JPH0589436U - シールプレート用防熱板を有するコークス炉用炉蓋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シールプレート式炉蓋において、シールプレ
ートの熱変形や亀裂発生を防止し寿命延長を図る。 【構成】 シールプレートの炉内側に、シールプレート
に平行に防熱板を取付ける。 【効果】 シールプレートの温度を低く抑えることがで
きる上、掃除用高圧水クリーナ使用等による急激な温度
低下を防止することができるので、シールプレートの熱
変形や亀裂発生を防止できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、コークス炉用炉蓋のうち、シールプレートを備えた炉蓋に関する。

【０００２】

【従来の技術】

コークス炉の炉蓋は、水平室炉式コークス炉において乾留過程中の石炭、ある いはコークスの流出を防ぐために長手方向両端である押出機側・消火車側２ヶ所 垂直方向に設けられており、乾留中の炉内装入物の炉からの流出を防ぐ役目を有 すると共に、炉内装入物からの各種発生ガスの大気への漏洩をも防ぐ役目を有す る。

【０００３】 炉蓋は乾留過程の最後には、炉内装入物であるコークスを炉外に押し出すため に炉から取り外され、押出しが完了すると再び取り付けられる。

【０００４】 しかしながら乾留中の温度変動に対し、炉側及び炉蓋側の熱変形量が相互に異 なる為炉蓋のガスシール性が損なわれ、大気へのガス漏洩はひどいものであった 。この欠点を解消するために、例えば実公昭５３−３２４３号公報に見られるよ うなシールプレートを備えた炉蓋が考案され、環境規制の強化とも相まって現在 ではこのタイプの炉蓋が主流を占めつつある。

【０００５】 しかしながら、シールプレートを備えた炉蓋の欠点は前記熱変形量差を補うべ くシールプレート部が追従しやすいようにシールプレートの材料に非常に薄い鋼 板を使用していることであり、このために炉内からの輻射熱を受け、特に炉蓋の 上部ではおおきな変形を起こし、最終的には亀裂の発生に至ることである。

【０００６】 この亀裂を防止するために、特公昭４８−３０６４１号公報に述べられている ように、押出機側炉蓋に小蓋内枠を防熱板の代わりとして使用している例は見ら れるが、この方式はシールプレート面に垂直に形成された蓋を利用して炉内から の輻射熱を遮断するものであるため、シールプレートに対する防熱効果は低かっ た。

【０００７】 また消火車側炉蓋にはシールプレートに対する防熱対策の施されたものはなか った。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

炉蓋の構造を説明しながら従来炉蓋の問題点について以下に述べる。 図３は従来の炉蓋を炉に装着した状態を示す炉押出機側炉蓋の部分縦断面図で ある。 図４は図３上部の部分拡大図である。

【０００９】 図３において炉蓋７の炉内側にはシールプレート１４が炉蓋７全面を覆うよう に設けられており、更にその炉内側には断熱用としての役目を果す耐火物１１が 取付けられており、その上部には石炭装入中の均し作業用のための均しビーム通 過用空間１０があり、この空間１０から発生ガスが大気に漏れないようにするた めの小蓋８が設けられている。小蓋８の炉内側にはシールプレート１４を挟んで 小蓋内枠９が設けられており、シールプレート１４への若干の防熱の役目を果し ている。

【００１０】 シールプレート１４はその周囲をナイフエッジ１３と溶接固定された構造とな っており、ナイフエッジ１３が炉枠５に接触することにより、ガスシール性を保 持している。炉枠５や炉蓋７は乾留中の熱変形により相互間距離が変化するため 、シールプレート１４は弾力性のある薄い金属材料で作られている。

【００１１】 炉内装入物６から発生したガスはコークス炉の天井部１と、炉内装入物６の間 の空間１２を通って上昇管通路２へと導かれた後回収される。

【００１２】 しかしながらシールプレート１４は約１０００℃の炉内壁面及び発生ガスから 輻射熱を受けて高温となり、熱膨張による変形が発生する。

【００１３】 次に乾留過程における温度変動をシールプレート１４を主体に説明する。

【００１４】 炉蓋は炉に装着されると、石炭装入までのしばらくの間炉壁からの輻射熱を受 け、シールプレートの温度は急上昇する。

【００１５】 石炭装入と同時にシールプレート温度は一旦低下するが、乾留経過に伴い徐々 に温度が上昇していく。

【００１６】 乾留末期には、装入蓋４を外して大気を炉内に導入することにより装入口３に 付着したカーボンを燃焼除去する作業を行うことがあり、この大気導入によりシ ールプレート温度は更に上昇する。この時シールプレート温度は６００℃を超え る温度になることもある。

【００１７】 乾留が終了すると、炉内装入物６を炉外へ押し出すために炉蓋７は炉から取外 され、一連の炉出し作業が完了して炉に再び装着されるまでの間大気空間に置か れる。

【００１８】 この時間を利用して、各種の炉蓋掃除作業が行われるが、従来この掃除作業は 、機械的方式によっていたためシールプレート１４自体は炉から取外された後、 次の取付けまでの間大気で徐冷されていた。しかしながら、機械式掃除では完全 な掃除が期待できず炉に取付けるとガス漏れが起こるなどの欠点を有していたた め、最近では高圧水による掃除方法が普及しつつある。この掃除方法では高圧水 をナイフエッジ１３及びシールプレート１４に吹き付け、付着タールや異物を吹 き飛ばす方法のためシールプレート１４は急激な温度が低下する。

【００１９】 このような一連の温度変動を１〜１．５回／日の頻度で繰り返し受けるため、 シールプレートの熱変形はどんどん蓄積されてゆき、短期間で亀裂発生に至りガ ス漏れが発生する等の欠点を有していた。この現象は最近主流になりつつある高 圧水による掃除方法採用の場合特に著しい傾向にある。

【００２０】 シールプレートを備えた炉蓋の欠点は、シールプレート部が熱変形量差に追従 しやすいようにシールプレートの材料に非常に薄い鋼板を使用していることであ り、このために炉内からの輻射熱を受け、特に炉蓋の上部では大きな変形を起こ し、最終的には亀裂の発生に至ることである。更に最近では炉蓋を取外したとき の、ガスシール部分の掃除用として高圧水掃除機が使用され始めたために、乾留 末期の高温状態から一気に急冷されるという過酷な条件に晒されるようになり、 今まで以上に早く亀裂発生に至るようになってきた。

【００２１】 本考案の目的は、シールプレートの炉内側にシールプレートに平行に防熱板を 設けることによって、シールプレートを直接防熱板で覆うのでシールプレートに 対する防熱効果を高め、シールプレートの亀裂発生を防止する炉蓋を提供するも のである。

【００２２】

【課題を解決するための手段】

本考案は、シールプレートを備えたコークス炉用蓋において、シールプレート の炉内側にシールプレートに平行に防熱板を設けることによって上記課題を解決 した。

【００２３】

【作用】

本考案のシールプレート防熱板は炉内からの輻射熱を防熱板で一旦受け止め、 シールプレートとの間の断熱層でシールプレートに熱を伝えにくくするので、シ ールプレートの温度を低く抑えることができる上、炉蓋を取り外した際の高圧水 吹き付け等による急激な温度低下を防止することができる。

【００２４】

【実施例】

次に本考案の実施例を図面により詳細に説明する。以下の説明は押出機側炉蓋 について行うが消火車側炉蓋も同様である。図１は本考案の実施例を示す押出機 側炉蓋の部分側面拡大図であり、図２は図１のＡ−Ａから見た部分拡大図である 。

【００２５】 図１において炉蓋７の炉内側にはシールプレート１４が炉蓋７全面を覆うよう に設けられており、更にその炉内側には断熱用としての役目を果す耐火物１１が 取付けられており、その上部には石炭装入中の均し作業用のための均しビーム通 過用空間１０があり、この空間１０から発生ガスが大気に漏れないようにするた めの小蓋８が設けられている。小蓋８の炉内側にはシールプレート１４を挟んで 小蓋内枠９が設けられており、シールプレート１４への若干の防熱の役目を果し ている。

【００２６】 シールプレート１４はその周囲をナイフエッジ１３と溶接固定された構造とな っており、ナイフエッジ１３が炉枠５に接触することにより、ガスシール性を保 持している。炉枠５や炉蓋７は乾留中の熱変形により相互間距離が変化するため 、シールプレート１４は弾力性のある薄い金属材料で作られている。均しビーム 通過用空間１０の上部のシールプレート１４の炉内側にはシールプレートに平行 に本考案の防熱板１５が設けてあり、シールプレート１４と防熱板１５との間に は断熱層１６が形成される。

【００２７】 図３に本考案の防熱板１５の平面形状が示されている。

【００２８】 本考案ではシールプレート１４に対して炉内側にある距離離れた位置に平行に 防熱板１５を設けたので、炉壁及びガスからの輻射熱は一旦防熱板１５で受け止 められる。

【００２９】 シールプレート１４との間の断熱層１６はこの熱を伝えにくくするので、シー ルプレートの温度は低く抑えることが可能となる。その上炉蓋７を取り外した際 の掃除用高圧水吹き付け等による急激な温度低下を防止することができるので、 シールプレート１４の変形や亀裂を防止でき、寿命延長が図れる。

【００３０】 シールプレート１４と防熱板１５との間の断熱層１６は単なる空間でも良いが 、断熱材を挿入すれば更に良い断熱効果が得られる。

【００３１】 またナイフエッジ１３側に浮き上がり防止用の金具（図示せず）を取り付けれ ば防熱板１５の変形防止用として効果がある。

【００３２】 さらに説明は炉蓋上部について行ったが、炉蓋周囲にも適用できるのは当然で ある。

【００３３】 以下に本実施例による効果の一例を実験データにより示す。

【００３４】

【表１】

【００３５】 上表から分かるように本考案による防熱板は、シールプレートの最高到達温度 を低減できるのみならず、炉蓋取外し後の温度低下も大幅に低減できるためシー ルプレート１４の変形や亀裂発生を防止でき、寿命延長が図れる。

【００３６】

【発明の効果】

本考案によって下記に示すような効果が期待できる。 （１）炉内からの輻射熱を一旦防熱板で受け止めるので、シールプレートの温度 を低く抑えることができる。 （２）掃除用高圧水クリーナー使用による急激な温度低下を大きく低減すること ができる。 （３）炉蓋取外し直後のシールプレートの空冷による温度低下を低減することが できる。 （４）乾留末期に行われることがある大気導入に伴うシールプレートの最高温度 を低減することができる。 （５）炉蓋取付後のシールプレートの温度上昇とそれに続く石炭装入後の温度低 下等の変動幅を低減することができる。 （６）シールプレートの熱変形や亀裂発生を防止することができる。 （７）シールプレートの寿命延長が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】炉蓋上部へ本考案による防熱板を取付けた押出
側炉蓋の部分断面図。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視図。

【図３】従来の炉蓋の炉への装着状況押出側部分側面
図。

【図４】図３の部分拡大図。

【符号の説明】

１…コークス炉の天井部 ２…上昇管通路 ３…装入口 ４…装入蓋 ５…炉枠 ６…炉内装入物 ７…炉蓋 ８…小蓋 ９…小蓋内枠 １０…均しビーム
通過用空間 １１…耐火物 １２…発生ガスが
通過する空間 １３…ナイフエッジ １４…シールプレ
ート １５…防熱板 １６断熱層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 中川洋治 北九州市戸畑区飛幡町１番１号 新日本製 鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)考案者 山▲崎▼ 今朝夫 北九州市戸畑区幸町７番14号 山▲崎▼産 業株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シールプレートを備えたコークス炉用炉
   蓋において、シールプレートの炉内側にシールプレート
   に平行に防熱板を設けたことを特徴とするシールプレー
   ト用防熱板を有するコークス炉用炉蓋。