JPH0596905U - 複合型磁気ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属磁性体と磁性酸化物とを含んでなる複合
型磁気へッドに関し、疑似ギャップの形成を抑制して良
好な再生周波数特性を得る。 【構成】 非磁性体よりなるギャップ部８と、ギャップ
部８に接合されてなる薄膜形成されたセンダスト（登録
商標）からなる金属磁性体４，５と、磁性酸化物（フェ
ライト）よりなるコア材２，３と、コア材２，３と金属
磁性体４，５との間に介在し金属磁性体４，５を酸化さ
せて形成してなる金属磁性体酸化膜１２，１３とを設け
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は複合型磁気へッドに係り、特に、金属磁性体と磁性酸化物とを含んで なる複合型磁気へッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、高密度の磁気記録及び再生処理の要求が高まっており、これに対応する 磁気ヘッドは、記録時には高飽和磁束密度を必要とされ、また再生時には十分な 再生感度を得るために特に高周波領域において高透磁率を必要とされる。

【０００３】 高飽和磁束密度を実現できる磁気ヘッド材料としてはFe-Al-Si系合金であるセ ンダスト（登録商標）、或いはアモルファス合金等の金属磁性体が知られており 、高透磁率を有する磁気ヘッド材料としては磁性酸化物であるフェライトが知ら れている。そして、１つの磁気ヘッドで記録及び再生の特性を共に良好とするた めに、例えばこれら２種の磁性材料を組み合わせた複合型磁気へッドが開発され ている。

【０００４】 図２は、従来の複合型磁気へッドの一例を磁気テープ摺接面より示した正面図 である。同図に示す複合型磁気へッド１は、以下のとおりに形成される。

【０００５】 まず、トラック形成されたフェライト等による２つのコア材２，３の表面に、 センダストからなる金属磁性体４，５を膜厚が２〜３〔μｍ〕となるようにスパ ッタリングにより薄膜形成し、一対のコア半体６，７を形成する。

【０００６】 次に夫々のコア半体６，７を同図に示すように対向させた時に各金属磁性体４ ，５の突き合わせ面４ａ，５ａにより形成されるギャップ部８が、所定の隙間寸 法（通常 0.1〔μｍ〕程度以上）となるように、非磁性体であるＳｉＯ₂ からな るギャップ材９を更に金属磁性体４，５の上面にスパッタリングにより薄膜形成 する。

【０００７】 そして、一対のコア半体６，７を同図に示すように対向させ、突き合わせ面４ ａ，５ａ上のギャップ材９の表面を互いに接合させる。その後、低融点ガラス１ ０によりガラスボンディングを行い、所定寸法にスライスし、複合型磁気へッド １が得られる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記従来の複合型磁気ヘッドによれば、コア材２，３に金属磁性 体４，５が夫々隣接して形成されるため、金属磁性体４，５が薄膜形成される際 に磁性酸化物であるコア材２，３と反応し、初期成長層である数百〔Å〕の部分 は磁気特性が劣化する。このため、この数百〔Å〕の初期成長層に疑似的にギャ ップが形成されたのと同等の磁気特性を呈し、高周波での再生特性が劣化する問 題がある。

【０００９】 図３は複合型磁気ヘッドの再生周波数特性を示す図であり、図中縦軸は再生出 力〔dB〕、横軸は信号周波数〔 kHz〕を表し、Ｉは上記従来の複合型磁気ヘッド １の再生周波数特性である。再生周波数特性Ｉは、疑似ギャップと主ギャップと の作用による高周波数領域での再生損失により、図示のとおり約５〔dB〕のうね りを生じる。

【００１０】 本考案は上記の課題に鑑みてなされたもので、疑似ギャップを形成することな く、高周波数領域での再生周波数特性が劣化しない複合型磁気へッドを提供する ことを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記の問題は以下のとおり構成することにより解決される。

【００１２】 すなわち、非磁性体よりなるギャップ部と、ギャップ部に接合されてなる薄膜 形成された金属磁性体と、磁性酸化物よりなるコア材と、コア材と金属磁性体と の間に介在し金属磁性体を酸化させてなる金属磁性体酸化膜とを設けることによ り解決される。

【００１３】

【作用】

上記の構成によれば、コア材と金属磁性体との間に金属磁性体を酸化させた金 属磁性体酸化膜が介在するため、この金属磁性体酸化膜は、金属磁性体に対して も磁性酸化物よりなるコア材に対しても物理的に安定となるよう作用する。

【００１４】

【実施例】

図１は、本発明の一実施例を磁気テープ摺接面より示した正面図である。同図 に示す複合型磁気へッド１１は、金属磁性体酸化膜２０、２１がコア材２，３と 金属磁性体４，５と間に夫々介在する以外は、大略、図２に示した従来の複合型 磁気へッド１と同様に形成されている。

【００１５】 初めに、複合型磁気へッド１１のベースとなる一対の磁性酸化物であるフェラ イト製コアブロックを形成し、このコアブロックに夫々トラック幅規制溝、コイ ル巻回用溝を形成する。そして、図示のとおりトラック形成された２つのコア材 ２，３の表面に、センダストを酸化させた金属磁性体酸化膜１２，１３を膜厚が １５０〜２００〔Å〕となるようにスパッタリングにより薄膜形成する。

【００１６】 次にこの上に、センダストからなる金属磁性体４，５を膜厚が２〜３〔μｍ〕 となるようにスパッタリングにより薄膜形成し、一対のコア半体１６，１７を形 成する。

【００１７】 更にこの上に、センダストからなる金属磁性体４，５をスパッタリングにて形 成すると共に、非磁性体であるガラスからなるギャップ材９を続いてスパッタリ ングする。

【００１８】 次にこのように形成された一対のコア半体１６，１７を同図に示すように対向 させた状態で、各金属磁性体４，５の突き合わせ面４ａ，５ａにより形成される ギャップ部８が、所定の隙間寸法（通常 0.1〔μｍ〕程度以上）となるように、 非磁性体であるＳｉＯ₂ からなるギャップ材９を更に金属磁性体４，５の上面に スパッタリングにより薄膜形成する。

【００１９】 そして、一対のコア半体１６，１７を同図に示すように対向させ、突き合わせ 面４ａ，５ａ上のギャップ材９の表面を互いに接合させる。その後、低融点ガラ ス１０によりガラスボンディングを行ない、続いてこの磁気ヘッドブロックを所 定寸法にコアスライスし、複合型磁気へッド１１が得られる。

【００２０】 上記の複合型磁気へッド１１によれば、センダストを酸化させた膜厚１５０〜 １５０〔Å〕の金属磁性体酸化膜１２，１３が、フェライト製コア材２，３とセ ンダストからなる金属磁性体４，５との間に介在する構成となる。

【００２１】 この金属磁性体酸化膜１２，１３は、酸化されているために磁性酸化物である フェライト製コア材２，３に対して物理的に安定であり反応を起こし難い。更に 、センダストを酸化させて形成しているため、センダストからなる金属磁性体４ ，５に対しても勿論物理的に安定で反応し難い。

【００２２】 したがって、金属磁性体４，５を金属磁性体酸化膜１２，１３上に薄膜形成す る際、金属磁性体４，５と金属磁性体酸化膜１２，１３との反応を抑えることが 出来、この結果、コア材２，３上に金属磁性体４，５を薄膜形成する従来の複合 型磁気ヘッドに比べ、金属磁性体４，５の初期成長層の磁気的特性が劣化するこ とがない。

【００２３】 すなわち、初期成長層に磁気的な疑似ギャップが形成されないため、複合型磁 気ヘッド１１は高周波数領域において再生特性が劣化することがない。

【００２４】 図３において、IIは上記実施例の複合型磁気ヘッド１１の再生周波数特性であ る。複合型磁気ヘッド１１には疑似ギャップが形成されないため、再生周波数特 性IIは、図示のとおりうねりを生じることなく良好な再生周波数特性を示す。ま た、ヘッド全体での磁気特性が向上することにより、全周波数領域において再生 出力が約２〔dB〕上昇し、高感度となる。

【００２５】 尚、上記の実施例では金属磁性体酸化膜１２，１３が、磁性酸化物（フェライ ト製コア材２，３）とセンダストからなる金属磁性体４，５との間に介在する構 成としたが、金属磁性体４，５を薄膜形成する際に金属磁性体４，５との反応を 抑えて初期成長層の磁気的特性の劣化を抑制し得るものであればこの構成でなく とも良い。例えば、磁性酸化物と金属磁性体４，５の双方に対して物理的に安定 で反応し難い金属磁性体４，５の窒化膜をコア材２，３と金属磁性体４，５との 間に介在する構成としても、上記と同様の効果を得ることが出来る。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、コア材と金属磁性体との間に介在する金属磁性 体酸化膜は物理的に安定であり磁気的な疑似ギャップが形成されることがないた め、高周波数領域での再生特性が劣化することなく優れた周波数特性の複合型磁 気ヘッドが得られる特長がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の正面図である。

【図２】従来の複合型磁気へッドの一例の正面図であ
る。

【図３】複合型磁気ヘッドの再生周波数特性を示す図で
ある。

【符号の説明】

１,1１ 複合型磁気ヘッド ２，３ コア材 ４，５ 金属磁性体 ８ ギャップ部 12,1３ 金属磁性体酸化膜

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 非磁性体よりなるギャップ部と、 該ギャップ部に接合されてなる薄膜形成された金属磁性
   体と、 磁性酸化物よりなるコア材と、 該コア材と該金属磁性体との間に介在し、該金属磁性体
   を酸化させてなる金属磁性体酸化膜とを具備してなる複
   合型磁気へッド。