JPH058860Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、例えば鮎の友釣りに用いられるお
とり鮎を収納するおとり缶に関し、より詳細に言
えば、鮎の友釣りに用いられるおとり鮎を収納し
て釣り場へ傾向したり、釣り場において水中に浸
漬しておとり鮎や釣り上げられた鮎を収納するお
とり缶に関するものである。

（従来の技術） 角形のおとり缶を釣り場で使用する場合、おと
り缶内に新鮮な水流を積極的に流入させて、おと
り缶内の水温の上昇及び酸素欠乏を防止するため
おとり缶を横置、すなわち、おとり缶を横倒しに
した状態で水中に浸漬しておく。

この場合、おとり缶が流出するのを防止するた
め紐を介して川岸に適宜繋留されるが、おとり缶
が水流により自然発生的な浮き沈みする不規則運
動を行うために、おとり缶の自由度を制限する必
要がある。

このため、おとり缶内に石塊等の姿勢安定用の
錘を投入するか、または、横置した側壁板上に石
塊等を載置し、おとり缶の姿勢安定を保持しつ
つ、川岸に定置させる必要がある。

（考案が解決しようとする問題点） このような従来のおとり缶では、おとり缶内に
姿勢安定のために投入された石塊等の錘は単に投
入されただけであるから、おとり缶内で自由に動
き、しかも、形状が立体的で嵩高いため、おとり
鮎に衝突して、おとり鮎を損傷させるおそれがあ
つた。

また、おとり缶を横置して、その側壁板上に姿
勢安定用の石塊等を載置した場合は、川の水流や
振動等によつて、側壁板上に乗せられた石塊等が
落下し、おとり缶の姿勢安定が損なわれるという
ような問題点があつた。

この考案は、このような従来技術の背景に鑑み
なされたもので、おとり鮎の損傷を防止し、さら
に側壁板上に姿勢安定用の石塊等を安定的に載置
できるおとり缶を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） この考案に係るおとり缶は、方形の底面板と該
底面板の四周縁に起立して連成される正面板、背
面板、左右側面板とからなる側壁板とより構成す
るおとり缶本体と、該おとり缶本体の上部開口を
閉成し、簀子状の還流口と開閉蓋を設けた蓋体と
より構成するおとり缶において、該おとり缶を水
中に横倒したとき、おとり缶の上面とする前記側
壁板の一面板の外面周縁部に、該一面板上に載置
しおとり缶を水中に止留する姿勢安定用錘の落下
防止突出部を、該一面板の厚み外方へ突出形成し
たものである。

（作用） この考案においては、おとり缶を水中に横倒し
たとき、おとり缶の上面とする前記側壁板の一面
板の外面周縁部に、該一面板上に載置しおとり缶
を水中に止留する姿勢安定用錘の落下防止突出部
を、該一面板の厚み外方へ突出形成したことか
ら、おとり缶を水中に横倒したとき、おとり缶の
上面とする前記側壁板の一面板上に載置した石な
どの姿勢安定用錘が、川の水流や振動等によつ
て、前記側壁板の一面板上から石塊等が落下する
のを防止できる。

したがつて、おとり缶を水中に横倒し、おとり
缶１を水中に止留した状態で川中に設置すること
ができる。

（実施例） 第１図はこの考案に係るおとり缶の斜視図、第
２図は第１図のＡ−Ａ線断面図を示し、これら図
において、１はおとり缶で、このおとり缶１はお
とり缶本体２とこのおとり缶１の上部開口を着脱
自在に閉成する蓋体１１とから構成されている。

おとり缶本体２は、合成樹脂によって角形箱状
に形成され、長方形の底面板２ｅと、この底面板
の四周縁に起立して連成される正面板２ａ、背面
板２ｂ、左右側面板２ｃ，２ｄとからなる側壁板
２Ａとから構成されている。

この側壁板２Ａの正面板２ａの外面周縁部に
は、姿勢安定用錘の落下防止突出部３が、すなわ
ち、おとり缶１を水中に横倒したとき、おとり缶
１の上面とする前記側壁板２Ａの一面板の外面周
縁部に、該一面板上に載置しおとり缶１を水中に
止留する姿勢安定用錘の落下防止突出部３が、上
記正面板２ａの厚み外方へ突出して設けられ、お
とり缶１を川底の定位置に安定した状態で沈めて
おくことができ、側壁板２Ａの正面板２ａ上に乗
せられた姿勢安定用の石塊等が側壁板２Ａの正面
板２ａ上から落下するのを防止する。

この落下防止突出部３は、リブ状突出部３Ａ，
３Ａと底部突出部３Ｂとから構成され、リブ状突
出部３Ａ，３Ａは薄い板状の突条体であつて、正
面板２ａの左右両側に上部開口部から底部にかけ
て、一連に成型されている。

このリブ状突出部３Ａ，３Ａは、前記姿勢安定
用の石塊等が多少の振動によつて正面板２ａ面上
から落下しない程度の高さｈを必要とし、この実
施例では約３〜５mm程度の高さをもたせている。

また、底部突出部３Ｂは合成樹脂によつて成型
され、突条部３ｂと取付部３Ｃとからなり、略断
面Ｌ字状に形成されている（第３図参照）。

底面板２ｅの長手両側縁部、即ち底面板２ｅと
正面板２ａと隣接する両側縁部には、段部３ｅが
形成されている。この段部３ｅに上記底部突出部
３Ｂの取付部３Ｃを嵌合させ、他方突条部３ｂを
正面板２ａ上に設けてＬ字状の底部突出部３Ｂを
底面板２ｅの長手両側コーナ部に設ける。

したがつて、底部突出部３Ｂの取付部３Ｃと底
面板２ｅの外面は面一に形成されているが、突条
部３ｂは正面板２ａの板面上に設けられるため、
突条部３ｂの肉厚分だけ正面板２ａの厚み外方へ
突出するものである。

突条部３ｂの正面板２ａの外面上からの高さｈ
は、リブ状突出部３Ａ，３Ａと略同様か多少嵩度
にし、石塊等が正面板２ａから底面板２Ｅ方向へ
容易に落下しないよう形成している。尚、底部突
出部３Ｂの突条部３ｂは第２図に示すような上面
が平坦ものではなく、第３図に示す如く丸味を持
たせたものであつてもよい。

尚、底部突出部３Ｂの取付部３Ｃには、ビス穴
３ｄ，３ｄ，３ｄが長手方向に等間隔に複数個形
成されると共に、このビス穴３ｄ，３ｄ，３ｄと
連通する盲貫孔５が、底面板２ｅに形成した穴を
介して底面板２ｅの内面より内方に突出して形成
されている。このビス穴３ｄ，３ｄ，３ｄ及び盲
貫孔５にビス４，４，４を取り付けて底部突出部
３Ｂをおとり缶本体２に固着する。

６，６，６は脚部を示し、底面板２ｅの四隅に
底面板２ｅと一体に成型されている。

７は鍔を示し、この鍔７はおとり缶本体２の開
口部周囲に形成され、蓋体１１をおとり缶本体２
の上部開口に嵌合した際、蓋体１１を受け止める
ための受部となる。この鍔７は落下防止突出部３
の一翼部を形成するものであり、おとり缶本体２
にこの鍔７を形成しない場合は落下防止突出部３
を正面板２ａの上端縁部に形成する。

８，８はクリツプであつて、側壁板２Ａの正面
板２ａ及び背面板２ｂの上部に取り付けられ、蓋
体１１をおとり缶本体２に着脱自在に取り付ける
ためのものである。

尚、蓋体１１は第４図に示す如く、おとり缶１
を水中に浸漬した場合、おとり缶１内に水流を導
入し、またおとり缶１内の水を流出させ、積極的
に水を還流させる簀子状の還流口１１Ａと、おと
り鮎又は掛け鮎を出し入れする開閉蓋１１Ｂが設
けられている。この開閉蓋１１Ｂは常時出入口１
１Ｃをバネによつて弾性的に閉成している。

９，９は紐であつて、この紐９，９によつてお
とり缶１を川岸に繋留する。

１０は掛留部を示し、紐９を掛けるためのもの
で、左右の側面板２ｃ，２ｄの上部に一体に成型
されている。

次に、前記構成の使用状態を説明する。この考
案のような角形おとり缶１を使用する場合は、と
ろばなどの川底の平坦な場所を選び、おとり缶１
を横倒の状態、すなわち、蓋体１１に形成した簀
子状の還流口１１Ａから川の水流が流入するよう
な状態で設置する。その場合簀子状の還流口１１
Ａが川の上流側に向くようにする。

このように設置することによつて、蓋体１１の
還流口１１Ａから川の水流が流入し、おとり缶１
内の水を積極的に還流させ、おとり缶１内の水温
の上昇及び酸素欠乏を防止し、おとり缶１内に常
に新鮮な水が流入するようにすることができる。

上記状態でおとり缶１を川底に設置した後、第
４図に示す如く、おとり缶１を水中に横倒したと
き、おとり缶１の上面とする前記側壁板２Ａの一
面板たる正面板２ａの外面上に姿勢安定用の石塊
１２を乗せ、おとり缶１が川底から浮いたりある
いは水流によつて流れたりしないように、おとり
缶１を水中に止留している。

この場合、川の流れが乱流であると、おとり缶
１ががたつき正面板２ａ上の石塊１２が落下する
おそれもあるが、正面板２ａ上に形成された突出
部３によつて石塊１２の落下を防止することがで
きる。

上記実施例では、おとり缶１を水中に横倒した
とき、おとり缶１の上面とする側壁板２Ａの一面
板とする正面板２ａに突出部３を形成したが、お
とり缶１の上面とする側壁板２Ａの一面板として
背面板２ｂ、或いは左右の側面板２ｃ，２ｄに突
出部３を形成してもよく、また、おとり缶１の上
面とする側壁板２Ａの一面板を、正面板２ａと背
面板２ｂとをどちらの板面もおとり缶１の上面と
して使用することが出来るように、正面板２ａと
背面板２ｂの両面板に突出部３を設け、側壁板２
Ａのいずれの面に姿勢安定用の石塊１２を乗せる
ことができるようにしてもよい。

また、上記実施例の突出部３の底部突出部３Ｂ
の代わりにリブ状突出部３Ａの如くにリブ状の突
出部３Ｅとして形成してもよい。

これによつて、おとり缶１の部品点数の低減を
図ることができる。

尚、第４図の他の実施例では、リブ状突出部３
Ａ，３Ａ，３Ｅを各々分割して形成したが、これ
らを一体に連続して形成してもよく、また逆に
個々のリブ状の突出部３Ａ，３Ａ，３Ｅを複数個
に分割してもよく、また突出部３自体の形状も問
わない。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案によれば、方形
の底面板と該底面板の四周縁に起立して連成され
る正面板、背面板、左右側面板とからなる側壁板
とより構成するおとり缶本体と、該おとり缶本体
の上部開口を閉成し、簀子状の還流口と開閉蓋を
設けた蓋体とより構成するおとり缶において、該
おとり缶を水中に横倒したとき、おとり缶の上面
とする前記側壁板の一面板の外面周縁部に、該一
面板上に載置しおとり缶を水中に止留する姿勢安
定用錘の落下防止突出部を、該一面板の厚み外方
へ突出形成したことから、おとり缶を水中に横倒
したとき、おとり缶の上面とする前記側壁板の一
面板上に載置した石などの姿勢安定用錘が、川の
水流や振動等によつて、前記側壁板の一面板上か
ら石塊等が落下するのを防止できる。

したがつて、おとり缶を水中に横倒し、おとり
缶１を水中に止留した状態で川中に設置すること
ができる。

このことから、本考案のおとり缶は、おとり缶
の蓋体の還流口から川の水流が流入し、おとり缶
内の水を積極的に還流させ、おとり缶内の水温の
上昇及び酸素欠乏を防止し、おとり缶内に常に新
鮮な水が流入するようにすることができ、おとり
缶内に収納する釣り上げた鮎を元気な状態でおと
り缶内に収納維持することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る鮎おとり缶の斜視図、
第２図は第１図Ａ−Ａ線断面図、第３図は突条部
の他の実施例、第４図はこの考案の他の実施例で
ある。 １……おとり缶、２……おとり缶本体、２Ａ…
…側壁板、３……突出部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 方形の底面板と該底面板の四周縁に起立して連
   成される正面板、背面板、左右側面板とからなる
   側壁板とより構成するおとり缶本体と、該おとり
   缶本体の上部開口を閉成し、簀子状の還流口と開
   閉蓋を設けた蓋体とより構成するおとり缶におい
   て、該おとり缶を水中に横倒したとき、おとり缶
   の上面とする前記側壁板の一面板の外面周縁部
   に、該一面板上に載置しおとり缶を水中に止留す
   る姿勢安定用錘の落下防止突出部を、該一面板の
   厚み外方へ突出形成したことを特徴とするおとり
   缶。