JPH06100988A - 高強度、高靭性制振合金 - Google Patents
高強度、高靭性制振合金Info
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- JPH06100988A JPH06100988A JP27794992A JP27794992A JPH06100988A JP H06100988 A JPH06100988 A JP H06100988A JP 27794992 A JP27794992 A JP 27794992A JP 27794992 A JP27794992 A JP 27794992A JP H06100988 A JPH06100988 A JP H06100988A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 優れた振動減衰性能と良好な強度、靭性を兼
ね備えた合金を提供すること 【構成】 制振性能を得るためにAl,Siを特定の範
囲に限定し、且つこれにCuを0.1〜1.5wt%を
添加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる制振合金
であり、制振特性として(1/Q)>4×1/103を
得る場合にはAl・Siを図1の範囲に、(1/Q)>
6×1/103を得る場合にはAl・Siを図2の範囲
に、(1/Q)>8×1/103を得る場合にはAl・
Siを図3の範囲に、(1/Q)>1×1/102を得
る場合にはAl・Siを図4の範囲に、(1/Q)>
1.2×1/102を得る場合にはAl・Siを図5の
範囲に、(1/Q)>1.4×1/102を得る場合に
はAl・Siを図6の範囲に、それぞれ規定する。
ね備えた合金を提供すること 【構成】 制振性能を得るためにAl,Siを特定の範
囲に限定し、且つこれにCuを0.1〜1.5wt%を
添加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる制振合金
であり、制振特性として(1/Q)>4×1/103を
得る場合にはAl・Siを図1の範囲に、(1/Q)>
6×1/103を得る場合にはAl・Siを図2の範囲
に、(1/Q)>8×1/103を得る場合にはAl・
Siを図3の範囲に、(1/Q)>1×1/102を得
る場合にはAl・Siを図4の範囲に、(1/Q)>
1.2×1/102を得る場合にはAl・Siを図5の
範囲に、(1/Q)>1.4×1/102を得る場合に
はAl・Siを図6の範囲に、それぞれ規定する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、優れた振動減衰性能
と良好な強度、靭性を兼ね備え、船舶その他の大規模な
構造物の構造材料に使用することで、構造物の振動や騒
音の発生を効果的に低減することのできる制振合金に関
するものである。
と良好な強度、靭性を兼ね備え、船舶その他の大規模な
構造物の構造材料に使用することで、構造物の振動や騒
音の発生を効果的に低減することのできる制振合金に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】公害問題の一つとして生活環境での振
動、騒音が注目されている。また、精密機械に要求され
る精度が微小になるにつれ、機器自体の振動を抑える手
段を講じる必要が生じている。このような問題や要請に
対応する手段の一つとして、振動の発生源となる構成要
素自体を振動減衰の著しく大きい材料(制振材料)に置
き換える方法がある。
動、騒音が注目されている。また、精密機械に要求され
る精度が微小になるにつれ、機器自体の振動を抑える手
段を講じる必要が生じている。このような問題や要請に
対応する手段の一つとして、振動の発生源となる構成要
素自体を振動減衰の著しく大きい材料(制振材料)に置
き換える方法がある。
【0003】現在までに、巨視的に一様な合金で、かつ
振動減衰性能の大きな素材がいくつか開発されており、
その主なものとして、片状黒鉛鋳鉄、鉄基合金、Mg合
金、Cu−Mn合金、Ni−Ti合金がある。これらの
うち、大量に使用される部材については強度とコストの
点から鉄基合金が最も実用的であるといえる。この鉄基
合金として、Fe−Cr−Al系(特公昭52−168
3号)、Fe−Al−Si系等が知られている。
振動減衰性能の大きな素材がいくつか開発されており、
その主なものとして、片状黒鉛鋳鉄、鉄基合金、Mg合
金、Cu−Mn合金、Ni−Ti合金がある。これらの
うち、大量に使用される部材については強度とコストの
点から鉄基合金が最も実用的であるといえる。この鉄基
合金として、Fe−Cr−Al系(特公昭52−168
3号)、Fe−Al−Si系等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの鉄基合金とし
て最大の実績をもつのがFe−12%Cr−Al系の合
金であるが、この合金はかなり脆い合金である(中川:
騒音制御,7(1983),p37)。これに対して、
Fe−Al−Si系の制振合金は若干優れた靭性を有し
ているが、用途によっては必ずしも靭性が十分ではない
場合がある。また、強度についても用途によっては十分
ではない場合がある。このような問題に対し、本発明者
はFeに特定の範囲でAl,Siを添加、特にこれらを
複合添加し、しかも、これにCuを適量添加することに
より、優れた制振性能が得られるとともに強度と靭性を
同時に改善できることを見出した。
て最大の実績をもつのがFe−12%Cr−Al系の合
金であるが、この合金はかなり脆い合金である(中川:
騒音制御,7(1983),p37)。これに対して、
Fe−Al−Si系の制振合金は若干優れた靭性を有し
ているが、用途によっては必ずしも靭性が十分ではない
場合がある。また、強度についても用途によっては十分
ではない場合がある。このような問題に対し、本発明者
はFeに特定の範囲でAl,Siを添加、特にこれらを
複合添加し、しかも、これにCuを適量添加することに
より、優れた制振性能が得られるとともに強度と靭性を
同時に改善できることを見出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の制振
合金は、次のような構成を有する。 (1) 図1に示すように点A4(Al:7.05wt
%,Si:0.95wt%)、B4(Al:6.50w
t%,Si:1.10wt%)、C4(Al:4.70
wt%,Si:2.75wt%)、D4(Al:2.2
5wt%,Si:2.45wt%)、E4(Al:0w
t%,Si:4.50wt%)、A0(Al:0wt
%,Si:0wt%)、B0(Al:8.00wt%,
Si:0wt%)で囲まれる範囲内のAl・Si、C
u:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可避的不純
物からなる高強度、高靭性制振合金。
合金は、次のような構成を有する。 (1) 図1に示すように点A4(Al:7.05wt
%,Si:0.95wt%)、B4(Al:6.50w
t%,Si:1.10wt%)、C4(Al:4.70
wt%,Si:2.75wt%)、D4(Al:2.2
5wt%,Si:2.45wt%)、E4(Al:0w
t%,Si:4.50wt%)、A0(Al:0wt
%,Si:0wt%)、B0(Al:8.00wt%,
Si:0wt%)で囲まれる範囲内のAl・Si、C
u:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可避的不純
物からなる高強度、高靭性制振合金。
【0006】(2) 図2に示すように点A6(Al:
7.40wt%,Si:0.60wt%)、B6(A
l:4.75wt%,Si:1.00wt%)、C
6(Al:3.75wt%,Si:1.90wt%)、
D6(Al:2.15wt%,Si:2.15wt
%)、E6(Al:0wt%,Si:4.00wt
%)、A0(Al:0wt%,Si:0wt%)、B
0(Al:8.00wt%,Si:0wt%)で囲まれ
る範囲内のAl・Si、Cu:0.1〜1.5wt%、
残部Fe及び不可避的不純物からなる高強度、高靭性制
振合金。
7.40wt%,Si:0.60wt%)、B6(A
l:4.75wt%,Si:1.00wt%)、C
6(Al:3.75wt%,Si:1.90wt%)、
D6(Al:2.15wt%,Si:2.15wt
%)、E6(Al:0wt%,Si:4.00wt
%)、A0(Al:0wt%,Si:0wt%)、B
0(Al:8.00wt%,Si:0wt%)で囲まれ
る範囲内のAl・Si、Cu:0.1〜1.5wt%、
残部Fe及び不可避的不純物からなる高強度、高靭性制
振合金。
【0007】(3) 図3に示すように点A8(Al:
6.30wt%,Si:0wt%)、B8(Al:6.
30wt%,Si:0.50wt%)、C8(Al:
2.75wt%,Si:1.20wt%)、D8(A
l:0wt%,Si:3.50wt%)、E8(Al:
0wt%,Si:0.60wt%)、F8(Al:0.
70wt%,Si:0wt%)で囲まれる範囲内のAl
・Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不
可避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。
6.30wt%,Si:0wt%)、B8(Al:6.
30wt%,Si:0.50wt%)、C8(Al:
2.75wt%,Si:1.20wt%)、D8(A
l:0wt%,Si:3.50wt%)、E8(Al:
0wt%,Si:0.60wt%)、F8(Al:0.
70wt%,Si:0wt%)で囲まれる範囲内のAl
・Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不
可避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。
【0008】(4) 図4に示すように点A10(Al:
4.80wt%,Si:0wt%)、B10(Al:4.
80wt%,Si:0.70wt%)、C10(Al:
2.90wt%,Si:1.00wt%)、D10(A
l:1.35wt%,Si:2.05wt%)、E
10(Al:0.55wt%,Si:2.00wt%)、
F10(Al:0wt%,Si:2.40wt%)、G10
(Al:0wt%,Si:0.80wt%)、H10(A
l:0.55wt%,Si:0.25wt%)、I
10(Al:1.60wt%,Si:0.35wt%)、
J10(Al:2.25wt%,Si:0wt%)で囲ま
れる範囲内のAl・Si、Cu:0.1〜1.5wt
%、残部Fe及び不可避的不純物からなる高強度、高靭
性制振合金。
4.80wt%,Si:0wt%)、B10(Al:4.
80wt%,Si:0.70wt%)、C10(Al:
2.90wt%,Si:1.00wt%)、D10(A
l:1.35wt%,Si:2.05wt%)、E
10(Al:0.55wt%,Si:2.00wt%)、
F10(Al:0wt%,Si:2.40wt%)、G10
(Al:0wt%,Si:0.80wt%)、H10(A
l:0.55wt%,Si:0.25wt%)、I
10(Al:1.60wt%,Si:0.35wt%)、
J10(Al:2.25wt%,Si:0wt%)で囲ま
れる範囲内のAl・Si、Cu:0.1〜1.5wt
%、残部Fe及び不可避的不純物からなる高強度、高靭
性制振合金。
【0009】(5) 図5に示すように点A12(Al:
4.55wt%,Si:0.10wt%)、B12(A
l:4.55wt%,Si:0.60wt%)、C
12(Al:2.35wt%,Si:1.00wt%)、
D12(Al:1.10wt%,Si:1.95wt
%)、E12(Al:1.10wt%,Si:1.35w
t%)、F12(Al:2.40wt%,Si:0.10
wt%)で囲まれる範囲内および点G12(Al:0wt
%,Si:1.05wt%)、H12(Al:0.60w
t%,Si:0.35wt%)、I12(Al:0.90
wt%,Si:0.40wt%)、J12(Al:0.3
0wt%,Si:2.05wt%)、K12(Al:0w
t%,Si:2.30wt%)で囲まれる範囲内のAl
・Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不
可避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。
4.55wt%,Si:0.10wt%)、B12(A
l:4.55wt%,Si:0.60wt%)、C
12(Al:2.35wt%,Si:1.00wt%)、
D12(Al:1.10wt%,Si:1.95wt
%)、E12(Al:1.10wt%,Si:1.35w
t%)、F12(Al:2.40wt%,Si:0.10
wt%)で囲まれる範囲内および点G12(Al:0wt
%,Si:1.05wt%)、H12(Al:0.60w
t%,Si:0.35wt%)、I12(Al:0.90
wt%,Si:0.40wt%)、J12(Al:0.3
0wt%,Si:2.05wt%)、K12(Al:0w
t%,Si:2.30wt%)で囲まれる範囲内のAl
・Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不
可避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。
【0010】(6) 図6に示すように点A14(Al:
4.15wt%,Si:0.20wt%)、B14(A
l:4.15wt%,Si:0.60wt%)、C
14(Al:2.30wt%,Si:0.90wt%)、
D14(Al:1.20wt%,Si:1.75wt
%)、E14(Al:1.20wt%,Si:1.35w
t%)、F14(Al:2.70wt%,Si:0.20
wt%)で囲まれる範囲内および点G14(Al:0wt
%,Si:1.15wt%)、H14(Al:0.60w
t%,Si:0.40wt%)、I14(Al:0.80
wt%,Si:0.45wt%)、J14(Al:0wt
%,Si:2.20wt%)で囲まれる範囲内のAl・
Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可
避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。
4.15wt%,Si:0.20wt%)、B14(A
l:4.15wt%,Si:0.60wt%)、C
14(Al:2.30wt%,Si:0.90wt%)、
D14(Al:1.20wt%,Si:1.75wt
%)、E14(Al:1.20wt%,Si:1.35w
t%)、F14(Al:2.70wt%,Si:0.20
wt%)で囲まれる範囲内および点G14(Al:0wt
%,Si:1.15wt%)、H14(Al:0.60w
t%,Si:0.40wt%)、I14(Al:0.80
wt%,Si:0.45wt%)、J14(Al:0wt
%,Si:2.20wt%)で囲まれる範囲内のAl・
Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可
避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。
【0011】
【作用】以下、本発明における成分組成の限定理由を説
明する。Fe系制振合金の多くは、振動が加わったとき
の磁壁の非可逆的移動による磁気−機械的ヒステリシス
を振動エネルギー吸収に利用するものであり、これは磁
気特性と密接な関連をもっている。一方、Fe−Al−
Si三元合金は、山本:電気学会論文集,vol.5
(1944),175.等に報告されているように、透
磁率等の磁気特性が成分比によって特徴的に変化するこ
とが知られている。この成分系の制振性能を内部摩擦値
(1/Q)を測定する方法で調べると、図7に示すよう
な結果が得られる。同図はFe−Al−Si三元合金の
内部摩擦値(試験片を横振動基本モードの節の位置で2
本の細線で支持し、真空中での振動の自由減衰曲線から
内部摩擦値を求める方法)を等高線表示したもので、図
中の各曲線は内部摩擦値が等しい点を結んだものであ
り、各曲線に付したマスの中の数字は、内部摩擦値を×
(1/103)の単位で表示したものである。これによ
れば、Feに対しAl,Siを所定の範囲で複合添加す
ることにより、それぞれの単独添加では得られない優れ
た制振性が得られることが判る。
明する。Fe系制振合金の多くは、振動が加わったとき
の磁壁の非可逆的移動による磁気−機械的ヒステリシス
を振動エネルギー吸収に利用するものであり、これは磁
気特性と密接な関連をもっている。一方、Fe−Al−
Si三元合金は、山本:電気学会論文集,vol.5
(1944),175.等に報告されているように、透
磁率等の磁気特性が成分比によって特徴的に変化するこ
とが知られている。この成分系の制振性能を内部摩擦値
(1/Q)を測定する方法で調べると、図7に示すよう
な結果が得られる。同図はFe−Al−Si三元合金の
内部摩擦値(試験片を横振動基本モードの節の位置で2
本の細線で支持し、真空中での振動の自由減衰曲線から
内部摩擦値を求める方法)を等高線表示したもので、図
中の各曲線は内部摩擦値が等しい点を結んだものであ
り、各曲線に付したマスの中の数字は、内部摩擦値を×
(1/103)の単位で表示したものである。これによ
れば、Feに対しAl,Siを所定の範囲で複合添加す
ることにより、それぞれの単独添加では得られない優れ
た制振性が得られることが判る。
【0012】本発明では図7の結果に基づき、制振特性
(内部摩擦値)として(1/Q)>4×1/103を得
る場合にはAl・Siを図1の範囲に、(1/Q)>6
×1/103を得る場合にはAl・Siを図2の範囲
に、(1/Q)>8×1/103を得る場合にはAl・
Siを図3の範囲に、(1/Q)>1×1/102を得
る場合にはAl・Siを図4の範囲に、(1/Q)>
1.2×1/102を得る場合にはAl・Siを図5の
範囲に、(1/Q)>1.4×1/102を得る場合に
はAl・Siを図6の範囲に、それぞれ規定する。
(内部摩擦値)として(1/Q)>4×1/103を得
る場合にはAl・Siを図1の範囲に、(1/Q)>6
×1/103を得る場合にはAl・Siを図2の範囲
に、(1/Q)>8×1/103を得る場合にはAl・
Siを図3の範囲に、(1/Q)>1×1/102を得
る場合にはAl・Siを図4の範囲に、(1/Q)>
1.2×1/102を得る場合にはAl・Siを図5の
範囲に、(1/Q)>1.4×1/102を得る場合に
はAl・Siを図6の範囲に、それぞれ規定する。
【0013】さらに、本発明では上記合金にCuを0.
1〜1.5wt%添加する。このCuの添加により強度
と靭性を同時に改善することができる。Cuが0.1w
t%未満では高度と靭性の改善が十分ではなく、一方、
1.5wt%を超えると靭性が急激に劣化する。このC
uの有効な添加量は、図8に示すCu添加量と強度との
関係(Cu無添加材との強度の差を示す)および図9に
示すCu添加量と靭性との関係(Cu無添加材との破面
遷移温度の差を示す)からも判るように上記のベース成
分に拘りなく不変であり、このためCuの添加量は0.
1〜1.5wt%と規定した。
1〜1.5wt%添加する。このCuの添加により強度
と靭性を同時に改善することができる。Cuが0.1w
t%未満では高度と靭性の改善が十分ではなく、一方、
1.5wt%を超えると靭性が急激に劣化する。このC
uの有効な添加量は、図8に示すCu添加量と強度との
関係(Cu無添加材との強度の差を示す)および図9に
示すCu添加量と靭性との関係(Cu無添加材との破面
遷移温度の差を示す)からも判るように上記のベース成
分に拘りなく不変であり、このためCuの添加量は0.
1〜1.5wt%と規定した。
【0014】また、その他の不純物については、以下の
ような観点から規制することが望ましい。Cは侵入型固
溶元素であり、磁壁の易動度を減少させ、制振特性を劣
化させるため、0.01wt%以下とすることが望まし
い。NもCと同様の理由で制振性能を劣化させるため、
0.01wt%以下とすることが望ましい。
ような観点から規制することが望ましい。Cは侵入型固
溶元素であり、磁壁の易動度を減少させ、制振特性を劣
化させるため、0.01wt%以下とすることが望まし
い。NもCと同様の理由で制振性能を劣化させるため、
0.01wt%以下とすることが望ましい。
【0015】OもC,Nと同様の理由で制振性能を劣化
させるため、0.01wt%以下とすることが望まし
い。Pは粒界に偏析し、加工性を劣化させるため、0.
01wt%以下とすることが望ましい。Sは熱間加工性
を劣化させるため、0.01wt%以下とすることが望
ましい。 なお、Cu添加鋼は熱間割れを起こすことが
あり、これを防止するため1%以下のNiを添加するこ
とは本発明の効果を何ら損なうものではない。
させるため、0.01wt%以下とすることが望まし
い。Pは粒界に偏析し、加工性を劣化させるため、0.
01wt%以下とすることが望ましい。Sは熱間加工性
を劣化させるため、0.01wt%以下とすることが望
ましい。 なお、Cu添加鋼は熱間割れを起こすことが
あり、これを防止するため1%以下のNiを添加するこ
とは本発明の効果を何ら損なうものではない。
【0016】
【実施例】表1ないし表6に示す化学組成の本発明合金
及び比較合金(いずれも、C:10〜30ppm,N:
2〜30ppm)について、制振特性を評価するための
内部摩擦値(1/Q)とシャルピー衝撃値および引張強
度を測定した。各合金は溶製後、鋳型にて鋼塊とし、こ
れを1200℃に加熱後、厚さ15mmまで熱間圧延し
た。この熱間圧延材を1050℃で焼準した後、圧延方
向から10×10×55mmのシャルピーVノッチ試験
片を採取し、靭性を評価した。
及び比較合金(いずれも、C:10〜30ppm,N:
2〜30ppm)について、制振特性を評価するための
内部摩擦値(1/Q)とシャルピー衝撃値および引張強
度を測定した。各合金は溶製後、鋳型にて鋼塊とし、こ
れを1200℃に加熱後、厚さ15mmまで熱間圧延し
た。この熱間圧延材を1050℃で焼準した後、圧延方
向から10×10×55mmのシャルピーVノッチ試験
片を採取し、靭性を評価した。
【0017】また、鋼塊の一部を厚さ6mmまで熱間圧
延し、これを1050℃に焼準した後、圧延方向からJ
IS5号引張試験片を切り出し、引張強度を評価した。
また、同じ熱間圧延材から0.8×10×100mmの
板を切り出し、1050℃で真空焼鈍して内部摩擦測定
用の試験片とした。内部摩擦の測定は、試験片を横振動
基本モードの節の位置で2本の細線によって支持し、真
空中で振動の自由減衰曲線を求めることで行った。
延し、これを1050℃に焼準した後、圧延方向からJ
IS5号引張試験片を切り出し、引張強度を評価した。
また、同じ熱間圧延材から0.8×10×100mmの
板を切り出し、1050℃で真空焼鈍して内部摩擦測定
用の試験片とした。内部摩擦の測定は、試験片を横振動
基本モードの節の位置で2本の細線によって支持し、真
空中で振動の自由減衰曲線を求めることで行った。
【0018】表1〜表6に引張強度、シャルピー試験破
面遷移温度および内部摩擦値を示す。なお、表1〜表6
のうち、表1は内部摩擦値(1/Q)>1.4×1/1
02、表2は内部摩擦値(1/Q)>1.2×1/1
02、表3は内部摩擦値(1/Q)>1.0×1/1
02、表4は内部摩擦値(1/Q)>8×1/103、表
5は内部摩擦値(1/Q)>6×1/103、表6は内
部摩擦値(1/Q)>4×1/103がそれぞれ得られ
る合金系を示している。これらによれば、Fe−Al−
Si合金にCuを適量添加することにより、制振性能を
確保しつつ、強度と靭性を効果的に改善できることが判
る。
面遷移温度および内部摩擦値を示す。なお、表1〜表6
のうち、表1は内部摩擦値(1/Q)>1.4×1/1
02、表2は内部摩擦値(1/Q)>1.2×1/1
02、表3は内部摩擦値(1/Q)>1.0×1/1
02、表4は内部摩擦値(1/Q)>8×1/103、表
5は内部摩擦値(1/Q)>6×1/103、表6は内
部摩擦値(1/Q)>4×1/103がそれぞれ得られ
る合金系を示している。これらによれば、Fe−Al−
Si合金にCuを適量添加することにより、制振性能を
確保しつつ、強度と靭性を効果的に改善できることが判
る。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の合金はFe
−Al−Si系制振合金とほぼ同等の優れた制振性能を
有するとともに、優れた靭性および強度を有しており、
振動、騒音防止用構造材料として有用なものである。
−Al−Si系制振合金とほぼ同等の優れた制振性能を
有するとともに、優れた靭性および強度を有しており、
振動、騒音防止用構造材料として有用なものである。
【図1】本発明の規定するAl・Siの範囲を示す図面
【図2】本発明の規定するAl・Siの範囲を示す図面
【図3】本発明の規定するAl・Siの範囲を示す図面
【図4】本発明の規定するAl・Siの範囲を示す図面
【図5】本発明の規定するAl・Siの範囲を示す図面
【図6】本発明の規定するAl・Siの範囲を示す図面
【図7】Fe−Al−Si合金系の内部摩擦値を等高線
表示したグラフ
表示したグラフ
【図8】各種組成のFe−Al−Si合金についてCu
添加量が強度に及ぼす影響を、Cu無添加材との強度の
差で示すグラフ
添加量が強度に及ぼす影響を、Cu無添加材との強度の
差で示すグラフ
【図9】各種組成のFe−Al−Si合金についてCu
添加量が靭性に及ぼす影響を、Cu無添加材との破面遷
移温度の差で示すグラフ
添加量が靭性に及ぼす影響を、Cu無添加材との破面遷
移温度の差で示すグラフ
Claims (6)
- 【請求項1】 図1に示すように点A4(Al:7.0
5wt%,Si:0.95wt%)、B4(Al:6.
50wt%,Si:1.10wt%)、C4(Al:
4.70wt%,Si:2.75wt%)、D4(A
l:2.25wt%,Si:2.45wt%)、E
4(Al:0wt%,Si:4.50wt%)、A0(A
l:0wt%,Si:0wt%)、B0(Al:8.0
0wt%,Si:0wt%)で囲まれる範囲内のAl・
Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可
避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。 - 【請求項2】 図2に示すように点A6(Al:7.4
0wt%,Si:0.60wt%)、B6(Al:4.
75wt%,Si:1.00wt%)、C6(Al:
3.75wt%,Si:1.90wt%)、D6(A
l:2.15wt%,Si:2.15wt%)、E
6(Al:0wt%,Si:4.00wt%)、A0(A
l:0wt%,Si:0wt%)、B0(Al:8.0
0wt%,Si:0wt%)で囲まれる範囲内のAl・
Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可
避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。 - 【請求項3】 図3に示すように点A8(Al:6.3
0wt%,Si:0wt%)、B8(Al:6.30w
t%,Si:0.50wt%)、C8(Al:2.75
wt%,Si:1.20wt%)、D8(Al:0wt
%,Si:3.50wt%)、E8(Al:0wt%,
Si:0.60wt%)、F8(Al:0.70wt
%,Si:0wt%)で囲まれる範囲内のAl・Si、
Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可避的不
純物からなる高強度、高靭性制振合金。 - 【請求項4】 図4に示すように点A10(Al:4.8
0wt%,Si:0wt%)、B10(Al:4.80w
t%,Si:0.70wt%)、C10(Al:2.90
wt%,Si:1.00wt%)、D10(Al:1.3
5wt%,Si:2.05wt%)、E10(Al:0.
55wt%,Si:2.00wt%)、F10(Al:0
wt%,Si:2.40wt%)、G10(Al:0wt
%,Si:0.80wt%)、H10(Al:0.55w
t%,Si:0.25wt%)、I10(Al:1.60
wt%,Si:0.35wt%)、J10(Al:2.2
5wt%,Si:0wt%)で囲まれる範囲内のAl・
Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可
避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。 - 【請求項5】 図5に示すように点A12(Al:4.5
5wt%,Si:0.10wt%)、B12(Al:4.
55wt%,Si:0.60wt%)、C12(Al:
2.35wt%,Si:1.00wt%)、D12(A
l:1.10wt%,Si:1.95wt%)、E
12(Al:1.10wt%,Si:1.35wt%)、
F12(Al:2.40wt%,Si:0.10wt%)
で囲まれる範囲内および点G12(Al:0wt%,S
i:1.05wt%)、H12(Al:0.60wt%,
Si:0.35wt%)、I12(Al:0.90wt
%,Si:0.40wt%)、J12(Al:0.30w
t%,Si:2.05wt%)、K12(Al:0wt
%,Si:2.30wt%)で囲まれる範囲内のAl・
Si、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可
避的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。 - 【請求項6】 図6に示すように点A14(Al:4.1
5wt%,Si:0.20wt%)、B14(Al:4.
15wt%,Si:0.60wt%)、C14(Al:
2.30wt%,Si:0.90wt%)、D14(A
l:1.20wt%,Si:1.75wt%)、E
14(Al:1.20wt%,Si:1.35wt%)、
F14(Al:2.70wt%,Si:0.20wt%)
で囲まれる範囲内および点G14(Al:0wt%,S
i:1.15wt%)、H14(Al:0.60wt%,
Si:0.40wt%)、I14(Al:0.80wt
%,Si:0.45wt%)、J14(Al:0wt%,
Si:2.20wt%)で囲まれる範囲内のAl・S
i、Cu:0.1〜1.5wt%、残部Fe及び不可避
的不純物からなる高強度、高靭性制振合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4277949A JP2792364B2 (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 高強度、高靭性制振合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4277949A JP2792364B2 (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 高強度、高靭性制振合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06100988A true JPH06100988A (ja) | 1994-04-12 |
JP2792364B2 JP2792364B2 (ja) | 1998-09-03 |
Family
ID=17590522
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4277949A Expired - Lifetime JP2792364B2 (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 高強度、高靭性制振合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2792364B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008129208A (ja) * | 2006-11-17 | 2008-06-05 | Sharp Corp | 画像処理装置、液晶表示装置および画像処理方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51134308A (en) * | 1975-05-19 | 1976-11-20 | Res Inst Electric Magnetic Alloys | Silent alloy |
JPH03111539A (ja) * | 1989-09-25 | 1991-05-13 | Kawasaki Steel Corp | 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼板 |
JPH0480320A (ja) * | 1990-07-23 | 1992-03-13 | Kawasaki Steel Corp | 高振動減衰能を有する溶接構造用鋼の製造方法 |
-
1992
- 1992-09-22 JP JP4277949A patent/JP2792364B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008129208A (ja) * | 2006-11-17 | 2008-06-05 | Sharp Corp | 画像処理装置、液晶表示装置および画像処理方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2792364B2 (ja) | 1998-09-03 |
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