JPH0594911A - フエライト用原料酸化物の製造方法 - Google Patents

フエライト用原料酸化物の製造方法

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JPH0594911A
JPH0594911A JP4053718A JP5371892A JPH0594911A JP H0594911 A JPH0594911 A JP H0594911A JP 4053718 A JP4053718 A JP 4053718A JP 5371892 A JP5371892 A JP 5371892A JP H0594911 A JPH0594911 A JP H0594911A
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JP
Japan
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chloride
ferrite
oxidation
roasting
oxide
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JP4053718A
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Inventor
Hidetada Yoshimatsu
秀格 吉松
Satoru Narutani
哲 成谷
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低コストで特性の優れたフェライトを製造する
ことができる原料酸化物の製造方法を提供する。 【構成】鉄の塩化物と、マンガン、ニッケル、マグネシ
ウムの塩化物のうちの1種以上と、塩化亜鉛及び/又は
塩化銅との混合塩化物を酸化焙焼する。この酸化焙焼過
程における昇温速度を6000℃/分以下とすることが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェライト用原料酸化物
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライトの製造工程は、通常、図5の
MnZnフェライトの製造工程に示すように、主要構成
金属元素である鉄、マンガン、ニッケル、マグネシウ
ム、銅、亜鉛等の個々の酸化物又は加熱により容易に酸
化物に変化する炭酸塩等の化合物を所定のモル比率で混
合した後に、800〜1000℃の温度で仮焼し、粉砕
して添加物を加え、さらに造粒、成形、焼成することに
より構成される。しかしこの方法においては次の問題点
がある。 1) 0.1〜1μmの粒径の原料酸化物を混合分散す
るために、組成の均一混合性が必ずしも充分でなく、製
品の磁気特性を劣化させる。 2) 800〜1000℃という高温での仮焼工程を経
るためにコスト高になる。 3) 仮焼工程で磁粉が2〜10μmと粒成長を起し、
次工程である粉砕工程において1μm程度に粉砕する際
に、粉砕に長時間を要する上に、不純物による汚染や組
成のずれが避けられない。
【0003】そこで従来技術の問題点である上記の2)
及び3)を改善するフェライト製造方法として、図6に
示すような、フェライトを構成する金属元素の塩化物混
合水溶液を出発原料として、これを酸化焙焼する製造方
法が提案されている(特公昭63−17776号)。し
かしこの方法によっても、フェライトを構成する金属元
素のうち、その塩化物の蒸気圧が高い亜鉛、銅の塩化物
等は同時に酸化焙焼をすることができず、そのため後工
程において酸化物の形態にて混合する必要があった。つ
まり、亜鉛、銅等の成分については0.1〜1μmの粒
径の酸化物を後工程において混合しなければならず、こ
のためこれらの成分については原料の均一混合性が充分
でなく、組成の不均一を招き、製品の磁気特性を劣化さ
せるという上記の1)の問題点は解決されていなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するために、低コストで特性の優れたフェライト
を製造することができる原料酸化物の製造方法を提供す
ることを目的とし、塩化物の混合物を所定の昇温速度に
おいて酸化焙焼することにより、以下の発明を完成する
に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のフェライト用原
料酸化物の製造方法は、鉄の塩化物と、マンガン、ニッ
ケル、マグネシウムの塩化物のうちの1種以上と、塩化
亜鉛及び/又は塩化銅との混合塩化物を酸化焙焼するこ
とを特徴とするものである。ここで上記酸化焙焼過程に
おける昇温速度が6000℃/分以下であることが好ま
しい。
【0006】
【作用】フェライト用原料酸化物の製造において、組成
の均一性を向上するには、主原料である鉄の塩化物と、
マンガン、ニッケル、マグネシウムの塩化物のうちの1
種以上を含む塩化物と、塩化亜鉛及び/又は塩化銅との
混合物を同時に酸化焙焼することが最も効果的な方法の
1つである。すなわち水溶性の塩の形態にて所定の金属
イオンを均一分散混合した後に熱分解することにより、
原子レベルで成分元素が均一に混合した酸化物原料が製
造できる。
【0007】しかし、塩化亜鉛及び/又は塩化銅は、従
来技術では蒸気圧が高いため熱分解過程において、蒸発
し、そのため組成ずれと不均一性を招いていた。しか
し、酸化焙焼過程における昇温速度を制御し、所定の昇
温速度以下の条件下においては、塩化亜鉛及び/又は塩
化銅が融解し蒸発する前に蒸気圧の低い酸化物へ化学反
応が進行し、鉄の塩化物と、マンガン、ニッケル、マグ
ネシウムの塩化物のうちの1種以上とを含む塩化物と、
塩化亜鉛及び/又は塩化銅とを同時に酸化焙焼できるこ
とが明らかになった。
【0008】以下、本発明に至った基礎実験結果につい
て述べる。まず熱分解温度、つまり塩化物が酸化物にな
る温度を調べた。塩化鉄、塩化マンガン、塩化亜鉛を
3:1:0.12の重量比率になるように混合し、純水
に溶解した。この塩化物溶液を数mgから数10mg取
り、赤外線加熱式の急速加熱TGにて加熱温度と重量変
化との関係を調べた。一例として5℃/minにて昇温
した場合のTG曲線を図1に示した。
【0009】100℃くらいまでに水が蒸発し、200
℃までに、析出した塩化物の結晶水脱離が起きる。2度
の重量減少があることから2水塩から1水塩→無水塩と
変化している。300℃程度で重量変化がなくなり、塩
化物から酸化物への熱分解反応が終了していることがわ
かる。熱分解温度の昇温速度依存性を図2に示した。昇
温速度が上がるにつれて熱分解温度はみかけ上高温へシ
フトする。これは試料の熱伝導が有限であるために、雰
囲気の昇温速度に試料そのものの昇温速度が遅れること
が原因と考えられる。
【0010】更に、生成酸化物の組成分析を行った。組
成は蛍光X線回折にて行った。表1にこの結果を示し
た。
【0011】
【表1】
【0012】この表1より酸化焙焼過程における昇温速
度が6000℃/分以下では組成ずれを起さずに酸化物
原料が得られていることがわかる。これは、以下のよう
に考えられる。すなわち塩化物の熱分解反応は、塩化物
の温度上昇により雰囲気中の酸素との反応による酸化反
応が優勢となり、塩素イオンを放出して酸化物へと変化
するが、その反応の進行速度は有限であり、その速度以
上に塩化物の温度が上昇すると、塩素イオンを放出して
酸化物に変化する前に融点に達してしまう。そして融解
した塩化物は雰囲気の平衡蒸気圧を保つために蒸発して
しまう。したがって6000℃/分以下なる有限の昇温
速度以下では、塩化亜鉛が蒸発する前に完全な熱分解反
応が起こり組成のずれを生じることなく酸化焙焼できた
と考えられる。
【0013】塩化物が酸化物へと変化する熱分解反応の
発生する温度が200℃以上であるため、それ以下の温
度では塩化物が残留するので酸化焙焼温度としては、2
00℃以上が望ましいといえる。
【0014】
【実施例】表2は、以下に述べる実施例1、2、3、
4、5、6と比較例1、2、3、4における焙焼後の生
成酸化物の組成の化学分析の結果に示した表である。表
3は、実施例1、2、3、4と比較例1、4により製造
されたフェライト用原料酸化物の焼結コアのコアロスの
測定結果を示した表である。
【0015】表4は、実施例5と比較例2により製造さ
れたフェライト用原料酸化物の焼結コアの初透磁率の測
定結果を示した表である。表5は、実施例6と比較例3
により製造されたフェライト用原料酸化物の焼結コアの
コアロスの測定結果を示した表である。以下にこれら表
2、表3、表4、表5を参照して、本発明を各実施例に
基づいて、具体的に説明する。
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】(実施例1)図3は、本実施例1及び後述
する実施例2、3で使用された、フェライト用原料酸化
物の酸化焙焼炉の模式図である。鋼板の塩酸酸洗廃液を
100ミリリットル中に30gの鉄を含有する濃度まで
濃縮し、この濃縮液250リットルに金属マンガン25
kgと金属亜鉛10.0kgを投入し、80℃に加熱し
て完全に溶解させた(溶液1とする)。
【0021】この溶液1にPVAを消泡剤とともに混合
分散させ、スプレードライアーにて造粒した。この混合
塩化物造粒粉1を定量フィーダー2により酸化焙焼温度
600℃に保持したロータリーキルン3に供給し、この
ロータリーキルンで酸化焙焼し、出口より酸化焙焼生成
物4を得た。入口から20分でキルン3の600℃の部
分に達したので、酸化焙焼過程における昇温速度は30
℃/分であった。
【0022】ロータリーキルンの出口より得た生成粉末
のX線回折定性分析を行ったところ、生成酸化物はFe
23 、Mn23 、スピネル構造であった。化学分析
によりFe、Mn、Znの組成を求めた。Fe、Mn、
Znの組成は、表2にFe、Mn、Znの合計が100
重量%となるように示したとおりであり、組成のずれを
生じることなくフェライト用原料酸化物が得られている
ことがわかる。
【0023】この原料酸化物にSiO2 を0.01重量
%、CaCO3 を0.1重量%を加え、純水を加えて、
アトライターにて混合を行った。混合後にスラリーを乾
燥し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVAを添加
し、造粒後、外径36mm、内径24mm、高さ10m
mのトロイダル形状に成形し、1340℃にて1%の酸
素を含む窒素雰囲気中で焼成した。
【0024】得られた焼結コアの磁気特性として、10
0kHz、0.20T、100℃でのコアロスを測定し
たところ、表3に示したように280mW/cm3 とい
う良好な磁気特性が得られた。 (実施例2)鋼板の塩酸酸洗廃液を100ミリリットル
中に30gの鉄を含有する濃度まで濃縮し、この濃縮液
250リットルに金属マンガン25kgと金属亜鉛1
0.0kgを投入し、80℃に加熱して完全に溶解させ
た(溶液2とする)。
【0025】この溶液2にPVAを消泡剤と共に混合分
散させ、スプレードライアーにて造粒した。この造粒粉
1を定量フィーダー2により酸化焙焼温度500℃に保
持したロータリーキルン3に供給し、このロータリーキ
ルン3で酸化焙焼し、出口より酸化焙焼生成物4を得
た。入口から5分でキルン3の500℃の部分に達した
ので、酸化焙焼過程における昇温速度は100℃/分で
あった。
【0026】ロータリーキルン3の出口より得た酸化焙
焼粉末のX線回折定性分析を行ったところ、生成酸化物
はFe23 、Mn23 、スピネル構造であった。化
学分析によりFe、Mn、Znの組成を求めた。Fe、
Mn、Znの組成は表2に示した通りであり、組成のず
れを生じることなくフェライト用原料酸化物が得られて
いることがわかる。
【0027】この原料酸化物にSiO2 を0.01重量
%、CaCO3 を0.1重量%加え、純水を混ぜ、アト
ライターにて混合を行った。混合後に、スラリーを乾燥
し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVAを添加し、
造粒後、外径36mm、内径24mm、高さ10mmの
トロイダル形状に成形し、1340℃にて1%の酸素を
含む窒素雰囲気中で焼成した。
【0028】得られた焼結コアの磁気特性として、10
0kHz、0.20T、100℃でのコアロスを測定し
たところ、表3に示したように275mW/cm3 とい
う良好な磁気特性が得られた。 (実施例3)鋼板の塩酸酸洗廃液を100ミリリットル
中に30gの鉄を含有する濃度まで濃縮し、この濃縮液
250リットルに金属マンガン25kgと金属亜鉛1
0.0kgと金属銅1.0kgとを投入し、80℃に加
熱して完全に溶解させた(溶液3とする)。
【0029】この溶液3にPVAを消泡剤と共に混合分
散させ、スプレードライアーにて造粒した。この造粒粉
1を定量フィーダ2により酸化焙焼温度500℃に保持
したロータリーキルン3に供給し、このロータリーキル
ン3で酸化焙焼し、出口より酸化焙焼生成物4を得た。
入口から5分でキルンの500℃の部分に達したので、
酸化焙焼過程における昇温速度は100℃/分であっ
た。
【0030】ロータリーキルンの出口より得た酸化焙焼
粉末のX線回折定性分析を行ったところ、生成酸化物は
Fe23 、Mn23 、スピネル構造であった。化学
分析によりFe、Mn、Zn、Cuの組成を求めた。F
e、Mn、Zn、Cuの組成は表2に示したとおり、組
成のずれを生じることなくフェライト原料酸化物が得ら
れていることがわかる。
【0031】この原料酸化物にSiO2 を0.01重量
%、CaCO3 を0.1重量%加え、純水を混ぜ、アト
ライターにて混合を行った。混合後にスラリーを乾燥
し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVAを添加し、
造粒後、外径36mm、内径24mm、高さ10mmの
トロイダル形状に成形し、1250℃にて1%の酸素を
含む窒素雰囲気中で焼成した。
【0032】得られた焼結コアの磁気特性として、10
0kHz、0.20T、100℃でのコアロスを測定し
たところ、表3に示したように290mw/cm3 とい
う良好な磁気特性が得られた。 (実施例4)図4は、この実施例4で使用されたソフト
フェライト用原料酸化物の酸化焙焼炉の模式図である。
【0033】貯蔵タンク6内に貯蔵された実施例1で用
いた塩化物混合溶液(溶液1)と同一の溶液を送液ポン
プ7で送りだし、酸化焙焼温度1000℃に保持された
噴霧焙焼炉5の炉頂に設けられた噴霧装置8の噴霧ノズ
ル9より噴霧し、この溶液1を酸化焙焼し、炉底に酸化
焙焼生成物10を得た。落下する液滴の落下時間は、ノ
ズル近傍の温度200℃から炉内の最高温度1000℃
の位置まで約15秒程度(昇温速度に換算すると約32
00℃/分)の落下時間となるように噴霧液滴の落下初
速度と炉長を決定した。
【0034】X線回折を行ったところ、生成酸化物はF
23 、Mn23 、スピネル構造であり、塩化物は
確認できなかった。化学分析によりFe、Mn、Znの
組成を求めた。Fe、Mn、Znの組成は、表2に示し
たとおりであり、組成のずれを生じることなくフェライ
ト用原料酸化物が得られていることがわかる。
【0035】この原料酸化物にSiO2 を0.01重量
%、CaCO3 を0.1重量%加え、純水を混ぜ、アト
ライターにて混合を行った。混合後に、スラリーを乾燥
し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVAを添加し、
造粒後、外径36mm、内径24mm、高さ10mmの
トロイダル形状に成形し、1340℃にて1%の酸素を
含む窒素雰囲気中で焼成した。
【0036】得られた焼結コアの磁気特性として、10
0kHz、0.20T、100℃でのコアロスを測定し
たところ、表3に示したように285mW/cm3 とい
う磁気特性を得た。 (実施例5)鋼板の塩酸酸洗廃液を100ml中に30
gの鉄を含有する濃度まで濃縮し、この濃縮液250リ
ットルに金属ニッケル27.5kgと金属マグネシウム
2.5kgと金属マンガン2.2kgと金属亜鉛4.5
kgとを投入し、70℃に加熱して完全に溶解させた
(溶液3とする)。
【0037】実施例4で使用されたソフトフェライト用
原料酸化物の酸化焙焼炉と同様の焙焼条件で、溶液3を
噴霧焙焼した。X線回折を行ったところ、生成酸化物は
Fe23 、スピネル構造であり、塩化物は確認できな
かった。化学分析によりFe、Ni、Mg、Mn、Zn
の組成を求めた。各組成は、表2に示したとおりであ
り、組成のずれを生じることなくフェライト用原料酸化
物が得られていることがわかる。
【0038】この原料酸化物にSiO2 を0.06重量
%、Bi23 を0.04重量%加え、純水を混ぜ、ア
トライターにて混合を行なった。混合後にスラリーを乾
燥し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVAを添加
し、造粒後、外形36mm、内径24mm、高さ10m
mのトロイダル形状に成形し、1200℃にて空気中で
焼成した。
【0039】得られた焼結コアの磁気特性として、1M
Hz、および10MHz、25℃での初透磁率を測定し
たところ、表4に示したように各々45という良好な磁
気特性を得た。 (実施例6)鋼板の塩酸酸洗廃液を100ml中に30
gの鉄を含有する濃度まで濃縮し、この濃縮液250リ
ットルに金属マグネシウム9.9kg、金属マンガン
2.3kgと金属亜鉛17.7kgとを投入し、70℃
に加熱して完全に溶解させた(溶液4とする)。
【0040】実施例4で使用された、ソフトフェライト
用原料酸化物の酸化焙焼炉と同様の焙焼条件で、溶液4
を噴霧焙焼した。X線回折を行ったところ、生成酸化物
はFe23 、スピネル構造であり、塩化物は確認でき
なかった。化学分析によりFe、Mg、Mn、Znの組
成を求めた。各組成は、表2に示したとおりであり、組
成のずれを生じることなくフェライト用原料酸化物が得
られていることがわかる。
【0041】この原料酸化物にSiO2 を0.1重量
%、CaCO3 を0.35重量%加え、純水を混ぜ、ア
トライターにて混合を行なった。混合後にスラリーを乾
燥し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVAを添加
し、造粒後、外形36mm、内径24mm、高さ10m
mのトロイダル形状に成形し、1290℃にて空気中で
焼成した。
【0042】得られた焼結コアの磁気特性として、1
5.75kHz、0.10T、100℃でのコアロスを
測定したところ、表5に示したように100mW/cm
3 という良好な磁気特性を得た。 (比較例1)実施例4と同様の炉を使用して、貯蔵タン
ク6内に貯蔵された実施例1で用いた塩化物混合溶液
(溶液1)と同一の溶液を送液ポンプ7で送り出し、酸
化焙焼温度1000℃に保持された噴霧焙焼炉5の炉頂
に設けられた噴霧装置8の噴霧ノズル9より噴霧し、こ
の溶液1を酸化焙焼し、炉底に酸化焙焼生成物10を得
た。
【0043】落下する液滴の落下時間は、ノズル近傍の
温度200℃から炉内の最高温度1000℃の位置まで
約4秒程度(昇温速度に換算すると約12000℃/
分)の落下時間となるように噴霧液滴の落下初速と炉頂
を決定した。X線回折定性分析を行ったところ、生成酸
化物はFe23 、Mn23 、スピネル構造であり、
塩化物は確認できなかった。
【0044】化学分析によりFe、Mn、Znの組成を
求めた。Fe、Mn、Znの組成は、表2に示したとお
りであり、Znの量が大幅に減少し、相対的にFe、M
nの組成が増加している。この原料酸化物に実施例1の
組成と同じになるように酸化亜鉛を加え、更にSiO2
を0.01重量%、CaCO3 を0.1重量%加え、純
水を混ぜ、アトライターにて混合を行なった。混合後に
スラリーを乾燥し、この乾燥粉末にバインダーとしてP
VAを添加し、造粒後、外形36mm、内径24mm、
高さ10mmのトロイダル形状に成形し、1340℃に
て1%の酸素を含む窒素雰囲気中で焼成した。
【0045】得られた焼結コアの磁気特性として、10
0kHz、0.20T、100℃でのコアロスを測定し
たところ、表3に示したように高いコアロスとなった。 (比較例2)実施例5と同様の焙焼条件で噴霧焙焼粉を
作成した。ただし落下する液滴の落下時間は、ノズル近
傍の温度200℃から炉内の最高温度1000℃の位置
まで約4秒程度(昇温速度に換算すると約12000℃
/分)の落下時間となるように噴霧液滴の落下初速と炉
長を決定した。
【0046】X線回折を行ったところ、生成酸化物はF
23 、スピネル構造であり、塩化物は確認できなか
った。化学分析によりFe、Ni、Mg、Mn、Znの
組成を求めた。各組成は、表2に示したとおりであり、
Znの量が大幅に減少し、相対的にFe、Mnの組成が
増加している。
【0047】この原料酸化物に実施例1の組成と同じに
なるように酸化亜鉛を加え、更にSiO2 を0.06重
量%、Bi23 を0.04重量%加え、純水を混ぜ、
アトライターにて混合を行なった。混合後にスラリーを
乾燥し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVAを添加
し、造粒後、外形36mm、内径24mm、高さ10m
mのトロイダル形状に成形し、1200℃にて空気中で
焼成した。
【0048】得られた焼結コアの磁気特性として、1M
Hz、及び10MHz、25℃での初透磁率を測定した
ところ、表4に示したような低い初透磁率となった。 (比較例3)実施例6と同様の焙焼条件で噴霧焙焼粉を
作成した。ただし落下する液滴の落下時間は、ノズル近
傍の温度200℃から炉内の最高温度1000℃の位置
まで約4秒程度(昇温速度に換算すると約12000℃
/分)の落下時間となるように噴霧液滴の落下初速と炉
長を決定した。
【0049】X線回折を行ったところ、生成酸化物はF
23 、スピネル構造であり、塩化物は確認できなか
った。化学分析によりFe、Mg、Znの組成を求め
た。各組成は、表2に示したとおりであり、Znの量が
大幅に減少し、相対的にFe、Mg、Mnの組成が増加
している。
【0050】この原料酸化物に実施例1の組成と同じに
なるように酸化亜鉛を加え、更にSiO2 を0.1重量
%、CaCO3 を0.35重量%加え、純水を混ぜ、ア
トライターにて混合を行なった。混合後にスラリーを乾
燥し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVAを添加
し、造粒後、外形36mm、内径24mm、高さ10m
mのトロイダル形状に成形し、1290℃にて空気中で
焼成した。
【0051】得られた焼結コアの磁気特性として、1
5.75kHz、0.10T、100℃でのコアロスを
測定したところ、表5に示したような高いコアロスとな
った。 (比較例4)実施例3で使用した溶液3を、図4に示し
た酸化焙焼炉で噴霧焙焼した。ただし、落下する液滴の
落下時間は、ノズル近傍の温度200℃から炉内の最高
温度1000℃の位置まで約4秒程度(昇温速度に換算
すると約12000℃/分)の落下時間となるように噴
霧液滴の落下初速度と炉長を決定した。
【0052】X線回折を行ったところ、生成酸化物は、
Fe23 、Mn23 、スピネル構造であり、塩化物
は確認できなかった。化学分析によりFe、Mn、Z
n、Cuの組成を求めた、各組成は、表2に示したとお
りであり、Zn、Cuの量が大幅に減少し、相対的にF
e、Mnの量が増加している。
【0053】この原料酸化物の実施例3の組成と同じに
なるように酸化亜鉛、酸化銅を加え、さらにSiO2
0.01重量%、CaCO3 を0.1重量%加え、純水
を混ぜ、アトライターにて混合を行った。混合後にスラ
リーを乾燥し、この乾燥粉末にバインダーとしてPVA
を添加し、造粒後、外径36mm、内径24mm、高さ
10mmのトロイダル形状に成形し、1250℃にて1
%の酸素を含む窒素雰囲気中で焼成した。
【0054】得られた焼結コアの磁気特性として、10
0kHz、0.20T、100℃でのコアロスを測定し
たところ、表3に示したように高いコアロスとなった。
実施例1、2、3、4、5と比較例1、2、3、4よ
り、本発明によれば、亜鉛、銅の組成ずれを伴うことな
く分散性の良好な原料酸化物を製造することが可能とな
り、その結果、磁気特性の良好な製品を製造することが
可能となった。
【0055】本実施例では、MnZnフェライト、Mn
ZnCuフェライト、MnMgNiZnフェライト及び
MnMgZnフェライト用原料酸化物の製造の場合を示
したが、これら以外のマンガン、ニッケル、マグネシウ
ムの成分のうちの1種以上含有するフェライトにも適応
可能である。また、亜鉛を含有し銅を含有しないフェラ
イト、亜鉛と銅を含有したフェライト以外に銅を含有し
亜鉛を含有しないフェライトにも適応できる。
【0056】酸化焙焼方法としては、ロータリーキルン
及び噴霧焙焼炉による焙焼方法を示したが、6000℃
/分以下の酸化焙焼昇温速度を満足できる焙焼炉であれ
ばどのような焙焼炉形式にも適応可能であり、流動焙焼
炉、バッチ炉等でもよい。また、加熱方式は、電気に限
らず、ガス、光等の全ての加熱方法に本発明は適応でき
る。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、本発明では、フェラ
イトを構成する金属元素である亜鉛等を同一の炉内にて
同時反応させることにより、1) 仮焼工程が省略され
低コストで、2) 焙焼後の後工程にて酸化物の形態の
亜鉛(あるいは銅)を混合せず、一度に鉄とマンガン
(あるいはニッケル、マグネシウム等)と亜鉛(あるい
は銅)の酸化物を焙焼炉内で製造するために、均一分散
性が向上した。その結果、焼結コアの磁気特性も向上し
たフェライト用原料酸化物の製造が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩化鉄、塩化マンガン、塩化亜鉛を3:1:
0.12の重量比率となるように混合して純水に溶解し
てなる塩化物溶液を5℃/minで昇温した場合のTG
曲線を表わした図である。
【図2】種々の熱分解温度の昇温速度依存性を表わした
図である。
【図3】実施例1〜3において使用したフェライト用原
料酸化物の酸化焙焼炉の模式図である。
【図4】実施例4〜6と比較例1〜3において使用した
フェライト用原料酸化物の酸化焙焼炉の模式図である。
【図5】従来方法によるフェライト製造プロセスを示す
図である。
【図6】従来の他の方法によるフェライト製造プロセス
を示す図である。
【符号の説明】
1 混合塩化物造粒粉 2 定量フィ
ーダー 3 ロータリーキルン 4 酸化焙焼
生成物 5 噴霧焙焼炉 6 塩化物混
合溶液貯蔵タンク 7 送液ポンプ 8 噴霧装置 9 噴霧ノズル 10 炉底から
得た酸化焙焼生成物

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄の塩化物と、マンガン、ニッケル、マ
    グネシウムの塩化物のうちの1種以上と、塩化亜鉛及び
    /又は塩化銅との混合塩化物を酸化焙焼することを特徴
    とするフェライト用原料酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化焙焼過程における昇温速度が600
    0℃/分以下である請求項1記載のフェライト用原料酸
    化物の製造方法。
JP4053718A 1991-03-14 1992-03-12 フエライト用原料酸化物の製造方法 Withdrawn JPH0594911A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014189485A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Murata Mfg Co Ltd フェライト仮焼粉末、積層型コイル部品、フェライト仮焼粉末の製造方法および積層型コイル部品の製造方法

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JP2014189485A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Murata Mfg Co Ltd フェライト仮焼粉末、積層型コイル部品、フェライト仮焼粉末の製造方法および積層型コイル部品の製造方法

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