JPH0593563U - 遠心沈降分離機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリューコンベヤのスクリューによる沈降
固形物の掻き出しを向上させる遠心沈降分離機。 【構成】 固液混合物は供給手段１から遠心沈降分離に
供給され、中空の円筒状体２の回転により重い固形物
は、遠心分離されるとともに、スクリューコンベヤのス
クリュー羽根の間に設けられたフィン７による沈降分離
の助けを受け分離効率を向上させられる。分離された固
形物は円筒状体２の内壁面上に移行する。スクリューコ
ンベヤのスクリュー羽根の先端部３₁ は、円筒状体の内
壁に対し垂直に対向するように曲げられている。内壁面
上に移行した固形物は、スクリューコンベヤ３の先端部
３₁ により効率よく掻き出されるとともに、スクリュー
コンベヤにより排出される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はスクリューコンベヤのスクリューの間にスクリューと並行なフィンを 有する遠心沈降分離機（フィンスクリュー付ダブルカント型デカンター）に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

この種の従来の遠心沈降分離機として、本願考案者は、先に特許第１００７７ ３２号（特開昭５０−０５４９６１号）および特公昭６３−１７５０２号（特開 昭６２−１５２５５６号）において、固形物と液状物の二種の物質の遠心沈降分 離機、および固形物に加えて、重質と軽質の二種の液状物からなる三種の物質の 混合物から三者をそれぞれに分離させる遠心沈降分離機を提案した。さらに、こ れらの分離効率を向上するために、特開平３−２４５８６０号公報に記載され、 図３、図４で示されるような遠心沈降分離機を提案した。

【０００３】 ボウル２２の高速回転によってボウル２２内の重質の固形物はボウル２２の内 壁面側に移行する。ボウル２２とは所定の回転差をもって回転するスクリューコ ンベヤ２３は内壁面上に移行した固形物を排出端２４に移送し排出孔２５から装 置外に排出する。スクリューコンベヤ２３のスクリュー羽根の間にスパイラル形 状のフィン２７がスクリューと並行して設備されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述した従来の遠心沈降分離機は、スクリューコンベヤのスクリュー羽根がボ ウル２２の内壁に対し傾斜しているため、分離された固形物の掻き出し能率が最 高ではない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案のフィンスクリュー付ダブルカント型デカンターおよびフィンスクリュ ー付３相分離ダブルカント型デカンターにおいては、スクリューコンベヤのスク リュー羽根の先端部分は中空の円筒状体の内壁に対して垂直に対向するように曲 げられている。具体的には図１および図２に示されている。

【０００６】 本考案の遠心沈降分離機の一実施態様によれば、ダブルカント型スクリューデ カンターのスクリューコンベヤのシャフト上に固定され、先端部がボウル内壁に 垂直に曲げられたスクリュー羽根の先端部を除く部分に平行して連続している１ または複数のスパイラルフィンを有するものである。

【０００７】 このフィンの枚数は、最大の場合で５０枚程度であり、フィンの先端とデカン ターの内壁面との間の距離は５〜１００mmの範囲内とされ、フィンの厚さは、通 常、０．５〜６ｍｍの範囲内とされる。

【０００８】 フィンが設備される間隔は可及的に小さいことが混合物中の各成分のそれぞれ の移動距離を短縮するのであり、沈降分離の効率は大きくなる。しかし、過小と なった場合には、フィン相互の間の空間を固形物が閉塞させ、フィン相互間の空 間からの固形物の放出を制約する危険が生じる。従って、処理すべき対象の固液 混合物の性状により、この間隔が決定されるべきである。

【０００９】 被処理混合物の固形物含量が大きい場合には、当然のことながら、フィンの先 端とデカンターの内壁面との間の距離が大きいものであることが、望ましいので あり、固形物を少量含有する混合物が対象である場合は、当然のことながら、フ ィンの先端とデカンター内壁面との間の距離が小さいものであることがフィンの 機能表面の拡大を伴い分離能率を高く維持するために望ましい。

【００１０】 従って、所望によりデカンターのフィン付スクリューは、一台のデカンターに 対して、フィンの先端とデカンターの内壁面の間の距離が相違するもの複数本を 備えて被処理混合物の固形物含量に適応するフィン付スクリューに交換して使用 することが更に望ましい。

【００１１】 ダブルカント型のスクリューデカンターであるために内部に通過する被処理物 層の表面と装置の内壁面の間の距離、即ち、液深が大きいのでありこれに伴い被 処理物層に挿入されているフィンの挿入長を可及的に大きくすることにより分離 の精度と容量を向上させ得るのである。

【００１２】 フィンが固定されるシャフトの中心軸に対するフィンの傾斜の角度は沈降距離 を短縮し分離効率を向上させるためには小さいことが好ましいが、過小であれば 、フィン相互の間の空間を固形物が閉塞させて、フィン相互間の空間からの固形 物の放出を制約する傾向が生じる。

【００１３】 フィンが固定されるシャフトの中心軸に対するフィンの傾斜の角度は、１０〜 ８５度の範囲内とされる。フィンの表面は平滑であってもよく、フィンの分離作 用を発生させるフィン表面の拡大のため半径方向の滑らかな溝状起伏が与えられ た表面であってもよい。

【００１４】 フィンはスクリュー羽根に平行的に巻設されたスパイラルフィン以外の他の一 態様として、中心回転軸に平行あるいは中心回転軸方向に沿って、回転中の混合 物の自由表面に斜めで中心回転軸上から放射的に配設された薄板状体の群であり 、その群の外縁部にスクリュー羽根が巻設されたものでよい。

【００１５】 スクリューおよびフィンの協働により、能率よく沈降された固形物は、ボウル 内壁に集まり、スクリュー羽根により掻き出されるが、スクリュー羽根の先端部 がボウル内壁に対し垂直になるように曲げられているので、その掻き出し効率は 非常に良好となる。

【００１６】

【作用】

スクリュー羽根の先端部分が中空の円筒状体の内壁に対して垂直に対向するよ うに曲げられているので、中空の円筒状体の内壁に沈降した固形物を能率よく掻 き出す。

【００１７】

【実施例】

次に、本考案の実施例について図面を参照して説明する。

【００１８】 図１は、本考案の遠心沈降分離機の概略を説明するための縦断端面図、図２は 図１のフィンとスクリューの拡大縦断端面図である。

【００１９】 被処理混合物は供給管１および孔１２を通って、高速で回転している大径部分 から円筒状のボウル２の中に流入する。ボウル２の高速回転によって与えられる 遠心力により重質の固形物はボウル２の内壁面側に移行する。ボウル２とは所定 の回転差をもって回転するスクリューコンベヤ３は内壁面上に移行した固形物を 排出端４に移送し排出孔５から装置外へ排出する。スクリューコンベヤ３のスク リュー羽根の先端部３₁ はボウル２の内壁面に対し垂直に対向するように曲げら れているので、固形物の移行すなわち掻きだしは非常に良好に行われる。固形物 は排出端４に達する直前にダブルカント部分中のビーチ６を通過して充分に脱液 処理を受ける。円筒状部分に連続するビーチ６は、中心軸に対する傾斜角度が大 きい円錐台状の内壁面に続いて中心軸に対する傾斜角度が小さい内壁面のうち液 面より上の部分がその役目を果す。スクリューコンベヤ３のスクリューの間にス パイラル形状で設備されるフィン７が存在するために、被処理混合物の相当部分 がスクリューおよびフィン７に沿って流れねばならず抵抗をうける。この抵抗に より被処理混合物はボウル２の内壁面に近い部分を流れようとする。この内壁面 に近い部分は回転中心から距離が大きく、これに伴い付加される遠心力が大きい ために、分離効率が高くなる。一方、フィン７が挿入された被処理混合物層の中 では、被処理混合物に加わる遠心力は比較的小さくはなるが、被処理混合物中の 重質粒子と軽質粒子はフィン７相互間およびフィン７とスクリュー羽根の間の垂 直距離、即ち、沈降距離が短縮されていることと、フィン７との接触により、そ の沈降あるいは浮上、これらに引続く凝集が促進されて分離精度を向上させる。 特に、固形物、重質液体、および軽質液体からなる被処理混合物からの三者の分 離においては重質液体と軽質液体の分離精度の向上がフィン７との接触による凝 集の作用により顕著となる。

【００２０】 ボウル２を通過し分離された軽質液体は堰８を溢硫して排液孔９から装置外に 去る。同様に、分離された重質液体は堰１０を溢硫し排液孔１１から装置外に去 る。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、スクリューコンベヤのスクリュー羽根の先端部 分を、ボウルすなわち中空の円筒状体の内壁面に対し垂直に対向するように曲げ ていることにより、良好に分離され中空の円筒状体の内壁に集まった固形物を効 率よく掻き出し排出口に移行できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の遠心沈降分離機の概略を説明するため
の断端面図である。

【図２】図１のフィンとスクリューの拡大縦断端面図で
ある。

【図３】従来例を示す断面図である。

【図４】図３のフィンを示す拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 供給管 ２ ボウル ３ スクリューコンベヤ ３₁ スクリュー羽根の先端部 ４ 排出端 ５ 排出孔 ６ ビーチ ７ フィン ８，１０ 堰 ９，１１ 排液孔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心軸を中心として高速回転させられる
   中空の円筒状体；該円筒状体中への固液混合物の供給手
   段；該円筒状体中において沈降する固形物を排出孔へ移
   送するスクリューコンベヤ；中心軸との交差角度が大き
   い円錐台状の内壁面を有し、大口径端部が該円筒状体の
   固形物排出側の端部に固定されて連続する中空体；中心
   軸との交差の角度が小さい円錐台状内壁面を有し、該中
   空体の小口径の端部と固定されて連続する一端があり、
   この一端は該円筒状体の回転中、その内部に形成される
   内容物の円筒状の自由表面と同等の位置かまたは自由表
   面下の位置にあり、他端が排出孔に連通する第二の中空
   体；該円筒状体の他の端部にあって、固液混合物から分
   離した液体の溢流を制御する堰；および、溢流した液体
   の排出手段；該スクリューコンベヤのスクリュー羽根が
   設備された空間中に、半径方向に該自由表面に対して傾
   斜し、平面がスクリュー羽根に沿うように該スクリュー
   コンベヤに固定された一枚以上のフィンとを有するかあ
   るいはスクリューコンベヤのスクリューの表面相互の間
   にある空間中において半径方向に前記自由表面に対して
   傾斜し、平面が回転軸方向に沿うようにスクリューコン
   ベヤのシャフトに固定された一枚以上のフィンを有し、
   フィンスクリュー付ダブルカント型デカンターと称され
   る遠心沈降分離機において、 該スクリューコンベヤのスクリュー羽根の先端部分は該
   中空の円筒状体の内壁に対して垂直に対向するように曲
   げられていることを特徴とする遠心沈降分離機。
2. 【請求項２】 前記フィンスクリュー付ダブルカント型
   デカンターおいて、円筒状体の一端に円錐台状中空体を
   接続させ、他端に固液混合物から分離した重質と軽質の
   両液体を、分別的に排出させるための堰等の手段を有し
   フィンスクリュー付３相分離ダブルカント型デカンター
   と称される遠心沈降分離機において， 該スクリューコンベヤのスクリュー羽根の先端部分は該
   中空の円筒状体の内壁に対して垂直に対向するように曲
   げられていることを特徴とする遠心沈降分離機。