JPH0598265A - 触媒含浸炭を用いる石炭液化方法 - Google Patents

触媒含浸炭を用いる石炭液化方法

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JPH0598265A
JPH0598265A JP26404391A JP26404391A JPH0598265A JP H0598265 A JPH0598265 A JP H0598265A JP 26404391 A JP26404391 A JP 26404391A JP 26404391 A JP26404391 A JP 26404391A JP H0598265 A JPH0598265 A JP H0598265A
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catalyst
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oil
reaction
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Shigeyoshi Hayashi
重嘉 林
Nobuhiro Tamura
亘弘 田村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 高温および高圧において炭化水素油中でスラ
リー化した石炭と水素を反応させ液化するに際し、予
め、石炭粉末を金属の硫酸塩水溶液に浸して金属の硫酸
塩を担持させ、分離して得られた触媒含浸炭を使用する
ことを特徴とする石炭液化方法。 【効果】 微小量の触媒成分を含浸させたものである
が、石炭への高分散と親和性を具備し、優れた水素化能
をもった触媒の製造方法を可能にした。高分散含浸であ
るため水素化能と水素化分解活性の相乗的機能を持ち、
極微少量の含浸で済むため、コスト低減に著しく有効で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、予め、使用する石炭に
液化用触媒を含浸させた石炭を用いて行なう石炭液化方
法に関する。更に詳しくは、極微少量の金属の硫酸塩を
石炭に含浸させることによって、触媒成分の石炭の粒子
内もしくは、表面への高分散させた石炭を用いる石炭液
化方法である。
【0002】
【従来の技術】元来、石炭液化は、石炭を粉砕して加熱
し、必要に応じて水素を加えてガスおよび固形物を含む
液化物を得る方法は長年研究され、多くの技術が知られ
ている。近年、燃料油資源等の問題や化学原料の提供、
化学品多様化、またエネルギ−多様化の中で直接的に石
油代替物を供給できる利点があるところから、石炭液化
の技術開発は必要不可欠である。
【0003】現に技術の開発は非常に盛んであり、多く
の新しい技術が開発されつつある。しかし、合成原油の
製造の製造方式と液化収率等に見られる経済性や良質の
燃料油やガソリンあるいは化学原料油を効率よく得るた
めには、まだ多くの問題点がある。例えば、高価な触媒
や装置の腐食または公害上望ましくない触媒の添加が必
要であったり、反応中に炭化物が生成したりすることで
ある。
【0004】石炭液化反応は非常に複雑であり、大別す
ると石炭の熱分解、生成したフリ−ラジカルの水素化、
芳香族環の開裂等を伴う水素化分解および水素化の三段
階にわかれる。従って、これらの反応をうまく調節する
には、石炭反応器中の反応条件、特にそのうち触媒の選
択は液化油の品質を決めるための重要な因子の一つであ
るのは勿論のこと石炭液化プロセスにおいて選択的な水
素化と水素化分解には触媒の寄与が最も大きいと言え
る。このためその化学種や物理的形状を変えた多種の触
媒が添加方法も含めて開発されてきた。
【0005】従来公知である石炭液化の触媒は非常に多
いが、中でも代表的なものに塩化亜鉛、塩化スズ、塩化
アルミ、塩化ニッケル、塩化鉄等の例が多く、これらは
金属ハロゲン化触媒に属する。硫化物では硫化スズ、硫
化モリブデン、硫化鉛、硫化銅、硫化亜鉛、硫化ニッケ
ル、酸化物では酸化ニッケル、シリカ、アルミナ、酸化
鉄、酸化コバルト、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化
タングステン、酸化バナジウム等があり、またそれらの
混合物や赤泥、鉱石等の使用が知られている。
【0006】以上の触媒を大別すると三系統にわけられ
る。第一系統はハロゲン化物系、特に塩化物系で石炭液
化反応に優れた触媒効果を示す。なかでも高濃度で用い
る溶融塩法は軽質油の生成に富み、発生ガス量が少な
く、高い石炭液化率が得られるが、装置材質上おおきな
制約を受けることは勿論のこと、共存する塩化水素ガス
による腐食等の問題がある。 第二系統は石油系触媒で
あって種にCo、Mo、Ni、W等の遷移金属の酸化物
又は硫化物に見られるように重質油の水素化に効果的で
あるが、被毒を受けやすく苛酷な条件下で使用されるた
めに触媒活性の低下は著しく、触媒寿命が短いと言う欠
点がある。
【0007】これらの触媒は一般に高価であるためH−
Coalプロセス、二次水添、アップグレ−ディング等
に見られる沸騰床の如く反応器内で劣化触媒抜出し、再
生、供給システムからなる工夫、あるいはDow法の如
く、触媒を非常に低濃度で使い、かつ大半を再使用循環
するプロセスや独創的なエマルジョン触媒等の開発が行
なわれているが最適乳化法、乳化剤の選定など多くの問
題がある。即ち、いずれもまだ完成の域に達していな
い。 第三系統は鉄系触媒である。これは安価で使い捨
て触媒として用いられる場合が多い。なかでも水酸化
鉄、赤泥、鉄鉱石、硫酸鉄等が代表的である。通常これ
らの触媒は、石炭と溶媒からなるスラリ−中へ懸濁させ
て使用するが、触媒上への灰分付着による劣化は避けら
れない。従って活性維持のため微細で表面積を大きくす
ることが要求され、また分散性を上げる所策、あるいは
使用量を多くする等の工夫が要る。これらの鉄化合物は
硫黄が共存すると活性が飛躍的に増大する。従って硫黄
含有量の少ない石炭においては硫黄を添加して使用する
ことも提案されている。
【0008】また天然の黄鉄鉱(FeS2 :パイライ
ト)の触媒活性なども良く知られており、一方合成パイ
ライトの試作方法も種々検討されてきた。従来このよう
な触媒は、硫酸第一鉄水溶液または硫酸第二鉄水溶液に
硫化ナトリウム水溶液を室温あるいはそれ以下の温度で
反応せしめ、その生成スラリ−をろ過あるいは遠心分離
することにより、水中に溶解残存しているNa+ 、Fe
2+、SO4 2-を除去脱塩した後、残スラリ−に硫黄粉末
を添加し、約80℃で2〜3日間反応せしめ、生成スラ
リ−を冷却し、ろ過あるいは遠心分離を行なった後、塩
酸で未反応硫化鉄を洗浄除去し、二硫化炭素等で残硫黄
を除去した後の物質を、石炭液化用触媒として用いるも
のでであった。(例えば米国、サンディア・ナショナル
ラボラトリ−・エネルギ−レポ−ト80−2793号。
以後米国80−2793号と称する。)この方法中もっ
とも問題があるのはNa+ 、Fe2+、SO4 2-を除去脱
塩する工程である。
【0009】これは以下のような欠点をもつ。(1) 第一
段反応で生成した沈殿物の沈降速度あるいはろ過速度が
極めて遅いため、固液分離に多くの時間と労力を必要と
する。(2) 一度固液分離した後の固形分を第二段反応の
ために改めて水中に、均一に一次粒子として分散させる
のが困難である。(3) 第一段反応で生成する鉄の硫化物
が変性しやすく、最終製品の触媒活性が安定しにくい。
しかも以上の方法に従って調製した触媒の石炭液化反応
結果は鉱物パイライト、鉄鉱石等とほぼ同レベルであ
り、向上をねらうには触媒を多量に用いたり、その他の
工夫が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、固液分離性
に優れ、かつ石炭への高分散と親和性と、優れた水素化
能を具備する触媒の製造方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような現状下で発明
者等は、これらの問題点を解消すべく鋭意研究を進めた
ところ、後述するように石炭液化における理想的なタイ
プの触媒を開発したものである。石炭液化系における理
想的な触媒活性の発現は高分散させることによって達成
されるケースが多い。本発明の如く、特に細孔を多く持
ち表面積も大きい石炭に触媒を高分散含浸させることに
より、触媒活性を高め、触媒の消費量を減じ、結果とし
て触媒コストを低下させることも可能である。即ち、今
回の金属の硫塩酸の如く、極微少量の超強酸触媒の高分
散化は酸点調節によるマイルドな液化反応の進行とな
り、今回の特徴は核水添化能、水素化分散能の二元機能
を合せて持つことが可能で、いわゆる、単一の触媒系で
は見られないほどの活性の発現である。
【0012】すなわち、本発明は高温および高圧におい
て炭化水素油中でスラリー化した石炭と水素を反応させ
液化するに際し、予め、石炭粉末を金属の硫酸塩水溶液
に浸して金属の硫酸塩を担持させ、分離して得られた触
媒含浸炭を使用することを特徴とする石炭液化方法であ
る。次に本発明についてさらに詳細に説明する。使用す
る金属イオンを含有する硫酸塩水溶液とは鉄、コバル
ト、ニッケル、モリブデン、亜鉛、スズ等の硫酸塩を溶
解した水溶液であればよく、該水溶液中のなかで非常に
安価でもっとも代表的な鉄イオンを含む硫酸塩水溶液に
ついては、鉄イオンのうち第一鉄イオンと第二鉄イオン
のいずれでもよいが、強いてあげれば、第一鉄イオンが
好ましい。またこれらの塩は工業試薬でよく、あるいは
他のプロセスからの副生物でもよい。
【0013】ちなみに、石炭液化反応を行う場合、無水
無灰炭(DAF)ベースで0.01Wt%のFeを必要
とする時は、40Wt%石炭スラリー濃度で含浸させる
と0.001モル濃度の鉄イオン溶液を用いれば良く、
通常は0.001〜0.06モル濃度の範囲で使用する
ことが好ましい。この場合、含浸炭中のFeはDAFベ
ースで0.01〜0.5Wt%になる。
【0014】また、使用する石炭の1/10に含浸さ
せ、液化反応時に残りの 9/10と合せて使用して
も、触媒としての機能は全く変らないことが分った。液
化の性能から見ると含浸炭中のFeはDAFベ−スで
0.025〜0.1Wt%で十分であり、合成パイライ
トのFe2Wt%に匹敵する。含浸せずに直接添加した
場合は、無触媒で行なった液化反応に類似しており、水
素化能が低く、高沸点化合物の生成が多い。
【0015】後述の実施例に示す如く、含浸させた場合
の効果はマイルドな液化反応が進行しており、核水素化
活性、水素化分解活性に富み、多くのヘキサン可溶分
油、軽質オイルが得られることも分った。これらの水溶
液中の鉄イオン濃度は必要以上に薄過ぎると経済的に不
利であるし、濃すぎると結晶が折出したり、必要以上に
高温にしなければならず、ハンドリング上まずい点も出
てくる。
【0016】多元系触媒の場合は鉄イオンに対して多種
金属イオンを重量比で0.1〜1の範囲で加える。次に
反応であるが先ず鉄イオン含有硫酸塩水溶液に石炭粉末
(100メッシュパス)を浸しめ、攪拌し十分脱気す
る。このとき室温〜40℃ぐらいが良い。含浸時間は1
時間以上であればよいが、加えた鉄イオン含有硫酸塩は
2〜3時間程度で、石炭粉末にほとんど完全に吸着す
る。この際に添加する原料は先ず石炭スラリ−濃度は2
0〜50Wt%であればよく、反応後の固液の分離等ハ
ンドリング上から考えて40Wt%程度が好ましい。
【0017】鉄イオンは含浸時に添加された石炭に対し
てDAFベ−スで0.01〜0.5Wt%でよいが、石
炭液化性能からみた場合好ましくは0.025〜0.1
Wt%が良い。通常、石炭液化反応から見た場合、含浸
せずに直接添加の場合は2〜3Wt%程度必要である。
これは用いる石炭種によってやや変動する。この反応終
了後に固液分離、乾燥を行なうが、こうして得られた生
成物は、乾燥して使用しても、水で湿った状態でそのま
ま使用しても、あるいは水を油で置換したスラリ−の状
態で石炭液化反応に使用してもよい。本発明の場合はろ
過法、遠心分離法等の公知の固液分離技術をそのまま適
用でき、中でもスプレ−ドライヤ−、流動乾燥による乾
燥等はこの場合に適当である。
【0018】又、本発明を実施するに当り、全工程を大
気中で行なうことができ、何の支障もない。本発明は石
炭への金属の硫酸塩、なかんずく鉄の硫酸塩の含浸方法
に特色があり、合成パイライト、天然の鉄の硫化物であ
る黄鉄鉱、白鉄鉱、磁硫鉄鉱などと比較した場合、微少
量の添加量にもかかわらず、実施例にも示すように、石
炭の液化反応にかかわる触媒の活性は、本発明による調
製触媒の方が著しく高い。
【0019】この理由の詳細は不明であるが、マイルド
な液化反応が進行しており、核水素化活性、水素化分解
活性に富み、多くのヘキサン可溶分油、軽質オイルが得
られる事実から考えると、石炭粒子の表面や細孔へ強酸
である金属の硫酸塩の高分散化および一部へのイオン吸
着などにより、例えば触媒の酸点の調節に有効な状態か
つ粒子の内外面を石炭液化に好ましい状態にできること
に由来するものではないかと推定される。
【0020】ちなみに天然の黄鉄鉱の200メッシュ以
下の粉砕物の表面積は0.1〜5m 2 /g、また合成パ
イライトは10〜50m2 /g程度であるが、本発明方
法で調製した触媒は表面積200m2 /g以上であり、
この触媒を使った石炭液化はそのいずれをも性能的に速
やかに越えるものである。また本発明の触媒による石炭
液化反応は、一般の鉄化合物を触媒とする時と異なり、
硫黄を別途添加する必要はない。以上のように予め石炭
に含浸せしめた触媒により、効率よく石炭液化を行なう
のが本発明の特徴であって、単に鉄化合物と硫黄を反応
系に触媒として供給する方法に比較して、格段に優れた
石炭の液化性能を示す。
【0021】本発明に言う石炭とは、無煙炭、瀝青炭、
亜瀝青炭、褐炭、泥炭等を言うが、瀝青炭、亜瀝青炭、
褐炭がより好ましい。石炭の加熱は300℃以上900
℃以下で行なわれる。温度が低いと液化速度が遅く、温
度が高いと炭化物やガスが増大するので、通常400℃
以上500℃以下が好ましい。液化時の水素は、予め、
十分水添した媒体油を用いれば特に必要ないが、通常は
純度の高いものが良い。反応時の水素の圧力は、10k
g/cm2以上で良いが、好ましくは100〜300k
g/cm2 が適当である。液化反応は石炭種、石炭の構
造、混合するスラリ−化媒体油等によって適当な圧力を
決めることが必要である。
【0022】本発明に言う液化反応の場合、媒体油の添
加の有無は問わないが、一般的には石炭に対して100
〜400Wt%添加する。使用する媒体油は石炭の液化
油又は液化油を水添した油が好ましいが、クレオソ−ト
油、アントラセン油、石油溜分等を単独で用いてもこれ
らの混合油であってもかまわない。媒体油の沸点は15
0〜600℃程度がよい。
【0023】液化反応の際の触媒量(Fe)はDAFベ
−スで0.01〜10Wt%のいずれでもよいが、望ま
しくは0.01〜0.5Wt%でよく、液化性能、コス
ト面からすれば0.025〜0.1Wt%がもっとも好
ましい。反応は、回分式又は流通式のいずれを問わな
い。なお、詳細は実施例1に示したが、本発明の触媒の
含浸炭を用いて液化反応を行なうと、常圧で沸点300
℃以下の軽質油分の取得量が増大し、アスファルテンお
よびプレアスファルテンは減少する。ガスの発生はほと
んど増えることはない。
【0024】以上のように予め極微量の触媒を高分散含
浸した石炭を用いて液化反応を行なうのが本発明の特徴
であつて、単に鉄化合物と硫黄を反応系に触媒として供
給する方法に比較して、格段に優れた石炭の液化性能を
示す。即ち、本発明は従来技術と比較して非常に簡単な
工程で、しかも高分散含浸後の固液分離、乾燥は、通常
の操作ができる。中でもスプレードライヤーによる乾
燥、流動乾燥は大量に処理できるので有利である。ま
た、極微少量の触媒でよく、石炭液化プロセスにおいて
使用触媒量を大幅に減少(通常の1/80〜1/20)
することができ、経済的効果をもたらす。更には、資源
の有効利用、廃棄触媒が極めて少ないことによる環境対
策ともなる。
【0025】なお、石炭の代りにアルミナやシリカに含
浸させた硫酸鉄を触媒とした場合の石炭液化性能は反応
中における分散が悪いためか、比較例3とほぼ同じレベ
ルであった。以下、実施例により本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるもの
ではない。
【0026】
【実施例】
【0027】
【実施例1及び比較例1〜3】硫酸第一鉄(7水塩)2
00gを60kgの水に溶解し、攪拌しながら太平洋炭
(DAF)40kgを添加して均一なスラリ−状とし、
3Hr滞留させた。次いで、回転円盤式スプレ−ドライ
ヤ−を入口空気温度250℃、出口ガス温度130℃、
熱風量7Nm3 /min、直径80mmφの回転円盤を
30000rpmの条件で運転し、先に調製したスラリ
−を20リットル/Hでフィ−ドし、乾燥した。以上よ
り製造した含浸炭が、本発明による触媒である。これを
A触媒とよぶ。
【0028】これに対して、米国80−2793号に示
される如くの製造方法に従い取得した固形分の収率は鉄
として理論収率の82%であった。この触媒をB触媒と
呼ぶ。この方法が従来方法に相当する製造方法である。
以上のようにして調製した触媒を用いて、石炭液化反応
実験を行なった。20kg/日の連続式反応装置を使用
した。運転条件は以下の通りである。
【0029】(1) 石炭:太平洋炭(100メッシュパ
ス) (2) 媒体油:脱晶アントラセン油 (3) スラリ−濃度:40Wt% (4) 触媒濃度:DAFベースの鉄含有量として0.1W
t%(ただし、比較例のB触媒及び鉱物パイライトは鉄
含有量として2Wt%) (5) 反応圧力:170kg/cm2 (6) 反応温度:450℃ なお比較例として本発明以外の代表的な鉄化合物につい
ての触媒量は、DAFベースの鉄含有量で2Wt%使用
した。ただし、含浸せず直接添加の硫酸第一鉄は、A触
媒と同様0.1Wt%とした。
【0030】図1において1、2、3および4はそれぞ
れ下記の触媒を用いた反応結果を示すものである。1.
本発明による調製触媒(A触媒)−実施例1,2.従来
方法による調製触媒(B触媒)−比較例1,3.鉱物パ
イライト−比較例2,4.FeSO4 +硫黄−比較例
3,上記3の鉱物パイライトとは、岡山県柵原鉱山産出
のパイライトを200メッシュ以下に粉砕したものであ
る。4.はA触媒と同一の硫酸鉄を含浸せずに直接添加
したものである。
【0031】図1の横軸は、ヘキサン可溶分油の全油に
対する重量分率であって、水添度合いを示す尺度と考え
ることができる。ここで全油とは、ヘキサン可溶分油と
アスファルテンおよびプレアスファルテンの総重量を言
う。また、縦軸は生成軽質油の仕込み無水無灰炭に対す
る重量分率を示し、水素化分解の度合いを示す尺度と見
なされる。ここで言う軽質油とは、ヘキサン等の炭素数
5以上の物質であって、かつ常圧の沸点300℃以下の
ものをいう。この図は液化が軽質化の方向に進と右上が
りとなり、結果的に触媒活性の尺度となり得る。
【0032】図1で明白なことは、1.の本発明による
調製触媒が他の触媒と比較して、水添度合いおよび水素
化分解度合いのいずれも著しく高く、優れた活性を示し
ていることである。しかも、4.の場合は無触媒に近く
高沸点のオイル成分が多くなっている。
【0033】
【実施例2〜3及び比較例4】実施例1と同様(ただ
し、1/1000のスケ−ル)、FeとしてDAFベ−
スで0.1%の硫酸第一鉄と硫酸コバルトを溶解した。
石炭を添加後一昼夜浸せきした。固液分離の後、送風乾
燥して二元系触媒含浸炭を得た(A−Co触媒と呼
ぶ)。
【0034】以上のようにして調製した触媒、触媒A及
び触媒Bを使用した石炭液化反応結果を示したのが表1
および図2である。A触媒を使用した場合を実施例2、
A−Co触媒を使用した場合を実施例3、B触媒を使用
した場合を比較例4とする。0.5リットルのオ−トク
レ−ブで活性の評価を行なった。石炭としては太平洋炭
を用い、水素仕込圧80kg/cm2 (反応温度での圧
力は125kg/cm 2 )、反応時間30分、反応温度
430℃で液化反応を行なった。
【0035】なお比較例として行った触媒Bについても
触媒量は、FeとしてDAFベ−スで2Wt%使用し
た。溶媒には脱晶アントラセン油を用い、無水無灰炭に
対し重量にして2倍量を加えた。
【0036】
【表1】
【0037】この結果から本発明の触媒は、430℃で
も従来の触媒であるB触媒よりも優れており、有機ガス
の発生量はそれほど、大きくない。NオイルおよびF−
1オイル等の軽質油の生成量が増し、アスファルテンお
よびプレアスファルテンが減少するという理想的な触媒
活性を本発明の調製触媒が示していることが分る。
【0038】
【発明の効果】本発明は(1)石炭に含浸した触媒の固
液分離性が非常によい、(2)高分散含浸であるため水
素化能と水素化分解活性の相乗的機能を持つ、(3)触
媒は極微少量の含浸で済むため、コスト低減に著しく有
効である等の活性の安定した、かつ高活性の触媒を容易
に製造することが可能となり、石炭液化反応において非
常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1〜3における石炭液化反
応の結果を示したグラフ図である。
【図2】石炭液化生成物組成について本発明による触媒
を用いた場合と他の触媒を用いた場合の石炭液化生成物
組成について比較を示したグラフ図である。
【符号の説明】
1.本発明による調製触媒(A触媒)−実施例1 2.従来方法による調製触媒(B触媒)−比較例1 3.鉱物パイライト−比較例2 4.FeSO4 +硫黄−比較例3 A.アスファルテンおよびプレアスファルテンであって
ヘキサン不溶分でかつTHF可溶分 BG. 副性ガス F-1.bp220〜300℃のオイル H.bp300℃以上でかつヘキサン可溶分 N.bp220℃以下のオイル OG.有機ガス S.有機物でかつTHF不溶物(未反応炭)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温および高圧において炭化水素油中で
    スラリ−化した石炭と水素を反応させ液化するに際し、
    予め、石炭粉末を金属の硫酸塩水溶液に浸して金属の硫
    酸塩を担持させ、分離して得られた触媒含浸炭を使用す
    ることを特徴とする石炭液化方法。
JP26404391A 1991-10-11 1991-10-11 触媒含浸炭を用いる石炭液化方法 Withdrawn JPH0598265A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008539285A (ja) * 2005-04-29 2008-11-13 エスセーエフ テクノロジーズ アクティーゼルスカブ 有機物質の変換の方法および装置

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