JPH0588523U - 下腕筋力用装着具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は腕の筋力の欠損者における身体装着
具に関するものである。そして、その装着具にあって
は、駆動系に小型で軽量かつ人の筋肉の動きと類似する
動作をなす、空気圧で作動するゴム製の人工筋を使用す
るものである。 【構成】 上腕固定具と下腕固定具とからなり、この両
者を肘内側部で回動自在に連結され、上腕固定具の上方
に懸架部材を備えると共に、下腕固定具にも懸架部材を
備え、両懸架部材間に空気圧によって伸縮されるゴム製
人工筋を懸架したことを特徴とする下腕筋力用装着具。 【効果】 本考案の身体装着具は、日常的に身体に装着
して使用することが可能となったものであり、勿論着衣
や治療用のバンド等に組み込むことも可能であって、そ
の利便性は大きく、一方、失った筋力の機能回復訓練用
としても使用できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は腕の筋力の欠損者における身体装着型の装着具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、身体障害者の社会活動への参加が言われ、又、社会復帰への途も開かれ てきている。 しかるに、交通事故に見舞われたり、筋ジストロフィ−、脳障害、神経障害等 による腕の筋力を失った障害者が、社会生活の中でその機能を発揮するための補 助装置にあっては、未だ充分なものが存在せず、一般にはギブス等の位置を固定 する補装具であり、腕や手、指等を障害者の意志によって、手動操作により任意 の位置に留めることを目的とした装着具は存在しない。

【０００３】 一方、障害機能の回復訓練用として、腕を自動的に反復繰り返し作動させる訓 練装置はあるが、これは身体へ装着したままで移動することを目的としていない ことにより、その駆動源がモ−タ−による電動式或いは油圧式によっている。 従って、身体に装着したままで移動することは、重量が大きくかつ容積もかさ ばるために、日常的にこれを身体に装着して用いることは不可能であった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、以上のような従来の技術によってはなし得なかった、身体装着具を 提案するものである。 そして、その装着具にあっては、駆動系に小型で軽量かつ人の筋肉の動きと類 似する動作をなす、空気圧で作動するゴム製の人工筋を使用するものであって、 このことにより、これを日常的に身体に装着して使用することが可能となったも のであり、勿論、着衣や治療用のバンド等に組み込むことも可能であって、その 利便性は大きく、一方、失った筋力の機能回復訓練用としても使用できる装着具 である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、以上の目的を達成するために開発を重ねた結果、以下の構成を採る ことにより目的を達成したものである。 即ち、本考案の要旨は、上腕固定具と下腕固定具とからなり、この両者を肘内 側部で回動自在に連結され、上腕固定具の上方に懸架部材を備えると共に、下腕 固定具にも懸架部材を備え、両懸架部材間に空気圧によって伸縮されるゴム製人 工筋を懸架したことを特徴とする下腕筋力用装着具であって、場合によっては、 下腕固定具に備える懸架部材はスライド可能とされるものである。

【０００６】

【作用】

本発明は、以上の通りの構造を有し、上腕及び下腕に固定具を装着し、しかも この間に比較的小型かつ軽量なゴム製人工筋を懸架するだけでよく、常態にあっ てはゴム製人工筋に圧縮空気を送ることなく、下腕を上げる際にあってはゴム製 人工筋に圧縮空気を送ることによって人工筋が縮み、この縮みにつれて下腕固定 具の懸架部材が引張られるものであって、このため下腕固定具が必然的に上がる こととなるのである。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案を具体例をもってさらに詳しく説明する。 図１は本考案の下腕筋力用装着具の構成を示す斜視図であって、図中１は上腕 固定具、２は下腕固定具であり、この両者よりのびるソッケト３、４をもってピ ンにて回動自在に軸支されている。 この両固定具１、２は、好ましくはプラスチック製の軽量板であって、腕に固 定しやすいように湾曲となっており、いずれにも腕への固定用ベルト６、７が備 えられている。 そして、上腕固定具１にあって、その上方にヒンジからなる懸架部材８が備え られており、これは後述するゴム製人工筋の留金を懸架するものである。 一方、下腕固定具２にあっては、上記した懸架部材８に対向して、固定具２に 懸架部材９を備えるものである。

【０００８】 さて、この上下腕固定具１、２に備えられた懸架部材８、９間に、ゴム製人工 筋１１がその上下の留金１２、１３をもって懸架されるもので、かかるゴム製人 工筋１１は図２及び図３に示すようなものである。

【０００９】 即ち、図２は吸気前、図３は吸気後のゴム製人工筋１１の夫々一部切り欠き側 面図である。かかる人工筋１１は、ゴム製のホ−ス１２が主体であって、これは ゴムホ−ス１２の表面を織布１４をもって覆っている。そしてこの織布１４を形 成する縦糸１５と横糸１６は、ゴムホ−ス１２の長手方向に対して５４度以内の 角度φに配置されている。

【００１０】 この傾斜角５４度は、ゴムホ−ス等において内圧をかけた場合、かかる角度を もってホ−スがこれ以上径を大きくしない、いわゆる静止角度というものであっ て、これはよく知られた事実である。 即ち、予めこの静止角度よりも小さい角度φをもって織布１４がゴム表面を覆 った場合、ゴムホ−スの内圧を高めると、かかる静止角度（５４度）にまで径を 大きくすることができ得るものであって、逆に言えばゴムホ−スの長さは縮むこ ととなる。

【００１１】 図３はこのゴムホ−スの内圧が高められ、ホ−スの長さが縮んだ状態を示し、 この織布１４を形成する糸の角度は、５４度の静止角に近い角度となったもので ある。

【００１２】 尚、ここで示した人工筋は、ゴムホ−スの表面を織布が覆うものをもって示し たが、場合によっては、ゴム層中に織布を埋入したものであってもよい。

【００１３】 本考案は、このゴム製人工筋１１の動きを利用したものであって、常態にあっ ては、ゴム製人工筋１１は通常最ものびており、従って、図１に示すように下腕 も下方にあるが、このゴム製人工筋１１に圧縮空気を供給すると、これが縮みは じめ、この動きと同時に図４に示すように上腕が上がることとなるのである。

【００１４】 即ち、図４にあって、人工筋１１が縮むと共に固定具１、２に備えた懸架部材 ８、９間の距離が近くなるもので、従って、下腕固定具２、言い換えれば人体の 下腕が上方に上がることとなり、この圧縮空気の供給をストップすることにより 下腕を望む位置に上げたまま留めることも可能となったのである。 以上図示はしないが、かかるゴム製人工筋１１にはホ−スが連結され、スイッ チに連動した電磁弁及び圧力調整弁等が連結されて圧縮空気の吸排を行うことに なる。

【００１５】 本考案は以上の構成を基本とするものであるが、かかる装着具を使用する人の 上腕及び下腕の長さは一定ではない。 従って、本考案にあって、好ましくは図５に示すように、下腕固定具２に備え る懸架部材９は、固定具２の長さ方向に位置を移動することができる機能を備え ておくものである。 例えば、固定具２に溝１７を形成し、これに嵌合せて好ましい位置にまで移動 可能とした懸架部材９である。 もっとも、本考案はこれには限定されることはなく、図示はしないが一条のレ −ルとこれをまたいでスライドする懸架装置も考えられる。

【００１６】

【考案の効果】

本発明は、以上のような身体装着具であるため、様々な体形や体重の異なる障 害者が利用するに際して、特別な制御用の電子回路（コントロ−ラ−）等を必要 とせず、ゴム製人工筋の特徴である空気圧とそれに伴う収縮率に応じたバネ特性 を活用することで、動作の範囲を簡単に設定することができることとなったので ある。 従って、障害者の腕の重さ、長さに関係なく操作ができ、又、小型かつ軽量化 が図られるために、備え付けの装置ではなく、身体へ装着して自由に移動できる ものである。 このため、かかる装置は筋力を回復するリハビリテ−ション用の装置としても 効果的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の下腕筋力用装着具の構成を示す
斜視図である。

【図２】図２は吸気前のゴム製人工筋の夫々一部切り欠
き側面図である。

【図３】図３は吸気後のゴム製人工筋の夫々一部切り欠
き側面図である。

【図４】図４は本考案にあって、人工筋が縮んだ状態を
示す斜視図である。

【図５】図５は本考案の下腕固定具に備える懸架部材
に、移動機能を備えた場合の斜視図である。

【符号の説明】

１‥‥上腕固定具、 ２‥‥下腕固定具、 ３、４‥‥ソッケト、 ６、７‥‥固定用ベルト、 ８、９‥‥懸架部材、 １１‥‥ゴム製人工筋、 １２、１３‥‥留金、 １４‥‥織布、 １５‥‥縦糸、 １６‥‥横糸、 １７‥‥溝。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上腕固定具と下腕固定具とからなり、こ
   の両者を肘内側部で回動自在に連結され、上腕固定具の
   上方に懸架部材を備えると共に、下腕固定具にも懸架部
   材を備え、両懸架部材間に空気圧によって伸縮されるゴ
   ム製人工筋を懸架したことを特徴とする下腕筋力用装着
   具。
2. 【請求項２】 下腕固定具に備える懸架部材はスライド
   可能とした請求項第１項記載の下腕筋力用装着具。