JPH0598452A - 金属付着フツ素樹脂粉体 - Google Patents

金属付着フツ素樹脂粉体

Info

Publication number
JPH0598452A
JPH0598452A JP28384691A JP28384691A JPH0598452A JP H0598452 A JPH0598452 A JP H0598452A JP 28384691 A JP28384691 A JP 28384691A JP 28384691 A JP28384691 A JP 28384691A JP H0598452 A JPH0598452 A JP H0598452A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
fluorine
metal
hydrophilic
fluororesin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP28384691A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3080449B2 (ja
Inventor
Sunao Fukutake
素直 福武
Kazuhiko Ohashi
和彦 大橋
Akira Moriya
昭 守屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Gore Tex Inc
Original Assignee
Japan Gore Tex Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Gore Tex Inc filed Critical Japan Gore Tex Inc
Priority to JP28384691A priority Critical patent/JP3080449B2/ja
Priority to EP92112453A priority patent/EP0526797A1/en
Publication of JPH0598452A publication Critical patent/JPH0598452A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3080449B2 publication Critical patent/JP3080449B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Chemically Coating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フッ素樹脂が本来保有しているすぐれた特性
である化学的安定性、熱安定性、低摩擦性、耐候性等を
損うことなく、フッ素樹脂粉体を親水性化し、その表面
に金属を付着させる。 【構成】 フッ素樹脂粉体の表面に、親水基を有する含
フッ素化合物の被覆層を介して金属を付着させたことを
特徴とする金属付着フッ素樹脂粉体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属付着フッ素樹脂粉
体に関するものである。
【0002】
【従来技術及びその問題点】フッ素樹脂粉体は、撥水
性、化学的安定性、熱的安定性、低摩擦性、耐候性等の
数々の優れた特性を持ち、これらの機能を利用して幅広
い分野で利用されている。フッ素樹脂粉体としては、従
来各種のものが市販されており、例えば、ポリ4フッ化
エチレン(PTFB)、エチレン−4フッ化エチレン共
重合体(ETFE)、4フッ化エチレン−6フッ化プロ
ピレン共重合体(FEP)、エチレン−3フッ化エチレ
ン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン
−3フッ化塩化エチレン共重合体(ECTFE)、ポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)、4フッ化エチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)
等のフッ素樹脂の粉体があり、粉砕されたパウダー或い
は、粉体を界面活性剤入りの水溶液に分散させたディス
パージョンの形として市販されている。ところで、この
ようなフッ素樹脂粉体は、非常に高い撥水性を有してい
ることから、これを水や水溶液に分散させようとする
と、大きな困難を伴い、多量の界面活性剤の使用が必要
になるという問題がある。このために、フッ素樹脂粉体
の表面を、熱硬化性樹脂や、金属、セラミックス又はそ
れらの混合物で被覆して、表面親水化することが提案さ
れている(特開昭64−51454号)。しかし、この
ような方法では、確かに粉体表面は親水化され、その濡
れ特性は改善されるが、フッ素樹脂が本来保有している
すぐれた特性が十分生かされない等の欠点があり、未だ
満足すべきものではない。例えば、熱硬化性樹脂で粉体
表面を被覆する場合には、フッ素樹脂の持つ化学的安定
性や耐候性等が犠牲になる。金属を粉体表面に被覆する
場合には、フッ素樹脂の持つ化学的安定性や低摩擦性が
損われる。セラミックスを粉体表面に被覆する場合に
は、そのキュア温度を300℃以下と低くする必要があ
るため、セラミックスの特性が十分生かされず、得られ
る粉体表面は化学的安定性の著しく悪いものとなる。一
方、フッ素樹脂粉体を水溶液に分散させる場合には、数
%以上という多量の界面活性剤を必要とするため、得ら
れる分散液自身が界面活性剤で汚染され、その用途が著
しく限定される他、非常に泡が立ちやすく、その起泡に
よるトラブルも生じる。さらに、フッ素樹脂粉体に金属
めっきを施そうとすると、その粉体は非常に高い撥水性
を有していることから、めっき浴に分散させるのに大き
な困難を伴い、その粉体の分散を行うには多量の界面活
性剤の使用を必要とし、実用的ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
見られる前記問題点を解決し、フッ素樹脂が本来保有し
ているすぐれた特性である化学的安定性、熱安定性、低
摩擦性、耐候性を損うことなく、フッ素樹脂粉体を親水
性化し、その表面に金属を付着させることをその課題と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フッ素樹脂粉体
を、親水基を有する含フッ素化合物の被膜で被覆し、そ
の被覆層を介して金属を付着させるときには、フッ素樹
脂が本来有するすぐれた特性を損うことなく、金属付着
フッ素樹脂粉体が得られ、しかも、粉体表面に形成され
た被膜は粉体との密着性に非常にすぐれたものであるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明
によれば、フッ素樹脂粉体の表面に、親水基を有する含
フッ素化合物の被覆層を介して金属を付着させたことを
特徴とする金属付着フッ素樹脂粉体が提供される。
【0005】本発明で用いるフッ素樹脂粉体としては、
従来公知のもの、例えば、ポリテトラフルオロエチレ
ン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、エチレン−トリフルオロクロロエチレン共重合体、
ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合体等を挙げるこ
とができる。このフッ素樹脂粉体の平均粒径は、通常、
0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmであ
る。本発明においては、先ずフッ素樹脂粉体の表面に親
水基を有する含フッ素化合物を被膜状に付着させる。親
水基を有する含フッ素化合物は、常温で液状ないし固体
状を示すものであればよく、低分子化合物、オリゴマー
及びポリマー等が包含される。また、これらの含フッ素
化合物は、粉体粒子表面において、架橋化された状態で
存在することができる。粉体表面に付着させる親水基を
有する含フッ素化合物は、最終製品粉体に対して、1〜
10重量%、好ましくは2〜6重量%である。親水基を
有する含フッ素化合物を粉体表面に付着結合させて被膜
を形成させる方法としては、従来公知の方法、例えば、
界面重合法、界面反応法等の化学的方法や、水溶液系か
らの相分離方法、有機溶媒系からの相分離法等の物理化
学的方法の他、気中懸濁被覆法、スプレードライング法
等が挙げられる。
【0006】親水基を有する含フッ素化合物としては、
その分子中にフッ素を含有する疎水性部分と、親水性基
を有する親水性部分を有するもので、水又は水溶液に対
して幾分の可溶性を有するもの、好ましくは実質的に水
不溶性を示すものの使用が好ましい。親水性基として
は、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ
ン基、シアノ基、ピロリドン基、イソシアネート基、イ
ミダゾール基、リン酸基、N−置換されていてもよいア
ミド基、N−置換されていてもよいアミノ基、スルホン
アミド基等を挙げることができる。また、またそれらの
親水基の活性水素には、アルキレンオキシド、例えばエ
チレンオキシドやプロピレンオキシドが付加反応されて
いてもよい。
【0007】本発明で用いる好ましい親水基を有する含
フッ素化合物は、含フッ素親水性高分子である。このも
のは、フッ素含有エチレン性不飽和モノマーと、フッ素
を含まない親水基含有ビニルモノマーを共重合化させる
ことにより得ることができる。フッ素含有モノマーとし
ては、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデン、モノクロロトリフルオロエチレ
ン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ
ピレン等が挙げられる。
【0008】好ましいフッ素含有モノマーは、次の一般
式で示すことができる。 CXY=CFZ (1) 前記式中、Zはフッ素又は水素を示し、X及びYは水
素、フッ素、塩素及びトリフルオロメチル(−CF3
の中から選ばれる。
【0009】また、他の好ましいフッ素含有モノマー
は、次の一般式で示すことができる。 前記式において、Rは水素、フッ素、メチル基、エチル
基、トリフルオルメチル基(CF3)又はペンタフルオ
ルエチル(C25)である。Rfは炭素数4〜21のパ
ーフルオロアルキル基を示す。
【0010】一方、親水基含有モノマーとしては、前記
した各種の親水基を有するビニルモノマー及びそれらの
親水基の活性水素にアルキレンオキシド、例えばエチレ
ンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させたモノ
マーも好適のものである。酢酸ビニルのように、共重合
化後、加水分解することにより親水基含有コポリマーを
与えるものも使用される。親水性モノマーの具体例とし
ては、ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、
フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のような不飽和カル
ボン酸の他、以下に示す如きアクリル酸やメタクリル酸
のアルキレンオキシド付加体が挙げられる。
【0011】 前記式中、Rは水素又はメチル基であり、n及びmは1
以上の整数である。含フッ素モノマー及び親水基含有モ
ノマーはいずれも一種又は二種以上であってもよい。ま
た、前記含フッ素モノマーと親水基含有モノマーには、
必要に応じ、さらに、他のビニルモノマー、例えば、ア
クリル酸やメタクリル酸のアルキルエステル、トリメチ
ロールプロパンの如き多価アルコールとアクリル酸又は
メタクリル酸とのエステル等を併用することができる。
【0012】含フッ素親水性高分子として好ましく用い
られるビニアルコールとフッ素含有モノマーとのコポリ
マーは、ビニルアセテートとフッ素含有モノマーとのコ
ポリマーをケン化し、コポリマーに含まれるアセテート
基をヒドロキシル基に変換することにより得ることがで
きる。この場合、コポリマーに含有されるアセテート基
は、必ずしもその全てをヒドロキシル基に変換させる必
要はなく、アセテート基のヒドロキシル基への変換はコ
ポリマーが親水性を有する程度まで行えばよい。含フッ
素親水性コポリマーのフッ素含有率量は、重量基準で、
通常2%〜60%、好ましくは10%〜60%、更に好
ましくは20%〜60%である。含フッ素親水性コポリ
マーのフッ素含有率が多すぎると、耐熱性は良くなるも
ののポリマーの親水性が低下する。一方、フッ素含有率
が少なすぎると含フッ素親水性コポリマーの粉体に対す
る接着性が小さくなり、耐熱性も小さくなる。粉体の親
水性化のために好ましく用いる含フッ素親水性コポリマ
ーにおいて、その親水基当量は、一般に、45〜70
0、好ましくは60〜500である。この親水基当量が
45未満の場合、含フッ素親水性コポリマーの溶解度が
非常に大きくなり、そのコポリマーは水で粉体から溶出
されやすくなり、一方、親水基当量が700より大きく
なると親水性が小さくなりすぎて、粉体の親水性化が不
十分になる。
【0013】表1〜表2にいくつかのコポリマーについ
て、そのコポリマー中の含フッ素モノマー単位のモル
%、フッ素重量%(F−wt%)及び親水基当量(Eq
−W)を示す。VOHはビニルアルコールである。
【0014】なお、本明細書における親水基当量(Eq
−W)とは、コポリマーの分子量を、親水基の数で割っ
た値である。以下に示した親水基当量は、次式により算
出される。 式中、A・xは、含フッ素モノマーの分子量にそのモル
数xをかけた値であり、一方、B・yは親水基含有モノ
マーの分子量にそのモル数yをかけた値である。
【0015】
【表1】 コポリマー コポリマー中 コポリマー中の のモル比 含フッ素モノマー F-wt% Eq-W 単位のモル% (CF2=CF2)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 4.2 45.5 1, 30 3.2 5.5 46.4 1, 20 4.8 7.9 48.0 1, 10 9.1 14.3 53 1, 4 20 27.5 68 1, 1 50 53.1 143 10, 1 91 72.8 1043 (CF2=CFH)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 2.1 44.6 1, 30 3.2 2.8 45.2 1, 20 4.8 4.1 46.2 1, 10 9.1 7.5 49 1, 4 20 − − 1, 1 50 33.6 107 10, 1 91 55.6 683 (CFH=CH2)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 1.1 44.2 1, 30 3.2 1.4 45.6 1, 20 4.8 2.1 45.3 1, 10 9.1 4.0 47.6 1, 4 20 − − 1, 1 50 21.3 89 10, 1 91 37.8 503
【0016】
【表2】 コポリマー コポリマー中 コポリマー中の のモル比 含フッ素モノマー F-wt% Eq-W 単位のモル% (CF2=CFCl)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 3.1 46.0 1, 30 3.2 4.0 46.9 1, 20 4.8 5.8 48.9 1, 10 9.1 10.4 54.6 1, 4 20 − − 1, 1 50 35.8 159 10, 1 91 47.2 1208 (CF2=CCl2)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 2.0 46.6 1, 30 3.2 2.7 47.7 1, 20 4.8 3.8 50.0 1, 10 9.1 6.7 57 1, 4 20 − − 1, 1 50 20.8 183 10, 1 91 26.3 1442 (CF2=CFCF3)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 6.1 46.8 1, 30 3.2 7.9 48.0 1, 20 4.8 11.3 50.5 1, 10 9.1 19.6 58 1, 4 20 − − 1, 1 50 59.0 193 10, 1 91 73.9 1543
【0017】粉体表面に含フッ素親水性高分子を付着結
合させるためには、例えば含フッ素親水性コポリマー
を、アルコール、ケトン、エステル、アミドあるいは炭
化水素のような有機溶媒中に溶解し、その溶液中に粉体
を浸漬するか、あるいはその溶液を粉体表面にスプレー
し、その後、乾燥させる。また、含フッ素高分子の溶液
と粉体を混合し、この混合液をスプレードライ又は氷ら
せてフリーズドライしてもよい。さらに、親水基を有す
るモノマーと含フッ素モノマーとを粉体表面上で重合さ
せてもよい。このようにして、含フッ素親水性高分子が
粉体表面に付着し、親水化された粉体を得ることができ
る。粉体に対する含フッ素親水性高分子の付着量は、粉
体表面を親水化させるに十分な量であればよく、使用す
る粉体の種類等により変化するが、通常、最終製品粉体
の重量に対して、1〜10重量%、好ましくは2〜6重
量%である。
【0018】また、親水性化フッ素樹脂粉体は、これに
含フッ素モノマーと親水基に変換可能な酢酸ビニルのよ
うな疎水性モノマーからなるコポリマーの有機溶媒溶液
を含浸させ、粉体を乾燥し、次いでそのアセテート基の
少なくとも一部を親水基に変換することにより製造する
こともできる。
【0019】前記のようにして得られる親水性フッ素樹
脂粉体は、親水性含フッ素高分子がその表面に膜状に結
合している構造を有する。これにより粉体の表面が親水
化される。親水性含フッ素高分子の親水基当量を適度な
範囲に規定し、高分子の水に対する溶解性をコントロー
ルすることにより、高分子そのものの粉体からの溶離を
防ぐことできる。含フッ素親水性コポリマーのフッ素樹
脂粉体への付着結合力は、そのコポリマー中のフッ素原
子の作用によって強力なものとなり、安定した状態で長
期間にわたって維持される。
【0020】本発明で好ましく使用される他の親水基を
有する含フッ素化合物は、含フッ素界面活性剤である。
このものの具体例を以下に示す。 RfCONHC24OC(C24O)nH (11) RfSO2NH24O(C24O)nH (12) RfC24OH (13) RfCOOH (14) RfC24N(CH32 (15) 前記一般式において、Rfはパーフルオロ高級アルキル
基であり、その炭素数は8以上、好ましくは12〜30
である。また、nは1以上の整数、好ましくは2〜5の
整数である。これらの含フッ素界面活性剤は、常温で、
液状ないし固体状のものである。前記含フッ素界面活性
剤を粉体表面に付着させるには、含フッ素界面活性剤
を、ハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、アセトン等の有
機溶剤に溶解し、この溶液中に粉体を浸漬した後、溶媒
を除去すればよい。含フッ素界面活性剤の溶液中濃度
は、1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%である。
【0021】前記のようにして得られる親水基を有する
含フッ素化合物を被覆したフッ素樹脂粉体は、表面親水
化され、濡れ特性の著しく向上したものであり、しか
も、そのフッ素樹脂粉体が本来保有しているすぐれた特
性は何ら損われていない。このものは、水や水溶液中に
容易に分散させることができ、従来一般の親水性粉体と
同様に取扱うことができる。
【0022】次に、本発明においては、前記の親水基を
有する含フッ素化合物を被覆したフッ素樹脂粉体(以
下、単に粉体とも言う)は、金属付着処理、例えば、化
学めっき処理に付して、その表面に金属を付着させる。
この場合の化学めっき処理は、従来公知の方法に従っ
て、行えばよい。即ち、予備処理工程においては、粉体
表面に、化学めっきの触媒となる貴金属を付着させる。
貴金属としては、パラジウムや、白金、銀等が用いられ
るが、好ましくはパラジウムである。この貴金属の付着
方法としては、例えば、材料を塩化スズ(II)の水溶
液に浸漬した後、水洗し、塩化パラジウム水溶液に浸漬
し、次いで水洗する方法を採用することができる。この
ような化学めっき用の予備処理はよく知られている技術
である。
【0023】次に、前記のようにして化学めっき用の予
備処理を行った粉体は、これを化学めっき液中に浸漬し
て化学めっき処理を施す。化学めっき液は、一般的に
は、金属、還元剤、錯化剤、緩衝剤、安定剤等を含む。
この場合、還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、水
素化ほう素ナトリウム、アミノボラン、ホルマリン、ヒ
ドラジン等が採用され、錯化剤や緩衝剤としては、ギ
酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グ
リシン、エチレンジアミン、EDTA、トリエタノール
アミン、酒石酸ナトリウム・カリウムなどが採用され
る。
【0024】めっき用金属としては、例えば、金、銀、
白金、ロジウム、ニッケル、コバルト、タングステン、
銅、亜鉛、鉄等の各種の金属や、それらの合金を挙げる
ことができる。合金の金属を付着させる場合には、めっ
き液に添加する金属塩として、所望する合金に対応する
成分組成の金属塩を用いればよい。本発明で用いる粉体
に対して白金や金、それらの合金からなる金属あるいは
その他の化学めっきにより形成させるのが困難な金属を
付着させるには、粉体に対して、コバルトやニッケル、
銅等の化学めっき(化学還元めっき)により容易に形成
し得る金属をあらかじめ付着させ、次いでこの粉体に対
して化学めっき(化学還元めっき、置換めっき等)を行
うのが好ましい。
【0025】粉体に対して白金又は白金を含む合金を化
学めっき法により付着させる場合、還元剤として塩酸ヒ
ドラジンを使用することにより、容易に化学めっき処理
を実施することができる。白金イオンを含む化学めっき
液は、白金イオンの還元が容易に起るため、被めっき物
のみに選択的に白金を析出させることが困難であるが、
還元剤として塩酸ヒドラジンを用いる場合には、めっき
液の安定性が著しく向上し、かつ被めっき物のみに選択
的に白金を析出させることができる。また、還元剤とし
て塩酸ヒドラジンを用いる場合には、白金合金、例え
ば、白金−イリジウム、白金−ロジウム等の金属を容易
に付着させることができる。白金イオンを含む化学めっ
き液の代表的成分組成を示すと次の通りである。 塩化白金酸 :3×1/103〜7×1/103モル/
l 塩酸ヒドラジン:0.1〜0.3モル/l pH :3〜4 温度 :30℃〜40℃
【0026】また、本発明で用いる化学めっき法として
は、複合めっき法を採用することもできる。この複合め
っき法は、金属の酸化物や、窒化物、炭化物等の微粉末
を含有する金属を付着させる方法で、めっき液としてそ
れら微粉末を均一に分散させたものを用いる。
【0027】本発明においては、親水基を有する含フッ
素化合物を被覆したフッ素樹脂粉体を被めっき原料とし
て用いることから、化学めっき法により、その粉体表面
に対し、容易に金属を付着させることができる。化学め
っき法により粉体表面に形成される金属層の厚さは、通
常、約10Åから5μmであり、特に、500Å〜1μ
mである。本発明によれば、前記のようにして得られる
金属層を有する粉体に対し、さらに化学めっきや電気め
っきを施すことができ、その粉体表面に多層金属膜を形
成させることもできる。本発明の金属付着フッ素樹脂粉
体において、その付着金属は、金属状態の他、任意の状
態、例えば、酸化物、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、
炭化物等の状態であることができる。その粉体に付着す
る金属を酸化物や、硫化物、ハロゲン化物、窒化物、炭
化物等の状態のものにするには、従来公知の反応を採用
することができる。
【0028】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 潤滑用ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末
(低分子量四フッ化エチレン樹脂粉末、ダイキン工業社
製、ルブロンL−2、粒子径:5μm、嵩比重:約0.
35g/cc)と、テトラフルオロエチレン/ビニルア
ルコール共重合体(フッ素含有率27重量%)の0.1
%メチルアルコール溶液とを、樹脂固形分重量比10
0:0.5の割合で混合した溶液を80℃雰囲気中でス
プレードライングし、粒子表面がテトラフルオロエチレ
ン/ビニルアルコール共重合体で被覆された微粉末とし
た。次に、この微粉末Aを2.5mmol/l濃度のP
dコロイド水溶液中に入れ、超音波をかけながら撹拌し
て、微粉末Aの表面にPdコロイドを均一に付着させ
て、活性化処理を行った。この際、Pdコロイドの量
は、微粉末A1gに対して0.03mmolとした。水
洗後、銅無電解メッキ浴に入れ、撹拌した。この銅メッ
キ浴の組成は、硫酸銅(II)五水和物0.015mol
/l、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物0.04mo
l/l、水酸化ナトリウム0.12mol/l、ホルム
アルデヒド0.4mol/lとした。メッキ後、洗浄
し、乾燥して、銅メッキ付微粉末を得た。粒径は約6μ
mで、PTFEとCuとの重量比は約4:1であった。
これをさらに250℃で3時間、大気中で焼成してオゾ
ンガス分解触媒とした。本触媒はオゾン分解率95%以
上を6時間以上保つ、すぐれた性能を示した。殺菌、脱
臭などに用いたオゾンガスを、使用後本触媒中を通して
分解でき、人体及び環境を悪化させることを防ぐことが
できる。
【0029】実施例2 実施例1の親水化処理を行った微粉末Aを塩化第一錫
0.08mol/lを含む溶液中に入れ撹拌して感受性
化した。水洗後さらに、PdCl2を0.005mol
/lを含む溶液に入れ撹拌して活性化した。これを銀無
電解メッキ浴に入れ撹拌して、銀メッキを施した。メッ
キ浴は硝酸銀0.07mol/l、アンモニア水、酒石
酸ナトリウムカリウム0.2mol/lとした。銀メッ
キ粉体を殺菌用フィルターの充填材として評価したとこ
ろ、充分な殺菌作用を示し、また高圧水流下で長時間使
用しても、メッキ金属の剥離はなく、充分な接着強度を
持っていた。
【0030】実施例3 実施例1の親水化処理を行った微粉末Aを実施例2と同
様の方法で活性化を行い、これをはんだメッキ浴に入れ
て撹拌しながらメッキを行った。はんだメッキ浴の組成
は、Na3 citrate・2H2O 0.34mol
/l、Na2EDTA・2H2O 0.08mol/l、
Na3・H2O 0.2mol/l、SnCl2・2H2
0.4mol/l、PdCl20.04mol/l、
TiCl30.04mol/lを含むアンモニア水であ
る。これにより、はんだメッキした微粉末を得た。これ
をフェイスダウンで実装するIC(CCB法によるボン
デイング)やチップ部品(チップコンデンサ、チップダ
イオード、チップ抵抗など)などの電子部品を基板に実
装する際にボンディング材として用いることにより、充
分な電気伝導を持ち、温度サイクルによる接合部の劣下
の少ない良好な接合が得られた。これはICチップや電
子部品の電極端子と基板の電極端子とをこのはんだメッ
キ粉体を用いて、250℃、2分で接合したもので、は
んだのみ融けて、中にあるPTFE粒子が融けないの
で、このPTFE粒子により電子部品表面と基板が接触
することをまぬがれる。又、はんだ接合部は応力的に有
利な太鼓状となり、信頼性が向上した。
【0031】実施例4 実施例1の親水化処理を行った微粉末AにCuメッキを
施し、さらにこのCuメッキ層のまわりにNiメッキを
行い、導電性粉体を得た。これは充分な接着性があっ
た。又抵抗値は約0.5Ωと充分低い値を示した。
【0032】実施例5 実施例1の親水化処理を行った微粉末Aに硬質Niメッ
キを行い、PTFE、Niより成る摺動材とした。粉体
表面にNi部、PTFE部が交互に存在するので、それ
ぞれの特長を生かした良好な摺動材となった。
【0033】
【発明の効果】本発明の金属付着フッ素樹脂粉体におい
て、その金属は、フッ素樹脂粉体表面にあらかじめ形成
した親水基を有する含フッ素化合物の被覆層を介して付
着されているので、その金属と粉体との間の密着は非常
にすぐれたものとなり、しかも、粉体表面の凹凸部にも
金属が均一に付着している。さらに、粉体表面に形成さ
れた被覆層は含フッ素化合物であるので、フッ素樹脂粉
体の特性を損うようなことはない。本発明の金属付着フ
ッ素樹脂粉体は、導電性粉体等の電子材料や摺動材等の
機械材料などに用いることができる。さらに、その粉体
表面に付着する金属の状態を、酸化物や硫化物、ハロゲ
ン化物等の適当な金属化合物状態に変えることにより、
機能性粉体として各種の用途に用いることができる。例
えば、その付着金属を酸化物とすることにより、触媒と
して有利に用いることができる。また、本発明のフッ素
樹脂粉体は、水や水溶液中に容易に分散させることがで
き、顔料等の用途に用いることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂粉体の表面に、親水基を有す
    る含フッ素化合物の被覆層を介して金属を付着させたこ
    とを特徴とする金属付着フッ素樹脂粉体。
  2. 【請求項2】 該含フッ素化合物が、含フッ素高分子で
    ある請求項1の粉体。
  3. 【請求項3】 該含フッ素化合物が、含フッ素界面活性
    剤である請求項1の粉体。
  4. 【請求項4】 該金属が酸化物である請求項1〜3のい
    ずれかの粉体。
JP28384691A 1991-08-07 1991-10-04 金属付着フッ素樹脂粉体 Expired - Fee Related JP3080449B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28384691A JP3080449B2 (ja) 1991-10-04 1991-10-04 金属付着フッ素樹脂粉体
EP92112453A EP0526797A1 (en) 1991-08-07 1992-07-21 Hydrophilic fluoropolymer particles and products thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28384691A JP3080449B2 (ja) 1991-10-04 1991-10-04 金属付着フッ素樹脂粉体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0598452A true JPH0598452A (ja) 1993-04-20
JP3080449B2 JP3080449B2 (ja) 2000-08-28

Family

ID=17670926

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28384691A Expired - Fee Related JP3080449B2 (ja) 1991-08-07 1991-10-04 金属付着フッ素樹脂粉体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3080449B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011079921A (ja) * 2009-10-06 2011-04-21 Daido Metal Co Ltd 摺動用樹脂組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011079921A (ja) * 2009-10-06 2011-04-21 Daido Metal Co Ltd 摺動用樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP3080449B2 (ja) 2000-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05301991A (ja) 金属膜を有する多孔質フッ素樹脂材料及びその製造方法
JP6050737B2 (ja) 耐フレッチング性及び耐ウィスカー性の被覆装置及び方法
JP3333551B2 (ja) ダイヤモンド上に金属被膜を設ける為の改良された方法およびそれによって得られる物品
JPH08273431A (ja) 樹枝状結晶粉末材料
JP2018199839A (ja) 銀めっき液、銀めっき材料及び電気・電子部品、並びに銀めっき材料の製造方法。
JPWO2002013205A1 (ja) 導電性微粒子、微粒子のめっき方法及び基板構成体
JP4740137B2 (ja) 導電性微粒子の製造方法
JP6766057B2 (ja) 導電層形成用塗布液及び導電層の製造方法
JP2001220691A (ja) 導電性微粒子
TW200523108A (en) Chromium-free antitarnish adhesion promoting treatment composition
JP3080449B2 (ja) 金属付着フッ素樹脂粉体
JP4465068B2 (ja) 銀−錫合金めっき層の形成方法
EP0526797A1 (en) Hydrophilic fluoropolymer particles and products thereof
JP2021048391A (ja) Sn−Bi−In系低融点接合部材および、その製造方法、ならびに半導体電子回路およびその実装方法
JP3678196B2 (ja) チップ型電子部品の製造方法、及びチップ型電子部品
JP3156860B2 (ja) 親水性フッ素樹脂粉体
JPH0694593B2 (ja) 陽極酸化アルミニウム上への無電解ニッケル鍍金
JP2011225927A (ja) 無電解パラジウムめっき又は無電解パラジウム合金めっきの前処理用活性化液
JPH0864962A (ja) 印刷回路基板の製造方法
KR100892301B1 (ko) 환원 및 치환금도금 방법을 이용한 도전볼 제조
JP2021048392A (ja) Sn−Bi−In系低融点接合部材および半導体電子回路
Kim Comparison of Deposition Behavior and Properties of Cyanide-free Electroless Au Plating on Various Underlayer Electroless Ni-P films
JP2001126532A (ja) 導電性微粒子及び導電材料
JP2670796B2 (ja) 金属めっきされたセラミックス成型体の製造方法
JPS59176907A (ja) マイクロ波用誘電体共振器セラミツクス

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000523

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees