JPH06100502B2 - 分光検出器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 この発明は、分光検出器に関する。さらに詳しくは、フ
ォトダイオードアレイと分光手段とを用いてなり、液体
クロマトグラフィ等の検出器として有用な分光検出器に
関する。

（ロ）従来の技術 従来から、フローセル等の測定セルに連続波長光を照射
しその透過光や蛍光をモノクロメータやグレーティング
により分光し、この分光された光をフォトダイオード素
子をアレイ状に配列して一体化したいわゆるフォトダイ
オードアレイに導き、各波長毎にその強度を測定して試
料の光学特性（例えば、濃度）を決定する方式の分光検
出器が液体クロマトグラフィの検出器として汎用されて
いる。そしてかかるフォトダイオードアレイによる検出
は、より正確化を期して、非照射時の出力すなわち暗信
号と照射時における出力との差（実効出力）に基づいて
素子毎に行なわれ、光学特性の決定はこれらの出力に基
づいて演算部で行なわれている。

（ハ）発明が解決しようとする問題点 しかしながら、かかる分光検出器においては、フォート
ダイオードアレイの周囲温度の僅かな変動によっても出
力ことに暗信号が変化し易くかつ光源強度の変動を抑え
ることが困難であり、S/N比を低下させることなくしか
も特殊な補償システムを設けることなく簡便に高確度で
安定な分光検出を行なうことが困難であった。

この発明は、かかる状況に鑑みなされたものであり、こ
とにフォトダイオードアレイの暗信号や光源輝度の変動
に基づく検出値の誤差の発生を効率良く防止しうる分光
検出器を提供しょうとするものである。

（ニ）問題点を解決するための手段 かくしてこの発明によれば試料の導入排出可能な測定用
セルと、この測定用セルに連続波長光を照射する光源
と、照射時の測定用セルからの透過光又は蛍光を分光す
る分光手段と、分光された透過光又は蛍光の強度を各波
長毎に測定するフォトダイオードアレイと、光源からの
照射光路を開閉しうる遮断手段と、照射される連続波長
光の一部受光器でモニターしうる参照光測定手段と、上
記照射光路の開閉時におけるフォトダイオードアレイの
出力差と受光器での出力の比に基づいて試料の光学特性
を決定する演算部とを備え、 上記受光器がフォトダイオードからなり、かつこのフォ
トダイオード及び上記フォトダイオードアレイが同一の
恒温装置内に装着されてなる分光検出器が提供される。

（ホ）作用 この発明の分光検出器においては、フォトダイオードア
レイが恒温化されているため暗信号が安定化され、かつ
光源輝度に対する透過光や蛍光の強度比率に基づいて試
料の光学特性が検出されているため電圧変動等に基づく
誤差が解消される。

（ヘ）実施例 第１図は、この発明の分光検出器の一実施例を示す構成
説明図である。図に示すごとく分光検出器（１）は、液
体クロマトグラフィの溶離液を導入排出するフローセル
（２）と、このフローセル（２）に、可視から紫外の連
続波長光（32）を反射板（31）を介して照射しうる重水
素ランプ（３）と、セル透過光を分光する回折格子（4;
モノクロメータでも可）と、分光された光の強度を測定
するフォトダイオードアレイ（5;25μｍピッチでフォト
ダイオード素子を512個配列し、有効素子は501個のも
の）と、連続波長光（32）の照射光路を開閉しうる半円
板状の遮断板（61）及び回転モータ（62）からなる遮断
手段（６）と、単一のフォトダイオード（71）と光ファ
イバ（72）とハーフミラー（73）とからなる参照光測定
手段（７）とから基本構成されている。そしてフォトダ
イオードアレイ（５）及びフォトダイオード（71）は30
℃に温調された恒温容器（８）内に、回折格子（４）と
共に内設されており、この恒温容器（８）はアルミニウ
ムブロック（81）、発泡樹脂からなる断熱材（82）、ヒ
ータ（83）、サーモモジュール（84）、冷却フィン（8
5）及び空冷フィン（86）からなる。

一方、フォトダイオードアレイ（５）及びフォトダイオ
ード（71）は第２図に示すごとく演算部（９）に接続さ
れており、遮断板（61）の開閉時のフォトダイオードア
レイ（５）の各素子についての出力差とフォトダイオー
ド（71）でモニターされる照射光の強度に基づいて試料
の実際の吸光度Aitを各波長毎に下式（Ｉ）によって演
算する演算部（93）を備えている。

Ait＝−log〔（Sit−Di）/Rt〕 ……（Ｉ） 〔式中、Sitはフォトダイオードアレイ（５）における
ｉ個目の素子における照射光路開放時の検知出力、Diは
同じく照射光路閉鎖時の検知出力（暗信号）、RtはSit
測定時のフォトダイオード（71）での照射光強度をそれ
ぞれ示す〕 なお、図中、（21）は集束レンズ、（22）はスリットを
それぞれ示し、（91）は遮断手段との同期入力部、（9
2）はA/Dコンバータ、（94）は記録計をそれぞれ示す。

上記分光検出器（１）において、まずフォトダイオード
アレイ（５）及びフォトダイオード（71）は同一の恒温
容器（８）内に装着されているため30℃の一定温度に各
々維持されている。フローセル（２）に液体クロマトグ
ラフィの溶離液が流れている状態において、測定は行な
われる。

まず、遮断板（61）による照射光路の閉鎖時には、フォ
トダイオードアレイ（５）のそれぞれの501個の素子に
ついての出力、すなわち暗信号が検出され、A/D変換さ
れて演算部（９）の算出部（93）内にデータDiとしてメ
モリされる。次いで遮断板（61）が照射光路を開放した
際には、照射光はフローセル（２）を透過して回折格子
（４）で分光されこの透過光がフォトダイオードアレイ
（５）で検出され、かつハーフミラー（73）によりその
一部は光ファイバ（72）を介してフォトダイオード（7
1）で検知される。この際、時点ｔでの501個の素子の出
力が算出部（93）内のメモリにA/D変換されてデータSit
として各々メモリされ、かつこの検出と同時にフォトダ
イオード（71）により照射光強度が検知され同様に算出
部（93）内のメモリにA/D変換されてデータRtとしてメ
モリされる。これらのメモリされたデータはすぐに前記
式（Ｉ）に基づいて計算され、検出時ｔにおける試料の
吸光度Aitが各波長毎に算出され、記録される。

かかる測定において、フォトダイオードアレイ（５）は
恒温化されているのでSitに含まれる暗信号レベルは変
化せず、Sit-Diは実質的な試料の吸光度に対応する。

さらに、フォトダイオード（71）もアレイ（５）と同一
温度に恒温化されているので感度変化を生じずRtは照射
光強度に正確に対応し、しかも前式のように吸光度決定
に（Sit-Dt）:Rtという比を採用しているため、光源輝
度の変動もキャンセルされ理想的な吸光度測定を行なう
ことができる。

なお、恒温化する温度は、各素子の動作温度及び露結防
止の点で室温付近の温度が適している。また、算出部
は、マイクロプロセッサを用いて構成するのが好まし
い。

上記実施例においては、暗信号測定は分析開始時に一度
測定され、その後は遮断板が開放されてセル透過光強度
が連続、周期的に行なわれる。この周期は40msに設定さ
れている。

（ト）発明の効果 この発明の分光検出器によれば、フォトダイオードアレ
イの暗信号の変動や光源輝度の変動に基づく検出値の誤
差の発生を簡便な装置構成にもかかわらず効率良く解消
することができる。更に参照光測定手段における受光器
としてフォトダイオードを用い、しかもこのフォトダイ
オードとフォトダイオードアレイを同一の恒温装置内に
装着されているので、フォトダイオードアレイの出力
（差）とフォトダイオードでの出力とにおける光源輝度
の変動も相殺され、従って両出力比に基づく試料の光学
特性がより正確に決定される。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、この発明の分光検出器の一実施例
の要部をそれぞれ示す構成説明図である。 （１）……分光検出器、（２）……フローセル、 （３）……重水素ランプ、（４）……回折格子、 （５）……フォトダイオードアレイ、 （６）……遮断手段、（７）……参照光測定手段、 （８）……恒温容器、（９）……演算部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】試料の導入排出可能な測定用セルと、この
   測定用セルに連続波長光を照射する光源と、照射時の測
   定用セルからの透過光又は蛍光を分光する分光手段と、
   分光された透過光又は蛍光の強度を各波長毎に測定する
   フォトダイオードアレイと、光源からの照射光路を開閉
   しうる遮断手段と、照射される連続波長光の一部を受光
   器でモニターしうる参照光測定手段と、上記照射光路の
   開閉時におけるフォトダイオードアレイの出力差と受光
   器での出力との比に基づいて試料の光学特性を決定する
   演算部とを備え、上記受光器がフォトダイオードからな
   り、かつこのフォトダイオード及び上記フォトダイオー
   ドアレイが同一の恒温装置内に装着されてなる分光検出
   器。