JPH06104751B2 - 多孔性フィルム,シート及びその製造方法 - Google Patents

多孔性フィルム,シート及びその製造方法

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JPH06104751B2
JPH06104751B2 JP1307564A JP30756489A JPH06104751B2 JP H06104751 B2 JPH06104751 B2 JP H06104751B2 JP 1307564 A JP1307564 A JP 1307564A JP 30756489 A JP30756489 A JP 30756489A JP H06104751 B2 JPH06104751 B2 JP H06104751B2
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sheet
polypropylene
propylene
film
weight
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安治 河村
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、軟質で微小孔を有し、壁材,自動車用内装材
成形品,シート材あるいは透湿防水布等に好適な多孔性
フィルム,シートと、その製造方法に関する。
[従来の技術] 従来、ポリプロピレンの多孔性フィルム,シート等の製
造方法としては、次のようなものがある。
ポリオレフィンと有機液体及び/あるいは無機フィラ
ーを混合し溶融押出成形後、上記有機液体を溶剤抽出し
て貫通多孔質化したフィルムを製造する方法(特公昭59
−37292,特開昭63−108041) 樹脂に水溶解性の有機フィラー(ゼラチン)を入れ水
抽出して多孔質化し、表面の凹凸による良好なタッチと
光の低反射性を持たせるようにした製造方法(特開平1
−186320号) キャストフィルム中のフィラーを単純に抽出しようと
する方法 パラフィンとポリオレフィン樹脂を用いた多孔質膜の
製造方法(特開昭55−60537号) [発明が解決しようとする問題点] しかしながら上述した従来の多孔性フィルム,シートあ
るいはその製造方法には、次のような問題があった。
特公昭59−37292号,特開昭63−108041号に記載のも
のは、フィラー粒径や有機液の分散状態により微小孔の
径が変化しやすく、均一な微小孔を有するフィルム,シ
ートの製造が困難であった。また、軟質性がないため、
軟質性を要する製品には用いることができず、用途が限
定されるという問題があった。
特開平1−186320号に記載のものは、樹脂のスキン層
により、抽出の効率が低くなる。このため、多量(30〜
40重量%以上で80%抽出)のフィラーを必要とするとい
う問題があった。
キャストフィルム中のフィラーを単純に抽出しようと
する方法は、フィラー添加量にもよるが、樹脂のスキン
層により抽出の効率が低くなり、強延伸でクレーズを発
生させ抽出すると抽出の効率は向上するがフィブリル化
するという問題があった。すなわち、フィラー入りフィ
ルムを多孔質化する場合は、延伸後抽出か、高フィラー
濃度とすることが望ましいが、延伸でクレーズを発生さ
せる方法が孔がフィブリル化する。また、μオーダーの
フィラーを高濃度に充填すると二次凝集が問題となる。
パラフィンとポリオレフィン樹脂を用いた多孔質膜の
製造方法は、用いられるポリオレフィン樹脂が基本的に
軟質ポリプロピレンではないので溶剤による抽出のため
多量のパラフィンを混合する必要があるとともに、ポリ
プロピレンとパラフィンを押出機やバンバリーミキシー
等で練り込む工程が必要であり、コスト高とならざるを
得なかった。
本発明は上記の問題点にかんがみてなされたものであ
り、多孔質化による光の低反射と、有機フィラの添加に
よる良好なタッチと、スキン層除去による高吸放湿性
と、貫通孔の生成による高透湿性,高通気性等の優れた
性質を有する多孔性フィルム,シートの提供及び、この
多孔性フィルム,シートの製造方法の提供を目的とす
る。
上記目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ねた
結果、特殊な軟質ポリプロピレンを用いると、従来のポ
リプロピレンと有機(無機)フィラーの組成物ではなし
えなかった軟質の多孔性フィルム,シートを得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
[問題点を解決するための手段] 上記知見にもとづいてなされた本発明の多孔性フィル
ム,シートによれば、 軟質ポリプロピレンからなるフィルムまたはシートの少
なくとも表面に微小孔を有する多孔性フィルム,シート
において、前記軟質ポリプロピレンが、下記(A)に示
すアタクチックプロピレンからなるポリプロピレン系ホ
モ重合体(a)、下記(B)に示すプロピレンとα−オ
レフィンのランダム共重合体(b)、下記(C)に示す
エチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)にアタク
チックプロピレンが付着した島構造となったポリプロピ
レン系ブロック共重合体(c),(c′)、または下記
(D),(E)に示すそれらの重合体を含有する混合体
(組成物)(d),(e)であり、かつ、前記微小孔
が、その孔径が0.1〜100μmであるとともに、その開孔
率が、前記軟質ポリプロピレンからなるフィルムまたは
シートの表面積の2〜85%であることを特徴とする多孔
性フィルム,シートが提供される。
(A)(i)固有粘度が、1.2dl/g以上である沸騰ヘプ
タン可溶性ポリプロピレン10〜90重量%と(ii)固有粘
度が0.5〜9.0dl/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピ
レン90〜10重量%とからなるポリプロピレン系ホモ重合
体(a) (B)α−オレフィン単位含有量が0.1〜5モル%で、
固有粘度が1.2dl/g以上である沸騰ヘキサン可溶分が20
〜99.9重量%で、かつ引張弾性率が5000kg/cm2以下であ
る、プロピレンと炭素数4〜30のα−オレフィンとのラ
ンダム共重合体(b) (C)エチレン単位含有量が10〜60モル%で固有粘度が
0.5〜7.0dl/gであるエチレン−プロピレン共重合体
(c)および/又はエチレン単位含有量が10〜60モル%
で、ポリエン単位含有量が1〜10モル%で、かつ固有粘
度が0.5〜7.0dl/gであるエチレン−プロピレン−ポリエ
ンブロック共重合体(c′) (D)(i)前記ポリプロピレン系ホモ重合体(a)10
〜95重量%と、(ii)前記エチレン−プロピレンブロッ
ク共重合体(c)及び/又は 前記エチレン−プロピレン−ポリエンブロック共重合体
(c′)90〜5重量%とからなる混合体(プロピレン系
組成物)(d) (E)(i)前記ランダム共重合体(b)10〜95重量%
と、(ii)前記エチレン−プロピレンブロック共重合体
(c)及び/又は前記エチレン−プロピレン−ポリエン
ブロック共重合体(c′)90〜5重量%とからなる混合
体(プロピレン系組成物)(e) また、前記微小孔が、その孔径が3〜30μmであり、か
つ、その開孔率が前記軟質ポリプロピレンからなるフィ
ルムまたはシートの表面積の3〜60%であることを特徴
とする多孔性フィルム,シートが提供される。
また、前記軟質ポリプロピレンが、アタクチックポリプ
ロピレンを含むことを特徴とする多孔性フィルム,シー
トが提供される。
また、前記微小孔が、その最大孔径が1.2μm以下で、
平均粒径が0.6〜0.9μmであるとともに、その開孔率が
前記軟質ポリプロピレンからなるフィルムまたはシート
の表面積の5〜50%であることを特徴とする多孔性フィ
ルム,シートが提供される。
また、前記微小孔が、その一方の最大孔径が1.2μm以
下で、平均孔径が0.6〜0.9μmであるとともに、その開
孔率が前記軟質ポリプロピレンからなるフィルムまたは
シートの表面積の2〜45%であり、かつ、他方の孔径が
3〜30μmであるとともに、その開孔率が10〜60%であ
ることを特徴とする多孔性フィルム,シートが提供され
る。
また、軟質ポリプロピレンとフィラーとからなるフィル
ムまたはシートの少なくとも表面に微小孔を有する多孔
性フィルム,シートにおいて、前記軟質ポリプロピレン
が、前記(A)に示すアタクチックプロピレンからなる
ポリプロピレン系ホモ重合体(a)、前記(B)に示す
プロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体
(b)、前記(C)に示すエチレンプロピレンゴム(ポ
リエチレン内在)にアタクチックプロピレンが付着した
島構造となったポリプロピレン系ブロック共重合体
(c),(c′)、または前記(D),(E)に示すそ
れらの重合体を含有する混合体(組成物)(d),
(e)であるとともに、その含有量が90〜40重量%であ
り、また、前記フィラーが有機フィラーであって、その
粒径が3〜30μmであるとともにその含有量が10〜60重
量%であり、かつ、前記微小孔が、その最大孔径が1.2
μm以下で、平均孔径が0.6〜0.9μmであるとともに、
その開孔率が前記軟質ポリプロピレンからなるフィルム
またはシートの表面積の2〜45%であることを特徴とす
る多孔性フィルム,シートが提供される。
また、軟質ポリプロピレンとフィラーとからなるフィル
ムまたはシートの少なくとも表面に微小孔を有する多孔
性フィルム,シートにおいて、前記軟質ポリプロピレン
が、前記(A)に示すアタクチックプロピレンからなる
ポリプロピレン系ホモ重合体(a)、前記(B)に示す
プロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体
(b)、前記(C)に示すエチレンプロピレンゴム(ポ
リエチレン内在)にアタクチックプロピレンが付着した
島構造となったポリプロピレン系ブロック共重合体
(c),(c′)、または前記(D),(E)に示すそ
れらの重合体を含有する混合体(組成物)(d),
(e)であるとともに、その含有量が99〜40重量%であ
り、また、前記フィラーが無機フィラーであって、その
粒径が0.1〜30μmであるとともに、その含有量が1〜6
0重量%であり、かつ、前記微小孔が、その最大孔径が
1.2μm以下で、平均孔径が0.6〜0.9μmであるととも
に、その開孔率が前記軟質ポリプロピレンからなるフィ
ルムまたはシートの表面積の2〜45%であることを特徴
とする多孔性フィルム,シートが提供される。
また、本発明の多孔性フィルム,シートの製造方法によ
れば、軟質ポリプロピレンを混練後、Tダイまたはイン
フレーション成形によって、フィルムまたはシートを形
成し、その後溶剤によって、フィルム,シートの少なく
とも表面の物質を抽出する多孔性フィルム,シートの製
造方法において、前記軟質ポリプロピレンが、前記
(A)に示すアタクチックプロピレンからなるポリプロ
ピレン系ホモ重合体(a)、前記(B)に示すプロピレ
ンとα−オレフィンのランダム共重合体(b)、前記
(C)に示すエチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内
在)にアタクチックプロピレンが付着した島構造となっ
たポリプロピレン系ブロック共重合体(c),
(c′)、または前記(D),(E)に示すそれらの重
合体を含有する混合体(組成物)(d),(e)であ
り、かつ、前記抽出されるフィルムまたはシートの少な
くとも表面の物質が、アタクチックポリプロピレンおよ
び/又はエチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)
であることを特徴とする多孔性フィルム,シートの製造
方法が提供される。
また、軟質ポリプロピレンとフィラーとを混練後、Tダ
イまたはインフレーション成形によってフィルムまたは
シートを成形し、その後溶剤によってフィルムまたはシ
ートの少なくとも表面の物質を抽出する多孔性フィル
ム,シートの製造方法において、前記軟質ポリプロピレ
ンが、前記(A)に示すアタクチックプロピレンからな
るポリプロピレン系ホモ重合体(a)、前記(B)に示
すプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体
(b)、前記(C)に示すエチレンプロピレンゴム(ポ
リエチレン内在)にアタクチックプロピレンが付着した
島構造となったポリプロピレン系ブロック共重合体
(c),(c′)、または前記(D),(E)に示すそ
れらの重合体を含有する混合体(組成物)(d),
(e)であるとともに、その含有量が90〜40重量%であ
り、また、前記フィラーが、有機フィラーであって、そ
の粒径が3〜30μmであるとともに、その含有量が10〜
60重量%であり、かつ、前記抽出されるフィルムまたは
シートの少なくとも表面の物質が、有機フィラー、アタ
クチックポリプロピレンおよびエチレンプロピレンゴム
(ポリエチレン内在)からなる群から選択される一以上
の物質であることを特徴とする多孔性フィルム,シート
の製造方法が提供される。
また、軟質ポリプロピレンとフィラーとを混練後、Tダ
イまたはインフレーション成形によってフィルムまたは
シートを成形し、その後溶剤によってフィルムまたはシ
ートの少なくとも表面の物質を抽出する多孔性フィル
ム,シートの製造方法において、前記軟質ポリプロピレ
ンが、前記(A)に示すアタクチックプロピレンからな
るポリプロピレン系ホモ重合体(a)、前記(B)に示
すプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体
(b)、前記(C)に示すエチレンプロピレンゴム(ポ
リエチレン内在)にアタクチックプロピレンが付着した
島構造となったポリプロピレン系ブロック共重合体
(c),(c′)、または前記(D),(E)に示すそ
れらの重合体を含有する混合体(組成物)(d),
(e)であるとともに、その含有量が90〜40重量%であ
り、また前記フィラーが無機フィラーであって、その粒
径が0.1〜30μmであるとともに、その含有量が10〜60
重量%であり、かつ、前記抽出されるフィルムまたはシ
ートの少なくとも表面の物質が無機フィラー、アタクチ
ックポリプロピレンおよびエチレンプロピレンゴム(ポ
リエチレン内在)からなる群から選択される一以上の物
質であることを特徴とする多孔性フィルム,シートの製
造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に用いられる軟質ポリプロピレンについて
説明する。
本発明において「軟質ポリプロピレン」とは、以下の
(A)に示すポリプロピレン系ホモ重合体(a)、
(B)に示すプロピレンとα−オレフィンのランダム共
重合体、(C)に示すブロック共重合体(c),
(c′)、または(D),(E)に示すそれらの重合体
を含有する混合体(組成物)(d),(e)のいずれか
を意味する。
(A)(i)固有粘度が、1.2dl/g以上である沸騰ヘプ
タン可溶性ポリプロピレン10〜90重量%と(ii)固有粘
度が0.5〜9.0dl/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピ
レン90〜10重量%とからなるポリプロピレン系ホモ重合
体(a) (B)α−オレフィン単位含有量が0.1〜5モル%で、
固有粘度が1.2dl/g以上である沸騰ヘキサン可溶分が20
〜99.9重量%で、かつ引張弾性率が5000kg/cm2以下であ
る、プロピレンと炭素数4〜30のα−オレフィンとのラ
ンダム共重合体(b) (C)エチレン単位含有量が10〜60モル%で固有粘度が
0.5〜7.0dl/gであるエチレン−プロピレン共重合体
(c)および/又はエチレン単位含有量が10〜60モル%
で、ポリエン単位含有量が1〜10モル%で、かつ固有粘
度が0.5〜7.0dl/gであるエチレン−プロピレン−ポリエ
ンブロック共重合体(c′) (D)(i)前記ポリプロピレン系ホモ重合体(a)10
〜95重量%と、(ii)前記エチレン−プロピレンブロッ
ク共重合体(c)及び/又は 前記エチレン−プロピレン−ポリエンブロック共重合体
(c′)90〜5重量%とからなる混合体(プロピレン系
組成物)(d) (E)(i)前記ランダム共重合体(b)10〜95重量%
と、(ii)前記エチレン−プロピレンブロック共重合体
(c)及び/又は前記エチレン−プロピレン−ポリエン
ブロック共重合体(c′)90〜5重量%とからなる混合
体(プロピレン系組成物)(e) なお、前記のポリプロピレン系ホモ重合体(a)は次の
性質(i)〜(iv)を有しているものが特に好ましい。
(i)13C−NMRによるペンタッド分率において、rrrr/1
−mmmmが20%以上である。
(ii)示差熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク
温度(Tm)が150℃以上である。
(iii)DSCにて測定した融解エンタルピー(△H)が10
0J/g以下である。
(iv)透過型電子顕微鏡での観察において、ドメイン構
造が観察される。
本発明で用いる軟質ポリプロピレンのうち、前記のポリ
プロピレン系ホモ重合体(a)及びランダム共重合体
(b)は、例えば、以下に記載の気相1段重合法又はス
ラリー1段重合法のいずれかによって調製することがで
きる。以下、それらの調製法について順に説明する。
気相1段重合法 気相1段重合法で用いる触媒系は、例えば、 (I)(i)結晶性ポリオレフィンと (ii)マグネシウム、チタン、ハロゲン原子および電子
供与性化合物からなる固体触媒成分とからなる固体成
分、 (II)有機アルミニウム化合物 (III)アルコキシ機含有芳香族化合物、および (IV)電子供与性化合物 の組合せからなる。
前記の固体成分(I)は、結晶性ポリオレフィン(i)
1重量部に対して固体触媒成分(ii)を0.005〜30重量
部(好ましくは0.02〜10重量部)の割合で含んでなる。
前記の固体成分(I)は、例えば、固体触媒成分(ii)
と有機アルミニウム化合物と場合により電子供与性化合
物との存在下に、オレフィンを予備重合させる方法によ
って調製することができる(予備重合法)。
ここで、固体触媒成分(ii)は、マグネシウム、チタ
ン、ハロゲン原子および電子供与性化合物を必須成分と
するものであり、これはマグネシウム化合物とチタン化
合物と電子供与性化合物とを接触させることによって調
製することができる。
マグネシウム化合物としては、例えばマグネシウムジク
ロリドなどのマグネシウムハライド、酸化マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、マグネ
シウムのカルボン酸塩、ジエトキシマグネシウムなどの
アルコキシマグネシウム、アリロキシマグネシウム、ア
ルコキシマグネシウムハライド、アリロキシマグネシウ
ムハライド、エチルブチルマグネシウムなどのアルキル
マグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、あるい
は有機マグネシウム化合物と電子供与体、ハロシラン、
アルコキシシラン、シラノール及びアルミニウム化合物
などとの反応物などを挙げることができるが、これらの
中でマグネシウムハライド、アルコキシマグネシウム、
アルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド
が好適である。また、これらのマグネシウム化合物は1
種だけで用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いて
もよい。
また、チタン化合物としては、例えばテトラメトキシチ
タン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシ
チタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブ
トキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラシク
ロヘキシロキシチタン、テトラフェノキシチタンなどの
テトラアルコキシチタン、四塩化チタン、四臭化チタ
ン、四ヨウ化チタンなどのテトラハロゲン化チタン、メ
トキシチタニウムリクロリド、エトキシチタニウムトリ
クロリド、プロポキシチタニウムトリクロリド、n−ブ
トキシチタニウムトリクロリド、エトキシチタニウムト
リブロミドなどのトリハロゲン化アルコキシチタン、ジ
メトキシチタニウムジクロリド、ジエトキシチタニウム
ジクロリド、ジプロポキシチタニウムジクロリド、ジ−
n−プロポキシチタニウムジクロリド、ジエトキシチタ
ニウムジブロミドなどのジハロゲン化ジアルコキシチタ
ン、トリメトキシチタニウムクロリド、トリエトキシチ
タニウムクロリド、トリプロポキシチタニウムクロリ
ド、トリ−n−ブトキシチタニウムクロリドなどのモノ
ハゴゲン化トリアルコキシチタンなどが挙げられるが、
これらの中で高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化
チタンが好適である。これらのチタン化合物はそれぞれ
単独で用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いても
よい。
電子供与性化合物は、酸素、窒素、リン、イオウ、ケイ
素などを含有する有機化合物であり、基本的にはプロピ
レンの重合において、規則性を向上することができるも
のである。
このような電子供与性化合物としては、例えばエステル
類、チオエステル類、アミン類、ケトン類、ニトリル
類、ホスフィン類、エーテル類、チオエーテル類、酸無
水物、酸ハライド類、酸アミド類、アルデヒド類、有機
酸類などを挙げることができる。さらには、例えば、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、ジベンジルジメトキシラン、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、ベンジルトリメトキシシランなどの有機ケイ
素化合物、フタル酸−n−ブチル、フタル酸ジイソブチ
ルなどの芳香族ジカルボン酸エステル、安息香酸、p−
メトキシ安息香酸、p−エトキシ安息香酸、トルイル酸
などの芳香族モノカルボン酸の炭素数1〜4のアルキル
エステル、イソプロピルメチルエーテル、イソプロピル
エチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチ
ルエチルエーテル、t−ブチル−n−プロピルエーテ
ル、t−ブチル−n−ブチルエーテル、t−アミルメチ
ルエーテル、t−アミルエチルエーテルなどの非対称エ
ーテル、2,2′−アゾビス(2−エチルプロパン)、2,2
−アゾビス(2−エチルプロパン)、2,2′−アゾビス
(2−メチルペンタン)、a,a′−アゾビスイソブチロ
ニトリル、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカル
ボン酸)、(1−フェニルメチル)−アゾジフェニルメ
タン、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−トリキ
シペンタンニトリルなどのアゾ結合に立体障害置換基が
結合して成るアゾ化合物などが挙げられ、これらは1種
を用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよ
い。
具体的には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレー
ト、ジプロピルフタレート、ジイソブチルフタレート、
メチルエチルフタレート、メチルプロピルフタレート、
メチルイソブチルフタレート、エチルプロピルフタレー
ト、エチルイソブチルフタレート、プロピルイソブチル
フタレート、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフ
タレート、ジプロピルテレフタレート、ジイソブチルテ
レフタレート、メチルエチルテレフタレート、メチルプ
ロピルテレフタレート、メチルイソブチルテレフタレー
ト、エチルプロピルテレフタレート、エチルイソブチル
テレフタレート、プロピルイソブチルテレフタレート、
ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジ
プロピルイソフタレート、ジイソブチルイソフタレー
ト、メチルエチルイソフタレート、メチルプロピルイソ
フタレート、メチルイソブチルイソフタレート、エチル
プロピルイソフタレート、エチルイソブチルイソフタレ
ート及びプロピルイソブチルイソフタレートなどの芳香
族ジカルボン酸ジエステル、ギ酸メチル、酢酸エチル、
酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロ
ヘキシル、プロピオン酸エチル、酢酸エチル、吉草酸エ
チル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸エチル、メタク
リル酸メチル、クロトン酸エチル、ピバリン酸エチル、
マレイン酸ジメチル、ジクロヘキサンカルボン酸エチ
ル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチ
ル、安息香酸アクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息
香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸エチル、
トルイル酸アミル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸
エチル、p−ブトキシ安息香酸エチル、o−クロロ安息
香酸エチル及びナフトエ酸エチルなどのモノエステル、
γ−バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチレ
ンなどの炭素数2〜18のエステル類、安息香酸、p−オ
キシ安息香酸などの有機酸類、無水コハク酸、無水安息
香酸、無水p−トルイル酸などの酸無水物類、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ア
セトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノンなどの炭
素数3〜15のケトン類、アセトアルデヒド、オクチルア
ルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフチ
ルアルデヒドなどの炭素数2〜15のアルデヒド類、アセ
チルクロリド、ベンジルクロリド、トルイル酸クロリ
ド、アニス酸クロリドなどの炭素数2〜15の酸ハライド
類、メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエ
ーテル、n−ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエーテル、エチ
レングリコールブチルエーテルなどの炭素数2〜20のエ
ーテル類、酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸ア
ミドなどの酸アミド類、トリブチルアミン、N,N′−ジ
メチルピペラジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピ
リジン、ピコリン、テトラメチルエチレンジアミンなど
のアミン類、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニ
トリルなどのニトリル類などを挙げることができる。
これらの中で、エステル類、エーテル類、ケトン類及び
酸無水物が好ましく、特に、フタル酸ジ−n−ブチル、
フタル酸ジイソブチルなどの芳香族ジカルボン酸ジエス
テル、安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−エトキシ
安息香酸、トルイル酸などの芳香族モノカルボン酸の炭
素数1〜4のアルキルエステルなどが好適である。芳香
族ジカルボン酸ジエステルは、触媒活性及び活性持続性
を向上させるので特に好ましい。
前記の固体触媒成分(ii)の調製は、公知の方法(特開
昭53-43094号公報、特開昭55-135102号公報、特開昭55-
135103号公報、特開昭56-18606号公報)で行なうことが
できる。例えば(1)マグネシウム化合物又はマグネシ
ウム化合物と電子供与体との錯化合物を、電子供与体及
び所望に応じて用いられる粉砕助剤などの存在下に粉砕
して、チタン化合物と反応させる方法、(2)還元能を
有しないマグネシウム化合物の液状物と液状チタン化合
物とを、電子供与体の存在下において反応させて、固体
状のチタン複合体を析出させる方法、(3)前記(1)
又は(2)で得られたものにチタン化合物を反応させる
方法、(4)前記(1)又は(2)で得られたものに、
さらに電子供与体及びチタン化合物を反応させる方法、
(5)マグネシウム化合物又はマグネシウム化合物と電
子供与体との錯化合物を、電子供与体、チタン化合物及
び所望に応じて用いられる粉砕助剤などの存在下で粉砕
したのち、ハロゲン又はハロゲン化合物で処理する方
法、(6)前記(1)〜(4)で得られた化合物をハロ
ゲン又はハロゲン化合物で処理する方法、などによって
調製することができる。
さらに、これらの方法以外の方法(特開昭56-166205号
公報、特開昭57-63309号公報、特開昭57-190004号公
報、特開昭57-300407号公報、特開昭58-47003号公報)
によっても、前記固体触媒成分(ii)を調製することが
できる。
また、周期表II〜IV族に属する元素の酸化物、例えば、
酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなど
の酸化物又は周期表II〜IV族に属する元素の酸化物の少
なくとも1種を含む複合酸化物、例えば、シリカアルミ
ナなどに前記マグネシウム化合物を担持させた固形物と
電子供与体とチタン化合物とを、溶媒中で、0〜200
℃、好ましくは10〜150℃の範囲の温度によって2分〜2
4時間接触させることにより固体触媒成分(ii)を調製
することができる。
また、固体触媒成分(ii)の調製に当たり、溶媒として
マグネシウム化合物、電子供与体及びチタン化合物に対
して不活性な有機溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタンな
どの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族
炭化水素、あるいは炭素数1〜12の飽和又は不飽和の脂
肪族、脂環式及び芳香族炭化水素のモノ及びポリハロゲ
ン化合物などのハロゲン化炭化水素などを使用すること
ができる。
このようにして調製された固体触媒成分(ii)の組成
は、通常マグネシウム/チタン原子比が2〜100、ハロ
ゲン/チタン原子比が5〜200、電子供与体/チタンモ
ル比が0.1〜10の範囲にある。
こうして得られた固体触媒成分(ii)と、有機アルミニ
ウム化合物と場合により電子供与性化合物との存在下
に、オレフィンを予備重合させることによって、前記の
固体成分(I)を調製することができる。
ここで用いる有機アルミニウム化合物としては、一般式 AlR3pX3-p (1) (式中のR3は炭素数1〜10のアルキル基、Xは塩素、臭
素などのハロゲン原子、pは1〜3の数である) で表される化合物を挙げることができる。このようなア
ルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミ
ニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルア
ルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチ
ルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエ
チルアルミニウムモノクロリド、ジイソプロピルアルミ
ニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノク
ロリド、ジオクチルアルミニウムモノクロリドなどのジ
アルキルアルミニウムモノハライド、エチルアルミニウ
ムセスキクロリドなどのアルキルアルミニウムセスキハ
ライドなどを好適に使用することができる。これらのア
ルミニウム化合物は1種を用いてもよいし、2種以上を
組み合せて用いてもよい。
さらに、場合により存在させることのできる電子供与性
化合物としては、前記固体触媒成分(ii)に関連して説
明した化合物を用いることができる。固体成分(I)の
調製方法において、オレフィンとして、例えばエチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1
などの炭素数2〜10のα−オレフィンを用い、通常30〜
80℃、好ましくは55〜70℃の範囲の温度において、予備
重合を行ない、好ましくは融点100℃以上の結晶性ポリ
オレフィンを形成させる。この際、触媒系のアルミニウ
ム/チタン原子比は通常0.1〜100、好ましくは0.5〜5
の範囲で選ばれ、また電子供与性化合物/チタンモル比
は0〜50、好ましくは0.1〜2の範囲で選ばれる。
前記の固体成分(I)は、粒径の揃った結晶性ポリプロ
ピレンやポリエチレンなどの結晶性パウダーに前記固体
触媒成分(ii)と有機アルミニウム化合物と電子供与性
化合物(融点100℃以上のもの)とを分散させる方法
(分散法)によって調製することもできる。
さらに、前記の予備重合法と分散法とを組合せて固体成
分(I)を調製することもできる。
気相1段重合法に用いる触媒系は、前記のとおり、固体
成分(I)と有機アルミニウム化合物(II)とアルコキ
シ基含有芳香族化合物(III)と電子供与性化合物(I
V)とを接触させて調製するが、有機アルミニウム化合
物(II)及び電子供与性化合物(IV)としては、前記で
説明した化合物を各々用いることができる。
また、アルコキシ基含有芳香族化合物(III)は、例え
ば、一般式 [式中のR1は炭素数1〜20のアルキル基、R2は炭素数1
〜10の炭化水素基、水酸基又はニトロ基、mは1〜6の
整数、nは0〜(6−m)の整数である] で表される化合物であり、具体的には、例えばm−メト
キシトルエン、o−メトキシフェノール、m−メトキシ
フェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、ビ
ニルアニソール、p−(1−プロペニル)アニソール、
p−アリルアニソール、1,3−ビス(p−メトキシフェ
ニル)−1−ペンテン、5−アリル−2−メトキシフェ
ノール、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−ヒ
ドロキシ−3−メトキシベンジルアルコール、メトキシ
ベンジルアルコール、ニトロアニソール、ニトロフェネ
トールなどのモノアルコキシ化合物、o−ジメトキシベ
ンゼン、m−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベン
ゼン、3,4−ジメトキシトルエン、2,6−ジメトキシフェ
ノール、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼンなどの
ジアルコキシ化合物及び1,3,5−トリメトキシベンゼ
ン、5−アリル−1,2,3−トリメトキシベンゼン、5−
アリル−1,2,4−トリメトキシベンゼン、1,2,3−トリメ
トキシ−5−(1−プロペニル)ベンゼン、1,2,4−ト
リメトキシ−5−(1−プロペニル)ベンゼン、1,2,3
−トリメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼ
ンなどのトリアルコキシ化合物などが挙げられるが、こ
れらの中でジアルコキシ化合物及びトリアルコキシ化合
物が好適である。これらのアルコキシ基含有芳香族化合
物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
前記の触媒系において、固体成分(I)は、チタン原子
換算で反応容積1リットル当り0.0005〜1モルの量で使
用する。また、アルコキシ基含有芳香族化合物(III)
の使用量は、固体成分(I)中のチタン原子1モルに対
して、0.01〜500モル、好ましくは1〜300モルである。
この使用量が0.01モル未満になると生成ポリマーの物性
が低下し、500モルを超えると触媒活性が低下するので
好ましくない、この触媒系においてアルミニウムとチタ
ンとの原子比は1:1〜3000(好ましくは1:40〜800)であ
る。この原子比の範囲外になると十分な触媒活性が得ら
れない。さらに、アルコキシ機が芳香族化合物(III)
と電子供与性化合物(IV)とのモル比は、1:0.01〜100
(好ましくは1:0.2〜100)である。
気相1段重合法では、プロピレンの単独重合を行なえば
前記のポリプロピレン系ホモ重合体(a)が得られ、プ
ロピレンと炭素数4〜30のα−オレフィンとの共重合を
行なえば前記のランダム共重合体(b)が得られる。分
子量調節は公知の手段(例えば水素濃度の調節)によっ
て行なうことができる。重合温度は、一般に40〜90℃
(好ましくは60〜75℃)であり、重合圧力は10〜45kg/c
m2(好ましくは20〜30kg/cm2)、そして重合時間は5分
〜10時間である。
スラリー1段重合法 スラリー1段重合法においては、たとえば、以下の2種
類の触媒系のいずれかを用いることができる。すなわ
ち、 (1)(イ)マグネシウム、チタン、ハロゲン原子およ
び電子供与体を必須成分とする固体成分と、(ロ)アル
コキシ基含有芳香族化合物と、(ハ)有機アルミニウム
化合物との組合せから成る触媒系、または (2)(X)前記の(イ)固体成分と(ロ)アルコキシ
基含有芳香族化合物とを、(ハ)有機アルミニウム化合
物の存在下または不存在下に反応させて得られる固体触
媒成分、および (Y)有機アルミニウム化合物の組合せから成る触媒系
である。
まず、前記(1)の触媒系について説明すると、固体成
分(イ)はマグネシウム、チタン、ハロゲン原子および
電子供与体を必須成分とするものであり、マグネシウム
化合物とチタン化合物と電子供与体とを接触させること
により調製することができる。
また、この固体成分(イ)の調製に当たり、溶媒として
マグネシウム化合物、電子供与体およびチタン化合物に
対して不活性な有機溶媒、例えば、脂肪族炭化水素(ヘ
キサン、ヘプタンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、
トルエンなど)、あるいはハロゲン化炭化水素(炭素数
1〜12の飽和または不飽和の脂肪族、脂環式および芳香
族炭化水素のモノ及びポリハロゲン化合物など)を単独
でまた2種以上を組み合せて使用することができる。
触媒系(1)の固体成分(イ)を調製する際に用いるマ
グネシウム化合物、チタン化合物および電子供与性化合
物は、各々、前記の気相1段重合法の触媒系に関連して
述べた各化合物と同じものであることができる。これら
の化合物から、公知の方法(例えば気相1段重合法で述
べた方法)で固体成分(イ)を調製することができる。
こうして得られた固体成分(イ)と接触させるアルコキ
シ基含有芳香族化合物(ロ)および有機アルミニウム化
合物(ハ)としても、前記気相1段重合法の触媒系に関
連して述べた各化合物を用いることができる。
触媒系(1)を構成する各成分の使用量については、固
体成分(イ)は、通常チタン原子に換算して反応容積1
リットル当たり、0.0005〜1モルで使用し、アルコキシ
基含有芳香族化合物(ロ)は、固体成分(イ)のチタン
原子に対するモル比が、通常0.01〜500(好ましくは1
〜300)になる割合で用いられる。このモル比が0.01未
満になると生成ポリマーの物性が低下し、500を超える
と触媒活性が低下するので好ましくない。また、有機ア
ルミニウム化合物(ハ)は、アルミニウム/チタン原子
比が通常1〜3000(好ましくは40〜800)になるような
量で使用する。この量が前記範囲を逸脱すると触媒活性
が不十分となる。
次に、前記の触媒系(2)について説明すると、この触
媒系(2)における固体触媒成分(X)は、前記触媒系
(1)の固体成分(イ)とアルコキシ基含有芳香族化合
物(ロ)とを、前記の有機アルミニウム化合物(ハ)の
存在下または不存在下に反応させることによって調製す
ることができる。この調製には、一般に炭化水素系溶媒
(例えば、前記触媒系(1)の調製に用いる炭化水素系
溶媒)を用いる。
反応温度は、通常0〜150℃(好ましくは10〜50℃)で
あり、この温度が0℃未満になると反応が十分に進行せ
ず、150℃を超えると副反応が起こり、活性が低下す
る。
反応時間は、反応温度によって変化するが、通常は1分
間〜20時間、好ましくは10〜60分間である。
有機アルミニウム化合物(ハ)の存在下で固体触媒成分
(X)を調製する場合に、このアルミニウム化合物
(ハ)の濃度は、通常0.05〜100ミリモル/リットル
(好ましくは1〜10ミリモル/リットル)である。この
濃度が0.05ミリモル/リットル未満になると、有機アル
ミニウム化合物(ハ)を存在させて反応を行なう効果が
十分に得られず、100ミリモル/リットルを超えると固
体成分(イ)中のチタンの還元が進行して、触媒活性が
低下する。
一方、有機アルミニウム化合物(ハ)の不存在下で、固
体成分(イ)とアルコキシ基含有芳香族化合物(ロ)と
を反応させて固体触媒成分(X)を調製する場合に、ア
ルコキシ基含有化合物(ロ)は、固体成分(イ)中のチ
タン原子に対するモル比が、通常0.1〜200(好ましくは
1〜50)になるような割合で用いられ、また、その化合
物(ロ)の濃度は、通常0.01〜10ミリモル/リットル
(好ましくは0.1〜2ミリモル/リットル)の範囲で選
ばれる。チタン原子に対するモル比が前記範囲を逸脱す
ると所望の活性を有する触媒が得られにくい。また濃度
が0.01ミリモル/リットル未満では容積効率が低くて実
用的でないし、10ミリモル/リットルを超えると過反応
が起こりやすく、触媒活性が低下する。
触媒系(2)における有機アルミニウム化合物(Y)と
しては、前記の気相1段法の触媒に関して例示した有機
アルミニウム化合物を用いることができる。
触媒系(2)における各成分の使用量については、固体
触媒成分(X)は、チタン原子に換算して、反応容積1
リットル当たり、通常0.0005〜1ミリモル/リットルの
範囲になるような量で用い、そして有機アルミニウム化
合物(Y)は、アルミニウム/チタン原子比が、通常1
〜3000(好ましくは40〜800)の範囲になるような量で
用いられる。この原子比が前記範囲を逸脱すると触媒活
性が不十分になる。
本発明のスラリー1段重合法において、プロピレンの単
独重合を行なうと、前記のポリプロピレン系重合体
(a)を得ることができ、プロピレンと炭素数4〜30の
α−オレフィンとの共重合を行なうと前記のランダム共
重合体(b)を得ることができる。
スラリー1段重合の場合、重合温度は通常0〜200℃
(好ましくは60〜100℃)の範囲、そしてプロピレン圧
は、通常1〜50kg/cm2の範囲で選ばれる。重合時間は5
分〜10時間程度で十分であり、また重合体の分子量の調
節は公知の手段、例えば重合器中の水素濃度を調整する
ことにより行なうことができる。
次に、本発明で用いる軟質ポリプロピレンのうち、混合
体(プロピレン系組成物(d){前記ポリプロピレン系
ホモ重合体(a)とエチレン−プロピレンブロック共重
合体(c)及び/又はエチレン−プロピレン−ポリエン
ブロック共重合体(c′)との組成物}及び混合体(プ
ロピレン系組成物)(e){前記ランダム共重合体
(b)とエチレン−プロピレンブロック共重合体(c)
及び/又はエチレン−プロピレン−ポリエンブロック共
重合体(c′)との混合体組成物)は、例えば、以下の
気相多段法、スラリー多段法又はブレンド法のいずれか
によって調製することができる。
気相多段重合法 気相多段重合法で用いる触媒は、前記気相1段重合法で
用いた触媒と同じものである。
気相多段重合法では最初の重合(第1段重合)は前記の
気相1段重合と同じである。従って、分子量調節は公知
の手段(例えば水素濃度の調節)によって行なうことが
できる。重合温度は、一般に40〜90℃(好ましくは60〜
75℃)であり、重合圧力は10〜45kg/cm2(好ましくは20
〜30kg/cm2)、そして重合時間は5分〜10時間である。
第2回から最終回の重合(第n段重合)は、エチレン−
プロピレンブロック共重合またはエチレン−プロピレン
−ポリエンブロック共重合である。
共重合体に用いることのできる非共役ポリエンとして
は、例えば、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタ
ジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−メ
チレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノル
ボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、
5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブ
テニン)−2−ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビ
ニルシクロヘキセン、1,5,9−ジクロドデカトリエン、
6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2−
2′−ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニル
シクロブタン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−
ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエ
ン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチ
ル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタ
ジエン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ノ
ナジエン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン等を
挙げることができる。これらの非共役ポリエンのうち、
特にジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノル
ボルネン、1,7−オクタジエンが好ましい。
各々の重合段階において、分子量調節は、公知の手段
(例えば水素濃度の調節)によって行なうことができ
る。エチレン−プロピレンブロック共重合体の場合に、
エチレン単位含有量の調節は、仕込みガス組成により行
なうことができる。またエチレン−プロピレン−ポリエ
ンブロック共重合体の場合にも、ポリエン単位含有量調
節は、ポリエン化合物の仕込量により行なうことができ
る。重合温度は20〜90℃(好ましくは40〜50℃)であ
り、重合圧力は5〜30kg/cm2(好ましくは10〜20kg/c
m2)、そして重合時間は5分〜10時間である。
スラリー多段重合法 スラリー多段重合法においても、前記スラリー1段重合
法で用いた触媒系(1)又は(2)のいずれかを用いる
ことができる。
スラリー多段重合法における重合順序および重合段数は
特に制限されず、任意に選ぶことができる。例えば、第
1段および第3段の重合でプロピレン単独重合又はプロ
ピレンと炭素数4〜30のα−オレフィンとの共重合を行
ない、第2段および第4段の重合でエチレン−プロピレ
ンブロック共重合またはエチレン−プロピレン−ポリエ
ンブロック共重合を行なうことができる。重合段数(n
の数)は前記気相多段法と同様に、所望の生成物を得る
ために最適な段数を選べばよく、重合形式としては、連
続重合法または非連続重合法のいずれも用いることがで
きる。
プロピレン単独重合又はプロピレンと炭素数4〜30のα
−オレフィンとの共重合の場合、重合温度は通常0〜20
0℃(好ましくは60〜100℃)の範囲、そしてプロピレン
圧は、通常1〜50kg/cm2の範囲で選ばれる。また、エチ
レン−プロピレンブロック共重合またはエチレン−プロ
ピレン−ポリエンブロック共重合の場合には、重合温度
は通常0〜200℃(好ましくは40〜80℃)の範囲、そし
てオレフィン圧は通常1〜50kg/cm2の範囲で選ばれる。
前記重合においては、いずれも反応時間は5分〜10時間
程度で十分であり、また重合体の分子量の調節は公知の
手段、例えば重合器中の水素濃度を調整することにより
行なうことができる。
エチレン−プロピレンブロック共重合体の場合のエチレ
ン単位含有量調節は、仕込ガス組成により行なうことが
でき、そしてエチレン−プロピレン−ポリエンブロック
共重合体の場合のポリエン単位含有量の調節は、仕込量
により行なうことができる。ポリエンモノマーとしては
前記気相多段法で述べたポリエンモノマーを用いること
ができる。
ブレンド法 前記の混合体(プロピレン系組成物)(d)及び(e)
は、ポリプロピレン系ホモ重合体(a)又はランダム共
重合体(b)とエチレン−プロピレンブロック共重合体
(c)及び/又はエチレン−プロピレン−ポリエンブロ
ック共重合体(c′)とを公知の方法(例えば、ドライ
ブレンドまたは混練)により、ブレンドにすることによ
り調製することができる。ポリプロピレン系ホモ重合体
(a)及びランダム共重合体(b)は、前記の気相1段
重合法、またはスラリー1段重合法により得ることがで
き、また、エチレン−プロピレンブロック共重合体
(c)またはエチレン−プロピレン−ポリエンブロック
共重合体(c′)は、各々公知の方法で得ることができ
る。
なお、重合後の後処理は常法により行なうことができ
る。すなわち、気相1段重合法又は気相多段重合法にお
いては、重合後、重合器から導出されるポリマー粉体
に、この中に含まれる未反応オレフィンなどを除くため
に、窒素気流などを通過させてもよい。また、所望に応
じて押出機よりペレット化してもよくその際、触媒を完
全に失活させるために、少量の水、アルコールなどを添
加することもできる。また、スラリー1段重合法又はス
ラリー多段重合法においては、重合後、重合器から導出
させるポリマーから完全にモノマーを分離したのち、ペ
レット化することができる。
上記軟質ポリプロピレンには、ホモポリプロピレン、ラ
ンダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンおよび
その混合体とがあり、ホモポリプロピレンは、海島構造
を有し、島成分がMw=40000以上の高分子アタクチック
ポルプロピレンで構成された粒径1.2μm以下の軟質ポ
リプロピレンをいう。また、ブロックポリプロピレン
は、海島構造を有し、島成分がMw=40000以上の高分子
アタクチックポリプロピレンとエチレンプロピレンゴム
とエチレンプロピレンゴムに囲まれたポリエチレンで構
成された粒径2μm以下の軟質ポリプロピレンをいう。
ホモポリプロピレンの場合はアタクチックポリプロピレ
ン、ブロックの場合はアタクチックポリプロピレン,エ
チレンプロピレンゴム,ポリエチレン成分を有し低極性
溶剤に溶解しやすい。そして、上記の軟質ポリプロピレ
ンは、引張SS曲線の破断点が降伏点より大きいか降伏を
示さないものである。
水溶性有機フィラーとしては、平均粒子径30μm以下、
形態は粉末微粒子状または短繊維状で水に溶解する水溶
性有機フィラーを主に用いる。水に溶解しやすい有機フ
ィラーとしては、低分子量ゼラチン,低分子量コラーゲ
ン,澱粉または寒天等がある。フィラーの混合比率が60
重量%以上では混練時の発熱が大きくなって、有機フィ
ラーが劣化しやすくなり、その組成物で成形品をつくる
と表面の肌荒れが激しいものとなる。
フィラーを抽出する場合、前記した軟質ポリプロピレン
とフィラーの配合割合は、軟質ポリプロピレンがン90〜
40重量%、好ましくは70〜40重量%であり、フィラーが
10〜60重量%、好ましくは30〜60重量%である。
フィラーの割合が、下限値より少なくなると、得られる
微多孔性のフィルムの孔形成が十分でなく、目的の空隙
率を得ることができない。また、逆にフィラーの添加割
合が前記上限値より多くなると、シート,フィルムの成
形性が悪くなったり、延伸が十分に行なえず空隙率を十
分に付与できなくなる傾向があるので好ましくない。
無機フィラーとしては、周期律表第IIA族,第IIIA族及
び第IVB族よりなる群から選ばれた1種の金属の酸化
物,水酸化物,炭酸塩,硫酸塩,炭化物またはシリカ充
填剤が好適に用いられる。例えば、周期律表第IIA族の
金属としては、カルシウム,マグナシウム,バリウム等
のアルカリ土類金属であり、第IIIA族の金属としては、
ホウ素,アルミニウム等の金属であり、また第IVB族の
金属としては、チタン,ジルコニウム,ハフニウム等の
金属が好適である。これらの金属の酸化物,水酸化物,
炭酸塩又は硫酸塩は特に限定されず用いうる。特に、好
適に使用される無機フィラーをより具体的に例示すれ
ば、酸化カルシウム,酸化マグネシウム,酸化バリウ
ム,酸化アルミニウム,酸化ホウ素,酸化チタン,酸化
ジルコニウム等の酸化物;炭酸カルシウム,炭酸マグネ
シウム,炭酸バリウム等の炭酸塩;水酸化マグネシウ
ム,水酸化カルシウム,水酸化アルミニウム等の水酸化
物;硫酸カルシウム,硫酸バリウム,硫酸アルミニウム
等の硫酸塩等である。
フィラーは一般的には、厚さの1/3以下の粒径が好まし
い。短繊維の場合は、長径が厚さの1/2以下の粒径が好
ましい。1/3以上の粒径や長径が1/2以上であるとフィル
ム,シートの表面が荒れ、好ましくない。
フィラーには、公知の添加剤として、例えば酸化防止
剤,熱安定剤,滑剤,帯電防止剤,ブロッキング防止剤
または難燃剤を加えることもできる。
これら材料を混合、成形、抽出して製造されたフィル
ム,シートとしては例えば、次のような態様のものがあ
る。
軟質ポリプロピレンよりなるフィルム,シートの少な
くとも表面に、その表面積の2〜85%にわたって孔径0.
1〜100μmの微小孔を有するようにしてたもの。
軟質ポリプロピレンよりなるフィルム,シートの少な
くとも表面に、その表面積の3〜60%にわたって孔径3
〜30μmの微小孔を有するようにしたもの。この多孔性
フィルム,シートは、滑らかで水溶性有機フィラー及び
無機フィラーの径に依存する孔径と孔径分布を有し高分
子アタクチックポリプロピレンがある。高分子アタクチ
ックポリプロピレン量は8〜63重量%である。
軟質ポリプロピレンよりなるフィルム,シートの少な
くとも表面に、その表面積の5〜50%にわたって最大孔
径が1.2μm以下で平均孔径が0.6〜0.9μmの微小孔を
有するようにしたもの。この多孔性フィルム,シート
は、重合で造られた島成分のエチレンプロピレンゴム
(ポリエチレンを含む)が選択的に抜けた後の滑らかで
シャープな分布を有し、高分子アタクチックポリプロピ
レンがある。高分子アタクチックポリプロピレン量は10
〜47.5重量%である。
軟質ポリプロピレン90〜40重量%と、粒径が3〜30μ
mの有機フィラー10〜60重量%よりなるフィルム,シー
トの少なくとも表面に、その表面積の2〜45%にわたっ
て最大孔径が1.2μm以下で平均孔径が0.6〜0.9μmの
微小孔を有するようにしたもの。この多孔性フィルム,
シートは、重合で造られた島成分のエチレンプロピレン
ゴム(ポリエチレンを含む)が選択的に抜けた後の滑ら
かでシャープな分布を有し、高分子アタクチックポリプ
ロピレンがある。高分子アタクチックポリプロピレン量
は1〜42.8重量%である。
フィルム,シートの少なくとも表面に、その表面積の
2〜45%にわたって最大孔径が1.2μm以下で平均孔径
が0.6〜0.9μmの微小孔を、また表面積の10〜60%にわ
たって孔径が3〜30μmの微小孔を有するようにしたも
の。この多孔性フィルム,シートは、さらに、水溶性有
機フィラーが抜けた後の比較的大きくマイルドな分布を
有する。高分子アタクチックポリプロピレン量は1〜4
2.8重量%である。
軟質ポリプロピレン99〜40重量%と、粒径が0.1〜30
μmの無機フィラー1〜60重量%よりなるフィルム,シ
ートの少なくとも表面に、その表面積の1〜60%で0.1
〜30μmの孔径を有するようにしたもの。この多孔性フ
ィルム,シートは、滑らかで水溶性有機フィラー及び無
機フィラーの径に依存する孔径と孔径分布を有し高分子
アタクチックポリプロピレンがある。高分子アタクチッ
クポリプロピレン量は1〜33.2重量%である。エチレン
プロピレンゴム(ポリエチレン内在)は2〜35重量%で
ある。
次に、多孔性フィルム,シートの製造方法について説明
する。
本発明の製造方法は、 軟質ホモポリプロピレン90〜40重量%と、粒径3〜30μ
mの水溶性有機フィラー10〜60重量%を混練後、Tダイ
またはインフレーション成形でフィルム,シートを成形
し、その後溶剤でフィルム,シートの少なくとも表面の
有機フィラーを抽出するようにしてある。
また、必要に応じ、軟質ブロックポリプロピレンを混練
後、Tダイまたはインフレーション成形でフィルム,シ
ートを成形し、その後溶剤でフィルム,シートの少なく
とも表面のアタクチックポリプロピレン、エチレンプロ
ピレンゴム(ポリエチレン内在)を抽出するようにして
ある。
また、必要に応じ、軟質ブロックポリプロピレン90〜40
重量%と、粒径3〜30μmの水溶性有機フィラー10〜60
重量%を混練後、Tダイまたはインフレーション成形で
フィルム,シートを成形し、その後溶剤でフィルム,シ
ートの少なくとも表面のエチレンプロピレンゴム(ポリ
エチレン内在)を抽出するようにしてある。
また、必要に応じ、軟質ブロックポリプロピレン90〜40
重量%と、粒径3〜30μmの有機フィラー10〜60重量%
を混練後、Tダイまたはインフレーション成形でフィル
ム,シートを成形し、その後溶剤でフィルム,シートの
少なくとも表面の有機フィラーとアタクチクポリプロピ
レン、エチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)を
抽出するようにしてある。
また、必要に応じ、軟質ポリプロピレン90〜40重量%
と、粒径3〜30μmの水溶性有機フィラー10〜60重量%
を混練後、Tダイまたはインフレーション成形でフィル
ム,シートを成形し、その後溶剤でフィルム,シートの
少なくとも表面の水溶性有機フィラーを抽出するように
してある。
また、必要に応じ、軟質ポリプロピレン90〜40重量%
と、粒径0.1〜30μmの無機フィラー10〜60重量%を混
練後、Tダイまたはインフレーション成形でフィルム,
シートを成形し、その後溶剤でフィルム,シートの少な
くとも表面の無機フィラーを抽出するようにしてある。
また、必要に応じ、軟質ブロックポリプロピレン99〜40
重量%と、粒径0.1〜30μmの無機フィラー1〜60重量
%を混練後、Tダイまたはインフレーション成形でフィ
ルム,シートを成形し、その後溶剤でフィルム,シート
の少なくとも表面のエチレンプロピレンゴム(ポリエチ
レン内在)を抽出するようにしてある。
また、必要に応じ、軟質ブロックポリプロピレン99〜40
重量%と、粒径0.1〜30μmの無機フィラー1〜60重量
%を混練後、Tダイまたはインフレーション成形でフィ
ルム,シートを成形し、その後溶剤でフィルム,シート
の少なくとも表面の無機フィラーとエチレンプロピレン
ゴム(ポリエチレン内在)を抽出するようにしてある。
また、必要に応じ、軟質ブロックポリプロピレン90〜40
重量%と、粒径0.1〜30μmの無機フィラー10〜60重量
%を混練後、Tダイまたはインフレーション成形でフィ
ルム,シートを成形し、その後溶剤でフィルム,シート
の少なくとも表面の無機フィラーを抽出するようにして
ある。
詳述すると、この製造方法は、フィラーの乾燥工程、混
練工程、成形工程及び抽出工程からなっている。
乾燥工程 水溶性有機フィラーまたは水溶性有機フィラーを含むコ
ンパウンドは成形前に100〜120℃で1〜24時間乾燥し、
水分量を2%以下、水分による発泡の防止や水溶性有機
フィラーの劣化,分解防止の点からすると0.5%以下と
することが好ましい。
なお、軟質ポリプロピレン単品の場合は、乾燥工程を省
略することもできる。
混練工程 混練機器として1軸押出機,多軸押出機,バンバリーミ
キシー,ニーダー,または二本ロール等を用いる。
混練温度は軟質ポリプロピレン単品の場合は170℃〜320
℃、好ましくは190〜280℃とする。このときの温度が低
いと軟質ポリプロピレンの溶融不良を生じ、温度が高い
と熱劣化しやすくなる。
軟質ポリプロピレンと水溶性有機フィラーの場合は、混
練温度は、170℃〜220℃、好ましくは190〜210℃とす
る。温度が低いと軟質ポリプロピレンの溶融不良と混練
時の高剪断により有機フィラーの劣化がある。温度が高
いと水溶性有機フィラーの熱劣化、分解がおきやすい。
成形工程 成形品とその用途により適当な成形機と成形方法を選択
する。通常、インフレ成形、Tダイ成形によって行な
う。
成形温度は軟質ポリプロピレン単品の場合は、170℃〜3
20℃、軟質ポリプロピレンと水溶性有機フィラーのコン
パウンドは170℃〜220℃、好ましくは190〜210℃とす
る。
温度が低いと軟質ポリプロピレンの溶融不良と成形時の
高剪断により水溶性有機フィラーの劣化がある。また、
温度が高いと水溶性有機フィラーの熱劣化、分解がおき
やすい。
抽出工程 この工程では、成形フィルムより水溶性有機フィラーを
抽出し、フィルム,シートの多孔質化を行なう。
a)ブロックポリプロピレン成形品の場合(エチレンプ
ロピレンゴム(ポリエチレン内在)抽出) 低極性の溶剤(沸騰ジエチルエーテル,沸騰ジメチルエ
ーテレル、沸騰メチルエチルエーテル)で3〜30分抽出
する。
抽出時間が3分以下では抽出不良となり、30分以上抽出
すると高分子アタクチックポリプロピレンまで多く抽出
され、熱接着性が低下する。好ましくは抽出時間が3〜
10分で、このようにすると、熱接着性多孔質フィルム,
シートとなる。
b)フィルム(ホモ,ブロック)成形品の場合 0℃〜沸騰の水で5分以上抽出を行う。
抽出時間が5分以下では抽出不良となり、5分以上抽出
しても水溶性有機フィラーのみ選択的に残る。
抽出されるのは、ホモポリプロピレン,ブロックポリプ
ロピレンでアタクチックポリプロピレン,エチレンプロ
ピレンゴムがあり、接着性がある。水溶性有機フィラー
は30〜60重量%。粒径は3〜30μm。
c)ブロックポリプロピレン+不溶性有機フィラー成形
品の場合 エチレンプロピレンゴム,ポリエチレンの抽出、同時に
一部のアタクチックポリプロピレンが抽出される。
低極性の溶剤(沸騰ジエチルエーテル,沸騰ジメチルエ
ーテレル、沸騰メチルエチルエーテル)で3〜30分抽出
する。
抽出時間が3分以下では抽出不良となり、30分以上抽出
すると高分子アタクチックポリプロピレンまで多く抽出
され、熱接着性が低下する。好ましくは抽出時間が3〜
10分で、このようにすると、熱接着性多孔質フィルム,
シートとなる。
d)ブロックポリプロピレン+水溶性有機フィラー成形
品の場合(エチレンプロピレンゴム,ポリエチレンの抽
出、同時に一部のアタクチックポリプロピレンが抽出さ
れる。さらに、0℃〜沸騰した水で抽出する) 低極性の溶剤(沸騰ジエチルエーテル,沸騰ジメチルエ
ーテレル、沸騰メチルエチルエーテル)で3〜30分抽出
する。
抽出時間が3分以下では抽出不良となり、30分以上抽出
すると高分子アタクチックポリプロピレンまで多く抽出
され、熱接着性が低下する。好ましくは抽出時間が3〜
10分で、このようにすると、熱接着性多孔質フィルム,
シートとなる。
次いで、0℃〜沸騰した水で抽出する。
抽出時間が5分以下では抽出不良となり、5分以上抽出
しても水溶性有機フィラーのみ選択的に抽出される。
残るのは、ブロックポリプロピレンでアタクチークポリ
プロピレンがあり、接着性がある。
水溶性有機フィラーは10〜60重量%。粒径は3〜30μ
m。
e)フィルム(ホモ,ブロック)成形品及び、ブロック
ポリプロピレン+水溶性無機フィラー成形品の場合 例えば、一般にシリカ質充填剤を使用した場合、苛性ソ
ーダ,苛性カリ等の苛性アルカリ水溶液で抽出すればよ
く、シリカ質充填剤以外の無機充填剤は、塩酸,ギ酸,
酢酸との酸溶液あるいは、該溶液とメタノール,エタノ
ール等のアルコール溶液との混合溶液を用いて抽出す
る。
[実施例] 混練工程 バンバリーミキサーを使用し混練時の樹脂温度が200℃
になるようにバンバリーミキサー回転数,加圧の程度を
調整して混練しコンパウンドを得た。機器の初期設定温
度は170℃とした。
得たコンパウンドはロール(温度140℃)でシートとし
冷却後シートペレタイザーでペレットとした。
成形工程 (単品軟質ポリプロピレンの場合) Tダイ成形機(塚田樹機製作所製TLC35−20)で、樹脂
温度220℃とした。スクリュ回転数を50rpmとして、幅17
0mm,リップ間隔0.6mmのダイスより1.2kg/Hrで押し出
し、内部に30℃の水が循環する170mm径の冷却ロールに
エアーナイフを接触させ、5.3m/分で引き取り、厚さ30
μmのフィルムを得た。
(水溶性有機フィラーを含む軟質ポリプロピレンの場
合) Tダイ成形機(塚田樹機製作所製TLC35−20)で、樹脂
温度200℃とした。スクリュ回転数を50rpmとして、幅17
0mm,リップ間隔0.6mmのダイスより1.1kg/Hrで押し出
し、内部に30℃の水が循環する170mm径の冷却ロールに
エアーナイフを接触させ、5.0m/分で引き取り、厚さ30
μmのフィルムを得た。
抽出工程 上記混練工程及び成形工程を経て、次のように実施し
た。
実施例−1 下記のように製造したホモ軟質ポリプロピレン50重量%
とゼラチン(平均分子量5000,新田ゼラチン(株)製)
を更に乾燥状態でホールミルにより平均粒径5μmとし
て50重量%配合,混練し、さらに成形して得たフィルム
(厚さ40μm,10cm角)を還流器をつけた抽出装置の中に
入れ、100mlの沸騰水に浸し、30分間ゼラチンを抽出し
て多孔質フィルムを得た。
多孔質フィルムは最大孔径が7μm以下,平均5μmの
連通孔からなる網上構造をしており空隙率は50%であっ
た。
高分子アタクチックポリプロピレン量は49重量%であっ
た。なお、アタクチックポリプロピレンの量は、すべて
多孔質化したフィルムを100%とした場合の量である。
流動パラフィン透過性を調べたところ、連通孔が維持さ
れていることがわかった。
孔径は走査型電子顕微鏡による観察結果より求めた。
空隙率は流動パラフィン浸漬前後の重量より求めた。
高分子アタクチックポリプロピレン量は沸騰ヘプタンで
6時間抽出し、直ちに濾過して得た液を常温まで冷却
し、析出した物を高分子アタクチックポリプロピレンと
して定量した。
実施例−2 実施例−1のホモ軟質ポリプロピレンを下記のように製
造したブロック軟質ポリプロピレンに変えた以外は同様
にして多孔質フィルムを得た。多孔質フィルムは最大孔
径が7μm以下,平均5μmの連通孔からなる網状構造
をしており空隙率は50%であった。高分子アタクチック
ポリプロピレン量は35重量%であった。
エチレンプロピレンゴム量は28重量%であった。
実施例−3 下記のように製造したブロックポリプロピレン100重量
%を混練,成形して得たシート(厚さ300μmのシート1
0cm角)を還流器をつけた抽出装置の中に入れ、100mlの
沸騰ジエチルエーテルに浸し10分間抽出して多孔質シー
トを得た。
多孔質シート表面は最大孔径が1.2μm以下、平均0.6〜
0.9μmの孔が表面積の28%であった。
走査型電子顕微鏡による多孔質シート表面の観察結果よ
り、軟質ポリプロピレンの島成分のうち、高分子アタク
チックポリプロピレンが残りエチレンプロピレンゴムが
抽出されているのが観察された。
実施例−4 下記のように製造したブロックポリプロピレン70重量%
にゼラチン(平均分子量5000,新田ゼラチン(株)製)
を30重量%配合し、混練、成形して得たフィルム(厚さ
40μm,10cm)を還流器をつけた抽出装置の中に入れ、10
0mlの沸騰ジエチルエーテルに浸し20分間抽出し、さら
に100mlの沸騰水に浸し30分間ゼラチンを抽出して多孔
質フィルムを得た。
多孔質フィルムは、孔径が7μm以下、平均5μmの孔
と孔径が1.2μm以下、平均0.6〜0.9μmの孔の混在し
た連通孔からなる網状構造をしていた。
空隙率は50%であった。
高分子アタクチックポリプロピレン量は49重量%であっ
た。
実施例−5 実施例−4のゼラチンを無機フィラー,炭酸カルシウム
(BF300:備北粉化工業(株)製平均粒径8μm)にした
以外は同様にして混練,成形して得たシート(厚さ300
μm,10cm角)を還流器をつけた抽出装置の中に入れ、10
0mlの沸騰ジエチルエーテルに浸し20分間抽出して多孔
質シートをえた。
多孔質シート表面は、最大孔径が1.2μm以下、平均0.6
〜0.9μmの孔が表面積の20%であった。
走査型電子顕微鏡による多孔質シート表面の観察結果よ
り、表面から約20μmは軟質ポリプロピレンの島成分の
うち、エチレンプロピレンゴムが無く一部の高分子アタ
クチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピ
レンと炭酸カルシウムが残り多孔質化していた。
軟質ポリプロピレンの製造例 ホモ軟質ポリプロピレン (1)固定触媒成分の調製 十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製三ツ口フラ
スコに、精製ヘプタン20ml、Mg(OEt)24gおよびフタル
酸ジ−n−ブチル1.2gを加え、系内を90℃に保ち、かき
まぜながらTiCl44mlを滴下した後、さらにTiCl4111mlを
追加投入して、110℃に昇温した。110℃で2時間反応さ
せた後、80℃の精製ヘプタンで洗浄した。得られた固相
部にTiCl4115mlを加え、110℃でさらに2時間反応させ
た。反応終了後、生成物を精製ヘプタン100mlで数回洗
浄して固体触媒成分[気相法の固体触媒成分(ii)に相
当]とした。
(2)固体成分の調製 十分に窒素置換した内容積2.5リットルのガラス製耐圧
三ツ口フラスコに精製ヘプタン1.7リットル、AlEt30.07
モル、ジフェニルジメトキシシラン(DPDMS)0.05ミリ
モルおよび前記(1)の触媒成分120gを加えた。系内を
30℃に保ち、撹拌しながらプロピレンを連続的に供給
し、内圧を0.5kg/cm2に保った。この反応を1時間継続
した後、精製ヘプタン1リットルで5回洗浄し、固体成
分[気相法の固体成分(I)に相当]を得た。
(3)気相第1段重合 ポリプロピレンパウダー20gを含む5リットルのステン
レス製耐圧オートクレーブに、AlEt33ミリモル、1−ア
リル−3,4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.15ミリモ
ル、ジフェニルジメトキシシラン(DPDMS)0.23ミリモ
ルおよび前記(2)の固体成分(I)100mg(Ti原子に
換算して0.06ミリモル)を含むヘプタン溶液20mlを加え
た。系内を5分間排気後、全圧が28kg/cm2になるまでプ
ロピレンガスを供給しながら70℃で1.7時間気相重合を
行なった。メルトインデックス(MI)が0.5g/10分の軟
質ポリプロピレン640gを得た。この軟質ポリプロピレン
の沸騰ヘプタン可溶分(HSP分)は49.5重量%であり、
固有粘度は1.99dl/gであった。また、沸騰ヘプタン不溶
分(HIP分)は50.5重量%であり、固有粘度は4.13dl/g
であった。さらに13C−NMRによるペンタッド分率におい
てrrrr/1−mmmmが34.5%であり、DSCにて測定した融解
ピーク温度(Tm)が158℃、DSCにて測定した融解エンタ
ルピー(△H)が58.2J/gであり、そして透過型電子顕
微鏡での観察においてドメイン構造が観察された。
ブロック軟質ポリプロピレン 上記ホモ軟質ポリプロピレンと同様に、固体触媒成分の
調製と固体成分Aの調製を行なった後、次のようにし
た。
(1)気相第1段重合 ポリプロピレンパウダー20gを含む5リットルのステン
レス製耐圧オートクレーブに、AlEt33ミリモル、1−ア
リル−3,4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.15ミリモ
ル、ジフェニルメトキシシラン(DPDMS)0.23ミリモ
ル、並びに前記製造例1(1)および(2)で調製した
固体成分(I)100mg(Ti原子に換算して0.06ミリモ
ル)を含むヘプタン溶液20mlを加えた。系内を5分間排
気後、水素ガスを0.6kg/cm2まで導入し、さらに全圧が2
8kg/cm2なるまでプロピレンガスを供給しながら70℃で
1.7時間気相重合を行なった。
(2)気相第2段重合 前記(1)の反応が終了した後、系内を脱圧し、排気し
た後、水素ガス0.5kg/cm2、エチレン−プロピレン混合
ガス(モル比1/4)を10kg/cm2まで供給し、50℃で1.4時
間気相重合を行なった。
メルトインデックス(MI)が3.9g/10分の軟質ポリプロ
ピレン550gが得られた。この軟質ポリプロピレンは、ポ
リプロピレンホモ重合体72重量%とエチレン−プロピレ
ン共重合体28重量%とからなり、ホモ重合体は、固有粘
度が1.18dl/gの沸騰ヘプタン可溶分(HSP分)48.2重量
%と固有粘度が1.84dl/gの沸騰ヘプタン不溶分(HIP
分)51.8重量%とからなり、13C−NMRによるペンタッド
分率においてrrrr/1−mmmmが34.5%、DSCにて測定した
融解ピーク温度(Tm)が158℃、DSCにて測定した融解エ
ンタルピー(△H)が62.6J/g、そして透過型電子顕微
鏡での観察においてドメイン構造が観察された。一方、
共重合体のエチレン単位含有量は30モル%であり、固有
粘度は177dl/gであった。
[特性の測定方法及び効果の評価方法] 次に、本発明に関する測定方法及び評価方法について、
まとめて示す。
(1)平均孔径及び最大孔径 サンプル表面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察により孔
径の長軸及び単軸を測定し、平均長軸及び平均単軸の相
乗平均を平均孔径とする。また、同様に、サンプル表面
もしくはへき解面に見出される最大孔の長軸を最大孔径
とする。
(2)空孔率:Pr 試料(10cm×10cm)を流動パラフィンに24時間浸漬し、
表層の流動パラフィンを十分に拭き取った後の重量(W
2)を測定し、該試料の浸漬前の重量(W1)、流動パラ
フィンの密度(ρ)より空孔体積(Vo)を次式で求め
る。
V0=(W2−W1)/ρ 空孔率(Pr)は、見掛体積(厚み,寸法より計算される
値)Vと空孔体積Voより計算される。
Pr=Vo/V×100(%) (3)極限粘度([η]) ASTM D1601に順次試料0.1gを135℃のテトラリン100ml
に完全に溶解させ、この溶液を粘度計で135℃の恒温槽
中で測定して比粘度Sより次式にしたがって極限粘度を
求める。
[η]=S/(0.1×(1+0.22×S)) (4)アイソタクチックインデックス(II)及びアイソ
タクチックベンタッド分率 試料を130℃で2時間乾燥する。これから重量W(mg)
の試料をとり、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプ
タンで12時間抽出する。
次に、この試料を取り出し、アセトンで十分洗浄した
後、130℃で6時間真空乾燥し、その後重量W′(mg)
を測定し、次式で求める。
II=(W′/W)×100% また上記抽出残分に関し、13C−NMRスペクトルのメチル
炭素領域の全吸収ピーク中におけるプロピレンモノマー
単位の5連メソ結合領域(mmmmm)の帰属ピーク面積分
率をアシソタクチックペンタッド分率とする。なお、ピ
ークの帰属はHacromelecules8,687(1975)に基く。
(5)ポリプロピレンの融点及び溶融結晶化温度 走査型熱量計DSC−2型(Perkin Elmer社製)を用い、
試料5mgを窒素気流下で、昇温速度20℃/分にて室温よ
り測定し、融解にともなう吸熱ピーク温度を融点とす
る。
引き続き280℃まで昇温し、5分間保持した後に20℃/
分の下降速度にて温度を下げる過程で、ポリプロピレン
の結晶化にともなう潜熱ピーク温度を溶融結晶化温度と
する。
[発明の効果] 以上のように本発明の多孔性フィルム,シートによれ
ば、軟質性、高透湿性および通気性を付与した成形品を
得ることができる。
また本発明の製造方法によれば、フィルム,シートを容
易に製造することができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟質ポリプロピレンからなるフィルムまた
    はシートの少なくとも表面に微小孔を有する多孔性フィ
    ルム,シートにおいて、 前記軟質ポリプロピレンが、下記(A)に示すアタクチ
    ックプロピレンからなるポリプロピレン系ホモ重合体
    (a)、下記(B)に示すプロピレンとα−オレフィン
    のランダム共重合体(b)、下記(C)に示すエチレン
    プロピレンゴム(ポリエチレン内在)にアタクチックプ
    ロピレンが付着した島構造となったポリプロピレン系ブ
    ロック共重合体(c),(c′)、または下記(D),
    (E)に示すそれらの重合体を含有する混合体(組成
    物)(d),(e)であり、かつ、前記微小孔が、その
    孔径が0.1〜100μmであるとともに、その開孔率が、前
    記軟質ポリプロピレンからなるフィルムまたはシートの
    表面積の2〜85%であることを特徴とする多孔性フィル
    ム,シート。 (A)(i)固有粘度が、1.2dl/g以上である沸騰ヘプ
    タン可溶性ポリプロピレン10〜90重量%と(ii)固有粘
    度が0.5〜9.0dl/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピ
    レン90〜10重量%とからなるポリプロピレン系ホモ重合
    体(a) (B)α−オレフィン単位含有量が0.1〜5モル%で、
    固有粘度が1.2dl/g以上である沸騰ヘキサン可溶分が20
    〜99.9重量%で、かつ引張弾性率が5000kg/cm2以下であ
    る、プロピレンと炭素数4〜30のα−オレフィンとのラ
    ンダム共重合体(b) (C)エチレン単位含有量が10〜60モル%で固有粘度が
    0.5〜7.0dl/gであるエチレン−プロピレン共重合体
    (c)および/又はエチレン単位含有量が10〜60モル%
    で、ポリエン単位含有量が1〜10モル%で、かつ固有粘
    度が0.5〜7.0dl/gであるエチレン−プロピレン−ポリエ
    ンブロック共重合体(c′) (D)(i)前記ポリプロピレン系ホモ重合体(a)10
    〜95重量%と、(ii)前記エチレン−プロピレンブロッ
    ク共重合体(c)及び/又は 前記エチレン−プロピレン−ポリエンブロック共重合体
    (c′)90〜5重量%とからなる混合体(プロピレン系
    組成物)(d) (E)(i)前記ランダム共重合体(b)10〜95重量%
    と、(ii)前記エチレン−プロピレンブロック共重合体
    (c)及び/又は前記エチレン−プロピレン−ポリエン
    ブロック共重合体(c′)90〜5重量%とからなる混合
    体(プロピレン系組成物)(e)
  2. 【請求項2】前記微小孔が、その孔径が3〜30μmであ
    り、かつ、その開孔率が前記軟質ポリプロピレンからな
    るフィルムまたはシートの表面積の3〜60%であること
    を特徴とする請求項(1)記載の多孔性フィルム,シー
    ト。
  3. 【請求項3】前記軟質ポリプロピレンが、アタクチック
    ポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項(1)ま
    たは(2)記載の多孔性フィルム,シート。
  4. 【請求項4】前記微小孔が、その最大孔径が1.2μm以
    下で、平均粒径が0.6〜0.9μmであるとともに、その開
    孔率が前記軟質ポリプロピレンからなるフィルムまたは
    シートの表面積の5〜50%であることを特徴とする請求
    項(1)記載の多孔性フィルム,シート。
  5. 【請求項5】前記微小孔が、その一方の最大孔径が1.2
    μm以下で、平均孔径が0.6〜0.9μmであるとともに、
    その開孔率が前記軟質ポリプロピレンからなるフィルム
    またはシートの表面積の2〜45%であり、かつ、他方の
    孔径が3〜30μmであるとともに、その開孔率が10〜60
    %であることを特徴とする請求項(1)記載の多孔性フ
    ィルム,シート。
  6. 【請求項6】軟質ポリプロピレンとフィラーとからなる
    フィルムまたはシートの少なくとも表面に微小孔を有す
    る多孔性フィルム,シートにおいて、 前記軟質ポリプロピレンが、請求項(1)に記載の、
    (A)に示すアタクチックプロピレンからなるポリプロ
    ピレン系ホモ重合体(a)、(B)に示すプロピレンと
    α−オレフィンのランダム共重合体(b)、(C)に示
    すエチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)にアタ
    クチックプロピレンが付着した島構造となったポリプロ
    ピレン系ブロック共重合体(c),(c′)、または
    (D),(E)に示すそれらの重合体を含有する混合体
    (組成物)(d),(e)であるとともに、その含有量
    が90〜40重量%であり、また、前記フィラーが有機フィ
    ラーであって、その粒径が3〜30μmであるとともにそ
    の含有量が10〜60重量%であり、かつ、前記微小孔が、
    その最大孔径が1.2μm以下で、平均孔径が0.6〜0.9μ
    mであるとともに、その開孔率が前記軟質ポリプロピレ
    ンからなるフィルムまたはシートの表面積の2〜45%で
    あることを特徴とする多孔性フィルム,シート。
  7. 【請求項7】軟質ポリプロピレンとフィラーとからなる
    フィルムまたはシートの少なくとも表面に微小孔を有す
    る多孔性フィルム,シートにおいて、 前記軟質ポリプロピレンが、請求項(1)に記載の、
    (A)に示すアタクチックプロピレンからなるポリプロ
    ピレン系ホモ重合体(a)、(B)に示すプロピレンと
    α−オレフィンのランダム共重合体(b)、(C)に示
    すエチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)にアタ
    クチックプロピレンが付着した島構造となったポリプロ
    ピレン系ブロック共重合体(c),(c′)、または
    (D),(E)に示すそれらの重合体を含有する混合体
    (組成物)(d),(e)であるとともに、その含有量
    が99〜40重量%であり、また、前記フィラーが無機フィ
    ラーであって、その粒径が0.1〜30μmであるととも
    に、その含有量が1〜60重量%であり、かつ、前記微小
    孔が、その最大孔径が1.2μm以下で、平均孔径が0.6〜
    0.9μmであるとともに、その開孔率が前記軟質ポリプ
    ロピレンからなるフィルムまたはシートの表面積の2〜
    45%であることを特徴とする多孔性フィルム,シート。
  8. 【請求項8】軟質ポリプロピレンを混練後、Tダイまた
    はインフレーション成形によって、フィルムまたはシー
    トを形成し、その後溶剤によって、フィルム,シートの
    少なくとも表面の物質を抽出する多孔性フィルム,シー
    トの製造方法において、 前記軟質ポリプロピレンが、請求項(1)に記載の、
    (A)に示すアタクチックプロピレンからなるポリプロ
    ピレン系ホモ重合体(a)、(B)に示すプロピレンと
    α−オレフィンのランダム共重合体(b)、(C)に示
    すエチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)にアタ
    クチックプロピレンが付着した島構造となったポリプロ
    ピレン系ブロック共重合体(c),(c′)、または
    (D),(E)に示すそれらの重合体を含有する混合体
    (組成物)(d),(e)であり、かつ、前記抽出され
    るフィルムまたはシートの少なくとも表面の物質が、ア
    タクチックポリプロピレンおよび/又はエチレンプロピ
    レンゴム(ポリエチレン内在)であることを特徴とする
    多孔性フィルム,シートの製造方法。
  9. 【請求項9】軟質ポリプロピレンとフィラーとを混練
    後、Tダイまたはインフレーション成形によってフィル
    ムまたはシートを成形し、その後溶剤によってフィルム
    またはシートの少なくとも表面の物質を抽出する多孔性
    フィルム,シートの製造方法において、 前記軟質ポリプロピレンが、請求項(1)に記載の、
    (A)に示すアタクチックプロピレンからなるポリプロ
    ピレン系ホモ重合体(a)、(B)に示すプロピレンと
    α−オレフィンのランダム共重合体(b)、(C)に示
    すエチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)にアタ
    クチックプロピレンが付着した島構造となったポリプロ
    ピレン系ブロック共重合体(c),(c′)、または
    (D),(E)に示すそれらの重合体を含有する混合体
    (組成物)(d),(e)であるとともに、その含有量
    が90〜40重量%であり、また、前記フィラーが、有機フ
    ィラーであって、その粒径が3〜30μmであるととも
    に、その含有量が10〜60重量%であり、かつ、前記抽出
    されるフィルムまたはシートの少なくとも表面の物質
    が、有機フィラー、アタクチックポリプロピレンおよび
    エチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)からなる
    群から選択される一以上の物質であることを特徴とする
    多孔性フィルム,シートの製造方法。
  10. 【請求項10】軟質ポリプロピレンとフィラーとを混練
    後、Tダイまたはインフレーション成形によってフィル
    ムまたはシートを成形し、その後溶剤によってフィルム
    またはシートの少なくとも表面の物質を抽出する多孔性
    フィルム,シートの製造方法において、 前記軟質ポリプロピレンが、請求項(1)に記載の、
    (A)に示すアタクチックプロピレンからなるポリプロ
    ピレン系ホモ重合体(a)、(B)に示すプロピレンと
    α−オレフィンのランダム共重合体(b)、(C)に示
    すエチレンプロピレンゴム(ポリエチレン内在)にアタ
    クチックプロピレンが付着した島構造となったポリプロ
    ピレン系ブロック共重合体(c),(c′)、または
    (D),(E)に示すそれらの重合体を含有する混合体
    (組成物)(d),(e)であるとともに、その含有量
    が90〜40重量%であり、また前記フィラーが無機フィラ
    ーであって、その粒径が0.1〜30μmであるとともに、
    その含有量が10〜60重量%であり、かつ、前記抽出され
    るフィルムまたはシートの少なくとも表面の物質が無機
    フィラー、アタクチックポリプロピレンおよびエチレン
    プロピレンゴム(ポリエチレン内在)からなる群から選
    択される一以上の物質であることを特徴とする多孔性フ
    ィルム,シートの製造方法。
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