5 :Pt=
1:0.45:0.15:0.025であった。 −実施例2− 実施例1において、V(OCH3 5 の代わりにW(O
CH3 6 を用いるようにしたこと以外は実施例1と同
様にして、触媒担持無機多孔体を得た。
【0038】この無機多孔体中の各成分の重量比は、N
a−モンモリロナイト:TiO2 :WO3 :Pt=1:
0.45:0.15:0.025であった。 −実施例3− 実施例1において、Ti(OC3 7 4 の代わりにS
n(OC3 7 4 を用いるようにしたこと以外は実施
例1と同様にして、触媒担持無機多孔体を得た。
【0039】この無機多孔体中の各成分の重量比は、N
a−モンモリロナイト:SnO2 :V2 5 :Pt=
1:0.45:0.15:0.025であった。 −実施例4− 実施例1において、塩化白金酸(H2 PtCl6 ・6H
2 O)の水溶液の代わりにAgNO3 の水溶液を用いる
ようにしたこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持
無機多孔体を得た。
【0040】この無機多孔体中の各成分の重量比は、N
a−モンモリロナイト:TiO2 :V2 5 :Pt=
1:0.45:0.15:0.025であった。 −実施例5− 実施例1において、Na−モンモリロナイトの代わりに
Na−ヘクトライトを用いるようにしたこと以外は実施
例1と同様にして、触媒担持無機多孔体を得た。
【0041】−実施例6− 実施例1において、金属触媒を担持させる前の多孔体に
対し、超臨界乾燥する代わりに熱風乾燥したこと以外は
実施例1と同様にして、触媒担持無機多孔体を得た。 −比較例− 実施例1において、V(OCH3 5 を全く用いないよ
うにしたこと以外は実施例1と同様にして、触媒担持無
機多孔体を得た。
【0042】この無機多孔体中の各成分の重量比は、N
a−モンモリロナイト:TiO2 ::Pt=1:0.
6:0.025であった。実施例1〜6および比較例で
得られた触媒担持無機多孔体について、一酸化炭素(C
O)除去機能を以下のようにして調べた。反応管に触媒
担持無機多孔体を詰め、この反応管に紫外線を照射しな
がら一酸化炭素含有空気(CO初期濃度30ppm)を
流し、1時間経過後のCO除去率(v/v %)をガスクロ
マトグラフィーで測定した。その結果は下記の通りであ
った。
【0043】実施例1…84% 実施例2…56% 実施例3…79% 実施例4…30% 実施例5…80% 実施例6…38% 比較例 …27% 上記結果にみるように、無機ピラー材として複合酸化物
を有する実施例1〜6の多孔体は、無機ピラー材として
単独酸化物を有する比較例の多孔体に比べて、一酸化炭
素除去性能に優れており、酸化活性が高いことが確認さ
れた。
【0044】
【発明の効果】この発明にかかる無機多孔体は、比表面
積や細孔容積が大きく、高い多孔性を有しているととも
に、金属触媒を担持しているため酸化反応等の触媒機能
等に優れおり、その有用性は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の無機多孔体の大略構成をあらわす説
明図である。
【図2】金属触媒を析出させた無機ピラー材と膨潤状態
にある無機層状化合物の大略構成をあらわす説明図であ
る。
【図3】二酸化炭素の圧力−温度−密度の関係を示す状
態図である。
【符号の説明】
1 無機層状化合物 1a 層間 2 無機ピラー材 3 金属触媒

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属触媒を担持した無機ピラー材が層間
    に挿入されている無機層状化合物からなる無機多孔体で
    あって、前記無機ピラー材が、価数の異なる金属を含む
    複合酸化物であることを特徴とする無機多孔体。
  2. 【請求項2】 複合酸化物が、CuO、ZnO、Cd
    O、TiO2 、SnO 2 、V2 5 、Fe2 3 、Fe
    3 4 およびWO3 からなるA群の中から選ばれた少な
    くとも2種の酸化物の複合物であるか、または、前記A
    群の中から選ばれた少なくとも1種の酸化物と、ZrO
    2 、SiO2 およびAl2 3 からなるB群の中から選
    ばれた少なくとも1種の酸化物との複合物である請求項
    1記載の無機多孔体。
  3. 【請求項3】 金属触媒が、白金、金、銀、パラジウ
    ム、ルテニウム、ロジウム、銅、ニッケル、マンガンお
    よびコバルトからなる群の中から選ばれた少なくとも1
    種である請求項1または2記載の無機多孔体。
  4. 【請求項4】 無機層状化合物が、Na−モンモリロナ
    イト、Ca−モンモリロナイト、合成スメクタイト、酸
    性白土、合成雲母、Na−テニオライト、Li−テニオ
    ライト、Na−ヘクトライトおよびLi−ヘクトライト
    からなる群の中から選ばれた少なくとも1種である請求
    項1から3までのいずれかに記載の無機多孔体。
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