JPH059398Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、配電盤収納ボツクス等の固定枠体に
対する扉の錠止操作と扉の開閉操作に使用される
扉用ロツクハンドル装置に関するものである。

（従来の技術） 扉に固着される受座の正面凹部にハンドルの全
部又は一部を没入し、受座の背面側の軸受筒にハ
ンドルの作動軸を回転及び摺動可能に嵌挿し、受
座に対するハンドルの錠止を解除したとき、圧縮
コイルバネの付勢によつてハンドルが握持位置に
直線的に摺動突出するロツクハンドル装置は既に
知られている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、押ボタンの基端部を枢軸で受座
に枢着した回転動作型の押ボタンを使用した従来
装置では、押ボタンの動きを規制する錠前を押ボ
タンに別途装備していない場合には、人体や物品
が押ボタン正面に偶発的に接触して押ボタンが扉
面と直角方向に押されたとき、ハンドルが無意図
的に突出作動する危険性があつた。

従つて本考案の目的は、製造コストが割高とな
る錠前を組込まなくとも、簡単な構成の付加によ
つて、ハンドルの無意図的な突出作動を的確に防
止できる直線突出型扉用ロツクハンドル装置を提
供することである。

（問題点を解決するための手段） 以下、添付図面中の参照符号を用いて説明する
と本考案の要旨は、扉１に固着される受座３の正
面凹部５にハンドル６の全部又は一部を没入し、
受座３の背面側の軸受筒２にハンドル６の作動軸
を回転及び摺動可能に嵌挿し、回動型押ボタン１
７を押してラツチ体１５を後退摺動させることに
よつて、受座３に対するハンドルの錠止を解除し
たとき、バネ６０の付勢によつてハンドル６が前
記正面凹部５から握持位置に軸受筒２に沿つて摺
動突出する扉用ロツクハンドル装置において、押
ボタン１７の正面部に扉正面とほぼ平行に摺動す
るスライドボタン３８を設け、該スライドボタン
３８と受座３側に設けたストツパー板４１との係
合をバネ３９の付勢によつて保持して、押ボタン
１７の押回し動作を制止することである。

（実施例） 図示の実施例は、作動方式が左回転停止型と右
回転停止型の２通りある左右兼用型の扉用ロツク
ハンドル装置に本考案を適用したものである。

本実施例では、ハンドル６の作動軸は、ハンド
ル６と一体形成された又はハンドル６に固着され
た円筒状の作動軸本体７と、該作動軸本体７の内
側に回転可能に嵌合され、軸線方向に移動しない
ように軸受筒２に固定された施錠軸筒４とに分割
して構成され、作動軸本体７の側面透孔８と施錠
軸筒４の軸線に沿つた長孔状の側面透孔９に挿通
した連結棒１０によつて、作動軸本体７と施錠軸
筒４とが一体回転可能に連結されている。

受座３の軸受筒２は扉１の背面側に直角に突出
し、受座３は軸受筒２の外周螺子部に螺合された
ナツト２３によつて扉１に締付け固着されてい
る。施錠軸筒４は軸受筒２に正面側から回転可能
に嵌挿され、その後端角軸部２４は軸受筒２の後
端開口２５から背面側に突出している。

作動軸本体７は軸受筒２と施錠軸筒４の間に嵌
挿されている。施錠軸筒４の角軸部２４に回転不
能に嵌合された止め金板２２は、スペーサー２６
を介してボルト２７によつて施錠軸筒４に締付け
固着されている。該スペーサー２６が軸受筒２の
後端面に当接する一方、施錠軸筒４の後端外鍔部
２８が軸受筒２の後端内鍔部２９に当接すること
によつて、施錠軸筒４は軸受筒２の軸線方向に移
動しないように固定されている。

配電盤収納ボツクス本体等の固定枠体３０に設
けた受金部３１に前記止め金板２２が係合するこ
とによつて扉１が固定枠体３０に錠止された状態
においては、ハンドル６の基端部６ａは受座３の
正面凹部５に没入しており、ハンドル６の回転は
該凹部５の左右内壁面５ａ，５ｂに基端部６ａの
左右側面が当接することによつて阻止されてい
る。この扉施錠状態では、作動軸本体７の非長孔
形の透孔８に挿入された連結棒１０は、施錠軸筒
４の長孔状の透孔９の後端部に係合している。

施錠軸筒４の前端部には皿状バネ受盤５４が嵌
合当接され、ハンドル突出付勢用の円錐形圧縮コ
イルバネ６０はその小径端側が該バネ受盤５４に
挿入され、大径端側が円筒状作動軸本体７の前端
内底部に当接している。作動軸本体７の側面受孔
１３には軸受筒２の側面透孔１２を通してラツチ
体１５の先端部が係合しているため、作動軸本体
７は没入位置に錠止されている。

ラツチ体１５の細長開口部３２に収容された圧
縮コイルバネ１４は、受座３の裏蓋板３３の正面
側のバネ受け突起３４と該開口部３２の先端側内
側面３２ａとの間で圧縮され、ラツチ体１５を施
錠軸筒４に向けて摺動付勢している。

裏蓋板３３の下端部分にラツチ体１５の両側に
突設された一対の軸受板部３５には、扇形状の連
動カム１９が横方向の枢軸１８で枢着され、該連
動カム１９の一端はラツチ体１５の前記開口部３
２の基端側内側面３２ｂに当接している。裏蓋板
３３の上端部分即ち軸受筒２側の端部にラツチ体
１５を挟むように突設された一対の軸受板部３６
には、押ボタン１７の上端部が横方向の枢軸１６
によつて枢着されている。該押ボタン１７には枢
軸１６より遠い方の下端部背面に駆動突子３７が
突設され、該駆動突子３７は前記連動カム１９の
他端に当接している。

押ボタン１７の中央開口部４８には矩形状のス
ライドボタン３８が嵌合され、該スライドボタン
３８の背面側にはスライドボタン３８の螺子孔４
４に螺子込まれたビス４５によつて制止体４６が
固着されている。この制止体４６はスライドボタ
ン３８の抜け止め手段と案内手段を兼ねている。

前記裏蓋板３３には前記各一対の軸受板部３
５，３６の中間部分にラツチ体１５を挟むように
取付ボス４０が突設され、該取付ボス４０の正面
端にはラツチ体１５の摺動案内を兼ねたストツパ
ー板４１がビス４２によつて固着されている。

スライドボタン３８は押ボタン１７のバネ受段
部６１との間に挿入された圧縮コイルバネ３９に
よつてハンドル６方向に摺動付勢されており、常
態では制止体４６は、前記ストツパー板４１の立
上り板部４１ａの側面に当接している。そのた
め、枢軸１６を中心として押ボタン１７を押下げ
回転操作することができない。

押ボタン１７の枢軸１６に嵌装された巻きバネ
４９の一端直線部４９ａは受座２の内側面の受溝
５０に挿入され、他端直線部４９ｂは押ボタン１
７のスライドボタン停止壁部の受孔５１に挿入さ
れている。押ボタン１７は前記圧縮コイルバネ１
４だけでなく、該巻きバネ４９によつても復帰回
転付勢されている。尚、この巻きバネ４９は省略
することもできる。

受座３にはラツチ体１５を配置した部分の反対
側に軸受筒２の内側面に開口した小孔５５が設け
られ、該小孔５５には棒型又は球型のデテント体
５６が収容され、外端部に螺子込まれたバネ受ビ
ス５７と該デテント体５６の間には圧縮コイルバ
ネ５８が挿入されている。ハンドル６の基端部６
ａが受座３の正面凹部５に没入しているとき、デ
テント体５６は作動軸本体７の外側面の軸線方向
に長い凹部５９の前端部に係合している。

施錠軸筒４の後端外側面には停止突子１１を設
けてあり、軸受筒２の後端内側面には左右対称位
置に２個の円弧状凹部２０，２１を設けてあり、
左回転停止型又は右回転停止型の作動方式に合せ
て、前記停止突子１１は左右一方の円弧状凹部２
０，２１に挿入される。

（作用） 第１図から第４図に示したように扉１が閉鎖さ
れて固定枠体３０に錠止されている状態から扉１
を解錠及び開放するには、先ず最初にスライドボ
タン３８をバネ３９の付勢に抗して下方に摺動さ
せる。このスライドボタン３８の下方摺動によつ
て制止体４６の下端部がバネ受段部６１の背後の
凹部４７に入り込み、制止体４６の上端部がスト
ツパー板４１の立上り板部４１ａより一定距離だ
け離脱する。そのため、制止体４６とストツパー
板４１に邪魔されることなく、枢軸１６を中心と
して押ボタン１７を押下げ回動させることができ
る。

押ボタン１７の押圧操作によつて連動カム１９
が枢軸１８を中心に回転するため、ラツチ体１５
がバネ１４の付勢に抗して後退摺動し、ラツチ体
１５の先端部が作動軸本体７の側面透孔１３から
脱出する。そのため、ハンドル６は圧縮コイルバ
ネ６０の摺動付勢によつて前方に突出し、この摺
動は連結棒１０が施錠軸筒４の長孔状透孔９の前
端部に当接することによつて停止する。この前方
摺動に伴ないデテント体５６が見掛け上凹部５９
内を摺動して凹部５９の後端部に係合する。

第４図に示したようにハンドル６の基部６ａが
受座３の正面凹部５から所定ストローク突出した
後、ハンドル６を所定方向に回すと、連結棒１０
を介して作動軸本体７に連動している施錠軸筒４
が同方向に回転し、前記止め金板２２が固定枠体
３０の受金部３１から離脱する。このハンドル６
の回転に伴なつてデテント体５６が凹部５９から
脱出し、作動軸７の外側面に当接する。

ハンドル６の回転角度は、施錠軸筒４の後端側
面に設けた停止突子１１が円弧状凹部２０の端壁
面２０ｂ又は円弧状凹部２１の端壁面２１ｂに当
接することによつて規制される。かくして、固定
枠体３０に対する扉１の錠止が解除され、ハンド
ル６を引くことによつて扉１が開放される。

扉１を施錠するには、扉１を閉鎖した後ハンド
ル６を逆方向に回し、ハンドル６と受座３の正面
凹部５が一直線状に整列した段階でハンドル６を
正面凹部５に押込めばよい。ハンドル６と正面凹
部５が整列したときには、施錠軸筒４の停止突子
１１が円弧状凹部２０の端壁面２０ａ又は円弧状
凹部２１の端壁面２１ａに当接し、デテント体５
６が凹部５９の後端部に再係合し、止め金板２２
が固定枠体３０の受金部３１に再係合している。

（考案の効果） 以上のように本考案の直線突出型の扉用ロツク
ハンドル装置では、枢軸１６を中心に回転動作す
る押ボタン１７の正面部に扉正面とほぼ平行に摺
動するスライドボタン３８を設け、該スライドボ
タン３８に設けた制止体４６と受座３側に設けた
ストツパー板４１との係合をバネ３９の付勢によ
つて保持するものであるから、積極的にスライド
ボタン３８を扉１面に沿つて摺動操作しない限
り、押ボタン１７が回転作動することがない。

そのため、人体や物品の偶発的な接触によつて
スライドボタン３８や押ボタン１７が扉面と直角
方向に押されても、ハンドル６が無意図的に突出
作動する危険性がないものである。

このスライドボタン３８と制止体４６の付加
は、従来の錠前の組込みと比較してコスト的に非
常に割安であり、ロツクハンドル装置全体の製作
加工コストの節減が可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例に係る扉用ロツクハン
ドル装置を示し、第１図は該ハンドル装置の扉施
錠状態の正面図であり、第２図は該ハンドル装置
の扉施錠状態の背面図であり、第３図は該ハンド
ル装置の扉施錠状態の左側面図であり、第４図は
第１図のＡ−Ａ線断面図である。第５図は該ハン
ドル装置のハンドル突出状態の縦断面図であり、
第６図は該ハンドル装置のハンドルを解錠方向に
回した状態の正面図である。第７図は第５図にお
けるＢ−Ｂ線切断部端面図であり、第８図は第４
図におけるＣ−Ｃ線切断部端面図である。 １……扉、２……軸受筒、３……受座、４……
施錠軸筒、５……正面凹部、６……ハンドル、７
……作動軸本体、８，９……直径方向の透孔、１
０……連結棒、１１……停止突子、１５……ラツ
チ体、１７……押ボタン、１９……連動カム、２
０，２１……円弧状凹部、２２……止め金板、３
０……固定枠体、３２……ラツチ体の開口部、３
３……裏蓋板、３８……スライドボタン、３９…
…圧縮コイルバネ、４１……ストツパー板、４６
……制止体、５６……デテント体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 扉１に固着される受座３の正面凹部５にハンド
   ル６の全部又は一部を没入し、受座３の背面側の
   軸受筒２にハンドル６の作動軸を回転及び摺動可
   能に嵌挿し、回動型押ボタン１７を押してラツチ
   体１５を後退摺動させることによつて、受座３に
   対するハンドル６の錠止を解除したとき、バネ６
   ０の付勢によつてハンドル６が前記正面凹部５か
   ら握持位置に軸受筒２に沿つて摺動突出する扉用
   ロツクハンドル装置において、押ボタン１７の正
   面部に扉正面とほぼ平行に摺動するスライドボタ
   ン３８を設け、該スライドボタン３８と受座３側
   に設けたストツパー板４１との係合をバネ３９の
   付勢によつて保持して、押ボタン１７の押回し動
   作を制止することを特徴とする直線突出型扉用ロ
   ツクハンドル装置。