JPH0597890A - ペプチド誘導体およびその用途 - Google Patents
ペプチド誘導体およびその用途Info
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- JPH0597890A JPH0597890A JP3258094A JP25809491A JPH0597890A JP H0597890 A JPH0597890 A JP H0597890A JP 3258094 A JP3258094 A JP 3258094A JP 25809491 A JP25809491 A JP 25809491A JP H0597890 A JPH0597890 A JP H0597890A
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Abstract
体またはその薬理学上許容できる塩; 一般式(I) R−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg−X (式中Rは水素原子または炭素数2〜4の低級アシル基
を表わし、Xは炭素数1〜4の低級アルキルアミノ基ま
たは炭素数1〜4の低級ジアルキルアミノ基を表わ
す。)、及び、上記化合物及び薬理学上許容できる賦形
剤を含有してなる癌転移阻害剤。 【効果】 本発明のペプチド誘導体は細胞接着性蛋白質
であるラミニンのコア配列と比較して細胞接着性が大き
く、生体内で分解されにくいため、癌転移抑制作用等の
種々の生物活性を充分に保持し、また毒性の問題もほと
んどない。さらにその構造が単純であるため合成も容易
であり、医薬として価値の高いものである。
Description
ラミニンの活性部位配列ペプチド誘導体またはその薬学
上許容できる塩、および該化合物を含有する癌転移阻害
剤に関するものである。
チン等は細胞と結合組織との結合に関与し、また動物細
胞の細胞機能に関連した種々の生物活性を有する蛋白質
であり、細胞接着性蛋白質と総称される。例えばフィブ
ロネクチンは肝臓で生合成され、ヒト血漿中に約0.3 mg
/mlの濃度で存在する糖蛋白質である。
ローニングを用いて決定されており(Koarnblihtt, A.
R. et al., EMBO Journal, 4巻, 2519 (1985))、分子量
約250KのポリペプチドであるA鎖と約240KのB
鎖がC末端附近でジスルフィド結合した2量体蛋白質で
あることが明らかにされている。またラミニンについて
も佐々木ら(Sasaki, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA., 81 巻, 935(1987), Sasaki, M. et al., J. B
iol. Chem., 262巻, 17111 (1987))によりその1次構
造が決定されている。ラミニンはA、B1、B2とよば
れる3本のポリペプチド鎖から構成されており、十字架
状の構造をとっていることが知られている。
する結合部位の研究も行われ、フィブロネクチンの細胞
結合部のコア配列はArg−Gly−Asp(RGD)
なるトリペプチドであることが1984年に報告された(Pi
erschbacher, M.D. et al.,Nature 309巻, 30 (198
4))。またラミニンの細胞接着部位のコア配列はTyr
−Ile−Gly−Ser−Arg(YIGSR)で表
わされるペンタペプチドであることも解明されている
(Graf, J. et al., Cell 48 巻, 989 (1987))。
記コア配列を介して細胞のレセプターと結合することに
よりその情報を細胞に伝達しており、またヘパリン、コ
ラーゲン、フィブリン等の生体高分子とも結合して細胞
と結合組織との接着、細胞の分化、増殖に関与している
ものと考えられている。
活性を有するため、その活性部位配列ペプチドを用いた
研究が精力的になされている。例えばフィブロネクチン
の細胞結合部のコア配列の利用としては、ポリマーにR
GD配列を有するペプチドを共有結合させ、人工臓器用
基体や動物細胞培養用基体として用いる方法(特開平1-
309682号公報、特開平1-305960号公報)、RGD配列を
有するペプチドに疎水性領域を連結することにより目的
とするペプチドを固体表面に付着させ、歯科用埋め込み
剤や組織培養基体に利用する方法(WO 11297 A2特
許)、RGD配列を有する種々の環状及び鎖状オリゴペ
プチドを用いて血小板凝集を阻害する方法(高分子学会
予稿集第38巻、3149 (1989)、特開平2-174797号公
報)、RGD配列を有するペプチドを細胞移動制御剤と
して用いる方法(特開平2-4716号公報)、RGD配列を
有するペプチドを固定化したPMMA膜を細胞接着膜と
して用いる方法(高分子学会予稿集第37巻、705 (198
8))、RGDS配列を有するポリペプチドを体外血液用
血小板保護剤として用いる方法(特開昭64ー6217号公
報)等が開示されている。
係する生体分子としても注目されてきている。癌転移の
一連の段階では癌細胞は種々の宿主細胞や生体高分子と
接触する。このときフィブロネクチンやラミニンのよう
な細胞接着生分子が存在すると該細胞は多細胞塊を形成
し、癌細胞の増殖や生存がより容易になる。ところが、
たとえばフィブロネクチンの接着コア配列であるトリペ
プチドRGDが共存すると競争的に癌細胞上のレセプタ
ーと結合し、逆に癌転移阻害作用を示すことが報告され
ている(Science 238巻, 467 (1986))。
は細胞接着活性が充分でないため、その効果の増強をは
かる目的で該配列を有するオリゴペプチド、環状オリゴ
ペプチド、あるいはその繰返し配列を有するポリペプチ
ドを用いてガン転移を制御する方法(Int. J. Biol. Ma
cromol., 11巻, 23 (1989)、同誌, 11巻, 226 (1989)、
Jpn. J. Cancer Res., 60巻, 722, (1989)、特開平2-17
4798号公報)も試みられている。
ても検討が行われており、YIGSR配列を有するペプ
チド誘導体やYIGSR繰返し配列を有するオリゴ(ポ
リ)ペプチドを用いて細胞接着やガン転移を制御する方
法(WO88/06039号公報、米国特許出願87-13919、米国特
許出願88-221982、欧州特許出願第0278781号公告、特開
平2-174798号公報、特開平3-2196号公報、Iwamoto, I.
Science 238巻, 1132 (1987)、Graf, J. Biochemistry
26巻, 6896 (1987) 、Mayumi, T. et al., Biochem. Bi
ophys. Res. Commun., 174巻, 1159 (1991)、Mayumi,
T. et al., Peptide chemistry 145 (1991)、Tanaka,
N.G. et al., Cancer Res., 51巻, 903(1991))が開示
されている。これらはラミニンの細胞への接着を阻害す
ることによって活性を示すものと考えられている。
等の細胞接着性蛋白質の活性部位コア配列は様々な生物
活性を保持しているため、その応用価値は高いものと考
えられる。しかしながら該コア配列の生物活性は天然の
細胞接着性蛋白質に比べると充分ではなく、この点で更
に有効な物質の開発が必要とされていた。そのため従来
技術の項で説明したような種々の方法が報告されている
が、それらのなかには未だ生物活性が不充分であった
り、合成が困難なものも多い。またポリエチレングリコ
ール(PEG)をはじめとする高分子と該コア配列を連
結する方法や該コア配列を繰返すことにより高分子化す
る方法も知られているが、高分子医薬はその構造や分子
量を特定して合成することが極めて困難である。
様の活性を充分に保持しており、より簡便な手段で合成
可能な、低分子でかつ構造の確実なペプチド誘導体を提
供することにある。本発明はさらに癌転移阻害活性の高
いペプチド誘導体を提供することを目的とする。
してなる癌転移阻害剤の提供も目的とする。
表わされるペプチド誘導体を見出したことにより達成さ
れた。 一般式(I) R−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg−X ここでTyr、Ile、Gly、Ser、Argは、チ
ロシン、イソロイシン、グリシン、セリン、アルギニン
残基をそれぞれ表わす。これらのアミノ酸はD-体、L-
体、ラセミ体のいずれでもよいが、好ましくはL-体で
ある。
級アシル基を表わす。ただし炭素数が4の場合は分岐構
造を有していてもよい。好ましいアシル基としてはアセ
チル基、プロピオニル基、イソブチリル基が挙げられる
が、特に好ましいアシル基はアセチル基である。これ以
上に炭素数の多いアシル基はペプチドの水溶性を低下さ
せるため不適当である。
アミノ基または炭素数1〜4の低級ジアルキルアミノ基
のいずれかを表わす。炭素数1〜4の低級アルキルアミ
ノ基としてはメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピ
ルアミノ基等が挙げられるが、アルキル部分の炭素数が
3以上の場合は分岐構造を有していてもよい。好ましい
アルキルアミノ基はメチルアミノ基、イソプロピルアミ
ノ基であるが、なかでもメチルアミノ基が特に好まし
い。またXが炭素数1〜4の低級ジアルキルアミノ基で
ある場合、2つのアルキル基は同一でも異なっていても
よい。またアルキル部分の炭素数が3以上の場合は分岐
構造を有していてもよい。好ましいジアルキルアミノ基
はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピ
ルアミノ基であるが、なかでもジメチルアミノ基がより
好ましい。
イオン性基は適当な対イオンと塩を形成していてもよい
(分子内で塩を形成している状態を含む)。本発明のペ
プチド誘導体は、塩の状態でもその生物学的活性を充分
に維持する。ただしその塩は生理学的、薬理学的に許容
されるものであることが必要である。具体的には塩酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸との塩、
酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩等の有機酸との塩、さらにア
ンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウ
ム塩、カルシウム塩などが挙げられるが、なかでも塩酸
塩、酢酸塩、ナトリウム塩が特に好ましい。そのような
塩への変換は慣用手段により行うことができる。
本発明はこれらに限定されるものではない。 ペプチド1 CH3CO−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg
−N(CH3)2 ペプチド2 H−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg−N(C
H3)2 ペプチド3 CH3CO−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg
−NHCH3 ペプチド4 H−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg−NHC
H3 ペプチド5 C2H5CO−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg
−NHCH3 ペプチド6 i-C3H7−CO−Tyr−Ile−Gly−Ser−Ar
g−N(CH3)2 ペプチド7 CH3CO-Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg−NH
(i-C3H7)
する。ペプチドの合成方法は特に限定されないが、固相
法及び固相法を利用したペプチド自動合成装置による合
成法、または液相法が挙げられる。固相法及び固相法を
利用したペプチド自動合成装置による合成法に関して
は、生化学実験講座・タンパク質の化学IV p.207(日本
生化学会編、東京化学同人)、続生化学実験講座・タン
パク質の化学(下) p.641(日本生化学会編、東京化学
同人)等に記載されている。
って合成することも可能である。すなわちC末端成分で
ある保護アルギニンから出発し、C末端をアルキルアミ
ド、あるいはジアルキルアミドとして修飾したのちN末
端保護基を除去し、以下保護アミノ酸を逐次縮合する方
法である。またTyr−Ile−Gly残基とSer−
Arg残基の間でフラグメント縮合を行う方法も有効で
ある。保護アミノ酸あるいは保護ペプチドを縮合する方
法としては、公知の方法、例えば「ペプチド合成の基礎
と実験」(泉屋信夫等編、丸善)に記載の方法のなかか
ら適宜選択することができる。縮合反応には種々の方法
が知られているが、1ーヒドロキシベンゾトリアゾールと
ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いるDCC-Additive
法、あるいはカルボニルジイミダゾールを用いる縮合法
が最も良い結果を与えた。
に依存する。通常用いられる方法は、加水素分解、HF
処理、トリフルオロメタンスルホン酸/チオアニソール
/m-クレゾール混合系処理等であるが、保護基の種類に
よってはさらに様々な方法を使用することが可能である
ことは言うまでもない。目的とするペプチド誘導体は脱
保護ののち「ペプチド合成の基礎と実験」(前出、丸
善)等に記載の公知の方法、例えばイオン交換クロマト
グラフィーなどで精製することができる。
用途について説明する。本発明のペプチド誘導体はラミ
ニンの細胞接着部位のコア配列を有し、またC末端がア
ルキルアミド、あるいはジアルキルアミドとなっている
ため生体内でプロテアーゼ等による分解を受けにくく、
そのため顕著な癌転移阻害活性を示す。即ち、本発明の
ペプチド誘導体は、生体内で容易に分解されることなく
悪性細胞上のラミニン受容体に作用し、ラミニンへの結
合を阻害することにより悪性細胞の接着、コロニー化、
破壊的浸食を阻止する。本発明のペプチド誘導体は乳
癌、表皮癌、筋線メラノーマ(muscle line melanom
a)、表皮線神経芽細胞腫xグリオマ(epidermal line n
euroblastoma x glioma)、軟骨細胞、フィブロザルコ
ーマを含め種々の細胞の接着及び転移を阻止するのに有
効である。
作用、毛細血管内で起こる癌細胞による血小板凝集の抑
制作用等の広範な生物活性が認められている。また本発
明のペプチド誘導体はマウスを用いて毒性試験を行った
ところ、毒性は全く認められなかった。
ペプチド系医薬に一般に使用されている投与方法によっ
て使用することができ、通常賦形剤を含む薬物組成物と
して投与される。この薬物組成物はレミントンの薬科学
(Remington's Pharmaceutical Sciences, Merck, 16,
(1980))に開示されているように、知られているどのよ
うな方法で製造してもよい。賦形剤としては蒸留水、生
理食塩水、リン酸塩あるいは酢酸塩のような緩衝塩類を
含有する緩衝液、浸透圧調節剤としての塩化ナトリウム
やショ糖、若しくはアスコルビン酸の様な酸化防止剤、
または薬理学上許容し得るこれらの組合せがある。
種々の形態とすることができる。投与形態としては経
口、経鼻、非経口(静脈注射、皮下注射、腹腔内投与な
ど)等のなかから適宜選択することができる。例えば生
理食塩水に溶解して注射用製剤としてもよく、あるいは
0.1規定程度の酢酸緩衝液に溶解したのち凍結乾燥剤と
してもよい。またリポソーム中に内包したマイクロカプ
セル剤あるいはミクロスフェアー等の形態で利用するこ
とも可能である。
0.2 μg/kg(体重)から200 mg/kg(体重)の範囲であ
るが、患者の年齢、体重、症状、投与方法によって決定
されるものである。
明する。まずペプチド1の液相法による合成法について
詳細に説明するが、他の例示化合物も基本的に同様の方
法で合成を行った。ペプチド1の合成経路を以下に示
す。尚、保護基、試薬、溶媒等の表記には以下の記号を
使用した。
ール (3.02 g, 0.02 mol) のDMF (10 ml) 及び塩化メチ
レン (10 ml) 溶液を氷冷し、これにDCC (4.3 g, 0.02
mol)を加えた。反応混合物を氷冷下1時間、更に室温ま
で昇温しながら10時間撹拌した後セライト濾過して沈
殿を除去した。濾液を適当量の酢酸エチルで希釈し、
水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
たのち減圧濃縮して粗p-ニトロフェニルエステルを得
た。このものをTHF (50 ml) に溶解し、40 % ジメチル
アミン溶液 (3 ml) を加えて反応混合物を室温で18時
間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣をエーテルから
結晶化させて目的とする中間体1を淡黄色粉末として8.
5 g (収率74%) 得た。 FAB-MS: (M+H)+ 484, (M+Na)+ 506
液にトリフルオロ酢酸 (30 ml) を加え、反応混合物を
室温で40分間撹拌した。反応終了後溶媒を留去し、残
渣をエーテルから結晶化させてトリフルオロ酢酸塩7.5
gを得た。得られたトリフルオロ酢酸塩とBoc-Ser(Bn)-O
H (4.7 g, 16 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
(2.4 g, 16 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン (2.2
g, 17 mmol)をDMF (10 ml) 及び塩化メチレン (10 ml)
の混合溶媒に溶解し、氷冷しながらDCC (3.3 g, 16 mmo
l) を加えた。反応混合物を氷冷下1時間、更に室温ま
で昇温しながら終夜撹拌した後、セライト濾過して沈殿
を除去した。濾液を適当量の酢酸エチルで希釈し、水、
5 % 炭酸ナトリウム溶液、1 M クエン酸溶液、飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥したのち減圧濃
縮して油状物を得た。このものをエーテルから結晶化さ
せたのち乾燥し、中間体2を無色粉末として7.5 g (収
率66 %)得た。 FAB-MS: (M+H)+ 661
溶液にトリフルオロ酢酸 (20 ml) を加え、反応混合物
を室温で1時間撹拌した。反応終了後溶媒を留去し、残
渣をエーテルから結晶化させて中間体3を無色粉末とし
て4.75 g得た。
ロミド (16.9 g, 78mmol) の酢酸エチル (120 ml) 溶液
にジイソプロピルエチルアミン (10.1 g, 78mmol) を加
え、反応混合物を6時間加熱還流した。室温まで放冷し
た後セライト濾過して精製した塩を除き、濾液を水、飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥したのち
減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーで精製(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)し、
中間体4を淡黄色結晶として17.3 g (収率86 %)得た。 FAB-MS: M+ 310
l) 溶液にトリフルオロ酢酸 (100 ml) を加え、反応混
合物を室温で40分間撹拌した。反応終了後溶媒を留去
し、残渣をエーテルから結晶化させてトリフルオロ酢酸
塩14.32 gを得た。
(11.6 g, 50 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
(7.66 g, 50 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン (7.
1 g,55 mmol) をDMF (60 ml) 及び塩化メチレン (60 m
l)の混合溶媒に溶解し、氷冷しながらDCC (10.3 g, 50
mmol) を加えた。反応混合物を氷冷下1時間、更に室温
まで昇温しながら終夜撹拌した後、セライト濾過して沈
殿を除去した。濾液を適当量の酢酸エチルで希釈し、
水、5 % 炭酸ナトリウム溶液、1M クエン酸溶液、飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥したのち減
圧濃縮して固形物を得た。このものをヘキサン/酢酸エ
チル(1/1)から再結晶し、中間体5を無色結晶として1
5.3 g (収率76 %)得た。 FAB-MS: (M+H)+ 424
溶液にトリフルオロ酢酸(100 ml) を加え、反応混合物
を室温で1時間撹拌した。反応終了後溶媒を留去し、残
渣をエーテルから結晶化させてトリフルオロ酢酸塩12.1
gを得た。
n)-OH (11.5 g, 31 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリア
ゾール (4.75 g, 31 mmol)、ジイソプロピルエチルアミ
ン(4.13 g, 32 mmol)をDMF (60 ml) 及び塩化メチレン
(60 ml)の混合溶媒に溶解し、氷冷しながらDCC (6.4 g,
31 mmol) を加えた。反応混合物を氷冷下2時間、更に
室温まで昇温しながら終夜撹拌した後、セライト濾過し
て沈殿を除去した。濾液を適当量の酢酸エチルで希釈
し、水、5 % 炭酸ナトリウム溶液、1 M クエン酸溶液、
飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥したの
ち減圧濃縮して固形物を得た。このものをヘキサン/酢
酸エチル(約1/2)から再結晶し、中間体6を無色結晶
として17.1g (収率86.3 %)得た。 FAB-MS: (M+H)+ 677
溶液に氷冷しながら亜鉛末 (12.9 g, 0.23 mol)を加
え、反応混合物を氷冷しながら30分間撹拌した。セラ
イト濾過して不溶物を除き、濾液を減圧濃縮した。残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(溶出
液:クロロホルム/メタノール=10/1)し、中間体7を無
色結晶として10.8 g (収率85.1 %)得た。 FAB-MS: (M+H)+ 542, (M+Na)+ 564
9 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール (760 mg,
4.9 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン (650mg, 5 mm
ol) をDMF (10 ml) 及び塩化メチレン (10 ml)の混合溶
媒に溶解し、氷冷しながらDCC (1.02 g, 4.9 mmol) を
加えた。反応混合物を氷冷下2時間、更に室温まで昇温
しながら20時間撹拌した後、セライト濾過して沈殿を
除去した。濾液を適当量の酢酸エチルで希釈し、水、5
% 炭酸ナトリウム溶液、1 M クエン酸溶液、飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥したのち減圧濃縮
した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精
製(溶出液:クロロホルム/メタノール=40/1)し、中間
体8を無色粉末として4.1 g (収率76.3 %)得た。 FAB-MS: (M+H)+ 1084.
溶液にトリフルオロ酢酸 (10 ml) を加え、反応混合物
を室温で1時間撹拌した。反応終了後溶媒を留去し、残
渣をエーテルから結晶化させてトリフルオロ酢酸塩を無
色粉末として得た。
ピルエチルアミン (430 mg, 3.3 mmol) を塩化メチレン
(10 ml)に溶解し、氷冷しながら無水酢酸 (200 mg, 2
mmol) を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌のの
ち、溶媒を減圧下留去した。残渣にエーテルを加えて結
晶化させ、中間体9を無色粉末として1.13 g (定量的)
得た。 FAB-MS: (M+H)+ 1026
ml) 溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸 (12 g)、
チオアニソール (10 ml)、m-クレゾール (8.7ml)、トリ
フルオロ酢酸 (45 ml) からなる混合溶液を氷冷しなが
ら加え、反応混合物を氷冷下1時間撹拌した。反応液を
エーテル (1000 ml) に滴下して30分間ゆっくり撹拌
したのち、沈殿した粗ペプチドを少量の水にとかしイオ
ン交換クロマトグラフィー(アンバーライトIRA-93ZU)
にかけて精製し、凍結乾燥して目的とするペプチド1を
無色粉末として540 mg (収率74 %)得た。 FAB-MS: (M+Na)+ 686.
ルオロメタンスルホン酸/チオアニソール/m-クレゾー
ル混合系処理により脱保護し、イオン交換クロマトグラ
フィー(アンバーライトIRA-93ZU)にかけて精製し、凍
結乾燥して目的とするペプチド2を無色粉末として680
mg得た。 FAB-MS: (M+Na)+ 644.
アミド、ジアルキルアミドを合成し、以下同様にペプチ
ド鎖を伸張した。ペプチド3、5、6、7についてはN
末端Boc基を除去した後、相当する酸無水物または酸塩
化物と反応させることによりN末端をアシル化した。脱
保護の後、精製して目的とするペプチド3から7を無色
粉末としてそれぞれ得た。各ペプチドの収量と質量スペ
クトルを以下に示す。 ペプチド3 収量480 mg, FAB-MS: (M+Na)+ 672 ペプチド4 収量340 mg, FAB-MS: (M+Na)+ 630, (M+H)+ 608 ペプチド5 収量260 mg, FAB-MS: (M+Na)+ 686 ペプチド6 収量590 mg, FAB-MS: (M+H)+ 692 ペプチド7 収量410 mg, FAB-MS: (M+Na)+ 742. 尚、比較例として、特開平3-2196号公報に記載の下記ペ
プチドも同様の方法により合成した。これをペプチド8
とする。 ペプチド8 CH3CO−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg
−NH2
的肺転移モデル系により検討した。本発明のペプチド1
〜7、比較例としてペプチド8、Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg
及びTyr-Ile-Gly-Ser-Arg-NH2を用いた。これらのペプ
チド各々1000μgと非常に転移性の強い癌細胞であるB16
-BL6メラノーマ細胞(対数増殖期のもの5 x 104)をそれ
ぞれPBS中で混合し、その0.2 mlを1群5匹のC57BL/6の
雄マウスに尾静脈注射した。投与後14日目にマウスを
屠殺、解剖し、肺に転移した癌のコロニー数を計測して
対照のPBS投与群と比較した。その結果を下記表に示
す。
プチド1〜7の投与により肺への癌転移は顕著に抑制さ
れた。なかでも本発明のペプチド1、2、3、5、7は
特に効果が顕著であり、これらは公知のペプチド8と比
較して少なくとも2倍有効であることを示している。こ
れに対しコア配列であるTyr-Ile-Gly-Ser-Argのみでは
このような転移の抑制効果は見られないことがわかる。
て説明したが、これらに限定して解釈されるべきではな
く、本発明の本質及び範囲から逸脱しない種々の変更が
可能であることは明らかであり、そのような変更は本発
明に含まれるものである。
導体は細胞接着性蛋白質であるラミニンのコア配列と比
較して細胞接着性が大きく、生体内で分解されにくいた
め、癌転移抑制作用等の種々の生物活性を充分に保持
し、また毒性の問題もほとんど無い。さらにその構造が
単純であるため合成も容易であり、医薬として価値の高
いものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされるペプチド
誘導体またはその薬理学上許容できる塩。 一般式(I) R−Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg−X (式中Rは水素原子または炭素数2〜4の低級アシル基
を表わし、Xは炭素数1〜4の低級アルキルアミノ基ま
たは炭素数1〜4の低級ジアルキルアミノ基を表わ
す。) - 【請求項2】 有効成分としての特許請求の範囲第1項
に記載のペプチド誘導体またはその薬理学上許容できる
塩及び薬理学上許容できる賦形剤を含有してなる癌転移
阻害剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3258094A JPH0597890A (ja) | 1991-10-04 | 1991-10-04 | ペプチド誘導体およびその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3258094A JPH0597890A (ja) | 1991-10-04 | 1991-10-04 | ペプチド誘導体およびその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0597890A true JPH0597890A (ja) | 1993-04-20 |
Family
ID=17315430
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3258094A Pending JPH0597890A (ja) | 1991-10-04 | 1991-10-04 | ペプチド誘導体およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0597890A (ja) |
-
1991
- 1991-10-04 JP JP3258094A patent/JPH0597890A/ja active Pending
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