JPH0636883B2 - スクリュー型遠心分離機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスクリュー型遠心分離機に関する。

〔従来の技術〕

スクリュー型遠心分離機としては、デカンター型が広く
知られており、これは第４図縦断面図に示すように、一
端に先細の載頭円錐部が形成されたいわゆる回転胴内に
スクリューコンベアーを同軸的に軸支し、回転胴とスク
リューコンベアーを若干の差速をもってそれぞれ同一方
向に高速回転することにより、回転胴の原液を遠心力を
利用して軽液成分と重液成分とに分離する。

このデカンター型遠心分離機では、比重差に基づいて回
転胴内で、内層部に移動分離した軽液成分は回転胴の大
径端から外部に取出され、また外層部に移動分離した重
液成分は回転胴の小径端から外部に取出される。

しかしながら、この種の分離機をバイオリアクターから
の反応液の固液分離、下水汚泥の濃縮、果実ジュースの
懸濁物の分離、ファインケミカル分野のコロイド状微粒
子の分離等ペースト質の柔軟な固形物処理に使用する場
合には、下記のような問題がある。

すなわち、デカンター型遠心分離機の傾斜部のビーチゾ
ーンでは、第５図部分縦断面図に示すように、重液成分
は遠心力ベクトルのビーチ部の傾斜面に沿う成分すなわ
ち滑落力ベクトルに抗して小径端方向に移動するので、
回転胴を短縮化するために傾斜部の勾配を大きくする
と、それに比例して滑落力も大きくなってしまう。滑落
力を小さくするために傾斜部の勾配を小さくすると、回
転胴の胴長は大きくなりコストアップを招くことにな
る。

また、重液成分中の固形分がせん断変形しにくい性状の
ものであれば、スクリューコンベアーの掻揚力は有効に
作用し効率よく固形分の掻揚げができるが、固形物が前
記のようにバイオケミカルの生成物等のようにペースト
質の柔軟なものでは、回転胴とスクリューコンベアーと
の間のすきまから漏洩したり、らせんブレードに沿って
滑落し、掻揚力が効果的に作用せず、効率よく掻揚げが
できない。

この点を解決する手段として、特公昭53-13058号で提案
された手段、特開昭58-43253号で提案された手段等が知
られている。

前者では回転胴の傾斜部とデカンター部との境界付近に
環状邪魔板を設け、直胴部の軽液と重液の界面高さを調
節することにより、傾斜部の重液の液面高さが重液排出
口と一致するようにして重液を排出する。しかしなが
ら、この手段では、排出口直前位置にスラッジが沈積し
て重液の流れを阻害する関係で、重液の流れが不安定な
脈動流となり易く、また原液の性状や処理量が変わる
と、軽液出口堰板の交換が必要となるので、取扱いが厄
介である。

後者では、傾斜部に比較的大勾配部と比較的小勾配部と
を縦列的に形成するのであるが、固形物が難排出性の場
合、小勾配部がかなり長胴となるので、設備費、設置面
積がともに増大する。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明はこのような事情に鑑みて提案されたもので、軸
長を短くし、取扱い容易とし、低コストでしかもペース
ト質の柔軟な固形物成分でも効率よく分離、排出する高
性能かつ経済的なスクリュー型遠心分離機を提供するこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

そのために第１の発明は円筒の一端から他端近くにわた
る比較的長い分離部と、残部の比較的短い掻揚部よりな
る両端がそれぞれ中心孔を有する端板にて閉塞され中心
軸線の周りに高速回転する回転胴と、同回転胴を同軸的
に貫通し上記分離部にわたる部分を形成する中空軸部の
外周にらせん状に巻着され外端縁が若干のすきまを存し
て上記回転胴の内面に対向するらせんブレードを有し若
干の差速をもって高速回転するスクリューコンベアー軸
と、同スクリューコンベアー軸の上記掻揚部にわたって
放射状に延び遠心力で外向半径方向に付勢され先端縁で
上記回転胴のガイド面に摺接する複数のスクレーパーと
を具え、上記スクリューコンベアー軸の中空軸部を経て
原液を上記回転胴の分離部に供給し、上記分離部の一端
側の端板を横切って軽液を取出すとともに、上記掻揚部
から重液をその排出孔を経て取出すようにしたことを特
徴とする。

また、第２の発明は上記第１の発明において分離部と掻
揚部との境界で内周部がスクリューコンベアー軸に取付
けられ回転胴の内面に沿って分離部から掻揚部へ流れる
重液の移動を許容する半径方向の狭いすきまを有する環
板状仕切板を具えたことを特徴とする。

〔作 用〕

第１の発明によれば、軽液は高速回転する回転胴で遠心
力の作用によりデカンター型遠心分離機と同一要領で分
離され、重液は軽液の分離に伴い濃縮されるとともにス
クリューコンベアー軸により掻揚部に向かって移動する
ことにより濃縮が進行しながら回転胴中を分離部から掻
揚部へ移動する。

掻揚部では、比較的低速度で回転胴に対して相対的に回
転するスクリューコンベアー軸に付設されたスクレーパ
ーが掻揚部の非同心円ガイド面を摺接することで、重液
特にその含有固形物はビーチを越えて掻揚げられ、掻揚
部の半径方向の排出孔を経て外部に排出される。

分離部と掻揚部との境界に仕切板が設けられた場合は、
仕切板は濃縮物を優先的に掻揚部へ導入するとともに、
スクレーパーと協働して濃縮物を効果的に掻揚げること
で、柔軟性固形物でも効率的に分離することができる。

〔実施例〕

本発明の一実施例を図面について説明すると、第１図は
その全体縦断面図、第２図は第１図のII−II断面図、第
３図は第２図の変形例を示す同じくII−II断面図であ
る。

本発明が第４図の構造と大きく異なるところは、回転胴
の傾斜部をなくして、回転胴全体を円筒状とするととも
に、スクリューコンベアーも円錐らせんブレード部をな
くして全体を円筒状らせんブレード部としてことと、回
転胴の重液排出側の部分を掻揚部とし、ここにスクリュ
ーコンベアーの軸端部に放射状に突設されたスクレーパ
ーで回転胴内周面をスクレーピングするようにした点に
ある。

まず、第１〜２図において、１は水平円筒状の回転胴
で、その前後端はそれぞれ中心に中空ジャーナルが突出
する前部端板２、後部端板３で閉塞され、回転胴１はそ
の前部端板２から後部端板３の近くまで延びる分離部1a
と、残りの部分である若干大径の掻揚部1b とよりな
る。

掻揚部1b を形成する部分の回転胴の内面には央部がく
びれたいわゆるまゆ型の断面のガイド面４を形成するガ
イド部材５が嵌着され、そのくびれ部には回転胴を貫通
する直径方向の濃縮液排出孔６が貫設されている。７は
スクリューコンベアー軸で、その前後端ジャーナル及び
前部端板２、後部端板３の軸受を介して回転胴１に同軸
的に軸支され、その分離部1a にわたる中空軸部８の外
周にはらせんブレード９が巻回的に突設され、その先端
は分離部1a の回転胴内面に対し小さいすきまをもって
対向し、その掻揚部1b にわたる部分には外向半径方向
に摺動自在に支持された１対の長方形スクレーパー10
がほぼ直径方向に対称的に配設され、その外端縁がガイ
ド部材５のまゆ型ガイド面４に摺接するようになってい
る。

12 はスクリューコンベアー軸７に分離部1a と掻揚部1b
との境界位置で固定され外周が狭いすきまを存して回
転胴内面に対向する円環板状仕切板、15 は回転胴１を
包囲するケーシング、16 は回転胴１の前部端板２、後
部端板３の中空ジャーナルをそれぞれケーシング15 の
前後端に軸支する前後１対の主軸受、17 はスクリュー
コンベアー軸７の中空軸部８に内挿された原液供給管、
18,19はそれぞれケーシング15 の前端、後端に下方へ突
設された分離液排出口、濃縮液排出口、20,21はそれぞ
れモータ、減速機である。

このような構造において、原液供給管17 を経て回転胴
１に供給された原液は、まず分離部1a において、公知
の要領で、遠心分離され、軽比重成分Ｌは分離液として
分離液排出口18 から排出される。

軽液成分の分離に伴い濃縮された重比重成分Ｈはスクリ
ューコンベアー軸７のらせんブレード９により掻揚部1b
に向かって徐々に移動しながら濃縮され、仕切板12 と
回転胴１とのすきまから掻揚部1b に入り、ここで、第
２図に示すように濃縮液中の固形分はまゆ型ガイド面４
に沿って摺接するスクレーバー10 によりスクレープさ
れビーチゾーンＺを越えて濃縮液排出孔６を経てケーシ
ングの濃縮液排出口19 から排出される。

仕切板12 は重液成分と軽液成分とを仕切るとともに濃
縮物を優先的に掻揚部へ導入し、その際、スクレーパー
10 と協働して掻揚効率を高める作用を行いスクリュー
コンベアー軸に固定する代わりに回転胴に固定すること
もできる。

なお、性能は若干低下するが、使用目的によっては、構
造簡単化のために、仕切板は省略することも可能であ
る。

また、ガイド部材５には第３図に示すように、偏心円状
ガイド面4a を有するガイド部材5a を採用することがで
き、この場合、Za がビーチゾーンとなる。

本実施例においては、直胴の分離部に掻揚部を連設して
いるが、傾斜部分を有する分離部に掻揚部を連接する構
造も可能である。

〔効 果〕

以上説明した構成と作用を有するスクリュー型遠心分離
機によれば、下記の効果が奏せられるので本発明は産業
上極めて有益である。

(1) 回転胴は傾斜部を有しない円筒胴となるので、そ
の全長を短縮化するとともに製作が容易となることで、
コストが低減するとともに回転数を更に増加して遠心効
果を高めることができる。

(2) 濃縮液の排出は連続的に安定化するので、かなり
の高濃度液でも処理できる。

(3) 濃縮液の排出制御は回転胴とスクリューコンベア
ー軸との差速調節により容易に行うことができる。

(4) 固形物の性状がペースト質の柔軟性であっても、
濃縮液を安定して排出できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す縦断面図、第２図は第
１図のII−II断面図、第３図は第２図の変形例を示す同
じくII−II断面図である。４図は公知のデカンター型遠
心分離機を示す縦断面図、第５図は第４図のビーチゾー
ン部の拡大図である。 １；回転胴、1a；分離部、1b；掻揚部、２；前部端板、
３；後部端板、4,4a；ガイド面、5,5a；ガイド部材、
６；濃縮液排出孔、７；スクリューコンベアー軸、８；
中空軸部、９；らせんブレード、10；スクレーパー、1
2；仕切板、15；ケーシング、16；主軸受、17；原液供
給管、18；分離液排出口、19；濃縮液排出口、20；モー
タ、21；減速機、Ｆ；液面、Ｇ；原液、Ｈ；濃縮液、
Ｌ；分離液、Z,Za；ビーチゾーン。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒の一端から他端近くにわたる比較的長
   い分離部と、残部の比較的短い掻揚部よりなり両端がそ
   れぞれ中心孔を有する端板にて閉塞され中心軸線の周り
   に回転する回転胴と、同回転胴を同軸的に貫通し上記分
   離部にわたる部分を形成する中空軸部の外周にらせん状
   に巻着され外端縁が若干のすきまを存して上記回転胴の
   内面に対向するらせんブレードを有し若干の差速をもっ
   て回転するスクリューコンベアー軸と、同スクリューコ
   ンベアー軸の上記掻揚部にわたって放射状に延び遠心力
   で外向半径方向に付勢され先端縁で上記回転胴のガイド
   面に摺接する複数のスクレーパーとを具え、上記スクリ
   ューコンベアー軸の中空軸部を経て原液を上記回転胴の
   分離部に供給し、上記分離部の一端側の端板を横切って
   軽液を取出すとともに、上記掻揚部から重液をその排出
   孔を経て取出すようにしたことを特徴とするスクリュー
   型遠心分離機。
2. 【請求項２】請求項第１項記載のスクリュー型遠心分離
   機において、分離部と掻揚部との境界で内周部がスクリ
   ューコンベアー軸に取付けられ回転胴の内面に沿って分
   離部から掻揚部へ流れる重液の移動を許容する半径方向
   の狭いすきまを有する環板状仕切板を具えたことを特徴
   とするスクリュー型遠心分離機。