JPH0597476A - 熱処理可能な断熱ガラスおよびその製法 - Google Patents

熱処理可能な断熱ガラスおよびその製法

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JPH0597476A
JPH0597476A JP26392891A JP26392891A JPH0597476A JP H0597476 A JPH0597476 A JP H0597476A JP 26392891 A JP26392891 A JP 26392891A JP 26392891 A JP26392891 A JP 26392891A JP H0597476 A JPH0597476 A JP H0597476A
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film
heat
glass
thin film
layer
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JP26392891A
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Inventor
Masaya Takayama
昌也 高山
Nobuyuki Takeuchi
伸行 竹内
Yoshio Asai
祥生 浅井
Toshiaki Ito
俊明 伊藤
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】少なくとも一方のガラス基板表面に、該表面側
から第1層或いは中間層として、膜厚が5〜50nmの
窒化チタニウム薄膜を被覆し、かつ最外側表層として、
膜厚が10〜50nmの炭化珪素または炭化チタンを主
成分とする窒素酸化物薄膜を少なくとも被覆して積層成
膜した多層膜から成る熱処理可能な断熱ガラス。ならび
に前記多層膜を積層成膜後、ことに空気中等で焼き入れ
処理あるいは/ならびに加熱曲げ成形加工して成る曲げ
断熱ガラスおよびその製法。 【効果】例え空気中であっても焼き入れ処理あるいは/
ならびに加熱曲げ成形加工前後において、可視光透過
率、日射透過率あるいは色調等の光学特性ならびに耐久
性等の変化を格段に低減でき、透視性や色調に違和感が
なく、充分断熱性能を保持して使用でき、ことに建築用
はもちろん自動車用等に有用なものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、太陽放射エネルギーを
効果的に遮蔽する熱線反射性能を有し、建築用もしくは
自動車用として有用な、熱処理可能な断熱ガラスおよび
その製法に関し、特に成膜後、焼き入れ処理あるいは/
ならびに加熱曲げ成形加工を施した際、その断熱性能、
色調ならびに透視性等の光学特性をほぼ保持し得る断熱
ガラスおよびその製法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、建築用や車両用窓ガラス等におい
て、断熱性能を有する、種々の形状、大きさ等の曲げガ
ラスや強化ガラスが、そのデザイン上や安全性等に優
れ、よりよい社会環境を得ることができることならび
に、冷房等をより効果的に実施し、よりよい居住性を得
ることができること等から急速に増加し、その採用する
頻度が高くなってきている。
【0003】一方、断熱ガラスとしては、その色調、熱
的特性からSUS、Cr、Ti、NiCrの金属膜、窒
化膜が量産性およびコスト等の点で、熱線反射機能膜と
して実用化されており、これらの膜を曲げガラスや強化
ガラスに使用する場合は、予め曲げ成形あるいは強化処
理したガラスにこれらの熱線反射機能膜をスパッタで成
膜することによって得ているものであったものの、曲げ
成形ガラスあるいは強化ガラスを予め準備し、しかる後
成膜することのため、製造時の日程などの点で工程のロ
ス、ならびに成膜時における作業性の困難さおよび膜厚
の不均一等の膜欠陥の発現など品質低下等が大きく、し
たがって前もって膜付き平面状断熱ガラスを通常品とし
て在庫しておき、必要に応じて所定の形状に切断加工し
た後、熱的強化処理や加熱曲げ成形加工をするようにで
きる製造方法ならびに製品が望まれている。
【0004】しかしながら、従来の成膜構成では熱的強
化処理あるいは加熱曲げ成形加工時に、膜が例えば雰囲
気中の酸素と反応して酸化するため、酸化物となるとと
もに透過性が高くなり、色調が変化し、断熱性が大幅に
低下するという欠点があり、ことにDC反応性スパッタ
法によって成膜し、該膜付きガラス基板を熱的強化ある
いは加熱曲げ成形することができたとしても、安定して
確実にかつ高品位に、例えば前記処理あるいは加工前後
での可視光透過率の変化が常に10%程度以内であるも
のに成し得ることは困難なものであった。
【0005】例えば特開平2ー55246号公報には、
透明なガラス基板の上に炭化珪素からなる膜が被覆さ
れ、さらに該炭化珪素膜の上に透明誘電体からなる膜が
被覆された、高耐久性であるという熱線遮へいガラス、
および炭化珪素のターゲットを用いて減圧された不活性
ガス中での直流スパッタリング、なかでもグロー放電を
生起させるスパッタリングによりガラス基板上に炭化珪
素を被覆し、それに引き続き金属ターゲットを用いる減
圧された酸素を含む不活性ガス中での直流スパッタリン
グあるいは、金属酸化物ターゲットを用いる減圧された
不活性ガスまたは酸素を含む不活性ガス中での直流スパ
ッタリングにより、該炭化珪素膜の上に透明誘電体膜を
被覆する熱線遮へいガラスの製造方法が記載されてい
る。
【0006】該公報には、さらに該透明誘電体膜が酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タ
ンタル、酸化インジウムあるいは酸化ビスマスの群から
選ばれた1つの金属酸化物もしくは、少なくとも2つ以
上から選ばれた混合された金属酸化物であって、膜厚が
8nm以上20nm以下であり、また曲げ加工もしくは
強化処理を実施するに先立ち、該炭化珪素および該透明
誘電体膜をこの順序でガラス基板に被覆する方法、なら
びにガラス基板に被覆する被膜の組成を化学量論組成よ
りも酸素不足の状態に安定してできかつ、かかる被膜は
その後の曲げまたは強化の加工工程で、炭化珪素の酸化
防止層として有効であるというようなこと等が開示され
ている。
【0007】また、特開平2ー157141号公報に
は、透明なガラス基体の一方の表面に、膜厚が10〜3
0nmの酸化チタニウムである第1層と、前記第1層の
上に0.85≦x≦1.1、0≦y≦0.25のSiC
xOyで示される組成の、膜厚が35〜70nmである
炭化珪素または炭化珪素を主成分とする第2層が被覆さ
れた熱線遮へいガラスが記載されており、熱的な曲げ加
工または強化加工が施されるに先立ち、上述した2層の
膜を被覆されていること、ならびに光の干渉によりガラ
ス面の反射色調が金色を呈し、前記酸化チタニウム膜は
前記炭化珪素または炭化珪素を主成分とする膜とガラス
基体との密着性を向上し、炭化珪素が本来有する高温に
おける耐酸化性と相いまって、高温加熱処理に対して被
膜の熱線遮へい機能の低下を小さくするというものであ
る等が開示され知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】前述したように、例
えば特開平2ー55246号公報に記載の高耐久性熱線
遮へいガラスおよびその製造方法では、熱線反射機能を
有するSiC膜が色調や透過率の点から40nm〜15
0nmの厚みがよいとされ比較的厚く、充分な断熱性能
を付与しようとすればある程度厚い膜厚が必要である
等、必ずしも高効率であるとは言い難く、また成膜後の
曲げ加工もしくは強化処理時において、SiC膜に対す
る酸化防止のための保護膜として働くとされる、酸化チ
タンや化学量論組成よりも酸素不足の状態にある酸化錫
を含む酸化インジウム等の透明誘電体膜を被覆すること
で、曲げ加工もしくは強化処理前後の断熱機能等の光学
特性の変化を抑制しようとしても、これら前記透明誘電
体膜では格段に優れたものとは必ずしも言い難く、まだ
まだ充分とは言えないものである。
【0009】また例えば、特開平2ー157141号公
報に記載の反射色が金色の熱線遮へいガラスでは、密着
性を向上しょうとする酸化チタニウム膜の上に、保護膜
というより熱線遮へい機能を有するSiCxOy膜を被
覆することとなり、該膜のxとyの両者を特定値に制
御、ことにy値を0.25以下になるように制御するこ
とが必要であって、y値が0.25より多くなると該膜
中に熱線遮へい機能を有しないSiO2 成分が多くなる
等が発現し易く、成膜後の前記処理加工での高温におけ
る耐酸化性ならびに耐久性にはなお不安が残り、前記処
理あるいは加工前後でのその光学特性、例えば可視光透
過率の変化が常に10%程度以内であるものとは成り難
いものである。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明は、従来のかか
る問題点に鑑みてなしたものであって、熱線遮蔽機能を
有する、特定膜厚のTiN薄膜に、高温での耐酸化性を
有して膜中の酸素量に左右されない、しかも耐熱性、耐
久性、耐摩耗性等を兼ね具える、特定膜厚のSiCNx
OyあるいはSiCOxNy薄膜、TiCNxOyある
いはTiCOxNy薄膜を被覆することにより、該多層
膜付きガラス板を空気中ではもちろん各種条件でもっ
て、熱的強化処理などの焼き入れ処理もしくは加熱曲げ
成形加工することができるようにしたことにより、大面
積ガラス板に長時間安定して効率よく成膜することがで
き、かつ前記処理加工前後における可視光透過率の変化
が常に10%程度以内である変化ならびに色調の変化が
安定確実に少なくなり、かつ断熱性の変化が格段に低減
し、その光学特性の変化ならびに耐久性、耐摩耗性の変
化等が取るに足らない程度のものであって、しかも高作
業性、高効率ならびに高品位となる熱処理可能な断熱ガ
ラスおよびその製法を提供するものである。
【0011】すなわち、本発明は、少なくとも一方のガ
ラス基板表面に、ガラス面側から第1層あるいは中間層
として、膜厚が5〜50nmの窒化チタニウム薄膜を被
覆し、かつ最外側表層として、膜厚が10〜50nmの
炭化珪素または炭化チタンを主成分とする窒素酸化物薄
膜を少なくとも被覆して積層成膜した多層膜から成るこ
とを特徴とする断熱ガラス。ならびに前記断熱ガラス
が、前記多層膜を積層成膜した後、焼き入れ処理あるい
は/ならびに熱的曲げ成形加工して成ることを特徴とす
る上述した断熱ガラス。
【0012】また、前記積層成膜した多層膜が、前記第
1層である前記窒化チタニウム薄膜と前記最外側表層で
ある前記炭化珪素または炭化チタンを主成分とする窒素
酸化物薄膜との間に、中間層として、酸化チタン、酸化
タンタル、酸化スズあるいは酸化ジルコニウムの群から
選ばれた薄膜を、少なくとも1層施し成膜して成ること
を特徴とする上述した断熱ガラス。
【0013】さらに、前記積層成膜した多層膜が、ガラ
ス面側から下地材として第1層に、膜厚が5〜30nm
の炭化珪素または炭化チタンを主成分とする窒素酸化物
薄膜を被膜し、該被膜上に前記中間層である窒化チタニ
ウム薄膜と前記最外側表層である前記炭化珪素または炭
化チタンを主成分とする窒素酸化物薄膜とを順次積層成
膜して成る多層膜としたことを特徴とする上述した断熱
ガラス。
【0014】さらにまた、少なくとも一方のガラス基板
表面に、ガラス面側から第1層あるいは中間層として、
膜厚が5〜50nmの窒化チタニウム薄膜を被覆し、か
つ最外側表層として、膜厚が10〜50nmの炭化珪素
または炭化チタンを主成分とする窒素酸化物薄膜を少な
くとも被覆して多層膜を積層成膜した後、焼き入れ処理
あるいは/ならびに加熱曲げ成形加工するに当たり、5
50〜680°Cの温度範囲において該処理あるいは/
ならびに加工を行うことを特徴とする断熱ガラスの製
法。ならびに前記焼き入れ処理あるいは/ならびに加熱
曲げ成形加工後、該処理あるいは/ならびに加工前後に
おける、前記断熱ガラスの可視光透過率の変化が10%
以内となる前記処理あるいは/ならびに加工であること
を特徴とする上述した断熱ガラスの製法をそれぞれ提供
するものである。
【0015】ここで、前記したように、ガラス面側から
第1層または中間層として、膜厚が5〜50nmの窒化
チタニウム薄膜を被覆することとしたのは、該窒化チタ
ニウム薄膜が耐薬品性や耐摩耗性等において金属薄膜よ
り比較的優れかつ熱線遮蔽機能を有するものであるこ
と、しかも第1層または中間層として用いることでその
性能を種々の条件においてもより不変とすることがで
き、膜厚については膜厚が5nm未満であると膜が島状
現象を発現し、充分な断熱性能を発揮し難くなり、50
nmを超えると可視光透過率が例えば10%程度以下と
なり、ガラス基板の有する本来の透視性が得られないた
めであって、5〜50nmの範囲内での膜厚は色調、可
視光透過率、断熱性等の観点から決定され、好ましい膜
厚は10〜45nm程度である。
【0016】また、前記最外側表層として、膜厚が10
〜50nmの炭化珪素または炭化チタンを主成分とする
窒素酸化物薄膜を少なくとも被覆して積層成膜した多層
膜から成るものとしたのは、該炭化珪素または炭化チタ
ンを主成分とする窒素酸化物薄膜が酸化物薄膜、例えば
TiOx薄膜などよりバリヤー効果に優れ、かつ耐薬品
性、耐摩耗性、耐久性および耐熱性である等保護膜とし
てその機能を充分に発現するものであって、ことに最外
側表層として最適なものであり、膜厚については膜厚が
10nm未満であると膜が島状現象を発現し易くなっ
て、前記TiN薄膜が酸化されるのを確実に防止できな
くなり、膜厚が50nmを超えると膜の内部応力が高く
なり易くなって、ことに高温熱処理時にクラックが発現
し易くなる可能性があり、いずれも保護膜として充分機
能しない場合があるためであって、前記特異性、透視
性、断熱性、量産性等から好ましい膜厚は15〜30n
m程度である。
【0017】さらに、前記多層膜を積層成膜した後、焼
き入れ処理あるいは/ならびに加熱曲げ成形加工して成
ることとしたのは、上述した該多層膜は該処理加工後に
おいても、該処理加工前と可視光透過率および可視光反
射率、色調等の光学特性が大きくは変化しないものに成
し得たためであって、通常在庫している該多層膜被覆ガ
ラス平板を必要に応じて切断加工し、適宜熱的強化処理
や加熱曲げ成形加工ができ、少量多品種であっても高効
率、高経済性、高品位とできるためである。なお、前記
焼き入れ処理あるいは/ならびに加熱曲げ成形加工をせ
ずに、上述した本発明の断熱ガラスは使用しても、その
特性がそのまま生かされることは言うまでもない。
【0018】さらにまた、前記第1層である前記窒化チ
タニウム薄膜と前記最外側表層である前記炭化珪素また
は炭化チタンを主成分とする窒素酸化物薄膜との間に、
中間層として酸化チタン、酸化タンタル、酸化スズある
いは酸化ジルコニウムの群から選ばれた薄膜を、少なく
とも1層施し成膜して成るものとしたのは、これら酸化
チタン等の薄膜は、前記炭化珪素または炭化チタンを主
成分とする窒素酸化物薄膜ほどに充分とはいえないまで
もある程度耐酸化性を有したものであって、前記最外側
表層である前記炭化珪素または炭化チタンを主成分とす
る窒素酸化物薄膜との馴染み性を向上させることができ
るとともに、前記窒化チタニウム薄膜とも馴染み性があ
るものであって好ましいからである。
【0019】さらにまた、前記ガラス面側から下地材と
して第1層に、膜厚が5〜30nmの炭化珪素または炭
化チタンを主成分とする窒素酸化物薄膜を被膜し、該被
膜上に前記中間層である窒化チタニウム薄膜と前記最外
側表層である前記炭化珪素または炭化チタンを主成分と
する窒素酸化物薄膜とを順次積層成膜して成る多層膜と
したものとしたのは、該下地材よって、ガラス表面に水
分あるいは酸素が吸着した際、高温熱的処理加工時にお
ける、該水分あるいは酸素による前記中間層である窒化
チタニウム薄膜の酸化の度合いを少なくすることができ
るためである。
【0020】また、前記多層膜を積層成膜した後、焼き
入れ処理あるいは/ならびに加熱曲げ成形加工するに当
たり、550〜680°Cの温度範囲において該処理あ
るいは/ならびに加工を行うこととしたのは、この温度
範囲であれば、前記炭化珪素または炭化チタンを主成分
とする窒素酸化物薄膜が酸化防止の保護膜として充分そ
の機能を発揮できるためである。好ましい温度範囲は5
80〜650°Cである。
【0021】さらに、前記処理あるいは/ならびに加工
前後における、前記断熱ガラスの可視光透過率の変化が
10%以内となる前記処理あるいは/ならびに加工であ
ることとしたのは、高温熱処理加工後における、色調や
断熱性等の変化が充分小さく、熱処理加工前の断熱ガラ
スと比べて遜色なく、例えば高温熱処理加工したものと
熱処理加工前のものとを、同一建物面になんらの支障な
く使用できる等を奏するものとなるからである。
【0022】さらにまた、前記ガラス基板としては、所
謂無機質の透明板ガラスはもちろん、着色ガラスであっ
てもよく、その種類あるいは色調、形状等に特に限定さ
れるものではなく、さらに曲げ板ガラスとしてはもちろ
ん、各種強化ガラスや強度アップガラス、平板や単板で
使用できるとともに、複層ガラスあるいは合せガラスと
しても使用できることは言うまでもない。
【0023】
【作用】前述したとおり、本発明の断熱ガラスおよびそ
の製法は、ガラス基板上に、熱線反射機能を有する、特
定膜厚の窒化チタニウム薄膜を少なくとも1層施し、こ
とに高温熱処理加工時に、該窒化チタニウム薄膜の酸化
が発現し易いのに対し、特に優れた耐酸化防止性を発揮
するとともに、耐薬品性、耐摩耗性、耐久性ならびに耐
熱性等を有する、特定膜厚の炭化珪素または炭化チタン
を主成分とする窒素酸化物薄膜でもって保護することに
よって、焼き入れ処理あるいは/ならびに加熱曲げ成形
加工した時またはその後においても、これら製造工程中
において、例えば破損または破壊等の恐れがなく、こと
にまた量産性に優れたものであり、例えば空気中で高温
熱処理加工を実施しても、その後における透視性、断熱
性あるいは色調等の光学特性はもちろん、耐久性等にお
いてもその変化が格段に少ないものとなる、有用な熱処
理可能な断熱ガラス及びその製法を提供するものであ
る。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0025】実施例1 大きさ300mm×300mm、厚さ6mmのフロート
ガラス板(FL6)を中性洗剤、水すすぎ、アルコール
で順次洗浄し、乾燥した後、DCマグネトロンスパッタ
リング装置の真空槽内にセットしてあるTi、SiCタ
ーゲットに対向して上方を往復できるようセットし、次
に前記槽内を真空ポンプで約4×10-6Torrまでに
脱気した後、該真空槽内に窒素ガスを導入して、真空度
を約2×10-3Torrに保持し、前記Tiターゲット
に約1.0kwの電力を印加し、前記混合ガスによるD
Cマグネトロンスパッタの中を、前記Tiターゲット上
方においてスピード約268mm/ minで前記ガラス
板を搬送することによって、約10nmのTiNx薄膜
を成膜した。成膜が完了した後、前記Tiターゲットへ
の印加を停止した。
【0026】次いで、前記槽内を真空ポンプで約4×1
-6Torrまでに脱気した後、該真空槽内に窒素と酸
素の混合ガスをその流量比がO2 /N2 +O2 =0.0
5となるようにして導入し、真空度を約2×10-3To
rrに保持し、前記SiCターゲットに約1.0kwの
電力を印加し、前記混合ガスによるDCマグネトロンス
パッタの中を、前記SiCターゲット上方においてスピ
ード約153mm/ minで前記ガラス板を搬送するこ
とによって、約50nmのSiCNxOy薄膜を第2層
目として表1に示すように成膜した。結果を表2に示
す。
【0027】得られた2層積層膜の光学特性を日立製作
所製340型自記分光光度計で測定後、加熱炉に挿入
し、常温から約600度まで約1時間で昇温後、約60
0度で約10分間保持するとともに曲げ成形加工してか
ら、その後自然放冷した。加熱曲げ成形加工後の光学特
性を前記と同様に測定した。
【0028】得られた曲げ断熱ガラスにおける加熱曲げ
成形加工前後の光学特性は、表2に示すように、殆ど変
化がなく極めて優れたものであった。実施例2〜8 表1に示すような特定混合ガス、印加電力およびガラス
板の搬送スピードであって、表1に示す所定の膜厚の各
薄膜を実施例1と同様の条件および操作で行い、表2に
示す膜構成の多層積層膜をガラス基板上に形成した。そ
の後実施例1と同様に加熱曲げ成形前後の光学特性の変
化を測定した。
【0029】得られた曲げ断熱ガラスは、表2に示すよ
うに、光学特性の変化が実施例1と同様に少なく、例え
ば可視光透過率においても、その変化は各々10%以内
となる等、各種の特性においてもその変化が格段に少な
く、色調等に違和感が見られないものであった。
【0030】比較例1〜4 表1、3に示すように、実施例と同様に成膜し、加熱曲
げ成形加工前後での比較を行うも、該加工前後におい
て、酸化反応等によると推定される、可視光透過率、透
過色調等の変化が大きく、これら該前後での光学的違和
感が大きいものを同時に使用することは困難であり、断
熱性能も該加工後はないものであるといっても過言では
ないものとなっている等、明らかに本発明の曲げ断熱ガ
ラスより劣るものであった。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】以上前述したように、本発明はことに特
定の膜厚の窒化チタニウム薄膜を第1層あるいは中間層
薄膜として少なくとも成膜し、かつ最外側表層として特
定膜厚の炭化珪素または炭化チタンを主成分とする窒素
酸化物薄膜を少なくとも積層成膜して成る、多層膜を効
率よく巧みにガラス基板表面に被覆するものとすること
により、ことに該積層成膜後、空気中で加熱曲げ成形加
工を施すことによっても、その前後における可視光透過
率、日射透過率あるいは色調等の光学特性ならびに耐久
性などの変化を格段に低減せめることができ、透視性や
色調に違和感がなく、かつ断熱性能を保持したものとな
り、建築用もしくは自動車用等として有用な、熱処理可
能な断熱ガラスおよびその製法を提供するものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方のガラス基板表面に、ガ
    ラス面側から第1層あるいは中間層として、膜厚が5〜
    50nmの窒化チタニウム薄膜を被覆し、かつ最外側表
    層として、膜厚が10〜50nmの炭化珪素または炭化
    チタンを主成分とする窒素酸化物薄膜を少なくとも被覆
    して積層成膜した多層膜から成ることを特徴とする断熱
    ガラス。
  2. 【請求項2】 前記断熱ガラスが、前記多層膜を積層成
    膜した後、焼き入れ処理あるいは/ならびに熱的曲げ成
    形加工して成ることを特徴とする請求項1記載の断熱ガ
    ラス。
  3. 【請求項3】 前記積層成膜した多層膜が、前記第1層
    である前記窒化チタニウム薄膜と前記最外側表層である
    前記炭化珪素または炭化チタンを主成分とする窒素酸化
    物薄膜との間に、中間層として、酸化チタン、酸化タン
    タル、酸化スズあるいは酸化ジルコニウムの群から選ば
    れた薄膜を、少なくとも1層施し成膜して成ることを特
    徴とする請求項1記載の断熱ガラス。
  4. 【請求項4】 前記積層成膜した多層膜が、ガラス面側
    から下地材として第1層に、膜厚が5〜30nmの炭化
    珪素または炭化チタンを主成分とする窒素酸化物薄膜を
    被膜し、該被膜上に前記中間層である窒化チタニウム薄
    膜と前記最外側表層である前記炭化珪素または炭化チタ
    ンを主成分とする窒素酸化物薄膜とを順次積層成膜して
    成る多層膜としたことを特徴とする請求項1記載の断熱
    ガラス。
  5. 【請求項5】 少なくとも一方のガラス基板表面に、ガ
    ラス面側から第1層あるいは中間層として、膜厚が5〜
    50nmの窒化チタニウム薄膜を被覆し、かつ最外側表
    層として、膜厚が10〜50nmの炭化珪素または炭化
    チタンを主成分とする窒素酸化物薄膜を少なくとも被覆
    して多層膜を積層成膜した後、焼き入れ処理あるいは/
    ならびに加熱曲げ成形加工するに当たり、550〜68
    0°Cの温度範囲において該処理あるいは/ならびに加
    工を行うことを特徴とする断熱ガラスの製法。
  6. 【請求項6】 前記焼き入れ処理あるいは/ならびに加
    熱曲げ成形加工後、該処理あるいは加工前後における、
    前記断熱ガラスの可視光透過率の変化が10%以内とな
    る前記処理あるいは/ならびに加工であることを特徴と
    する請求項5記載の断熱ガラスの製法。
JP26392891A 1991-10-11 1991-10-11 熱処理可能な断熱ガラスおよびその製法 Pending JPH0597476A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013532114A (ja) * 2010-06-21 2013-08-15 ショット アクチエンゲゼルシャフト 高温用途のためのライニング材料または反射鏡材料

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