JPH06107019A - 4輪駆動車の伝達駆動輪へのトルク伝達量制御装置 - Google Patents
4輪駆動車の伝達駆動輪へのトルク伝達量制御装置Info
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- JPH06107019A JPH06107019A JP25975892A JP25975892A JPH06107019A JP H06107019 A JPH06107019 A JP H06107019A JP 25975892 A JP25975892 A JP 25975892A JP 25975892 A JP25975892 A JP 25975892A JP H06107019 A JPH06107019 A JP H06107019A
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- transmission
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- torque transmission
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 小型、軽量、コンパクトなトランスファ装置
等の機器の追加で4輪駆動化を実現する。 【構成】 4輪駆動車の伝達駆動輪(前輪駆動ベースな
らば後輪、後輪駆動ベースなれば前輪)へのトルク伝達
量を制御するにあたって、トルク伝達量を制御する摩擦
係合手段の摩擦係数を検出し、該摩擦係数を考慮した上
で、トルク伝達量が所定値以下に常に維持されるように
油圧制御する。
等の機器の追加で4輪駆動化を実現する。 【構成】 4輪駆動車の伝達駆動輪(前輪駆動ベースな
らば後輪、後輪駆動ベースなれば前輪)へのトルク伝達
量を制御するにあたって、トルク伝達量を制御する摩擦
係合手段の摩擦係数を検出し、該摩擦係数を考慮した上
で、トルク伝達量が所定値以下に常に維持されるように
油圧制御する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4輪駆動車の伝達駆動
輪へのトルク伝達量を制御する装置に関する。
輪へのトルク伝達量を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、4輪駆動車の伝達駆動輪(前輪駆
動ベースの車両の場合後輪、後輪駆動ベースの車両の場
合前輪)へのトルク伝達量を制御する技術が提案されて
いる。
動ベースの車両の場合後輪、後輪駆動ベースの車両の場
合前輪)へのトルク伝達量を制御する技術が提案されて
いる。
【0003】一般に、この種の4輪駆動車においては、
前後輪の回転速度差が大きくなったときにスリップが発
生していると判断して伝達駆動輪へのトルク伝達量を増
大するような制御がなされる。
前後輪の回転速度差が大きくなったときにスリップが発
生していると判断して伝達駆動輪へのトルク伝達量を増
大するような制御がなされる。
【0004】一方、例えば特公平04−17806号公
報において、機関に直結した車輪(前輪駆動ベースの場
合前輪、後輪駆動ベースの場合後輪)と伝達駆動輪との
スリップ比が、適正な目標スリップ比となるように、伝
達駆動輪への伝達トルクを制御する技術も提案されてい
る。
報において、機関に直結した車輪(前輪駆動ベースの場
合前輪、後輪駆動ベースの場合後輪)と伝達駆動輪との
スリップ比が、適正な目標スリップ比となるように、伝
達駆動輪への伝達トルクを制御する技術も提案されてい
る。
【0005】この技術によれば、エンジンの発生する動
力を路面とタイヤ間で最も大きな動力が伝達される範囲
で使用可能なため、無駄なく車両の駆動力として活用す
ることができるようになり、それだけ効率的に大きな動
力を得ることができる。
力を路面とタイヤ間で最も大きな動力が伝達される範囲
で使用可能なため、無駄なく車両の駆動力として活用す
ることができるようになり、それだけ効率的に大きな動
力を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにしてエンジンの発生する動力を無駄なく活用するよ
うにした場合、例えばエンジン側から非常に大きな駆動
力が伝達されてきたときに、従来ならば該機関と直結さ
れた車輪(前輪駆動ベースならば前輪)がある程度スリ
ップし、トランスファにその大きな駆動力がそのまま掛
かってくることはなかったが、前述したような、制御に
よって前輪が後輪に対し適性な目標スリップ率を越えた
場合に後輪に対するトルク伝達量を増大させるようにし
た車両においては、トランスファにより直接的に大きな
駆動力が掛かってくることになる。
うにしてエンジンの発生する動力を無駄なく活用するよ
うにした場合、例えばエンジン側から非常に大きな駆動
力が伝達されてきたときに、従来ならば該機関と直結さ
れた車輪(前輪駆動ベースならば前輪)がある程度スリ
ップし、トランスファにその大きな駆動力がそのまま掛
かってくることはなかったが、前述したような、制御に
よって前輪が後輪に対し適性な目標スリップ率を越えた
場合に後輪に対するトルク伝達量を増大させるようにし
た車両においては、トランスファにより直接的に大きな
駆動力が掛かってくることになる。
【0007】従って、このような制御を採用した車両に
おいては、必然的にエンジンの発生し得る最大負荷に相
当するような負荷が所定回数掛かったとしても、なお耐
久性上問題が発生しないような大型の(負荷容量の高
い)トランスファを用意しなければならず、その分重量
が増大し(燃費が悪化し)、占有容積が増大し(有効車
室内空間が減少し)、又コストも増大するという問題が
あった。
おいては、必然的にエンジンの発生し得る最大負荷に相
当するような負荷が所定回数掛かったとしても、なお耐
久性上問題が発生しないような大型の(負荷容量の高
い)トランスファを用意しなければならず、その分重量
が増大し(燃費が悪化し)、占有容積が増大し(有効車
室内空間が減少し)、又コストも増大するという問題が
あった。
【0008】しかしながら、その一方で、耐久性(広い
意味での安全性)を確実に維持すると共に、より軽量
で、よりコンパクトで、且つより安価な4輪駆動システ
ムを求める社会的ニーズは非常に強いものがある。
意味での安全性)を確実に維持すると共に、より軽量
で、よりコンパクトで、且つより安価な4輪駆動システ
ムを求める社会的ニーズは非常に強いものがある。
【0009】本発明は、このようなニーズに鑑みて成さ
れたものであって、より軽量、よりコンパクト、且つよ
り安価なトランスファ装置等を用いながら、優れた耐久
性を確実に維持することのできる4輪駆動車の伝達駆動
輪へのトルク伝達量制御装置を提供することをその目的
としている。
れたものであって、より軽量、よりコンパクト、且つよ
り安価なトランスファ装置等を用いながら、優れた耐久
性を確実に維持することのできる4輪駆動車の伝達駆動
輪へのトルク伝達量制御装置を提供することをその目的
としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1にその要
旨を示すように、4輪駆動車の伝達駆動輪へのトルク伝
達量制御装置において、前記トルク伝達量を調整する摩
擦係合手段と、該摩擦係合手段の摩擦係数を検出する手
段と、該摩擦係数を考慮した上で、前記摩擦係合手段の
トルク伝達量が常に所定値以下に維持されるように制御
する手段とを備えたことにより、上記課題を解決したも
のである。
旨を示すように、4輪駆動車の伝達駆動輪へのトルク伝
達量制御装置において、前記トルク伝達量を調整する摩
擦係合手段と、該摩擦係合手段の摩擦係数を検出する手
段と、該摩擦係数を考慮した上で、前記摩擦係合手段の
トルク伝達量が常に所定値以下に維持されるように制御
する手段とを備えたことにより、上記課題を解決したも
のである。
【0011】
【作用】本発明においては、まず伝達駆動輪へのトルク
伝達量を調整する摩擦係合手段の摩擦係数を検出し、こ
の摩擦係数を考慮した上で、該摩擦係合手段のトルク伝
達量が常に所定値以下に維持されるように制御するよう
にしている。
伝達量を調整する摩擦係合手段の摩擦係数を検出し、こ
の摩擦係数を考慮した上で、該摩擦係合手段のトルク伝
達量が常に所定値以下に維持されるように制御するよう
にしている。
【0012】本発明において、摩擦係合手段の摩擦係数
を考慮するようにしたのは、一般にこの種の摩擦係合手
段は油圧によってそのトルク伝達量が調整されるが、同
一の油圧をかけた場合であっても、摩擦係数が異なると
確保されるトルク伝達量が異なり、しかもこの摩擦係数
が車両の走行状態に応じてかなり大きく変化するためで
ある。
を考慮するようにしたのは、一般にこの種の摩擦係合手
段は油圧によってそのトルク伝達量が調整されるが、同
一の油圧をかけた場合であっても、摩擦係数が異なると
確保されるトルク伝達量が異なり、しかもこの摩擦係数
が車両の走行状態に応じてかなり大きく変化するためで
ある。
【0013】具体的には、後述の実施例でも明らかなよ
うに、この摩擦係数は例えば摩擦板の相対回転数、即ち
前後輪の回転速度差に応じて大きく変化する。従って、
この摩擦係数をリアルタイムで監視し、該摩擦係数を考
慮した上で摩擦係合手段の油圧を制御することがトルク
伝達量を常に所定値以下に維持するためには必要となっ
てくるものである。
うに、この摩擦係数は例えば摩擦板の相対回転数、即ち
前後輪の回転速度差に応じて大きく変化する。従って、
この摩擦係数をリアルタイムで監視し、該摩擦係数を考
慮した上で摩擦係合手段の油圧を制御することがトルク
伝達量を常に所定値以下に維持するためには必要となっ
てくるものである。
【0014】本発明において、前記「所定値」は、例え
ば雪路等の低μ路で伝達駆動輪のタイヤと路面間に発生
可能なトルク伝達量に設定する。この値はエンジンの発
生し得る最大トルクと比較するとかなり小さめの値であ
る。この結果、伝達駆動輪にはこの小さめの値の「所定
値」以上のトルクは絶対に伝わらないようになるため、
トランスファ装置や伝達駆動輪側へのプロペラシャフ
ト、あるいは伝達駆動輪側のデファレンシャル装置等の
小型化が実現でき、これにより有効車室内空間の拡大や
高い地上高の確保が実現できるようになる。又、これら
の機器を軽量化できることに伴ない、燃費をそれだけ向
上させることもできる。更には、当然に低コスト化も実
現できる。又、この所定値が小さいため高速走行等で前
後輪のタイヤ径差による動力循環トルクが小さいため、
走行抵抗が減って燃費が向上すると共に、タイヤの摩耗
や発熱も低減できる。
ば雪路等の低μ路で伝達駆動輪のタイヤと路面間に発生
可能なトルク伝達量に設定する。この値はエンジンの発
生し得る最大トルクと比較するとかなり小さめの値であ
る。この結果、伝達駆動輪にはこの小さめの値の「所定
値」以上のトルクは絶対に伝わらないようになるため、
トランスファ装置や伝達駆動輪側へのプロペラシャフ
ト、あるいは伝達駆動輪側のデファレンシャル装置等の
小型化が実現でき、これにより有効車室内空間の拡大や
高い地上高の確保が実現できるようになる。又、これら
の機器を軽量化できることに伴ない、燃費をそれだけ向
上させることもできる。更には、当然に低コスト化も実
現できる。又、この所定値が小さいため高速走行等で前
後輪のタイヤ径差による動力循環トルクが小さいため、
走行抵抗が減って燃費が向上すると共に、タイヤの摩耗
や発熱も低減できる。
【0015】又、従来のいわゆるパートタイム型の4輪
駆動システムのように、リジッドに4輪を結合するので
はないため、後述する実施例で示すように、センタデァ
レンシャル装置を有しなくてもほとんどの走行ケースで
タイトコーナーブレーキング現象を回避できる。
駆動システムのように、リジッドに4輪を結合するので
はないため、後述する実施例で示すように、センタデァ
レンシャル装置を有しなくてもほとんどの走行ケースで
タイトコーナーブレーキング現象を回避できる。
【0016】それにもかかわらず、本発明は、例えば粘
性カップリングを用いて伝達駆動輪側に駆動力を伝達す
る4輪駆動車等と比較すると、むしろ優れた面を有して
いる。即ち、粘性カップリングを用いて伝達駆動輪に駆
動力を伝達するタイプの4輪駆動車にあっては、前後輪
にスリップが現に生じた場合に初めて動力伝達が行われ
るため、低μ路では更に路面μが低下し全体としての総
駆動力は少なくならざるを得ない。しかしながら、本発
明にあっては、オイルポンプ等で発生した油圧によりス
リップする以前から確実に「所定のトルク伝達量」で伝
達駆動輪側にエンジン駆動力が分配可能なため、最大路
面μを利用可能で結果として生じるスリップを最小限に
抑えることができ、そのため特に雪路等の低μ路での発
進、加速、登坂の際に優位性を見出すことができるもの
である。
性カップリングを用いて伝達駆動輪側に駆動力を伝達す
る4輪駆動車等と比較すると、むしろ優れた面を有して
いる。即ち、粘性カップリングを用いて伝達駆動輪に駆
動力を伝達するタイプの4輪駆動車にあっては、前後輪
にスリップが現に生じた場合に初めて動力伝達が行われ
るため、低μ路では更に路面μが低下し全体としての総
駆動力は少なくならざるを得ない。しかしながら、本発
明にあっては、オイルポンプ等で発生した油圧によりス
リップする以前から確実に「所定のトルク伝達量」で伝
達駆動輪側にエンジン駆動力が分配可能なため、最大路
面μを利用可能で結果として生じるスリップを最小限に
抑えることができ、そのため特に雪路等の低μ路での発
進、加速、登坂の際に優位性を見出すことができるもの
である。
【0017】このように、本発明によれば、4輪駆動車
としての利点を十分に享受すると共に不都合はほとんど
発生させることなくトランスファやプロペラシャフト、
デファレンシャル、ドライブシャフト等の各種アッセン
ブリの軽量化、小型化、低コスト化を実現できるように
なるものである。
としての利点を十分に享受すると共に不都合はほとんど
発生させることなくトランスファやプロペラシャフト、
デファレンシャル、ドライブシャフト等の各種アッセン
ブリの軽量化、小型化、低コスト化を実現できるように
なるものである。
【0018】しかも、本発明は基本的には、前後出力軸
の回転数を検出するセンサ以外特別センサ等を付加する
必要もなく、低コストで実現でき、又、制御も簡単であ
る。又、自動変速機を搭載した車両でも、あるいはマニ
ュアル変速機を搭載した車両でも油圧源さえあれば容易
に適用することができるという利点もある。
の回転数を検出するセンサ以外特別センサ等を付加する
必要もなく、低コストで実現でき、又、制御も簡単であ
る。又、自動変速機を搭載した車両でも、あるいはマニ
ュアル変速機を搭載した車両でも油圧源さえあれば容易
に適用することができるという利点もある。
【0019】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例を詳細に
説明する。
説明する。
【0020】図2に本発明が適用された4輪駆動車のト
ルク伝達量制御装置の概略を示す。
ルク伝達量制御装置の概略を示す。
【0021】又、図3にはトランスファクラッチ付近の
動力伝達系がスケルトンで示されており、図8には、そ
の実断面が示されている。
動力伝達系がスケルトンで示されており、図8には、そ
の実断面が示されている。
【0022】各図において、符号10がエンジン、20
が自動変速機、30がフロントデファレンシャル装置、
40がトランスファ装置、50がトランスファクラッ
チ、60がリヤデファレンシャル装置、70(70L、
70R)が前輪、80(80L、80R)が後輪、90
が各種センサ群、そして100がトランスファコントロ
ールコンピュータをそれぞれ示している。
が自動変速機、30がフロントデファレンシャル装置、
40がトランスファ装置、50がトランスファクラッ
チ、60がリヤデファレンシャル装置、70(70L、
70R)が前輪、80(80L、80R)が後輪、90
が各種センサ群、そして100がトランスファコントロ
ールコンピュータをそれぞれ示している。
【0023】前記エンジン10は、車両の最前部に横置
きで搭載されている。
きで搭載されている。
【0024】前記自動変速機20は、公知のトルクコン
バータ21及び変速装置22を備え、エンジン10の出
力を変速した上で出力ギヤ23に伝達する。
バータ21及び変速装置22を備え、エンジン10の出
力を変速した上で出力ギヤ23に伝達する。
【0025】前記フロントデファレンシャル装置30
は、図3に示されるように、前記出力ギヤ23と噛合す
る入力ギヤ31を一体に備えたデファレンシャルケース
32と、このデファレンシャルケース32から突出され
たピニオン軸33によってそれぞれ回転可能に支持さ
れ、且つ互いに対向して配置された2つの差動ピニオン
34、35と、この2つの差動ピニオン34、35にそ
れぞれ同時噛合した左前輪用サイドギヤ36及び右前輪
用サイドギヤ37とを有している。
は、図3に示されるように、前記出力ギヤ23と噛合す
る入力ギヤ31を一体に備えたデファレンシャルケース
32と、このデファレンシャルケース32から突出され
たピニオン軸33によってそれぞれ回転可能に支持さ
れ、且つ互いに対向して配置された2つの差動ピニオン
34、35と、この2つの差動ピニオン34、35にそ
れぞれ同時噛合した左前輪用サイドギヤ36及び右前輪
用サイドギヤ37とを有している。
【0026】前記トランスファ装置40は、フロントデ
ファレンシャル装置30のデファレンシャルケース32
と一体的に構成されたハイポイドギヤ41と、これと噛
合するハイポイドピニオン42とからなり、自動変速機
20の出力ギヤ23からフロントデファレンシャル装置
30の入力ギヤ31側に伝達されてきた動力の一部を、
方向を90°変換した上でトランスファクラッチ50に
伝達する。
ファレンシャル装置30のデファレンシャルケース32
と一体的に構成されたハイポイドギヤ41と、これと噛
合するハイポイドピニオン42とからなり、自動変速機
20の出力ギヤ23からフロントデファレンシャル装置
30の入力ギヤ31側に伝達されてきた動力の一部を、
方向を90°変換した上でトランスファクラッチ50に
伝達する。
【0027】前記トランスファクラッチ50は、トラン
スファ装置40のハイポイドピニオン42と、後輪用プ
ロペラシャフト51側とを動力伝達可能に接続するもの
で、これ自体は公知の油圧サーボ式の湿式多板クラッチ
で構成されている。即ち、このトランスファクラッチ5
0は、トランスファコントロールコンピュータ100か
らの指令によって駆動されるソレノイドバルブ52によ
り油圧サーボ室53内に供給される油圧が制御され、こ
の油圧によってピストン54が所定の圧力で多板クラッ
チ55を押圧し、この押圧力によって所定のトルク伝達
量が確保されるようになっている。
スファ装置40のハイポイドピニオン42と、後輪用プ
ロペラシャフト51側とを動力伝達可能に接続するもの
で、これ自体は公知の油圧サーボ式の湿式多板クラッチ
で構成されている。即ち、このトランスファクラッチ5
0は、トランスファコントロールコンピュータ100か
らの指令によって駆動されるソレノイドバルブ52によ
り油圧サーボ室53内に供給される油圧が制御され、こ
の油圧によってピストン54が所定の圧力で多板クラッ
チ55を押圧し、この押圧力によって所定のトルク伝達
量が確保されるようになっている。
【0028】図2に戻って前記リヤデファレンシャル装
置60は、前記フロントデファレンシャル装置30と同
様に差動装置を構成する。又、前輪70、及び後輪80
については、従来の構成の通りである。
置60は、前記フロントデファレンシャル装置30と同
様に差動装置を構成する。又、前輪70、及び後輪80
については、従来の構成の通りである。
【0029】前記各種センサ群90としては、より高度
できめ細かな制御を行うためこの実施例では自動変速機
20の現在の変速段を検出する変速段センサ91、自動
変速機20の出力ギヤ23(あるいは変速装置22の出
力部分)の回転速度を検出する車速センサ兼前輪回転数
センサ92、ステアリングの回転角度を検出する操舵角
センサ93、トランスファクラッチ50の下流側に取り
付けられ、該トランスファクラッチ50の後輪側の回転
速度を検出する後輪側回転数センサ95等が備えられて
いる。但しこの実施例に直接必要なセンサは前輪側回転
数センサ92及び後輪側回転数センサ95のみである。
できめ細かな制御を行うためこの実施例では自動変速機
20の現在の変速段を検出する変速段センサ91、自動
変速機20の出力ギヤ23(あるいは変速装置22の出
力部分)の回転速度を検出する車速センサ兼前輪回転数
センサ92、ステアリングの回転角度を検出する操舵角
センサ93、トランスファクラッチ50の下流側に取り
付けられ、該トランスファクラッチ50の後輪側の回転
速度を検出する後輪側回転数センサ95等が備えられて
いる。但しこの実施例に直接必要なセンサは前輪側回転
数センサ92及び後輪側回転数センサ95のみである。
【0030】前記トランスファコントロールコンピュー
タ100は、これらの各種センサ群90からの信号を受
け、該トランスファコントロールコンピュータ100内
で後述するような制御フローに基づいてこれらの信号を
処理し、前記ソレノイドバルブ52を駆動することによ
ってトランスファクラッチ50のトルク伝達量を制御す
る。
タ100は、これらの各種センサ群90からの信号を受
け、該トランスファコントロールコンピュータ100内
で後述するような制御フローに基づいてこれらの信号を
処理し、前記ソレノイドバルブ52を駆動することによ
ってトランスファクラッチ50のトルク伝達量を制御す
る。
【0031】次に、この動力伝達系の作用を簡単に説明
する。
する。
【0032】エンジン10によって発生された動力は、
自動変速機20によって所定の変速操作がなされた後、
出力ギヤ23に伝達される。そして、この出力ギヤ23
に伝達された動力により、入力ギヤ31を介してフロン
トデファレンシャル装置30のデファレンシャルケース
32が回転させられる。このデファレンシャルケース3
2の回転は、2つの差動ピニオン34、35を介して左
右の前輪用サイドギヤ36、37に伝達され、これと連
結された前輪70L、70Rが駆動される。この駆動経
路は、基本的に従来のフロントエンジン、フロントドラ
イブの2輪駆動構成と同一である。
自動変速機20によって所定の変速操作がなされた後、
出力ギヤ23に伝達される。そして、この出力ギヤ23
に伝達された動力により、入力ギヤ31を介してフロン
トデファレンシャル装置30のデファレンシャルケース
32が回転させられる。このデファレンシャルケース3
2の回転は、2つの差動ピニオン34、35を介して左
右の前輪用サイドギヤ36、37に伝達され、これと連
結された前輪70L、70Rが駆動される。この駆動経
路は、基本的に従来のフロントエンジン、フロントドラ
イブの2輪駆動構成と同一である。
【0033】一方、デファレンシャルケース32は、ト
ランスファ装置40のハイポイドギヤ41と接続されて
いる。又、このハイポイドギヤ41は、ハイポイドピニ
オン42と噛合すると共に、その回転がトランスファク
ラッチ50を介してリヤデファレンシャル装置60に伝
達され、更に後輪80L、80Rへと伝達されるように
なっている。従って、トランスファクラッチ50のトル
ク伝達量を、トランスファコントロールコンピュータ1
00からの指令によりソレノイドバルブ52を介して制
御することにより、後輪80L、80R側へのトルク伝
達量を任意に制御することができる。
ランスファ装置40のハイポイドギヤ41と接続されて
いる。又、このハイポイドギヤ41は、ハイポイドピニ
オン42と噛合すると共に、その回転がトランスファク
ラッチ50を介してリヤデファレンシャル装置60に伝
達され、更に後輪80L、80Rへと伝達されるように
なっている。従って、トランスファクラッチ50のトル
ク伝達量を、トランスファコントロールコンピュータ1
00からの指令によりソレノイドバルブ52を介して制
御することにより、後輪80L、80R側へのトルク伝
達量を任意に制御することができる。
【0034】以上の説明から明らかなように、この実施
例に係る車両は前輪駆動ベースの4輪駆動車であり、後
輪が「伝達駆動輪」に相当している。なお、トランスフ
ァ装置40はこの実施例ではトランスファクラッチ50
の上流側においてあるが、下流側にもってきたときと同
様の作用が得られる。
例に係る車両は前輪駆動ベースの4輪駆動車であり、後
輪が「伝達駆動輪」に相当している。なお、トランスフ
ァ装置40はこの実施例ではトランスファクラッチ50
の上流側においてあるが、下流側にもってきたときと同
様の作用が得られる。
【0035】即ち、トランスファ装置40は、これがト
ランスファクラッチ50の下流側にあっても上流側にあ
ってもトランスファクラッチ50によって後輪側に伝達
されるトルクに応じた負荷のみを受けるため、該トラン
スファクラッチ50によるトメク伝達量を抑えることに
より、トランスファ装置40を含めたこれ以降の後輪駆
動系の小型化、軽量化、低コスト化が実現できるもので
ある。
ランスファクラッチ50の下流側にあっても上流側にあ
ってもトランスファクラッチ50によって後輪側に伝達
されるトルクに応じた負荷のみを受けるため、該トラン
スファクラッチ50によるトメク伝達量を抑えることに
より、トランスファ装置40を含めたこれ以降の後輪駆
動系の小型化、軽量化、低コスト化が実現できるもので
ある。
【0036】なお、伝達駆動輪へのトルク伝達量が直接
的に制御されるため、センタデファレンシャル装置は省
略されている。
的に制御されるため、センタデファレンシャル装置は省
略されている。
【0037】図4にトランスファ装置40におけるハイ
ポイドピニオンのS−N線図(Stress−Number of cycl
es線図)を示す。このS−N線図は、ハイポイドピニオ
ン42にどの程度の歯元曲げ応力σが掛かったときに何
回位の繰り返し荷重に耐え得るかを示したものである。
このS−N線図によれば、例えば、ハイポイドピニオン
42にX1の歯元曲げ応力σが掛けられるときには、当
該ハイポイドピニオン42は105 回数の繰り返し荷重
にしか耐えられないが、歯元曲げ応力σがX2であった
場合には106 回の繰り返し荷重に耐えられることが分
かる。
ポイドピニオンのS−N線図(Stress−Number of cycl
es線図)を示す。このS−N線図は、ハイポイドピニオ
ン42にどの程度の歯元曲げ応力σが掛かったときに何
回位の繰り返し荷重に耐え得るかを示したものである。
このS−N線図によれば、例えば、ハイポイドピニオン
42にX1の歯元曲げ応力σが掛けられるときには、当
該ハイポイドピニオン42は105 回数の繰り返し荷重
にしか耐えられないが、歯元曲げ応力σがX2であった
場合には106 回の繰り返し荷重に耐えられることが分
かる。
【0038】同様にして、このS−N線図から、もし、
ハイポイドピニオン42に掛かる歯元曲げ応力σが例え
ばσA以下に設定されたならば、このハイポイドピニオ
ン42は少なくとも3×105 回の繰り返し荷重に耐え
られることが分かる。又、もし、このハイポイドピニオ
ン42に掛かる歯元曲げ応力σがσB以下に設定された
ならば、ほぼ無限回の繰り返し荷重に耐えられることが
分かる。
ハイポイドピニオン42に掛かる歯元曲げ応力σが例え
ばσA以下に設定されたならば、このハイポイドピニオ
ン42は少なくとも3×105 回の繰り返し荷重に耐え
られることが分かる。又、もし、このハイポイドピニオ
ン42に掛かる歯元曲げ応力σがσB以下に設定された
ならば、ほぼ無限回の繰り返し荷重に耐えられることが
分かる。
【0039】この事実から、例えば歯元曲げ応力がσA
以上絶対に生じないような走行条件の下でならばハイポ
イドピニオン42に掛かる歯元曲げ応力σをσAに設定
することができ、又、ハイポイドピニオン42に掛かる
歯元曲げ応力σをσBに設定できれば、(僅かにσBに
対応する小型のトランスファ装置40等を備えるだけ
で)無限回の繰り返し荷重が保証されるようになること
が分かる。
以上絶対に生じないような走行条件の下でならばハイポ
イドピニオン42に掛かる歯元曲げ応力σをσAに設定
することができ、又、ハイポイドピニオン42に掛かる
歯元曲げ応力σをσBに設定できれば、(僅かにσBに
対応する小型のトランスファ装置40等を備えるだけ
で)無限回の繰り返し荷重が保証されるようになること
が分かる。
【0040】ところで、前述したように、トランスファ
クラッチ50のトルク伝達量は、該トランスファクラッ
チ50の油圧サーボ室53内に供給するクラッチ油圧P
c に依存して決定されるが、このクラッチ油圧Pc で実
際に発生されるトルク伝達量Tc は、厳密にはトランス
ファクラッチ50の多板クラッチプレート55及びディ
スク56の摩擦係数μに依存して変化する。従って、こ
の摩擦係数μによる変化を補正することによって、本発
明で意図する「トルク伝達量を所定値以下に維持する制
御」の実現が担保されることになる。
クラッチ50のトルク伝達量は、該トランスファクラッ
チ50の油圧サーボ室53内に供給するクラッチ油圧P
c に依存して決定されるが、このクラッチ油圧Pc で実
際に発生されるトルク伝達量Tc は、厳密にはトランス
ファクラッチ50の多板クラッチプレート55及びディ
スク56の摩擦係数μに依存して変化する。従って、こ
の摩擦係数μによる変化を補正することによって、本発
明で意図する「トルク伝達量を所定値以下に維持する制
御」の実現が担保されることになる。
【0041】多板クラッチプレート55及びディスク5
6間の摩擦係数μは、両者の相対速度ΔNに依存して変
化する。その様子を図6に示す。
6間の摩擦係数μは、両者の相対速度ΔNに依存して変
化する。その様子を図6に示す。
【0042】このことは、摩擦係数μを相対回転速度Δ
Nの関数として把握すること(関接検出)ができること
を意味するため、これに基づいて図7に示すようなTc
=TcAを実現し得るΔN−Pc マップを作ることができ
る。TcAは例えば雪路等の低μ路で円滑な発進ができる
値、即ち前記歯元曲げ応力σAに対応して設定される。
Nの関数として把握すること(関接検出)ができること
を意味するため、これに基づいて図7に示すようなTc
=TcAを実現し得るΔN−Pc マップを作ることができ
る。TcAは例えば雪路等の低μ路で円滑な発進ができる
値、即ち前記歯元曲げ応力σAに対応して設定される。
【0043】このΔN−Pc マップを用いてトルク伝達
量を制御するために実際にトランスファコントロールコ
ンピュータ100内で実行される制御フローの例を図5
に示す。
量を制御するために実際にトランスファコントロールコ
ンピュータ100内で実行される制御フローの例を図5
に示す。
【0044】まずステップ302で、トランスファクラ
ッチ50の上流側、及び下流側の回転速度Nf 、Nr が
それぞれ検出される。この回転速度Nf 、Nr は、もし
前後輪のスリップが全くないときにはそれぞれ前輪の回
転速度、後輪の回転速度に一致するが、例えば前輪がス
リップしているような場合には、必ずしも一致しない場
合がある。しかしながら、この実施例では、そのような
場合でも、相対回転速度ΔNを検出するためのセンサ9
2、95をトランスファクラッチ50の直近の上流側、
下流側に配置してあるため、該トランスファクラッチ5
0の相対回転速度ΔNを正確に知ることができる。
ッチ50の上流側、及び下流側の回転速度Nf 、Nr が
それぞれ検出される。この回転速度Nf 、Nr は、もし
前後輪のスリップが全くないときにはそれぞれ前輪の回
転速度、後輪の回転速度に一致するが、例えば前輪がス
リップしているような場合には、必ずしも一致しない場
合がある。しかしながら、この実施例では、そのような
場合でも、相対回転速度ΔNを検出するためのセンサ9
2、95をトランスファクラッチ50の直近の上流側、
下流側に配置してあるため、該トランスファクラッチ5
0の相対回転速度ΔNを正確に知ることができる。
【0045】ステップ304においては、この上流側、
下流側の回転速度Nf 、Nr の差、即ちトランスファク
ラッチ50の相対回転速度ΔNが求められる。
下流側の回転速度Nf 、Nr の差、即ちトランスファク
ラッチ50の相対回転速度ΔNが求められる。
【0046】ステップ306では、この相対回転速度Δ
Nがほぼ零であるか否かが判定される。ほぼ零であった
ときは、前述の図7のマップをあたるまでもなく、直接
ステップ312に進んでPc =Pcoが確定される。
Nがほぼ零であるか否かが判定される。ほぼ零であった
ときは、前述の図7のマップをあたるまでもなく、直接
ステップ312に進んでPc =Pcoが確定される。
【0047】一方、ステップ306でトランスファクラ
ッチ50の相対回転速度ΔNが零ではないと判断された
ときには、そのままではトルク伝達量Tc が強くなり過
ぎる恐れがあるため、ステップ308に進んで摩擦係数
μとΔNの特性に基づいた図7に示すような、(トルク
伝達量Tc =TcAを維持するための)Pc −ΔNのマッ
プから、Pc(ΔN) が確定される。このPc(ΔN) はP
c(μ) とも表現できるものである。
ッチ50の相対回転速度ΔNが零ではないと判断された
ときには、そのままではトルク伝達量Tc が強くなり過
ぎる恐れがあるため、ステップ308に進んで摩擦係数
μとΔNの特性に基づいた図7に示すような、(トルク
伝達量Tc =TcAを維持するための)Pc −ΔNのマッ
プから、Pc(ΔN) が確定される。このPc(ΔN) はP
c(μ) とも表現できるものである。
【0048】その後、ステップ310で、このようにし
て求められたPc に基づいてソレノイドバルブ52を駆
動するための電流が出力され、これに基づいてソレノイ
ド52が制御される。
て求められたPc に基づいてソレノイドバルブ52を駆
動するための電流が出力され、これに基づいてソレノイ
ド52が制御される。
【0049】なお、これまでの説明で明らかなように、
従来、一般に4輪駆動車の制御の場合は、前後輪の回転
速度差ΔNfr(ほぼΔNに同じ)が大きくなるに従っ
て、(該ΔNfrを早期に小さくすべく)クラッチ圧Pc
を大きくする制御がなされてきたが、この制御は、この
実施例での制御とは趣旨が異なる。制御の傾向もΔNfr
が大きくなるに従ってクラッチ圧Pc を低め、確保され
るトルク伝達量Tc がTcA以上にならないようにすると
いうものであり、逆の傾向である。
従来、一般に4輪駆動車の制御の場合は、前後輪の回転
速度差ΔNfr(ほぼΔNに同じ)が大きくなるに従っ
て、(該ΔNfrを早期に小さくすべく)クラッチ圧Pc
を大きくする制御がなされてきたが、この制御は、この
実施例での制御とは趣旨が異なる。制御の傾向もΔNfr
が大きくなるに従ってクラッチ圧Pc を低め、確保され
るトルク伝達量Tc がTcA以上にならないようにすると
いうものであり、逆の傾向である。
【0050】但し、トランスファクラッチ50のディス
ク56とプレート55の摩擦係数係数特性、あるいは使
用されるオイルの性質によっては、摩擦係数μとΔNの
関係は必ずしも上記実施例で示した傾向とはならない場
合もある。しかしながらこの場合でも、あくまで、「摩
擦係数の変化にも拘らずトルク伝達量が所定値を超えな
い」という観点で油圧制御が実施される。
ク56とプレート55の摩擦係数係数特性、あるいは使
用されるオイルの性質によっては、摩擦係数μとΔNの
関係は必ずしも上記実施例で示した傾向とはならない場
合もある。しかしながらこの場合でも、あくまで、「摩
擦係数の変化にも拘らずトルク伝達量が所定値を超えな
い」という観点で油圧制御が実施される。
【0051】このような制御を実行することにより、ト
ランスファ装置40を含む後輪駆動系には、トルク伝達
量TcAに対応した負荷以上の負荷がかかることがなくな
るため、その疲労強度が飛躍的に向上し、該後輪駆動系
をより小型化することができるようになる。又、重量の
軽減化、コスト低減化も図ることができるようになる。
ランスファ装置40を含む後輪駆動系には、トルク伝達
量TcAに対応した負荷以上の負荷がかかることがなくな
るため、その疲労強度が飛躍的に向上し、該後輪駆動系
をより小型化することができるようになる。又、重量の
軽減化、コスト低減化も図ることができるようになる。
【0052】しかも、前記制御フローからも明らかなよ
うに、例えば目標スリップ率を算出するための多数のセ
ンサ類や演算用コンピュータ等の複雑な制御系も必要で
なく、低コストで高い信頼性を確保することができる。
うに、例えば目標スリップ率を算出するための多数のセ
ンサ類や演算用コンピュータ等の複雑な制御系も必要で
なく、低コストで高い信頼性を確保することができる。
【0053】なお、上記実施例においては、トランスフ
ァクラッチ50の摩擦係数を考慮した上で該トランスフ
ァクラッチ50でのトルク伝達量がTcA以上にならない
ように制御していたが、この範囲内で、より走行状態に
見合った伝達量の変更をするのは自由である。
ァクラッチ50の摩擦係数を考慮した上で該トランスフ
ァクラッチ50でのトルク伝達量がTcA以上にならない
ように制御していたが、この範囲内で、より走行状態に
見合った伝達量の変更をするのは自由である。
【0054】例えば、自動変速機の変速段を検出し、変
速段が高速段であるときには、タイヤ径差等に起因する
動力循環トルクの増大を防止するために、トルク伝達量
をTcAより更に低いTcBとなるように制御したり、ある
いは、ステアリングの操舵角φを検出し、その操舵角φ
が所定値以上のときは、タイトコーナーブレーキング現
象を避けるためにトルク伝達量TcAより低めに設定する
等の制御が考えられる。
速段が高速段であるときには、タイヤ径差等に起因する
動力循環トルクの増大を防止するために、トルク伝達量
をTcAより更に低いTcBとなるように制御したり、ある
いは、ステアリングの操舵角φを検出し、その操舵角φ
が所定値以上のときは、タイトコーナーブレーキング現
象を避けるためにトルク伝達量TcAより低めに設定する
等の制御が考えられる。
【0055】又、上記実施例装置によれば、いわゆる粘
性カップリングを用いて伝達駆動輪側に動力を伝達する
駆動系と比較して、次のような有利な点を有する。即
ち、粘性カップリングを用いた4輪駆動系の場合は、直
接駆動輪がある程度スリップしてからこのスリップによ
って伝達駆動輪に動力が伝達されるようになるが、この
実施例装置では、基本的にトルク伝達量TcAに相当する
駆動力が初めから伝達駆動輪に分配可能なため、それだ
け確実な4輪駆動作用を得ることができるものである。
性カップリングを用いて伝達駆動輪側に動力を伝達する
駆動系と比較して、次のような有利な点を有する。即
ち、粘性カップリングを用いた4輪駆動系の場合は、直
接駆動輪がある程度スリップしてからこのスリップによ
って伝達駆動輪に動力が伝達されるようになるが、この
実施例装置では、基本的にトルク伝達量TcAに相当する
駆動力が初めから伝達駆動輪に分配可能なため、それだ
け確実な4輪駆動作用を得ることができるものである。
【0056】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、摩
擦係数を考慮して伝達駆動輪へのトルク伝達量を常に所
定値以下となるように維持するようにしたため、4輪駆
動車としての有用な作用をあまり減殺することなく、し
かも必要以上にトランスファ装置〜伝達駆動輪にトルク
が掛からないようにできるため、疲労強度の点で設計が
非常に容易となり、トランスファ装置やデファレンシャ
ル装置等の各種アッセンブリの小型化に伴う有効車室容
積の拡大や、地上高の拡大を図ることができると共に、
重量軽減による燃費の向上、あるいはコストの低減を実
現することができるようになるという優れた効果が得ら
れる。
擦係数を考慮して伝達駆動輪へのトルク伝達量を常に所
定値以下となるように維持するようにしたため、4輪駆
動車としての有用な作用をあまり減殺することなく、し
かも必要以上にトランスファ装置〜伝達駆動輪にトルク
が掛からないようにできるため、疲労強度の点で設計が
非常に容易となり、トランスファ装置やデファレンシャ
ル装置等の各種アッセンブリの小型化に伴う有効車室容
積の拡大や、地上高の拡大を図ることができると共に、
重量軽減による燃費の向上、あるいはコストの低減を実
現することができるようになるという優れた効果が得ら
れる。
【図1】本発明の要旨を示すブロック図
【図2】本発明が適用された4輪駆動車のトルク伝達量
制御装置の概略を示すブロック図
制御装置の概略を示すブロック図
【図3】図2の実施例装置におけるトランスファクラッ
チ付近の動力伝達系を拡大して示すスケルトン図
チ付近の動力伝達系を拡大して示すスケルトン図
【図4】ハイポイドピニオンの歯元曲げ応力と、この歯
元曲げ応力が掛けられたときの耐久性上許容し得る繰り
返し回数を示すグラフ
元曲げ応力が掛けられたときの耐久性上許容し得る繰り
返し回数を示すグラフ
【図5】トランスファコントロールコンピュータ内で実
行される制御フローを示す流れ図
行される制御フローを示す流れ図
【図6】摩擦係数μと前後輪の回転速度差ΔNとの関係
を示すグラフ
を示すグラフ
【図7】トルク伝達量一定が維持されるときの回転速度
差ΔNとクラッチ圧Pc(ΔN)との関係を示すグラフ
差ΔNとクラッチ圧Pc(ΔN)との関係を示すグラフ
【図8】図2に示された4輪駆動車のトランスファ付近
を示す実断面図
を示す実断面図
10…エンジン 20…自動変速機 30…フロントデファレンシャル装置 40…トランスファ装置 41…ハイポイドギヤ 42…ハイポイドピニオン 50…トランスファクラッチ 52…ソレノイドバルブ 60…リヤデファレンシャル装置 70L、70R…前輪 80L、80R…後輪 90…センサ群 91…変速段センサ 92…車速センサ 93…ステアリング操舵角センサ 94…前輪側回転数センサ 95…後輪側回転数センサ 100…トランスファコントロールコンピュータ
Claims (1)
- 【請求項1】4輪駆動車の伝達駆動輪へのトルク伝達量
制御装置において、 前記トルク伝達量を調整する摩擦係合手段と、 該摩擦係合手段の摩擦係数を検出する手段と、 該摩擦係数を考慮した上で、前記摩擦係合手段のトルク
伝達量が常に所定値以下に維持されるように制御する手
段と、 を備えたことを特徴とする4輪駆動車の伝達駆動輪への
トルク伝達量制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25975892A JPH06107019A (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 4輪駆動車の伝達駆動輪へのトルク伝達量制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25975892A JPH06107019A (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 4輪駆動車の伝達駆動輪へのトルク伝達量制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06107019A true JPH06107019A (ja) | 1994-04-19 |
Family
ID=17338553
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25975892A Pending JPH06107019A (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 4輪駆動車の伝達駆動輪へのトルク伝達量制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06107019A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1136301A2 (en) | 2000-03-24 | 2001-09-26 | Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha | "Power transmitting system for four-wheel drive vehicle" |
EP1216875A2 (en) | 2000-12-21 | 2002-06-26 | Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha | Power distribution apparatus for a four-wheel drive vehicle |
WO2003091057A1 (fr) * | 2002-04-26 | 2003-11-06 | Toyoda Koki Kabushiki Kaisha | Dispositif et procede de commande de la distribution de la force motrice d'un vehicule a quatre roues |
-
1992
- 1992-09-29 JP JP25975892A patent/JPH06107019A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1136301A2 (en) | 2000-03-24 | 2001-09-26 | Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha | "Power transmitting system for four-wheel drive vehicle" |
US6834738B2 (en) | 2000-03-24 | 2004-12-28 | Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha | Power transmitting system for four-wheel drive vehicle |
EP1216875A2 (en) | 2000-12-21 | 2002-06-26 | Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha | Power distribution apparatus for a four-wheel drive vehicle |
US6595086B2 (en) | 2000-12-21 | 2003-07-22 | Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha | Power distribution apparatus for a four-wheel drive vehicle |
WO2003091057A1 (fr) * | 2002-04-26 | 2003-11-06 | Toyoda Koki Kabushiki Kaisha | Dispositif et procede de commande de la distribution de la force motrice d'un vehicule a quatre roues |
US7290636B2 (en) | 2002-04-26 | 2007-11-06 | Jtekt Corporation | Device and method for controlling distribution of drive force of four-wheel drive car |
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