JPH061055A - インクリボン送り装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 部品点数及び組立工数を少なくし得るインク
リボン送り装置を提供する。 【構成】 往復駆動されるキャリアの直線運動を回転運
動に変換する運動変換機構１８を設け、複数の伝動ギヤ
１０ａ，１０ｂを噛合してなる動力伝達機構１１と、伝
動ギヤ１０ａ，１０ｂの一つに連結されたリボン送り部
１２と、運動変換機構１８の出力側に連結された出力ギ
ヤ６とをキャリアに回転自在に設け、出力ギヤ６の回転
軸心上にその出力ギヤ６に摩擦を介して連結されたアー
ム７を回動自在に設け、アーム７の回動中心から離れた
部分に伝動ギヤ１０ａ，１０ｂに選択的に噛合される遊
星ギヤ８，９を出力ギヤ６には常時噛合させて回転自在
に設け、アーム７と遊星ギヤ８，９との嵌合部分に互い
に圧接力を付与し合う弾性変形部１５を一体に形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シリアルプリンタに利
用されるインクリボン送り装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のインクリボン送り装置として、
プラテンに沿って往復駆動されるキャリアの直線運動を
回転運動に変換し、その回転運動を駆動源としてインク
リボンを一方向に送るようにしたものがある。その代表
的な従来例を図７ないし図９に基づいて説明する。

【０００３】すなわち、図７に示すように、リボンベー
ス５０が設けられている。このリボンベース５０は、図
示しないが印字ヘッドが搭載されたキャリアに装着され
るものである。このリボンベース５０には複数の支軸５
１，５２，５３が立設されているとともに一つの軸受５
４が形成されている。前記支軸５１に回転自在に嵌合さ
れたプーリ５５にはワイヤ５６が巻回されている。この
ワイヤ５６は、図示しないが正逆回転自在のモータに駆
動されるプーリを含む複数のプーリに巻回されている。
したがって、モータを駆動しワイヤ５６を何れか一方向
に引くことによりキャリアがリボンベース５０とともに
プラテンに沿って往復駆動される。すなわち、ワイヤ５
６とプーリ５５とによってキャリアの直線運動を回転運
動に変換する運動変換機構５７が形成されている。

【０００４】また、前記支軸５１には、摩擦力を介して
前記プーリ５５に連結されたアーム５８が回転自在に嵌
合され、このアーム５８の回動遊端には一つの遊星ギヤ
５９が回転自在に保持されている。前記軸受５４にはリ
ボン送り軸６０がスプリング６１により上方に付勢され
て摺動自在に嵌合されている。そして、前記支軸５２に
回転自在に嵌合された伝動ギヤ６２と、前記支軸５３に
回転自在に嵌合された伝動ギヤ６３と、前記リボン送り
軸６０に一体に形成された伝動ギヤ６４とにより動力伝
達機構６５が形成されている。前記遊星ギヤ５９には大
径の歯部５９ａと小径の歯部５９ｂとが形成され、前記
伝動ギヤ６２には大径の歯部６２ａと小径の歯部６２ｂ
とが形成され、前記伝動ギヤ６３には大径の歯部６３ａ
と小径の歯部６３ｂとが形成されている。

【０００５】図８に示すように、前記プーリ５５の下面
には出力ギヤ６６が一体に形成され、この出力ギヤ６６
には前記遊星ギヤ５９の大径の歯部５９ａが噛合され、
前記伝動ギヤ６３の大径の歯部６３ａは前記伝動ギヤ６
２の大径の歯部６２ａと前記伝動ギヤ６４とに噛合され
ている。また、前記遊星ギヤ５９の小径の歯部５９ｂは
前記アーム５８の回動方向に応じて一方の伝動ギヤ６２
の小径の歯部６２ｂ又は他方の伝動ギヤ６３の小径の歯
部６３ｂに選択的に噛合される。

【０００６】さらに、図９に示すように、前記遊星ギヤ
５９は前記アーム５８に立設された支軸６７に回転自在
に嵌合され、この支軸６７にはアーム５８の平面と遊星
ギヤ５９の下面とに挾持された板ばね６８が嵌合されて
いる。

【０００７】次に作用について説明する。図８（ａ）に
示すように、キャリアがリボンベース５０とともに左方
（矢印Ｌ方向）に移動すると、プーリ５５と出力ギヤ６
６とが反時計方向に回転し、アーム５８は出力ギヤ６６
に対する摩擦によってこの出力ギヤ６６に追従して反時
計方向回動する。これにより、遊星ギヤ５９の小径の歯
部５９ｂは伝動ギヤ６３の小径の歯部６３ｂに噛合さ
れ、出力ギヤ６６の回転は遊星ギヤ５９と伝動ギヤ６
３，６４とを介してリボン送り軸６０に伝達される。

【０００８】また、図８（ｂ）に示すように、キャリア
がリボンベース５０とともに右方（矢印Ｒ方向）に移動
すると、プーリ５５と出力ギヤ６６との回転方向は時計
方向に切り替わる。この切り替えの瞬間は、遊星ギヤ５
９はまだ中間の伝動ギヤ６３から外れない状態である
が、各ギヤの噛合部にはバックラッシュがあるので回転
伝達作用に遅れが生じ、また、遊星ギヤ５９には板ばね
６８により負荷が与えられているため、出力ギヤ６６の
回転が遊星ギヤ５９を介して伝動ギヤ６３に伝達される
前には、アーム５８が時計方向に回動し遊星ギヤ５９が
中間の伝動ギヤ６３から離れる。そして、アーム５８の
切り替え動作の終期には、図８（ｂ）に示すように、遊
星ギヤ５９の小径の歯部５９ｂが伝動ギヤ６２の小径の
歯部６２ｂに噛合される。これにより、出力ギヤ６６の
回転は、遊星ギヤ５９と伝動ギヤ６２，６３，６４とを
介してリボン送り軸６０に伝達される。このように、キ
ャリアの移動方向が変わっても、動力の伝達経路を切り
替えてリボン送り軸６０が常に時計方向に駆動される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】以上のように、キャリ
アの移動方向が変わる度にアーム５８が反転し、動力伝
達経路が切り替わるが、この切り替えの瞬間であってア
ーム５８が回動し始める前の時点で出力ギヤ６６回転が
動力伝達機構６５に伝達されると、一瞬の間インクリボ
ンが逆方向に送られるため、遊星ギヤ５９に板ばね６８
によって負荷を与えているが、遊星ギヤ５９と板ばね６
８とを支軸６７に嵌合した後に、この支軸６７をアーム
５８に固定するため、組立作業が面倒であり、また、部
品点数も増える。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、印字
ヘッドが搭載されてプラテンに沿って往復駆動されるキ
ャリアの直線運動を回転運動に変換する運動変換機構を
設け、複数の伝動ギヤを噛合してなる動力伝達機構と、
前記伝動ギヤの一つに連結されたリボン送り部と、前記
運動変換機構の出力側に連結された出力ギヤとを前記キ
ャリアに回転自在に設け、前記出力ギヤの回転軸心上に
その出力ギヤに摩擦を介して連結されたアームを回動自
在に設け、前記アームの回動中心から離れた部分に前記
伝動ギヤに選択的に噛合される遊星ギヤを前記出力ギヤ
には常時噛合させて回転自在に設け、前記アームと前記
遊星ギヤとの嵌合部分に互いに圧接力を付与し合う弾性
変形部を一体に形成した。

【００１１】請求項２の発明は、請求項１の発明におい
て、弾性変形部に変えて、粘度の高い粘性物質をアーム
と遊星ギヤとの嵌合部に塗布した。

【００１２】

【作用】請求項１の発明によれば、アームに保持された
遊星ギヤにより出力ギヤの回転を動力伝達機構に伝達し
てリボン送り部を駆動するが、弾性変形部によって遊星
ギヤに負荷を与えることができるため、キャリアの移動
方向が変わってアームの回動方向が切り替わる瞬間に
は、遊星ギヤの回転反転動作を遅らせてこの間にアーム
を回動させて動力伝達経路を切り替えることができ、こ
れにより、キャリアの移動方向が変わる瞬間にインクリ
ボンが逆方向に送られる状態を回避することができる。
また、遊星ギヤに負荷を与えるための弾性変形部をアー
ム又は遊星ギヤに一体に形成することができるため、部
品点数及び組立工数を少なくすることが可能となる。

【００１３】請求項２の発明によれば、アームと遊星ギ
ヤとの嵌合部に粘性物質を塗布するだけの簡単な構造で
遊星ギヤに負荷を与えることができ、これにより、請求
項１の発明と同様の目的を達成することができる。

【００１４】

【実施例】請求項１の発明の一実施例を図１ないし図５
に基づいて説明する。１はリボンベースである。このリ
ボンベース１は、図示しないが、印字ヘッドが搭載され
たキャリアに装着され、キャリアとともにプラテンに沿
って往復駆動されるものである。前記リボンベース１に
は複数の支軸２，３，４が平行に立設されている。そし
て、支軸２には、同軸上で一体に形成された駆動ギヤ５
と出力ギヤ６とが回転自在に嵌合されている。また、こ
の支軸２には摩擦力を介して前記出力ギヤ６に連結され
たアーム７が回動自在に嵌合されている。さらに、前記
出力ギヤ６に常時噛合された二つの遊星ギヤ８，９が設
けられている。さらに、前記支軸３には伝動ギヤ１０ａ
が回転自在に嵌合され、前記支軸４には伝動ギヤ１０ｂ
を有するリボン送り部であるリボン送り軸１２が回転自
在に嵌合されている。そして、これら二つの伝動ギヤ１
０ａ，１０ｂにより動力伝達機構１１が形成されてい
る。

【００１５】前記アーム７は弾性を有する合成樹脂によ
り形成され、図１、図４に示すように、このアーム７の
両端には、それぞれスリット１３を間にして対向し外周
の一部に突部１４を有する対の弾性変形部１５が一体に
形成され、前記遊星ギヤ８，９には対の弾性変形部１５
に嵌合される嵌合孔１６が形成されている。この状態で
は、図５に示すように、突部１４は弾性変形部１５の弾
性により嵌合孔１６の内面に弾性的に接触され、これに
より、遊星ギヤ８，９に負荷が与えられている。

【００１６】図２に示すように、前記遊星ギヤ８，９は
前記出力ギヤ６に常時噛合され、前記伝動ギヤ１０ａ，
１０ｂ同士は常時噛合されている。また、図３にも示す
ように、プラテンの長手方向に沿うラック１７と、この
ラック１７に噛合された前記駆動ギヤ５とにより運動変
換機構１８が形成されている。すなわち、キャリアをリ
ボンベース１とともに移動させると、駆動ギヤ５が回転
する。

【００１７】このような構成において、図２（ａ）に示
すように、キャリアがリボンベース１とともに右方（矢
印Ｒ方向）に移動すると、駆動ギヤ５と出力ギヤ６とが
時計方向に回転し、アーム７は出力ギヤ６との間に作用
する摩擦によってこの出力ギヤ６に追従して時計方向に
回動する。これにより、一方の遊星ギヤ８は伝動ギヤ１
０ｂに噛合され、他方の遊星ギヤ９は伝動ギヤ１０ａか
ら離反され、出力ギヤ６の回転は遊星ギヤ８と伝動ギヤ
１０ｂとを介してリボン送り軸１２に伝達される。

【００１８】また、図２（ｂ）に示すように、キャリア
がリボンベース１とともに左方（矢印Ｌ方向）に移動す
ると、駆動ギヤ５と出力ギヤ６との回転方向は反時計方
向に切り替わる。この切り替えの瞬間は、遊星ギヤ８は
まだ伝動ギヤ１０ｂから外れていない状態であるが、各
ギヤの噛合部にはバックラッシュがあるので回転伝達作
用に遅れが生じ、また、遊星ギヤ８，９には弾性変形部
１５により負荷が与えられているため、出力ギヤ６の回
転が遊星ギヤ８を介して伝動ギヤ１０ｂに伝達されるま
での間には、アーム７が反時計方向に回動し遊星ギヤ９
が伝動ギヤ１０ｂから離れる。そして、アーム７の切り
替え動作の終期には、図２（ｂ）に示すように、遊星ギ
ヤ９が伝動ギヤ１０ａに噛合される。これにより、出力
ギヤ６の回転は、遊星ギヤ９と伝動ギヤ１０ａとを介し
てリボン送り軸１２に伝達される。このように、キャリ
アの移動方向が変わっても、動力の伝達経路を切り替え
てリボン送り軸１２が常に時計方向に駆動される。

【００１９】このように、アーム７を反転させる瞬間
に、回転伝達作用に遅れを生じさせる作用は、図２
（ｂ）の状態から図２（ａ）に示す状態に戻す場合につ
いても同様である。このように、遊星ギヤ８，９に負荷
を与えるための弾性変形部１５をアーム７に一体に形成
することができるため、部品点数を少なくすることが可
能となる。また、アーム７に形成された弾性変形部１５
に遊星ギヤ８，９を圧入するだけで、アーム７に遊星ギ
ヤ８，９を容易に組み立てることができる。なお、弾性
変形部１５を遊星ギヤ８，９に一体に形成し、アーム７
に弾性変形部１５が嵌合される嵌合孔１６を形成しても
同様の目的を達成することができる。或いは、遊星ギヤ
８，９とアーム７との一方に軸を一体に形成し、他方に
その軸に嵌合される嵌合孔を形成し、この嵌合孔の内面
に軸の外周に弾性的に接触する弾性変形部を形成しても
同様の目的を達成することができる。

【００２０】次いで、請求項２の発明の一実施例を図６
に基づいて説明する。前記実施例と同一部分は同一符号
を用い説明も省略する。本実施例は、遊星ギヤ８，９に
形成された嵌合孔１６に対して所定のクリアランスをも
って嵌合される軸１９をアーム７に一体に形成し、これ
らの軸１９と嵌合孔１６との間に粘性物質であるシリコ
ングリス２０を塗布したものである。したがって、この
シリコングリス２０によって遊星ギヤ８，９に負荷を与
えることができる。これにより、前記実施例と同様の目
的を達成することができる。

【００２１】

【発明の効果】請求項１の発明は、上述のように形成し
たので、アームに保持された遊星ギヤにより出力ギヤの
回転を動力伝達機構に伝達してリボン送り部を駆動する
ことができるが、アームと遊星ギヤとの嵌合部分に一体
に形成された弾性変形部によって遊星ギヤに負荷を与え
ることができ、したがって、キャリアの移動方向が変わ
ってアームの回動方向が切り替わる瞬間には、遊星ギヤ
の回転反転動作を遅らせてこの間にアームを回動させて
動力伝達経路を切り替えることができ、これにより、キ
ャリアの移動方向が変わる瞬間にインクリボンが逆方向
に送られる状態を回避することができ、また、遊星ギヤ
に負荷を与えるための弾性変形部をアーム又は遊星ギヤ
に一体に形成することができるため、部品点数及び組立
工数を少なくすることができる等の効果を有する。

【００２２】請求項２の発明によれば、アームと遊星ギ
ヤとの嵌合部に粘性物質を塗布するだけの簡単な構造で
遊星ギヤに負荷を与えることができ、これにより、請求
項１の発明と同様の目的を達成することができる効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の発明の一実施例を示す分解斜視図で
ある。

【図２】アームの切替動作に基づく動力伝達経路の変化
を示す平面図である。

【図３】一部を断面にした正面図である。

【図４】アームと遊星ギヤとの嵌合状態を示す分解斜視
図である。

【図５】アームと遊星ギヤとの嵌合状態を示す一部の縦
断側面図である。

【図６】請求項２の発明の一実施例を示す分解斜視図で
ある。

【図７】従来例を示す分解斜視図である。

【図８】アームの切替動作に基づく動力伝達経路の変化
を示す平面図である。

【図９】遊星ギヤに負荷を与える構造を示す縦断側面図
である。

【符号の説明】

６ 出力ギヤ ７ アーム ８，９ 遊星ギヤ １０ａ，１０ｂ 伝動ギヤ １１ 動力伝達機構 １２ リボン送り部 １５ 弾性変形部 １８ 運動変換機構 ２０ 粘性物質

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印字ヘッドが搭載されてプラテンに沿っ
   て往復駆動されるキャリアの直線運動を回転運動に変換
   する運動変換機構を設け、複数の伝動ギヤを噛合してな
   る動力伝達機構と、前記伝動ギヤの一つに連結されたリ
   ボン送り部と、前記運動変換機構の出力側に連結された
   出力ギヤとを前記キャリアに回転自在に設け、前記出力
   ギヤの回転軸心上にその出力ギヤに摩擦を介して連結さ
   れたアームを回動自在に設け、前記アームの回動中心か
   ら離れた部分に前記伝動ギヤに選択的に噛合される遊星
   ギヤを前記出力ギヤには常時噛合させて回転自在に設
   け、前記アームと前記遊星ギヤとの嵌合部分に互いに圧
   接力を付与し合う弾性変形部を一体に形成したことを特
   徴とするインクリボン送り装置。
2. 【請求項２】 弾性変形部に変えて、粘度の高い粘性物
   質をアームと遊星ギヤとの嵌合部に塗布したことを特徴
   とする請求項１記載のインクリボン送り装置。