JPH06105570B2 - 封止接点装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は封止接点装置に関し、さらに詳しくは開閉器や
電磁接触器などに好適に実施される封止接点装置に関す
る。

背景技術 一般に大電力負荷を開閉する機構に用いられる接点装置
は、負荷電流特に直流大電流を遮断する時に発生するア
ークによつて接点が消耗し、信頼性と寿命が低下するな
どの問題点があつた。

このような問題点を解決するために、水素ガスなどの絶
縁性ガスが高気圧に封入され、気密に形成された封止容
器内で、当該接点を当接離反させ、上記絶縁性ガスの冷
却能と、封止容器外に配置された磁気発生手段である永
久磁石などの作る磁界によるアーク吹き消し作用によつ
て、発生したアークを消弧させる構造の封止接点装置が
提案され、使用されている。

第４図は、或る提案された封止接点装置１の構造を、そ
の一部を省略して示す断面図である。封止接点装置１
は、たとえばセラミツクスなどの耐熱絶縁材で作成され
た胴部２と、その軸線方向両端部を被覆し固定する端板
3a,3bとによって、内部に気密空間４を有する封止容器
５が形成され、一方の端板3bに設けられた嵌着孔3cに
は、先端に固定接点6aが固着された固定軸6bが嵌入さ
れ、カシメなどによつて固定されて固定電極６が端板3b
と一体的に形成されている。

また端板3bと胴部２に内接して、たとえばセラミツクス
などの絶縁材から成り固定軸6bの挿通孔7aを有する絶縁
部材７が設けられている。端板3bにはさらに気管８が連
結され、気管８から端板3bに設けられた気孔3dを介し
て、熱伝導率の大きい水素ガスなどの絶縁性ガスが、前
記気密空間４内に、大気圧より高い気圧（たとえば２〜
３気圧）に封入される。絶縁性ガスの封入後に気管８は
圧着されて気密空間４を封止し、圧着された気管８には
図示されない一方の導線が接続される。

他方の端板3aには端板3aと胴部２に内接して前記絶縁部
材７と同一材料から成る絶縁板９が固着されており、端
板3aと絶縁板９にそれぞれ設けられた挿通孔3e,9aを可
動電極10が挿通している。可動電極10は、可動接点10a
と、先端に可動接点10aが固着された可動軸10bとから成
る。可動軸10bの他端は図示されないもう一方の導線が
接続される。

端板3aの外方表面には、可動電極10が挿通される筒部14
が円筒状に配置され、筒部14の内部には可動軸10bを外
囲して、たとえば薄肉金属円筒に波形のひだを付けて蛇
腹状に形成されたベローズ15が配置されている。ベロー
ズ15の一端部は前記挿通孔3eの周縁部近傍で可動軸10b
に、他端部は筒部14の上端に設けられる図示されないベ
ローズ押さえ板にレーザビーム溶接などによつて一体的
に結合され、これにより封止容器５内の気密空間４は外
部と遮断され、気密に封止される。

さらに固定接点6aと可動接点10aの近傍、かつ両者の厚
み方向（第４図において紙面と垂直な方向）で前記胴部
２の外方に一対の永久磁石片（図示せず）が対向して配
置され、これら永久磁石片により、磁界Ｂが封止容器５
内の気密空間を紙面に垂直に貫通している。ただしその
向きは第４図に示されるように紙面表より裏に向かう方
向とする。

図示しない駆動手段が可動軸10bを矢符ａの方向（第４
図下方）に押圧すると、固定接点6aに可動接点10aが当
接し、固定接点6aと可動接点10a間が導通する。このと
きの電流は参照Ｉで示されるように、固定接点6aを陽極
（＋）とし、可動接点10aを陰極（−）とする方向（第
４図上方）に流れるものとする。押圧が止むと、封止容
器５内外の気圧差により、ベローズ15に生じる引張り力
のために可動軸10bは矢符ａと反対の方向（第４図上
方）に変位し、固定接点6aと可動接点10aは離反し、回
路は遮断される。

このとき、負荷電流遮断にともなうアークＡが、固定接
点6aと、可動接点10a間の間隙ｂに発生する。直流負荷
の場合、アークＡは連続アークとなり、間隙ｂが広がる
につれてアークＡは、磁界Ｂの方向と電流Ｉの方向とに
直交する方向（第４図左方向）に、封止容器５内を移動
する。移動するアークを破線Ｃで示す。この移動は、フ
レミング左手法則に従う力Ｆが、電流Ｉ、即ちアークＡ
の発生時の方向と直角方向に作用するためであつて、磁
界Ｂと電流Ｉの方向が定められると、遮断時に発生する
アークＡは、常に一定の方向（第４図においては左方
向）に移動することになる。

このためアークＡが移動する側である内壁2bと対向する
反対側の内壁2aにはアークＡが移動しないため、封止容
器５の容積のうち、上記内壁2b側はいわば不必要な空間
部分とみなし得る。よつて小形軽量化と生産コストの低
減化が要請される封止接点装置１において、上述し「不
必要な」空間の排除が所望されていた。

目的 したがつて本発明の目的は、上述の技術的問題点を解消
して、アークが移動する側に気密空間を膨出して形成
し、反対側の気密空間を最小限の容積とし、しかも同等
の性能を保証する封止接点装置を実現し、提供すること
である。

発明の構成 本発明は、気密空間が形成された封止容器25内に、固定
接点27と、その固定接点27に対向する可動接点31とが配
置され、 磁石片36a,36bによつて封止容器25内に一方向に磁界が
形成され、 固定接点27と可動接点31とは、磁界の方向に厚み方向を
有する偏平な形状を有し、 両接点27,31の厚み方向と交差する方向の周面は、外方
に凸の円弧状に形成され、 封止容器25内には、絶縁性ガスを大気圧より高い気圧で
封入し、 磁界の方向と可動接点31の移動方向とにそれぞれ垂直で
あつて、かつ固定接点と可動接点には直流電流を流した
とき、遮断時に発生するアークを前記磁界によつて移動
させる方向に、前記気密空間を膨出して形成したことを
特徴とする封止接点装置である。

実施例 第１図は、本発明の一実施例の封止接点装置21の構造を
その一部を省略して示す断面図であり、第２図は本発明
の一実施例の封止接点装置21の全体を示す断面図であ
り、第３図は第２図の切断面線III−IIIから見た断面図
である。第１図は、先行技術を示す前記第４図と対照す
るために、第２図示の断面図の一部を抽出して画かれて
いる。

第１図〜第３図を参照して、封止接点装置21は、たとえ
ばセラミツクスなどの耐熱絶縁材で作成された胴部22
と、その胴部22に平行な方向の両端部を被覆し固定する
端板23a,23bとによつて、内部に気密空間24を有する封
止容器25が形成される。本実施例における封止容器25
は、気密空間24を一方へ膨出して形成し、その配置を非
対称としたことを特徴とするが、これについては後述す
る。

一方の端板23bに設けられた嵌着孔23cには、銅などの金
属材料から成り、その先端に円板状の固定接点27が固着
された固定軸28が嵌入され、カシメなどによつて固定さ
れて固定電極26が形成されている。固定接点27はたとえ
ばタングステンなどのような融点の高い金属により作成
されている。また端板23bと胴部22に内接して、たとえ
ばセラミツクスなどの絶縁材から成り固定軸28の挿通孔
40aを有する絶縁部材40が設けられている。端板23bには
さらに気管38が連結され、気管38から端板23bに設けら
れた気孔23dを介して、熱伝導率の大きい水素ガスなど
の絶縁性ガスが、前記気密空間24内に大気圧より高い気
圧（たとえば２〜３気圧）に封入される。絶縁性ガスの
封入後に気管38は圧着されて気密空間24を封止し、圧着
された気管38には一方の導線W1が接続される。

他方の端板23aには端板23aと胴部22に内接して上記絶縁
部材40と同一材料から成る絶縁板29が固着されており、
端板23aと絶縁板29にそれぞれ設けられた挿通孔23e,29a
を可動電極30が挿通している。可動電極30は、可動接点
31と、銅などの金属材料で作成され、先端に円板状の可
動接点31が固着された可動軸32とから成る。

可動接点31は前記固定接点27と同じくタングステンなど
の高融点金属により作成される。可動軸32の他端部32a
には、もう一方の導線W2が接続される端子33が設けられ
ている。

上記端板23aの外方表面には、可動電極30が挿通される
筒部34が円筒状に配置され、筒部34の内部には可動軸32
を外囲して、たとえばニツケル−銅−ニツケル（Ni−Cu
−Ni）の３層薄肉の金属円筒に波形のひだを付けて蛇腹
状に形成されたベローズ35が配置されている。ベローズ
35の一端部は前記挿通孔23eの周縁部近傍で可動軸32
に、他端部は筒部34の上端に設けられるベローズ押さえ
板34aにレーザービーム溶接などによつて一体的に気密
に結合される。

ベローズ押さえ板34aには、可動軸32が挿通される案内
部材34bが取り付けられており、可動軸32は上記案内部
材34bを介して筒部34内を貫通する。これにより封止容
器25内の気密空間24は外部と遮断され、気密に封止され
る。

第２図を参照して、固定接点27と可動接点31の近傍、か
つ両者の厚み方向（第２図左右方向）で前記胴部22の外
方に、磁界発生手段である一対の永久磁石片36a,36bが
対向して配置され、これら永久磁石片36a,36bをヨーク
部材37が外囲し、これにより磁界Ｂが封止容器５内の気
密空間を貫通する。ただしその向きは、永久磁石片36a
をＮ極、永久磁石片36bをＳ極と定めれば、第２図にお
いては左から右へ向かう方向であり、第３図においては
紙面に垂直に表から裏へ向かう方向である。

第３図を参照して、本実施例では封止容器25内の気密空
間24について、その配置を第３図示のように左右非対称
とした。即ち固定電極26と可動電極30の軸線ｌを挟み軸
線方向に直角で、かつ固定接点27あるいは可動接点31の
直径方向に臨む気密空間24a,24bについて、たとえばそ
のうち一方の気密空間24aについては、前記軸線から上
記気密空間24aを形成する側の胴部22aにいたる距離D1を
長くし、即ち気密空間24aを胴部22a側に膨出させ、他方
の気密空間24bについては前記軸線ｌから気密空間24bを
形成する側の胴部22bにいたる距離D2を、接点動作に必
要な動作最小限の長さとした。

これは先行技術で述べたごとく、接点を流れる電流Ｉの
方向と、前記磁界Ｂの方向が定まれば、固定接点27と可
動接点31の離反時に生じるアークはこれらと直交し、か
つ一方の側に移動することに基づくものであり、本発明
の特徴をなすものである。

第１図を参照して、図示しない駆動手段が可動軸32を矢
符ａの方向（第１図の下方）に押圧すると、可動接点31
が固定接点27に当接し、固定接点27と可動接点31間が導
通する。押圧が止むと、封止容器25内外の気圧差によ
り、ベローズ35に生じる引張り力のために、可動軸32は
矢符ａと反対の方向（第１図の上方）に変位し、可動接
点31は固定接点27から離反し、固定接点27と可動接点31
間は遮断される。

このとき磁界Ｂの方向と前記接点27,31間を流れる電流
Ｉの方向を図示のごとくに定めれば、上記接点遮断時に
発生するアークＡは、第１図において矢符Ｆで示される
方向の力を受け、破線Ｃで示されるように、膨出して形
成された気密空間24aの側に移動する。これは前記フレ
ミング左手法則に従う力Ｆによるものであつて、アーク
Ａは常に一方の気密空間24aに向かい、対向する他方の
気密空間24bの側には移動しない。したがつてアークＡ
が移動しない側の気密空間24bの容積を小さくすること
ができる。

第５図は、第１図と同一方向から見た接点27,31を示す
側面図である。各接点27,31を円板状とすることによつ
て、丸棒を輪切り状に切断して、それらの接点27,31を
容易に製造することができる。これらの接点27,31を円
板状とすることによつて、上述のように製造が容易であ
るという利点が達成されるだけでなく、アークが発生し
たとき、そのアークを素早く遮断することができるとい
う利点もまた達成される。すなわち第５図（１）に示さ
れるように、接点27,31の離間時にアーク１が発生する
と、第５図の紙面に垂直方向に形成されている磁界によ
つて、そのアークA1が第５図（２）の参照符A2で示され
るように引き伸ばされ、さらに第５図（３）の参照符A3
で示されるように引き伸ばされ、したがつてアークを形
成、維持するアーク電圧が上昇し、このようにしてアー
クがを素早く遮断することができる。

第６図は、第５図の側面側から見た図である。接点27,3
1の端面側にアークが発生すると、そのアークにフレミ
ング左手法則により、第６図の紙面に垂直方向に力が作
用し、参照符A4,A5で示すアークは、第６図（１），
（２）の状態から、第５図（１），（２）の状態となる
ように移動する。こうして接点27,31の端面側にアーク
が生じても、接点27,31の円周面側に移動することにな
る。したがつてこのような第６図（１），（２）で示す
接点27,31の端面側にアークが生じても、アークを素早
く遮断することができる。

効果 以上のように本発明によれば、磁界の方向と可動接点31
の移動方向とにそれぞれ垂直であつて、フレミング左手
法側に従つてアークが磁界によつて移動させられる方向
に、封止容器25の気密空間を膨出して形成し、これによ
つてアークが移動しない側の気密空間の容積を小さくす
ることができるようになり、したがつて封止容器25全体
の大きさを小さくし、しかも同等の消弧性能を保証する
ことができるようになる。

また本発明によれば、封止容器25内では、磁石片36a,36
bによつて一方向に磁界が形成されており、その封止容
器25内に設けられている固定接点27と可動接点31とは、
磁界の方向に厚み方向を有する偏平な形状を有してお
り、これらの両接点27,31の厚み方向と交差する方向の
周面は、外方に凸の円弧状に形成されているので、たと
えば丸棒を輪切り状に切断してそれらの接点27,31を容
易に製造することができ、しかもまたこのように製造が
容易であるという利点が達成されるだけでなく、アーク
が発生したとき、そのアークを素早く遮断することがで
き、したがつてアーク熱による汚染と、これら接点27,3
1の損傷が抑制される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の封止接点装置21の構造の一
部を省略して示す断面図、第２図は本実施例の断面図、
第３図は第２図の切断面線III−IIIから見た断面図、第
４図は或る提案された封止接点装置１の構造の一部を省
略して示す断面図、第５図および第６図は接点27,31か
ら発生したアークの消弧動作を説明するための図であ
る。 21…封止接点装置、22,22a,22b…胴部、24,24a,24b…気
密空間、25…封止容器、27…固定接点、31…可動接点、
35…ベローズ、Ａ…アーク、Ｂ…磁界、Ｉ…接点間を流
れる電流

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 立野 守 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (56)参考文献 実開 昭52−166570（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】気密空間が形成された封止容器25内に、固
   定接点27と、その固定接点27に対向する可動接点31とが
   配置され、 磁石片36a,36bによつて封止容器25内に一方向に磁界が
   形成され、 固定接点27と可動接点31とは、磁界の方向に厚み方向を
   有する偏平な形状を有し、 両接点27,31の厚み方向と交差する方向の周面は、外方
   に凸の円弧状に形成され、 封止容器25内には、絶縁性ガスを大気圧より高い気圧で
   封入し、 磁界の方向と可動接点31の移動方向とにそれぞれ垂直で
   あつて、かつ固定接点と可動接点には直流電流を流した
   とき、遮断時に発生するアークを前記磁界によつて移動
   させる方向に、前記気密空間を膨出して形成したことを
   特徴とする封止接点装置。