JPH05885B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はオーデイオ装置におけるグラフイツク
イコライザーを利用して、テープの録音、再生時
のダイナミツクレンジを拡大することを目的とす
るグラフイツクイコライザーシステムに関するも
のである。

従来例の構成とその問題点 まずテープレコーダのダイナミツクレンジにつ
いて第１図を用いて説明する。第１図において、
１は再生出力の歪が３％になるレベルの周波数特
性（以下これをMOL特性と呼ぶ）、２は無音録音
した場合のテープノイズの再生出力の周波数特性
である。特性１と２の間のレベル差がダイナミツ
クレンジと呼ばれ、音楽を録音する場合、そのピ
ークレベルが特性１を越えない範囲内で最大限録
音レベルを上げて録音するのが通例である。

しかしながら一般のテープレコーダの録音レベ
ル計は、単に音楽の全帯域のエネルギーを検出し
て表示しているだけであるため、第１図のＡの領
域の成分が多いのか、Ｂの領域の成分が多いのか
わからない。このため安全を見るならばピークレ
ベルはＢの領域の信号と見なして録音レベルを下
げて録音することが好ましい。しかしこの場合、
ダイナミツクレンジは第１図に３で示す分だけ少
なくなる欠点がある。

この問題を解決するために、オーデイオ帯域を
何チヤンネルかに周波数分割して、各帯域毎に帯
域フイルターを通してスペクトラム的にメータ表
示するいわゆるスペクトラムアナライザー形式の
メータを使用し、かつオーデイオの再生系に各帯
域毎に利得が変えられるグラフイツクイコライザ
ーを挿入して、帯域毎に録音レベルを設定するこ
とが知られている。第２図にそのブロツク図の一
例を示す。第２図において、４は入力端子、５は
グラフイツクイコライザーを構成する周波数分割
されたフイルター群、６は各周波数帯のレベルを
コントロールするボリユウム、７はミキシングア
ンプ、８はイコライザーの出力端子、９はスペク
トラムアナライザーを構成する帯域フイルター
群、１０は各帯域毎のレベルを検出する整流回路
群、１１は各整流出力のレベルを表示する表示器
である。

第３図はこのようなスペクトラムアナライザー
により一曲の音楽のピークレベルをバーグラフ的
にホールドして表示した例であり、１２〜２０が
各周波数バンドのピーク値を示し、１は第１図に
示したMOL特性１を参考に重ねて表示したもの
である。

第３図の例では１９のレベルがMOL特性１よ
りオーバーしているので、この周波数帯のみ第２
図のボリユーム６を調整して第３図の１９の斜線
部を減衰させれば、それ以外の帯域のレベルを下
げることなく有効に録音することができる。

しかしこの場合でも、各帯域毎にピークレベル
を確認し、いちいち対応するボリユームを調整し
なければならないから、その操作が非常にわずら
わしいという問題がある。

発明の目的 本発明はこのような帯域毎のピークレベルを確
認してレベル設定するプロセスを、マイクロコン
ピユータで自動的に行なうようにしたグラフイツ
クイコライザーシステムを提供するものである。

発明の構成 本発明は電子コントロール可能なグラフイツク
イコライザーと、スペクトラムアナライザーのピ
ークレベルを読み取つて上記電子コントロールグ
ラフイツクイコライザーを駆動するマイクロプロ
セツサーとにより自動的に最適レベルを設定する
ようにしたものである。

実施例の説明 第４図に本発明の一実施例のブロツク構成を示
す。第４図において第２図の番号と同一のブロツ
クは第２図と同じ機能を果たすものである。そし
て電子コントロールボリユーム群１２、アナログ
マルチプレクサ１３、ADコンバータ１４、マイ
クロコンピユータ１５およびそのメモリー１６が
新たに追加されている。通常、入力端子４より入
力された音楽信号は電子コントロール群１２、ミ
キシングアンプ７を経て出力端子８より出力され
録音機の入力端子（図示せず）へ導かれて録音さ
れる。

第４図の動作で第２図と異る点は整流器群１０
の出力がアナログマルチプレクサ１３を介して各
周波数帯毎に順次ADコンバータ１４でデイジタ
ル化され、マイクロコンピユータ１５により上記
デイジタル化されたデータを取り込んでメモリー
１６にその値を書き込む点である。このようにす
れば、第３図のMOL特性１をメモリー１６にあ
らかじめ記憶しておくことにより、どの周波数帯
で上記MOL特性１のレベルを越えるかをマイク
ロコンピユータ１５により判定することができ
る。そして、MOL特性１を越える分だけマイク
ロコンピユータ１５の指令で電子ボリユーム群１
２の該当する周波数帯のボリユームのレベルを自
動的に下げることにより、イコライザーの出力端
子８に接続された録音機の入力端子の電圧が
MOL特性をオーバーしないように適切に制御さ
れ、全体としてダイナミツクレンジの広い録音が
行える。

このように、上記実施例によれば、きわめて容
易にしかも正確にダイナミツクレンジを拡大する
ことができる。

ところで、曲によつては、ある特定の周波数帯
のレベルが一曲を録音している途中で低下するも
のがある。これを更に改善するには録音する前に
レコード等の一曲のスタート時点からの時間をカ
ウントし、第３図のMOL特性１を越える時の時
間帯と周波数帯とMOL特性１を越えるレベルを
同時に対応させてメモリー１６に記憶しておけば
よい。このようにすれば、次に一曲の始めから録
音してゆくと、上記メモリー１６に記憶されてい
る時間帯のみ所定の周波数帯の電子ボリユームを
所定のレベルだけ下げることができる。このよう
な動作は、メモリー１６に記憶されている時間帯
のみ対応する周波数帯の電子ボリユームを予め定
められたレベルだけ下げるようにマイクロコンピ
ユータ１５をプログラムしておくことにより容易
に実現できる。第５図にこの過程のフローチヤー
トの一例を示す。

このようにすれば、ある周波数帯がMOL特性
１のレベルを越える時間のみその周波数帯のレベ
ルを所定量下げるのみでよいので、MOL特性１
のレベルを越えない音楽の大部分のパツセージは
音質の変化を伴うことなく録音できるし、また、
MOL特性１のレベルを越えた時でも時間的に短
時間であるから、聴感上音質の変化をほとんど感
ずることなく歪のない再生が可能となる。

なお、第４図の実施例においては、５，１２が
グラフイツクイコライザーを、９，１０がスペク
トラムアナライザーを構成している。

発明の効果 本発明はマイクロコンピユータのメモリーにテ
ープレコーダの所定の周波数特性を記憶してお
き、上記マイクロコンピユータでスペクトラムア
ナライザーの出力を読み取つて上記周波数特性と
比較し、上記スペクトラムアナライザーの出力が
上記周波数特性を越える周波数帯のグラフイツク
イコライザーのレベルを、上記マイクロコンピユ
ータの指令により自動的に下げるようにしたもの
であるから、ダイナミツクレンジを最大限度に拡
大することができ、しかもその操作が完全に自動
化できるという優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は通常のテープレコーダの録音再生のダ
イナミツクレンジの特性図、第２図は従来のグラ
フイツクイコライザーシステムのブロツク図、第
３図は一曲を録音する場合のピークレベルと
MOL特性の関係を示す図、第４図は本発明のグ
ラフイツクイコライザーシステムの一実施例のブ
ロツク図、第５図は第４図のシスラムを動作させ
るためのフローチヤートである。 ４……入力端子、５，１２……グラフイツクイ
コライザー、７……ミキシングアンプ、８……出
力端子、９，１０……スペクトラムアナライザ
ー、１１……表示器、１３……アナログマルチプ
レクサ、１４……ADコンバータ、１５……マイ
クロコンピユータ、１６……メモリー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数の周波数帯域毎にその信号レベルが電子
   的に可変できるグラフイツクイコライザーと、上
   記各周波数帯に対応した複数の周波数帯を有する
   スペクトラムアナライザーと、上記スペクトラム
   アナライザーの各周波数帯における信号の各ピー
   クレベルをADコンバータによりデイジタル値に
   変換した各デイジタル値を読み取り、録音すべき
   曲をあらかじめ再生した時の各周波数帯のピーク
   レベルがメモリーに記憶された各周波数毎の所定
   のレベルを越えたときの周波数帯域と再生開始か
   らの時間帯を上記メモリーに記憶し、前記曲の録
   音時に経過時間が上記メモリーに記憶された時間
   帯と一致したとき、上記メモリーに記憶された周
   波数帯のレベルを記憶したレベルだけ上記グラフ
   イツクイコライザーにより減衰させるように制御
   したマイクロコンピユータとを備えたことを特徴
   とするグラフイツクイコライザーシステム。