JPH0596457U - 内燃エンジンの燃料蒸気排出抑止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は簡単な改良、工夫でもって燃料給油
時であっても燃料タンク内の燃料蒸気が大気中に放出す
るのを防止することができると共に、キャニスタのパー
ジ量を確実に確保することができる内燃エンジンの燃料
蒸気排出浴槽値を提供することを目的とする。 【構成】 本考案は、燃料タンクと、燃料蒸気を吸着貯
蔵するキャニスタと、２方向弁を介して前記燃料タンク
と前記キャニスタとを連通する連通管を備えた内燃エン
ジンの燃料蒸気排出抑止装置において、２方向弁をバイ
パスするバイパス管に制御弁を介装し、エンジン作動時
には制御弁を開弁する一方、タンク内圧又は燃料温度が
所定値以下のときは制御弁を閉弁することを特徴とす
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃エンジンの燃料供給系で発生する燃料蒸気が大気中に放出され るのを防止する内燃エンジンの燃料蒸気排出抑止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の燃料蒸気排出抑止装置としては、図３に示すように、燃料タンク５１と 、燃料蒸気を吸着貯蔵するキャニスタ５２とを備え、燃料タンク５１とキャニス タ５２とを連通する連通管５３に２方向弁５４が介装されたものが知られている 。

【０００３】 上記燃料蒸気排出抑止装置においては、燃料タンク５１内で発生した燃料蒸気 が所定の設定圧に達すると、該燃料蒸気は２方向弁５４の正圧バルブを押し開い てキャニスタ５２に流入し、キャニスタ５２内の吸着剤５５によって吸着され該 キャニスタ５２に一時貯蔵される。そして、エンジンが回転するとキャニスタ５ ２に貯蔵されていた燃料蒸気は、吸気管（図示せず）の負圧によりキャニスタ５ ２に設けられた外気取入口５６から吸入される外気と共に吸引され、パージ管５ ７から吸気管を経てエンジンの気筒に送られる。

【０００４】 また、外気の影響などで燃料タンク５１が冷却され該燃料タンク５１内の負圧 が増すと、２方向弁５４の負圧バルブが開弁し、キャニスタ５２に貯蔵されてい る燃料蒸気は燃料タンク５１に戻される。このように燃料タンク５１内が一定圧 力となるように２方向弁５４により制御し、燃料タンク５１内に発生した燃料蒸 気が大気に放出されることを抑止していた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来の燃料蒸気排出抑止装置においては、例えば車輌走行中に燃 料温度が上昇するとタンク内圧が上昇し、２方向弁５４の設定圧がタンク内圧と して燃料タンク５１に負荷されるため、フィラーキャップ５８を開蓋して燃料給 油を行う場合、燃料タンク５１内の燃料蒸気が大気中に放出され、大気汚染を惹 起するという欠点がある。

【０００６】 この欠点を解消する手段としては、２方向弁５４を電磁弁を介してバイパスす るバイパス管を設け、エンジンの作動時に電磁弁を開弁して燃料タンク５１とキ ャニスタ５２とを連通させ、燃料タンク５１の内圧を低下させる方策が考えられ る。

【０００７】 しかし、上記燃料蒸気排出抑止装置においては、経年変化等の理由によりキャ ニスタ５２の外気取入口５６にゴミ等が付着した場合、外気取入口５６の通気抵 抗が上昇し、さらには外気取入口５６が閉塞してしまう虞がある。

【０００８】 このような事態が生じた場合、上述のようなバイパス管に電磁弁を設けてエン ジン作動時に燃料タンク５１とキャニスタ５２とを常に連通状態とする方法にお いては、キャニスタ５２内の吸着剤５５に吸着貯蔵される燃料蒸気が増大し、遂 には吸着剤５５による吸着が過飽和状態となる。このため、吸着剤５５の劣化を 促進したり、あるいは連通管５３とパージ管５７とが短絡状態となる虞がある。 すなわち、キャニスタ５２における吸着剤５５の吸着が過飽和状態となると、燃 料タンク５１からの燃料蒸気がキャニスタ５２の吸着剤５５に吸着されることな くパージ管５７に流出し、キャニスタ５２のパージ量が低下することとなり、燃 料蒸気がそのままエンジンの気筒に流れ込んだり、各シール部から燃料蒸気がリ ークするという問題点が生じる。

【０００９】 本考案はこのような問題点に鑑みなされたものであって、簡単な改良、工夫で もって燃料給油時であっても燃料タンク内の燃料蒸気が大気中に放出するのを防 止することができると共に、キャニスタのパージ量を確実に確保することができ る内燃エンジンの燃料蒸気排出抑止装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、燃料タンクと、燃料蒸気を吸着貯蔵する キャニスタと、２方向弁を介して前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通する 連通管とを備えた内燃エンジンの燃料蒸気排出抑止装置において、前記２方向弁 をバイパスするバイパス管と、該バイパス管に介装された制御弁と、内燃エンジ ンの作動状態を検出する作動状態検出手段と、前記燃料タンクの内圧を検出する タンク内圧検出手段とを備え、かつ、前記作動状態検出手段によりエンジンの作 動が検出されたときには前記制御弁を開弁する一方、前記タンク内圧検出手段に より検出されるタンク内圧が所定値以下のときは前記制御弁を閉弁する制御弁開 閉手段を有していることを特徴としている。

【００１１】 また、前記２方向弁をバイパスするバイパス管と、該バイパス管に介装された 制御弁と、内燃エンジンの作動状態を検出する作動状態検出手段と、燃料温度を 検出する燃料温度検出手段とを備え、前記作動状態検出手段によりエンジンの作 動が検出されたときには前記制御弁を開弁する一方、前記燃料温度検出手段によ り検出される燃料温度が所定値以下のときは前記制御弁を閉弁する制御弁開閉手 段を有していることを特徴としてもよい。

【００１２】

【作用】

上記構成によれば、作動状態検出手段によりエンジンの作動が検出されたとき には制御弁を開弁するので、エンジン作動時では燃料タンクの内圧が低下すると 共に、燃料タンクからの燃料蒸気がバイパス管を通じてキャニスタに流入して吸 着貯蔵される。

【００１３】 また、タンク内圧検出手段により検出されるタンク内圧が所定値以下のときは 制御弁を閉弁するので、燃料蒸気は２方向弁によって制御され、キャニスタのパ ージ量を確保することができる。

【００１４】

【実施例】 以下、本考案の実施例を図面に基づき詳説する。

【００１５】 図１は本考案に係る内燃エンジンの燃料蒸気排出抑止装置の一実施例を示す全 体構成図である。

【００１６】 図中、１は例えば４気筒を有する内燃エンジン（以下、単に「エンジン」とい う）であって、該エンジン１の吸気管２の途中にはスロットルボディ３が設けら れ、その内部にはスロットル弁３′が配されている。また、スロットル弁３′に はスロットル弁開度（θＴＨ）センサ４が連結されており、当該スロットル弁３ ′の開度に応じた電気信号を出力して電子コントロールユニット（以下「ＥＣＵ 」という）５に供給する。

【００１７】 燃料噴射弁６は、エンジン１とスロットル弁３′との間且つ吸気管２の図示し ない吸気弁の少し上流側に各気筒毎に設けられている。また、各燃料噴射弁６は 燃料供給管２５を介して燃料ポンプ７に接続されると共にＥＣＵ５に電気的に接 続され、該ＥＣＵ５からの信号により燃料噴射の開弁時間が制御される。

【００１８】 吸気管２のスロットル弁３′の下流側にはパージ管８が分岐して設けられ、該 パージ管８は後述する燃料蒸気排出抑止系９に接続されている。

【００１９】 さらに、前記パージ管８の下流側には分岐管１０が設けられ、該分岐管１０の 先端には絶対圧（ＰＢＡ）センサ１１が配設されている。また、該ＰＢＡセンサ １１はＥＣＵ５に電気的に接続され、ＰＢＡセンサ１１により検出された吸気管 ２内の絶対圧ＰＢＡは電気信号に変換されてＥＣＵ５に供給される。

【００２０】 エンジン１の図示しないカム軸周囲またはクランク軸周囲にはエンジン回転数 （ＮＥ）センサ１２が取り付けられている。

【００２１】 ＮＥセンサ１２はエンジン１のクランク軸の１８０度回転毎に所定のクランク 角度位置で信号パルス（以下、「ＴＤＣ信号パルス」という）を出力し、該ＴＤ Ｃ信号パルスはＥＣＵ５に供給される。

【００２２】 イグニッション・スイッチ（ＩＧＳＷ）センサ１３はエンジン１が作動状態で あることを示すＩＧＳＷのオン状態を検出してその電気信号をＥＣＵ５に供給す る。

【００２３】 しかして、燃料蒸気排出抑止系９は、燃料給油時に開蓋するフィラーキャップ １４を備えた燃料タンク１５と、吸着剤（活性炭）１６が内蔵されると共に、外 気取入口１７が設けられたキャニスタ１８と、該キャニスタ１８と前記燃料タン ク１５とを連通する連通管１９と、該連通管１９の途中に介装された正圧バルブ ２０ａと負圧バルブ２０ｂとを有する２方向弁２０と、該２方向弁２０をバイパ スするバイパス管２１と、該バイパス管２１の途中に介装された電磁弁（制御弁 ）２２とから構成されている。また、燃料タンク１５の上部にはタンク内圧（Ｐ Ｔ）センサ２３が設けられている。そして、該ＰＴセンサ２３は燃料タンク１５ 内の圧力を検出し、その電気信号をＥＣＵ５に供給する。

【００２４】 さらに、キャニスタ１８は、パージ制御弁２４及びパージ管８を介して吸気管 ２に連通され、燃料タンク１５は燃料ポンプ７及び燃料供給管２５を介して燃料 噴射弁６に接続されている。

【００２５】 また、電磁弁２２及びパージ制御弁２４は、ＥＣＵ５に電気的に接続され、Ｅ ＣＵ５からの信号により電子弁２２及びパージ制御弁２４の開閉弁状態が制御さ れる。

【００２６】 ＥＣＵ５は上述の各種センサからの入力信号波形を整形して電圧レベルを所定 レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する 入力回路と、中央演算処理回路（以下「ＣＰＵ」という）、該ＣＰＵで実行する 演算プログラムや演算結果等を記憶する記憶手段と、前記燃料噴射弁６、電磁弁 ２２及びパージ制御弁２４に駆動信号を供給する出力回路とを備えている。

【００２７】 ＣＰＵは、ＩＧＳＷセンサ１３によりエンジンの作動が検出されたときには電 磁弁２２を開弁する一方、ＰＴセンサ２３により検出されるタンク内圧が所定値 （例えば、１０mmHg）以下のときは電磁弁２２を閉弁する電磁弁開閉手段を有し ている。

【００２８】 このように構成された燃料蒸気排出抑止装置においては、ＩＧＳＷがオンされ るとＩＧＳＷセンサ１３によりエンジン１の作動が検出され、その出力信号がＥ ＣＵ５に供給される。次いで、電磁弁２２はＥＣＵ５からの信号により開弁する 。これにより燃料タンク１５とキャニスタ１８とはバイパス管２１を介して連通 され、燃料タンク１５内の燃料蒸気はキャニスタ１８に流入し、燃料タンク１５ の内圧が低下すると共に、燃料蒸気はキャニスタ１８の吸着剤１６により吸着貯 蔵される。

【００２９】 一方、ＰＴセンサ２３により検出されるタンク内圧が所定値（例えば、１０mm Hg）以下になると電磁弁２２が閉弁され、燃料タンク１５からの燃料蒸気の流出 は２方向弁２０によって制御される。

【００３０】 すなわち、タンク内圧が前記所定値以下のときはバイパス管２１の管路は遮断 され、燃料タンク１５からの燃料蒸気の流出は２方向弁２０により制御されるの でキャニスタ１８のパージ量を確保することができる。

【００３１】 また、電磁弁２２が閉弁状態のときはタンク内圧が低く、かつ２方向弁２０に より燃料タンク１５からの燃料蒸気の流出が制御されるので、フィラーキャップ １４を開蓋して燃料給油を行う場合も燃料蒸気が大気に飛散することはなく、ま た過給油を防止することもできる。

【００３２】 図２は本考案の第２の実施例を示す燃料蒸気排出抑止装置の要部構成図であっ て、第１の実施例におけるＰＴセンサ２３に代えてサーミスタ等からなる燃料温 度（ＴＦ）センサ２６が燃料タンク１５の適所に挿着されている。

【００３３】 燃料温度ＴＦはタンク内圧が増加するに連れて増加し、タンク内圧が減少する に連れて減少するため、ＰＴセンサ２３に代えてＴＦセンサ２６を使用しても第 １の実施例と同様の作用効果を得ることができる。

【００３４】 すなわち、エンジン作動時には電磁弁２２を開弁して燃料タンク１５内の燃料 蒸気をキャニスタ１８に流入させ、キャニスタ１８の吸着剤１６に燃料蒸気を吸 着貯蔵させる一方、ＴＦセンサ２６により検出される燃料温度ＴＦが所定値以下 になると電磁弁２２を閉弁させ、燃料タンク１５内からの燃料蒸気の流出を２方 向弁２０で制御することにより、キャニスタ１８のパージ量を確保することがで きる。

【００３５】

【考案の効果】

以上詳述したように本考案は、燃料タンクと、燃料蒸気を吸着貯蔵するキャニ スタと、２方向弁を介して前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通する連通管 を備えた内燃エンジンの燃料蒸気排出抑止装置において、前記２方向弁をバイパ スするバイパス管と、該バイパス管に介装された制御弁と、内燃エンジンの作動 状態を検出する作動状態検出手段と、前記燃料タンクの内圧を検出するタンク内 圧検出手段とを備え、かつ、前記作動状態検出手段によりエンジンの作動が検出 されたときには前記制御弁を開弁する一方、前記タンク内圧検出手段により検出 されるタンク内圧が所定値以下のときは前記制御弁を閉弁する制御弁開閉手段を 有しているので、燃料温度が上昇して燃料蒸気の発生が増加するエンジン作動時 には、バイパス管を介して燃料タンクとキャニスタとが連通され、燃料タンクの 内圧が低下すると共に、燃料蒸気はキャニスタに吸着貯蔵される。また、タンク 内圧が所定値以下のときは制御弁が閉弁されるので、燃料タンクの内圧は２方向 弁により制御される。

【００３６】 すなわち、上述の如く制御弁が閉弁される場合は、タンク内圧が低いため、給 油口を開蓋しても燃料蒸気の大気中への放出が抑止されると共に、燃料蒸気のキ ャニスタへの流入が２方向弁により制御され、キャニスタのパージ量が確保され る。

【００３７】 また、燃料タンクの内圧の増減と燃料温度の増減とは比例関係にあるので、タ ンク内圧検出手段に代えて燃料温度を検出する燃料温度検出手段を設け、前記作 動状態検出手段によりエンジンの作動が検出されたときには前記制御弁を開弁す る一方、前記燃料温度検出手段により検出される燃料温度が所定値以下のときは 前記制御弁を閉弁する制御弁開閉手段を有することとしても上述と同様の効果を 得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る内燃エンジンの燃料蒸気排出抑止
装置の一実施例（第１の実施例）を示す全体構成図であ
る。

【図２】第２の実施例の要部構成図である。

【図３】従来例の要部構成図である。

【符号の説明】

１ 内燃エンジン ５ ＥＣＵ（制御弁開閉手段） １３ ＩＧＳＷセンサ（作動状態検出手段） １５ 燃料タンク １８ キャニスタ １９ 連通管 ２０ ２方向弁 ２２ 電磁弁（制御弁） ２３ ＰＴセンサ（タンク内圧検出手段） ２６ ＴＦセンサ（燃料温度検出手段）

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料タンクと、燃料蒸気を吸着貯蔵する
   キャニスタと、２方向弁を介して前記燃料タンクと前記
   キャニスタとを連通する連通管とを備えた内燃エンジン
   の燃料蒸気排出抑止装置において、 前記２方向弁をバイパスするバイパス管と、該バイパス
   管に介装された制御弁と、内燃エンジンの作動状態を検
   出する作動状態検出手段と、前記燃料タンクの内圧を検
   出するタンク内圧検出手段とを備え、かつ、前記作動状
   態検出手段によりエンジンの作動が検出されたときには
   前記制御弁を開弁する一方、前記タンク内圧検出手段に
   より検出されるタンク内圧が所定値以下のときは前記制
   御弁を閉弁する制御弁開閉手段を有していることを特徴
   とする内燃エンジンの燃料蒸気排出抑止装置。
2. 【請求項２】 燃料タンクと、燃料蒸気を吸着貯蔵する
   キャニスタと、２方向弁を介して前記燃料タンクと前記
   キャニスタとを連通する連通管とを備えた内燃エンジン
   の燃料蒸気排出抑止装置において、 前記２方向弁をバイパスするバイパス管と、該バイパス
   管に介装された制御弁と、内燃エンジンの作動状態を検
   出する作動状態検出手段と、燃料温度を検出する燃料温
   度検出手段とを備え、前記作動状態検出手段によりエン
   ジンの作動が検出されたときには前記制御弁を開弁する
   一方、前記燃料温度検出手段により検出される燃料温度
   が所定値以下のときは前記制御弁を閉弁する制御弁開閉
   手段を有していることを特徴とする内燃エンジンの燃料
   蒸気排出抑止装置。