JPH06102823A - ラベル等用化粧シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 粘着剤、接着剤等を使用せずとも、合成樹脂
層の自己粘着性によって貼りつけることができ、かつ表
面および裏面のどちらの面からみても明瞭ない印刷が施
された化粧シートを提供する。 【構成】 自己粘着性透明合成樹脂シートの表面に第
一印刷を施し、該第一印刷上に不透明印刷層を設け、更
に不透明印刷層上に第二印刷を施してなる化粧シート。
前記自己粘着性透明合成樹脂層としては、自己粘着性塩
化ビニル系樹脂シートや、自己粘着性オレフィン系樹脂
シートが好適に使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガラス板、金属板、光
沢面を有するプラスチック板などの平滑な表面に貼りつ
けることのできる化粧シートに関し、詳しくは、接着剤
や粘着剤を使用せずとも、シートの自己粘着力により貼
り付けることができ、かつ表面および裏面のどちらの面
からみても明瞭に印刷が視認できることを特徴とするラ
ベルやステッカー等として好適に用いられる化粧シート
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、店舗の窓ガラスや冷凍・冷蔵ケー
スのガラス、自動車のガラス等に装飾目的や宣伝目的で
化粧シートを貼ることが行われている。該化粧シートと
しては半硬質塩化ビニル系樹脂シート等の表面側に印刷
を施し、裏面側にアクリレート系、ゴム系、シリコーン
系、ポリエステル系、ウレタン系等の粘着剤層を設けた
ものが主に使われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の半硬
質塩化ビニル系樹脂シート等の表面に印刷を施し、裏面
に粘着剤層を設けた該化粧シートでは印刷が表面側にの
み施されているので、店舗の窓ガラス等に貼った場合、
印刷された側から見れば、装飾効果や宣伝効果を有する
ものとなるが、その逆側から見た場合は、何ら印刷が施
されていないため装飾効果や宣伝効果は全く奏しない。

【０００４】上記の問題点を解決するために、半硬質塩
化ビニル系樹脂シート等の両面に印刷を施した後、一方
の面に粘着剤層を設けた両面印刷化粧シートが使用され
ることもあるが、印刷面上に形成された粘着剤層が透明
性に欠けるため、粘着剤層を有する側に印刷された模様
や色彩が不明瞭となるばかりでなく、長期にわたって使
用していると、粘着剤層に塵や埃が付着し、かえって美
観を損ねるものであった。また、粘着剤層に塵や埃が付
着すると粘着力が落ちてしまうため長期にわたっての使
用は不可能であった。さらに、上記のような化粧シート
は粘着剤を使用しているので、化粧シートを剥がした後
でも粘着剤が窓ガラス等に付着して美観を損ねるととも
に、付着した粘着剤を落とすのに労力がかかるといった
欠点もあった。

【０００５】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものであって、粘着剤、接着剤等を使用せずとも、
合成樹脂層の自己粘着性によって貼りつけることがで
き、かつ表面および裏面のどちらの面からみても明瞭な
印刷が施された化粧シートを提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の化粧シートは、
自己粘着性透明合成樹脂シートの表面に第一印刷を施
し、該第一印刷層上に不透明印刷層を設け、更に不透明
印刷層上に第二印刷層を施してなることを特徴とするも
のである。

【０００７】本発明に使用される自己粘着性透明合成樹
脂シートとしては、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹
脂等からなる自己粘着性透明合成樹脂シート（以下「自
己粘着性シート」と記すことがある）等、自己粘着性を
有し、かつ透明性に優れるものであれば特に限定はされ
ない。上記の自己粘着性シートに使用する塩化ビニル系
樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体や塩化ビニルと
他のモノマーとの共重合体、塩化ビニル樹脂と他の樹脂
とのブレンド物も使用できる。塩化ビニル樹脂と共重合
させるモノマーとしては、酢酸ビニル、エチレン、プロ
ピレン、マレイン酸エステル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エステル、アクリル酸エステル、高級ビニル
エーテル等が挙げられる。塩化ビニル樹脂にブレンドす
る他の樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹
脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、ポリウ
レタン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂、ポリメタクリレ
ート樹脂等が挙げられる。また、自己粘着シートに使用
するオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポ
リプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン−プ
ロピレン共重合樹脂、エチレン−１−ブテン共重合樹
脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−メチ
ルアクリレート共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリ
レート共重合樹脂等が挙げられる。上記の合成樹脂は、
単独または２種以上の樹脂を混合して使用することもで
きる。

【０００８】上記の樹脂は必要に応じて可塑剤、安定
剤、粘着性付与剤、着色剤等の各種添加剤を配合し、カ
レンダー法や押出法等によってシート化される。添加剤
の種類、添加量については、合成樹脂シートが自己粘着
性を示すに必要な種類の添加剤を必要量添加すればよ
く、使用される樹脂の種類や求められる自己粘着性能等
によって適宜選択すればよい。

【０００９】使用できる可塑剤として具体的には、ジ−
２−エチルヘキシルフタレート（ＤＯＰ）、ジイソノニ
ルフタレート（ＤＩＮＰ）、ブチルベンジルフタレート
（ＢＢＰ）等のフタル酸エステル系可塑剤、トリクレジ
ルホスフェート（ＴＣＰ）等のリン酸エステル系可塑
剤、ジ−２−エチルヘキシルアジペート（ＤＯＡ）等の
アジピン酸エステル系可塑剤、ジ−２−エチルヘキシル
セバレート（ＤＯＳ）等のセバチン酸エステル系可塑
剤、ジ−２−エチルヘキシル（ＤＯＺ）等のアゼライン
酸エステル系可塑剤、ポリプロピレンアジペート（ＰＰ
Ａ）等のポリエステル系可塑剤、エポキシ大豆油等のエ
ポキシ系可塑剤、塩化パラフィン等の塩素化脂肪酸エス
テル系可塑剤等が使用でき、特に限定はされない。上記
可塑剤は単独または２種以上混合して使用することもで
きる。

【００１０】安定剤としては、ステアリン酸亜鉛等の金
属石鹸、エポキシ化大豆油等のエポキシ化合物、ジフェ
ニルデシルホスファイト等の有機ホスファイト系安定
剤、ジブチル錫ジラウレート等の錫系安定剤等が使用で
きる。これらの安定剤は単独でまたは２種以上を併用す
ることもできる。

【００１１】本発明に使用する自己粘着性シートは、必
要に応じて粘着付与剤を添加することもできる。粘着付
与剤として具体的には、グリセリンエステルロジン、ペ
ンタエリスリットエステルロジン等のロジンおよび変性
ロジンの誘導体、テルペンフェノール等のテルペン変性
体、アルキルフェノールおよび変性フェノール等のフェ
ノール樹脂等が挙げられる。上記の粘着付与剤は単独ま
たは２種以上を併用して使用することができる。

【００１２】本発明に使用する自己粘着性シートは、顔
料や染料等の着色剤を添加し、着色透明層とすることも
できる。このとき使用する着色剤の種類や添加量は、使
用する合成樹脂の種類等によって適宜選択すればよい。

【００１３】自己粘着性シートへの印刷は、油性イン
ク、水性インク、アルコール性インク、溶剤系インク等
が使用でき、自己粘着性シートに使用される樹脂の種類
等によって適宜選択される。印刷方法も通常使用されて
いる印刷方法が使用でき、オフセット印刷法、スクリー
ン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が採用さ
れる。

【００１４】自己粘着性シート上に第一印刷が形成され
た後には、該第一印刷の上に不透明なインクを用いて自
己粘着シート全面にベタ塗り印刷を施してなる不透明印
刷層が形成される。ベタ塗り印刷を施すインクとして
は、第一印刷形成したのと同じ種類のインクを用いても
よいし、異なった種類のインクを用いてもよい。また、
ベタ塗り印刷は１色のみであってもよいし、２種以上の
色を使用して地模様を形成するようにしてもよい。

【００１５】不透明印刷層上には第二印刷層が施され
る。この場合に使用するインクの種類や印刷法について
は、第一印刷と同じであっても異なっていてもよい。ま
た、本発明の化粧シートは、必要に応じて透明な表面保
護層を設けることもできる。

【００１６】

【作用】本発明の化粧シートは、粘着剤や接着剤層を有
していないので、化粧シートに施された印刷が両面とも
明瞭なものとなる。また、塵や埃が付着したとしても、
水洗いすることによって塵や埃を容易に落とすことがで
きるとともに、粘着力が回復して初期の粘着力と同等の
粘着力が得られる。また、化粧シートを剥がしたあとで
も、粘着剤等がガラス板等の化粧シート被貼着面に残る
ことがない。

【００１７】

【実施例】以下に具体的な実施例をあげ、更に詳細に本
発明を説明する。 実施例１ 下記に示す組成の配合物をバンバリーミキサーで混練
し、次いで最終ロール温度１７５℃のカレンダーで厚み
０．２ｍｍの自己粘着性塩化ビニル樹脂シートを形成し
た。 塩化ビニル樹脂 １００重量部 ジ−２−エチルヘキシルフタレート ５５重量部 Ｂａ−Ｚｎ系複合安定剤 ２重量部 エポキシ化大豆油 ２重量部 顔料 0.07重量部

【００１８】得られた自己粘着性塩化ビニル樹脂シート
に、インクを重ねる順序が逆になるようにしてオフセッ
ト印刷によって、第１印刷を施した。次いで、第１印刷
を施した自己粘着性塩化ビニル樹脂シートに、不透明な
インクを使用してベタ塗り印刷を行い不透明印刷層を形
成した後、該不透明印刷層の上に第１印刷と同様にして
第２印刷層を施し、両面に印刷された化粧シートを得
た。得られた化粧シートについて、下記の方法で裏面側
印刷の明瞭性、化粧シートの被貼着面の汚れ、化粧シー
トに付着した付着物除去の容易性、化粧シートを水洗い
した後の粘着力について試験した。結果を表１に示す。

【００１９】試験方法 〔裏面側印刷の明瞭性〕得られた化粧シートをガラス板
に貼りつけ、ガラス板側から印刷の明瞭性を目視により
観察し、下記の評価基準により判断した。 ＜評価基準＞ ○・・・印刷は明瞭に視認できる ×・・・印刷は明瞭さに欠ける 〔被貼着面の汚れ〕得られた化粧シートをガラス板に貼
りつけ、剥がした時のガラス表面を目視により観察し、
下記の評価基準により判断した。 ＜評価基準＞ ○・・・曇りなし ×・・・曇りあり 〔付着物除去の容易性〕得られた化粧シートを埃の付着
した窓ガラスに貼りつけ、剥がしたものを１週間静置し
た後、貼着面に付着した塵や埃等の付着物を水洗いして
落とす時の難易度を試験し、下記の評価基準により判断
した。 ＜評価基準＞ ○・・・塵や埃等の付着物が容易に落ちた △・・・水洗いでは塵や埃等の付着物を落とすことが困
難 ×・・・水洗いでは塵や埃等の付着物を落とすことがで
きなかった 〔水洗い後の粘着力〕得られた化粧シートをガラス板に
貼着した時の粘着力と、同化粧シートを水洗いして乾燥
させた後にガラス板に貼りつけた時の粘着力を比較し、
下記の評価基準により判断した。 ＜評価基準＞ ○・・・水洗い後の粘着力は初期のものと同等 △・・・水洗い後の粘着力が初期のものと比べると劣る ×・・・水洗い後粘着力がなくなった

【００２０】実施例２ 印刷法をスクリーン印刷法に代える他は実施例１と同様
にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて
実施例１と同様の試験を行なった。結果を表１に示す。

【００２１】実施例３ 印刷法をグラビア印刷法に代える他は実施例１と同様に
して化粧シートを得た。得られた化粧シートについて実
施例１と同様の試験を行なった。結果を表１に示す。

【００２２】実施例４ 印刷法をフレキソ印刷法に代える他は実施例１と同様に
して化粧シートを得た。得られた化粧シートについて実
施例１と同様の試験を行なった。結果を表１に示す。

【００２３】実施例５ 印刷法をスクリーン印刷法に代える他は実施例１と同様
にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて
実施例１と同様の試験を行なった。結果を表１に示す。

【００２４】実施例６ 使用する可塑剤をジイソノニルフタレートに代える以外
は実施例１と同様にして化粧シートを得た。得られた化
粧シートについて実施例１と同様の試験を行なった。結
果を表１に示す。

【００２５】実施例７ 使用する可塑剤をブチルベンジルフタレート３０重量部
とジ−２−エチルヘキシルフタレート２５重量部の混合
可塑剤に代える以外は実施例１と同様にして化粧シート
を得た。得られた化粧シートについて実施例１と同様の
試験を行なった。結果を表１に示す。

【００２６】実施例８ 自己粘着性樹脂シートを下記配合からなり、押出法にて
得られたオレフィン系樹脂シートに代える以外は、実施
例１と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シー
トについて実施例１と同様の試験を行なった。結果を表
１に示す。 エチレン−ポリプロピレン共重合樹脂 １００重量部 グリセリンエステルロジン ２重量部

【００２７】比較例１ 下記に示す組成の配合物を混練し、押出法にて０．２ｍ
ｍの半硬質の塩化ビニル樹脂シートを形成した。得られ
た半硬質の塩化ビニル樹脂シートの表面および裏面に、
オフセット印刷を行った後、裏面にアクリレート系粘着
剤層を形成し、化粧シートを得た。得られた化粧シート
について実施例１と同様の試験を行なった。結果を表１
に示す。 塩化ビニル樹脂 １００重量部 ジ−２−エチルヘキシルフタレート １５重量部 Ｂａ−Ｚｎ系複合安定剤 ２重量部 エポキシ化大豆油 ２重量部 顔 料 0.07重量部

【００２８】比較例２ 裏面に形成する粘着剤層をゴム系粘着剤に代える他は比
較例１と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シ
ートについて実施例１と同様の試験を行なった。結果を
表１に示す。

【００２９】比較例３ 裏面に形成する粘着剤層をシリコーン系粘着剤に代える
他は比較例１と同様にして化粧シートを得た。得られた
化粧シートについて実施例１と同様の試験を行なった。
結果を表１に示す。

【００３０】比較例４ 裏面に形成する粘着剤層をポリエステル系粘着剤に代え
る他は比較例１と同様にして化粧シートを得た。得られ
た化粧シートについて実施例１と同様の試験を行なっ
た。結果を表１に示す。

【００３１】比較例５ 裏面に形成する粘着剤層をウレタン系粘着剤に代える他
は比較例１と同様にして化粧シートを得た。得られた化
粧シートについて実施例１と同様の試験を行なった。結
果を表１に示す。

【００３２】

【表１】

【００３３】

【発明の効果】本発明の化粧シートは、透明性に劣る粘
着剤層や接着剤層を有していないので、化粧シートに施
された印刷が両面とも明瞭なものとなるばかりでなく、
塵や埃が付着したとしても、水洗いすることによって塵
や埃等の付着物を容易に落とすことができ、しかも粘着
力が回復して初期の粘着力と同等の粘着力が得られるの
で、化粧シートを長期にわたって使用することができ
る。また、化粧シートを剥がしたあとでも、粘着剤等が
ガラス板等の化粧シート被貼着面に残ることがないの
で、従来の粘着剤層を有した化粧シートと比較して、剥
がした後の被貼着面の清掃等の手間が省けるとともに、
貼着箇所を移すことも容易に行なえる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す部分断面図である。

【図２】従来の両面印刷された化粧シートを示す部分断
面図である。

【符号の説明】

１ 化粧シート ２ 自己粘着性透明合成樹脂層 ３ 不透明印刷層 ４ 印刷 ４ａ 第１印刷 ４ｂ 第２印刷 ５ 半硬質塩化ビニル樹脂シート ６ 粘着剤層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自己粘着性透明合成樹脂シートの表面に
   第一印刷を施し、該第一印刷上に不透明印刷層を設け、
   更に不透明印刷層上に第二印刷を施してなるラベル等用
   化粧シート。
2. 【請求項２】 自己粘着性透明合成樹脂シートが自己粘
   着性塩化ビニル系樹脂シートである請求項１記載のラベ
   ル等用化粧シート。
3. 【請求項３】 自己粘着性透明合成樹脂シートが自己粘
   着性オレフィン系樹脂シートである請求項１記載のラベ
   ル等用化粧シート。