JPH059650U - 選別装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 混合パーツの比重差を利用して大量のパーツ
を直ちに選別し、選別と同時に洗浄を行い得る選別装置
の提供。 【構成】 液槽に仕切り板を設けて該仕切り板を間にし
て各々の槽内に網カゴを収納し、仕切り板及び網カゴよ
り液面を高くして比重が約2.95のテトラプロムエタン液
を入れ、該液面上には比重が１付近の洗浄液を満たし、
又液槽には上記液面を摺動する摺動板を配置している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は比重を異にする混合パーツを選別するための装置に関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

パーツの自動選別方法には色々な型式のものが知られている。最も代表的な選 別法としては、パーツフィダーで送られてくる該パーツを網目を通過する過程で 振り分けしたり、又隙間を持った傾斜板上を転がしたりする方法がある。これら 方法はパーツの寸法（大きさ）のバラツキを選別するものであるが、パーツの比 重の違いを利用して選別する方法もある。すなわち、比重が１以下であって水面 に浮くことのできるパーツを混入している場合には、該パーツを水が入れられた た容器に投入すれば直ちに選別することができる。しかし、比重１を基準として 大小２種類の混合パーツを選別するケースは少なく、原理的に可能であるが、実 用性は極めて少ない。

【０００３】

【本考案が解決しようとする課題】

混合パーツの大きさを選別するには時間がかかり、選別能力も十分なものでな い。又パーツの比重差を利用する方法はその選別能力が高いものの実用性に欠け るといった問題があるが、本考案はあくまで比重差を利用した選別装置であって 、比重が約3.0 弱の特殊液を用いることで実用性の高い装置を提供する。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の選別装置は比重差を利用した装置であって、選別用液としてはテトラ プロムエタンを用いる。該テトラプロムエタン液は比重が約2.95あり、必要に応 じてアルコールを混合すれば上記比重値を小さくすることも可能な液体である。 本考案の選別装置は液槽内に仕切り板を設け、各々の槽内には網カゴを配置し、 上記テトラプロムエタン液は仕切り板の高さを越えて液槽内に満たされる。そし て、該液面に沿って移動する摺動板を配置しており、又上記テトラプロムエタン 液上には洗浄液を入れている。洗浄液は水のように洗浄機能を果たすとともに、 テトラプロムエタン液と混合することなく、比重の小さい液でなければならない 。

【０００５】

【作用】

このように構成する選別装置を利用して混合パーツを選別するにおいて、該混 合パーツを液槽内に投入する。この場合に、投入は液槽に設けた仕切り板を境と して一方の槽内になされ、金属等でその比重がテトラプロムエタン液より大きい パーツは底に沈下する。そして、テトラプロムエタン液より小さくて洗浄液より 大きい比重のパーツは両液の間に浮遊し、洗浄液よりも小さい比重の場合には該 洗浄液の上面に浮くことになる。

【０００６】 そこで、上記摺動板を移動させて浮遊しているパーツを仕切り板を越えて別の 槽内へ移し、該槽内に沈んでいる網カゴを引き上げる。又別の槽内の網カゴも引 き上げることで、混合パーツはそれぞれの網カゴに分離される。この場合、洗浄 液は網カゴを引き上げる際にパーツを洗浄するとともに、テトラプロムエタン液 が発生する悪臭を遮断する。以下、本考案に係る実施例を図面に基づいて詳細に 説明する。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案の選別装置を示す断面該略図である。同図において１は液槽、２ はテトラプロムエタン液、３は水を示す。液槽１には仕切り板４が設けられてお り、該仕切り板４を間にして槽内５ａには網カゴ６ａが、別の槽内５ｂには網カ ゴ６ｂがそれぞれ収納され、これら各網カゴ６ａ、６ｂは持ち上げ可能となって いる。そして、各槽内５ａ、５ｂに網カゴ６ａ、６ｂを収納し、上記テトラプロ ムエタン液２が満たされている訳で、テトラプロムエタン液２の液面７は仕切り 板４及び網カゴ６ａ、６ｂよりも高くなっており、上記水３は該液面７を境とし て上層に位置し、互いに混ざり合うことはない。

【０００８】 ここで、上記テトラプロムエタン液２はその比重が約2.95であって、水に比べ て約３倍の値を呈し、アルミニウム等の軽金属を除けばほとんどの金属類は上記 数値より大きな比重を有す。一方、セラミックと称される無機材料の比重は大半 が1.5 〜3.0 内に存在している。

【０００９】 ところで、比重が2.95のテトラプロムエタン液２と比重１の水３が液面７を境 界として互いに分離している内に、シュート８から混合パーツを投入すれば比重 が2.95以上の金属パーツ９は、テトラプロムエタン液２中を沈下して網カゴ６ａ の底に沈む。一方、比重が１以上で2.95以下の研磨メディア１０は、液面７まで は沈下するが、テトラプロムエタン液２中を沈下することはできず、結局液面７ に集まる。したがって、金属パーツ９、９…と研磨メディア１０、１０…を完全 に分離することができる。

【００１０】 このように分離され、液面７上に浮遊している研磨メディア１０、１０…は液 槽１に装着した摺動板１１によって、別の槽内５ｂへ移される。すなわち、摺動 板１１はエヤーシリンダー１２のピストンロッド１３先端に取着されていて、ピ ストンロッド１３が突出するならば、該摺動板１１は液面７に沿って移動し、移 動とともに研磨メディア１０、１０…を押し流す。

【００１１】 図２は摺動板１１によって研磨メディア１０、１０…が押し流されて別の槽内 ５ｂへ移された状態を示している。したがって、一方の槽内５ａには研磨メディ ア１０、１０…は存在しない。この状態で槽内５ｂに収納されている網カゴ６ｂ を引き上げるならば、研磨メディア１０、１０…は該網カゴ６ｂに入り、網カゴ ６ｂとともに液槽１から掬い上げられ、同じく槽内５ａに収納している網カゴ６ ａを引き上げれば金属パーツ９、９…は掬い上げられる。この場合、テトラプロ ムエタン液２に浸されている金属パーツ９、９…及び研磨メディア１０、１０… は、掬い上げる際に水３によって洗浄される。すなわち、本考案の選別装置は選 別機能と洗浄機能を同時に行うことができる。勿論、上記洗浄工程にて十分な効 果は得られないかも知れないが、少なくとも１次洗浄工程としての機能を果たす ことは十分可能である。

【００１２】 ところで、上記摺動板１１はその両端が液槽１に形成したガイドに案内されて 摺動するが、本実施例のごとく摺動手段としての上記エヤシリンダー１２は単な る１具体例であり、例えば手動でもって摺動させてもよい。又網カゴ６ａ、６ｂ の引き上げは上方に配置したクレーンを利用して行ってもよく、勿論、人手に頼 ることもできる。

【００１３】 以下に本考案に係る選別装置の適用例を説明するに、該選別装置はあくまで混 合パーツの比重差を利用して、大量の混合パーツを直ちに選別し、又同時に洗浄 することができる。このように大量の混合パーツの選別を必要とする例として、 バレル研磨される研磨材と被研磨材がある。

【００１４】 ここで上記金属パーツ９が被研磨材であり、研磨メディア１０が研磨材に相当 する。研磨材としてセラミック製の研磨メディア１０を使用するケースは非常に 多く、比重が１以上で2.95以下のパーツは直ちに液面７上に浮遊して分離する。 勿論、研磨材としてセラミックを使用することなく、比重が１以下のチップを用 いるならば、水中を沈下しないで水面上に浮遊することができるため、同じく本 選別装置を利用しての選別は可能である。しかし、研磨材としてダイヤモンドや Al₂O₃ 、SiC 等の比重が2.95以上の無機材料を用いる場合には適用できない。

【００１５】 以上述べたように、本考案の選別装置は液槽を仕切り板で仕切って各槽内に網 カゴを収納し、該液槽にテトラプロムエタン液と比重が１付近の洗浄液を入れ、 テトラプロムエタン液の液面に沿って摺動する摺動板を設けたもので、次のよう な効果を得ることができる。

【００１６】

【考案の効果】

本考案の選別装置は液槽内にテトラプロムエタン液と洗浄液を入れ、混合パー ツの比重差を利用して選別するものであり、大量の混合パーツを直ちに選別可能 とし、その選別能力は100 ％である。特に比重が2.95のテトラプロムエタン液は 金属の比重より小さく、セラミックの比重より大きいため、バレル研磨に用いる セラミック製研磨材と被研磨材となる金属パーツを効率良く選別することができ る。しかも、本考案の装置はテトラプロムエタン液の液面上に水等の洗浄水を入 れているため、該テトラプロムエタン液に浸されたパーツ類は液槽から掬い上げ られる過程において同時洗浄が行われる。又該洗浄液はテトラプロムエタン液か ら発生する悪臭を抑え、作業環境の向上に寄与するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る選別装置の実施例

【図２】本考案に係る選別装置の実施例で摺動板を移動
させた場合。

【符号の説明】 １ 液槽 ２ テトラプロムエタン液 ３ 水 ４ 仕切り板 ５ 槽内 ６ 網カゴ ７ 液面 ８ シュート ９ 金属パーツ 10 研磨メディア 11 摺動板 12 エヤシリンダー 13 ピストンロッド

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 液槽に仕切り板を設け、該仕切り板を間
   にして各々の槽内に網カゴを持ち上げ自在な状態で収納
   し、仕切り板及び網カゴより液面を高くして比重が約2.
   95のテトラプロムエタン液を入れ、該液面上には水等の
   ごとくその比重が１付近の洗浄液を満たし、又上記液槽
   には上記テトラプロムエタン液の液面に沿って摺動する
   摺動板を備えたことを特徴とする選別装置。